説明

高圧放電ランプ

【課題】
希土類金属ハロゲン化物を封入する水銀フリーの高圧放電ランプにおいて、透光性セラミックス気密容器の小径筒部内の侵食を効果的に抑制した高圧放電ランプを提供する。
【解決手段】
高圧放電ランプは、透光性セラミックス気密容器1の小径筒部1b内に気密に挿通された電流導入導体3と、小径筒部内において電流導入導体に支持された電極2と、0.1〜10気圧の希ガス、希土類金属ハロゲン化物を含む発光に寄与する第1のハロゲン化物およびランプ電圧形成に寄与する第2のハロゲン化物を備え、小径筒部内の長さをLとし、消灯時に放電空間1c側の0.35Lの領域に付着している第1および第2のハロゲン化物の単位長さ当たりの重量をMdとし、小径筒部内の残余の領域に付着している上記ハロゲン化物の重量をMeとしたとき、比Md/Meが0.5以下であり、水銀を本質的に含まないイオン化媒体とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類金属ハロゲン化物を含み、かつ水銀を本質的に含まない高圧放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発光金属の主成分としてツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)の少なくとも1種のハロゲン化物を封入し、かつ水銀を本質的に含まない高圧放電ランプは既知である(例えば、特許文献1参照。)。水銀フリーの高圧放電ランプにおいて、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)の少なくとも1種を所定量封入することにより、高い発光効率とランプ電圧形成作用が同時に得られる。透光性セラミックス気密容器を用いる場合には、ツリウム(Tm)などのランタノイド希土類金属ハロゲン化物を封入した場合であっても腐食の問題が少ないと一般的には認識されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−231133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、発光金属として希土類金属のハロゲン化物を封入した水銀フリーの高圧放電ランプにおいては、寿命中に小径筒部の内面のセラミックスが侵食されて小径筒部の肉厚が小さくなって内径が拡大する現象発生が水銀入りの高圧放電ランプに比較して極端に顕著であることが本発明者らの研究により明らかになった。この現象のメカニズムは詳らかでないが、水銀フリーランプ特有の新たな問題であるといえる。上記の侵食は、特に小径筒部の長さ方向の中央部から放電空間寄りの部位に顕著に発生する傾向がある。この部位は、点灯中の温度が他の部位より相対的に高いために上記の傾向が生じると考えられる。
【0005】
上述のセラミックスの侵食が進むと、高圧放電ランプの寿命に与える影響が無視できなくなる。したがって、小径筒部のセラミックスの侵食を効果的に抑制することが要求される。
【0006】
一般に、ハロゲン化物を封入した高圧放電ランプにおいては、イオン化媒体中の余剰のハロゲン化物が点灯中に小径筒部内の隙間全体に付着する。しかし、希土類金属のハロゲン化物を封入した水銀フリーの高圧放電ランプにおいては、小径筒部の包囲部側の端部近傍におけるハロゲン化物の付着が多いと腐食が顕著になりやすいことを本発明者は見出した。本発明は、上記発見に基づいてなされたものである。
【0007】
本発明は、希土類金属のハロゲン化物を封入する水銀フリーの高圧放電ランプにおいて、透光性セラミックス気密容器の小径筒部内の侵食を効果的に抑制した高圧放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の高圧放電ランプは、内部に放電空間が形成されている包囲部および包囲部に連通する一対の小径筒部を備えた透光性セラミックス気密容器と;透光性セラミックス気密容器の小径筒部内に気密に挿通された電流導入導体と;透光性セラミックス気密容器の小径筒部内において電流導入導体に支持されて先端が包囲部内に臨む電極と;透光性セラミックス気密容器内に封入された25℃換算で0.1〜10気圧の希ガス、少なくとも希土類金属のハロゲン化物を含む主として発光に寄与する金属の第1のハロゲン化物および主としてランプ電圧形成に寄与する金属の第2のハロゲン化物を備え、水銀を本質的に含まないイオン化媒体と;を具備し、透光性セラミックス気密容器の小径筒部内の長さをLとし、消灯時に放電空間側の0.35Lの領域に付着している第1および第2のハロゲン化物の小径筒部の軸方向単位長さ当たりの平均重量をMdとし、小径筒部内の残余の領域に付着している上記ハロゲン化物の小径筒部の軸方向単位長さ当たりの平均重量をMeとしたとき、比Md/Meが0.5以下であることを特徴としている。
主としてランプ電圧形成に寄与する金属の第2のハロゲン化物とは、ランプ動作中のハロゲン化物が付着する部位のうち最高温度にて完全蒸発すると計算されるものであり、主として発光に寄与する金属の第1のハロゲン化物とは、封入した全てのハロゲン化物のうち、当該温度にて完全蒸発する第2のハロゲン化物を除いたものである。したがって、第1および第2のハロゲン化物は、例えば高圧放電ランプの消灯中に全ハロゲン化物の封入量を把握し、当該全ハロゲン化物の封入量から個別のハロゲン化物の蒸気圧物理データに基づいて演算することにより定量化することができる。
【0009】
本発明は、放電空間側の0.35Lの領域に付着する単位長さ当たりのハロゲン化物の重量を残余の領域(0.65L)に付着する単位長さ当たりのハロゲン化物の重量に比較して0.5以下となるように低減させることにより、点灯中における小径筒部の腐食の発生を効果的に抑制したものである。なお、小径筒部の長さLは、小径筒部と包囲部との接合部が連続的な曲面になっているなど長さLが不明確なものについては、小径筒部の内径が110%に拡大した位置をもって小径筒部の端部であると定義する。放電空間側の0.35Lの領域におけるハロゲン化物の単位長さ当たりの平均重量を高圧放電ランプの消灯時に求める理由は、次のとおりである。すなわち、この領域におけるハロゲン化物の単位長さ当たりの平均重量は、消灯中のデータであっても点灯中との誤差が十分に小さいので差し支えないとともに、消灯時であれば測定が容易になる。
【0010】
次に、ハロゲン化物の単位長さ当たりの平均重量の効果的な測定法例について説明する。すなわち、マイクロX線撮影装置を用いてランプ軸に対して直交する方向からX線を照射して発光管を撮影する。その際に、小径筒部内に滞留しているハロゲン化物が画像に写るように撮影条件を設定する。一方、リファレンスとして上記と同条件で厚さ3mm以上の鉛板を撮影して画像を得る。
【0011】
次に、小径筒部のハロゲン化物が存在しない部位の画像の輝度値とリファレンス画像の輝度値との差を100%として、試験品の高圧放電ランプにおける発光管の小径筒部の画像の輝度値と比較する。
【0012】
輝度値比較の結果、輝度差が80%以上の部位をハロゲン化物が滞留している部位として判定し、輝度差が80%未満の部位をハロゲン化物が滞留していないとして判定するものとする。そして、試験品の小径筒部の2次元画像についてハロゲン化物の滞留している部分の面積を集計する。なお、電極および電流導入導体が挿通している部位の領域は、上記画像を用いた判定が不可能なので、計測および判定の対象から除外する。
【0013】
そうして、小径筒部の長手方向の長さLの包囲部寄りの0.35Lの領域においてハロゲン化物が付着している軸方向の単位長さ当たりの面積をMdとし、残余の0.65Lの領域においてハロゲン化物が付着している軸方向の単位長さ当たりの面積をMeとして、それらの比をもってハロゲン化物の単位長さ当たりの平均重量比Md/Meとする。
【0014】
ハロゲン化物の単位長さ当たりの平均重量比Md/Meが0.5以下であれば本発明の高圧放電ランプであると判定する。なお、Md/Meが0.5以下の他に特定の構成を具備しているか否かは問わない。なぜなら、結果として比Md/Meが0.5以下であれば、小径筒部内のハロゲン化物による侵食が抑制されることが確認されているからである。
【0015】
しかし、比Md/Meを0.5以下にするための具体的構成が明らかであれば、希土類金属のハロゲン化物を封入する高圧放電ランプの設計に際して、小径筒部内の侵食を予め回避するのが容易になるので、次にその主な例を示す。
【0016】
1.少なくとも一方の小径筒部側において、小径筒部内に挿通する電極および電流導入導体を含む電極構体の外径と小径筒部の内径との間に形成されるキャピラリーと称される隙間を0.06〜0.17mmの範囲内に設定するとともに、隙間によって形成される空間の体積をV(mm)、透光性セラミックス気密容器中に封入された第1のハロゲン化物(B)の重量をB(mg)としたときの比B/Vが0.5<B/V<2.0を満足するように第1のハロゲン化物の封入量を調整する。
【0017】
上記の条件に関して、点灯中に蒸発しない第1のハロゲン化物の量によりランプ寿命中のハロゲン化物の付着位置と第1のハロゲン化物による透光性セラミックス気密容器の侵食の位置が変わることが分かった。具体的には、第1のハロゲン化物の付着位置および透光性セラミックス気密容器の侵食の位置は、小径筒部内の空間体積当たりの上記ハロゲン化物の量に依存していることが明らかとなった。
【0018】
すなわち、第1のハロゲン化物(B)の封入量が多いと、高温部である小径筒部の放電空間側への第1のハロゲン化物の付着量が増加して侵食が進み、短時間でリークなどの寿命に至る。なお、点灯3000時間の侵食が例えば200μm以上では、10000時間以上を寿命が得られない傾向がある。反対に、第1のハロゲン化物の封入量が少なすぎると、発光効率が十分な値である70lm/W以上を得ることができない。
【0019】
また、隙間が0.07mm未満であると、侵食により他の部位に堆積した物質が小径筒部内の隙間を閉塞して短時間でクラックリークを生じる。反対に、小径筒部内の隙間が0.17μmを超えると、B/Vを変化させても、Md/Meを0.7より下まで低下させることができない。要するに、Md/Meを0.5以下にするには、小径筒部内の隙間が上述の狭い許容範囲においてのみ可能である。また、以上の現象は、透光性セラミックス気密容器を備え、希土類金属のハロゲン化物を封入した水銀フリーのメタルハライドランプにおいて顕在化することも明らかになった。
【0020】
2.電極構体は、小径筒部内に位置する少なくとも電極軸部の外周面に沿って巻装された電極マウントサブコイルを備え、電極マウントサブコイルのピッチをP(%)としたとき、ピッチPが135≦P≦300を満足するように構成する。
【0021】
ただし、上記条件は、小径筒部内に挿通する少なくとも電極および電流導入導体を含む電極構体の外径と小径筒部の内径との間に形成される隙間が0.06〜0.17mmに設定されている場合に限って実現可能である。
【0022】
また、電極マウントサブコイルのピッチPが上記の範囲内で、B/Vおよび隙間が上述の許容範囲内であれば、ハロゲン化物の重量比Md/Meを0.5以下にすることが容易になる。なお、好適にはピッチPが150≦P≦200である。
【0023】
電極マウントサブコイルのピッチPが135%未満である場合、主として発光に寄与する金属のハロゲン化物の封入量と隙間の大きさの組み合わせを調整することで比Md/Meをある程度小さくすることもできるが、確実に0.5以下にするのは困難である。また、上記ピッチが300%を超えると、隙間が0.17mmを超えているときに近い現象が生じて小径筒部の包囲部側の0.35Lに付着するハロゲン化物の量が増加してしまうために、比Md/Meが本発明の構成要件を満足させるのが困難になる。
【0024】
なお、電極マウントサブコイルは、小径筒部内を、周囲に隙間を形成して挿通する電流導入導体の直径が電極軸部のそれと同等である場合には、電流導入導体の部位にも配設することができる。しかし、電流導入導体の直径が電極軸部の外周に電極マウントサブコイルと同等の場合には、当該電流導入導体の外周には配設していなくてもよい。
【0025】
3.第1のハロゲン化物に占める希土類金属のハロゲン化物の比率(以下、希土類金属ハロゲン化物比率という。)M(質量%)が20≦M≦50を満足するように構成する。
【0026】
希土類金属ハロゲン化物比率が20質量%未満になると、比Md/Meが小さくなるものの、実用的な発光効率、例えば70lm/W以上の白色光を得ることができなくなる。また、希土類金属ハロゲン化物比率Mが50質量%を超えると、比Md/Meを0.5以下にするのが困難になる。例えば、希土類金属のハロゲン化物の比率が75質量%であっても、隙間の大きさおよび電極マウントサブコイルのピッチPが適正な値の組み合わせであれば、Md/Meを低下させることができる。しかしながら、希土類金属ハロゲン化物比率Mを50質量%以下とし、かつ電極マウントサブコイルのピッチを上記規定範囲内とすることによって、Md/Meを確実に小さくすることができる。
【0027】
前記2.および3.の手段は、そのいずれも隙間が0.07〜0.17mmの条件を満足することを前提とする場合に効果的である。また、前記1.〜3.の手段は、そのいずれも水銀フリーで、気密容器がセラミックスからなり、かつ希土類金属ハロゲン化物を封入する場合に顕在化することが明らかになった。
【0028】
次に、改めてイオン化媒体について説明する。
【0029】
イオン化媒体は、希ガスおよびハロゲン化物を備え、水銀を本質的に含まない。
【0030】
希ガスは、少なくとも始動ガスとして封入され、その封入圧が室温すなわち25℃換算で0.1〜10気圧である。希ガスは、アルゴン、キセノンおよびクリプトンなどであることを許容する。また、希ガスが0.1〜10気圧であると、始動電圧が5kV以下で高圧放電ランプを始動させることができる。さらに、希ガスがキセノンの場合、その封入圧が1〜10気圧の範囲内であれば、始動電圧が5kV以下で、かつ高発光効率および高ランプ電圧が得られる。
【0031】
また、希ガスは、キセノン(Xe)では5気圧未満、アルゴン(Ar)では3気圧未満、クリプトン(Kr)では4気圧未満であるのが好ましい。これらの希ガスの中でも、Xeは、KrやArよりランプ電圧を高くするとともに効率を高くできる傾向があるので、最適である。これに対して、Arは、XeやKrよりランプ電圧と発光効率が低くなる傾向があるものの、これらは他の設計要素、例えばランプ電圧形成体(ZnIなど)の封入量や後述する希土類金属、特にツリウム(Tm)ハロゲン化物および/またはホルミウム(Ho)ハロゲン化物の封入量、電極間距離やランプ温度などで調整することにより実用上大きな問題がない範囲にすることが可能なので、本発明においてはXe、Krに代わりArを用いることを許容する。
【0032】
ハロゲン化物について説明する。
【0033】
ハロゲン化物は、第1および第2のハロゲン化物からなる。第1のハロゲン化物は、希土類金属のハロゲン化物を含む主として発光に寄与するハロゲン化物である。第2のハロゲン化物は、主としてランプ電圧形成に寄与するハロゲン化物である。
【0034】
第1のハロゲン化物のうち希土類金属は、ランタノイドに属する金属であり、その中でもツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)の少なくとも一種であることが好ましい。ツリウム(Tm)は、放電時に視感度特性曲線のピーク波長付近に多数の輝線スペクトルを放射し、その発光のピークが視感度曲線のピークに一致するので、発光効率を向上させるのに極めて効果的な発光金属である。ツリウムハロゲン化物は、主として発光に寄与する金属のハロゲン化物に属していながら水銀フリーにおいてランプ電圧を高める作用もある。このため、主としてランプ電圧形成用の金属ハロゲン化物の封入量を削減できる。そして、その結果、ランプ電圧形成用の金属ハロゲン化物の相対的に過剰な量の封入に伴って発生する弊害(色偏差の増大)を回避することができる。ホルミウムもツリウムの上述した性質に類似した性質を有している。
【0035】
希土類金属のハロゲン化物を主として発光に寄与する金属ハロゲン化物として封入するに際して、それらの合計が第1のハロゲン化物の全体に対して前述のように20〜50質量%であるのが好ましい。この範囲であれば、前述のように小径筒部内の包囲部側の0.35Lの領域に付着する軸方向単位長さ当たりのハロゲン化物の平均重量が低減する作用を呈する。
【0036】
また、希土類金属がツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)である場合には、上述のようにランプ電圧を十分に実用範囲まで高める作用を発揮するとともに高い発光効率が得られるため、例えばZnIなど第2のハロゲン化物の封入量を例えば従来の1/5のように少なくしても、少なくする前の封入量におけるのと同等のランプ電圧を得ることができる。ランプ電圧形成用の金属ハロゲン化物の封入量が多くなるにしたがって色偏差が増大するので、ランプ電圧形成用金属ハロゲン化物の封入量が少なくなることにより、色偏差が著しく改善される。
【0037】
希土類金属のハロゲン化物は、ツリウムおよびホルミウムの他に、プラセオジム(Pr)、セリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)およびサマリウム(Sm)の一種または複数種のハロゲン化物を封入することができる。上記希土類金属は、ツリウムハロゲン化物およびホルミウムハロゲン化物に次いで発光金属として有用であるために、副成分としての封入比率で封入することが許容される。なお、上記希土類金属は、そのいずれも視感度特性曲線のピーク波長付近で無数の輝線スペクトルを有するため、発光効率向上に寄与することができる。
【0038】
次に、希土類金属以外の封入金属について説明する。
【0039】
所望によりタリウム(Tl)のハロゲン化物を添加することが許容される。タリウムは、これを主として発光に寄与するイオン化媒体中の金属の一部としてタリウムハロゲン化物または金属タリウムの形で封入することができる。しかし、タリウムは、その封入量をヨウ化タリウム(TlI)に換算した値で気密容器の内容積に対し0〜0.8mg/cc、好適には0〜0.2mg/cc規制することが好ましい。これにより、青色発光抑制が生じるのを効果的に抑制できる。なお、タリウム(Tl)のハロゲン化物または金属タリウムを封入すると、タリウム(Tl)の緑色発光がツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)の少なくとも一種の発光に加算されるので、高圧放電ランプの発光効率が高くなる。
【0040】
上述以外のその他の金属のハロゲン化物を、白色発光を得る以外に、例えば発光の色度を調整する、または発光効率を高くするなどの目的で適宜選択的に添加することができる。
【0041】
インジウム(In)のハロゲン化物は、これを所望の演色性および/または色温度などを得るなどの目的で副成分として選択的に封入することが許容される。
【0042】
次に、第2のハロゲン化物について説明する。
【0043】
主としてランプ電圧形成用の金属ハロゲン化物としては、イオン化エネルギーが8eV以上で、かつ融点が500℃以下の金属ハロゲン化物がこれに含まれることが多い。なお、イオン化エネルギーが8eV以上で、かつ融点が500℃以下の金属ハロゲン化物としての具体的な金属については後述するが、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)およびマンガン(Mn)のハロゲン化物などがある。
【0044】
また、ランプ電圧形成用の金属ハロゲン化物は、本発明において透光性気密容器内に封入する前述のハロゲン化物に比較して蒸気圧が高くて、高圧放電ランプにおけるランプ電圧を主として決定する作用がある。なお、「蒸気圧が大きい」とは、点灯中の蒸気圧が高いことを意味するが、水銀のように大きすぎる必要はなく、好ましくは点灯中の気密容器内の圧力は5気圧程度以下である。したがって、上記の条件を備えていれば特定の金属のハロゲン化物に限定されない。
【0045】
さらに、ランプ電圧形成用のハロゲン化物は、主としてランプ電圧を形成する金属ハロゲン化物により構成され、例えばマグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)からなるグループから選択された一種または複数種の金属のハロゲン化物を主体として用いることができる。そして、その殆どが水銀より蒸気圧が低く、またランプ電圧の調整範囲が水銀より狭い。
【0046】
しかし、必要に応じてこれらを複数種混合して封入することにより、ランプ電圧の調整範囲を拡大することができる。例えば、AlIが不完全蒸発の状態になっていて、しかも所望のランプ電圧が得られていない場合にAlIを追加してもランプ電圧は変わらない。
【0047】
これに対して、AlIの追加に代えてZnIを添加すれば、ZnIの作用により生じる分のランプ電圧が加算されるので、ランプ電圧を増加させることができる。さらに、他のランプ電圧形成用のハロゲン化物を添加すれば、より高いランプ電圧を得ることができる。
【0048】
さらに、ランプ電圧形成用のハロゲン化物は、透光性気密容器内に封入される主として発光する前述のハロゲン化物の金属に比較して可視域に発光しにくい金属のハロゲン化物でもある。「前記ハロゲン化物の金属に比較して可視域に発光しにくい」とは、絶対的な意味で可視光の発光が少ないという意味ではなく、相対的な意味である。なぜなら、確かにFeやNiは、紫外域発光の方が可視域発光より多いが、Ti、AlおよびZnなどは可視域に発光が多い。したがって、これらの可視域発光の多い金属を単独で発光させると、エネルギーが当該金属に集中するので、可視域発光が多い。ランプ電圧形成用ハロゲン化物の中で、鉄(Fe)やニッケル(Ni)は紫外域発光が多いが、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)および亜鉛(Zn)などは単独で発光させた場合には可視光域に発光が多い。しかし、上記チタン(Ti)、アルミニウム(Al)および亜鉛(Zn)といった第2のハロゲン化物は、発光させるのに必要なエネルギー準位がツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)などの主として発光に寄与するハロゲン化物の金属を発光させるに必要なエネルギー準位より高い。そのため、両者を一緒に封入して高圧放電ランプを点灯させた場合には、エネルギー準位の低い発光用ハロゲン化物による発光が相対的に支配的となり、ランプ電圧形成用ハロゲン化物による発光は少なくなる。
【0049】
したがって、第2のハロゲン化物は、可視光の発光が禁止されるものではなく、放電ランプが放射する全可視光に対する割合が小さくて影響が少ないものである。
【0050】
以上、説明した第1および第2のハロゲン化物を形成するハロゲンとしては、適度の反応性を有していることからヨウ素が好適であるが、所望により臭素および塩素のいずれかでもよく、またヨウ素、臭素および塩素のうち所望の二種以上を用いてもよい。
【発明の効果】
【0051】
第1の発明によれば、透光性セラミックス気密容器の小径筒部内の長さをLとし、消灯時に放電空間側の0.35Lの領域に付着している第1および第2のハロゲン化物の小径筒部の軸方向単位長さ当たりの平均重量をMdとし、小径筒部内の残余の領域に付着している上記ハロゲン化物の小径筒部の軸方向単位長さ当たりの平均重量をMeとしたとき、比Md/Meが0.5以下であることにより、希土類金属のハロゲン化物を封入する水銀フリーの高圧放電ランプにおいて、透光性セラミックス気密容器の小径筒部内の侵食を効果的に抑制した高圧放電ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の高圧放電ランプを実施するための第1の形態における発光管を示す断面図である。
【図2】同じくMd/Meと3000時間点灯時の侵食深さの関係を示すグラフである。
【図3】同じくB/VとMd/Meの関係を示すグラフである。
【図4】同じく電極マウントサブコイルのコイルピッチP(%)とMd/Meの関係を示すグラフである。
【図5】同じく発光金属ハロゲン化物中の希土類金属ハロゲン化物の混合比率(質量%)とMd/Meの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0054】
図1に示す本発明の高圧放電ランプを実施するための第1の形態において、高圧放電ランプは、発光管ITを具備している。発光管ITは、透光性セラミックス気密容器1、一対の電極2、2、一対の電流導入導体3、3、一対のシール部4、4および透光性セラミックス気密容器1の内部に封入された放電媒体を備えている。
【0055】
透光性セラミックス気密容器1は、本発明において、少なくとも主要部、好ましくは全体が放電によって発生した所望波長域の可視光を外部に導出することが可能な透光性セラミックスからなり、内部に放電空間1cが形成されている包囲部1aおよび包囲部1aに連通する一対の小径筒部1b、1bを備えている。透光性セラミックス気密容器1は、最冷部温度を高く設定して、ランプ電圧を高くするとともに、発光効率を向上させることができる。なお、透光性セラミックスとしては、透光性アルミナ、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)と、多結晶非酸化物、例えばアルミニウム窒化物(AlN)などの多結晶または単結晶のセラミックスなどを用いることができる。
【0056】
本形態において、透光性セラミックス気密容器1は、例えば透光性多結晶アルミナセラミックスからなり、包囲部1aおよび包囲部1aの両端に連通して配設された一対の小径筒部1b、1bが図1に示すように構成されている。すなわち、小径筒部1bおよび包囲部1aは、鋳込み成形により一体に成形され、かつ連続した曲面を介して接続している。
【0057】
包囲部1aは、その内部が適当な形状、例えば球状、楕円球状、ほぼ円柱状などの形状をなしていることを許容し、内容積について高圧放電ランプの定格ランプ電力、電極間距離などに応じてさまざまな値を選択することができる。本形態において、包囲部1aは、両端部が半球形状をなし、中間部が円筒状をなしていて、その内部に繭玉形状をなしている放電空間1cが形成されている。
【0058】
一対の小径筒部1b、1bは、それぞれの内部が包囲部1a内に連通している。
【0059】
一対の電極2、2は、耐火性で、導電性の金属、例えば純タングステン(W)、ドープ剤(例えばスカンジウム(Sc)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)およびケイ素(Si)などのグループから選択された一種または複数種)を含有するドープドタングステン、酸化トリウムを含有するトリエーテッドタングステン、レニウム(Re)またはタングステン−レニウム(W−Re)合金などを用いて形成することができる。
【0060】
本形態において、一対の電極2、2は、タングステンを主成分として形成され、それぞれ電極軸部2a、先端部2bおよび電極マウントサブコイル2cを備えている。電極軸部2aは、小径筒部1b、1b内に挿通されている。先端部2bは、包囲部1a内に臨んでいる。電極マウントサブコイル2cは、例えばタングステンを主成分とする細線からなり、電極軸部2aの外周に巻装されている。そうして、電極マウントサブコイル2cと小径筒部1b、1bの内面との間にキャピラリーと称されるわずかな隙間が形成されている。
【0061】
一対の電流導入導体3、3は、それぞれ直列に接続した封着性部分3aおよび耐ハロゲン性部分3bを備えている。封着性部分3aは、例えばニオブの棒状体からなり、後述するシール部4と協働して透光性セラミックス気密容器1を封止しているとともに、基端が透光性セラミックス気密容器1の外部に露出している。耐ハロゲン性部分3bは、例えばモリブデンの棒状体からなり、その基端が封着性部分3aの先端に突合せ溶接されて透光性セラミックス気密容器1の小径筒部1bの内部に挿入されている。また、その先端部に電極2の基端が溶接されている。なお、本形態においては、耐ハロゲン性部分3bの直径が電極マウントサブコイル2cの外径に等しくなっているが、所望により電極2の電極軸部2aと同径にして電極マウントサブコイル2cを耐ハロゲン性部分3bまで延在させてもよい。
【0062】
一対のシール部4、4は、小径筒部1bと電流導入導体3とが協働して透光性セラミックス気密容器1を封止するのであれば、その材質および封止の態様が特段限定されない。例えば、小径筒部1bまたはこれと同様材質のセラミックスが融着して透光性セラミックス気密容器1を封止することで結果的にシール部4が形成される構成であってもよい。
【0063】
本形態においては、一対のシール部4、4は、いずれもDy−SiO−Al系のフリットガラスを加熱して溶融し、固化することにより形成されている。そうして、一対のシール部4、4は、透光性セラミックス気密容器1の小径筒部1b、1bの端面側の部分と、これに対向する電流導入導体3、3と、の間に介在して透光性セラミックス気密容器1を気密に封止していて、電流導入導体3、3のニオブ棒状体3aが透光性セラミックス気密容器1の内部に露出しないように小径筒部1b、1b内に挿入されている部分の全体を被覆している。以上の封止により、電極2を透光性セラミックス気密容器1の所定の位置に固定している。
【0064】
イオン化媒体は、第1のハロゲン化物、第2のハロゲン化物および希ガスを含んでいる。
【0065】
第1のハロゲン化物は、主として発光に寄与する金属のハロゲン化物である。また、第1のハロゲン化物は、少なくともランタノイドに属する希土類金属の少なくとも1種のハロゲン化物を含んでいる。なお、好ましくは希土類金属のハロゲン化物は、第1のハロゲン化物に対して20〜50質量%の割合である。
【0066】
第2のハロゲン化物は、主としてランプ電圧形成用のハロゲン化物である。このハロゲン化物は、ランプ電圧形成作用が第1のハロゲン化物に比べて顕著であるという特徴がある一方で、発光量が相対的に少なくて高圧放電ランプの総発光量に対する貢献が少ないという特徴がある。
【0067】
第2のハロゲン化物としては、例えばマグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)からなるグループの中から選択された1種または複数種のハロゲン化物を用いることができる。
【実施例1】
【0068】
図1に示す発光管ITを具備している高圧放電ランプである。
【0069】
透光性セラミックス気密容器:PCA製、包囲部内径9.5mm、一体成形、中間部が円筒状、
両端が半球状、肉厚0.8mm、小径筒部の内径1mm、
全長46mm
電極 :W製、直径0.4mm、電極間距離7mm、
電極マウントサブコイルW製、直径0.25mm、ピッチ150%、
電極マウントサブコイル直径0.9mm、隙間0.1mm
電極マウントサブコイルの包囲部側終端の小径筒部からの 突出長1mm
イオン化媒体 :TmI3-NaI 2.7mg(TmI3:1.35mg、TmI3-NaI中の50wt%)、
Xe2.4気圧
ランプ電圧 :42V
B/V :1
Md/Me :0.3
小径筒部内の侵食深さ :最大侵食部の小径筒部内の侵食深さは、3000h点灯時で
0〜50μmであった。

【比較例1】
【0070】
下記以外は実施例1と同じである。
【0071】
電極 :W製、直径0.4mm、電極間距離7mm、
電極マウントサブコイルW製、直径0.25mm、ピッチ150%、
電極マウントサブの直径0.9mm、隙間0.2mm、
電極マウントサブコイルの包囲部側終端の小径筒部からの 突出長1mm
B/V :4
Md/Me :0.9
小径筒部内の侵食深さ :200μm

【比較例2】
【0072】
下記以外は実施例1と同じである。
【0073】
電極 :W製、直径0.3mm、電極間距離7mm、
電極マウントサブコイルW製、直径0.25mm、ピッチ150%、
電極マウントサブコイルの直径0.9mm、隙間0.2mm、
電極マウントサブコイルの包囲部側終端の小径筒部からの 突出長1mm
B/V :1
Md/Me :0.9
小径筒部内の侵食深さ :200μm

図2は、実施例と同様の仕様の高圧放電ランプにおける比Md/Meと3000時間点灯時の侵食深さの平均値の関係を示すグラフである。
【0074】
図2から理解できるように、比Md/Meが0.5以下であれば、3000時間点当時の侵食深さが77μm以下となる。この値は高圧放電ランプの寿命が10000時間以上に相当する。
【0075】
図3は、実施例と同様の仕様で比B/Vが異なる高圧放電ランプにおける比B/Vと比Md/Meとの関係を小径筒部の内面と電極マウントの外径の間の隙間をパラメータとして示すグラフである。なお、図において、測定点◆を結ぶグラフは隙間Capが0.1mmの場合、測定点■を結ぶグラフは隙間Capが0.2mmの場合である。
【0076】
図3から理解できるように、小径筒部の内面と電極マウントの外径の間の隙間Capが0.1mmの場合には、比B/Vが0.5≦B/V≦2.0を満足する範囲内で比Md/Meが0.5以下になる。これに対して、隙間Capが0.2mmの場合には0.5≦B/V≦2.0の範囲内であっても比Md/Meが0.5以下にならない。この事実に基づいて実際上の効果を奏する幅を考慮すると、隙間Capが0.07≦Cap≦0.17であれば、0.5≦B/V≦2.0の範囲内でMd/Meが0.5以下になる。
【0077】
なお、図3を作成した際の測定データを3000時間点当時の侵食深さとともに表1に示す。
【0078】
表1
隙間Cap B/V コイルピッチ Md/Me 侵食深さ
(mm) (%) (μm)
0.1 0.5 150 0.24
0.1 1 150 0.3 25
0.1 1.4 150 0.35
0.1 1.9 150 0.5 80
0.1 2.3 150 0.7 160
0.1 3.3 150 0.88
0.1 4 150 0.9 200
0.2 0.5 150 0.75
0.2 1 150 0.9 220
0.2 1.4 150 0.92
0.2 1.9 150 0.92 240
0.2 2.3 150 0.98
0.2 3.3 150 1
0.2 4 150 0.99 290

図4は、実施例と同様の仕様で電極マウントサブコイルのコイルピッチが異なる高圧放電ランプにおける電極マウントサブコイルのコイルピッチPと比Md/Meとの関係を小径筒部の内面と電極マウントの外径の間の隙間Capをパラメータとして示すグラフである。なお、図において、測定点◆を結ぶグラフは隙間Capが0.1mmの場合、測定点■を結ぶグラフは隙間Capが0.2mmの場合である。
【0079】
図4から理解できるように、小径筒部の内面と電極マウントの外径の間の隙間Capが0.1mmの場合に、電極マウントサブコイルのコイルピッチP(%)が135≦P≦300%の範囲内であれば、比Md/Meが0.5以下になる。これに対して、隙間が0.2mmの場合には電極マウントサブコイルのコイルピッチが135〜300%の範囲内であっても比Md/Meが0.5以下にならない。この事実に基づいて実際上の効果を奏する幅を考慮すると、隙間Capが0.07≦Cap≦0.17であれば、135≦P≦300%の範囲内であれば、比Md/Meが0.5以下になる。
【0080】
なお、図4を作成した際の測定データを3000時間点当時の侵食深さとともに表2に示す。
【0081】
表2
隙間Cap B/V コイルピッチ Md/Me 侵食深さ
(mm) (%) (μm)
0.1 1.4 105 0.9 200
0.1 1 150 0.3 25
0.1 0.9 200 0.25 15
0.2 1.2 105 1 250
0.2 1.2 150 1 210
0.2 1.2 200 0.9 190

図5は、実施例と同様の仕様で希土類金属ハロゲン化物合比率(質量%)が異なる高圧放電ランプにおける希土類金属ハロゲン化物比率(質量%)と比Md/Meとの関係を小径筒部の内面と電極マウントの外径の間の隙間Capをパラメータとして示す参考図である。なお、図において、測定点◆を結ぶグラフは隙間Capが0.1mmの場合、測定点■を結ぶグラフは隙間Capが0.2mmの場合である。
【0082】
図5から理解できるように、希土類金属ハロゲン化物比率M(質量%)が減少するにしたがって、比Md/Meも減少する傾向であることが分かる。さらに、小径筒部の内面と電極マウントの外径の間の隙間が0.1mmの場合に、隙間が0.2mmの場合に比べて、希土類金属ハロゲン化物比率M(%)に対する比Md/Meの依存傾向が強いことが分かる。特に、希土類金属ハロゲン化物比率M(質量%)が20〜50質量%で、隙間が0.1mmのときに希土類金属ハロゲン化物比率M(質量%)と比Md/Meとの相関関係が顕著となる。つまり、希土類金属ハロゲン化物比率M(%)が20≦M≦50の範囲内であれば、コイルピッチまたは比B/Vを所定の範囲内に設定することで、比Md/Meを確実に0.5以下にすることができる。
【0083】
なお、図5を作成した際の測定データを3000時間点当時の侵食深さとともに表3に示す。表3において、比Md/Meが0.7を超えると侵食深さが130μmを超えるためクラックが発生する確率が高くなる。
【0084】
表3
隙間Cap 希土類比率 コイルピッチ Md/Me 侵食深さ
(mm) (%) (%) (μm)
0.1 35 105 0.6 40
0.1 45 105 0.7 130
0.1 75 105 0.9 200
0.1 89 105 0.92 230
0.2 35 105 0.9 170
0.2 45 105 0.9 180
0.2 75 105 0.92 200
0.2 89 105 0.92 230

【符号の説明】
【0085】
1…透光性セラミックス気密容器、1a…包囲部、1b…小径筒部、1c…放電空間、2…電極、2a…電極軸部、2b…電極先端部、2c…電極マウントサブコイル、3…電流導入導体、3a…封着性部分、3b…耐ハロゲン性部分、4…シール部、IT…発光管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電空間が形成されている包囲部および包囲部に連通する一対の小径筒部を備えた透光性セラミックス気密容器と;
透光性セラミックス気密容器の小径筒部内に気密に挿通された電流導入導体と;
透光性セラミックス気密容器の小径筒部内において電流導入導体に支持されて先端が包囲部内に臨む電極と;
透光性セラミックス気密容器内に封入された25℃換算で0.1〜10気圧の希ガス、少なくとも希土類金属のハロゲン化物を含む主として発光に寄与する金属の第1のハロゲン化物および主としてランプ電圧形成に寄与する金属の第2のハロゲン化物を備え、水銀を本質的に含まないたイオン化媒体と;
を具備し、透光性セラミックス気密容器の小径筒部内の長さをLとし、消灯時に放電空間側の0.35Lの領域に付着している第1および第2のハロゲン化物の小径筒部の軸方向単位長さ当たりの平均重量をMdとし、小径筒部内の残余の領域に付着している上記ハロゲン化物の前記小径筒部の軸方向単位長さ当たりの平均重量をMeとしたとき、比Md/Meが0.5以下であることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
一方の小径筒部側において、少なくとも電極および電流導入導体を含む電極構体が小径筒部内に挿通されていて、電極構体の外径と小径筒部の内径との間に形成される隙間が0.06〜0.17mmであり、かつ隙間の体積をV(mm)、透光性セラミックス気密容器内に封入された第1のハロゲン化物の重量をB(mg)としたとき、比B/Vが0.5<B/V<2.0を満足することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
小径筒部内に位置する少なくとも電極軸部の外周面に沿って巻装された電極マウントサブコイルを備えた電極構体を備えているとともに、電極マウントサブコイルのピッチをP(%)としたとき、ピッチPが135≦P≦300を満足することを特徴とする請求項1または2記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
イオン化媒体は、金属ハロゲン化物中の希土類金属がツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)の少なくとも1種を含んでいることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175830(P2011−175830A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38493(P2010−38493)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】