説明

高強度耐食耐摩耗性部材及びその製造方法

【目的】複合材からなるライニング層60を基材10表面の所望箇所に部分的に被覆することにより基材選択の幅を広げ、また物性調整用金属粒子をライニング層60に添加することによりライニング層60の物性を自由に調整し、ライニング層60と基材10の組合せを多様化し、かつその組合せた部材の強度を向上させることができる高強度耐食耐摩耗部材及びその製法を提供する。
【構成】基材10の耐摩耗性を要する部分にのみ、炭化物、硼化物、窒化物及びそれらの混合物から選択された硬質粒子と、物性調整用金属粒子と、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金及びこれらの混合物から選択されたマトリックス金属とを含有する耐摩耗性複合材からなるライニング層60を形成する高強度耐食耐摩耗性部材及びその製法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、機械部材等に耐食耐摩耗性材料を被覆する方法に係り、特に耐食材料からなる基材に耐摩耗性を与えた高強度耐食耐摩耗性部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】機械部材に耐食耐摩耗性材料を被覆する従来技術として、基材全面に有機バインダ等を用いて硬質粒子を固定し、固定された硬質粒子にマトリックス金属を接触するように配置し、ついで、加熱して硬質粒子にマトリックス金属を溶融浸透させることにより耐摩耗性複合材からなるライニング層を被覆形成する方法が知られている。
【0003】例えば本出願人の出願に係る特開昭63−50402号は、炭化物または硼化物の粉末に有機バインダを混練して基材に被覆し、得られた被覆層を機械加工した後焼結炉内に入れ、ここで前記被覆層の有機バインダを加熱して除去すると共に、前記被覆層に溶融した金属バインダ(マトリックス金属)を浸透させかつ基材と接合せしめる耐摩耗性材料の被覆方法を開示している。また、本出願人の出願に係る特開昭60−89503号、特開昭60−89504号は、同様の方法を開示している。これらの方法では、溶融マトリックス金属は硬質粒子中に浸透して、複合材からなるライニング層を形成すると共に基材材料と拡散接合する。しかし、上述の従来の構造及びその方法は以下の問題点を有する。
【0004】(1) 上記従来の構造を例えばプラスチック成形機用スクリューに適用した場合、基材が直接駆動軸からのトルクを受けることとなり、キー溝の角部から破壊しやすい問題がある。
【0005】(2) 焼結にて基材全面に複合材からなるライニング層を被覆形成するため、基材と複合材からなるライニング層との線膨張率が離れているとクラックが生じるため、両者の線膨脹率が近似している必要がある。しかし、複合材からなるライニング層の線膨張率は7×10-6〜8×10-6程度と小さく、これに対応する線膨張率を有する基材を使用しなければならず、基材の材料が制限される。
【0006】(3) 複合材からなるライニング層は、線膨脹率の違いから特定の組成に制限され、複合材からなるライニング層自体の機械的性質の向上が難しく、さらに基材の材質も制限されているので、基材に複合材からなるライニング層を被覆した部材の強度向上も困難になる。
【0007】(4) 複合材からなるライニング層を基材全面に被覆するため、耐摩耗性が不必要な部分(例えばねじ谷)のライニング層が余分なコストとして製品に負荷される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来は基材が直接トルクを受ける構造なので、その箇所が破壊しやすい。
【0009】また、従来方法は複合材からなるライニング層を全面に被覆するため接触面積が大きく、線膨脹率の違いから基材の材質が制限され、また複合材からなるライニング層の物性が硬質粒子とマトリックス金属の種類により決まるため、複合材からなるライニング層自体、更に複合材からなるライニング層と基材を組合せた強度に限界があった。本発明部材は、トルクを受ける箇所の破壊を防止することができる高強度耐食耐摩耗部材を提供することにある。
【0010】また本発明方法は、複合材からなるライニング層を耐摩耗性を必要とする箇所に部分的に被覆することにより基材選択の幅を広げ、また複合材からなるライニング層に物性調整粒子を添加することにより複合材からなるライニング層の物性を自由に調整し、複合材からなるライニング層と基材の組合せを多様化し、かつその組合せた部材の強度を向上させることができる高強度耐食耐摩耗部材の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明部材は、Co基合金、Ni基合金、及びFe基合金の群から選択された少なくとも1種類の合金からなる高強度耐食性基材と、この基材の内側に設けられた延性部材と、前記高強度耐食性基材の外側に部分的に設けられた耐摩耗性複合材からなるライニング層とを備えた高強度耐食耐摩耗性部材である。
【0012】また、本発明方法は、Co基合金、Ni基合金、及びFe基合金の群から選択された少なくとも1種類の合金の内側に延性部材を有する高強度耐食性基材の外側に部分的に耐摩耗性複合材からなるライニング層を設けた高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法において、基材の耐摩耗性を要する部分にのみ、炭化物、硼化物、窒化物及びそれらの混合物の群から選択された硬質粒子と、必要に添加した物性調整用金属粒子と、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金及びこれらの混合物の群から選択されたマトリックス金属とを含有する耐摩耗性複合材からなるライニング層を形成する高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法である。
【0013】さらに本発明は、基材の耐摩耗性を要する部分にのみ、前記硬質粒子と、必要に添加した前記物性調整用金属粒子との混合物からなる層を設けた後、前記混合物の層に前記マトリックス金属を加熱浸透せしめてライニング層を形成する高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法である。
【0014】
【作用】本発明部材は、ニーディングディスクやスクリューエレメントなど高強度耐食耐摩耗性を必要とする機械部材に適用される。例えばプラスチック成形機用スクリューエレメントに適用した場合、基材には、樹脂混練、移送により摩耗が起り、大きな曲げ応力がかかる。従って、この基材の好適な材質は、曲げ強度が130 kgf/mm2 、硬度HR Cが40以上で耐食性のある合金である。この材質として、例えば、Cr25.0〜30.0重量%、W4.0〜14.0重量%、C0.6〜2.8重量%、Fe3.0重量%以下、Ni:0.6〜2.0重量%、Si:0.8〜1.5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなるCo基合金が挙げられる。このCo基合金の各成分を限定したのは、この成分範囲のCo基合金は、ライニング層を越える耐食性があり(ライニング層の約1.5倍の耐食性)、硬度HR C50を保つため、優れた耐摩耗性、剛性を有し、この結果、ライニング層の変形を抑え、圧壊強度を上げ、耐欠け性を増すためである。
【0015】延性部材は、この箇所で駆動軸からのトルクを受けるため、好適な延性部材は、1.0 kgf m/cm2 以上のシャルピー衝撃値を持つステンレス鋼又は構造用鋼等の鋼材である。これらの鋼の場合、キー溝加工が容易となる。
【0016】ライニング層は、バレルとの金属接触及び樹脂との摩耗で激しく摩耗するので、高耐摩耗性、耐食性を必要とする。好適なライニング層の組成は、炭化タングステン粒子を20〜70重量%含有するNi系サーメットである。Ni系サーメットとは、サーメットの金属成分が、ニッケル又はニッケル合金で、ニッケル合金として、BNi−1、BNi−2、BNi−3などが挙げられる。
【0017】この組成で、炭化タングステン粒子の含有範囲を20〜70重量%とした理由は、70%を越えると、ライニング層が脆くなり、また製造が困難であり、また20%未満では耐摩耗性が低下するためである。この構造の高強度耐食耐摩耗性部材は、駆動軸からのトルクを受ける箇所に延性部材を設けてあるので、キー溝の角部からの破壊を防止することができる。
【0018】本発明方法は、耐摩耗性を必要とする箇所にのみ複合材からなるライニング層を部分的に被覆することにより、ライニング層と基材との線膨脹率の違いをあまり考慮する必要がなくなり、基材選択の幅を広げる。またライニング層に物性調整粒子を添加することにより、ライニング層の物性を任意に調整し、複合材からなるライニング層と基材の組合せを多様化し、かつその組合せた部材の強度を向上させる。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。これらの実施例で対象とする高強度耐食耐摩耗性部材は、図1に示すニーディングディスク100および図2に示すスクリュ200で、図1中耐摩耗性を必要とする箇所はライニング層30が設けられてある。図1中、10は基材、20は延性部材である。図2中、11は基材、21は延性部材である。31はライニング層である。
実施例1(スプレー法によるニーディングディスクの製造)
【0020】有機バインダとしてアクリル系樹脂を、有機溶剤としてメチルエチルケトン、硬質粒子としてWC、マトリックス金属としてNi基合金粒子、基材としてステライト#12(成分:C:1.5重量%、Si:1.3重量%、Ni:0.8重量%、Cr:28.3重量%、W:8.2重量%、Fe:0.4重量%、Co:残部、曲げ強度:320 kgf/mm2 、硬度HR 50)を使用した。平均粒径10μm のWCを100重量部とし、アクリル系樹脂を1重量部、メチルエチルケトンを14重量部の混合比としてスラリを作った。
【0021】ニーディングディスク基材10は、その内面にステンレス鋼(シャルピー衝撃値:20 kgf m/cm2 )からなる延性部材20が被覆形成され、基材10の外面のうち、耐摩耗性を必要とする箇所、すなわちライニング層を形成する箇所10aを予じめ仕上り寸法よりもマイナス側の寸法に加工しておいた(図3のA参照)。次に、先に混練したスラリ30aを塗装用スプレー装置(図示せず)を用いてニーディングディスク基材10の前記箇所10aに被覆した(図3のB参照)。この被覆されたWC成形体30をフライス盤により加工して、その厚さを所定の厚さ(例えば5mm以下)とした(図3のC参照)。基材10の外面に部分的に存在するWC成形体30の近傍および表面にマトリックス金属となるNi基合金粒子40を粒子のまま、アクリル樹脂と混練した状態、若しくはシート状にして接触配置し、これを真空炉50中に入れた(図3のD参照)。次いでこれを表1の焼結条件にて焼結し、仕上加工をおこなって、耐摩耗性複合材からなるライニング層60(WC60%+Ni40%)を形成した(図3のE参照)。
【0022】WCとNi基合金の複合材からなるライニング層60は、線膨張率が7×10-6/℃〜8×10-6/℃、他方、基材10のステライト#12は14×10-6/℃である。この線膨脹率の差は、従来法により全面に複合材からなるライニング層を付けることは困難であるが、上記実施例により部分的に付けることは可能である。さらに、硬度HR C50のステライト#12でバックアップして、基材と組合せた複合材からなるライニング層の圧壊強度が一段と強化された。その結果を表2の試料No.4に示す。
【0023】また、WCの代りにWC39重量部と物性調整用金属粉末であるSUS41021重量部との混合粉末をもちいた点を除き上記実施例1と同様にしてライニング層(WC39%+SUS41021%+Ni40%)を被覆形成して高強度耐食耐摩耗性のニーディングディスクを製造した。その圧壊強度の実験結果を表2のNo.5に示す。
実施例2(スプレー法によるスクリュエレメントの製造)
【0024】有機バインダとしてアクリル系樹脂を、有機溶剤としてメチルエチルケトン、硬質粒子としてWC、マトリックス金属としてNi基合金粒子、基材として内側に延性部材を有するステライト#12を使用した。平均粒径10μm のWCを100重量部とし、アクリル系樹脂を1重量部、メチルエチルケトンを14重量部の混合比としてスラリを作った。
【0025】スクリュエレメント基材11は、その内面にステンレス鋼(実施例1と同材質)からなる延性部材21が被覆形成され、基材11の外面のうち、ライニング層を形成した箇所11aを予じめ仕上り寸法よりもマイナス側の寸法に加工しておいた。次に、先に混練したスラリ31aを塗装用スプレー装置(図示せず)を用いてスクリュエレメント基材11の所定の箇所11aに被覆した(図4のA参照)。この被覆されたWC成形体31をフライス盤により加工して、その厚さを所定の厚さ(例えば5mm以下)とした(図4のB参照)。この部分的に存在するWC成形体31の近傍および表面にマトリックス金属となるNi基合金粒子41を粒子のまま、アクリル樹脂と混練した状態、若しくはシート状にして接触配置し、真空炉51中に入れる(図4のC参照)。これを表1の焼結条件にて焼結し、仕上加工をおこなって、耐摩耗性複合材からなるライニング層61を形成した(図4のD参照)。
【0026】WCとNi基合金の複合材(WC60%+Ni40%)からなるライニング層は、線膨張率が7×10-6/℃〜8×10-6/℃、ステライト#12は14×10-6/℃であり、従来法により全面に複合材からなるライニング層を付けることは困難であるが、この実施例で部分的に付けることは可能であり、硬度HR C50のステラトでバックアップして、基材と組合せた複合材からなるライニング層61の強度が一段と強化された。
実施例3(CIP法によるニーディングディスクの製造)
【0027】内面にステンレス鋼からなる延性部材20を被覆形成した基材10(実施例1と同材質)を用意した(図5のA参照)。複合材からなるライニング層の硬質粒子として平均粒径10μm のWC100重量部、有機バインダとしてアクリル樹脂3重量部、有機溶剤としてメチルエチルケトン7重量部を用い混合、混練、乾燥をして35〜120メッシュ(0.5〜0.125mm)に粉砕分級した。この造粒粉30bを基材外表面に充填し、周面をゴム円筒71で囲み、上下面を鉄製蓋72で囲み、これを静水圧装置70に入れ、ステライト#12の円筒状基材表面に1500 kgf/cm2 で冷間等方静水圧プレス(CIP)により層30´を被覆成形した(図5R>5のB乃至D参照)。これを所定厚さ(5mm以下)に加工してライニング層30を形成し(図5のE参照)、Ni基合金粒子40を接触するように配置し、真空炉50に挿入し(図5のF参照)、表1の条件で焼結した。これによりアクリル樹脂が400℃で分解蒸発し空隔に1100℃で溶融したNi基合金が浸透し複合材からなるライニング層60を形成しかつ基材10に拡散接合させ、ニーディングディスク形状に加工仕上げした。このことにより高強度耐食耐摩耗用ニーディングディスクが低コストで製造可能となった。
【0028】また、WCの代わりにWC39重量部と物性調整用金属粉末であるSUS410、21重量部との混合粉末をもちいた点を除き上記実施例3と同様にしてライニング層(WC39%+SUS41021%+Ni40%)を被覆形成して高強度耐食耐摩耗性のニーディングディスク製造した。
実施例4(CIP法によるスクリュエレメントの製造)
【0029】内面にステンレス鋼からなる延性部材21を被覆形成した基材11(実施例1と同材質)を用意した(図6のA参照)。複合材からなるライニング層の硬質粒子として平均粒径10μm のWC100重量部、有機バインダとしてアクリル樹脂3重量部、有機溶剤としてメチルエチルケトン7重量部を用い混合、混練、乾燥をして35〜120メッシュ(0.5〜0.125mm)に粉砕分級した。この造粒粉を静水圧装置70を用いてステライト#12の円筒状基材表面に1500kgf /cm2 で冷間等方静水圧プレス(CIP)により成形した(図6のB乃至D参照)。これを所定厚さ(5mm以下)に加工し(図6のE参照)、Ni基合金粒子を接触するように配置し、真空炉80に挿入し(図6のF参照)、表1の条件で焼結した。これによりアクリル樹脂が400℃で分解蒸発し空隔に1100℃で溶融したNi基合金が浸透し複合材からなるライニング層61を形成しかつ基材11に拡散接合させ、スクリュエレメント形状に加工仕上げすることにより高強度耐食耐摩耗用スクリュエレメントが低コストで製造可能となった。
比較例1(従来のスプレー法によるニーディングディスクの製造)
【0030】基材10をSUS420J2とし、その外面全面にライニング層を形成した点を除き、実施例1と同様にしてニーディングディスクを製造した。その圧壊強度の実験結果を表2のNo.1に示す。
比較例2(従来のスプレー法によるニーディングディスクの製造)
【0031】基材10をSUS420J2とし、その外面全面にライニング層を形成した点、およびライニング層をWC:39%、SUS410:21%、Ni:40%とした点をを除き、実施例1と同様にしてニーディングディスクを製造した。その圧壊強度の実験結果を表2のNo.2に示す。
比較例3(従来のスプレー法によるニーディングディスクの製造)
【0032】基材10を冷間工具鋼とし、その外面全面にライニング層を形成した点を除き、実施例1と同様にしてニーディングディスクを製造した。その結果を表2のNo.3に示す。
【0033】以上の実施例および比較例から明らかなように、本発明によれば、高硬度耐食材によるスクリュエレメントの一部分に高強度耐食耐摩耗材を焼結により拡散接合し、三層構造の耐食耐摩耗部材を高強度にかつ低コストで製作することができることが確認された。また材料の組合せ幅が広がることも確認された。
【0034】
【発明の効果】本発明の高強度耐食耐摩耗性部材によれば、駆動軸からのトルクを受ける箇所などに延性部材を設けているので、キー溝の角部からの破壊を防止することができる。
【0035】また、本発明方法は、複合材からなるライニング層を部分的に接合することにより、線膨張率に関する基材の制約が除かれ、基材とライニング層との線膨脹率の違う材質のものを利用することができる。従って、高強度材およびそれらの複合材を使うことで複合材からなるライニング層をバックアップし、基材と複合材からなるライニング層を組合せたら強度、特に圧壊強度が向上し、しかもコスト低減される。
【0036】さらに複合材からなるライニング層中に物性調整粒子を添加すれば線膨張率を調整して大きくすることができ、かつ硬質粒子を少なくすることができる結果、線膨張率の大きな基材も用いることができ複合材からなるライニング層の機械的性質を一層向上させることができる。
【0037】また、高強度基材を使用する際、内径加工、キーミゾ加工を容易にするため、内径側に硬度の低い延性部材を組合せた複合材を用いることでコスト低減され、キーミゾからの破壊も防止できる。なお、本発明は、ニーディングディスクやスクリュエレメントに限らず、高強度耐食耐摩耗性を必要とする他の機械部材に適用することができる。
【0038】
【表1】


【0039】
【表2】


【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高強度耐食耐摩耗性部材を適用したニーディングディスクの説明図。
【図2】本発明に係る高強度耐食耐摩耗性部材を適用したスクリュエレメントの説明図。
【図3】本発明の実施例1の方法を説明する図。
【図4】本発明の実施例2の方法を説明する図。
【図5】本発明の実施例3の方法を説明する図。
【図6】本発明の実施例4の方法を説明する図。
【符号の説明】
10,11…基材、20,21…延性部材、30,31…ライニング層、40,41…Ni基合金粒子、50…真空炉、60,61…ライニング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 Co基合金、Ni基合金、及びFe基合金の群から選択された少なくとも1種類の合金からなる高強度耐食性基材と、この基材の内側に設けられた延性部材と、前記高強度耐食性基材の外側に部分的に設けられた耐摩耗性複合材からなるライニング層とを備えた高強度耐食耐摩耗性部材。
【請求項2】 高強度耐食性基材は、その組成が、Cr:25.0〜30.0重量%、W:4.0〜14.0重量%、C:0.6〜2.8重量%、Fe:3.0重量%以下、Ni:0.6〜2.0重量%、Si:0.8〜1.5重量%、残部Co及び不可避的不純物からなる請求項1に記載の高強度耐食耐摩耗性部材。
【請求項3】 延性部材は、1.0 kgf m/cm2 以上の衝撃値を持つ鋼材である請求項1に記載の高強度耐食耐摩耗性部材。
【請求項4】 ライニング層は、炭化タングステン粒子を20〜70重量%含有するNi系サーメットである請求項1に記載の高強度耐食耐摩耗性部材。
【請求項5】 Co基合金、Ni基合金、及びFe基合金の群から選択された少なくとも1種類の合金の内側に延性部材を有する高強度耐食性基材の外側に、部分的に耐摩耗性複合材からなるライニング層を設けた高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法において、基材の耐摩耗性を要する部分にのみ、炭化物、硼化物、窒化物及びそれらの混合物の群から選択された硬質粒子と、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金及びこれらの混合物の群から選択されたマトリックス金属とを含有する耐摩耗性複合材からなるライニング層を形成する高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法。
【請求項6】 基材の耐摩耗性を必要とする部分にのみ、前記硬質粒子からなる層を設けた後、この層に前記マトリックス金属を加熱浸透せしめてライニング層を形成する請求項5の高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法。
【請求項7】 Co基合金、Ni基合金、及びFe基合金の群から選択された少なくとも1種類の合金の内側に延性部材を有する高強度耐食性基材の外側に、部分的に耐摩耗性複合材からなるライニング層を設けた高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法において、基材の耐摩耗性を必要とする部分にのみ、炭化物、硼化物、窒化物及びそれらの混合物の群から選択された1種以上の硬質粒子と、物性調整用金属粒子と、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金及びこれらの混合物の群から選択されたマトリックス金属とを含有する耐摩耗性複合材からなるライニング層を形成する高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法。
【請求項8】 基材の耐摩耗性を必要とする部分にのみ、前記硬質粒子と、前記物性調整用金属粒子との混合物からなる層を設けた後、前記混合物の層に前記マトリックス金属を加熱浸透せしめてライニング層を形成する請求項7の高強度耐食耐摩耗性部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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