高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱
【課題】工程を著しく簡略化できる高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱を提供すること。
【解決手段】アンカーにより固定された高欄支柱の付け替え方法であって、(a)基礎部に埋設されている既設アンカーから既設高欄支柱を取り外す取外工程と、(b)前記基礎部に残された既設アンカーの外側に、新規アンカーを埋設するためのアンカー埋設孔を穿孔する穿孔工程と、(c)前記アンカー埋設孔に新規アンカーを埋設する行程と、(d)前記基礎部に立設状態で残された既設アンカーをそのままに、前記基礎部に立設した前記新規アンカーを座部に設けたアンカー挿通孔に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程と、を有することとした。
【解決手段】アンカーにより固定された高欄支柱の付け替え方法であって、(a)基礎部に埋設されている既設アンカーから既設高欄支柱を取り外す取外工程と、(b)前記基礎部に残された既設アンカーの外側に、新規アンカーを埋設するためのアンカー埋設孔を穿孔する穿孔工程と、(c)前記アンカー埋設孔に新規アンカーを埋設する行程と、(d)前記基礎部に立設状態で残された既設アンカーをそのままに、前記基礎部に立設した前記新規アンカーを座部に設けたアンカー挿通孔に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程と、を有することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱に関し、詳しくは、既設の高欄支柱を付け替える際に、既設の高欄支柱を固定していたアンカーボルトを残したまま、容易に付け替えが可能な方法、それに用いる欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車道や橋梁などの路肩に設けられている高欄は、図15に示すように、高欄支柱101に横材110を連結保持させた構成であり、高欄支柱101の座部103が基礎部200に埋設されるアンカーボルトとナットとからなる締結部材300によって締結されて固設されている構成が一般的である。
【0003】
他方、高欄は老朽化したり、交通事故などで破損が生じたりすれば付け替えが必要となる。高欄の付け替えには既設アンカーの露出部分を切断した後にモルタル等によって修復し、その位置とは離れた位置に新たに高欄を立設することも考えられるが、残された既設アンカーの修復個所で全体の美観を損なったり、高欄の位置がずれることによって様々な設計変更が余儀なくされる場合があったりするため採用し難い面がある。
【0004】
そこで、基礎部に埋設されたアンカーより既設の高欄支柱を取外す工程と、基礎部より露出するアンカーボルトと基礎部との境界線上を切断して基礎部内に残置されるアンカー上端面をモルタルにより覆設する工程と、前記残置されたアンカーの周囲にアンカー埋設孔を穿孔する工程と、前記基礎部上に立設するアンカーに挿通可能なアンカー挿通用長孔を有する新規高欄支柱を締結固定して高欄支柱を取り付ける工程を有する高欄支柱の付け替え方法が提案された(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
かかる工法を実際に行う場合、図16に示すように、以下の(a)〜(i)の作業が必要となる。
【0006】
(a)既設高欄の撤去(図16(a))
(b)既設アンカーの周辺のけがき(図16(b))
(c)既設アンカーの周辺のはつり(図16(c))
(d)周辺の清掃(図16(d))
(e)既設アンカーの切断(図16(e))
(f)新規アンカー用の穿孔(図16(f))
(g)既設アンカー周辺のモルタルによる埋め戻し(図16(g))
(h)新規アンカーの埋設(図16(h))
(i)新規高欄支柱の設置(図16(i))
なお、図中、符号102は新規高欄支柱、符号301は既設アンカーボルト、符号310は新規アンカーボルト、符号400はけがき針、符号410は掘削機、符号411はコンクリート片、符号420は清掃具、符号430はガス切断機、符号440はこて、符号500は新規アンカー埋設孔を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−234515号公報
【特許文献2】特開2008−223332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の工法による高欄の付け替え作業は煩雑であり、時間もかかる作業となっている。そのため、施工業者などからは、見栄えを損なわないことは勿論のこと、より簡便に高欄を付け替える方法などが望まれている。
【0009】
本発明は、施工現場の要望に沿って、より工程を簡略しながらも見栄えを損なうことのない高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明では、アンカーにより固定された高欄支柱の付け替え方法であって、基礎部に埋設されている既設アンカーから既設高欄支柱を取り外す取外工程と、前記基礎部に残された既設アンカーの外側に、新規アンカーを埋設するためのアンカー埋設孔を穿孔する穿孔工程と、前記アンカー埋設孔に新規アンカーを埋設する行程と、前記基礎部に立設状態で残された既設アンカーをそのままに、前記基礎部に立設した前記新規アンカーを座部に設けたアンカー挿通孔に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程と、を有することとした。
【0011】
(2)本発明は、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、前記新規高欄支柱は、座部を兼ねるスペーサと、このスペーサ上に連結固定される支柱本体とを具備し、前記スペーサは、ボックス部とこのボックス部の左右下端から略水平に伸延する鍔部とを備えており、前記取付工程では、前記スペーサのボックス部内に前記既設アンカーを収容するとともに、前記鍔部に形成した前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする。
【0012】
(3)本発明は、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、前記新規高欄支柱の下部には座部が形成され、この座部には、前記既設アンカーを挿通する既設アンカー通過孔と、この既設アンカー通過孔の外側に位置する前記アンカー挿通孔とが設けられており、前記取付工程では、前記座部の既設アンカー通過孔に前記既設アンカーを挿通するとともに、前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする。
【0013】
(4)本発明では、アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱を新規の高欄支柱に付け替える際に、前記基礎部と前記新規の高欄支柱との間に介設する高欄支柱付替用スペーサであって、既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを収容可能な空間を有するボックス部と、このボックス部の左右下端から略水平に伸延するとともに、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が形成されている鍔部と、を備えていることとした。
【0014】
(5)本発明では、アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱の支柱本体下部に連接された座部に、既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを挿通する既設アンカー通過孔が設けられるとともに、この既設アンカー通過孔の外側には、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が設けられている高欄支柱とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、著しく工程を簡略化することができるため、人件費の削減及び工期短縮が実現でき、大幅なコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る高欄支柱付替用スペーサを用いた高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。
【図2】同高欄支柱付替用スペーサの斜視図である。
【図3】同平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】同高欄支柱付替用スペーサを用いた高欄支柱の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【図6】変形例に係る高欄支柱付替用スペーサを用いて付け替えられた高欄支柱の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。
【図8】同高欄支柱の正面図である。
【図9】同平面図である。
【図10】図8のA−A断面図である。
【図11】図9のB−B断面図である。
【図12】他の実施形態に係る高欄支柱の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【図13】他の実施形態の変形例に係る高欄支柱の断面視による説明図である。
【図14】同変形例に係る高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。
【図15】一般的な高欄支柱の説明図である。
【図16】従来の高欄支柱の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る高欄支柱の付け替え方法の一実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、高欄支柱付替用スペーサ(以下、単に「スペーサ」という場合がある)2を用いた高欄支柱1の付け替え状態を示す説明図である。図示するように、本実施形態に係る高欄支柱1は、それぞれ横材(図示せず)を保持する2つの凹部11,11が形成されたウェブ10aとウェブ10aの背面に形成されたリブ10bとを有する支柱本体10と、設置面に当接する座部を兼ねるスペーサ2とから構成されている。
【0018】
また、本実施形態に係る高欄支柱1は、車道3などの路肩部分に段状に形成されたコンクリート躯体からなる基礎部31上に既設高欄支柱から付け替えられたものであり、基礎部31の上に前記スペーサ2を介して立設されている。
【0019】
図示するように、基礎部31上には、既設高欄支柱100(図5参照)の既設アンカー、すなわち、既設高欄支柱固定用のアンカーである旧アンカーボルト4が複数本(ここでは4本)露出したまま残されており、これら4本の旧アンカーボルト4からなる旧アンカー群40の外側に新規アンカーである新設アンカーボルト5が立設されている。
【0020】
ここでは、基礎部31にその大半が埋設されて上端側が突出した状態で残された旧アンカー群40に対し、車道3の延在方向に所定距離だけ離して新設アンカーボルト5を立設するとともに、ハット状に形成したスペーサ2により、基礎部31に残された旧アンカーボルト4を全て覆い隠している。そして、かかる状態で、新設アンカーボルト5を、スペーサ2に設けたアンカー挿通孔であるアンカーボルト挿通用長孔24に挿通し、挿通した新設アンカーボルト5をナット6で締結して連結固定している。
【0021】
なお、支柱本体10と当該支柱本体10の座部を兼用するスペーサ2とは、図示するように、スペーサ2側に固着された連結ボルト21とナット60とからなる締結部材により連結固定される。図中、符号12は、スペーサ2の連結ボルト21を挿通するために支柱本体10の下面に形成された連結ボルト挿通用長孔、符号61は座金である。
【0022】
ここで、スペーサ2の構成について、図2〜4を参照しながら説明する。図2はスペーサ2の斜視図、図3は同平面図、図4は図3のA−A断面図である。図示するように、スペーサ2は、支柱本体10同様に鋳物合金製であり、略ハット状に形成されている。すなわち、内部にボルト収容空間20を有し、上面に支柱本体10を連結するための連結ボルト21を突設した略直方体のボックス部22と、このボックス部22の左右下端から略水平に伸延する鍔部23とを備えている。
【0023】
そして、左右の鍔部23それぞれにアンカーボルト挿通用長孔24が前後一対ずつ形成されている。本実施形態に係るスペーサ2のアンカーボルト挿通用長孔24は、鍔部23の伸延方向に沿った長孔であり、その幅や長さを含む大きさは新設アンカーボルト5のボルト径やそれを打ち込む個所と旧アンカーボルト4との距離などを勘案して設定する。
【0024】
ここで、上述したスペーサ2を用いた高欄支柱の付け替え方法について、図5を参照しながら説明する。図5(a)〜図5(d)はスペーサ2を用いた既設高欄支柱100の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【0025】
図示するように、本実施形態に係る付け替え方法では、以下の工程を有する。
(イ)基礎部31に埋設されている旧アンカーボルト4から既設高欄支柱100を取り外す取外工程(図5(a))
(ロ)前記基礎部31に残された旧アンカーボルト4の外側に、新設アンカーボルト5を埋設するためのアンカー埋設孔32を穿孔する穿孔工程(図5(b))
(ハ)前記アンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設する埋設行程(図5(c))
(ニ)基礎部31に立設状態で残された旧アンカーボルト4をそのままに、基礎部31に立設した新設アンカーボルト5を座部となるスペーサ2に設けたアンカーボルト挿通用長孔24に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程(図5(d))
なお、図5中、符号7はドリルなどの掘削機を示す。
【0026】
すなわち、(イ)の取外工程では、旧アンカーボルト4とナット(図示せず)との締結を解除することで既設高欄支柱100を取り外すことができる。なお、錆などによってナットを取り外せない場合は、ガス切断機などを用いてナットの下方位置で適宜切断しても構わない。その場合も、従来のように、旧アンカーボルト4を基礎部31と略面一状態になるように注意深く切断する必要は全くない。このように、旧アンカーボルト4をそのまま残すことにしているため、旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も特に必要はないが、ここでは、塗装などによる防食対策を施すようにしている。
【0027】
(ロ)の穿孔工程では、基礎部31から少なくとも上端部分が突出している旧アンカーボルト4の外側に所定距離だけ離隔した位置に、新たに4つのアンカー埋設孔32を穿孔する。アンカー埋設孔32の穿孔位置とスペーサ2に設けたアンカーボルト挿通用長孔24の位置とは当然対応することになる。なお、この穿孔工程では、図5(b)に示すように、ドリルなどの掘削機7を用いるとよい。
【0028】
次に、(ハ)の埋設行程では、基礎部31に新たに穿孔したアンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設するのであるが、ここでは、アンカー埋設孔32に樹脂硬化剤を入れ、新設アンカーボルト5を所定の工具などで前記樹脂硬化剤の上から埋め込んでいく。なお、樹脂硬化剤としては、周知のカプセルタイプのものを好適に用いることができる。
【0029】
(ニ)の取付工程では、スペーサ2のボックス部22内に旧アンカーボルト4を収容するとともに、鍔部23に形成したアンカーボルト挿通用長孔24に新設アンカーボルト5を挿通し、この新設アンカーボルト5にナット6を螺合してスペーサ2共々、支柱本体1を連結固定する。こうして、高欄支柱1がスペーサ2を介して基礎部31に設置することができる。
【0030】
このとき、スペーサ2と支柱本体10とを予め連結しておき、スペーサ2と支柱本体10とを一体として基礎部31に設置してもよいし、先ずスペーサ2を先に設置して、その後、スペーサ2上に支柱本体10を載置して両者を連結固定してもよい。
【0031】
このように、本実施形態によれば、高欄支柱1の位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。しかも、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となり、さらに、旧アンカーボルト4を覆い隠すことができるために見栄えを損なうことがない。こうして、本実施形態に係る高欄支柱の付け替え方法では、見栄えを損なうことなく著しく工程を簡略化することができ、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0032】
また、使用するスペーサ2は、きわめてシンプルな構成であって、製造コストも抑えることが可能となる。
【0033】
(変形例)
次に、図6を参照して第1の実施形態の変形例について説明する。図6は変形例に係る高欄支柱付替用スペーサ2Aを用いて付け替えられた高欄支柱の説明図である。なお、同じ構成要素に関しては同一の符号を付してその説明は省略する。
【0034】
図6に示すスペーサ2Aと図1〜図5で示した先のスペーサ2との違いは、先のスペーサ2がボックス部22の上面に予め連結ボルト21が突設されているのに対し、変形例に係るスペーサ2Aは、ボックス部22の上面に連結孔210のみが形成され、別途用意したボルト21Aで連結するようにしている。この場合、ボックス部22の内面側で連結孔210に対応するナット(図示せず)を溶接しておくか、あるいは、基礎部31へ設置する前に、予めスペーサ2Aと支柱本体とをボルト21Aで連結しておくとよい。
【0035】
また、スペーサ2Aとして、ボックス部22の上面には連結孔210も設けずに流通させることもできる。例えば、既設高欄支柱100と、新規の高欄支柱1Aとがメーカの違いなどで異なる規格で構成されていたとしても、スペーサ2Aを付け替え業者が後加工で対応させることも可能となる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、図7〜図12を参照しながら第2の実施形態に係る高欄支柱の付け替え方法と、これに好適な高欄支柱1Aについて説明する。図7は第2の実施形態に係る高欄支柱1Aの付け替え状態を示す説明図、図8は同高欄支柱の正面図、図9は同平面図、図10は図8のA−A断面図、図11は図9のB−B断面図である。なお、先の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明は省略する。
【0037】
本実施形態に係る高欄支柱1Aは鋳物合金製であり、図示するように、支柱本体10Aの下端に広幅座部2Aが一体形成されている。なお、本高欄支柱1Aは、3本の横材(図示せず)を連結するタイプであり、支柱本体10Aのウェブ10aには3つの凹部11が形成され、ウェブ10aの背面にはリブ10bが形成されている。
【0038】
ここでも、基礎部31上には、既設高欄支柱100(図13参照)の既設アンカーである旧アンカーボルト4が4本露出したまま残されており、これら4本の旧アンカーボルト4からなる旧アンカー群40の外側に新規アンカーである新設アンカーボルト5が立設されている。
【0039】
広幅座部2Aは車道3の延在方向を長辺とする略矩形形状に形成されており、その中央に支柱本体10Aが立設されている。支柱本体10Aの左右側近傍には、ウェブ10aとリブ10bとの間に亘って既設アンカー通過孔25がそれぞれ形成されている。すなわち、既設アンカー通過孔25は、広幅座部2Aの短辺方向に伸延する長孔により形成されている。
【0040】
そして、この既設アンカー通過孔25の外側に、既設アンカー通過孔25と直交する方向に延在する長孔状のアンカーボルト挿通用長孔24が左右一対ずつ形成されている。このアンカーボルト挿通用長孔24は、広幅座部2Aの外側縁から既設アンカー通過孔25の外側縁までの長さの50〜75%の長さに形成されている。
【0041】
上述した高欄支柱1Aの付け替え方法について説明すると、図12に示すように、本実施形態に係る付け替え方法では以下の工程を有する。
(イ)基礎部31に埋設されている旧アンカーボルト4から既設高欄支柱100を取り外す取外工程(図12(a))
(ロ)前記基礎部31に残された旧アンカーボルト4の外側に、新設アンカーボルト5を埋設するためのアンカー埋設孔32を掘削機7などにより穿孔する穿孔工程(図5(b))
(ハ)前記アンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設する埋設行程(図5(c))
(ニ)基礎部31に立設状態で残された旧アンカーボルト4をそのままの状態で既設アンカー通過孔25に通すとともに、基礎部31に立設した新設アンカーボルト5を広幅座部2Aに設けたアンカーボルト挿通用長孔24に挿通して新規の高欄支柱1Aを取り付ける取付工程(図12(d))
なお、(イ)〜(ハ)の工程、すなわち、図12(a)〜図12(c)の工程は、先の実施形態における(イ)〜(ハ)の工程と同じである。
【0042】
このように、本実施形態における(ニ)の取付工程では、広幅座部2の既設アンカー通過孔25に旧アンカーボルト4を挿通させて逃がしてやりながら、アンカーボルト挿通用長孔24に新設アンカーボルト5を挿通し、この新設アンカーボルト5にナット6を螺合して高欄支柱1Aを連結固定している。
【0043】
すなわち、旧アンカーボルト4は、支柱本体10Aの両側に近接した状態で剥き出しになるが、ウェブ10aの陰になって目立つことはない。また、この場合は旧アンカーボルト4が剥き出し状態となるため、高欄支柱1Aを基礎部31に設定する前に、旧アンカーボルト4の露出部分には防錆処理などを施しておくことが好ましい。
【0044】
このように、本実施形態においても、高欄支柱1の位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。また、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。そのため、付け替え工程が簡略化され、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では、スペーサ2などを使用しないため、部品点数が削減できる分だけコスト削減が可能である。
【0046】
(変形例)
次に、図13を参照して第2の実施形態の変形例について説明する。図13は変形例に係る高欄支柱の断面視による説明図、図14は同変形例に係る高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。なお、この場合も同じ構成要素に関しては同一の符号を付してその説明は省略する。
【0047】
図13及び図14に示す高欄支柱1Bと図7〜図11で示した先の高欄支柱1Aとの違いは、先の高欄支柱1Aは、既設アンカー通過孔25に旧アンカーボルト4を挿通するだけなので、旧アンカーボルト4が剥き出し状態となっていたが、本高欄支柱1Bでは、広幅座部2Aには、既設アンカー通過孔25に代えて既設アンカー収容部26を形成している。
【0048】
既設アンカー収容部26は、下面開口部26aを有するドーム状としており、下面開口部26aから挿通された旧アンカーボルト4は、既設アンカー収容部26によって被覆された状態となり、外部に露出することがない。なお、この場合も、旧アンカーボルト4に防錆処理などを施すことが好ましい。
【0049】
上述してきた実施形態より、以下の高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱が実現される。
【0050】
(1)アンカー(アンカーボルトなど)により固定された高欄支柱の付け替え方法であって、基礎部31に埋設されている旧アンカーボルト4(既設アンカー)から既設高欄支柱100を取り外す取外工程と、基礎部31に残された旧アンカーボルト4の外側に、新設アンカーボルト5(新規アンカー)を埋設するためのアンカー埋設孔32を穿孔する穿孔工程と、アンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設する行程と、基礎部31に立設状態で残された旧アンカーボルト4をそのままに、基礎部31に立設した新設アンカーボルト5をスペーサ2や広幅座部2A(座部)に設けたアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)に挿通して新規の高欄支柱1,1A(新規高欄支柱)を取り付ける取付工程とを有する高欄支柱の付け替え方法。
【0051】
かかる方法によれば、高欄支柱1,1Aの位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。しかも、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。したがって、工程を簡略化することができ、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0052】
(2)また、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、新規の高欄支柱1は、座部を兼ねる高欄支柱付替用スペーサ2と、このスペーサ2上に連結固定される支柱本体10とを具備し、スペーサ2は、ボックス部22とこのボックス部22の左右下端から略水平に伸延する鍔部23とを備えており、前記取付工程では、スペーサ2のボックス部22内に旧アンカーボルト4(既設アンカー)を収容するとともに、鍔部23に形成したアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)に新設アンカーボルト5を挿通して固定する高欄支柱の付け替え方法。
【0053】
かかる方法によれば、旧アンカーボルト4を覆い隠すことができるために、さらに見栄えを損なうことがないという効果も生起される。
【0054】
(3)また、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、新規の高欄支柱1Aの下部には広幅座部2Aが形成され、この広幅座部2Aには、旧アンカーボルト4(既設アンカー)を挿通する既設アンカー通過孔25と、この既設アンカー通過孔25の外側に位置するアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)とが設けられており、前記取付工程では、広幅座部2Aの既設アンカー通過孔25に前記既設アンカーを挿通するとともに、前記アンカー挿通孔に旧アンカーボルト4を挿通して固定する高欄支柱の付け替え方法。
【0055】
かかる方法によれば、高欄支柱1Aの位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。しかも、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。したがって、工程を簡略化することができ、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0056】
(4)アンカー(アンカーボルトなど)により基礎部31に固定された既設高欄支柱100を新規の高欄支柱1に付け替える際に、基礎部31と新規の高欄支柱1との間に介設する高欄支柱付替用スペーサ2であって、既設高欄支柱100を取り外した後に立設状態で基礎部31に残されている旧アンカーボルト4(既設高欄支柱固定用のアンカー)を収容可能なボルト収容空間20を有するボックス部22と、このボックス部22の左右下端から略水平に伸延するとともに、新設アンカーボルト5(新規アンカー)を挿通するためのアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)が形成されている鍔部23とを備えている高欄支柱付替用スペーサ2。
【0057】
かかる構成はきわめてシンプルな構成であるため、製造コストも抑えることが可能となる。
【0058】
(5)アンカー(アンカーボルトなど)により基礎部31に固定された既設高欄支柱の支柱本体下部に連接された広幅座部2Aに、既設高欄支柱100を取り外した後に立設状態で前記基礎部31に残されている旧アンカーボルト4(既設高欄支柱固定用のアンカー)を挿通する既設アンカー通過孔25が設けられるとともに、この既設アンカー通過孔25の外側には、新設アンカーボルト5(新規アンカー)を挿通するためのアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)が設けられている高欄支柱とした。
【0059】
かかる構成によれば、既設高欄支柱100から新規の高欄支柱1Aに付け替える場合、設置位置を既設高欄支柱100とずらす必要がなく、設置条件などを新たに考慮する必要がない。また、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。そのため、付け替え工程が簡略化され、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,1A 高欄支柱
2 高欄支柱付替用スペーサ
2A 広幅座部
3 車道
4 旧アンカーボルト(既設アンカー)
5 新設アンカーボルト(新規アンカー)
20 ボルト収容空間
22 ボックス部
23 鍔部
24 アンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)
25 既設アンカー通過孔
31 基礎部
100 既設高欄支柱
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱に関し、詳しくは、既設の高欄支柱を付け替える際に、既設の高欄支柱を固定していたアンカーボルトを残したまま、容易に付け替えが可能な方法、それに用いる欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車道や橋梁などの路肩に設けられている高欄は、図15に示すように、高欄支柱101に横材110を連結保持させた構成であり、高欄支柱101の座部103が基礎部200に埋設されるアンカーボルトとナットとからなる締結部材300によって締結されて固設されている構成が一般的である。
【0003】
他方、高欄は老朽化したり、交通事故などで破損が生じたりすれば付け替えが必要となる。高欄の付け替えには既設アンカーの露出部分を切断した後にモルタル等によって修復し、その位置とは離れた位置に新たに高欄を立設することも考えられるが、残された既設アンカーの修復個所で全体の美観を損なったり、高欄の位置がずれることによって様々な設計変更が余儀なくされる場合があったりするため採用し難い面がある。
【0004】
そこで、基礎部に埋設されたアンカーより既設の高欄支柱を取外す工程と、基礎部より露出するアンカーボルトと基礎部との境界線上を切断して基礎部内に残置されるアンカー上端面をモルタルにより覆設する工程と、前記残置されたアンカーの周囲にアンカー埋設孔を穿孔する工程と、前記基礎部上に立設するアンカーに挿通可能なアンカー挿通用長孔を有する新規高欄支柱を締結固定して高欄支柱を取り付ける工程を有する高欄支柱の付け替え方法が提案された(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
かかる工法を実際に行う場合、図16に示すように、以下の(a)〜(i)の作業が必要となる。
【0006】
(a)既設高欄の撤去(図16(a))
(b)既設アンカーの周辺のけがき(図16(b))
(c)既設アンカーの周辺のはつり(図16(c))
(d)周辺の清掃(図16(d))
(e)既設アンカーの切断(図16(e))
(f)新規アンカー用の穿孔(図16(f))
(g)既設アンカー周辺のモルタルによる埋め戻し(図16(g))
(h)新規アンカーの埋設(図16(h))
(i)新規高欄支柱の設置(図16(i))
なお、図中、符号102は新規高欄支柱、符号301は既設アンカーボルト、符号310は新規アンカーボルト、符号400はけがき針、符号410は掘削機、符号411はコンクリート片、符号420は清掃具、符号430はガス切断機、符号440はこて、符号500は新規アンカー埋設孔を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−234515号公報
【特許文献2】特開2008−223332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の工法による高欄の付け替え作業は煩雑であり、時間もかかる作業となっている。そのため、施工業者などからは、見栄えを損なわないことは勿論のこと、より簡便に高欄を付け替える方法などが望まれている。
【0009】
本発明は、施工現場の要望に沿って、より工程を簡略しながらも見栄えを損なうことのない高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明では、アンカーにより固定された高欄支柱の付け替え方法であって、基礎部に埋設されている既設アンカーから既設高欄支柱を取り外す取外工程と、前記基礎部に残された既設アンカーの外側に、新規アンカーを埋設するためのアンカー埋設孔を穿孔する穿孔工程と、前記アンカー埋設孔に新規アンカーを埋設する行程と、前記基礎部に立設状態で残された既設アンカーをそのままに、前記基礎部に立設した前記新規アンカーを座部に設けたアンカー挿通孔に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程と、を有することとした。
【0011】
(2)本発明は、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、前記新規高欄支柱は、座部を兼ねるスペーサと、このスペーサ上に連結固定される支柱本体とを具備し、前記スペーサは、ボックス部とこのボックス部の左右下端から略水平に伸延する鍔部とを備えており、前記取付工程では、前記スペーサのボックス部内に前記既設アンカーを収容するとともに、前記鍔部に形成した前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする。
【0012】
(3)本発明は、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、前記新規高欄支柱の下部には座部が形成され、この座部には、前記既設アンカーを挿通する既設アンカー通過孔と、この既設アンカー通過孔の外側に位置する前記アンカー挿通孔とが設けられており、前記取付工程では、前記座部の既設アンカー通過孔に前記既設アンカーを挿通するとともに、前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする。
【0013】
(4)本発明では、アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱を新規の高欄支柱に付け替える際に、前記基礎部と前記新規の高欄支柱との間に介設する高欄支柱付替用スペーサであって、既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを収容可能な空間を有するボックス部と、このボックス部の左右下端から略水平に伸延するとともに、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が形成されている鍔部と、を備えていることとした。
【0014】
(5)本発明では、アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱の支柱本体下部に連接された座部に、既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを挿通する既設アンカー通過孔が設けられるとともに、この既設アンカー通過孔の外側には、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が設けられている高欄支柱とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、著しく工程を簡略化することができるため、人件費の削減及び工期短縮が実現でき、大幅なコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る高欄支柱付替用スペーサを用いた高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。
【図2】同高欄支柱付替用スペーサの斜視図である。
【図3】同平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】同高欄支柱付替用スペーサを用いた高欄支柱の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【図6】変形例に係る高欄支柱付替用スペーサを用いて付け替えられた高欄支柱の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。
【図8】同高欄支柱の正面図である。
【図9】同平面図である。
【図10】図8のA−A断面図である。
【図11】図9のB−B断面図である。
【図12】他の実施形態に係る高欄支柱の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【図13】他の実施形態の変形例に係る高欄支柱の断面視による説明図である。
【図14】同変形例に係る高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。
【図15】一般的な高欄支柱の説明図である。
【図16】従来の高欄支柱の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る高欄支柱の付け替え方法の一実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、高欄支柱付替用スペーサ(以下、単に「スペーサ」という場合がある)2を用いた高欄支柱1の付け替え状態を示す説明図である。図示するように、本実施形態に係る高欄支柱1は、それぞれ横材(図示せず)を保持する2つの凹部11,11が形成されたウェブ10aとウェブ10aの背面に形成されたリブ10bとを有する支柱本体10と、設置面に当接する座部を兼ねるスペーサ2とから構成されている。
【0018】
また、本実施形態に係る高欄支柱1は、車道3などの路肩部分に段状に形成されたコンクリート躯体からなる基礎部31上に既設高欄支柱から付け替えられたものであり、基礎部31の上に前記スペーサ2を介して立設されている。
【0019】
図示するように、基礎部31上には、既設高欄支柱100(図5参照)の既設アンカー、すなわち、既設高欄支柱固定用のアンカーである旧アンカーボルト4が複数本(ここでは4本)露出したまま残されており、これら4本の旧アンカーボルト4からなる旧アンカー群40の外側に新規アンカーである新設アンカーボルト5が立設されている。
【0020】
ここでは、基礎部31にその大半が埋設されて上端側が突出した状態で残された旧アンカー群40に対し、車道3の延在方向に所定距離だけ離して新設アンカーボルト5を立設するとともに、ハット状に形成したスペーサ2により、基礎部31に残された旧アンカーボルト4を全て覆い隠している。そして、かかる状態で、新設アンカーボルト5を、スペーサ2に設けたアンカー挿通孔であるアンカーボルト挿通用長孔24に挿通し、挿通した新設アンカーボルト5をナット6で締結して連結固定している。
【0021】
なお、支柱本体10と当該支柱本体10の座部を兼用するスペーサ2とは、図示するように、スペーサ2側に固着された連結ボルト21とナット60とからなる締結部材により連結固定される。図中、符号12は、スペーサ2の連結ボルト21を挿通するために支柱本体10の下面に形成された連結ボルト挿通用長孔、符号61は座金である。
【0022】
ここで、スペーサ2の構成について、図2〜4を参照しながら説明する。図2はスペーサ2の斜視図、図3は同平面図、図4は図3のA−A断面図である。図示するように、スペーサ2は、支柱本体10同様に鋳物合金製であり、略ハット状に形成されている。すなわち、内部にボルト収容空間20を有し、上面に支柱本体10を連結するための連結ボルト21を突設した略直方体のボックス部22と、このボックス部22の左右下端から略水平に伸延する鍔部23とを備えている。
【0023】
そして、左右の鍔部23それぞれにアンカーボルト挿通用長孔24が前後一対ずつ形成されている。本実施形態に係るスペーサ2のアンカーボルト挿通用長孔24は、鍔部23の伸延方向に沿った長孔であり、その幅や長さを含む大きさは新設アンカーボルト5のボルト径やそれを打ち込む個所と旧アンカーボルト4との距離などを勘案して設定する。
【0024】
ここで、上述したスペーサ2を用いた高欄支柱の付け替え方法について、図5を参照しながら説明する。図5(a)〜図5(d)はスペーサ2を用いた既設高欄支柱100の付け替え方法の各工程を示す説明図である。
【0025】
図示するように、本実施形態に係る付け替え方法では、以下の工程を有する。
(イ)基礎部31に埋設されている旧アンカーボルト4から既設高欄支柱100を取り外す取外工程(図5(a))
(ロ)前記基礎部31に残された旧アンカーボルト4の外側に、新設アンカーボルト5を埋設するためのアンカー埋設孔32を穿孔する穿孔工程(図5(b))
(ハ)前記アンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設する埋設行程(図5(c))
(ニ)基礎部31に立設状態で残された旧アンカーボルト4をそのままに、基礎部31に立設した新設アンカーボルト5を座部となるスペーサ2に設けたアンカーボルト挿通用長孔24に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程(図5(d))
なお、図5中、符号7はドリルなどの掘削機を示す。
【0026】
すなわち、(イ)の取外工程では、旧アンカーボルト4とナット(図示せず)との締結を解除することで既設高欄支柱100を取り外すことができる。なお、錆などによってナットを取り外せない場合は、ガス切断機などを用いてナットの下方位置で適宜切断しても構わない。その場合も、従来のように、旧アンカーボルト4を基礎部31と略面一状態になるように注意深く切断する必要は全くない。このように、旧アンカーボルト4をそのまま残すことにしているため、旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も特に必要はないが、ここでは、塗装などによる防食対策を施すようにしている。
【0027】
(ロ)の穿孔工程では、基礎部31から少なくとも上端部分が突出している旧アンカーボルト4の外側に所定距離だけ離隔した位置に、新たに4つのアンカー埋設孔32を穿孔する。アンカー埋設孔32の穿孔位置とスペーサ2に設けたアンカーボルト挿通用長孔24の位置とは当然対応することになる。なお、この穿孔工程では、図5(b)に示すように、ドリルなどの掘削機7を用いるとよい。
【0028】
次に、(ハ)の埋設行程では、基礎部31に新たに穿孔したアンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設するのであるが、ここでは、アンカー埋設孔32に樹脂硬化剤を入れ、新設アンカーボルト5を所定の工具などで前記樹脂硬化剤の上から埋め込んでいく。なお、樹脂硬化剤としては、周知のカプセルタイプのものを好適に用いることができる。
【0029】
(ニ)の取付工程では、スペーサ2のボックス部22内に旧アンカーボルト4を収容するとともに、鍔部23に形成したアンカーボルト挿通用長孔24に新設アンカーボルト5を挿通し、この新設アンカーボルト5にナット6を螺合してスペーサ2共々、支柱本体1を連結固定する。こうして、高欄支柱1がスペーサ2を介して基礎部31に設置することができる。
【0030】
このとき、スペーサ2と支柱本体10とを予め連結しておき、スペーサ2と支柱本体10とを一体として基礎部31に設置してもよいし、先ずスペーサ2を先に設置して、その後、スペーサ2上に支柱本体10を載置して両者を連結固定してもよい。
【0031】
このように、本実施形態によれば、高欄支柱1の位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。しかも、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となり、さらに、旧アンカーボルト4を覆い隠すことができるために見栄えを損なうことがない。こうして、本実施形態に係る高欄支柱の付け替え方法では、見栄えを損なうことなく著しく工程を簡略化することができ、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0032】
また、使用するスペーサ2は、きわめてシンプルな構成であって、製造コストも抑えることが可能となる。
【0033】
(変形例)
次に、図6を参照して第1の実施形態の変形例について説明する。図6は変形例に係る高欄支柱付替用スペーサ2Aを用いて付け替えられた高欄支柱の説明図である。なお、同じ構成要素に関しては同一の符号を付してその説明は省略する。
【0034】
図6に示すスペーサ2Aと図1〜図5で示した先のスペーサ2との違いは、先のスペーサ2がボックス部22の上面に予め連結ボルト21が突設されているのに対し、変形例に係るスペーサ2Aは、ボックス部22の上面に連結孔210のみが形成され、別途用意したボルト21Aで連結するようにしている。この場合、ボックス部22の内面側で連結孔210に対応するナット(図示せず)を溶接しておくか、あるいは、基礎部31へ設置する前に、予めスペーサ2Aと支柱本体とをボルト21Aで連結しておくとよい。
【0035】
また、スペーサ2Aとして、ボックス部22の上面には連結孔210も設けずに流通させることもできる。例えば、既設高欄支柱100と、新規の高欄支柱1Aとがメーカの違いなどで異なる規格で構成されていたとしても、スペーサ2Aを付け替え業者が後加工で対応させることも可能となる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、図7〜図12を参照しながら第2の実施形態に係る高欄支柱の付け替え方法と、これに好適な高欄支柱1Aについて説明する。図7は第2の実施形態に係る高欄支柱1Aの付け替え状態を示す説明図、図8は同高欄支柱の正面図、図9は同平面図、図10は図8のA−A断面図、図11は図9のB−B断面図である。なお、先の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明は省略する。
【0037】
本実施形態に係る高欄支柱1Aは鋳物合金製であり、図示するように、支柱本体10Aの下端に広幅座部2Aが一体形成されている。なお、本高欄支柱1Aは、3本の横材(図示せず)を連結するタイプであり、支柱本体10Aのウェブ10aには3つの凹部11が形成され、ウェブ10aの背面にはリブ10bが形成されている。
【0038】
ここでも、基礎部31上には、既設高欄支柱100(図13参照)の既設アンカーである旧アンカーボルト4が4本露出したまま残されており、これら4本の旧アンカーボルト4からなる旧アンカー群40の外側に新規アンカーである新設アンカーボルト5が立設されている。
【0039】
広幅座部2Aは車道3の延在方向を長辺とする略矩形形状に形成されており、その中央に支柱本体10Aが立設されている。支柱本体10Aの左右側近傍には、ウェブ10aとリブ10bとの間に亘って既設アンカー通過孔25がそれぞれ形成されている。すなわち、既設アンカー通過孔25は、広幅座部2Aの短辺方向に伸延する長孔により形成されている。
【0040】
そして、この既設アンカー通過孔25の外側に、既設アンカー通過孔25と直交する方向に延在する長孔状のアンカーボルト挿通用長孔24が左右一対ずつ形成されている。このアンカーボルト挿通用長孔24は、広幅座部2Aの外側縁から既設アンカー通過孔25の外側縁までの長さの50〜75%の長さに形成されている。
【0041】
上述した高欄支柱1Aの付け替え方法について説明すると、図12に示すように、本実施形態に係る付け替え方法では以下の工程を有する。
(イ)基礎部31に埋設されている旧アンカーボルト4から既設高欄支柱100を取り外す取外工程(図12(a))
(ロ)前記基礎部31に残された旧アンカーボルト4の外側に、新設アンカーボルト5を埋設するためのアンカー埋設孔32を掘削機7などにより穿孔する穿孔工程(図5(b))
(ハ)前記アンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設する埋設行程(図5(c))
(ニ)基礎部31に立設状態で残された旧アンカーボルト4をそのままの状態で既設アンカー通過孔25に通すとともに、基礎部31に立設した新設アンカーボルト5を広幅座部2Aに設けたアンカーボルト挿通用長孔24に挿通して新規の高欄支柱1Aを取り付ける取付工程(図12(d))
なお、(イ)〜(ハ)の工程、すなわち、図12(a)〜図12(c)の工程は、先の実施形態における(イ)〜(ハ)の工程と同じである。
【0042】
このように、本実施形態における(ニ)の取付工程では、広幅座部2の既設アンカー通過孔25に旧アンカーボルト4を挿通させて逃がしてやりながら、アンカーボルト挿通用長孔24に新設アンカーボルト5を挿通し、この新設アンカーボルト5にナット6を螺合して高欄支柱1Aを連結固定している。
【0043】
すなわち、旧アンカーボルト4は、支柱本体10Aの両側に近接した状態で剥き出しになるが、ウェブ10aの陰になって目立つことはない。また、この場合は旧アンカーボルト4が剥き出し状態となるため、高欄支柱1Aを基礎部31に設定する前に、旧アンカーボルト4の露出部分には防錆処理などを施しておくことが好ましい。
【0044】
このように、本実施形態においても、高欄支柱1の位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。また、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。そのため、付け替え工程が簡略化され、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では、スペーサ2などを使用しないため、部品点数が削減できる分だけコスト削減が可能である。
【0046】
(変形例)
次に、図13を参照して第2の実施形態の変形例について説明する。図13は変形例に係る高欄支柱の断面視による説明図、図14は同変形例に係る高欄支柱の付け替え状態を示す説明図である。なお、この場合も同じ構成要素に関しては同一の符号を付してその説明は省略する。
【0047】
図13及び図14に示す高欄支柱1Bと図7〜図11で示した先の高欄支柱1Aとの違いは、先の高欄支柱1Aは、既設アンカー通過孔25に旧アンカーボルト4を挿通するだけなので、旧アンカーボルト4が剥き出し状態となっていたが、本高欄支柱1Bでは、広幅座部2Aには、既設アンカー通過孔25に代えて既設アンカー収容部26を形成している。
【0048】
既設アンカー収容部26は、下面開口部26aを有するドーム状としており、下面開口部26aから挿通された旧アンカーボルト4は、既設アンカー収容部26によって被覆された状態となり、外部に露出することがない。なお、この場合も、旧アンカーボルト4に防錆処理などを施すことが好ましい。
【0049】
上述してきた実施形態より、以下の高欄支柱の付け替え方法、高欄支柱付替用スペーサ及び高欄支柱が実現される。
【0050】
(1)アンカー(アンカーボルトなど)により固定された高欄支柱の付け替え方法であって、基礎部31に埋設されている旧アンカーボルト4(既設アンカー)から既設高欄支柱100を取り外す取外工程と、基礎部31に残された旧アンカーボルト4の外側に、新設アンカーボルト5(新規アンカー)を埋設するためのアンカー埋設孔32を穿孔する穿孔工程と、アンカー埋設孔32に新設アンカーボルト5を埋設する行程と、基礎部31に立設状態で残された旧アンカーボルト4をそのままに、基礎部31に立設した新設アンカーボルト5をスペーサ2や広幅座部2A(座部)に設けたアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)に挿通して新規の高欄支柱1,1A(新規高欄支柱)を取り付ける取付工程とを有する高欄支柱の付け替え方法。
【0051】
かかる方法によれば、高欄支柱1,1Aの位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。しかも、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。したがって、工程を簡略化することができ、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0052】
(2)また、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、新規の高欄支柱1は、座部を兼ねる高欄支柱付替用スペーサ2と、このスペーサ2上に連結固定される支柱本体10とを具備し、スペーサ2は、ボックス部22とこのボックス部22の左右下端から略水平に伸延する鍔部23とを備えており、前記取付工程では、スペーサ2のボックス部22内に旧アンカーボルト4(既設アンカー)を収容するとともに、鍔部23に形成したアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)に新設アンカーボルト5を挿通して固定する高欄支柱の付け替え方法。
【0053】
かかる方法によれば、旧アンカーボルト4を覆い隠すことができるために、さらに見栄えを損なうことがないという効果も生起される。
【0054】
(3)また、上記(1)の高欄支柱の付け替え方法において、新規の高欄支柱1Aの下部には広幅座部2Aが形成され、この広幅座部2Aには、旧アンカーボルト4(既設アンカー)を挿通する既設アンカー通過孔25と、この既設アンカー通過孔25の外側に位置するアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)とが設けられており、前記取付工程では、広幅座部2Aの既設アンカー通過孔25に前記既設アンカーを挿通するとともに、前記アンカー挿通孔に旧アンカーボルト4を挿通して固定する高欄支柱の付け替え方法。
【0055】
かかる方法によれば、高欄支柱1Aの位置を、既設高欄支柱100とずらすことなく設置できるため、設置条件などを新たに考慮する必要がない。しかも、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。したがって、工程を簡略化することができ、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【0056】
(4)アンカー(アンカーボルトなど)により基礎部31に固定された既設高欄支柱100を新規の高欄支柱1に付け替える際に、基礎部31と新規の高欄支柱1との間に介設する高欄支柱付替用スペーサ2であって、既設高欄支柱100を取り外した後に立設状態で基礎部31に残されている旧アンカーボルト4(既設高欄支柱固定用のアンカー)を収容可能なボルト収容空間20を有するボックス部22と、このボックス部22の左右下端から略水平に伸延するとともに、新設アンカーボルト5(新規アンカー)を挿通するためのアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)が形成されている鍔部23とを備えている高欄支柱付替用スペーサ2。
【0057】
かかる構成はきわめてシンプルな構成であるため、製造コストも抑えることが可能となる。
【0058】
(5)アンカー(アンカーボルトなど)により基礎部31に固定された既設高欄支柱の支柱本体下部に連接された広幅座部2Aに、既設高欄支柱100を取り外した後に立設状態で前記基礎部31に残されている旧アンカーボルト4(既設高欄支柱固定用のアンカー)を挿通する既設アンカー通過孔25が設けられるとともに、この既設アンカー通過孔25の外側には、新設アンカーボルト5(新規アンカー)を挿通するためのアンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)が設けられている高欄支柱とした。
【0059】
かかる構成によれば、既設高欄支柱100から新規の高欄支柱1Aに付け替える場合、設置位置を既設高欄支柱100とずらす必要がなく、設置条件などを新たに考慮する必要がない。また、旧アンカーボルト4をそのまま残すために旧アンカーボルト4の切断作業やそれに付随する作業も不要となる。そのため、付け替え工程が簡略化され、人件費の削減及び工期短縮による大幅なコストダウンを実現することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,1A 高欄支柱
2 高欄支柱付替用スペーサ
2A 広幅座部
3 車道
4 旧アンカーボルト(既設アンカー)
5 新設アンカーボルト(新規アンカー)
20 ボルト収容空間
22 ボックス部
23 鍔部
24 アンカーボルト挿通用長孔24(アンカー挿通孔)
25 既設アンカー通過孔
31 基礎部
100 既設高欄支柱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーにより固定された高欄支柱の付け替え方法であって、
(a)基礎部に埋設されている既設アンカーから既設高欄支柱を取り外す取外工程と、
(b)前記基礎部に残された既設アンカーの外側に、新規アンカーを埋設するためのアンカー埋設孔を穿孔する穿孔工程と、
(c)前記アンカー埋設孔に新規アンカーを埋設する行程と、
(d)前記基礎部に立設状態で残された既設アンカーをそのままに、前記基礎部に立設した前記新規アンカーを座部に設けたアンカー挿通孔に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程と、
を有することを特徴とする高欄支柱の付け替え方法。
【請求項2】
前記新規高欄支柱は、座部を兼ねるスペーサと、このスペーサ上に連結固定される支柱本体とを具備し、
前記スペーサは、ボックス部とこのボックス部の左右下端から略水平に伸延する鍔部とを備えており、
前記取付工程では、
前記スペーサのボックス部内に前記既設アンカーを収容するとともに、前記鍔部に形成した前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする請求項1記載の高欄支柱の付け替え方法。
【請求項3】
前記新規高欄支柱の下部には座部が形成され、この座部には、前記既設アンカーを挿通する既設アンカー通過孔と、この既設アンカー通過孔の外側に位置する前記アンカー挿通孔とが設けられており、
前記取付工程では、
前記座部の既設アンカー通過孔に前記既設アンカーを挿通するとともに、前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする請求項1記載の高欄支柱の付け替え方法。
【請求項4】
アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱を新規の高欄支柱に付け替える際に、前記基礎部と前記新規の高欄支柱との間に介設する高欄支柱付替用スペーサであって、
既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを収容可能な空間を有するボックス部と、
このボックス部の左右下端から略水平に伸延するとともに、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が形成されている鍔部と、
を備えていることを特徴とする高欄支柱付替用スペーサ。
【請求項5】
アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱の支柱本体下部に連接された座部に、既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを挿通する既設アンカー通過孔が設けられるとともに、この既設アンカー通過孔の外側には、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が設けられていることと特徴とする高欄支柱。
【請求項1】
アンカーにより固定された高欄支柱の付け替え方法であって、
(a)基礎部に埋設されている既設アンカーから既設高欄支柱を取り外す取外工程と、
(b)前記基礎部に残された既設アンカーの外側に、新規アンカーを埋設するためのアンカー埋設孔を穿孔する穿孔工程と、
(c)前記アンカー埋設孔に新規アンカーを埋設する行程と、
(d)前記基礎部に立設状態で残された既設アンカーをそのままに、前記基礎部に立設した前記新規アンカーを座部に設けたアンカー挿通孔に挿通して新規高欄支柱を取り付ける取付工程と、
を有することを特徴とする高欄支柱の付け替え方法。
【請求項2】
前記新規高欄支柱は、座部を兼ねるスペーサと、このスペーサ上に連結固定される支柱本体とを具備し、
前記スペーサは、ボックス部とこのボックス部の左右下端から略水平に伸延する鍔部とを備えており、
前記取付工程では、
前記スペーサのボックス部内に前記既設アンカーを収容するとともに、前記鍔部に形成した前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする請求項1記載の高欄支柱の付け替え方法。
【請求項3】
前記新規高欄支柱の下部には座部が形成され、この座部には、前記既設アンカーを挿通する既設アンカー通過孔と、この既設アンカー通過孔の外側に位置する前記アンカー挿通孔とが設けられており、
前記取付工程では、
前記座部の既設アンカー通過孔に前記既設アンカーを挿通するとともに、前記アンカー挿通孔に前記新規アンカーを挿通して固定することを特徴とする請求項1記載の高欄支柱の付け替え方法。
【請求項4】
アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱を新規の高欄支柱に付け替える際に、前記基礎部と前記新規の高欄支柱との間に介設する高欄支柱付替用スペーサであって、
既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを収容可能な空間を有するボックス部と、
このボックス部の左右下端から略水平に伸延するとともに、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が形成されている鍔部と、
を備えていることを特徴とする高欄支柱付替用スペーサ。
【請求項5】
アンカーにより基礎部に固定された既設高欄支柱の支柱本体下部に連接された座部に、既設高欄支柱を取り外した後に立設状態で前記基礎部に残されている既設高欄支柱固定用のアンカーを挿通する既設アンカー通過孔が設けられるとともに、この既設アンカー通過孔の外側には、新規アンカーを挿通するためのアンカー挿通孔が設けられていることと特徴とする高欄支柱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−252362(P2011−252362A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128463(P2010−128463)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(390001568)昭和鉄工株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(390001568)昭和鉄工株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
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