説明

高比重熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを使用した成形品

【課題】 重量感を得ることができる上に、環境に良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 生分解性を有する生分解性樹脂(30)と、重金属(20)とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物(10)であって、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を用いて形成した樹脂ペレットに、生分解性樹脂(30)と重金属(20)との界面接着性を向上させるためのカップリング剤(40)を添加し、粉粒状の重金属(20)と混合したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、重金属と、生分解性を有する生分解性樹脂とを主成分とする高比重熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれを使用した成形品に関するものである。
【0002】
【先行技術】熱可塑性樹脂組成物は、金属材料に較べて加工が容易で、耐蝕性に優れ、かつ軽量であるうえ、比較的安価なこと、絶縁性であること等から、近年電気・電子部品、機械部品、精密部品、一般工業部品、日用雑貨などの素材や、構造材料など多くの分野において幅広く用いられている。更に、切削加工や焼結工程を必要とする金属材料に較べ、製品の生産性に優れており、特に射出成形法を採用した場合に顕著である。複雑な形状の成形品が一工程で成形できることが高成長を遂げた理由の一つである。
【0003】しかしながら、通常の熱可塑性樹脂の比重は、1.0前後であり、用途によっては金属並の重量感を必要とする場合には、通常の熱可塑性樹脂では対応できなかった。そこで、熱可塑性樹脂に比重の大きな他の物質、例えば重金属からなる金属粉を混合することが考えられる。一方、近年、生物や環境に悪影響を及ぼす重金属についての無害化、回収などについて、世界的に議論されている。例えば、鉛である。鉛は、狩猟に用いる散弾銃の弾に用いられるが、狩猟によって討たれた弾はほとんど回収されずに放置される。その結果、付近の水質の悪化を招いたり、誤って呑み込んだ生物が中毒を起こしたりする。釣りに用いられる錘(おもり)も同様である。そのため、このような道具に関して、鉛の使用を禁じたり、輸入を規制するような動きも出始めている。したがって、樹脂の比重を大きくするために混合する金属についても、生物や環境に悪影響を及ぼさない重金属であることが望まれる。更に、環境への配慮ということになると、樹脂についても環境への影響ができるだけ小さいものであることが望まれる。
【0004】そこで、近年では、ナイロン樹脂をベースとして、これに重金属であって、鉛と比較して環境に対して悪影響を及ぼさないタングステンを混合した熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特開平9−87514号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の熱可塑性樹脂組成物は、環境に悪影響を及ぼす鉛を使用しないという意味において、一次的な環境保護目標は達成されている。しかし、ナイロンをはじめとする一般のプラスチックは、耐腐食性に優れる反面、環境中において、分解され難く、最近ではそれ自体が公害の原因を引き起こすに至っている。いわゆる、廃棄プラスチックの問題である。これらの廃棄プラスチックは、環境破壊や、資源の浪費という問題があり、近年では前向きの対策として、リサイクル(再利用)や、ソースリダクション(発生源の削減)が重視されているものである。すなわち、上記した特開平9−87514号公報に記載された技術では、ナイロンを使用しており、環境に悪影響を及ぼすという第一の問題点があった。
【0006】さらに、上記した従来の技術では、従来の鉛の比重(11.3)を満足することはできず、鉛と同等の重量感を得ることができないという第二の問題点があった。さらに、鉛と同様の比重を得るために、多量の重金属を添加して成形しようとしても、射出成形機内でブリッジが形成されて成形不良となったり、混練抵抗が高くなって成形不良となる等の第三の問題点があった。
【0007】そこで、請求項1記載の発明は、上記した従来の技術の有する第一の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、重量感を得ることができる上に、環境に良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供しようとするものである。これに加え、請求項2記載の発明は、上記した従来の技術の有する第二の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環境に悪影響を及ぼさない上に、重量感を得ることができる高比重熱可塑性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0008】これに加え、請求項3及び請求項4記載の発明は、上記した従来の技術の有する第三の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形性が良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供しようとするものである。これに加え、請求項5記載の発明は、フローマークの発生を抑えることができる高比重熱可塑性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0009】これに加え、請求項6記載の発明は、成形性が良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供しようとするものである。これに加え、請求項7記載の発明は、重金属と、生分解性樹脂との界面接着性が良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供しようとするものである。これに加え、請求項8記載の発明は、成型時の流動特性を向上させることができる高比重熱可塑性樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0010】請求項9記載の発明は、重量感を得ることができて、環境に良好な高比重熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供しようとするものである。請求項10記載の発明は、重量感を得ることができて、環境に良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を使用した成形品を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的を達成するためのものである。
(請求項1)請求項1記載の発明は、生分解性を有する生分解性樹脂(30)と、重金属(20)とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物(10)であって、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を用いて形成した樹脂ペレットに、生分解性樹脂(30)と重金属(20)との界面接着性を向上させるためのカップリング剤(40)を添加し、粉粒状の重金属(20)と混合したことを特徴とする。
【0012】(用語説明)なお、ここで、「生分解性を有する生分解性樹脂(30)」とは、日常使っているうちは壊れず、土中や海中に捨てると微生物により分解されるものであって、分解されて低分子化合物となり、最終的には、炭酸ガスと水になると考えられているものである。具体的には、バイオポリエステル、カードラン、プルラン、バクテリアセルロース及びポリアミノ酸等の微生物で作った生分解性樹脂や、でんぷん、キチン、キトサン、海産多糖類及びセルロース等の天然物を利用して作った生分解性樹脂や、脂肪族ポリエステル、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール及びポリエーテル等の化学合成で作った生分解性樹脂等を含むものである。
【0013】また、ここで、「可塑剤(50)」は、生分解性樹脂(30)のガラス転移温度よりも高温の成形加工温度の領域における可塑性を改善するものである。表現を変えれば、生分解性樹脂(30)の成形加工温度領域における流動特性を改善して成形加工を容易にするものである。具体的には、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)等のフタル酸エステル類の可塑剤(50)や、エチレンビスステアロアマイド等の内部滑剤等を含むものである。また、それ以外にも、ポリエステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート(TCP)やトリフェニルホスフェート(TPP)等のリン酸エステル類の可塑剤、エポキシ化大豆油及びメチルアセチルリシノレート(MAR)等の脂肪酸エステル等も含むものである。
【0014】また、ここで、「カップリング剤(40)」は、一種の界面活性剤(表面活性剤)のようなものであって、一つの分子の中に、樹脂に対して親和性を有する基と、金属に対して親和性を有する基との両方を持っているものである。このため、カップリング剤(40)は、二つの異なる物質の界面接着効果を備えているものであって、二つの異なる物質である生分解性樹脂(30)の分子と重金属(20)粒子の表面との界面接着性を向上させることができるものである。具体的には、例えば、チタン(Ti)系カップリング剤(40)や、シラン系カップリング剤や、アルミニウム系カップリング剤等を含むものである。
【0015】(作用)本発明は、生分解性を有する生分解性樹脂(30)と、粉粒状の重金属(20)とを混合している。このため、生分解性樹脂(30)を成形機の内部で溶融状態として、冷却することにより、この生分解性樹脂(30)が、粉粒状の重金属(20)同士を結合させるバインダーとしての役割を果たし、生分解性樹脂(30)の内部に粉粒状の重金属(20)を埋め込むことができるものである。これにより、通常は、融点等が高くて取り扱いが容易ではない重金属(20)であっても、生分解性樹脂(30)を介して射出成形等が可能となり、簡単に重量感のある成形品を形成することができる。そして、生分解性を有する生分解性樹脂(30)を使用しているため、かかる生分解性樹脂(30)が自然環境中に放置されても、微生物等により分解されて、そのまま、自然環境に悪影響を及ぼすことがない。
【0016】そして、生分解性樹脂(30)には、可塑剤(50)が添加されている。このため、生分解性樹脂(30)の成形加工温度領域における流動性を向上させることができる。これにより、生分解性樹脂(30)と粉粒状の重金属(20)との加熱混練時における生分解性樹脂(30)と重金属(20)の金属表面との接触状態を良好なものにすることができる。すなわち、流動性が良好な生分解性樹脂(30)を、粉粒状の重金属(20)の表面周囲にくまなく、行き渡らせることができる。そして、重金属(20)の金属表面が凹凸状であっても、その凹凸状の表面に対する生分解性樹脂(30)の追従性を良好なものにすることができ、両者間に隙間を発生することを抑え、両者を強固に密着させることができる。
【0017】さらに、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を用いて形成した樹脂ペレットに、カップリング剤(40)を添加しているため、重金属(20)の粒子表面を被覆して、樹脂との親和性を高めて、生分解性樹脂(30)の分子と重金属(20)粒子の表面との界面接着性を向上させることができる。これにより、樹脂と金属との界面で剥離が生じるのを抑えることができる。したがって、曲げ加工等により粉粒状の重金属(20)の周囲で生分解性樹脂(30)が弾性変形しても、重金属(20)の表面から生分解性樹脂(30)が剥離することを抑えることができる。
【0018】上述したように、この高比重熱可塑性樹脂組成物(10)は、自然環境に悪影響を及ぼすことなく、高温時の流動特性が良くて成形加工性が良好な上に、重量感がある成形品を得ることができる。すなわち、かかる成形品を得ることができる高比重熱可塑性樹脂コンパウンドとして最適のものである。
(請求項2)請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の特徴点に加え、重金属(20)は、タングステンからなり、その混合比は、重金属(20)及び生分解性樹脂(30)の合計重量に対して、94重量%乃至99重量%の範囲にあることを特徴とする。
【0019】(作用)本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物(10)におけるタングステンからなる重金属(20)の含有量の数値限定理由について説明する。重金属(20)であるタングステンは、大気中に放置されても、周囲の環境に悪影響を及ぼさない上に、鉛の比重11.3よりも大きな比重19.3を有して、高比重熱可塑性樹脂組成物(10)の比重を調整して、重量感を増加させるものである。タングステンからなる重金属(20)が94重量%未満では、高比重熱可塑性樹脂組成物(10)が重量感に乏しくなる。また、タングステンからなる重金属(20)が、99重量%を越えると、相対的に生分解性樹脂(30)の量が減少し、成形の際、固体の状態のままである重金属(20)の周囲全部に、溶融状態の生分解性樹脂(30)が行き渡らず、流動性が低下し、成形加工性が悪化する。さらに、成形品も、重金属(20)の増加により相対的に重金属(20)の粒子を結合するバインダーとしての生分解性樹脂の割合が減って、重金属(20)の粒子間の結合強度が不足し、割れが発生する。したがって、重金属(20)の含有量は、94重量%乃至99重量%とする。
(請求項3)請求項3記載の発明は、上記した請求項1または請求項2記載の特徴点に加え、重金属(20)は、粒径が大きな大粒径金属粒(22)と粒径が小さな小粒径金属粒(23)との、二種類を混合することとし、前記小粒径金属粒(23)は、その粒径が1ミクロン乃至3ミクロンの範囲のものが、重金属(20)の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあり、前記大粒径金属粒(22)は、重金属(20)の重量から小粒径金属粒(23)の重量を引いた残部であって、その粒径が30ミクロン乃至150ミクロンの範囲のものが、重金属(20)の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあることを特徴とする。
【0020】(作用)本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物(10)におけるタングステンからなる重金属(20)の粒度分布の数値限定理由について説明する。重金属(20)は、粉粒状としたことにより、生分解性樹脂(30)と共に、押出成形することができ、また、成形品の微小部分にも、均一に偏析することなく、分散させることができるものである。
【0021】本発明は、重金属(20)が、粒径が大きな大粒径金属粒(22)と、粒径が小さな小粒径金属粒(23)との二種類を混合している。重金属(20)が粒径が小さな小粒径金属粒(23)のみからなると、重金属(20)の総表面積が増大し、摩擦抵抗の増加により、混練抵抗が高くなる。また、重金属(20)が粒径が大きな大粒径金属粒(22)のみからなると、混練中に成形機等の内部でブリッジが形成されやすく、スクリューが破損し易くなる上に、重金属(20)の総表面積が小さくなるので、生分解性樹脂(30)との剥離が発生し易い。このため、大粒径金属粒(22)と小粒径金属粒(23)との混合により、両者の欠点を相補うことができる。すなわち、小粒径金属粒(23)の中に大粒径金属粒(22)が混ざった状態とすることにより、大粒径金属粒(22)がコロの役割を果たし、混練抵抗の増加を抑えることができる。また、小粒径金属粒(23)を有しているため、大粒径金属粒(22)によるブリッジの発生を抑えて、スクリューの破損を抑え、生分解性樹脂(30)との接着性が良好なものにすることができる。結果として、小粒径金属粒(23)と大粒径金属粒(22)とを混合することにより、粒度分布が小粒径金属粒(23)のみを主とした正規分布品、或いは粒度分布が大粒径金属粒(22)のみを主とした正規分布品等を単独で使用した場合と比較して、混練抵抗を著しく低下させることができる。
【0022】次に、小粒径金属粒(23)の数値限定理由について説明する。重金属(20)のうち小粒径金属粒(23)の粒径が1ミクロンより小さいと、成形の際、小粒径金属粒(23)の表面積が増加し、摩擦抵抗が増大して、混練抵抗が高くなる。そして、粒径が小さい微粉状のため、飛散しやすく、作業中に粉塵となって飛散しやすく、作業環境が悪化し、製造コストが大きくなる。重金属(20)のうち小粒径金属粒(23)の粒径が3ミクロンより大きいと、成形機の内部でブリッジを形成し易くなり、スクリューが破損し易くなる。したがって、小粒径金属粒(23)の粒径は、1ミクロン乃至3ミクロンとする。
【0023】小粒径金属粒(23)が、重金属(20)の総重量に対して、30重量%未満だと、小粒径金属粒(23)を添加した効果が小さくなり、相対的に大粒径金属粒(22)の割合が増えて、成形機内部でブリッジを形成し易くなり、スクリューが破損し易くなる。また、重金属(20)の総表面積が減少して、重金属(20)と生分解性樹脂(30)との間で剥離が生じ、成形品に割れや、強度不足が発生し易くなる。小粒径金属粒(23)が、重金属(20)の総重量に対して、70重量%を越えると、重金属(20)の総表面積が大きくなりすぎて、摩擦抵抗が増加することにより、成形の際、混練抵抗が高くなる。したがって、小粒径金属粒(23)は、重金属(20)の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲とする。
【0024】次に、大粒径金属粒(22)の粒度分布の数値限定理由について説明する。重金属(20)のうち大粒径金属粒(22)の粒径が、30ミクロンより小さいと、粒径の大きな大粒径金属粒(22)を添加した効果が小さくなり、成形の際、混練抵抗が高くなる。重金属(20)のうち大粒径金属粒(22)の粒径が150ミクロンより大きいと、成形の際、成形機の内部でブリッジを形成して、成形機の内部のスクリューが破損しやすくなる。また、粒径が大きな大粒径金属粒(22)の表面と、生分解性樹脂(30)との間で剥離が生じ易くなり、成形品に割れの発生や、強度不足が発生する。また、粒径が大きいため、樹脂中に一様に分散されず、成形品の微小部分に粒径が大きな重金属(20)が入り込まず、局部的に偏析し、均質な材料を形成することができなくなり、材料としての品質が低下する。また、大粒径金属粒(22)が成形品の表面に現れると、成形品の表面の凹凸が大きくなり、成形品の表面荒さが増す。したがって、大粒径金属粒(22)の粒径は、30ミクロン乃至150ミクロンとする。
【0025】大粒径金属粒(22)が、重金属(20)の総重量に対して、30重量%未満だと、大粒径金属粒(22)を添加した効果が小さくなり、成形の際、混練抵抗が高くなる。大粒径金属粒(22)が、重金属(20)の総重量に対して、70重量%を越えると、成形の際、成形機の内部でブリッジを形成して、成形機の内部のスクリューが破損しやすくなる。また、粒径が大きな大粒径金属粒(22)の表面と、生分解性樹脂(30)との間で剥離が生じ易くなり、成形品に割れの発生や、強度不足が発生する。したがって、大粒径金属粒(22)は、重金属(20)の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲とする。
(請求項4)請求項4記載の発明は、上記した請求項1または請求項2記載の特徴点に加え、重金属(20)は、粒径が大きな大粒径金属粒(22)と粒径が小さな小粒径金属粒(23)との、二種類を混合することとし、前記小粒径金属粒(23)は、その粒径が1ミクロン乃至3ミクロンの範囲のものが、重金属(20)の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあり、前記大粒径金属粒(22)は、重金属(20)の重量から小粒径金属粒(23)の重量を引いた残部であって、その粒径が100ミクロン乃至150ミクロンの範囲のものが、重金属(20)の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあることを特徴とする。
【0026】(作用)本発明は、請求項3記載の発明の大粒径金属粒(22)の粒度分布の範囲の下限のみを30ミクロンから100ミクロンに変更したものである。すなわち、大粒径金属粒(22)が、下限を30ミクロンとした場合と比較して、大粒径金属粒(22)の細粒側がカットされて、大粒径金属粒(22)の粒度分布が粗め側に移行すると共に、その粒径が狭い範囲で、均一なものに設定されることになる。このため、大粒径金属粒(22)の総表面積が減少して表面摩擦抵抗も減少し、全体として混練抵抗を抑えることができる。これにより、より小さな混練抵抗で混合することができ、成形性を良好なものにすることができる。
(請求項5)請求項5記載の発明は、上記した請求項3または請求項4記載の特徴点に加え、大粒径金属粒(22)を、重金属(20)の総重量に対して、55重量%乃至70重量%の範囲にしたことを特徴とする。
(作用)本発明は、請求項3または請求項4記載の発明の大粒径金属粒(22)の添加量の下限のみを30重量%から55重量%に変更したものである。すなわち、大粒径金属粒(22)が、下限を30重量%とした場合と比較して、大粒径金属粒(22)の添加量を上限側に限定して、55重量%乃至70重量%の範囲に設定したものである。このため、大粒径金属粒(22)がコロの役割を果たし、成形型の内部において、溶融樹脂の流動性を向上させることができる。これにより、成型型の内部の溶融樹脂の流れ跡が流動性の低下により成形品の表面に現れるフローマークの発生を抑えることができる。
(請求項6)請求項6記載の発明は、上記した請求項3または請求項4記載の特徴点に加え、大粒径金属粒(22)を、重金属(20)の総重量に対して、その粒径が30ミクロン乃至60ミクロンのものが、15重量%乃至35重量%の範囲にし、その粒径が100ミクロン乃至150ミクロンのものが、15重量%乃至35重量%の範囲にしたことを特徴とする。
【0027】本発明は、大粒径金属粒(22)のみを、さらに、その粒径により二極化したものである。このように、大粒径金属粒(22)の分布を、その粒径が異なるものによって二極化することにより、略同一の粒径の大粒径金属粒(22)が規則的に配列されるような場合と比較して、大粒径金属粒(22)間に隙間が発生し易く、乱雑さが増して、大粒径金属粒(22)の移動の自由度を増加させることができる。これにより、溶融樹脂の流動特性を増加させ、混練抵抗や溶融樹脂の流動性を向上させることができ、良好な成形性を得ることができる。
(請求項7)請求項7記載の発明は、上記した請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6記載の特徴点に加え、カップリング剤(40)は、重金属(20)の総重量に対して、0.2重量%乃至0.5重量%の範囲にあることを特徴とする。
【0028】(作用)本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物(10)におけるカップリング剤(40)の添加量の数値限定理由について説明する。カップリング剤(40)は、上述したように、金属表面を被覆して樹脂との親和性を高めて、生分解性樹脂(30)の分子と重金属(20)粒子の表面との界面接着性を向上させることができるものである。そして、生分解性樹脂(30)と、粉粒状の重金属(20)との界面の剥離を抑えることができるものである。
【0029】カップリング剤(40)が、重金属(20)の総重量に対して、0.2重量%未満だと、生分解性樹脂(30)と粉粒状重金属(20)との界面の接着効果が不足する。これにより、生分解性樹脂(30)と重金属(20)との間で剥離が生じ、成形品の割れや、成形品の強度不足が発生し易くなる。一方、カップリング剤(40)が、重金属(20)の総重量に対して、0.5重量%を越えると、却って、強度が不足する。これは、カップリング剤(40)は、一種の界面活性剤のようなもので、一つの分子の中に樹脂に対して親和性を有する基と、金属に対して親和性を有する基との両方を有し、これらにより、樹脂と金属との界面接着効果を奏するものであり、カップリング剤(40)そのもの自体の集団は、高強度ではないことによるものである。なお、理想的なカップリング剤(40)の添加量としては、金属粒子の表面にカップリング剤(40)の単分子層を形成させる程度が望ましいものである。
【0030】また、カップリング剤(40)は、アルコール等に溶かしたものを添加して乾燥させる必要があるが、必要以上のカップリング剤(40)の添加は、かかる乾燥作業を長時間なものにし、作業効率を低下させる。したがって、カップリング剤(40)は、重金属(20)の総重量に対して0.2重量%乃至0.5重量%の範囲とする。
(請求項8)請求項8記載の発明は、上記した請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7記載の特徴点に加え、可塑剤(50)は、生分解性樹脂(30)の総重量に対して、4重量%乃至12重量%の範囲にあることを特徴とする。
【0031】(作用)本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物(10)における可塑剤(50)の添加量の数値限定理由について説明する。可塑剤(50)は、生分解性樹脂(30)のガラス転移温度よりも高温の成形加工温度の領域における可塑性を改善するものである。表現を変えれば、生分解性樹脂(30)の成形加工温度領域における流動特性を改善して成形加工を容易にするものである。
【0032】可塑剤(50)が、生分解性樹脂(30)の重量に対して、4重量%未満になると、生分解性樹脂(30)の成形の際の成形加工温度領域における流動性が低下し、成形性が悪くなる。可塑剤(50)が、生分解性樹脂(30)の総重量に対して、12重量%を越えると、生分解性樹脂(30)の成形の際の流動性が向上し、成形性は良くなるが、成形品が脆く割れやすくなり、熱軟化温度の低下が著しくなる。したがって、可塑剤(50)の添加量は、重金属(20)の総重量に対して、4重量%乃至12重量%の範囲とする。
(請求項9)請求項9記載の発明は、重金属(20)と、生分解性を有する生分解性樹脂(30)とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物(10)の製造方法であって、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して樹脂ペレットを形成する工程と、粉粒状の重金属(20)と、この重金属(20)及び生分解性樹脂(30)の接着性を向上させるためのカップリング剤(40)と混合する工程と、このカップリング剤(40)及び重金属(20)を混合したものと、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して形成した樹脂ペレットとを粉体混合機で混合する混合工程とを備えたことを特徴とする。
【0033】(用語説明)なお、ここで、「粉体混合機」とは、樹脂原料等をペレット押出機にかける前に均一に混合する装置である。具体的には、容器内の回転翼を高速で回転させるアイリッヒ社製のヘンシェルミキサー等の高速流動式混合機や、粉粒体同士を攪拌混合するもので、水平円筒型、V字型、二重円錐型の混合容器を一定時間回転させて混合する混合機等を含むものである。
【0034】(作用)重金属(20)と、生分解性を有する生分解性樹脂(30)とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物(10)の製造手順を説明する。先ず、最初に、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して樹脂ペレットを形成する。
【0035】次に、粉粒状の重金属(20)と、この重金属(20)及び生分解性樹脂(30)の接着性を向上させるためのカップリング剤(40)と混合する。次に、このカップリング剤(40)及び重金属(20)を混合したものと、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して形成した樹脂ペレットとを粉体混合機で混合する。これにより、環境に悪影響を及ぼさない生分解性樹脂(30)と、粉粒状の重金属(20)とを混合した高比重熱可塑性樹脂組成物(10)が完成する。
(請求項10)請求項10記載の発明は、重金属(20)と、生分解性を有する生分解性樹脂(30)とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物(10)を使用した成形品であって、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して樹脂ペレットを形成する工程と、粉粒状の重金属(20)と、この重金属(20)及び生分解性樹脂(30)の接着性を向上させるためのカップリング剤(40)と混合する工程と、このカップリング剤(40)及び重金属(20)を混合したものと、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して形成した樹脂ペレットとを粉体混合機で混合する混合工程と、この混合工程により混合したものを押出機(120)の内部に投入して、押出機(120)から押し出すペレット化工程と、このペレット化工程により押し出したものを、射出成形機を使用して、型内部に射出する射出成形工程とにより得られることを特徴とする。
【0036】(作用)重金属(20)と、生分解性を有する生分解性樹脂(30)とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物(10)を使用した成形品の製造手順を説明する。先ず、最初に、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して樹脂ペレットを形成する。
【0037】次に、粉粒状の重金属(20)と、この重金属(20)及び生分解性樹脂(30)の接着性を向上させるためのカップリング剤(40)と混合する。次に、このカップリング剤(40)及び重金属(20)を混合したものと、生分解性樹脂(30)に可塑剤(50)を添加して形成した樹脂ペレットとを粉体混合機で混合する。
【0038】次に、この混合工程により混合したものを押出機(120)の内部に投入して、押出機(120)から押し出す。次に、このペレット化工程により押し出したものを、射出成形機を使用して、型内部に射出する。これにより、高比重熱可塑性樹脂組成物(10)を使用して、生分解性樹脂(30)の内部に粉粒状の重金属(20)が埋め込まれた成形品を得ることができる。
【0039】本発明に係る成形品は、生分解性樹脂(30)の内部に粉粒状の重金属(20)が埋め込まれ、環境に悪影響を及ぼさずに、重量感のあるものにすることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて、更に詳しく説明する。図1乃至図3は、本発明の実施の形態であって、図1及び図2は、高比重熱可塑性樹脂組成物の製造工程の一部の概略模式図、図3は、高比重熱可塑性樹脂組成物を使用した樹脂成形品の部分断面図をそれぞれ示す。
【0041】まず、本実施の形態の構成について説明する。本実施の形態に係る高比重熱可塑性樹脂組成物10は、生分解性を有する生分解性樹脂30と、重金属20とを主成分としたものである。この高比重熱可塑性樹脂組成物10は、生分解性樹脂30に可塑剤50を用いて形成した樹脂ペレットに、生分解性樹脂30の分子と、重金属20の粒子表面との界面接着性を向上させるためのカップリング剤40を添加し、粉粒状の重金属20と混合したことを特徴とするものである。
【0042】前記生分解性樹脂30は、ポリプロピレン(PP、チッソ株式会社製のXK3262)と、でんぷんをベースとする生分解及び水溶性の自然分解プラスチック(ノボン・ジャパン株式会社製のNOVON RO390)とを重量比で80対20の割合で混合したものを使用している。なお、この自然分解プラスチックは、添加剤であって、ポリプロピレン等の樹脂と混合することにより、その混合した樹脂そのものを最終的に水と二酸化炭素とバイオマス(微生物群)等に分解することができるものである。また、混合する樹脂は、ポリプロピレン(PP)に限定されるものではなく、ポリプロピレン(PP)の代わりに、ポリエチレン(PE)でも良いものである。また、ポリプロピレン(PP)と、ポリエチレン(PE)とを混合したものでも良いものである。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はハイトレル等のポリエステル樹脂でも良いものである。また、ポリエチレンの代わりに、ゴルフボールの表面のコーティング等に用いるアイオノマーレジンを使用しても、ポリプロピレン(PP)よりも衝撃強度、曲げ弾性率及び硬度等に優れた物性値の成形品を得ることができるものである。
【0043】さらに、これらポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)等を適当な割合で混合したものでも良いものである。さらにまた、生分解性樹脂30は、上述したでんぷんを利用したものに限定されるものではなく、他の生分解性樹脂でも良いものである。例えば、ポリ−3−ヒドロキシブチレート等の微生物が作る生分解性樹脂や、キチン、キトサン、セルロース等を利用した、いわゆる天然物を利用して作る生分解性樹脂や、脂肪族ポリエステル、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂等の化学合成で作る生分解性樹脂等を使用しても良いものである。具体的には、石油系原料からの脂肪族ポリエステルとして、昭和電工と昭和高分子で共同開発された「ビオノール」や、島津製作所の「ラクティー」等が含まれるものである。そして、上述した自然分解プラスチック(ノボン・ジャパン株式会社製のNOVON RO390)の代わりに、かかる「ビオノール」や「ラクティー」を使用しても、同様の性能や物性値のものを得ることができるものである。
【0044】前記重金属20は、タングステンからなると共に、重金属20及び生分解性樹脂30の総重量に対して、94重量%乃至99重量%の範囲に設定されている。そして、重金属20は、粒径が大きな大粒径金属粒22と粒径が小さな小粒径金属粒23との、二種類が混合されている。前記小粒径金属粒23は、その粒径が1ミクロン乃至3ミクロンの範囲のものが、重金属20の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあり、前記大粒径金属粒22は、その粒径が30ミクロン乃至150ミクロンの範囲のものが、重金属20の総重量に対して、30乃至70重量%の範囲にある。
【0045】なお、大粒径金属粒22の粒度は、混練抵抗を抑えるため、より好ましくは、100ミクロン乃至150ミクロンの範囲である。また、大粒径金属粒22の添加重量は、成形品のフローマークを抑えるため、より好ましくは、55重量%乃至70重量%の範囲である。また、上述したように重金属20の粒度分布は、その粒径により小粒径金属粒23と、大粒径金属粒22とから二極化されているが、この大粒径金属粒22のみを、さらに、その粒径により二極化しても良いものである。具体的には、30ミクロン乃至150ミクロンの粒径が30重量%乃至70重量%に設定されている大粒径金属粒22のうち、比較的小さな粒径の30ミクロン乃至60ミクロンのものが、15重量%乃至35重量%の範囲にあり、大粒径金属粒22のうち比較的大きな粒径の100ミクロン乃至150ミクロンのものが、15重量%乃至35重量%の範囲にあるように設定しても良いものである。このように大粒径金属粒22の分布を、その粒径が異なるものによって二極化することにより、略同一の粒径の大粒径金属粒22が規則的に配列されるような場合と比較して、大粒径金属粒22間に隙間が発生し易く、乱雑さが増して、大粒径金属粒22の移動の自由度を増加させることができる。これにより、溶融樹脂の流動特性を増加させ、混練抵抗や溶融樹脂の流動性を向上させることができる。
【0046】前記可塑剤50は、フタル酸ジオクチル(DOP)からなると共に、生分解性樹脂30の総重量に対して、4重量%乃至12重量%の範囲にある。なお、この可塑剤50の添加範囲は、生分解性樹脂30に80重量%含まれるポリプロピレン(PP)の重量に対して、上記数値範囲を換算すると、5重量%乃至15重量%となる。前記カップリング剤40は、チタン系カップリング剤40からなると共に、重金属20の総重量に対して、0.2重量%乃至0.5重量%の範囲にある。なお、このチタン系カップリング剤は、具体的には、「プレーンアクト」(味の素株式会社製のグレードNoKR−TTS)を用い、これを、Nプロピルアルコールに溶かして使用している。
【0047】次に、本実施の形態に係る高比重熱可塑性樹脂組成物10の製造手順について説明する。先ず、最初に、図1に示すように、ポリプロピレン(PP)と、でんぷんをベースとした自然分解プラスチックとを重量比で80対20の割合で混ぜる。この自然分解プラスチックは、生分解性及び水溶性の両性質を備えているものである。そして、この混合したものにフタル酸ジオクチルからなる可塑剤50を添加して、アイリッヒ社製のヘンシェルミキサーにより混合する。
【0048】次に、このポリプロピレン(PP)、自然分解プラスチック及び可塑剤50を混合したものを、押出機60に投入して、加熱溶融して、直径が約0.5mmで、長さが約0.5mm乃至1.0mm程度の略円柱状の樹脂ペレットを形成する。次に、上述した樹脂ペレットとは別工程において、粉粒状の重金属20と、チタン系のカップリング剤40とを混合する。このチタン系のカップリング剤40は、重金属20の表面と、生分解性樹脂30の分子との界面接着性を向上させるためのものである。具体的には、チタン系カップリング剤をNプロピルアルコールにて温度50度で1時間程度、攪拌混合することにより溶かして、樹脂ペレットに添加する。なお、この重金属20は、上述したように、粒径が所定の範囲に設定された大粒径金属粒22と、小粒径金属粒23とを、それぞれ所定の割合に設定してあるものである。
【0049】次に、この重金属20にカップリング剤40を添加したものを乾燥炉で乾燥する。次に、このカップリング剤40及び重金属20を混合したものと、生分解性樹脂30に可塑剤50を添加して形成した樹脂ペレットとを粉体混合機で混合する。なお、この樹脂ペレットと、カップリング剤40を添加した重金属20との混合は、高速回転羽根式混合機であるアイリッヒ社製のヘンシェルミキサーを採用している。この高速回転羽根式混合機を使用すれば、比重差が極めて大きな比重1程度の樹脂ペレットと、比重が19程度のタングステンからなる重金属20であっても、極めて均一な混合を行える。
【0050】次に、樹脂ペレットと重金属20とを混合したものを、押出機120に投入する。次に、図2に示すように、押出機120に投入された樹脂ペレット及び重金属20は、加熱され、押出機120の内部のスクリューで押出口121から冷風装置132を有する冷房室131に押し出される。この冷風装置132は、押出口121から溶融状態で押し出される高比重熱可塑性樹脂組成物10を冷却する。冷風装置132によって冷やされた高比重熱可塑性樹脂組成物10は、ペレタイザー140によって切断され、ペレット状にされる。このペレタイザー140には、高比重熱可塑性樹脂組成物10を回転刃によって切断するホットカッター141を備えている。なお、特に図示しないが、ホットカッター141は、回転刃を暖める加温装置と、回転刃の回転速度を調節するインバータとを備えているものである。これにより、切断すべき高比重熱可塑性樹脂組成物10の温度等の条件に合わせて回転刃の温度や回転速度を調節することができるものである。
【0051】次に、ペレタイザー140によりペレット状に切断された高比重熱可塑性樹脂組成物10を、解砕機145の内部に投入する。この解砕機145は、ペレタイザー140で切断された高比重熱可塑性樹脂組成物10が、余熱で溶着した状態のペレットとなっているものを、形状の整ったペレットにするものである。次に、ペレット状の高比重熱可塑性樹脂組成物10を、解砕機145からタンブラー150に投入する。このタンブラー150は、ペレット状の高比重熱可塑性樹脂組成物10を、ある程度の量が溜まった後にかき混ぜるものである。このタンブラー150により、材料の投入時の不均一や押出機120内の混練の不充分等によって、ペレットごとに比重差があっても、かき混ぜられることによって均一化することができる。上述した工程により、ペレット状の高比重熱可塑性樹脂組成物10が完成する。
【0052】次に、このペレット状の高比重熱可塑性樹脂組成物10を別の押出機である射出成形機の内部に投入して、所定の型内に射出することにより、所定の型を有する高比重熱可塑性樹脂組成物10を使用した射出成形品を形成することができる。なお、形成された射出成形品は、図3に示すように、生分解性樹脂30の内部に重金属20が埋め込まれた状態にすることができる。そして、生分解性樹脂30の内部に埋め込まれた重金属20は、大粒径金属粒22と小粒径金属粒23とが、生分解性樹脂30の内部で均一に分散されたものにすることができる。これにより、高比重の樹脂成形品を得ることができる。具体的には、例えば、比重0.91のポリプロピレン(PP)と、比重19.3のタングステンとの重量混合比を、ポリプロピレンとタングステンの合計重量に対して、ポリプロピレンを3.5重量%(43.5容量%)、タングステンを96.5重量%(56.5容量%)に設定した場合、上述した工程で形成することにより、その比重が11.3の樹脂成形品が形成され、比重11.3の鉛に略等しい重量感を有するものを得ることができる。
【0053】なお、上述した工程では、押出機120から冷房室131に押し出して樹脂ペレットを形成し、その樹脂ペレットを再度、射出成形機に投入して成形品を得ていたが、製造工程は、特にこれに限定されるものでは無い。すなわち、押出機120から冷房室131に押し出さずに、押出機120の押出口121に成形型等を配置して、溶融した高比重熱可塑性樹脂組成物10を直接、成形型の内部に投入して、成形品を形成しても良いものである。これにより、少ない工程で成形品を得ることができる。
【0054】次に、上記した実施の形態の作用及び効果について説明する。本実施の形態に係る高比重熱可塑性樹脂組成物10は、生分解性を有する生分解性樹脂30と、粉粒状のタングステンからなる重金属20とを混合している。このため、生分解性樹脂30を押出機120の内部で溶融状態として、冷却することにより、この生分解性樹脂30が、粉粒状の重金属20同士を結合させるバインダーとしての役割を果たし、生分解性樹脂30の内部に粉粒状の重金属20を埋め込むことができる。そして、生分解性を有する生分解性樹脂30と、タングステンからなる重金属20を使用しているため、自然環境中に放置されても、微生物等により分解されて、そのまま、自然環境に悪影響を及ぼすことがない。このため、かかる高比重熱可塑性樹脂組成物10からなる樹脂成形品により釣り用の錘を形成すると、環境に対して良好なものを形成することができる。
【0055】そして、生分解性樹脂30には、可塑剤50が添加されているため、生分解性樹脂30の流動性を向上させることができる。これにより、生分解性樹脂30と粉粒状の重金属20との加熱混練時における生分解性樹脂30と重金属20の金属表面との接触状態を良好なものにすることができる。すなわち、流動性が良好な生分解性樹脂30を、粉粒状の重金属20の表面周囲にくまなく、行き渡らせることができる。そして、重金属20の金属表面が凹凸状であっても、その凹凸状の表面に対して生分解性樹脂30の追従性を良好なものにすることができ、両者間に隙間を発生することを抑え、両者を強固に密着させることができる。
【0056】さらに、生分解性樹脂30に可塑剤50を用いて形成した樹脂ペレットに、カップリング剤40を添加しているため、重金属20の金属表面を被覆して樹脂との親和性を高め、樹脂と金属との界面で剥離が生じるのを抑えることができる。これにより、生分解性樹脂30と粉粒状の重金属20との接着性を向上させることができる。したがって、曲げ加工等により粉粒状の重金属20の周囲で生分解性樹脂30が弾性変形しても、重金属20の表面から生分解性樹脂30が剥離することを抑えることができる。
【0057】上述したように、この高比重熱可塑性樹脂組成物10を使用して、自然環境に悪影響を及ぼすことなく、高温時の流動特性が良くて成形加工性が良好な上に、重量感がある軟質性に優れた成形品を形成することができる。これにより、釣り用の錘等としては、最適な材料を提供することができる。
【0058】
【実施例1】次に、本発明に係る実施例について、重金属20、カップリング剤40及び可塑剤50の配合量が、特許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物10と、本発明から外れるものとを使用して、成形品を形成し、それぞれについて、割れ、重量感、成形性及び経済性について、試験を実施し、評価を行った。試験結果を表1に示す。試験結果が良好なものを記号○で示し、試験結果がやや不良なものを記号△で示し、試験結果が不良なものを記号×で示した。なお、表1中の重金属20の配合量は、タングステンからなる重金属20及び生分解性樹脂30の合計重量に対する割合(重量%)を示し、カップリング剤40の含有量は、重金属20の総重量に対する割合(重量%)を示し、可塑剤50の含有量は、生分解性樹脂30の総重量に対する割合(重量%)を示すものである。なお、生分解性樹脂30の配合量(重量%)は、特に示していないが、100重量%から重金属20の配合量を引いた残りである。また、生分解性樹脂30は、ポリプロピレン(PP、チッソ株式会社製のXK3262)と、でんぷんをベースとする生分解及び水溶性の自然分解プラスチック(ノボン・ジャパン株式会社製のNOVON RO390)とを重量比で80対20の割合で混合したものを使用した。
【0059】
【表1】


【0060】この表1から明らかなように、実施例1乃至実施例7は、樹脂成形品の割れ、重量感、成形性及び経済性の試験結果がいずれも、良好であった。また、実施例1乃至実施例7は、その比重が鉛(比重11.3)の前後の値となり、いずれも、その重量感は満足できるものであった。そして、その成形品を万力で強固に圧着すると、鉛と同様の軟らかさで、押し広げられ簡単に平板状になった。
【0061】一方、重金属20の配合量が少ない比較例1は、重量感が少々満足されないものとなった。また、重金属20が100重量%で、生分解性樹脂30が含まれていない比較例2は、樹脂成形品に割れが発生し、成形品として形状を保持することができず、成形性が不良であった。また、カップリング剤40の配合量が少ない比較例3は、樹脂成形品に割れが少々発生し、やや不良となった。また、カップリング剤40の配合量が多い比較例4は、必要十分な配合量を越えるカップリング剤40が添加されたことにより、却って、強度が不足し、割れ等が発生し、経済性もやや悪いものとなった。また、可塑剤50の配合量が少ない比較例5は、樹脂成形品に割れが少々発生して、やや不良となり、また、押出時の流動特性が低下し、成形性がやや不良となった。また、可塑剤50の配合量が多い比較例6は、成形性等は良好であったが、樹脂成形品が却って硬くなって脆くなり割れ等が発生した。また、経済性も悪化した。
【0062】
【実施例2】次に、本発明に係る実施例について、重金属20の小粒径金属粒23及び大粒径金属粒22の粒度及び配合量が、特許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物10と本発明から外れるものとを使用して、成形品を形成し、それぞれについて、成形時の混練抵抗、作業中の粉塵の発生状況、製造コスト、成形時の押出機内部や混合機内部でのブリッジの発生状況、樹脂成形品の割れの発生状況、樹脂成形品の強度及び成形品のフローマークの発生阻止について、試験を実施し、評価を行った。試験結果を表2に示す。試験結果が、特に良好なものを記号◎で示し、試験結果が良好なものを記号○で示し、試験結果がやや不良なものを記号△で示し、試験結果が不良なものを記号×で示した。なお、表2中の小粒径金属粒23及び大粒径金属粒22の配合量は、小粒径金属粒23及び大粒径金属粒22の合計重量に対するそれぞれの割合(重量%)を示している。
【0063】
【表2】


【0064】この表2から明らかなように、実施例8乃至実施例18は、混練抵抗、粉塵の発生、製造コスト、ブリッジの発生、成形品の割れ、成形品の強度及びフローマークの発生の試験結果がいずれも良好であった。特に、大粒径金属粒22の粒度において、100ミクロン乃至150ミクロンのものが30重量%以上添加されている実施例13乃至実施例15では、混練抵抗が小さくて試験結果が特に良好であった。また、大粒径金属粒22が55重量%以上添加されている実施例8乃至実施例10及び実施例13、実施例14及び実施例17は、フローマークの発生が少なく良好であった。
【0065】さらに、大粒径金属粒22のうち、その粒径が比較的に大きな30ミクロン乃至60ミクロンのものと、その粒径が比較的に小さな100ミクロン乃至150ミクロンのものとに二極化した実施例16、実施例17及び実施例18は、混練抵抗が小さく、成形性が特に良好であった。一方、小粒径金属粒23の配合量が少なく、大粒径金属粒22の配合量が多い比較例7は、大粒径金属粒22によるブリッジが成形機内部で発生し、樹脂成形品の割れが多発し、その強度も不良となった。また、小粒径金属粒23の配合量が多く、大粒径金属粒22の配合量が少ない比較例8は、混練抵抗が増加し、不良となり、粉塵が少々発生し、やや不良となり、製造コストも悪く、やや不良となった。また、小粒径金属粒23の粒度範囲の下限を0.1ミクロンまでに設定した比較例9は、混練抵抗がやや不良となり、作業中の粉塵の発生状況が不良となり、製造コストがやや不良となった。また、小粒径金属粒23の上限を30ミクロンまでに設定した比較例10は、ブリッジが発生し、やや不良となった。また、大粒径金属粒22の下限を10ミクロンまでに設定した比較例11は、混練抵抗がやや不良となった。また、大粒径金属粒22の上限を250ミクロンまでに設定した比較例12は、ブリッジの発生、成形品の割れ及び成形品の強度において不良となった。また、大粒径金属粒22の粒度が100ミクロン乃至150ミクロンのものが90重量%の比較例13は、ブリッジが発生し、成形品の割れ及び成形品の強度が不良となった。また、大粒径金属粒22の粒度が100ミクロン乃至150ミクロンのものが10重量%の比較例14は、混練抵抗が不良となり、粉塵の発生、製造コスト及びフローマークの発生がやや不良となった。
【0066】
【実施例3】次に、本発明に係る高比重熱可塑性樹脂組成物10を用いて成形した樹脂成形品により各種試験片を形成し、物性試験を行った。
(1)試料以下の条件により得られた高比重熱可塑性樹脂組成物からなる成形品重金属20と生分解性樹脂30との重量比 96対4タングステンからなる重金属20の粒度分布1〜3ミクロンのものが、重金属20の総量に対して50重量%100〜150ミクロンのものが、重金属20の総量に対して50重量%カップリング剤40は、重金属20の総重量に対して0.4重量%可塑剤50は、生分解性樹脂30の総重量に対して10重量%(2)試験項目(2−1)引張試験測定項目:引張強さ測定条件:引張速さ 5mm/min、チャック間距離 80mm試験温度:23度・55%RH試験数 :N=5(2−2)曲げ試験測定項目:曲げ強さ、曲げ弾性率、たわみ測定条件:曲げ速さ 1.5mm/min、支点間距離 50mm試験温度:23度・55%RH試験数 :N=1 (2−3)衝撃試験 測定項目:アイゾット衝撃強さ(ノッチ付き)
測定条件:ハンマー 10kgf、持ち上げ角度 135度 空振り時の振り上がり角度 131度 試験温度:23度・55%RH 試験数 :N=5(2−4)硬さ試験測定項目:ロックウェル硬さ測定条件:Rスケール試験温度:23度・55%RH試験数 :N=5(3)試験結果(3−1)引張試験0.81kgf/平方ミリメートル0.83kgf/平方ミリメートル0.84kgf/平方ミリメートル0.84kgf/平方ミリメートル0.86kgf/平方ミリメートルN=5個の平均 0.84kgf/平方ミリメートル(3−2)曲げ試験曲げ強さ:1.42kgf/平方ミリメートル曲げ弾性率:420kgf/平方ミリメートルたわみ:3.57mm(3−3)衝撃試験アイゾット衝撃強さ(kgf−cm/cm)
6.51kgf−cm/cm6.17kgf−cm/cm6.17kgf−cm/cm6.17kgf−cm/cm6.47kgf−cm/cmN=5個の平均 6.30kgf−cm/cm(3−4)硬さ試験ロックウェル硬さ(Rスケール)
38.533.035.331.837.5N=5個の平均 35.2
【0067】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。請求項1記載の発明によれば、重量感を得ることができる上に、環境に良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0068】請求項2記載の発明によれば、環境に悪影響を及ぼさない上に、重量感を得ることができる高比重熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。請求項3及び請求項4記載の発明によれば、成形性が良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。請求項5記載の発明によれば、フローマークの発生を抑えることができる高比重熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0069】請求項6記載の発明によれば、成形性が良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。請求項7記載の発明によれば、重金属と、生分解性樹脂との界面接着性が良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。請求項8記載の発明によれば、成型時の流動特性を向上させることができる高比重熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0070】請求項9記載の発明によれば、重量感を得ることができて、環境に良好な高比重熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。請求項10記載の発明によれば、重量感を得ることができて、環境に良好な高比重熱可塑性樹脂組成物を使用した成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態であって、高比重熱可塑性樹脂組成物の製造工程の一部を示す概略模式図である。
【図2】本発明の実施の形態であって、高比重熱可塑性樹脂組成物の製造工程の一部を示す概略模式図である。
【図3】本発明の実施の形態であって、高比重熱可塑性樹脂組成物を使用した樹脂成形品を示す部分断面図である。
【符号の説明】
10 高比重熱可塑性樹脂組成物 20 重金属
22 大粒径金属粒 23 小粒径金属粒
30 生分解性樹脂 40 カップリング剤
50 可塑剤 60 押出機
120 押出機 121 押出口
131 冷房室 132 冷風装置
140 ペレタイザー 141 ホットカッター
145 解砕機 150 タンブラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 生分解性を有する生分解性樹脂と、重金属とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物であって、生分解性樹脂に可塑剤を用いて形成した樹脂ペレットに、生分解性樹脂と重金属との界面接着性を向上させるためのカップリング剤を添加し、粉粒状の重金属と混合したことを特徴とする高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】 重金属は、タングステンからなり、その混合比は、重金属及び生分解性樹脂の合計重量に対して、94重量%乃至99重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】 重金属は、粒径が大きな大粒径金属粒と粒径が小さな小粒径金属粒との、二種類を混合することとし、前記小粒径金属粒は、その粒径が1ミクロン乃至3ミクロンの範囲のものが、重金属の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあり、前記大粒径金属粒は、重金属の重量から小粒径金属粒の重量を引いた残部であって、その粒径が30ミクロン乃至150ミクロンの範囲のものが、重金属の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】 重金属は、粒径が大きな大粒径金属粒と粒径が小さな小粒径金属粒との、二種類を混合することとし、前記小粒径金属粒は、その粒径が1ミクロン乃至3ミクロンの範囲のものが、重金属の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあり、前記大粒径金属粒は、重金属の重量から小粒径金属粒の重量を引いた残部であって、その粒径が100ミクロン乃至150ミクロンの範囲のものが、重金属の総重量に対して、30重量%乃至70重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】 大粒径金属粒を、重金属の総重量に対して、55重量%乃至70重量%の範囲にしたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】 大粒径金属粒を、重金属の総重量に対して、その粒径が30ミクロン乃至60ミクロンのものが、15重量%乃至35重量%の範囲にあり、その粒径が100ミクロン乃至150ミクロンのものが、15重量%乃至35重量%の範囲にあることを特徴とする請求項3または請求項4記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】 カップリング剤は、重金属の総重量に対して、0.2重量%乃至0.5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】 可塑剤は、生分解性樹脂の総重量に対して、4重量%乃至12重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7記載の高比重熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】 重金属と、生分解性を有する生分解性樹脂とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、生分解性樹脂に可塑剤を添加して樹脂ペレットを形成する工程と、粉粒状の重金属と、この重金属及び生分解性樹脂の接着性を向上させるためのカップリング剤と混合する工程と、このカップリング剤及び重金属を混合したものと、生分解性樹脂に可塑剤を添加して形成した樹脂ペレットとを粉体混合機で混合する混合工程とを備えたことを特徴とする高比重熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】 重金属と、生分解性を有する生分解性樹脂とを主成分とした高比重熱可塑性樹脂組成物を使用した成形品であって、生分解性樹脂に可塑剤を添加して樹脂ペレットを形成する工程と、粉粒状の重金属と、この重金属及び生分解性樹脂の接着性を向上させるためのカップリング剤と混合する工程と、このカップリング剤及び重金属を混合したものと、生分解性樹脂に可塑剤を添加して形成した樹脂ペレットとを粉体混合機で混合する混合工程と、この混合工程により混合したものを押出機の内部に投入して、押出機から押し出すペレット化工程と、このペレット化工程により押し出したものを、射出成形機を使用して、型内部に射出する射出成形工程とにより得られることを特徴とする高比重熱可塑性樹脂組成物を使用した成形品。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−256569(P2000−256569A)
【公開日】平成12年9月19日(2000.9.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−59546
【出願日】平成11年3月8日(1999.3.8)
【出願人】(592262532)ダイセー工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】