説明

高湿分ガスタービン設備

【課題】発電効率の低下を抑えつつ、コジェネ効率の向上を図ることができる高湿分ガスタービン設備を提供する。
【解決手段】空気を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1で生成した圧縮空気と燃料を燃焼する燃焼器2と、燃焼器2で生成した燃焼ガスにより駆動するガスタービン3と、ガスタービン3の駆動によって発電する発電機4と、圧縮機1からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器5と、加湿器5からの圧縮空気をガスタービン3の排ガスによって加熱し燃焼器2へ送る再生熱交換器6とを備えた高湿分ガスタービン設備において、外部からの工場排熱媒体Aを利用して加熱し、加湿器5用の温水を生成する熱交換器17,18と、ガスタービン3の排ガスを利用して加熱し、外部供給用の蒸気を生成するボイラ7と、圧縮機1から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、外部供給用の蒸気を生成するボイラ20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器に供給する圧縮空気を加湿し、タービン出力及び効率の向上を図る高湿分ガスタービン設備に関する。
【背景技術】
【0002】
高湿分ガスタービン設備は、例えば、空気を圧縮する圧縮機と、この圧縮機で生成した圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器と、この燃焼器で生成した燃焼ガスによって駆動するガスタービンと、このガスタービンの駆動によって発電する発電機と、ガスタービンの排ガスによって水を加熱する給水加熱器と、この給水加熱器で生成した温水で圧縮機からの圧縮空気を加湿する加湿器と、この加湿器からの圧縮空気をガスタービンの排ガスによって加熱し燃焼器へ送る再生熱交換器とを備えている(例えば、特許文献1参照)。この高湿分ガスタービン設備では、燃焼器に供給する圧縮空気を加湿することにより、燃焼ガスの流量が増加するとともに燃焼ガスの比熱が増加し、これによってタービン出力が増大するようになっている。また、加湿器用の温水生成や圧縮空気の加熱などの発電に必要な熱量をガスタービンの排ガスから回収することにより、発電効率が向上するようになっている。また、この高湿分ガスタービン設備では、ガスタービンの排ガスによって水を加熱し、外部供給用の蒸気を生成する排熱ボイラを設けている。これにより、コジェネ効果が得られるようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−98156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術には以下のような課題が存在する。
すなわち、上記従来技術においては、ガスタービンの排ガスから回収した熱量の一部を例えば加湿器用の温水生成等に利用することにより、発電効率を向上させ、またガスタービンの排ガスから回収した熱量の一部を外部供給用の蒸気生成に利用することにより、コジェネ効果を得るようになっている。そのため、例えばコジェネ効率の向上を意図して、外部供給用の蒸気生成に利用する熱量を増加させると、加湿器用の温水生成に利用するための熱量などが不足して、発電効率が低下する恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、発電効率の低下を抑えつつ、コジェネ効率の向上を図ることができる高湿分ガスタービン設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で生成した圧縮空気と燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で生成した燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動によって発電する発電機と、前記圧縮機からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器と、前記加湿器からの圧縮空気を前記ガスタービンの排ガスによって加熱し前記燃焼器へ送る再生熱交換器とを備えた高湿分ガスタービン設備において、外部からの工場排熱媒体を利用して加熱し、前記加湿器用の温水を生成する第1加熱装置と、前記ガスタービンの排ガスを利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第2加熱装置とを備える。
【0007】
本発明においては、例えば産業用プラント等で発生する工場廃熱媒体(主に200℃以下程度の低温廃熱媒体)を利用して加熱し、加湿器用の温水(例えば150℃程度の温水)を生成する第1加熱装置を設ける。これにより、工場廃熱を有効利用することができる。また、加湿器用の温水を生成するために必要な熱量を工場廃熱で補うことにより、例えばガスタービンの排ガス(例えば250℃程度以上の排ガス)などを利用しなくとも発電効率の低下を抑えることができる。そして、本発明においては、ガスタービンの排ガスを利用して加熱し、生成した蒸気(又は温水)を工場などに供給する第2加熱装置を設ける。これにより、ガスタービンの排ガスから回収した熱量を、加湿器用の温水生成のために分配することなく、外部供給用の蒸気(又は温水)生成に利用することができ、コジェネ効率の向上を図ることができる。したがって本発明においては、発電効率の低下を抑えつつ、コジェネ効率の向上を図ることができる。
【0008】
(2)上記目的を達成するために、また本発明は、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で生成した圧縮空気と燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動によって発電する発電機と、前記圧縮機からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器と、前記加湿器からの圧縮空気を前記ガスタービンの排ガスによって加熱し前記燃焼器へ送る再生熱交換器とを備えた高湿分ガスタービン設備において、外部からの工場排熱媒体を利用して加熱し、前記加湿器用の温水を生成する第1加熱装置と、前記圧縮機から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第3加熱装置とを備える。
【0009】
本発明は、上記(1)同様、例えば産業用プラント等で発生する工場廃熱媒体(主に200℃以下程度の低温廃熱媒体)を利用して加熱し、加湿器用の温水(例えば150℃程度の温水)を生成する第1加熱装置を設ける。これにより、工場廃熱を有効利用することができる。また、加湿器用の温水を生成するために必要な熱量を外部からの工場廃熱で補うことにより、例えば圧縮機から吐出された圧縮空気(例えば250℃程度以上の圧縮空気)などを利用しなくとも発電効率の低下を抑えることができる。そして、本発明においては、圧縮機から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、生成した蒸気(又は温水)を工場などに供給する第3加熱装置を設ける。これにより、圧縮機から吐出された圧縮空気から回収した熱量を、加湿器用の温水生成のために分配することなく、外部供給用の蒸気(又は温水)生成に利用することができ、コジェネ効率の向上を図ることができる。したがって本発明においては、発電効率の低下を抑えつつ、コジェネ効率の向上を図ることができる。
【0010】
(3)上記目的を達成するために、また本発明は、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で生成した圧縮空気と燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動によって発電する発電機と、前記圧縮機からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器と、前記加湿器からの圧縮空気を前記ガスタービンの排ガスによって加熱し前記燃焼器へ送る再生熱交換器とを備えた高湿分ガスタービン設備において、外部からの工場排熱媒体を利用して加熱し、前記加湿器用の温水を生成する第1加熱装置と、前記ガスタービンの排ガスを利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第2加熱装置と、前記圧縮機から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第3加熱装置とを備える。
【0011】
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、好ましくは、前記第1加熱装置は、ヒートポンプ又は助燃装置を有する。
【0012】
これにより、例えば工場排熱媒体から回収した熱量だけでは加湿器用の温水を十分に生成できないような場合にも対応することができ、加湿器用の温水を生成することができる。
【0013】
(5)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、好ましくは、前記第2加熱装置又は/及び前記第3加熱装置は、ヒートポンプ又は助燃装置を有する。
【0014】
これにより、例えば圧縮機からの圧縮空気やガスタービンの排ガスから回収した熱量だけでは外部供給用の蒸気又は温水を十分に生成できないような場合にも対応することができ、外部供給用の蒸気又は温水を生成することができる。
【0015】
(6)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、好ましくは、前記第2加熱装置又は/及び前記第3加熱装置が外部供給用の蒸気又は温水を生成するときの第1配管系統と、前記第2加熱装置又は/及び前記第3加熱装置が前記加湿器用の温水を生成するときの第2配管系統とを設け、前記第1配管系統及び第2配管系統のうちいずれか一方が連通状態、他方が遮断状態となるように切換え可能な弁手段を設ける。
【0016】
これにより、例えば第1配管系統が連通状態、第2配管系統が遮断状態となるように弁手段で切換えた場合、第2加熱装置又は/及び第3加熱装置は、外部供給用の蒸気(又は温水)を生成することができる。一方、例えば第1配管系統が遮断状態、第2配管系統が連通状態となるように弁手段で切換えた場合、第2加熱装置又は/及び第3加熱装置は、加湿器用の温水を生成することができる。これにより、例えば工場の稼働状況などによって工場排熱媒体を利用することができない場合でも、発電に必要な加湿器用の温水を確実に生成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発電効率の低下を抑えつつ、コジェネ効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の高湿分ガスタービン設備の一実施形態の構成を表す概略図である。
【0019】
この図1において、高湿分ガスタービン設備は、空気を圧縮する圧縮機1と、この圧縮機1で生成した圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器2と、この燃焼器2で生成した燃焼ガスによって駆動するガスタービン3と、このガスタービン3の駆動によって発電する発電機4と、圧縮機1からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器5と、この加湿器5からの圧縮空気をガスタービン3の排ガスによって加熱し燃焼器2へ送る再生熱交換器6とを備えている。なお、圧縮機1、ガスタービン3、及び発電機4は、同軸で連結されており、ガスタービン3の回転駆動に伴って圧縮機1及び発電機4が回転駆動するようになっている。
【0020】
再生熱交換器6の排ガス下流側には、ガスタービン3の排ガスから熱を回収するボイラ7と、排ガスから湿分を回収する水回収装置8と、排ガスを大気中に放出する煙突9とがその順序で設けられている。水回収装置8は、散水部8aから排ガス中に散水することにより、排ガス中に含まれる湿分が凝縮し、その凝縮水が落下して水溜め部8bに回収されるようになっている。水回収装置8の水溜め部8bに溜められた水は、循環ポンプ10によって冷却装置11に送られて冷却された後、散水部8aから散水されるようになっている。なお、水回収装置8の水溜め8bの水は、補給ポンプ12によって補給されるようになっている。
【0021】
加湿器5は、液分散部5aから圧縮空気中に温水(例えば150℃程度の温水)を散布し、この散布した温水の一部が圧縮空気と接触して蒸発することにより圧縮空気を加湿し、蒸発しなかった温水が落下して水溜め部5bに回収されるようになっている。加湿器5の水溜め部5bに溜められた水は、循環ポンプ13によって循環配管系統14を介し液分散部5aに送られ、液分散部5aから散布されるようになっている。また、加湿器5の水溜め部5bの水は、供給ポンプ15によって水回収装置8の水溜め部8bから補給配管系統16を介し補給されるようになっている。
【0022】
ここで本実施形態の大きな特徴として、循環配管系統14及び補給配管系統16には熱交換器17,18(第1熱交換器)がそれぞれ設けられており、これら熱交換器17,18は、例えば産業用プラント等で発生する工場排熱媒体A(主に200℃程度以下の排熱媒体)を利用して加熱するようになっている。詳細には、熱交換器17は、工場排熱媒体Aとの熱交換により加湿器5の水溜め部5bからの水を加熱し、熱交換器18は、工場排熱媒体Aとの熱交換により水回収装置8の水溜め部8bからの水を加熱するようになっている。
【0023】
ボイラ7は、ガスタービン3の排ガス(例えば250℃程度以上の排ガス)との熱交換により、例えば工場で使用され配管19Aを介し導入された水を加熱し、生成した蒸気(例えば250℃程度以上の蒸気、又は温水としてもよい)を配管19Bを介し工場へ供給するようになっている。
【0024】
また、圧縮機1と加湿器5との間には、圧縮機1から吐出された圧縮空気から熱を回収するボイラ20(第3加熱装置)が設けられている。ボイラ20は、圧縮機1で圧縮昇温された圧縮空気(例えば250℃程度以上の圧縮空気)との熱交換により、例えば工場で使用され配管21Aを介し導入された水を加熱し、生成した蒸気(例えば250℃程度以上の蒸気、又は温水としてもよい)を配管21Bを介し工場へ供給するようになっている。
【0025】
以上のように構成された本実施形態においては、熱交換器17,18は、工場廃熱媒体Aを利用して加熱し、加湿器5用の温水を生成する。これにより、工場廃熱を有効利用することができる。すなわち、工場では多種の廃熱媒体Aが発生するが、これら工場廃熱媒体Aのなかには温度が低いために有効利用されず、廃棄されているものが多くある。また、工場廃熱媒体Aを廃棄する際には、法規上の理由により60℃程度まで冷却しなければならず、そのための冷却設備を設置する必要がある。本実施形態では、このような工場廃熱媒体Aを利用するので、工場全体のエネルギー効率の向上を図ることができる。また、工場廃熱媒体Aを廃棄するための冷却設備を削減又は縮小することができる。
【0026】
また、加湿器5用の温水を生成するために必要な熱量を工場廃熱で補うことにより、例えばガスタービン3の排ガスや圧縮機1から吐出された圧縮空気などを利用しなくとも発電効率の低下を抑えることができる。そして、本実施形態においては、ボイラ7は、ガスタービン3の排ガスを利用して加熱し、生成した蒸気を工場などに供給する。また、ボイラ20は、圧縮機1から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、生成した蒸気を工場などに供給する。これにより、ガスタービンの排ガスや圧縮機1から吐出された圧縮空気から回収した熱量を、加湿器5用の温水生成のために分配することなく、外部供給用の蒸気生成に利用することができ、コジェネ効率の向上を図ることができる。したがって本実施形態においては、発電効率の低下を抑えつつ、コジェネ効率の向上を図ることができる。
【0027】
また本実施形態においては、ガスタービン3の排ガスを利用して加熱し、外部供給用の蒸気を生成するボイラ7と、圧縮機1から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、外部供給用の蒸気を生成するボイラ20とを設けることにより、いずれか一方を設けた場合に比べ、コジェネ効率の向上を図ることができる。
【0028】
なお、上記一実施形態においては、工場排熱媒体Aを利用して加湿器5の水溜め部5bからの水を加熱する熱交換器17と、工場排熱媒体Aを利用して水回収装置8の水溜め部8bからの水を加熱する熱交換器18とを備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば熱交換器17,18のうちいずれか一方だけを設けてもよい。また、例えば工場排熱媒体Aから回収した熱量だけでは加湿器5用の温水を十分に生成できないような場合に対応するため、ヒートポンプや助燃装置等を組み合わせて設けてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0029】
また、上記一実施形態においては、ガスタービン3の排ガスを利用して加熱し、外部供給用の蒸気(又は温水)を生成するボイラ7と、圧縮機1から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、外部供給用の蒸気(又は温水)を生成するボイラ20とを設けた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えばボイラ7,20のうちいずれか一方だけを設けてもよいし、また例えばボイラ7,20のうちいずれか一方を加湿器5用の温水を生成するために用いてもよい。また、例えばガスタービン3の排ガスや圧縮機1から吐出された圧縮空気から回収した熱量だけでは外部供給用の蒸気(又は温水)を十分に生成できないような場合に対応するため、ヒートポンプや助燃装置等を組み合わせて設けてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0030】
本発明の他の実施形態を図2により説明する。本実施形態は、ボイラ7,20が外部供給用の蒸気を生成する場合と、ボイラ7,20が加湿器5用の温水を生成する場合とを切換え可能にした実施形態である。
【0031】
図2は、本実施形態による高湿分ガスタービン設備の構成を表す概略図である。この図2において、上記一実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0032】
本実施形態では、ボイラ7は、第1配管系統としての上記配管19A,19Bが接続されており、これら配管19A,19Bには連通・遮断状態に切換え可能な切換弁22A,22Bを設けている。また、ボイラ7は、循環配管系統14をバイパスする第2配管系統として、循環配管系統14における循環ポンプ13の下流側に分岐接続された配管23Aと、循環配管系統14における熱交換器17の下流側に合流接続された配管23Bとが接続されており、これら配管23A,23Bには連通・遮断状態に切換え可能な切換弁24A,24Bをそれぞれ設けている。
【0033】
ボイラ20は、第1配管系統としての上記配管21A,21Bが接続されており、これら配管21A,21Bには連通・遮断状態に切換え可能な切換弁25A,25Bを設けている。また、ボイラ20は、循環配管系統14をバイパスする第2配管系統として、循環配管系統14における循環ポンプ13の下流側(図2では、熱交換器17の下流側)に分岐接続された配管26Aと、循環配管系統14における熱交換器17の下流側(図2では、循環配管系統14における配管26Aの分岐部より下流側)に合流接続された配管26Bとが接続されており、これら配管26A,26Bには連通・遮断状態に切換え可能な切換弁27A,27Bを設けている。
【0034】
また、循環配管系統には、配管23A,26Aの分岐部より下流側かつ配管23B,26Bの合流部より上流側(言い換えれば、バイパス部)に、連通・遮断状態に切り換え可能な切換弁28を設けている。
【0035】
そして、例えば切換弁22A,22B,25A,25B,28を連通状態、切換弁24A,24B,27A,27Bを遮断状態に切換えた場合は、上記第1の実施形態同様、ボイラ7は、タービン3の排ガスを利用して外部供給用の蒸気を生成し、ボイラ20は、圧縮機1から吐出された圧縮空気を利用して外部供給用の蒸気を生成し、熱交換器17は、外部からの工場廃熱媒体Aを利用して加湿器5の水溜め部5bからの水を加熱することができる。これにより、上記第1の実施形態同様、発電効率の低下を抑えつつ、コジェネ効率の向上を図ることができる。
【0036】
一方、図2に示すように、例えば切換弁22A,22B,25A,25B,28を遮断状態(図中黒塗りで図示)、切換弁24A,24B,27A,27Bを連通状態(図中白抜きで図示)に切換えた場合は、ボイラ7は、タービン3の排ガスを利用して加湿器5の水溜め部5bからの水を加熱し、ボイラ20は、圧縮機1から吐出された圧縮空気を利用して加湿器5の水溜め部5bからの水を加熱することができる。これにより、例えば工場の稼働状況などによって工場排熱媒体Aを利用することができない場合でも、発電に必要な加湿器5用の温水を確実に生成することができる。
【0037】
なお、上記他の実施形態においては、ボイラ7,20は、循環配管系統14をバイパスする第2配管系統をそれぞれ接続した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ボイラ7,20のうちいずれか一方は、これに代えて、例えば補給配管系統16をバイパスする第2配管系統を接続してもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0038】
なお、以上においては、高湿分ガスタービン設備は、水回収装置8を備えた構成を例にとって説明したが、これに限られず、例えば水回収装置8を設けず、ガスタービン3の排ガスから湿分を回収しないで煙突9から放出するような構成としてもよい。また、例えば圧縮機1の吸気側に吸気加湿装置を設けてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の高湿分ガスタービン設備の一実施形態の構成を表す概略図である。
【図2】本発明の高湿分ガスタービン設備の他の実施形態の構成を表す概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1 圧縮機
2 燃焼器
3 ガスタービン
4 発電機
5 加湿器
6 再生熱交換器
7 ボイラ(第2加熱装置)
17 熱交換器(第1加熱装置)
18 熱交換器(第1加熱装置)
19A,19B 配管(第1配管系統)
20 ボイラ(第3加熱装置)
21A,21B 配管(第1配管系統)
22A,22B 切換弁(弁手段)
23A,23B 配管(第2配管系統)
24A,24B 切換弁(弁手段)
25A,25B 切換弁(弁手段)
26A,26B 配管(第2配管系統)
27A,27B 切換弁(弁手段)
28 切換弁(弁手段)
A 工場排熱媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で生成した圧縮空気と燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で生成した燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動によって発電する発電機と、前記圧縮機からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器と、前記加湿器からの圧縮空気を前記ガスタービンの排ガスによって加熱し前記燃焼器へ送る再生熱交換器とを備えた高湿分ガスタービン設備において、
外部からの工場排熱媒体を利用して加熱し、前記加湿器用の温水を生成する第1加熱装置と、
前記ガスタービンの排ガスを利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第2加熱装置とを備えたことを特徴とする高湿分ガスタービン設備。
【請求項2】
空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で生成した圧縮空気と燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動によって発電する発電機と、前記圧縮機からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器と、前記加湿器からの圧縮空気を前記ガスタービンの排ガスによって加熱し前記燃焼器へ送る再生熱交換器とを備えた高湿分ガスタービン設備において、
外部からの工場排熱媒体を利用して加熱し、前記加湿器用の温水を生成する第1加熱装置と、
前記圧縮機から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第3加熱装置とを備えたことを特徴とする高湿分ガスタービン設備。
【請求項3】
空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で生成した圧縮空気と燃料を燃焼する燃焼器と、前記燃焼器からの燃焼ガスにより駆動するガスタービンと、前記ガスタービンの駆動によって発電する発電機と、前記圧縮機からの圧縮空気を温水と直接接触させて加湿する加湿器と、前記加湿器からの圧縮空気を前記ガスタービンの排ガスによって加熱し前記燃焼器へ送る再生熱交換器とを備えた高湿分ガスタービン設備において、
外部からの工場排熱媒体を利用して加熱し、前記加湿器用の温水を生成する第1加熱装置と、
前記ガスタービンの排ガスを利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第2加熱装置と、
前記圧縮機から吐出された圧縮空気を利用して加熱し、外部供給用の蒸気又は温水を生成する第3加熱装置とを備えたことを特徴とする高湿分ガスタービン設備。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の高湿分ガスタービン設備において、前記第1加熱装置は、ヒートポンプ又は助燃装置を有することを特徴とする高湿分ガスタービン設備。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の高湿分ガスタービン設備において、前記第2加熱装置又は/及び前記第3加熱装置は、ヒートポンプ又は助燃装置を有することを特徴とする高湿分ガスタービン設備。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の高湿分ガスタービン設備において、前記第2加熱装置又は/及び前記第3加熱装置が外部供給用の蒸気又は温水を生成するときの第1配管系統と、前記第2加熱装置又は/及び前記第3加熱装置が前記加湿器用の温水を生成するときの第2配管系統とを設け、前記第1配管系統及び第2配管系統のうちいずれか一方が連通状態、他方が遮断状態となるように切換え可能な弁手段を設けたことを特徴とする高湿分ガスタービン設備。

【図1】
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【図2】
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