説明

高熱拡散・高熱伝導の無機複合体

【課題】本発明は、熱伝導率に加えて熱拡散性をも高めた、更に熱伝導効率の高い無機複合体を安価に提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、非金属の母体を略真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱して溶融させ、該溶融した非金属の母体に銅と炭素同素体とを添加し、冷却して形成する。本発明によると、熱拡散性が高く、従来知られている鉱石よりも更に熱伝導効率の高い無機複合体を安価に提供することができる。また、拡散層の材料を選択することにより、装飾性が高い高熱伝導効率の無機複合体を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高熱拡散性及び高熱伝導性を備えた無機複合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
略真空状態下で珪素や珪素化合物を溶融し、当該溶融した珪素等に、鉄、アルミニウム、カルシウムを添加し、その後冷却することによって得る人工鉱石が特許文献1に開示されている。
【0003】
上記人工鉱石は、セラミックに比べて熱伝導率、耐火温度等の熱的物性値が良好で、例えば常温下で人工鉱石上に氷を載置すると、氷に熱を伝導させて極めて短時間で氷を溶かすことができる。あるいは人工鉱石の一部に物体を接触させて加温すると、熱は極めて短時間で伝導され、上記接触する物体の温度を低下させることができる。
【0004】
【特許文献1】特願2002−577728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の人工鉱石はアルミニウムを添加するため高価であり、実用的とはいえない。
【0006】
また一般に、熱伝導率が高い物質では、接触させた物体の熱は表面的に拡散し難く、当該物質の表面に垂直な方向にのみ熱は伝導しやすくなる。そのため、物質の吸収した熱は物質全体に均質には拡がらず、熱伝導の効率が悪くなる。
【0007】
そこで本発明は、熱伝導率に加えて熱拡散性をも高めた、更に熱伝導効率の高い無機複合体を安価に提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、同様に熱伝導効率の高い無機複合体を、装飾性を高めて提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、非金属の母体を略真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱して溶融させ、該溶融した非金属の母体に銅と炭素同素体とを添加し、冷却して形成する。
【0009】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、非金属の母体を略真空中で加熱して溶融させ、該溶融した非金属の母体に銅を添加して冷却することにより中間状態の無機複合体を得、該中間状態の無機複合体の表面から炭素イオンを注入して形成する。
【0010】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、銅を含む熱伝導領域と、前記熱伝導領域の表面の少なくとも一部に形成された、該熱伝導領域より前記炭素同素体の濃度が高い熱拡散領域と、を含む。
【0011】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、前記熱伝導領域の表面に形成された前記熱拡散領域が、該熱伝導領域に立てた法線方向に複数の熱拡散層を積層して構成され、該法線方向に向かって該複数の熱拡散層の前記炭素同素体の濃度が高くなる。
【0012】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、前記炭素同素体は灰であり得る。あるいは、前記炭素同素体はグラファイトであってもよく、ダイヤモンドであってもよい。
【0013】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、前記非金属の母体は、珪素、珪素化合物、セラミックス、トルマリンのいずれか又は複数からなるであり得る。
【0014】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法は、非金属の母体を、略真空中で加熱して溶融させる第1工程と、前記溶融した非金属の母体に、銅と炭素同素体とを添加して撹拌し、冷却して中間状態の無機複合体を得る第2工程と、前記中間状態の無機複合体を溶融させ、該溶融した中間状態の無機複合体の表面に、銅と炭素同素体とを添加して冷却する第3工程と、を含む。
【0015】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法は、前記第3工程における前記無機複合体に添加する前記炭素同素体の銅に対する重量比率は、前記第2工程における前記無機複合体に添加する前記炭素同素体の銅に対する重量比率より高いことを特徴とする。
【0016】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法は、第2工程及び/または第3工程は、焼入れ・焼鈍し工程を含んでもよい。
【0017】
本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法は、非金属の母体を、略真空中で加熱して溶融させる工程と、前記溶融した非金属の母体に銅を添加して撹拌し、冷却して中間状態の無機複合体を得る工程と、前記中間状態の無機複合体の表面から炭素イオンを照射する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、熱拡散性が高く、従来知られている鉱石よりも更に熱伝導効率の高い無機複合体を安価に提供することができる。また、拡散層の材料を選択することにより、
装飾性が高い高熱伝導効率の無機複合体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、非金属の母体を略真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱して溶融させた後に、銅と炭素同素体とを添加して、冷却することにより形成する。より高温の接触する物体から熱を吸収する効率を高めるため、熱伝導率の高い銅とともに炭素同素体を添加する。
【0020】
非金属の母体は、珪素、珪素化合物、セラミックス、トルマリンのいずれか又は複数から選択されるのが好ましいが、上記方法により固体状に固まるのであれば特に限定されない。
【0021】
また、炭素同素体としては、ダイヤモンドやグラファイトが代表的であるが、不定形の炭素同素体も多数存在する。一番安価な炭素同素体として、灰を用いることもできる。
【0022】
銅及び炭素同素体とともに鉄やカルシウムなど、他の元素を添加してもよい。
【0023】
上記無機複合体全体の熱伝導の効率をより高めるには、接触物体と接触する表面の熱拡散効率を高めるのがよい。そのため、本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10は、図1に示すように、銅を含む熱伝導領域12の表面の少なくとも一部に、熱伝導領域12より炭素同素体の濃度が高い熱拡散領域14を形成するのが好ましい。熱拡散領域14の表面積は大きい方がより好ましく、図3のように熱伝導領域12の全体を熱拡散領域14が覆うようにしてもよい。
【0024】
このような本実施形態の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、例えば以下のように製造することができる。
【0025】
まず、珪素、珪素化合物、セラミックス、トルマリンなどの粉末の非金属の母体を、略真空中で加熱して溶融させる。母体によって加熱温度は異なるが、1500〜2000℃位に加熱することによって母体を溶融する。また、略真空中とは、例えば10−5Torrであるが、上記母体と反応を生じなければその他の真空度でもよく、あるいは不活性ガス雰囲気中であっても良い。
【0026】
次に、溶融した母体に銅と炭素同素体とを添加する。例えば銅を全体の19重量%、灰(炭素同素体)を1重量%、鉄やカルシウムなどの他の元素を10重量%混入して撹拌する。その後、放置するなどして冷却し、中間状態の無機複合体を得る。この場合、中間状態の無機複合体10に対する母体の割合は、70重量%である。
【0027】
このようにして得た中間状態の無機複合体は、1または複数回、前回の加熱温度より50℃〜100℃高い温度で、略真空中で加熱して溶融させ、その後冷却するのが望ましい。以下、このように略真空中で前回の加熱温度より高温で溶融後、冷却する工程を、「焼入れ・焼鈍し」という。
【0028】
次に、上記中間状態の無機複合体または焼入れ・焼鈍し後の中間状態の無機複合体を、前回の加熱温度より50℃〜100℃高い温度で、略真空中で溶融させる。そして溶融した無機複合体の表面に、この溶融した無機複合体に対して、例えば銅を17重量%、灰(炭素同素体)を3重量%添加する。その後、撹拌を加えることなく、溶融した無機複合体を自然冷却する。
【0029】
以上の工程により、銅を含む熱伝導領域12と、熱伝導領域12の表面の少なくとも一部に形成された、熱伝導領域12より炭素同素体の濃度が高い熱拡散領域14と、を含む本実施形態の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10を得ることができる。
【0030】
なお、高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は更に焼入れ・焼鈍しを行なってもよい。また、焼入れした際、溶融した中間状態の無機複合体に、さらに、前回の炭素同素体の銅に対する重量比率より炭素同素体の重量比率を高くして、炭素同素体及び銅を表面に添加しても良い。焼入れの際の炭素同素体及び銅の添加は何回行っても良い。
【0031】
このような工程により、熱伝導領域12の表面に形成された熱拡散領域14が複数の熱拡散層14a、14b等を積層して構成され、複数の熱拡散層の上層の炭素同素体の濃度が、下層の前記炭素同素体の濃度より高くなる高熱拡散・高熱伝導の無機複合体を得ることができる。
【0032】
このようにして得られた本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10は、熱拡散領域14に、より熱い物体を接触させると、熱拡散領域14中をまず熱が拡散し、次に熱伝導領域12を介してより高効率に全体に熱を伝達する。熱拡散領域14を介して、従来知られているセラミック、人工鉱石などに比べ、より早く、効率良く熱を吸収、放出することができる。
【0033】
また、本実施形態では、高熱伝導材料として銅を、熱拡散性を高める炭素同素体として灰を用いたので、非常に安価に高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10を得ることができる。
【0034】
なお、炭素同素体としてグラファイトを用いてもよい。グラファイトを用いた高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10も上記製造方法と同様にして得ることができるが、溶融した無機複合体の表面にグラファイトを添加する際に、グラファイトの結晶層が表面方向に揃うように添加するのが好ましい。高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10の表面方向にグラファイトの結晶層が平行に揃うので、より熱拡散の効率を高めることができる。
【0035】
また、炭素同素体としてダイヤモンドを用いてもよい。この場合、高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10は高額となるが、表面にダイヤモンド粒が散在し、装飾性を高めることができる。このような高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10は、装身具や装飾品、建材などに使用することができる。ダイヤモンドを用いた高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10の製法は、上記実施形態と同様であるので省略する。
【0036】
以下に、本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の、別の実施形態について説明する。なお、図において共通する構成要素には同一の符号を用いることとする。
【0037】
図2において、高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10は、熱伝導領域12の表面に形成された熱拡散領域14が、熱伝導領域12に立てた法線50の方向に複数の熱拡散層14a,14b,14cを積層して構成され、法線50方向に複数の熱拡散層14a,14b,14cの炭素同素体の濃度が高くなる。ここで、法線50は熱伝導領域12から無機複合体10の表面に向かう方向とする。
【0038】
本実施形態の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10の製造工程は、例えば、上記非金属の母体を、略真空中で加熱して溶融させて工程と、溶融した非金属の母体に銅を添加して撹拌し、冷却して中間状態の無機複合体(熱伝導領域12)を得る工程と、冷却して得られた中間状態の無機複合体の表面に炭素イオンを照射する工程とを含む。
【0039】
上記、中間状態の無機複合体の表面から炭素イオンを照射する工程では、まず、エネルギーの高い炭素イオンを照射して熱拡散層14aを得る。次に、熱拡散層14aの形成時よりもエネルギーの低い炭素イオンを、熱拡散層14aの形成時よりも多数照射して熱拡散層14bを得る。最後に、熱拡散層14bの形成時よりも更にエネルギーの低い炭素イオンを、熱拡散層14bの照射炭素イオンよりも更に多数照射して熱拡散層14cを得る。
すなわち、熱伝導領域12の表面に近い層ほど、照射する炭素イオンのエネルギーを低くし、より多数の炭素イオンを照射する。
【0040】
以上の工程によって得られる本実施形態の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10は、熱拡散層14cに、より熱い物体を接触させると、熱拡散層14c中をまず熱が拡散し、次層の熱拡散層14bに熱が伝導される。更に熱拡散層14b中を熱が拡散し、熱拡散層14aに熱が伝導され、さらに熱拡散層14aを熱が拡散し、熱伝導領域12に熱が伝達される。従って、上記実施形態の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10と同様、広範囲に熱を拡散することが可能となり、より効率良く熱を吸収、放出することができる。
【0041】
本実施形態において、熱拡散領域14は、熱拡散層14a,14b,14cの3層から構成したが、熱拡散領域14は1層または2層でもよく、4層以上で構成されてもよい。法線50の方向に複数の熱拡散層の炭素同素体の濃度が高くなる構成であれば何層積層してもよい。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、上記実施形態に限定されない。例えば、図2において熱拡散領域14は、炭素同素体の濃度が法線50の方向に略連続的に高くなる構成であってもよい。この場合、熱拡散領域14において、複数の熱拡散層は判然と区別されなくてもよい。
【0043】
また、図1や図3に示すように、本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の形状は特に限定されない。熱伝導領域12の表面の少なくとも一部に、熱伝導領域12より炭素同素体の濃度が高い熱拡散領域14が形成されていればよい。
【0044】
さらには、本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体は、珪素、珪素化合物、セラミックス、トルマリンのいずれか又は複数からなる非金属の母体を略真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱して溶融させ、その溶融した非金属の母体に銅を添加して放熱することにより中間状態の無機複合体を得、その中間状態の無機複合体の表面に導電性樹脂層を積層して形成してもよい。導電性樹脂層は、例えば炭素系導電性フィラー等の導電性フィラーを樹脂中に充填させて形成し、母体を放熱中にその表面に積層するのが好ましいが、積層の方法は特に限定されず、公知の方法がすべて含まれ得る。
【0045】
上記炭素系導電性フィラーには、オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックや、天然黒鉛、人工黒鉛等の黒鉛や、PAN系カーボン繊維、ピッチ系カーボン繊維等のカーボン繊維や、カーボンナノチューブなどが含まれる。
【0046】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。以下に、本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の実施例を挙げる。
【実施例1】
【0047】
上記実施形態で説明したように、セラミックスの母体を略真空中で加熱して溶融させ、銅と炭素同素体(グラファイト)とを添加して焼きなましを行った。このような焼入れと焼鈍しを、焼入れ温度を徐々に高くしながら2回又は3回行い、表面層ほど炭素同素体の濃度が高くなるようにして2層又は3層の熱拡散層を有する無機複合体10を複数個製作した。本実施例で製作した無機複合体10の何れもが、下記表1に記載の物性値を示した。
【0048】
【表1】

【実施例2】
【0049】
実施例1で作成した無機複合体10の一つを用いて、常温25,4℃から冷凍庫温度に到達までの時間を測定した。図4に示すように、常温から−23.0℃に、僅か90秒しか要さなかった。
【0050】
一方、上記無機複合体10が、−23℃から常温25.4℃に放置して4度に到達するまでの時間、及び0℃から常温27.5℃に放置して当該温度に到達するまでの時間を測定した。測定結果は、それぞれおおよそ図5、図6に示すようになった。
【実施例3】
【0051】
応用例として、上記無機複合体10と木製の事務机のそれぞれの上に略同一の氷を載置して、氷の溶解の速さを比較測定した。図7に示すように、無機複合体10上の氷は、事務机上の氷の約5倍近い速さで溶解した。
【実施例4】
【0052】
他の応用例として、図8のように、冷凍庫で冷凍した菓子(ケーキ)を、無機複合体10に接触させて融解することが考えられる。−23℃に冷凍した菓子は、常温放置して4℃にまで到達させるには8時間程度要することが知られている。しかし、本発明の無機複合体10に接触させて融解すれば、2時間程度以内に菓子を容易に適温まで融解することができる
【実施例5】
【0053】
本発明の無機複合体10を用いて、除雪を行うことも可能である。
【0054】
図9のように、地中に開けた穴に、200cmの深さにまでアルミ製の集熱棒112を埋め、集熱棒112と連結したアルミ板110を雪の上に載置した。集熱棒112は、上端はアルミ板110の中央でアルミ板110に熱伝導接着剤により固定され、下端は地中で熱伝導率が良い粘土で固定されている。アルミ板110は40cm×40cm四方で厚さ1cmであり、集熱棒112の直径はφ12cmであった。
【0055】
集熱棒112が地下から収集した熱は、地下で発散することなくアルミ板110に伝導されるように、アルミ板110及び集熱棒112は厚さ3cmの発泡スチロールの断熱材114で覆われている。
【0056】
アルミ板110の上に、40cm×40cm四方で厚さ3cmの本発明の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10を載置し、図9に示す無機複合体10のA,B,C,Dの4点で温度測定を行った。但し、A,Dは無機複合体10の表面上の、B,Cは無機複合体10のアルミ板110に接する面上の点である。
【0057】
図10は、測定点Aで測定した無機複合体10の温度である。他の測定点B〜Dでも、略同様の測定結果を得た。測定は、平成18年の1月18日から2月27日までの毎日定時刻に、同一地点に設置された無機複合体10について行った。図10より、積雪して氷点下で凍結した雪も、概ね1日以内に融解している様子がわかる。これは、高熱拡散・高熱伝導の無機複合体10が、集熱棒112を介して地下から熱を吸収し、アルミ板110を介して周囲の雪に熱を放出して、近辺の積雪を融解したと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の断面図。
【図2】本発明に係る他の実施形態の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の断面図。
【図3】本発明に係る更に他の実施形態の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の断面図。
【図4】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体が、25.4℃から−23℃に到達するまでの時間測定図。
【図5】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体が、0℃から27.5℃に到達するまでの時間測定図。
【図6】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体が、−23℃から4度に到達するまでの時間測定図。
【図7】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体と木製の事務机を用いて氷を融解した場合の、それぞれの融解速度を表す図。
【図8】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体を用いて、冷凍した菓子を融解する実施例。
【図9】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体を用いて雪を融解する実施例。
【図10】本発明に係る高熱拡散・高熱伝導の無機複合体を用いて雪を融解する実施例における、無機複合体の温度変化。
【符号の説明】
【0059】
10:高熱拡散・高熱伝導の無機複合体
12:熱伝導領域
14:熱拡散領域
14a,14b,14c:熱拡散層
50:熱伝導領域に立てた法線
110:アルミ板
112:集熱棒
114:発泡スチロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属の母体を略真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱して溶融させ、該溶融した非金属の母体に銅と炭素同素体とを添加し、冷却して形成する高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項2】
非金属の母体を略真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱して溶融させ、該溶融した非金属の母体に銅を添加して冷却することにより中間状態の無機複合体を得、該中間状態の無機複合体の表面から炭素イオンを注入して形成する高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項3】
前記非金属の母体は、珪素、珪素化合物、セラミックス、トルマリンのいずれか又は複数からなる、請求項1または請求項2に記載の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項4】
銅を含む熱伝導領域と、
前記熱伝導領域の表面の少なくとも一部に形成された、該熱伝導領域より前記炭素同素体の濃度が高い熱拡散領域と、
を含む請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項5】
前記熱伝導領域の表面に形成された前記熱拡散領域が複数の熱拡散層を積層して構成され、該複数の熱拡散層の上層の前記炭素同素体の濃度が、下層の前記炭素同素体の濃度より高くなる請求項5に記載の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項6】
前記炭素同素体は灰、グラファイト、ダイヤモンドのいずれか一つ又は複数である、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項7】
珪素、珪素化合物、セラミックス、トルマリンのいずれか又は複数からなる非金属の母体を略真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱して溶融させ、該溶融した非金属の母体に銅を添加して放熱することにより中間状態の無機複合体を得、該中間状態の無機複合体の表面に導電性樹脂層を積層して形成する高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項8】
前記導電性樹脂層は、炭素系導電性フィラーを樹脂中に含む請求項7に記載の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体。
【請求項9】
非金属の母体を、略真空中で加熱して溶融させる第1工程と、
前記溶融した非金属の母体に、銅と炭素同素体とを添加して撹拌し、冷却して中間状態の無機複合体を得る第2工程と、
前記中間状態の無機複合体を溶融させ、該溶融した中間状態の無機複合体の表面に、銅と炭素同素体とを添加して冷却する第3工程と、
を含む、高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法。
【請求項10】
前記第3工程における前記無機複合体に添加する前記炭素同素体の銅に対する重量比率は、前記第2工程における前記無機複合体に添加する前記炭素同素体の銅に対する重量比率より高いことを特徴とする、請求項9に記載の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法。
【請求項11】
前記第2工程及び/または前記第3工程は、焼入れ・焼鈍し工程を含む、請求項9または請求項10に記載の高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法。
【請求項12】
非金属の母体を、略真空中で加熱して溶融させる工程と、
前記溶融した非金属の母体に銅を添加して撹拌し、冷却して中間状態の無機複合体を得る工程と、
前記中間状態の無機複合体の表面に炭素イオンを照射する工程と、
を含む、高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法。
【請求項13】
非金属の母体を、略真空中で加熱して溶融させる工程と、
前記溶融した非金属の母体に銅を添加して撹拌し、冷却して中間状態の無機複合体を得る工程と、
前記中間状態の無機複合体の表面に導電性樹脂層を積層する工程と、
を含む、高熱拡散・高熱伝導の無機複合体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate