説明

高純度の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法

【課題】粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(F−EC)から、不純物である「塩素根」を効果的に除去し、電気デバイス用に供するに適合する、高純度F−ECを製造する方法を提供する。
【解決手段】粗F−ECの溶液を、比誘電率が3.5以下の低極性溶媒(貧溶媒)と接触させ、沈殿化させる。低極性溶媒としては、芳香族系炭化水素が好ましく、トルエンが特に好ましい。本発明によれば、系内に数千ppmの塩素根が共存した粗F−ECからも、1回〜数回の沈殿化操作によって、塩素根濃度が100ppm以下(沈殿化の条件、回数次第では20ppm以下)の高純度F−ECを得ることができる。本発明は、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをフッ素化して、粗F−ECを合成した場合に、特にその利点を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用の溶媒や添加剤、医農薬製造用の中間体等に有用な4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンはリチウムイオン電池等の二次電池、あるいは電気二重層キャパシタ用の溶媒、添加剤として有望な化合物である。例えば、特許文献1には、該化合物を溶媒として用いたリチウムイオン二次電池が、フッ素置換されていない溶媒を用いた二次電池に比較して、充放電の電流効率が優れ、良好な充放電サイクル特性を示すことが開示されている。
【0003】
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法としては、次のものが知られている。
[1]4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンに、乾燥条件下で等モルのフッ化カリウムを加え反応させ、次いで蒸留する方法(特許文献2)。本方法によれば、70%以上の収率で4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが得られると記載されている。
[2]「エチレンカーボネートの融解液か、エチレンカーボネートの無水HF溶液」に、「F2ガスまたは、F2ガスと不活性ガスの混合ガス」を導入し、温度−20〜100℃で反応させる方法(特許文献3)。該文献によると、無水HFを過剰に共存させた条件下では比較的高い選択率で目的化合物が得られる。さらに、該反応をアセトニトリル溶媒中で行う方法も知られている(特許文献4)。
【特許文献1】特開昭62−290072号公報
【特許文献2】国際公開98/15024号パンフレット
【特許文献3】特開2000−309583号公報
【特許文献4】特開2004−161638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]の方法によれば、安価に入手できるフッ化カリウムをフッ素化剤として、高収率で4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造できる。フッ素化剤が固体であるため、操作も比較的容易である。しかしながら、この方法では、原料として4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを使用するために、反応終了後の粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン中に、「塩素根」が共存するという問題があった。ここで「塩素根」とは、原料である4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、ならびに副生する塩化水素(HCl)、さらには4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン中に不純物として共存し得る塩素(Cl2)など、「塩素原子(Cl)または塩化物イオン(Cl-)を含む化学種」を総称する。「塩素根」が残留した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを電気デバイス用途に使用すると、電気デバイスのサイクル特性が低下することがある。しかしながら、特許文献2に開示されている、反応後の蒸留精製では「塩素根」を十分に除去することができなかった。また該フッ素化は、反応変換率を完全に100%にすることは困難で、原料の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを反応によって完全に消費することも難しい。
【0005】
これに対し、上記[2]の方法は、エチレンカーボネートを、フッ素(F2)ガスで直接フッ素化するため、「塩素根」が系内に混入する恐れはない。しかしこの方法は、高価なフッ素ガスをフッ素源とするため、経済的には不利である。さらに、この直接的なフッ素化は、元来選択率の低い反応で、目的物の他に、異なる部位がフッ素化を受けた化合物、複数部位がフッ素化を受けた化合物が副生しやすく、系内の不純物プロフィールが複雑になる。選択性を高めるためには、大過剰量のHFを共存させて反応を行う必要があり、反応後の精製が煩雑になるという問題があった。
【0006】
このように、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造するための従来の方法は、大規模で製造するためには十分とはいえず、改善が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる問題点に鑑み、高純度の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを工業的に生産するための方法につき、鋭意検討をした。その結果、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒と接触させて4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化すると、不純物として共存する「塩素根」を、著しく高い効率で除去でき、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造できるという知見を得た。
【0008】
本発明において、「4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化」とは、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを少量の溶媒(良溶媒)に溶解させ、溶液にした上で、該溶液を、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒(本明細書において、「貧溶媒」とも呼ぶ。)と接触させ、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化させる一連の操作をいう。本操作は「共沈化」とも呼ばれるが、本明細書では「沈殿化」と呼ぶことにする。
【0009】
本発明者らは、該低極性溶媒(貧溶媒)としては、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族系炭化水素、もしくは、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、n−ヘプタン、n−ペンタン等の脂肪族飽和炭化水素が特に好ましいことも見出した。
【0010】
本発明が特にそのメリットを発揮するのは、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、MFで表されるフッ化金属(ここでMはカリウム、ナトリウム、リチウムの何れかを表す。)と、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを製造する場合である。前述のように、本反応は操作が容易であり、選択率、収率も高いというメリットを有する一方で、反応混合物中に「塩素根」が相当量混入する結果となる。しかし上述の沈殿化を行うことにより、この「塩素根」をごく容易に、電気デバイス用途に要求される濃度以下に低減できることとなった。とりわけ、この沈殿化(共沈化)を2回以上行うと「塩素根」低減の効果が著しいことも判明した。
【0011】
これらの知見の結果、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが従来技術に比較して、経済的にも、操作的にも、有利に製造できることとなった。
【0012】

すなわち、本発明は、次の[発明1]〜[発明12]を骨子とする、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法である。
【0013】
[発明1]粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒と接触させて4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化し、共存する塩素根を除去することを特徴とする、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0014】
[発明2]発明1において、低極性溶媒が、芳香族系炭化水素もしくは脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする、発明1に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0015】
[発明3]次の各工程を含む、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
第1工程(フッ素化工程):4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをMFで表される金属フッ化物(ここでMはカリウム、ナトリウム、リチウムの何れかを表す。)と、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程。
第2工程(精製工程):前記第1工程で得られた粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒と接触させて4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化し、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程。
【0016】
[発明4]低極性溶媒が、芳香族系炭化水素もしくは脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする、発明3に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0017】
[発明5]低極性溶媒がベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、n−ヘプタン、n−ペンタンから選ばれるものであることを特徴とする、発明4に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0018】
[発明6]金属フッ化物がフッ化カリウムであることを特徴とする、発明3乃至発明5の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0019】
[発明7]4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化を5℃以下の温度で行うことを特徴とする、発明3乃至発明6の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0020】
[発明8]4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化を少なくとも2回行うことを特徴とする、発明3乃至発明7の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0021】
[発明9]フッ素化工程で有機溶媒を使用することを特徴とする、発明3乃至発明8の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0022】
[発明10]フッ素化工程で使用される有機溶媒がアセトニトリルであることを特徴とする、発明9に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0023】
[発明11]蒸留精製を併せて行うことを特徴とする、発明3乃至発明10の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【0024】
[発明12]次の各工程を含む、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
第1工程(フッ素化工程):4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをフッ化カリウムと、アセトニトリル中、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程。
第2工程(精製工程):前記第1工程で得られた祖4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、5℃以下の温度でトルエンと接触させ4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化する操作を、少なくとも2回行い、併せて蒸留精製を行う工程。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、塩素成分を含まない、高純度の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、従来技術よりも効率よく製造できる。とりわけ、安価で入手できる4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをMFによってフッ素化して得られた粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンから、不純物として共存する「塩素根」を容易に除去できるため、経済的にも大きなメリットを奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。まず本発明において、「高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン」とは、「塩素根」の含有量(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン中の全塩素濃度)が概ね100ppm以下のものを指し、好ましくは50ppm以下のもの、さらに好ましくは20ppm以下のものをいう。本発明の沈殿化は「塩素根」の含量を低減させるのに十分な効果があるため、沈殿化の回数や条件を適宜調整することで、「塩素根」含有量がこれらの条件を満たす「高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン」を容易に製造できる。
【0027】
本発明の沈殿化精製に供する粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、いずれの方法で製造された粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをも用いることができる。しかし「塩素根」を効果的に除去できるという、本発明の精製方法のメリットを生かすためには、安価に入手できる4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、MFで表されるフッ化金属(ここでMはカリウム、ナトリウム、リチウムの何れかを表す。)と、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得ることが好ましい。
【0028】
そこで本明細書では、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをフッ化金属と反応させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程を「第1工程」と呼び、引き続いて、この粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、沈殿化を含む精製操作に付す工程を「第2工程」と呼び、順に説明を加えることにする。
【0029】
本発明の概要を、下記のスキームにまとめる。
【0030】
【化1】

【0031】
まず第1工程について、説明する。第1工程は、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、MFで表されるフッ化金属(ここでMはカリウム、ナトリウム、リチウムの何れかを表す。)と、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程である。第1工程は、特許文献2に記載された条件にならって実施すればよいが、本発明者らは本工程において有機溶媒を反応溶媒として用いるとさらに有効であることを見出した。ここではその方法、条件を詳しく説明する。
【0032】
まず、第1工程の原料である4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法については、特別な制限はないが、エチレンカーボネートをラジカル開始剤の存在下、光照射下、または熱時条件下で、塩素ガス(Cl2)と反応させることで容易に得ることができ、それが最も経済的である。得られた4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンは、通常の有機合成に用いられる精製手段によって、純度を95%以上に高めた上で反応原料に供することが好ましい。
【0033】
第1工程における「無水条件」とは、フッ化金属等の試薬として無水の試薬を用い、かつ、脱水溶媒を使用することで達成される。具体的には水分が100ppm以下の条件を言い、50ppm以下がより好ましい。
【0034】
第1工程に用いられるフッ化金属とは、具体的にはフッ化カリウム、フッ化ナトリウムまたはフッ化リチウムをいい、前述のように無水試薬が好ましい。このうち、工業的に、しかも安価に入手できる無水フッ化カリウムが特に好ましい。無水フッ化カリウムの形状に特に制限は無いが、スプレードライ品が最も良い結果を与えるので特に好ましい。フッ化金属の量は、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン1モルに対して、通常1モル以上用いるが、十分な収率で目的物を得るためには、1〜2モルが好ましく、1〜1.5モルが特に好ましい。2モルを超えて用いると、反応に関与しないフッ化金属が増え、経済的に不利となるため、好ましくない。
【0035】
第1工程の反応は、酸性条件に耐える反応装置を用い、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとフッ化金属をスラリー状にして攪拌しながら接触させると、特に円滑に実施できる。この際、副生物として塩化水素が発生するため、順次パージし、系内から除去することが好ましい。
【0036】
第1工程の反応は、原料である4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンも、生成物の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンも液体であるため、無溶媒でも実施できるが、溶媒の存在下行うと、より円滑に行うことができるため、溶媒の存在下で実施することが好ましいことを本発明者らは見出した。溶媒としては、非プロトン性溶媒(プロトン性水素を有さない溶媒)であれば特に制限はないが、フッ化金属を溶解させる作用の高い、極性有機溶媒を用いると、特に反応速度が高まり好ましい。具体的には、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、これらのうちアセトニトリルとN,N−ジメチルホルムアミドが安価であり、環境への負荷も少ないことから、好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。
【0037】
第1工程の反応の温度は通常20℃〜150℃であるが、溶媒を用いる場合には20℃〜使用する溶媒の沸点までである。好ましくは40℃〜120℃、より好ましくは60℃〜100℃である。
【0038】
第1工程の反応の反応時間に特別な制限はないが、ガスクロマトグラフィー等の手法によって、原料の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの消費が十分に進み、もはや反応が進行しないことを確認してから終了するのが望ましい。
【0039】
続いて、第2工程について説明する。第2工程は精製工程であり、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒(貧溶媒)と接触させて4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化する操作によりなる。
【0040】
本発明において「沈殿化」とは、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを溶解しうる有機溶媒(良溶媒)に粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを溶解させた溶液を、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを殆ど溶解しない低極性溶媒(貧溶媒)に、適切な温度において接触させ、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化させる操作のことをいう。本工程を行うことによって「塩素根」が系内から除去され、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得ることができる。
【0041】
第2工程の原料である粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法に特別な限定はないが、第1工程の方法によって製造することが最も容易であり、それが本発明のメリットを活かすためにも、特に好ましい。
【0042】
第2工程の沈殿化においては、比誘電率が3.5以下の範囲内にある溶媒を、「低極性溶媒(貧溶媒)」として用いる。この中でも、比誘電率が1.5〜3.0の範囲にある有機溶媒が好ましく、とりわけ、比誘電率が1.8〜2.6の範囲内にある有機溶媒を用いると、「塩素根」を効果的に除去できるだけでなく、沈殿化を通じた回収率もごく高い値となるため、特に好ましい。
【0043】
本工程で用いる低極性溶媒(貧溶媒)としては、ベンゼン(2.27)、トルエン(2.38)、p−キシレン(2.27)、四塩化炭素(2.24)、エチルベンゼン(2.40)、メシチレン(2.27)、m−キシレン(2.37)、p−ジオキサン(2.21)、o−キシレン(2.57)、ペンチルエーテル(2.77)、ナフタレン(2.54)、トリエチルアミン(2.42)、スチレン(2.43)、オレイン酸(2.46)、2,2−ジメチルプロパン(1.801)、2−メチルブタン(1.83)、n−ペンタン(1.84)、2,2−ジメチルブタン(1.87)、n−ヘキサン(1.88)、2−メチルペンタン(1.88)、2,3−ジメチルブタン(1.89)、3−メチルペンタン(1.90)、2,4−ジメチルペンタン(1.91)、2−メチルヘキサン(1.92)、n−ヘプタン(1.92)、3−メチルヘキサン(1.93)、2,3−ジメチルペンタン(1.94)、2,2,4−トリメチルペンタン(1.94)、n−オクタン(1.95)、2,2,3−トリメチルペンタン(1.96)、シクロペンタン(1.97)、n−ノナン(1.97)、n−デカン(1.99)、n−ドデカン(2.00)、メチルシクロヘキサン(2.02)、シクロヘキサン(2.02)等が挙げられる。
【0044】
これらの中で、芳香族系炭化水素もしくは脂肪族飽和炭化水素(アルカン類)は、化合物としての安定性も格段に高く、後処理によって容易に除去できる点で、特に好適である。中でも、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、n−ヘプタン、n−ペンタンが好ましく、これらのうちでもトルエンが特に優れた性能を示す。
【0045】
これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上のものを混合溶媒として使用してもよい。
【0046】
なお、低極性溶媒(貧溶媒)として混合溶媒を使用する場合、成分の一部として、比誘電率が3.5を上回る溶媒が含まれていても、「混合溶媒」全体の比誘電率が3.5以下であるならば好適に使用できる。しかし、上記の条件を満たす溶媒を単独で使用するのが最も簡便である。
【0047】
一方、比誘電率が3.5よりも大きい有機溶媒を低極性溶媒(貧溶媒)として用いると、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶解度が著しく増大し、本工程の沈殿化が難しくなる。
【0048】
低極性溶媒(貧溶媒)の使用量は、溶媒の比誘電率によって異なるが、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン1gあたり、通常0.5〜20gであり、0.7〜10gが好ましく、1〜5gが特に好ましい。
【0049】
一方、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを予め溶解させるための有機溶媒(良溶媒)としてはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが例示できるが、第1工程で使用した溶媒を用いるのが好ましい。
【0050】
「良溶媒」の使用量は、溶媒に対する4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶解度および粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの純度によって異なるが、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン1gあたり、通常0.01〜2.0gであり、0.1g〜1.0gが好ましく、0.15〜0.5gが特に好ましい。良溶媒が0.01g未満であると、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが十分に溶解せず、逆に2.0gよりも多いと、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの回収率が低下するので、何れも好ましくない。
【0051】
なお、第2工程(精製工程)を第1工程(フッ素化工程)に引き続いて実施する場合、第1工程で得た粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを、一旦沈殿物として単離し、かかる後に、該沈殿物を良溶媒に溶解した上で、「低極性溶媒」と接触させることもできる。しかし、第1工程の反応混合物を濃縮しても、系内に共存する不純物(副生物のエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、原料の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの不純物など)が「良溶媒」の役割を果たし、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを十分に溶解し、溶液状態を呈することが多い(例えば4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの純度が85%以下の場合)。この溶液をそのまま、「低極性溶媒」と接触させれば、第2工程の「沈殿化」が達成できる。本方法によれば、別途良溶媒を添加する必要がないため、経済的、操作的に特に好ましい。
【0052】
「沈殿化」の操作手順に特別な制限はないが、次のように行うことが好ましい。まず、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液(良溶媒に溶解したもの)を、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒(貧溶媒)の中に、徐々に滴下する。このような手順によると、「沈殿化」が特に円滑に起こるため、高純度の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る上で、特に好適である。
【0053】
「沈殿化」の行われる温度は、通常、使用される有機溶媒の融点〜30℃であり、−50℃〜10℃が好ましく、−20℃から5℃がより好ましい。
【0054】
第2工程の「沈殿化(共沈化)」は1度行うだけであっても、十分大きな「塩素根」除去の効果を示す(実施例を参照)が、2回以上繰り返すと、特に大きな効果を生じる。したがって、要求される「塩素根」含量に応じて、2回以上、「沈殿化」操作を繰り返すことが特に好ましい。
【0055】
このような方法で沈殿化した結晶は、その後濾過等の手法により分取することができる。また、低極性溶媒を除いた後、再度融解させて容器外に回収することもできる。回収された高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの結晶は低極性溶媒(例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン等)で洗浄することができ、その後、減圧脱気するなどの操作により、これらの低極性溶媒を除けば、電気デバイス用に適した4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製品として回収することができる。
【0056】
しかしながら、より安定した品質の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得るためには、上記沈殿化操作と併せて、精密蒸留を行うことが一層好ましい。精密蒸留は、上記沈殿化の前後の何れに行っても良いが、溶媒成分、固形分を除去できるというメリットを活かすため、沈殿化の後(精製の最終段階)に行うのが特に効果的である。精密蒸留は段数2〜10段程度、還流比3〜15程度で行うのが好ましい精密蒸留は減圧下で行うのが好ましく、1kPa〜3kPaが特に好ましい。この圧力下では、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンは70℃〜110℃で留出してくる。
【0057】
ただし、精密蒸留それ自体の「塩素根」除去効果は小さい。特に、「塩素根」含量が低いサンプルを蒸留する場合、除去効果は一層小さい。すなわち本発明の対象とする、高純度の高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得るためには、沈殿化が必須であり、精密蒸留はそれに付随して行われるべきものである。
【0058】
これまでに述べた知見から、本発明は、次の2工程を組み合わせて行うことにより、特に好ましく実施できる。
第1工程(フッ素化工程):4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをフッ化カリウムと、アセトニトリル中、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程。
第2工程(精製工程):前記第1工程で得られた祖4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、5℃以下の温度でトルエンと接触させ4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化する操作を、少なくとも2回行い、併せて蒸留精製を行う工程。
【0059】
[実施例]以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
なお、組成分析はガスクロマトグラフィーで実施した。ガスクロマトグラフ分析値(%)は、溶媒が残存している場合は溶媒をカットし、下記の数値として算出した。
【0061】
ガスクロマトグラフ分析値(%)
=(該当化合物のピーク面積)/(全面積−残留溶媒ピーク面積)×100
全塩素量(「塩素根」含量)は、フラスコ燃焼法により、反応混合物または4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン中に存在しているCl成分を全てCl-に変換した後、Cl-イオン濃度を陰イオン液体クロマトグラフィーによって測定し、下記の値として算出した。
【0062】
全塩素量(ppm):4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン1g中に含まれる塩素原子(Cl)のグラム数に106を乗じた値。
【実施例1】
【0063】
粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造(第1工程)
撹拌機能を備えた10Lの四つ口フラスコに、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(「Cl−EC」と呼ぶ)1156g(9.44mol、1.0当量)とアセトニトリル4.5L、フッ化カリウム(スプレードライ品)660g(11.4mol、1.2当量)を仕込み、内温80℃〜85℃で11時間攪拌した。反応液を冷却した後、反応で生じた塩化カリウムを濾別し、濾紙上の塩化カリウムはアセトニトリル1.2Lで洗浄した。濾液と洗浄液を混合し、濃縮して溶媒を留去し、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(「F−EC」と呼ぶ)を1000.5g得た。この粗F−ECを分析したところ、目的とするF−ECの含量は80.5%であり、原料のCl−ECの含量は0.2%。副生物であるビニレンカーボネート(VC)とエチレンカーボネート(EC)の含量はそれぞれ11.9%、5.0%であった。目的とするF−ECは25℃の温度においても液体であった。反応混合物中の全塩素量は4800ppmであった。
【0064】
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化(第2工程)
撹拌機能を備えた500mlの四つ口フラスコにトルエン280gを仕込み、5℃まで冷却した。その後、実施例1で得られた粗F−EC 100g(全塩素量4800ppm)を撹拌しながら、0℃から5℃に温度を維持したまま滴下した。その後0℃から5℃に温度を維持したまま1時間攪拌した。そして結晶を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。その結果、66%の回収率でF−ECが得られ、F−ECの純度は99.35%、全塩素量は68ppmであった。
【実施例2】
【0065】
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化(第2工程)
実施例2と同一の装置を用い、溶媒として「トルエン280g」の代わりに、「トルエン250g」を用いた他は同一の条件で、粗F−EC(塩素根含量4800ppm)の沈殿化を行った。その結果、68%の回収率でF−ECが得られ、当該結晶中のF−ECの純度は99.60%であり、全塩素量は72ppmであった。
【実施例3】
【0066】
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化(第2工程)
撹拌機能を備えた100mlの四つ口フラスコにトルエン50gを仕込み、5℃まで冷却した。その後実施例1(第2工程)で得られたF−EC(全塩素量68ppm)20gを撹拌しながら、0℃から5℃に温度を維持したまま滴下した。その後0℃から5℃に温度を維持したまま1時間攪拌した。そして固体を濾別し、5℃のヘキサンで2回洗浄した後、加熱融解し、液体を回収した。その結果、83%の回収率でF−ECが得られ、当該結晶中のF−ECの純度は99.95%であり、全塩素量は8ppmであった。
【実施例4】
【0067】
トルエン/酢酸エチル(3:1)を用いた沈殿化
実施例1(第2工程)と同一の装置を用い、溶媒として「トルエン280g」の代わりに、「トルエン210g/酢酸エチル70g」を用いた他は同一の条件で、粗F−EC(塩素根含量4800ppm)の沈殿化を行った。その結果、30%の回収率でF−ECが得られ、当該結晶中のF−ECの純度は99.43%であり、全塩素量は91ppmであった。
【0068】
このように、「トルエン/酢酸エチル混合溶媒」でも沈殿化は行え、全塩素量は低減できたが、酢酸エチルの極性が相対的に高いことに起因して、回収率が低下した。
[比較例1]
【0069】
蒸留のみによる精製
実施例1(第1工程)と同様の操作で得られたF−EC(全塩素量4500ppm;F−EC:Cl−EC:VC:EC=87.5%:2.1%:5.9%:4.1%)200gを粗蒸留(94℃〜99℃/2.5kPa)して4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン148g(回収率74%)を得た。この蒸留で得られた留分を分析したところ、目的とする4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含量は93.0%であり、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含量は0.2%。副生物であるVCとECの含量はそれぞれ2.2%、1.9%であった。この留分を4段の蒸留塔を使用し、還流比2〜5で精密蒸留(温度85〜90℃、圧力1.8kPa)して、F−EC 99g(回収率67%)を得た。このF−ECを分析したところ、目的とするF−ECの含量は99.7%であった。全塩素量は197ppmであった。
【0070】
得られたF−ECに対し、同様の蒸留精製を繰り返し行ったが、全塩素量は156ppmにまでしか低減しなかった。
[比較例2]
【0071】
酢酸エチルを用いた沈殿化
撹拌機能を備えた300mlの四つ口フラスコに酢酸エチル140gを仕込み、5℃まで冷却した。その後、実施例1(第1工程)で得られた粗F−EC 50g(全塩素量4800ppm)を撹拌しながら、0℃から5℃に温度を維持したまま滴下した。その後0℃から5℃に温度を維持したまま1時間攪拌したが、結晶を得ることはできなかった。
【0072】
本比較例は、実施例2の1/2の規模で、トルエン(比誘電率2.38)の代わりに、極性がわずかに大きい酢酸エチル(比誘電率6.02)を用いて行ったものであるが、沈殿化を効果的に行うことはできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒と接触させて4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化し、共存する塩素根を除去することを特徴とする、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、低極性溶媒が、芳香族系炭化水素もしくは脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする、請求項1に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項3】
次の各工程を含む、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
第1工程(フッ素化工程):4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをMFで表される金属フッ化物(ここでMはカリウム、ナトリウム、リチウムの何れかを表す。)と、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程。
第2工程(精製工程):前記第1工程で得られた粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、比誘電率が3.5以下である低極性溶媒と接触させて4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化し、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程。
【請求項4】
低極性溶媒が、芳香族系炭化水素もしくは脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする、請求項3に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項5】
低極性溶媒がベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、n−ヘプタン、n−ペンタンから選ばれるものであることを特徴とする、請求項4に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項6】
金属フッ化物がフッ化カリウムであることを特徴とする、請求項3乃至請求項5の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項7】
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化を5℃以下の温度で行うことを特徴とする、請求項3乃至請求項6の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項8】
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの沈殿化を少なくとも2回行うことを特徴とする、請求項3乃至請求項7の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項9】
フッ素化工程で有機溶媒を使用することを特徴とする、請求項3乃至請求項8の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項10】
フッ素化工程で使用される有機溶媒がアセトニトリルであることを特徴とする、請求項9に記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項11】
蒸留精製を併せて行うことを特徴とする、請求項3乃至請求項10の何れかに記載の、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
【請求項12】
次の各工程を含む、高純度4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造方法。
第1工程(フッ素化工程):4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オンをフッ化カリウムと、アセトニトリル中、無水条件下で接触させて、粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを得る工程。
第2工程(精製工程): 前記第1工程で得られた粗4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの溶液を、5℃以下の温度でトルエンと接触させ4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを沈殿化する操作を、少なくとも2回行い、併せて蒸留精製を行う工程。

【公開番号】特開2007−8825(P2007−8825A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188380(P2005−188380)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)