説明

高級脂肪酸金属塩ブロック成型体並びに電子写真装置

【解決手段】高級脂肪酸金属塩を加熱溶融し、固化して得られる高級脂肪酸金属塩ブロック成型体であって、長さ方向に対し垂直に切断した断面が4辺を有するブロック成型体において、該4辺のうちの少なくとも1辺が曲線及び/又は折れ線を有することを特徴とする高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
【効果】本発明の高級脂肪酸亜鉛ブロック成型体は、クラック発生のトラブルを生ずることなく、硬さのバラツキが小さく、かつブラシ等による削れ量のコントロールが可能であり、良好な供給状態を有し、静電複写機等の事務機やその他の精密機器等における、滑剤、クリーニング助剤等として極めて有効に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電複写機等の事務機などにおいて、滑剤、研磨剤、クリーニング助剤、現像助剤等として用いられ、安定かつ好適な特性を有する高級脂肪酸金属塩ブロック成型体並びに電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、静電複写機等の事務機において、滑剤、研磨剤、クリーニング助剤あるいは現像助剤として高級脂肪酸金属塩が用いられている。高級脂肪酸金属塩は、最終的には粉状で使用されるが、供給方式として、例えば特開2009−15229号公報(特許文献1)に示されているように、予め高級脂肪酸金属塩をブロック化して、これをブラシ等で削り取り、必要箇所に供給する方式が実用化されている。
【0003】
図15はその一例を示すもので、1は感光ドラム、2は帯電ローラ、3は現像ローラ、4は転写ローラ、5は転写シート、6はブラシロール、7はクリーニングブレードであり、上記ブラシロール6にブロック化された高級脂肪酸金属塩8が押圧手段9によって押圧、当接し、高級脂肪酸金属塩8が所用量削り取られ、感光ドラムのクリーニングに供される。
【0004】
必要箇所に供給する量は、静電写真機内のOPCロールを極力傷つけないために、新品の静電複写機の起動時には多く、その後は再起動時も含めて微量定量にすることが理想である。
【0005】
従来、静電複写機等に、滑剤、クリーニング剤等として使用されている高級脂肪酸金属塩成型体は、特許第2796486号公報(特許文献2)に溶融固化法、特開2000−319224号公報(特許文献3)に粉末プレス法又は特開2001−1360号公報(特許文献4)に射出成型法等に開示されているような方法で得られていた。ところが、いずれの方法でも得られた高級脂肪酸金属塩成型体の耐摩耗性が小さく、高い耐久性を持つ成型体が得られなかった。また、いずれの高級脂肪酸金属塩ブロック成型体も、ブラシ等による削れ性が一定せず、ブラッシング研削開始時には、微量にしか成型体を研削できず、ロール表面に研削粉が付着せず、ロールの磨耗が激しく、複写機の耐久性が悪く、理想の供給状態には程遠いものであった。また、初期の削れ量を多くするため、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を柔らかくする方法も考えられるが、成型体のライフが短くなり、実用的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−15229号公報
【特許文献2】特許第2796486号公報
【特許文献3】特開2000−319224号公報
【特許文献4】特開2001−1360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、静電複写機等の事務機などの滑剤、研磨剤、クリーニング助剤、現像助剤等の用途に対して、耐摩耗性があり、使用開始時から供給量が高く、徐々に供給量を減少させて、安定かつ良好な供給状態を可能とする高級脂肪酸亜鉛ブロック成型体並びに電子写真装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、主成分として高級脂肪酸亜鉛を融点以上に加熱溶融した後、予熱しておいた溝を持つ金型内に溶融状態で注入し、それを冷却固化させることによって得られた高級脂肪酸亜鉛ブロック成型体であり、長さ方向に対し垂直におろした断面(図1に示すS断面)が4辺を有し、4辺のうち少なくとも1辺が非直線状(即ち、一端から他端にかけて折れずに真っ直ぐに伸びた線ではない)であるS断面を持つブロック成型体が、安定した硬さと良好な供給状態を与えることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は下記高級脂肪酸金属塩ブロック成型体並びに電子写真装置を提供する。
請求項1:
高級脂肪酸金属塩を加熱溶融し、固化して得られる高級脂肪酸金属塩ブロック成型体であって、長さ方向に対し垂直に切断した断面が4辺を有するブロック成型体において、該4辺のうちの少なくとも1辺が曲線及び/又は折れ線を有することを特徴とする高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
請求項2:
断面四角形状のブロック成型体において、その断面の1辺が曲線及び/又は折れ線を有することを特徴とする請求項1記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
請求項3:
断面四角形状のブロック成型体において、その断面の1辺が、該1辺と平行な部分を持たない曲線及び/又は折れ線を有する突起部を形成する形状である請求項1又は2記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
請求項4:
上記断面が、四角形の1辺全体に半円又は半楕円形部が形成された形状、四角形の1辺全体に三角形部が形成された形状、四角形の1辺中央部に半円又は半楕円形部が形成された形状、四角形の1辺中央部に三角形部が形成された形状、四角形の1辺全体に半円又は半楕円形部が形成され、更にその頂部に半小円又は半小楕円形部又は三角形部が形成された形状、四角形の1辺両端部にそれぞれ端縁部に沿って突出部が形成され、中央部に半円又は半楕円形又は三角形部が形成された形状、四角形の1辺に複数個の半円、半楕円又は三角形部が形成された形状、又は四角形の1辺全体に半円又は半楕円形部が形成され、その上に複数個の半円又は半楕円又は三角形部が形成された形状である請求項1記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
請求項5:
高級脂肪酸金属塩が炭素数10〜30の高級脂肪酸の金属塩である請求項1乃至4のいずれか1項記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
請求項6:
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を用いた電子写真装置。
【0010】
直線ではない1辺が静電写真機内のブラシとの接触面となるが、接触面となる1辺を非直線状にすることでブラシとの接触圧を高め、静電写真機起動時の高級脂肪酸亜鉛の削れ量を多くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の高級脂肪酸亜鉛ブロック成型体は、クラック発生のトラブルを生ずることなく、硬さのバラツキが小さく、かつブラシ等による削れ量のコントロールが可能であり、良好な供給状態を有し、静電複写機等の事務機やその他の精密機器等における、滑剤、クリーニング助剤等として極めて有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の通常の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図5】本発明の第4の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図6】本発明の第5の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図7】本発明の第6の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図8】本発明の第7の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図9】本発明の第8の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図10】本発明の第9の実施例に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を示し、(A)は正面断面図、(B)は一部省略平面図、(C)は一部省略右側面図、(D)は縮小した斜視図である。
【図11】本発明の実施例1で用いられる金型を示し、(A)は一方の割型の平面図、(B)は(A)のA−A線断面図、(C)は他方の割型の平面図、(D)は(C)のC−C線断面図である。
【図12】図11の金型を組み合わせた状態の一例を示す斜視図である。
【図13】図12の組み合わせにおいて、締付け具により締付けした状態を示す斜視図である。
【図14】削れ量を測定する評価測定機の説明図である。
【図15】画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の高級脂肪酸金属塩は、脂肪酸の炭素数が10〜30で、Li,Na,K,Cu,Ag,Au,Mg,Ca,Zn等の金属群から1種以上選ばれる高級脂肪酸金属塩であることが好ましく、特に炭素数12〜18の高級脂肪酸の亜鉛塩であることが好ましい。また、嵩比重が1.090〜1.100であることが好ましい。具体例として、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0014】
高級脂肪酸金属塩ブロック成型体は、このような高級脂肪酸金属塩を加熱溶融し、固化することによって得られるもので、通常、図1に示すように四角柱状に形成され、長さ方向に対し垂直に切断した断面(S断面)が4辺を有するブロック成型体10である。この場合、特に限定されないが、このブロック成型体10の長さは、30〜400mm、特に250〜350mmであり、また縦横の長さは4×4mm〜50×50mm、特に5×5mm〜20×20mmである。
【0015】
本発明の高級脂肪酸ブロック成型体は、長さ方向に対し垂直に切断した断面が4辺を有し、そのうちの少なくとも1辺が曲線、折れ線、又は曲線と折れ線とを有するように形成されているもので、該1辺のように一端から他端にかけて真っ直ぐに伸びた直線状に形成されたものではなく、特に上記図1に示したブロック成型体10において、そのS断面の4辺のうちの1辺12が曲線、折れ線又はこれらが混じり合ったものが好ましい。このような形状としては、半円形、半楕円形、三角形、これらの形状を含む波型、これらの形状が重なり合ったもの等が例示され、これらの曲線及び/又は折れ線を有する非直線状形状は、上記1辺12から突出して突起部を形成するものであることが好ましい。
なお、この突起部は上記辺12が台形等の辺12と平行な部分を持つことのない形状を有することが初期の削れ量の点から推奨される。
【0016】
具体的には、本発明の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体として、図2〜10に示すブロック成型体を例示することができる。
【0017】
即ち、図2は、上記S断面が、四角形部14の1辺12全体に半円又は半楕円形部16が形成された形状、図3は、S断面が四角形部14の1辺12全体に三角形部18が形成された形状、図4は、S断面が四角形部14の1辺12の中央部に三角形部20が形成された形状、図5は、S断面が四角形部14の1辺12の中央部に半円又は半楕円形部22が形成された形状、図6は、S断面が四角形部14の1辺12全体に半円又は半楕円形部24が形成され、その中央部(頂部)に半小円又は半小楕円形部26が積層形成された形状、図7は、S断面が、四角形部14の1辺12の両端部にそれぞれその端縁部に沿って直角三角形状の突出部28,28が形成され、更に上記1辺12の中央部に半円又は半楕円形部30が形成された形状(なお、半円又は半楕円形部の代わりに三角形部を形成してもよい)、図8は、S断面が、四角形部14の1辺12に2個の半円又は半楕円形部32,32が所定間隔離間して形成された形状(なお、形成個数は2個に限定されず、3個又は4個以上の複数個でもよい)、図9は、S断面が、四角形部14の1辺12全体に半円又は半楕円形部34が形成され、更にその中央部(頂部)に三角形部36が形成された形状、図10は、S断面が、四角形部14の1辺12全体に半円又は半楕円形部34が形成され、更にその上に2個の半小円部38,38が所定間隔離間して形成された形状(なお、半小円部の代わりに半小楕円形部又は三角形部を形成してもよい。また、形成個数は2個に限定されず、3個又は4個以上の複数個でもよい)を示したものである。
【0018】
本発明のブロック成型体は、上述した高級脂肪酸金属塩を原料とし、かつ溶融固化法を用いるとともに、金型の一端から他端へ順次冷却していくという冷却固化法を採用することにより製造し得る。
【0019】
なお、高級脂肪酸金属塩のブロック成型体の製造方法には乾式、湿式があるが、本発明の高級脂肪酸金属塩の製造においては、いずれの製造方法の高級脂肪酸金属塩も使用できる。
【0020】
高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を製造する場合、本発明で使用する型は、使用時に高温になること、熱伝導性や強度が要求されることなどから、金属製の型(以後、単に金型と記す)を用いるとよい。金型の材質は加工性及び熱伝導性が良く、取り扱いやすく、高級脂肪酸金属塩に対して不活性で表面付着の少ないものが好ましい。
【0021】
高級脂肪酸金属塩ブロック成型体の形状は、前述したように長さ方向に対し垂直におろした断面4辺のうち少なくとも1辺が直線でない高級脂肪酸金属塩ブロック成型体である。このような形状の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を得るためには、長さ方向に対し垂直におろした断面(S断面)の4辺のうち少なくとも1辺が直線でない図2に示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型を使用しても良いし、S断面が図1に示すような四辺形の金型で高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した後、削るなどして物理的に突起を持った形状にしても良い。なお、この突起に複写機のブラシが接触する。
【0022】
金型は、例えば図2(A)のような断面を持つ製品に対応した寸法・形状の溝を所望個数設ける。金型は溝を縦方向に設置し、別途溶融した脂肪酸金属塩を溝部を有する金型に流し込む場合のため、金型の上部には開口部を設ける。また、高級脂肪酸金属塩を金型下部からヒーターを設置したり、冷却水を流したりして温度調整を行う。冷却水温は10〜20℃、冷却水量は0.1〜10L/分にすることが好ましい。
なお、複数個の金型を並べて、成型体を製造することにより、生産性を高くすることができる。
【0023】
予め金型全体を高級脂肪酸金属塩の溶融温度以上に加熱しておき、融点以上で加熱溶融した高級脂肪酸金属塩を金型に注ぎ込んで加熱を続けた後、下部あるいは金型のせ台の冷却機構により冷却して、これと平行してヒーター加熱を下部より順に停止し、高級脂肪酸金属塩の固化物を製造できるものである。下部ヒーター温度低下開始から一定時間後に中部ヒーターを、その後、更に上部のヒーターによる加熱を順次停止する。3〜5時間放冷すると、金型温度は35℃以下となる。そうなった時点で、金型から製品を取り出す。
【0024】
本発明に係る高級脂肪酸金属塩ブロック成型体は、静電複写機等に好適に用いられるものである。その場合に、成型体は、複写機に内蔵され、隣接するブラシにより、成型体表面に荷重を与えながら研削して、該金属塩により複写機のロール表面を保護するものである。凹凸表面を徐々に研削していくことにより、金属塩の量を経時に減少させていくことができ、更に耐久性の高いロールが得られることになる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0026】
[実施例1]
アルミニウム板の片面に図2(A)で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ、縦5mm×横5mm、長さ310mmの形状の金型(図11)が締付けボルト孔をはさんで左右に16本ずつ設けられた金型10枚とヒーター挿入用板3枚と平板1枚とを、溝面が他の金型の平面に当たるようにして組み合わせて締付け、合計320本のブロックが成型できるような金型の組み合わせとしてヒーター挿入口と冷却機構を備えた金型のせ台にセットした(図12、図13)。また、金型の上、中、下に各々3本ずつと、更に断熱用に蓋板と金型のせ台に各々2本ずつ合計13本のシーズヒーターを設置した。なお、図中、41は上部ヒーター挿入口、42は中部ヒーター挿入口、43は下部ヒーター挿入口、44は温度センサー挿入口、45及び45’は排水口、46は金型のせ台、47は締付け具である。ヒーターにより各部とも160〜200℃に加熱された金型に、別に180℃で上記のステアリン酸亜鉛を溶融し、脱泡した洗浄前のステアリン酸亜鉛溶融液を注ぎ込み、ヒーターにより150℃に加熱した断熱用蓋板をした。注入30分後、金型のせ台のヒーター加熱を停止し、約1L/分の割合で通水(水温15℃)を始め、下部のヒーター電圧を下げて温度を低下させた。下部ヒーター温度低下開始から約1時間後に中部ヒーターを、更に1時間後に上部のヒーターによる加熱を順次停止した。全体の金型温度が35℃以下になるまで放冷した後、金型を開いてステアリン酸亜鉛のブロック成型体を得た。ヒビ、折れ等の入ったものは不良品としたが、収率は94%であった。また、硬度、削れ量は良好で、実用に十分耐えうるものであった。結果を表1に示す。
【0027】
[実施例2]
図3(A)で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0028】
[実施例3]
図4(A)で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0029】
[実施例4]
図5(A)で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0030】
[実施例5]
図6(A)で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0031】
[実施例6]
図7(A)で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0032】
[実施例7]
図8(A)で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0033】
[実施例8]
図1で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。その後、サンドペーパーを使用して図5(A)に示すような形状の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を得た。結果を表1に示す。
【0034】
[比較例1]
図1で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0035】
[比較例2]
図1で示すようなS断面を持つブロック成型体を得るための溝を持つ金型に変更し、低硬度のステアリン酸亜鉛を使用した以外は、実施例1と同様に、高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を作製した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
《ステアリン酸亜鉛ブロック成型体の評価方法》
<硬さ測定>
JIS Z 2244に準拠し、マツザワ社製デジタル微小硬度計MMT−7型を使用して測定した。一定の太さの針を荷重1mNで成型体に押し当て、その時できる圧痕の対角線の距離を決めることで自動的に硬さを算出した。数字が大きいほど硬いことになるが、本発明の高級脂肪酸亜鉛ブロック成型体では4.5〜5.5の硬さが要求される。
【0038】
<削れ量測定>
削れ量測定は、図14に示す評価測定機を用いて行った。まず、上記で得られた10mm角のステアリン酸亜鉛ブロック成型体を250mmの長さにカットし、この側面に鉄製の背材を両面粘着テープで固定して測定サンプル(ステアリン酸亜鉛バー51)を作製した。次に、研磨剤である径10mmの円筒状ナイロンブラシ52をモーター53に取り付け、更に、両端に荷重調整錘54と試料把持治具55を設けたアーム56の試料把持治具55に、ステアリン酸亜鉛バー51を背材56にて固定し、ステアリン酸亜鉛バー51をブラシ52と接触させ、ブラシ52がモーター53の駆動で回転し、ステアリン酸亜鉛バー51は設定荷重でブラシ52と接触して削られたものを測定した。
【0039】
本実施例、比較例での削れ量測定の条件は次の通りである。下記条件での削れ量(mg)を測定する。
試料にかかる荷重:300g
ブラシの回転速度:333rpm
試験時間:20分(5分経過ごとに削れ量を測定)
【符号の説明】
【0040】
10 ブロック成型体
12 S断面の4辺のうち突起部が形成される1辺(ブラシロール6の接触面)
14 四角形部
16 半円又は半楕円形部
18 三角形部
20 三角形部
22 半円又は半楕円形部
24 半円又は半楕円形部
26 半小円又は半小楕円形部
28 突出部
30 半円又は半楕円形部
32 半円又は半楕円形部
34 半円又は半楕円形部
36 三角形部
38 半小円部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高級脂肪酸金属塩を加熱溶融し、固化して得られる高級脂肪酸金属塩ブロック成型体であって、長さ方向に対し垂直に切断した断面が4辺を有するブロック成型体において、該4辺のうちの少なくとも1辺が曲線及び/又は折れ線を有することを特徴とする高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
【請求項2】
断面四角形状のブロック成型体において、その断面の1辺が曲線及び/又は折れ線を有することを特徴とする請求項1記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
【請求項3】
断面四角形状のブロック成型体において、その断面の1辺が、該1辺と平行な部分を持たない曲線及び/又は折れ線を有する突起部を形成する形状である請求項1又は2記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
【請求項4】
上記断面が、四角形の1辺全体に半円又は半楕円形部が形成された形状、四角形の1辺全体に三角形部が形成された形状、四角形の1辺中央部に半円又は半楕円形部が形成された形状、四角形の1辺中央部に三角形部が形成された形状、四角形の1辺全体に半円又は半楕円形部が形成され、更にその頂部に半小円又は半小楕円形部又は三角形部が形成された形状、四角形の1辺両端部にそれぞれ端縁部に沿って突出部が形成され、中央部に半円又は半楕円形又は三角形部が形成された形状、四角形の1辺に複数個の半円、半楕円又は三角形部が形成された形状、又は四角形の1辺全体に半円又は半楕円形部が形成され、その上に複数個の半円又は半楕円又は三角形部が形成された形状である請求項1記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
【請求項5】
高級脂肪酸金属塩が炭素数10〜30の高級脂肪酸の金属塩である請求項1乃至4のいずれか1項記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高級脂肪酸金属塩ブロック成型体を用いた電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−237462(P2010−237462A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85658(P2009−85658)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000226666)日信化学工業株式会社 (40)
【Fターム(参考)】