高調波抑制共振器、高調波伝搬阻止フィルタ、高調波抑制発振器およびマイクロ波送信機
【課題】高調波抑制効果が高い高調波抑制共振器およびそれを備えた高調波抑制高調波機器を構成する。
【解決手段】基本波がTE101モードで共振する略矩形の共振領域21と、そのE面が突出した形状をなして基本波の遮断域、高調波の伝搬域となる付加領域22とを設ける。例えばE面の長手方向に沿った幅が基本波の1/2波長以下で2倍波の1/2波長以上とし、奥行きdが2次高調波の略1/4波長としてする。これにより、2倍波の実効共振空間を広げてその共振周波数を低下させ、マグネトロンの2次高調波の周波数では共振しないようにする。
【解決手段】基本波がTE101モードで共振する略矩形の共振領域21と、そのE面が突出した形状をなして基本波の遮断域、高調波の伝搬域となる付加領域22とを設ける。例えばE面の長手方向に沿った幅が基本波の1/2波長以下で2倍波の1/2波長以上とし、奥行きdが2次高調波の略1/4波長としてする。これにより、2倍波の実効共振空間を広げてその共振周波数を低下させ、マグネトロンの2次高調波の周波数では共振しないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波信号を扱う回路において、基本波周波数以外の高調波成分を抑制する高調波抑制共振器、それを備えた高調波伝搬阻止フィルタ、高調波抑制発振器、マイクロ波送信機等の高調波抑制高周波機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電波資源の有効利用を図る見地から、各種高周波機器においては使用周波数帯から離れた周波数帯域で不要な輻射が生じないように規制や勧告がなされている。
【0003】
例えば大電力を扱うレーダから放射される電波に含まれる不要輻射を抑制するものとして特許文献1が示されている。
【0004】
船舶用レーダの送信管としてはマグネトロンが用いられている。このマグネトロンは、基本的にπモードで発振して基本波周波数のマイクロ波を発生するが、同時に基本波周波数の2次高調波の発振モードであるπ−1モードの周波数成分(2逓倍波成分)が不要輻射として生じる。特許文献1ではこの不要輻射を抑制するために、ペデスタル部のロータリージョイントを利用して、ロータリージョイントの中心軸上の同軸管にスプリアス抑制フィルタ(LPF)を設けている。
【0005】
また、一般に伝送路として導波管を用いた高周波機器において、基本波成分のみを伝搬させるために導波管型の共振器がフィルタとして設置される。
【特許文献1】特開2007−81856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に示されているようなローパスフィルタを用いる構成では、基本波周波数帯域から高域側の周波数帯について比較的広い周波数帯に亘って高調波成分が抑制できるものの、基本波周波数帯から高域にかけての減衰特性が急峻ではなく、肝心の2次高調波の抑制効果が低いという問題があった。
【0007】
また、導波管型の共振器をフィルタとして備えた構成においては、例えば矩形導波管のTE□101モード(以下、単に「TE101モード」という。)で共振する導波管型フィルタを設けた場合に、基本波が透過するだけでなく,TE□202モード(以下、単にTE202モードという。)でも共振するので、2次高調波も透過してしまう。そのため導波管型フィルタは高調波伝搬阻止フィルタとして用いることはできなかった。このことを図1を用いて次に説明する。
【0008】
図1は従来の、高調波抑制機能のない導波管型共振器の構成を示す図である。図1(A)はその外観斜視図である。基本的には、矩形導波管を平面形状が正方形となる寸法に切りだして、前後の開口部を導体で閉塞したような形状である。
【0009】
図1(B)は基本波の電磁界分布を模式的に表している。また図1(C)は、その2倍波の電磁界分布の構成を模式的に表している。ここで実線の矢印はある瞬間の電気力線、ドットマークおよびクロスマークは磁界の向きをそれぞれ表し、これらによって電磁界強度の分布を表している。
【0010】
このようにTE101モードで共振する導波管型共振器はTE202モードでも共振するので、TE101モードを基本波としたときの2次高調波を抑制することができない。
【0011】
そこで、この発明の目的は、高調波の抑制効果が高い高調波抑制共振器およびそれを備えた高調波抑制高周波機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、この発明は次のように構成する。
(1)この発明の高調波抑制共振器は、基本波がTEモードで共振する共振領域を備えた導波管型の共振器において、
基本波に対して遮断域であり、抑制するn次高調波[nは2以上の整数]に対して伝搬域となる寸法の付加領域を備える。
【0013】
この構成により、上記付加領域は基本波に対しては影響を与えないので、基本波の共振周波数については変化がないが、n次高調波の共振周波数が低くなる。そのため、抑制しようとするn次高調波(n逓倍波)が共振器のn次高調波(n倍波)の共振周波数に共振しなくなる。すなわち基本波に対しては共振し、抑制する高調波に対しては共振しない高調波抑制共振器として作用する。
【0014】
(2)前記共振領域は基本波がTEモードで共振する略矩形導波管型共振器をなし、
前記付加領域は、前記略矩形導波管型共振器のE面が突出した形状をなし、前記E面の長手方向に沿った幅は基本波の1/2波長以下且つn次高調波の1/2波長以上であり、奥行きはn次高調波のm/2波長[mは1以上の整数]以外とする。
【0015】
この構成によれば、抑制しようとするn次高調波を効果的に抑制することができ、不要高調波を大きく抑制できる。
【0016】
(3)前記付加領域の奥行きは、特にn次高調波の略(1+2m)/4波長[mは0以上の整数]とする。
この構成によれば、抑制しようとするn次高調波をさらに最も効果的に抑制することができ、不要高調波を大きく抑制できる。しかも、付加領域の寸法を小さく抑えることができ、全体に大型化することもない。
【0017】
(4)前記付加領域は、当該付加領域の中心が前記共振領域のE面の長手方向の中央からずれた位置に配置する。
【0018】
これにより、n次高調波の定在波が付加領域に立ちやすくなり、その高調波抑制効果が高まる。
【0019】
(5)この発明の高調波伝搬阻止フィルタは、上述の構成を備えた高調波抑制共振器と前記共振領域に対して伝搬信号を導入・導出する入出力部を備える。
【0020】
この高調波伝搬阻止フィルタを例えば導波管の途中に設けることによって、抑制すべきn次高調波の伝搬が阻止される。
【0021】
(6)この発明の高調波抑制発振器は、前記いずれかの構成の高調波抑制共振器と、この高調波抑制共振器に結合して基本波の周波数で発振する能動回路とを備える。
【0022】
これにより高調波成分の抑制されたC/N比の高い高調波抑制発振器が構成できる。
【0023】
(7)この発明のマイクロ波送信機は、基本波をπモードで発振するマグネトロンとアンテナとの間の伝搬路に前記高調波伝搬阻止フィルタを備える。
【0024】
この構成により、マグネトロンから発生されるπ−1モードの高調波成分が前記高調波伝搬阻止フィルタで阻止されるので不要輻射が抑えられる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、基本波周波数で共振し、所定の高調波周波数に対しては共振せずに抑制する共振器、不要な高調波の伝搬を阻止するフィルタ、不要周波数成分の発振を抑制した発振器、不要な高調波の輻射を抑制したマイクロ波送信機が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
《第1の実施形態》
図2は、第1の実施形態に係る高調波抑制共振器の基本的な構成を示す斜視図および各モードの電磁界分布の例を示す図である。
【0027】
図2(A)に示すように、高調波抑制共振器101は、共振領域21と、その一部から突出した付加領域22を備えている。図中、Eで示す面がE面、Hで示す面がH面である。この共振器は、内部に付加空間を備えた空洞共振器ということもできる。
【0028】
上記付加領域22は、共振領域21のE面が部分的に突出した形状をなし、共振領域21のE面の長手方向に沿った幅が基本波の1/2波長以下で、n次高調波の1/2波長以上であり、且つ長さがn次高調波の略1/4波長の奥行きを備えたものである。
【0029】
基本波の周波数が9.4GHzである場合、図中の各部の寸法は次のとおりである。
a:22.9mm
b:5mm
c:20mm
d:5mm
e:10mm
図2(B)は基本波の電磁界分布、図2(C)は2倍波モード(擬似TE202モード)の電磁界分布を示している。付加領域22は、基本波については遮断域であるので、図2(B)に示すように、付加領域22が存在していても、基本波の共振周波数はほとんど変化がない。これに対して図2(C)に示すように、2倍波は付加領域22に侵入するため、この付加領域22も含めて共振領域として作用する。その結果、2倍波の実効的な共振空間が広がって、2倍波の共振周波数は付加領域22が無い場合に比べて低くなる。そのため、2次高調波の周波数(基本波周波数の2倍の周波数)については共振しない。
【0030】
なお、図2(D)に示すように、共振領域21から突出する付加領域23の奥行きを2次高調波の1/2波長とすれば、この図2(D)のような定在波が生じて基本波の2倍の周波数で共振してしまうことになる。したがって付加領域の奥行き寸法dを適切に定めることが重要である。この寸法dを2次高調波の略1/4波長とすれば2倍波の共振周波数の低域へのシフト量が最も大きくなり、それに伴って2次高調波の抑制効果が最も高まる。
【0031】
図3は、共振領域21に対する付加領域24の中心がE面の長手方向に沿った長さ方向の中央位置になるように仮に形成した例を示している。この場合、図3(B)に示すように2倍波の定在波が付加領域24に十分侵入できずに、実効共振空間が拡大されない。したがって、2次高調波の共振周波数の低下効果が少ない。
【0032】
そこで、付加領域24の中心がE面の長手方向に沿った長さ方向の中央位置からずれた位置になるように付加領域24を配置する。
【0033】
《第2の実施形態》
図4は第2の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの構成を示す斜視図である。ここでは電磁界分布が生じる空間のみを取り出して表している。図4において、この高調波伝搬阻止フィルタ201は、3つの共振領域21a,21b,21cを備え、共振領域21a,21cに対して付加領域22a,22cをそれぞれ設けている。また、入出力用空間31a,31cを備え、この入出力用空間31aと共振領域21aとの間に結合窓33aaを設けている。同様に、入出力用空間31cと共振領域21cとの間に結合窓33ccを設けている。また、共振領域21aと21bとの間に結合窓33abを設け、21bと21cとの間に結合窓33bcを設けている。
【0034】
このようにして、3つの共振領域21a,21b,21cおよび付加領域22a,22cを備えた3つの共振器が順に結合した、3段の共振器からなるフィルタを構成している。このフィルタは、基本波周波数の帯域を通過し且つ2次高調波を阻止する機能を有する帯域通過フィルタとして作用する。
【0035】
《第3の実施形態》
図5は第3の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの主要部の斜視図、図6はその構成部品の分解平面図である。
この高調波伝搬阻止フィルタ202は、基本的に、2つの金属ブロック41,43およびその間の仕切り板42とで構成している。
【0036】
図6(A)は第1の金属ブロック41の平面図であり、一定深さの凹部を形成することによって共振領域51a,51bを形成している。また共振領域51bには付加領域52bを設けている。また2つの共振領域51a,51bの間に結合窓33abを形成している。さらに共振領域51aには、図における後方に抜ける結合窓33aaを形成している。
【0037】
第2の金属ブロック43には、金属ブロック41と鏡対称の関係で共振領域51c,51d、付加領域52c、および結合窓33cd,33ddをそれぞれ形成している。
【0038】
仕切り板42は金属ブロック41,43の共振領域形成面同士で挟まれる金属板であり、共振領域51b−51c同士を連通する結合窓33bcを開口している。
【0039】
図5(A)は図6に示した3つの部材を重ね合わせて形成される共振領域を示したものである。ここで結合窓33aa,33ddにそれぞれ繋がる入出力用空間32a,32dを設けている。これは矩形導波管の端部である。
【0040】
このような構造により、入出力用空間32a→結合窓33aa→共振領域51a→結合窓33ab→(共振領域51b,付加領域52b)→結合窓33bc→(共振領域51c,付加領域52c)→結合窓33cd→共振領域51d→結合窓33dd→入出力用空間32dの経路で電磁波が伝搬することになる。
【0041】
図5(B)は上記共振領域内に生じる2倍波の定在波を濃度分布で示している。このように2倍波の一部は付加領域52b,52cにも生じ、その共振周波数は基本波周波数の2倍より低くなる。
【0042】
このフィルタは、4つの共振器が順に結合した4段の共振器からなり、共振領域51b,付加領域52bによる共振器部で、および共振領域51c,付加領域52cによる共振器部で、2次高調波の共振が阻止される。
【0043】
このようにして、基本波周波数の帯域を通過し且つ2次高調波を阻止する機能を有する帯域通過フィルタとして作用する。
【0044】
図7は、図5・図6に示した高調波伝搬阻止フィルタおよびその付加領域を設けない場合の周波数特性を示す図である。
図7(A)は第3の実施形態に係る高周波伝搬阻止フィルタの特性、図7(B)はその比較例として、前記付加領域52b,52cを設けないフィルタの特性図である。いずれも基本波周波数は9.4GHzであるが、高調波阻止機能がない場合、図7(B)に示すように約13.8GHzおよび18.8GHz帯で通過域が生じている。これに対して第3の実施形態による高調波伝搬阻止フィルタによれば、図7(A)に丸印で示すように18.8GHzの挿入損失が大きく、2次高調波が阻止されるのが分かる。
【0045】
《第4の実施形態》
図8は第4の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成を示す水平断面図である。この高調波抑制共振器102は、第1の実施形態で示したものと同様の共振領域21および付加領域22を備えている。この共振領域21および付加領域22は金属ブロック内に構成していて、その金属ブロックに導波管部40を構成するとともに、導波管部40の所定箇所と共振領域21との間に結合窓33を設けている。
【0046】
このような構成により、導波管部40を伝搬する電磁波は、結合窓33を介して共振領域21および付加領域22からなる共振器と結合する。基本波はこの共振器と結合して略全反射する。一方、2次高調波は高調波抑制共振器102とは結合しないので、そのまま導波管部40を透過する。このようにして所望の基本波をトラップし、2次高調波を透過させる回路として用いることかできる。
【0047】
《第5の実施形態》
図9は第5の実施形態に係る高調波抑制発振器の回路図である。この高調波抑制発振器301は、一端を無反射終端した伝送路61、それに結合する高調波抑制共振器103、伝送路61を伝搬する信号と結合する負性抵抗素子としての能動素子Q、およびスタブ62,63を備えている。
【0048】
このような構成によって帯域反射型発振回路として作用する。高調波抑制共振器103は基本波周波数で共振し、2次高調波の周波数では共振しない高調波抑制共振器であるので、2次高調波の周波数では共振せず、2次高調波成分の生じないC/N比の高い発振信号が得られる。なお、高調波抑制共振器102は2倍波で共振するモードが生じるが、基本波周波数で発振条件を満たす位置で、伝送路61に高調波抑制共振器103が結合しているので、上記2倍波の共振周波数では発振条件を満足せず、結果的に2倍波の共振周波数成分も生じない。
【0049】
上記伝送路61を導波管で構成する場合、高調波抑制共振器103には第4の実施形態で示した高調波抑制共振器102を用いることができる。
【0050】
《第6の実施形態》
図10は第6の実施形態に係る高調波抑制共振器の回路図である。この高調波抑制共振器は円形の共振領域71と付加領域72とで構成している。以上に示した各実施形態では、基本波の共振領域を略直方体形状としたが、この図10に示すように、基本波の共振領域は円筒形状であってもよい。この共振領域71の基本波の共振モードはTM○010モードであり、2倍波の共振モードはTM○210モードであるので、付加領域72の作用・効果は図2に示したものと同様である。
【0051】
《第7の実施形態》
図11は第7の実施形態に係るマイクロ波送信機の例としてのレーダの構成を示すブロック図である。レーダの高周波回路部は、マイクロ波を発振するマグネトロン2、それをパルス駆動する駆動回路1、マグネトロン2の発振信号を後段方向へ伝搬するサーキュレータ3、終端器4、2次高調波を抑制する高調波伝搬阻止フィルタ202、送信信号をロータリージョイント側へ伝搬させ、受信信号を受信回路側へ伝搬させるサーキュレータ6、ロータリージョイント7、アンテナ8、送信信号の電力が受信回路側へ回り込まないようにする制限するリミッタ回路9および受信回路10を備えている。
【0052】
駆動回路1がマグネトロン2をパルス駆動することによって、9.4GHzのパルス状マイクロ波信号が出力され、サーキュレータ3→高調波伝搬阻止フィルタ202→サーキュレータ6→ロータリージョイント7→アンテナ8の経路で空中へ放射される。また物標で反射した信号がアンテナ8で受信され、ロータリージョイント7→サーキュレータ6→リミッタ回路9→受信回路10の経路で受信される。
【0053】
このように送信信号が高調波伝搬阻止フィルタ202を通過する際、2次高調波が阻止されるので、アンテナ8からの2次高調波の不要輻射が抑制される。高調波伝搬阻止フィルタ202はサーキュレータ3の後段に設けたので、上記2次高調波はマグネトロン2だけでなくサーキュレータ3で生じるものについても有効である。
【0054】
なお、高調波伝搬阻止フィルタ202を透過せずに反射した2次高調波はサーキュレータ3を介して終端器4で消費されるので、マグネトロン2に対して悪影響を与えることがない。
【0055】
なお、以上に示した各実施形態では、基本波の共振領域を空洞共振器で構成するものであったが、この共振領域内は空気である必要はなく、固体の誘電体が充填されていてもよい。また、誘電体ブロックの外面に電極膜を形成することによって構成してもよい、本発明の「導波管型の共振器」はこのような構成をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来の導波管型共振器の構成および基本波モードと2倍波モードの電磁界分布の例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成および各モードの電磁界分布の例を示す図である。
【図3】高調波抑制共振器の付加領域の形成位置の例を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの主要部の斜視図である。
【図5】第3の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの主要部の斜視図および電磁界分布の例を示す図である。
【図6】同高調波伝搬阻止フィルタの構成部品の平面図である。
【図7】同高調波伝搬阻止フィルタの周波数特性を示す図である。
【図8】第4の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成を示す水平断面図である。
【図9】第5の実施形態に係る高調波抑制発振器の回路図である。
【図10】第6の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成を示す図である。
【図11】第7の実施形態に係るレーダの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
11−導波管型共振器
21−共振領域
21a〜21c−共振領域
22,23,24−付加領域
31,32−入出力用空間
33−結合窓
40−導波管部
41,43−金属ブロック
42−仕切り板
51,71−共振領域
52,72−付加領域
101,102,103−高調波抑制共振器
201,202−高調波伝搬阻止フィルタ
301−高調波抑制発振器
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波信号を扱う回路において、基本波周波数以外の高調波成分を抑制する高調波抑制共振器、それを備えた高調波伝搬阻止フィルタ、高調波抑制発振器、マイクロ波送信機等の高調波抑制高周波機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電波資源の有効利用を図る見地から、各種高周波機器においては使用周波数帯から離れた周波数帯域で不要な輻射が生じないように規制や勧告がなされている。
【0003】
例えば大電力を扱うレーダから放射される電波に含まれる不要輻射を抑制するものとして特許文献1が示されている。
【0004】
船舶用レーダの送信管としてはマグネトロンが用いられている。このマグネトロンは、基本的にπモードで発振して基本波周波数のマイクロ波を発生するが、同時に基本波周波数の2次高調波の発振モードであるπ−1モードの周波数成分(2逓倍波成分)が不要輻射として生じる。特許文献1ではこの不要輻射を抑制するために、ペデスタル部のロータリージョイントを利用して、ロータリージョイントの中心軸上の同軸管にスプリアス抑制フィルタ(LPF)を設けている。
【0005】
また、一般に伝送路として導波管を用いた高周波機器において、基本波成分のみを伝搬させるために導波管型の共振器がフィルタとして設置される。
【特許文献1】特開2007−81856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に示されているようなローパスフィルタを用いる構成では、基本波周波数帯域から高域側の周波数帯について比較的広い周波数帯に亘って高調波成分が抑制できるものの、基本波周波数帯から高域にかけての減衰特性が急峻ではなく、肝心の2次高調波の抑制効果が低いという問題があった。
【0007】
また、導波管型の共振器をフィルタとして備えた構成においては、例えば矩形導波管のTE□101モード(以下、単に「TE101モード」という。)で共振する導波管型フィルタを設けた場合に、基本波が透過するだけでなく,TE□202モード(以下、単にTE202モードという。)でも共振するので、2次高調波も透過してしまう。そのため導波管型フィルタは高調波伝搬阻止フィルタとして用いることはできなかった。このことを図1を用いて次に説明する。
【0008】
図1は従来の、高調波抑制機能のない導波管型共振器の構成を示す図である。図1(A)はその外観斜視図である。基本的には、矩形導波管を平面形状が正方形となる寸法に切りだして、前後の開口部を導体で閉塞したような形状である。
【0009】
図1(B)は基本波の電磁界分布を模式的に表している。また図1(C)は、その2倍波の電磁界分布の構成を模式的に表している。ここで実線の矢印はある瞬間の電気力線、ドットマークおよびクロスマークは磁界の向きをそれぞれ表し、これらによって電磁界強度の分布を表している。
【0010】
このようにTE101モードで共振する導波管型共振器はTE202モードでも共振するので、TE101モードを基本波としたときの2次高調波を抑制することができない。
【0011】
そこで、この発明の目的は、高調波の抑制効果が高い高調波抑制共振器およびそれを備えた高調波抑制高周波機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、この発明は次のように構成する。
(1)この発明の高調波抑制共振器は、基本波がTEモードで共振する共振領域を備えた導波管型の共振器において、
基本波に対して遮断域であり、抑制するn次高調波[nは2以上の整数]に対して伝搬域となる寸法の付加領域を備える。
【0013】
この構成により、上記付加領域は基本波に対しては影響を与えないので、基本波の共振周波数については変化がないが、n次高調波の共振周波数が低くなる。そのため、抑制しようとするn次高調波(n逓倍波)が共振器のn次高調波(n倍波)の共振周波数に共振しなくなる。すなわち基本波に対しては共振し、抑制する高調波に対しては共振しない高調波抑制共振器として作用する。
【0014】
(2)前記共振領域は基本波がTEモードで共振する略矩形導波管型共振器をなし、
前記付加領域は、前記略矩形導波管型共振器のE面が突出した形状をなし、前記E面の長手方向に沿った幅は基本波の1/2波長以下且つn次高調波の1/2波長以上であり、奥行きはn次高調波のm/2波長[mは1以上の整数]以外とする。
【0015】
この構成によれば、抑制しようとするn次高調波を効果的に抑制することができ、不要高調波を大きく抑制できる。
【0016】
(3)前記付加領域の奥行きは、特にn次高調波の略(1+2m)/4波長[mは0以上の整数]とする。
この構成によれば、抑制しようとするn次高調波をさらに最も効果的に抑制することができ、不要高調波を大きく抑制できる。しかも、付加領域の寸法を小さく抑えることができ、全体に大型化することもない。
【0017】
(4)前記付加領域は、当該付加領域の中心が前記共振領域のE面の長手方向の中央からずれた位置に配置する。
【0018】
これにより、n次高調波の定在波が付加領域に立ちやすくなり、その高調波抑制効果が高まる。
【0019】
(5)この発明の高調波伝搬阻止フィルタは、上述の構成を備えた高調波抑制共振器と前記共振領域に対して伝搬信号を導入・導出する入出力部を備える。
【0020】
この高調波伝搬阻止フィルタを例えば導波管の途中に設けることによって、抑制すべきn次高調波の伝搬が阻止される。
【0021】
(6)この発明の高調波抑制発振器は、前記いずれかの構成の高調波抑制共振器と、この高調波抑制共振器に結合して基本波の周波数で発振する能動回路とを備える。
【0022】
これにより高調波成分の抑制されたC/N比の高い高調波抑制発振器が構成できる。
【0023】
(7)この発明のマイクロ波送信機は、基本波をπモードで発振するマグネトロンとアンテナとの間の伝搬路に前記高調波伝搬阻止フィルタを備える。
【0024】
この構成により、マグネトロンから発生されるπ−1モードの高調波成分が前記高調波伝搬阻止フィルタで阻止されるので不要輻射が抑えられる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、基本波周波数で共振し、所定の高調波周波数に対しては共振せずに抑制する共振器、不要な高調波の伝搬を阻止するフィルタ、不要周波数成分の発振を抑制した発振器、不要な高調波の輻射を抑制したマイクロ波送信機が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
《第1の実施形態》
図2は、第1の実施形態に係る高調波抑制共振器の基本的な構成を示す斜視図および各モードの電磁界分布の例を示す図である。
【0027】
図2(A)に示すように、高調波抑制共振器101は、共振領域21と、その一部から突出した付加領域22を備えている。図中、Eで示す面がE面、Hで示す面がH面である。この共振器は、内部に付加空間を備えた空洞共振器ということもできる。
【0028】
上記付加領域22は、共振領域21のE面が部分的に突出した形状をなし、共振領域21のE面の長手方向に沿った幅が基本波の1/2波長以下で、n次高調波の1/2波長以上であり、且つ長さがn次高調波の略1/4波長の奥行きを備えたものである。
【0029】
基本波の周波数が9.4GHzである場合、図中の各部の寸法は次のとおりである。
a:22.9mm
b:5mm
c:20mm
d:5mm
e:10mm
図2(B)は基本波の電磁界分布、図2(C)は2倍波モード(擬似TE202モード)の電磁界分布を示している。付加領域22は、基本波については遮断域であるので、図2(B)に示すように、付加領域22が存在していても、基本波の共振周波数はほとんど変化がない。これに対して図2(C)に示すように、2倍波は付加領域22に侵入するため、この付加領域22も含めて共振領域として作用する。その結果、2倍波の実効的な共振空間が広がって、2倍波の共振周波数は付加領域22が無い場合に比べて低くなる。そのため、2次高調波の周波数(基本波周波数の2倍の周波数)については共振しない。
【0030】
なお、図2(D)に示すように、共振領域21から突出する付加領域23の奥行きを2次高調波の1/2波長とすれば、この図2(D)のような定在波が生じて基本波の2倍の周波数で共振してしまうことになる。したがって付加領域の奥行き寸法dを適切に定めることが重要である。この寸法dを2次高調波の略1/4波長とすれば2倍波の共振周波数の低域へのシフト量が最も大きくなり、それに伴って2次高調波の抑制効果が最も高まる。
【0031】
図3は、共振領域21に対する付加領域24の中心がE面の長手方向に沿った長さ方向の中央位置になるように仮に形成した例を示している。この場合、図3(B)に示すように2倍波の定在波が付加領域24に十分侵入できずに、実効共振空間が拡大されない。したがって、2次高調波の共振周波数の低下効果が少ない。
【0032】
そこで、付加領域24の中心がE面の長手方向に沿った長さ方向の中央位置からずれた位置になるように付加領域24を配置する。
【0033】
《第2の実施形態》
図4は第2の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの構成を示す斜視図である。ここでは電磁界分布が生じる空間のみを取り出して表している。図4において、この高調波伝搬阻止フィルタ201は、3つの共振領域21a,21b,21cを備え、共振領域21a,21cに対して付加領域22a,22cをそれぞれ設けている。また、入出力用空間31a,31cを備え、この入出力用空間31aと共振領域21aとの間に結合窓33aaを設けている。同様に、入出力用空間31cと共振領域21cとの間に結合窓33ccを設けている。また、共振領域21aと21bとの間に結合窓33abを設け、21bと21cとの間に結合窓33bcを設けている。
【0034】
このようにして、3つの共振領域21a,21b,21cおよび付加領域22a,22cを備えた3つの共振器が順に結合した、3段の共振器からなるフィルタを構成している。このフィルタは、基本波周波数の帯域を通過し且つ2次高調波を阻止する機能を有する帯域通過フィルタとして作用する。
【0035】
《第3の実施形態》
図5は第3の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの主要部の斜視図、図6はその構成部品の分解平面図である。
この高調波伝搬阻止フィルタ202は、基本的に、2つの金属ブロック41,43およびその間の仕切り板42とで構成している。
【0036】
図6(A)は第1の金属ブロック41の平面図であり、一定深さの凹部を形成することによって共振領域51a,51bを形成している。また共振領域51bには付加領域52bを設けている。また2つの共振領域51a,51bの間に結合窓33abを形成している。さらに共振領域51aには、図における後方に抜ける結合窓33aaを形成している。
【0037】
第2の金属ブロック43には、金属ブロック41と鏡対称の関係で共振領域51c,51d、付加領域52c、および結合窓33cd,33ddをそれぞれ形成している。
【0038】
仕切り板42は金属ブロック41,43の共振領域形成面同士で挟まれる金属板であり、共振領域51b−51c同士を連通する結合窓33bcを開口している。
【0039】
図5(A)は図6に示した3つの部材を重ね合わせて形成される共振領域を示したものである。ここで結合窓33aa,33ddにそれぞれ繋がる入出力用空間32a,32dを設けている。これは矩形導波管の端部である。
【0040】
このような構造により、入出力用空間32a→結合窓33aa→共振領域51a→結合窓33ab→(共振領域51b,付加領域52b)→結合窓33bc→(共振領域51c,付加領域52c)→結合窓33cd→共振領域51d→結合窓33dd→入出力用空間32dの経路で電磁波が伝搬することになる。
【0041】
図5(B)は上記共振領域内に生じる2倍波の定在波を濃度分布で示している。このように2倍波の一部は付加領域52b,52cにも生じ、その共振周波数は基本波周波数の2倍より低くなる。
【0042】
このフィルタは、4つの共振器が順に結合した4段の共振器からなり、共振領域51b,付加領域52bによる共振器部で、および共振領域51c,付加領域52cによる共振器部で、2次高調波の共振が阻止される。
【0043】
このようにして、基本波周波数の帯域を通過し且つ2次高調波を阻止する機能を有する帯域通過フィルタとして作用する。
【0044】
図7は、図5・図6に示した高調波伝搬阻止フィルタおよびその付加領域を設けない場合の周波数特性を示す図である。
図7(A)は第3の実施形態に係る高周波伝搬阻止フィルタの特性、図7(B)はその比較例として、前記付加領域52b,52cを設けないフィルタの特性図である。いずれも基本波周波数は9.4GHzであるが、高調波阻止機能がない場合、図7(B)に示すように約13.8GHzおよび18.8GHz帯で通過域が生じている。これに対して第3の実施形態による高調波伝搬阻止フィルタによれば、図7(A)に丸印で示すように18.8GHzの挿入損失が大きく、2次高調波が阻止されるのが分かる。
【0045】
《第4の実施形態》
図8は第4の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成を示す水平断面図である。この高調波抑制共振器102は、第1の実施形態で示したものと同様の共振領域21および付加領域22を備えている。この共振領域21および付加領域22は金属ブロック内に構成していて、その金属ブロックに導波管部40を構成するとともに、導波管部40の所定箇所と共振領域21との間に結合窓33を設けている。
【0046】
このような構成により、導波管部40を伝搬する電磁波は、結合窓33を介して共振領域21および付加領域22からなる共振器と結合する。基本波はこの共振器と結合して略全反射する。一方、2次高調波は高調波抑制共振器102とは結合しないので、そのまま導波管部40を透過する。このようにして所望の基本波をトラップし、2次高調波を透過させる回路として用いることかできる。
【0047】
《第5の実施形態》
図9は第5の実施形態に係る高調波抑制発振器の回路図である。この高調波抑制発振器301は、一端を無反射終端した伝送路61、それに結合する高調波抑制共振器103、伝送路61を伝搬する信号と結合する負性抵抗素子としての能動素子Q、およびスタブ62,63を備えている。
【0048】
このような構成によって帯域反射型発振回路として作用する。高調波抑制共振器103は基本波周波数で共振し、2次高調波の周波数では共振しない高調波抑制共振器であるので、2次高調波の周波数では共振せず、2次高調波成分の生じないC/N比の高い発振信号が得られる。なお、高調波抑制共振器102は2倍波で共振するモードが生じるが、基本波周波数で発振条件を満たす位置で、伝送路61に高調波抑制共振器103が結合しているので、上記2倍波の共振周波数では発振条件を満足せず、結果的に2倍波の共振周波数成分も生じない。
【0049】
上記伝送路61を導波管で構成する場合、高調波抑制共振器103には第4の実施形態で示した高調波抑制共振器102を用いることができる。
【0050】
《第6の実施形態》
図10は第6の実施形態に係る高調波抑制共振器の回路図である。この高調波抑制共振器は円形の共振領域71と付加領域72とで構成している。以上に示した各実施形態では、基本波の共振領域を略直方体形状としたが、この図10に示すように、基本波の共振領域は円筒形状であってもよい。この共振領域71の基本波の共振モードはTM○010モードであり、2倍波の共振モードはTM○210モードであるので、付加領域72の作用・効果は図2に示したものと同様である。
【0051】
《第7の実施形態》
図11は第7の実施形態に係るマイクロ波送信機の例としてのレーダの構成を示すブロック図である。レーダの高周波回路部は、マイクロ波を発振するマグネトロン2、それをパルス駆動する駆動回路1、マグネトロン2の発振信号を後段方向へ伝搬するサーキュレータ3、終端器4、2次高調波を抑制する高調波伝搬阻止フィルタ202、送信信号をロータリージョイント側へ伝搬させ、受信信号を受信回路側へ伝搬させるサーキュレータ6、ロータリージョイント7、アンテナ8、送信信号の電力が受信回路側へ回り込まないようにする制限するリミッタ回路9および受信回路10を備えている。
【0052】
駆動回路1がマグネトロン2をパルス駆動することによって、9.4GHzのパルス状マイクロ波信号が出力され、サーキュレータ3→高調波伝搬阻止フィルタ202→サーキュレータ6→ロータリージョイント7→アンテナ8の経路で空中へ放射される。また物標で反射した信号がアンテナ8で受信され、ロータリージョイント7→サーキュレータ6→リミッタ回路9→受信回路10の経路で受信される。
【0053】
このように送信信号が高調波伝搬阻止フィルタ202を通過する際、2次高調波が阻止されるので、アンテナ8からの2次高調波の不要輻射が抑制される。高調波伝搬阻止フィルタ202はサーキュレータ3の後段に設けたので、上記2次高調波はマグネトロン2だけでなくサーキュレータ3で生じるものについても有効である。
【0054】
なお、高調波伝搬阻止フィルタ202を透過せずに反射した2次高調波はサーキュレータ3を介して終端器4で消費されるので、マグネトロン2に対して悪影響を与えることがない。
【0055】
なお、以上に示した各実施形態では、基本波の共振領域を空洞共振器で構成するものであったが、この共振領域内は空気である必要はなく、固体の誘電体が充填されていてもよい。また、誘電体ブロックの外面に電極膜を形成することによって構成してもよい、本発明の「導波管型の共振器」はこのような構成をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来の導波管型共振器の構成および基本波モードと2倍波モードの電磁界分布の例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成および各モードの電磁界分布の例を示す図である。
【図3】高調波抑制共振器の付加領域の形成位置の例を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの主要部の斜視図である。
【図5】第3の実施形態に係る高調波伝搬阻止フィルタの主要部の斜視図および電磁界分布の例を示す図である。
【図6】同高調波伝搬阻止フィルタの構成部品の平面図である。
【図7】同高調波伝搬阻止フィルタの周波数特性を示す図である。
【図8】第4の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成を示す水平断面図である。
【図9】第5の実施形態に係る高調波抑制発振器の回路図である。
【図10】第6の実施形態に係る高調波抑制共振器の構成を示す図である。
【図11】第7の実施形態に係るレーダの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
11−導波管型共振器
21−共振領域
21a〜21c−共振領域
22,23,24−付加領域
31,32−入出力用空間
33−結合窓
40−導波管部
41,43−金属ブロック
42−仕切り板
51,71−共振領域
52,72−付加領域
101,102,103−高調波抑制共振器
201,202−高調波伝搬阻止フィルタ
301−高調波抑制発振器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本波がTEモードで共振する共振領域を備えた導波管型の共振器において、
基本波に対して遮断域であり、抑制するn次高調波[nは2以上の整数]に対して伝搬域となる寸法の付加領域を設けたことを特徴とする高調波抑制共振器。
【請求項2】
前記共振領域は基本波がTEモードで共振する略矩形導波管型共振器をなし、
前記付加領域は、前記略矩形導波管型共振器のE面が突出した形状をなし、前記E面の長手方向に沿った幅は基本波の1/2波長以下且つn次高調波の1/2波長以上であり、奥行きはn次高調波のm/2波長[mは1以上の整数]以外である、請求項1に記載の高調波抑制共振器。
【請求項3】
前記付加領域の奥行きはn次高調波の略(1+2m)/4波長[mは0以上の整数]である、請求項2に記載の高調波抑制共振器。
【請求項4】
前記付加領域は、当該付加領域の中心が前記共振領域のE面の長手方向の中央からずれた位置に配置された請求項1〜3のいずれかに記載の高調波抑制共振器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の高調波抑制共振器と、前記共振領域に対して伝搬信号を導入・導出する入出力部を備えた高調波伝搬阻止フィルタ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の高調波抑制共振器と、当該高調波抑制共振器に結合して前記基本波の周波数で発振する能動回路と、を備えた高調波抑制発振器。
【請求項7】
前記基本波をπモードで発振するマグネトロンとアンテナとを備え、前記マグネトロンと前記アンテナとの間の伝搬路に請求項5に記載の高調波伝搬阻止フィルタを備えたマイクロ波送信機。
【請求項1】
基本波がTEモードで共振する共振領域を備えた導波管型の共振器において、
基本波に対して遮断域であり、抑制するn次高調波[nは2以上の整数]に対して伝搬域となる寸法の付加領域を設けたことを特徴とする高調波抑制共振器。
【請求項2】
前記共振領域は基本波がTEモードで共振する略矩形導波管型共振器をなし、
前記付加領域は、前記略矩形導波管型共振器のE面が突出した形状をなし、前記E面の長手方向に沿った幅は基本波の1/2波長以下且つn次高調波の1/2波長以上であり、奥行きはn次高調波のm/2波長[mは1以上の整数]以外である、請求項1に記載の高調波抑制共振器。
【請求項3】
前記付加領域の奥行きはn次高調波の略(1+2m)/4波長[mは0以上の整数]である、請求項2に記載の高調波抑制共振器。
【請求項4】
前記付加領域は、当該付加領域の中心が前記共振領域のE面の長手方向の中央からずれた位置に配置された請求項1〜3のいずれかに記載の高調波抑制共振器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の高調波抑制共振器と、前記共振領域に対して伝搬信号を導入・導出する入出力部を備えた高調波伝搬阻止フィルタ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の高調波抑制共振器と、当該高調波抑制共振器に結合して前記基本波の周波数で発振する能動回路と、を備えた高調波抑制発振器。
【請求項7】
前記基本波をπモードで発振するマグネトロンとアンテナとを備え、前記マグネトロンと前記アンテナとの間の伝搬路に請求項5に記載の高調波伝搬阻止フィルタを備えたマイクロ波送信機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−164791(P2009−164791A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340560(P2007−340560)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
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