説明

高輝度図柄発光表示シートおよび高輝度図柄発光表示体

【目的】図柄背面に受ける太陽直射光および拡散天空光の逆光時および夜間においても、図柄の視認性および誘目性を向上させることを目的とする。
【構成】透明または半透明白色拡散板1と高輝度図柄発光表示シート2とで構成され、高輝度図柄発光表示シート2は、透明または半透明白色拡散板に接合される側から順次、透明接着層3と、透明フィルム層4と、この透明フィルム層4と接合される裏面に無数の所望形状の凹部5,6を形成し、表面に図柄を表示した図柄表示層7とよりなり、前記無数の凹部のうち一個置きに隣接する凹部5には前記透明または半透明白色拡散板1側から入射した光りを前記図柄表示層7の表面側に透過するフラット面5aを形成し、前記無数の凹部のうち一個置きに隣接する他の凹部6には、前記図柄表示層7の表面側から入射した光りを反射するマイクロプリズム面6aを形成したことを特徴とする高輝度図柄発光表示体8。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、図柄表示面に表示した図柄の背面より受ける太陽直射光および拡散天空光を図柄表示面へ導光させて天空以上に均一に高輝度発光させることで、太陽直射光の逆光時および建造物や地形による逆光時の視認性の悪化状態において、極めて高い図柄の視認性および誘目性が得られることから、道路標識板、視線誘導表示器、鉄道関係標識板、港湾関係表示器、一般の看板、室内窓表示器等の全般に利用できる高輝度図柄発光表示シートおよび高輝度図柄発光表示体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の図柄表示体(無照明型図柄表示体)の昼間における図柄の視認確保は、太陽直射光および拡散天空光、建造物、路面、樹木等からの二次的散乱光による散乱発光または吸収で視認性および誘目性を得るものであり、夜間にあっては街路灯や建造物からの拡散光、車輌のヘッドライト、または外部に照明を備えて視認性および誘目性を得るものである。
【0003】
また、内部照明図柄表示体(内照型図柄表示体)は昼間にあっては前記無照明型図柄表示体と同様に図柄の視認性を確保させ、夜間においては内部照明を点灯させることにより図柄を発光させて視認させるものであった。
【0004】
図柄表示体を道路標識に適用した一例として、図6〜図9によって説明すると、図6の正面図および図7の側面図で示す道路標識の構造は、標識基板21上の白色反射シート22上に、透明着色インクや非透明着色インクまたは着色反射シートおよび着色非反射シートの組合せによる図柄11を施してなるものである。
【0005】
図8は前記道路標識の作用の説明図であり、昼間にあっては前記図柄11面に直接作用する太陽直射光および拡散天空光23、二次的散乱光24による図柄表示面の散乱発光または吸収で視認性および誘目性を得るものであり、夜間は車輌のヘッドライトBによる回帰性反射光により視認性および誘目性を得るものであった。
【0006】
図9は内部照明を有する道路標識の構造を示す側断面図で、ハウジング25の先端開口に取付けた白色拡散板からなる表面板28の裏面に図柄印刷29を施し、夜間に図柄を発光させるために、前記ハウジング25の内部に蛍光灯26または電界発光するEL素子板27を備えて図柄を発光させ、視認性および誘目性を有するようにしたものであり、昼間の視認性および誘目性は前記無照明反射標識と同じである。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、前記従来の技術の場合にあって、夜間は白色反射シートにヘッドライトが当たることにより、または内部照明および外部照明で図柄を照明することにより、図柄の視認性および誘目性は確保されるが、昼間における図柄の視認性および誘目性は、太陽直射光を含め天空拡散光の配光方向、建造物、地形による設置環境による配光方向によって鉛直面上にある図柄の照度は極めて大きく変化することである。
【0008】
特に図柄背面から太陽直射光および天空拡散光Aが図8に示すように入射する逆光時にあっては、眩惑現象および図柄表示面の環境照度比の低下や日陰現象を生じ、極めて図柄の視認性および誘目性が悪い状態を生じ、著しい場合には図柄の視認性が不可能となって、図柄の視認性および誘目性の全く無い現象が、昼間において多発していることが大きな問題点であり、これが解決しようとする大きな課題であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この考案は、前記課題を解決することを目的とし、図柄背面に受ける太陽直射光および拡散天空光の入射光面の逆面の図柄面を、均一に高輝度発光させるための高輝度図柄発光表示シートであって、透明または半透明白色拡散板1に接合する側から順次、透明接着層3と、透明フィルム層4と、この透明フィルム層4と接合する裏面に無数の所望形状の凹部5,6を形成し、表面に図柄を表示した図柄表示層7とよりなり、この図柄表示層7の裏面に形成した前記無数の凹部5,6のうち一個置きに隣接する凹部5には前記透明または半透明白色拡散板1側から入射した光りを前記図柄表示層7の表面側に透過するフラット面5aを形成し、前記無数の凹部5,6のうち一個置きに隣接する他の凹部6には、前記図柄表示層7の表面側から入射した光りを反射するマイクロプリズム面6aを形成したことを特徴とする高輝度図柄発光表示シート2としたものである。
【0010】
また、図柄背面に受ける太陽直射光および拡散天空光の入射光面の逆面の図柄面を、均一に高輝度発光させるための高輝度図柄発光表示体であって、透明または半透明白色拡散板1と、この透明または半透明白色拡散板に接合する高輝度図柄発光表示シート2とよりなり、この高輝度図柄発光表示シート2は、前記透明または半透明白色拡散板1に接合する側から順次、透明接着層3と、透明フィルム層4と、この透明フィルム層4と接合する裏面に無数の所望形状の凹部5,6を形成し、表面に図柄を表示した図柄表示層7とよりなり、この図柄表示層7の裏面に形成した前記無数の凹部5,6のうち一個置きに隣接する凹部5には前記透明または半透明白色拡散板1側から入射した光りを前記図柄表示層7の表面側に透過するフラット面5aを形成し、前記無数の凹部5,6のうち一個置きに隣接する他の凹部6には、前記図柄表示層7の表面側から入射した光りを反射するマイクロプリズム面6aを形成したことを特徴とする高輝度図柄発光表示体8としたものである。
【0011】
【作用】
前記のような高輝度図柄発光表示シート2および高輝度図柄発光表示体8としたことにより、透明または半透明白色拡散板1の背面に受ける太陽直射光および拡散天空光Aは、この透明または半透明白色拡散板1と透明接着層3と透明フィルム層4とを透過し、さらに図柄表示層7の裏面に形成した凹部5のフラット面5aを透過し、図柄表示層7の表面に表示した図柄を高輝度発光させて、昼間の特に逆光時における図柄の視認性および誘目性が極めて高くなる。
一方、夜間に自動車のヘッドライトBが図柄表示層7の表面に入射すると、図柄表示層7の裏面に形成した凹部6のマイクロプリズム面6aで反射し、図柄表示層7の表面に表示した図柄を高輝度発光させて、夜間の図柄の視認性および誘目性が極めて高くなる。
【0012】
以上のように作用すことで、昼間の逆光時の図柄の視認性の悪化の状態を、逆に視認性および誘目性が極めて高い状態に反転させる作用効果を生み出すことができ、昼夜間共に常に明確に図柄を表示することができる高輝度図柄発光表示シートおよび高輝度図柄発光表示体を提供することができる。
【0013】
【実施例】
以下、この考案の高輝度図柄発光表示シート2および高輝度図柄発光表示体8の実施例について詳細に説明するが、この考案はこの実施例に限定されるものではなく、その実施態様を多少変えるように設計変更することは可能である。
【0014】
図1はこの考案の高輝度図柄発光表示体の一部を表面側から見た斜視図、図2は図1のX−X線における断面図(ハッチングは省略)、図3はこの高輝度図柄発光表示体の一部を表面側から見た拡大斜視図、図4はこの高輝度図柄発光表示体の作用を説明する図である。
【0015】
この考案の高輝度図柄発光表示体8は、透明または半透明白色拡散板1と、この透明または半透明白色拡散板1に接合する高輝度図柄発光表示シート2とよりなり、この高輝度図柄発光表示シート2は、前記透明または半透明白色拡散板1に接合する側から順次、透明接着層3と、透明フィルム層4と、この透明フィルム層4と接合する裏面に無数の所望形状の凹部5,6を形成し、表面に図柄を表示した図柄表示層7とよりなっている。
【0016】
前記図柄表示層7の裏面に形成した前記無数の凹部5,6のうち一個置きに隣接する凹部5には前記透明または半透明白色拡散板側1から入射した光りを前記図柄表示層7の表面側に透過するフラット面5aを形成し、前記無数の凹部のうち一個置きに隣接する他の凹部6には、前記図柄表示層7の表面側から入射した光りを反射するマイクロプリズム面6aを形成している。
【0017】
次に、この考案の高輝度図柄発光表示体8の作用を説明すると、図4に示すように、前記透明または半透明白色拡散板1の背面に受ける太陽直射光および拡散天空光Aは、この透明または半透明白色拡散板1と透明接着層3と透明フィルム層4とを透過し、さらに図柄表示層7の裏面に形成した凹部5のフラット面5aを透過し、図柄表示層7の表面に表示した図柄を高輝度発光させて、昼間の特に逆光時における図柄の視認性および誘目性が極めて高くなる。
【0018】
一方、夜間に自動車のヘッドライトBが図柄表示層7の表面に入射すると、図柄表示層7の裏面に形成した凹部6のマイクロプリズム面6aで反射し、図柄表示層7の表面に表示した図柄を高輝度発光させて、夜間の図柄の視認性および誘目性が極めて高くなる。
【0019】
【考案の効果】
この考案の高輝度図柄発光表示シートおよび高輝度図柄発光表示体は、以上説明したように構成したので、逆光時に透明または半透明白色拡散板の背面に受ける太陽直射光および拡散天空光は、この透明または半透明白色拡散板と透明接着層と透明フィルム層とを透過し、さらに、図柄表示層の裏面に形成した凹部のフラット面を透過し、図柄表示層の表面に表示した図柄を高輝度発光させるので、昼間の逆光時の図柄の視認性の悪化の状態を、逆に視認性および誘目性が極めて高い状態に反転させる効果がある。
【0020】
また、夜間に自動車のヘッドライトが図柄表示層の表面に入射すると、図柄表示層の裏面に形成した凹部のマイクロプリズム面で反射し、図柄表示層の表面に表示した図柄を高輝度発光させて、夜間の図柄の視認性および誘目性が高める効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の高輝度図柄発光表示体の一部を表面側から見た斜視図である。
【図2】図1のX−X線における断面図である。
【図3】この考案の高輝度図柄発光表示体の一部を表面側から見た拡大斜視図である。
【図4】この考案の高輝度図柄発光表示体の作用を説明する図である。
【図5】この考案の高輝度図柄発光表示体を道路標識として適用した正面図である。
【図6】従来の道路標識の正面図である。
【図7】従来の道路標識の側面図である。
【図8】従来の道路標識の作用の説明図である。
【図9】従来の内部照明標識の構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 透明または半透明白色拡散板
2 高輝度図柄発光表示シート
3 透明接着層
4 透明フィルム層
5 凹部
5a フラット面
6 凹部
6a マイクロプリズム面
7 図柄表示層
8 高輝度図柄発光表示体
11 図柄
21 標識基板
22 白色反射シート
23 太陽直射光および拡散天空光
24 二次的散乱光
25 ハウジング
26 蛍光灯
27 EL素子板
28 表面板
29 図柄印刷
A 太陽直射光および天空拡散光
B ヘッドライト

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】図柄背面に受ける太陽直射光および拡散天空光の入射光面の逆面の図柄面を、均一に高輝度発光させるための高輝度図柄発光表示シートであって、透明または半透明白色拡散板に接合する側から順次透明接着層と、透明フィルム層と、この透明フィルム層と接合する裏面に無数の所望形状の凹部を形成し、表面に図柄を表示した図柄表示層とよりなり、前記無数の凹部のうち一個置きに隣接する凹部には前記透明または半透明白色拡散板側から入射した光りを前記図柄表示層の表面側に透過するフラット面を形成し、前記無数の凹部のうち一個置きに隣接する他の凹部には、前記図柄表示層の表面側から入射した光りを反射するマイクロプリズム面を形成したことを特徴とする高輝度図柄発光表示シート。
【請求項2】図柄背面に受ける太陽直射光および拡散天空光の入射光面の逆面の図柄面を、均一に高輝度発光させるための高輝度図柄発光表示体であって、透明または半透明白色拡散板と、この透明または半透明白色拡散板に接合する高輝度図柄発光表示シートとよりなり、この高輝度図柄発光表示シートは、前記透明または半透明白色拡散板に接合する側から順次、透明接着層と、透明フィルム層と、この透明フィルム層と接合する裏面に無数の所望形状の凹部を形成し、表面に図柄を表示した図柄表示層とよりなり、前記無数の凹部のうち一個置きに隣接する凹部には前記透明または半透明白色拡散板側から入射した光りを前記図柄表示層の表面側に透過するフラット面を形成し、前記無数の凹部のうち一個置きに隣接する他の凹部には、前記図柄表示層の表面側から入射した光りを反射するマイクロプリズム面を形成したことを特徴とする高輝度図柄発光表示体。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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