説明

高輝度放電ランプの高温再点灯のための低点灯電圧瞬時始動(関連出願に対する相互参照)本出願は、同時出願の「IGNITERINTEGRATEDLAMPSOCKETFORHOTRE−STRIKEOFHIGHINTENSITYDISCHARGELAMP」という名称の本出願の譲受人が所有する同時係属中の出願(代理人ドケット番号:220932)に関連する。

【課題】高輝度放電ランプの高温再点灯。
【解決手段】ランプアセンブリは、着脱自在のプラグイン高輝度放電(HID)ランプを選択的に収容するハウジングを含む。25キロボルト未満においてランプの瞬時始動高温再点灯型の点灯を提供するため、変圧器及び電気回路がハウジング内に収容される。HIDランプの瞬時始動高温再点灯の回路は、25キロボルト未満の振幅及び約20ヘルツ〜約500ヘルツの範囲の周波数を有するパルスを含む点灯電圧をHIDランプに供給する。周波数は、好ましくは100ヘルツを上回り、より好ましくは約150ヘルツである。パルスの振幅は、好ましくは約15キロボルト未満、より好ましくは約8〜10キロボルトである。パルス幅は約200ナノ秒であり、パルスのピークは、約2ミリ秒の周期を伴って周期性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプに関し、より詳細には、ランプの瞬時始動高温再点灯が望ましいセラミックメタルハライド(CMH)ランプなどの高輝度放電(HID)ランプに関する。本発明は、特に、ソケットアセンブリに対して交換可能であるHIDランプにその用途が見出されるが、選択された各態様は、関連する使用法にその用途を見出すことができることを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
瞬時始動高温再点灯の用途においては、点灯電圧は、通常、約数十キロボルト(例えば、25〜30キロボルト)である。この高電圧により、点灯装置からランプソケットまで高電圧ケーブルを使用する必要があり、その結果、良好に電気的絶縁する。更に、これによってアセンブリの費用が上昇する。更に、高電圧ケーブルは、ランプ点灯の際にアンテナとして機能することにより、電磁干渉(EMI)を放射する。この結果、医療などのEMIの影響を受けやすい用途においては、高温再点灯が非現実的なものとなる場合がある。
【0003】
自動車用放電ヘッドランプの環境などのその他の分野においては、点灯装置、ランプソケット、及びランプを単一のユニットに統合することが知られている。これらの用途においては、個々のコンポーネントが一体型のアセンブリとなっているため、ランプの交換が必要な場合には、ランプ、点灯装置、及びランプソケットの全体を廃棄した上で交換を行う。しかしながら、自動車以外の用途においては、コンポーネントの残りの部分の耐用寿命がHIDランプの寿命によって限定されておらず、且つアセンブリ全体の交換に伴う追加費用が必要ないと考えられるため、このようなことは、経済的に実現不可能である。従って、商用照明、ディスプレイ照明、事務所、店舗、美術館、ステージ照明、テレビ及び映画スタジオなどの自動車以外の用途において、HIDランプの高温再点灯の用途に対するニーズが存在する。
【0004】
消灯後にランプを再点灯するには、標準的なHIDランプの場合、通常5分〜最大15分の冷却時間が必要である。この冷却時間を必要とする理由は、ランプが熱い際には、HIDランプのアーク管の内部圧力が数十気圧にもなり得るためである。すなわち、HIDランプが高温である場合、低温のランプを始動できる5キロボルト未満の代表的な又は通常の点灯電圧では、離隔した電極間の高圧プラズマギャップに跨って再点灯するのに十分強力な電界を提供することができない。高温ランプのHID瞬時始動再点灯(即ち、高温再点灯)を実現するには、非常に高い点灯電圧がアセンブリに必要である。自動車用放電ヘッドランプにおいては、通常25キロボルトを上回る点灯パルスが使用されており、特殊な用途のその他の高温再点灯HIDランプにおいては、30キロボルトを上回る点灯パルスが使用されている。
【0005】
この高い点灯電圧により、多数の課題と追加費用が生じる。例えば、高点灯電圧は、電極先端部のスパッタリングを引き起こし、この結果、電極の有効寿命が短くなり、最終的にはランプ障害を発生させる。また、高点灯電圧は、アーク管の壁に電極材料を堆積させ、光を放射するプラズマからの光を遮断し、ランプ性能を劣化させる。更に、高点灯瞬時始動HIDシステムにおいては、望ましくないアーク放電を防止するために、必然的に絶縁を強化しなければならない。絶縁の強化によりランプの設計が複雑化し、費用が増大する。また、高点灯電圧は、特にEMIを許容することができない特定の産業においては、深刻なEMI干渉の問題も提起し、システム設計者は、点灯パルスを遮断するための追加の予防策を講じなければならない。更に、高い点灯電圧を生成するために、点灯電圧生成器の費用も上昇する。
【0006】
従って、従来の方法は、瞬時始動を実現するための極めて高価な解決法ということになる。空気の絶縁破壊電圧は、1ミリメートル当たり約3キロボルトである。20キロボルトを上回るレベルの点灯電圧の場合には、絶縁破壊エアギャップは、標準的なHIDランプにおける2ミリメートル未満から、瞬時始動照明システムにおける7ミリメートル超に増大する。この結果、標準設計を変更するために、高い点灯電圧の絶縁を提供し、高電圧定格のランプベース及びランプホルダを提供すると共に、点灯パルスの転送に必要とされる高電圧ケーブルを使用することにより、瞬時始動システムの費用が大幅に上昇することは明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5298837A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、約25キロボルトの高温再点灯用の点灯パルスは、極めて深刻なEMI干渉を引き起こすと共に、システムを遮断するための更なる労力も必要とする。交換可能なHIDランプの高温再点灯の用途の改善された解決策と、信頼性が高く、反復可能であり、費用の低いアセンブリとが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ランプアセンブリは、高輝度放電(HID)ランプと、変圧器と、電気回路とを含み、25キロボルト未満でランプの瞬時始動高温再点灯を提供する。
【0010】
HIDランプの瞬時始動のための回路は、HIDランプに点灯電圧を供給する手段を含み、この手段は、25キロボルト未満の振幅と、約20ヘルツ〜約500ヘルツの範囲の周波数とを有する絶縁破壊電圧パルスを供給する手段を含む。好ましくは、周波数は100ヘルツを上回り、より好ましくは、周波数は約150ヘルツである。
【0011】
供給手段の振幅は、好ましくは約15キロボルト未満であり、より好ましくは、約8〜10キロボルトである。供給手段のパルス幅は約200ナノ秒であり、パルスのピークは約2ミリ秒の周期を伴って周期性を有する。
【0012】
本発明の主な利益は、瞬時始動高温再点灯HIDランプアセンブリに関連する費用の削減である。
【0013】
主な利益は、HIDランプの瞬時始動高温再点灯に必要とされる絶縁破壊電圧を大幅に減少できることである。
【0014】
更に別の利益は、EMIの低減と、瞬時始動高温再点灯の用途に関連する取付具の設計における大きな柔軟性である。
【0015】
本発明のその他の利益及び利点については、好適な実施形態の以下の詳細な説明を参照及び理解することによって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来のHIDの用途において使用されるランプソケットの斜視図である。
【図2】第1の好適な実施形態におけるランプアセンブリの分解斜視図である。
【図3】図2のソケットハウジングアセンブリの拡大斜視図である。
【図4】高温再点灯前の従来技術によるアーク管の概略図である。
【図5】従来技術の構成において使用される高温再点灯用点灯パルスのグラフである。
【図6】点灯パルス後の従来技術によるアーク管の図である。
【図7】瞬時始動高温再点灯の新しい点灯パルスの構成を示す図4と同様の図である。
【図8】瞬時始動高温再点灯の新しい点灯パルスの構成を示す図5と同様の図である。
【図9】瞬時始動高温再点灯の新しい点灯パルスの構成を示す図6と同様の図である。
【図10】代表的なパルス反復周波数を有する、改善された点灯パルスの振幅の減少の概略図である。
【図11】好適な電気回路の概略図である。
【図12】好適な電気回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、ソケットハウジング内に着脱可能に保持される高輝度放電(HID)ランプ(図示なし)と共に通常使用される従来のランプソケットハウジング又はベース100を示す。より詳しくは、ソケットハウジングは、関連する電源(図示なし)に接続された第1端部106、108をそれぞれ有する第1及び第2電源ケーブル102、104を含む。ランプアセンブリが瞬時始動高温再点灯の用途において使用される場合には、電源ケーブル102、104は、比較的丈夫な高電圧ケーブルであり、このケーブルは、約数十キロボルトの電圧を搬送する強力な絶縁を有し、これにより、ソケットハウジング内に収容されているランプに対して約25キロボルト(25kV)〜30キロボルト(30kV)の電圧点灯パルスを供給する。従って、これらの電源ケーブルは、安定器(図示なし)を含むと共に約数百ボルト(1200ボルト未満)から25kV〜30kVに電圧を昇圧する変圧器も含む電源から延在する。電源ケーブルの第2端部110、112は、ソケットハウジング内において終端しており、対応する凹部124、126内に収容された電気コネクタ120、122にそれぞれ電気的に接続される。これらの凹部、より詳しくは、コネクタは、コネクタを離隔させるエアギャップに跨った絶縁破壊を防止するために、既定の標準化された12mmの間隔などの既定の寸法だけ離隔する。
【0018】
ソケットハウジングは、コネクタの間において、且つ、コネクタに対して直角に配設された第1及び第2スプリングクリップ130、132を更に含み、HIDランプのベース部分の両側に機械的に係合する。この場合も、後に比較するために、変圧器及び点灯装置アセンブリは、ソケットハウジングから離れた場所に配置されることになろう。
【0019】
図2及び図3は、本発明の好適な実施形態を示す。具体的には、ランプアセンブリは、好ましくはセラミックハウジングであるランプソケットハウジング200を含む。単一のケーブル202のみを示すが、このケーブルは、第1及び第2絶縁ワイヤを収容する低電圧ケーブルであり、或いは、それぞれの電源ケーブルが単一のワイヤを収容する場合には、第2電源ケーブル(図示なし)を提供することも可能であることを理解されたい。この場合も、ワイヤの第1端部206、208は、関連する電源(図示なし)と電気接続するように構成され、第2端部210、212は、動作可能な電気回路又は印刷回路基板(PCB)214に接続する。更に、1200ボルト未満の入力電圧を、25000ボルト(25kV)未満、より好ましくは、8000〜10000ボルト(8〜10kV)の所望の瞬時始動高温再点灯の電圧に昇圧するため、コアの周りに巻回された金属ワイヤからなる変圧器216もソケットハウジング200に固定される。ハウジング200は、変圧器及び印刷回路基板を収容するよう寸法設定された内部空洞を含む。そして、端部閉鎖部材218はハウジングの端部を閉鎖する。向かい合うコネクタ220、222は、関連する凹部224、226に収容される。更に、スプリングクリップ230、232がハウジングに固定され、スプリングクリップは、HIDランプ240及びランプの特にベース部分242の反対側の表面を機械的に把持するように構成される。HIDランプは、第1及び第2電極244、246を含み、電極は密封されたアーク管248内に収容され、既定の寸法又はアーク放電ギャップだけ離隔する。アーク管の内部に封入ガスが収容されており、電極間の十分な電位に応答して、封入ガスが絶縁破壊されてアークを確立し、封入ガスは、既定のスペクトルにおいて光を放射するプラズマとなる。第1及び第2外側リード250、252は、エンベロープから延在し、ソケットハウジングの電気コネクタ220、222と同一の寸法だけ離隔している。このように、HIDランプ240は、ソケットハウジングに着脱自在に固定され、その際、外側リード250、252が関連する凹部224、226内に収容されてコネクタ220、222との電気接続が確立される。そして、スプリングクリップ230、232がランプのベース部分242に機械的に係合する。
【0020】
この好適な構成においては、変圧器が電気コネクタ220、222に隣接して配置されるため、必要とされる高電圧ワイヤの距離が非常に短い。この結果、ケーブル102、104のそれぞれのものが高電圧を搬送する図1の従来の構成と比較した際に、このアセンブリの潜在的なEMIの影響は限定される。更に、印刷回路基板がセラミックハウジング内に収容される。この構成によれば、安定器は、離れた場所に配置されており、ランプの動作と関連する温度上昇が安定器の動作に悪影響を及ぼさない。高輝度放電ランプの瞬時始動高温再点灯の用途のために、点灯装置がランプソケット内に内蔵される。瞬時始動高温再点灯とは、例えばある期間にわたって消灯した後すぐに始動し、再度点灯した際には、1秒後にその定格光束の少なくとも80%を放射するようにすぐに始動するランプのことである。安定器は、低電圧ケーブル202を通じて、数百ボルトの範囲の低電圧をランプソケットハウジング200内に配設された点灯装置に対して供給する。点灯装置は、数百ボルトからHIDの瞬時始動を実現するのに必要とされる電圧レベルに電圧を昇圧するために、変圧器216と共に回路又は印刷回路基板214を含む。この場合も、公知のように、従来25キロボルト〜30キロボルトの点灯パルスが使用されている。以下に開示するように、別の実施形態は、25kV未満、好ましくは20kV未満、且つより詳しくは、約8〜10キロボルトのレベルの高温再点灯の点灯絶縁破壊電圧レベルを許容している。この統合型ランプソケットは、高電圧ケーブルを除去し、且つ高電圧の経路を本質的にほぼゼロに低減しているため、EMIが低減される。安定器は、取付具の設計において、光源から更に離れた場所に配置されているので、安定器の寿命及び信頼性は増大する。また、この取付具の設計は、大きな柔軟性も有する。更に、ランプを交換する必要がある場合には、点灯装置、電気回路、又はハウジングに関連する追加の交換費用を伴うことなく、ランプをハウジング200から取り外すことができる。
【0021】
図4〜図6は、高温再点灯の用途の従来技術による点灯電圧を例示する。図4に示すように、HIDランプ340は、アーク管348内に、アークギャップだけ離隔した第1及び第2電極344、346を含む。絶縁破壊電圧パルスに応答し、電子は、負の電極から、アーク管348内のプラズマを通って、第2又は正の電極346に移動すると考えられる。高温再点灯パルスは、図5において、1〜3ミリ秒にわたって印加される約20キロボルト超のパルスとして図示又は表現される。この大きな絶縁破壊電圧は、電子が高温再点灯のために第2電極に到達することを保証している。
【0022】
同様に、図7〜図9に示すように、本発明は、従来技術で必要とされる高い絶縁破壊電圧に対する代替の解決策を提供する。より詳しくは、HIDランプ440は、アーク管448内に収容された第1及び第2電極444、446を含む。電極間で一連のパルスが変化するので、高周波数の一連の点灯パルスを使用する。例えば、図8は、200ナノ秒にわたる約10キロボルトの点灯パルス(三角形状の点灯パルスとして示される)を2ミリ秒だけ離隔させることにより、HIDランプの瞬時始動高温再点灯が実現できることを示唆している。図9に示すように、個々のパルスにより、電子を正の電極に向かって推進させることができるものと考えられる。
【0023】
図10に示す実際の試験は、20ヘルツの反復周波数で供給された約13キロボルトの点灯パルスの振幅が、瞬時始動高温再点灯を提供するのに十分であったことを示している。同様に、150ヘルツの周波数における10キロボルトのパルスは、ランプを正常に再始動させ、500ヘルツの周波数における8キロボルトの一連のパルスも、瞬時始動高温再点灯を実現した。当業者には理解されるように、これは、従来技術において必要とされている約25キロボルトのレベルからの大きな減少である。この結果、従来の瞬時始動構成に関して大きな節約が実現する。
【0024】
標準的なHIDランプは、通常、冷却時間と、25キロボルト〜30キロボルトの点灯電圧とが必要であり、高点灯電圧が電極のスパッタリングを引き起こすため、追加費用が発生する。スパッタリングは、電極の寿命を短縮し、ランプ障害を引き起こす。また、スパッタリングは、電極材料をアーク管の壁に堆積させ、これによりプラズマからの光が遮断され、ランプ性能を更に劣化させる。高点灯電圧は、アーク放電を防止するため、関連する絶縁の強化を必要としており、この結果、ランプの設計が更に複雑化し、追加費用が発生する。また、高点灯電圧は更に深刻なEMI干渉を生じ、システム設計において、点灯パルスに対する追加的な遮断の検討が必要となる。
【0025】
一方、本発明は、低点灯電圧によるHID瞬時始動を可能にすると共に、従来構成の高点灯電圧に関連する課題及び追加費用を低減する解決策を提供する。本発明によれば、HID瞬時始動システムが手頃な価格になると共に、事務所、倉庫、緊急照明などの更に一般的な用途に対する適用も可能となる。本発明及び関連する方法は、相対的に小さな振幅の複数の点灯パルスを使用して電極間の高圧プラズマガスを通じて電子を中継し、HIDランプが熱い際に、例えば高温再点灯などの瞬時始動を実現している。それぞれの点灯パルスは、電極先端部間のプラズマギャップ全体の中の一部分のみを移動するように電子を動かすものと考えられる。電子が第1又は負の電極における元の位置に振動して戻る前に、次の点灯パルスが印加され、これが電子をアークギャップの別の一部分に沿って移動させる。点灯パルスが高周波数において反復された際に、電子は、1つの電極から別のものにプラズマギャップを通じて移動し、その始動を実現するための点灯パルスの相対的に小さな大きさ又は振幅を結果的にもたらすことになると考えられる。理論的には、可能な限り高い周波数において点灯パルスを反復することが望ましいが、実際には、点灯パルスの反復周波数は、ハードウェア及びその他のシステムの考慮事項によって制限される。約500ヘルツの周波数及び10キロボルト未満の振幅において、反復する点灯パルスにより、十分な瞬時始動高温再点灯の結果が実現されている。1000Hz及び2000Hzなどのように、点灯パルスの反復周波数が500Hzを上回る際には、瞬時始動を実現するための点灯パルスの振幅は、ほとんど変化しない。高周波数における回路及びランプの寄生容量及びインダクタンスが点灯パルスを減衰させるものと考えられ、点灯パルス周波数を更に増大させるための費用が大幅に増大することになる。従って、ランプアセンブリは、ランプの寿命、性能、費用、安全性、及びEMIに関連する利点を実現できる。少ない材料が電極から蒸発するので、電極寿命が延長される。また、電極から蒸発する少ない材料は、アーク管の壁に堆積する少ない材料を意味する。従って、アーク管の暗化の速度が結果的に極めて小さくなり、極めて大きなルーメン維持力を有し、ルーメン出力が初期ルーメン出力のわずか50%になった際に耐用ランプ寿命が終了すると考えられているため、このアーク管の暗化の低減により、ランプ寿命が延長される。
【0026】
図11及び図12は、前述の瞬時始動高温再点灯の実施形態において使用される概略回路である。図11は、4つの入力構成を示しており、この場合に、入力A及びBは、コンデンサ500を充電するための直流(DC)入力(例えば、〜400ボルト)である。定格スパークギャップ502の十分な電圧レベルを供給するため、電圧は、コンデンサ上において、時間の経過に伴って、所望のレベル(例えば、定格が〜350ボルト)に上昇する。スパークギャップ502はガス放電管であり、通常状態では導電性を有していない。スパークギャップ502の間の電圧が定格電圧(例えば、〜350ボルト)を超過した際に、スパークギャップ502内のガスがイオン化され、放電される。スパークギャップ502は、瞬間的に導電性を有するようになる。コンデンサ500、スパークギャップ502、及び変圧器508の一次巻線506が電気的なループを形成する。コンデンサ500内に保存されていた電荷がスパークギャップ502を通じて変圧器508の一次巻線506内に放出され、変圧器508の一次巻線506内に電圧パルスが生成される。変圧器508の一次巻線506内の電圧パルスは、ランプ520を瞬時始動させるため、変圧器508の巻線比だけ、変圧器508の二次巻線510上の格段に大きな電圧パルスに更に昇圧される。この場合、例えば50:1の巻線比が利用されると、変圧器の一次側からの電圧は、ランプ520の10kVの瞬時始動高温再点灯電圧になるように昇圧される。抵抗器504を使用して放電電流を制御し、一例として50KΩの定格が可能であるが、コンデンサ及びスパークギャップの定格と同様に、これらは、本発明の範囲及び意図を逸脱することなく変更可能である。ランプが再点灯したら、開回路はスパークギャップの定格電圧未満に降下するので、電圧パルスは生成されなくなる。
【0027】
第3及び第4入力C、Dは、ランプの継続動作の低電圧AC入力である。例えば、約10kVの再点灯電圧が回路のフロントエンドに通過できないように、始動の際に電圧をクランプする回路のこの部分には、MOV又はZenerダイオード522が提供されている。また、回路を安定化させるため、この回路内にインダクタ524を提供することも可能である。
【0028】
図11の構成(4入力)は、回路の低電圧ランプ動作部分が高温再点灯部分から隔離されているという利点を有する。その一方で、安定器をランプから離して配置する場合には、ワイヤと関連する追加費用が存在する。
【0029】
図12は、瞬時始動高温再点灯HIDランプに関連して使用される代替回路である。より詳しくは、これは、ランプ動作の低電圧接続である第1及び第2入力E、Fを含む3入力構成を示す。第3入力Gは、コンデンサ600を充電するために、瞬時始動高温再点灯の(回路の第1及び第2部分に共通である)第1入力E(例えば、〜400V以上のDC入力)に関連して動作する。スパークギャップ602及び抵抗器604は、図11の実施形態との関係において参照したものと同様の定格を有し得る。スパークギャップ602の間の電圧が定格電圧(例えば、〜350ボルト)を超過した際に、スパークギャップ602内のガスがイオン化され、放電される。スパークギャップ602が瞬間的に導電性を有するようになる。コンデンサ600、スパークギャップ602、及び変圧器608の一次巻線606が電気的なループを形成する。コンデンサ600内に保存されていた電荷がスパークギャップ602を通じて変圧器608の一次巻線606内に放出され、変圧器608の一次巻線606内に電圧パルスが生成される。変圧器608の一次巻線606内の電圧パルスは、ランプ620を瞬時始動させるため、変圧器608の巻線比だけ、変圧器608の二次巻線610上における格段に大きな電圧パルスに更に昇圧される。電圧をクランプし、この場合にも回路の低電圧部分を保護するため、MOV又はZenerダイオード622が第1入力と第2入力の間に延在している。ランプが再始動したら、入力E、Fを通じて供給される低電圧のAC電流がHIDランプの動作を継続させることになる。
【0030】
図12の実施形態においては、回路の各部分が互いに完全に隔離されていないことを認識されたい。但し、この回路は、好適には3つのワイヤしか有しておらず、図11の4つの入力接続と比較すると費用を節約できることになる。
【0031】
従来の高温再点灯の用途と本発明によって実現されるものとの費用の差は、50%以上にもなり得るものと考えられる。点灯パルスの周波数が増大した際に、必要とされる絶縁破壊電圧が低下することは知られていたが、これまでは、わずか約20%の低減というレベルであった。驚くべきことに、この構成において、パルスパラメータは、実質的に絶縁破壊電圧の20%を上回る低減を実現している。点灯バーストにおいて、点灯は、わずか0.25秒未満だけオン状態にある。初期バーストがランプを再点灯するのに不十分である場合、回路は通常更に長い期間にわたってパルシングする。或いは、絶縁の損耗及び断裂を回避するため、点灯バーストを既定回数に制限することも想定される。これは、安定器回路に組み込むことができる。
【0032】
単純な電子回路は、固定された周期及び等しい振幅と関連するため、パルスは、周期性を有すると共に同一振幅を有するものとして示すが、本発明は、このような構成に制限されるものではない。但し、通常は、可変周期及び可変振幅と関連する費用を使用する必要はない。更に、波は、HIDランプの瞬時始動高温再点灯に対する明白な影響を伴うことなく、三角、正方形、又は更にその他のパルス形状であって良い。G12型HIDランプリードの間の標準的な間隔は、12ミリメートルである。13〜14キロボルトにおいては、ランプベースのソケット内又は密封ガラス内におけるアーク放電の可能性が存在するため、10キロボルト未満、より好ましくは、約8キロボルトのレベルにおける高温再点灯を実現する能力は、大きな改善である。
【0033】
以上、好適な実施形態を参照して本発明について説明した。以上の詳細な説明を参照及び理解した際に、当業者が変更及び変形を想到するであろうことは、明らかである。本発明は、それらのすべての変更及び変形をも包含するものと解釈されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高輝度放電(HID)ランプの瞬時始動用の回路であって、
前記HIDランプに点灯電圧を供給する手段であって、25キロボルト未満の振幅と、約20ヘルツ以上の周波数とを有する絶縁破壊電圧パルスを供給する手段を含む点灯電圧供給手段を有する回路。
【請求項2】
前記供給手段の前記周波数は100ヘルツを上回る、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記供給手段の前記周波数は約150ヘルツである、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記供給手段の前記振幅は約10キロボルトである、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記供給手段の前記振幅は約15キロボルト未満である、請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記供給手段の前記振幅は約13キロボルトである、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記供給手段の前記周波数は約20ヘルツである、請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記供給手段の前記振幅は約10キロボルトである、請求項1に記載の回路。
【請求項9】
前記供給手段の前記周波数は約150ヘルツである、請求項8に記載の回路。
【請求項10】
前記供給手段の前記振幅は約8キロボルトである、請求項1に記載の回路。
【請求項11】
前記供給手段の前記周波数は約500ヘルツである、請求項10に記載の回路。
【請求項12】
前記供給手段のパルス幅は約200ナノ秒である、請求項1に記載の回路。
【請求項13】
前記パルスのピークは周期性を有し、該周期は約2ミリ秒である、請求項1に記載の回路。
【請求項14】
前記パルスは三角形又は正方形のいずれかである、請求項1に記載の回路。
【請求項15】
前記パルスは最大で約2000ヘルツの範囲である、請求項1に記載の回路。
【請求項16】
前記HIDランプはセラミックメタルハライド(CMH)ランプである、請求項1に記載の回路。
【請求項17】
前記電圧パルスは実質的に同一の振幅を有する、請求項1に記載の回路。
【請求項18】
高輝度放電(HID)ランプを再点灯する方法であって、
20キロボルト未満の振幅を有する低電圧パルスを、前記HIDランプに供給するステップと、
約20ヘルツ〜約500ヘルツの範囲の周波数において、前記低電圧パルスを反復させるステップとを有する方法。
【請求項19】
前記供給ステップは約8キロボルトの振幅におけるものであり、前記周波数は約500ヘルツである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記供給手段のパルス幅は約200ナノ秒であり、前記パルスの間の期間は約2ミリ秒である、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−527077(P2011−527077A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516372(P2011−516372)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/044443
【国際公開番号】WO2010/002511
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】