高速液体クロマトグラフ装置及び高速液体クロマトグラフ装置の液体送液方法
【課題】定速グラジエント溶出法と同様の分離効果を得ることができ、かつ、測定時間を短縮することが可能な高速液体クロマトグラフ装置を実現する。
【解決手段】データ処理装置13により過去の圧力値をトレースに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換する場合は、圧力トレース記憶部13aに記憶された圧力値トレースファイルが選択されディスプレイに表示され、圧力値が設定される。定圧グラジエントプログラム変換部13bにより定速グラジエントプログラム記憶13cに記憶された定速グラジエントプログラムが定圧グラジエントプログラムに変換され、変換された定圧グラジエントプログラムによる数値が表示される。画面表示された定圧グラジエントプログラムに従って流速指示部13d、混合比率指示部13cにより送液ポンプ4の送液部5、6が制御される。
【解決手段】データ処理装置13により過去の圧力値をトレースに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換する場合は、圧力トレース記憶部13aに記憶された圧力値トレースファイルが選択されディスプレイに表示され、圧力値が設定される。定圧グラジエントプログラム変換部13bにより定速グラジエントプログラム記憶13cに記憶された定速グラジエントプログラムが定圧グラジエントプログラムに変換され、変換された定圧グラジエントプログラムによる数値が表示される。画面表示された定圧グラジエントプログラムに従って流速指示部13d、混合比率指示部13cにより送液ポンプ4の送液部5、6が制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラジエント溶出法を使用する高速液体クロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速液体クロマトグラフでは、測定時間を短縮するなどの目的で、二種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら送液するグラジエント溶出法が使用されてきたが、ピーク形状が悪くならないように流速は一般的に一定で行われている。
【0003】
グラジェント溶出法を用いた液体クロマトグラフ装置の例は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2003/079000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、充填剤の粒子径が従来品よりも小さく、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の分離カラムが開発された。充填剤の粒子径が大きい(5マイクロメートル程度)従来品は流速を上げるとピーク形状が悪くなるが、充填剤の粒子径が小さい分離カラムはピーク形状がほとんど悪くならないという特徴を持つ。
【0006】
充填剤の粒子径が小さい分離カラムは、分離カラムの耐圧を超えない範囲であれば、流速を上げれば上げるほどピーク形状は維持されながら測定時間を短縮することができる。
【0007】
しかし、従来技術における分離カラムではカラムごとに最適な流速を設定し、それから大きく離れた流速で使用することはあまりなかった。
【0008】
ここで、水溶液と有機溶媒などを溶離液としてグラジエント溶出法を行ったときに、それぞれの液体の粘性が異なるので、測定中は混合比率によって圧力値が変化していく。
【0009】
従来技術においても、充填剤の粒子径が小さい分離カラムがグラジエント溶出法に利用されているが、流速は一定で行われている。
【0010】
この時の一定流速は、測定中に最も圧力値が高くなる時点を基準として、分離カラムの耐圧を超えないように調整される。
【0011】
つまり、従来技術においては、調整された流速以上に流速を上げて測定時間を短縮することは考慮されていなかった。
【0012】
本発明の目的は、定速グラジエント溶出法と同様の分離効果を得ることができ、かつ、測定時間を短縮することが可能な高速液体クロマトグラフ装置及び高速液体クロマトグラフ装置の送液方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0014】
本発明の高速液体クロマトグラフ装置は、2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら溶離液を送液する送液手段と、送液された溶離液中に試料を注入する試料注入手段と、試料が注入された溶離液が供給され、試料中の目的成分を分離する分離カラムと、分離された目的成分を分析する検出器と、上記送液手段、上記試料注入手段、上記分離カラム、及び上記検出器の動作を制御する制御手段とを備える。
【0015】
上記制御手段は、2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定速度で溶離液を送液するための定速グラジエントプログラムを記憶する定速グラジエントプログラム記憶部と、定速グラジエントプログラムを2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら一定圧力で溶離液を送液するための定圧グラジエントプログラムに変換する定圧グラジエントプログラム変換部と、変換された定圧グラジエントプログラムに従って、送液される溶離液の流速を制御する流速指示部とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、定速グラジエント溶出法と同様の分離効果を得ることができ、かつ、測定時間を短縮することが可能な高速液体クロマトグラフ装置及び高速液体クロマトグラフ装置の送液方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用される高速液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。
【図2】本発明の定圧グラジエントプログラムの設定を行うデータ処理装置の表示画面例を示す図である。
【図3】本発明の定圧グラジエントプログラムを実行するデータ処理装置の内部概略機能構成図である。
【図4】本発明に適用される定速グラジエントプログラムのモデルを示す図である。
【図5】本発明における定圧グラジエントプログラムのモデルを示す図である。
【図6】本発明に用いる定速グラジエントプログラムの例を示す図である。
【図7】図6の定速グラジエントプログラムで測定したときのクロマトグラムを示す図である。
【図8】図6の定速グラジエントプログラムで測定したときの圧力値トレースである。
【図9】図6の定速グラジエントプログラムを細分化して、それぞれの時間毎の圧力値を図8から抽出して記載した図である。
【図10】図9の定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換したデータを示す図である。
【図11】図10の定圧グラジエントプログラムで測定したときのクロマトグラムを示す図である。
【図12】図10の定圧グラジエントプログラムで測定したときの圧力値トレースを示す図である。
【図13】本願発明の実施例1の全体動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明が適用される高速液体クロマトグラフの装置の概略図である。図1において、試薬ラック1に置かれた溶離液A2と溶離液B3はそれぞれ、送液ポンプ4に組み込まれた送液部A5と送液部B6によって試料注入装置8へ送液される。送液部5、6は、例えばシリンジが使用される。
【0020】
グラジエント溶出法を行う場合には、送液部5、6の動作速度を変更させることなどによって混合比率が調整される。通常、送液ポンプ4の吐出側には送液不良や流路内の詰まりを判断するために、圧力センサ7が内蔵されている。試料注入装置8で注入された試料は、一定温度に保つためのカラムオーブン9内に設置された分離カラム10で目的成分が分離され、それが検出器11で検知される。
【0021】
データ処理装置13は、それぞれのユニット(送液ポンプ4、試料注入装置8、カラムオーブン9、検出器11)と信号ケーブル12で接続され、各ユニットの動作制御だけではなく、検出器11の信号強度や圧力センサ7の圧力値を記録保存する。また、データ処理装置13はディスプレイ(表示装置)を備え、このディスプレイに必要な事項が表示される。
【0022】
分離カラム10には、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の複数の粒子からなる充填材が使用されている。
【0023】
図2は、定圧グラジエントプログラムを使用するときのデータ処理装置13の設定画面例を示す図である。
【0024】
図2において、項目1と項目2には、使用者が任意に入力した定速グラジエントプログラムが入力されている。図2に示した例においては、溶離液AとBとの割合の時間経過との関係と、流速とが設定可能となっている。
【0025】
使用者が項目3にチェックを入れることで、定圧グラジエントプログラムの利用を選択することができる。同時に、項目4に任意の数値を入力して、定速グラジエントプログラムのどの段階(時点)から定圧グラジエントプログラムを適用させるのかを決定することができる。
【0026】
定速グラジエントプログラムで過去に測定したときの圧力値トレースを基に定圧グラジエントプログラムに変換する場合は、項目5にチェックを入れ、項目6に基となる圧力トレースのファイルを選択する。次に、項目7もしくは項目8を入力して、基準となる圧力値、過去の圧力トレース中で最も高い圧力値を決めることができる。
【0027】
データ処理装置13の内部で本発明における実施例の動作機能を模式化したものが図3である。
【0028】
図3において、定速グラジエントプログラムで過去に測定したときの圧力値トレースを基に定圧グラジエントプログラムに変換する場合は、圧力値トレース記憶部13aに保存されている圧力値トレースと定速グラジエントプログラム記憶部13cに保存されている定速グラジエントプログラムの情報が、定圧グラジエントプログラム変換部13bに伝達される。
【0029】
変換された定圧グラジエントプログラムの動作は流速指示部13dと混合比率指示部13eを介して、送液部5、6が実行する。
【0030】
図4は、定速グラジエントプログラムを細分化して、その時間毎に実際に測定された圧力値を記載したモデルを示す表であり、図5は定圧グラジエントプログラムに変換した後のモデルを示す表である。
【0031】
図4、図5において、まず、定圧グラジエントプログラムの流速fmについて次式(1)を用いて算出する。
【0032】
fm=F・{(Ps or Pmax)/Pm} ・・・(1)
ただし、上記式(1)において、mは0以上の数であり、Fは一定流速、Psはカラム耐圧保証値などを基に使用者が定めた任意の圧力値、Pmaxは定速グラジエントプログラム中の最大圧力値、Pmは実測した圧力値を示す。
【0033】
次に、定圧グラジエントプログラムの時間tnを、次式(2)を用いて算出する。
【0034】
tn=tn−1+F・(Tn−Tn−1)/{(fn−1+fn)/2} ・・・(2)
ただし、上記式(1)において、nは1以上の数であり、Tn、Tn−1は定速グラジエントプログラムにおける時間、fn−1、fnは定圧グラジエントプログラムに変換後の流速である。
【0035】
定速グラジエントプログラムの細分化は、可能な限り短い時間間隔で行うのが好ましい。また、時間毎だけではなく、圧力変化量毎に細分化を行ってもよい。
【0036】
図6は、定速グラジエントプログラムで測定した具体例を示す表であり、図7は図6の定速グラジエントプログラムで測定したクロマトグラムである。そして、図8はその時の圧力値トレースをあらわしている。
【0037】
また、図9は0.5分間隔で、図6の定速グラジエントプログラムを細分化して、その時々の圧力値を図8から抽出して記載した表である。
【0038】
図10は0.5分以降を圧力値トレース中で最も高い圧力値を基準として、上記式(1)、(2)を用いて、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換したものである。図9に示すように定速グラジエントプログラムでは10分かかっていた測定が、図10に示すように定圧グラジエントプログラムでは8.15分に短縮された。
【0039】
なお、定速グラジエントプログラム及び定圧グラジエントプログラムでの測定終了の判断は、予定流液量が全て流された時点である。つまり、予定流液量が全て流された時点が、定速グラジエントプログラムでは10分であり、定圧グラジエントプログラムでは8.15分である。
【0040】
図9、図10に示した表は、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換した場合における測定経過時間予定が判断可能なように、データ処理装置13のディスプレイに表示することができる。
【0041】
図11は定速グラジエントプログラムから変換した定圧グラジエントプログラムで測定したときのクロマトグラムを示す図であり、図12はその時の、つまり、変換した定圧グラジエントプログラムで測定したときの圧力値トレースを示すグラフである。図12に示すように、多少の脈動はあるものの圧力値は、終始ほぼ一定で、定速グラジエントプログラムと同様の分離効果(図11)を得ることができた。
【0042】
ここで、等加速送液では送液量は二次関数的に変化していく。高速液体クロマトグラフ装置により制御が可能であれば、より厳密に定速グラジエントプログラムから定圧グラジエントプログラムへ変換するために、定圧グラジエントプログラムのtpとtp+1間(所定時間間隔)の溶液混合比率Bxを、例えば、次式(3)で二次関数的に変化させるのが好ましい。
【0043】
Bx=Bp+[fp・(tx−tp)+(tx−tp)・{(fp+1−fp)/(tp+1−t1)}・(tx−tp)/2]/{F・(Tp+1−Tp)}・(Bp+1−Bp) ・・・(3)
ただし、(3)式において、Bp、Bp+1は定速グラジエントプログラムにおける溶液混合比率、fp、fp+1は変換後の流速、txはその時の時間、Tp、Tp+1は定速グラジエントプログラムにおける時間、t1は測定開始から一定時間経過後の時間(例えば、0.5分)である。
【0044】
次に、過去の圧力値トレースデータに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換するのではなく、リアルタイムに測定された圧力値に基いて調整する(プログラム変換する)場合について説明する。
【0045】
リアルタイムに調整する場合は、図2の項目9にチェックを入れて、項目10(指定圧力値)もしくは項目11(測定開始時の圧力値)を入力して基準となる圧力値を決める。
【0046】
この場合の動作について説明する。
【0047】
図3に示した圧力センサ7で計測している現時点の圧力値と定速グラジエントプログラム記憶部13cに保存されている定速グラジエントプログラムの情報が、定圧グラジエントプログラム変換部13bに伝達される。
【0048】
定圧グラジエントプログラム変換部13bは、図2の項目10もしくは項目11で設定した基準となる圧力値になるように流速指示部13dを介して、送液部5、6の流速を調整する。
【0049】
平行して、定圧グラジエントプログラム変換部13bは、測定を開始してからの総送液量を送液ポンプ4のモーター回転数などから算出する。例えば、総送液量が10mLの場合には、流速1mL/minの定速グラジエントプログラムで10分時の混合比率になるように混合比率指示部13eを介して、送液部5、6を調整する。
【0050】
以上の動作の全体動作フローチャートを図13に示す。この動作は、データ処理装置13により各部に制御指示され、実行される。
【0051】
図13のステップS1において、図2の項目1、2にデータが入力される。次に、ステップS2において、定圧グラジエントプログラムを利用するか否かが判断され、定圧グラジエントプログラムを利用しない場合は、ステップS12に進み、定速グラジエントプログラムが実行される。
【0052】
ステップS2において、定圧グラジエントプログラムを利用する場合は、ステップS3に進み、図2に示した項目4のデータが入力され、ステップS4において、過去の圧力値をトレースに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換するか(項目5)、リアルタイムに測定した圧力値に基づいて定圧グラジエントプログラムに変換するか(項目9)が選択される。
【0053】
ステップS4において、過去の圧力値をトレースに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換する(項目5)が選択された場合は、ステップS5に進み、過去の圧力値トレースファイルが選択され、選択されたトレースファイルがディスプレイに表示され(ステップS6)、圧力値が設定される(ステップS7)。
【0054】
次に、定速グラジエントプログラムが定圧グラジエントプログラムに変換され(ステップS8)、変換された定圧グラジエントプログラムによる数値(図10)が画面表示される。
【0055】
画面表示された定圧グラジエントプログラムによる数値により実行するか否かが判断され(ステップS10)、実行可能であればステップS11に進み、実行される。
【0056】
ステップS10において、表示された数値での実行を望まない場合は、ステップS5に戻り、圧力値トレースファイルの選択から再開する。
【0057】
ステップS4において、項目9が選択された場合は、ステップS13に進み、基準圧力値、測定開始圧力値が入力される。そして、実測が行われ(ステップS14)、実測された結果に基づいて定速グラジエントプログラムが定圧グラジエントプログラムに変換される(ステップS15)。
【0058】
そして、ステップS16において、実測値が画面表示され、画面表示された数値により実行するか否かが判断され(ステップS17)、実行可能であればステップS18に進み、実行される。
【0059】
ステップS17において、表示された数値での実行を望まない場合は、ステップS13に戻り、基準圧力値等の入力から再開する。
【0060】
以上のように、本発明の実施例によれば、最適な最大圧力が得られるように溶液の流速を制御しているので、粒子径(平均粒子径約2.5マイクロメートル)が小さな充填剤の分離カラムが用いられた場合、最大圧力内で、溶液の流速を上昇させることができ、分析時間を短縮可能となる。充填剤の粒子径が小さい分離カラムの場合は、分離カラムの耐圧を超えない範囲であれば、流速を上げても、一定以上のピーク形状を維持可能である。
【0061】
したがって、本発明の実施例1によれば、定速グラジエント溶出法と同様の分離効果を得ることができ、かつ、測定時間を短縮することが可能な高速液体クロマトグラフ装置及び高速液体クロマトグラフ装置の送液方法を実現することができる。
【0062】
なお、分離カラムは使用を続けると、試料や溶離液中のゴミが徐々に詰まり、同じ組成の溶離液を同じ流速で送液しても圧力値は上昇してしまう。
【0063】
そのため、リアルタイムで定圧グラジエントプログラムに変換して測定を行っていると、ピークの溶出時間が遅れていく。溶出時間の再現性を得るために、一度目はリアルタイムで変換を行って、その時の流速や混合比率の変化の様子を記録しておき、次回以降からは現時点の圧力値をフィードバックさせず、以前に記録した流速や混合率比率の変化を再現させて測定を行ってもよい。
【0064】
また、本発明は、充填剤の粒子径が小さい(平均粒子径約2.5マイクロメートル)分離カラムを使用する高速液体クロマトグラム装置に適用することが最も好ましいが、充填剤の粒子径が通常(平均粒子径約5.0マイクロメートル)の分離カラムを使用する液体クロマトグラム装置にも適用可能である。
【0065】
充填剤の粒子径が通常の分離カラムの場合、溶液の流速をあげると、ピーク形状が悪化する可能性はあるが測定時間の短縮は可能である。
【0066】
したがって、測定精度が劣っていても、短時間で測定が可能なことを望む場合は、充填剤の粒子径が通常の分離カラムを用いる場合に好適である。
【0067】
なお、ピーク形状の悪化は、ソフトウエア処理により改善するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1・・・試薬ラック、2・・・溶離液A、3・・・溶離液B、4・・・送液ポンプ、5・・・送液部A、6・・・送液部B、7・・・圧力センサ、8・・・試料注入装置、9・・・カラムオーブン、10・・・分離カラム、11・・・検出器、12・・・信号ケーブル、13・・・データ処理装置、13a・・・圧力値トレース記憶部、13b・・・定圧グラジエントプログラム変換部、13c・・・定速グラジエントプログラム記憶部、13d・・・流速指示部、13e・・・混合比率指示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラジエント溶出法を使用する高速液体クロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速液体クロマトグラフでは、測定時間を短縮するなどの目的で、二種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら送液するグラジエント溶出法が使用されてきたが、ピーク形状が悪くならないように流速は一般的に一定で行われている。
【0003】
グラジェント溶出法を用いた液体クロマトグラフ装置の例は、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2003/079000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、充填剤の粒子径が従来品よりも小さく、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の分離カラムが開発された。充填剤の粒子径が大きい(5マイクロメートル程度)従来品は流速を上げるとピーク形状が悪くなるが、充填剤の粒子径が小さい分離カラムはピーク形状がほとんど悪くならないという特徴を持つ。
【0006】
充填剤の粒子径が小さい分離カラムは、分離カラムの耐圧を超えない範囲であれば、流速を上げれば上げるほどピーク形状は維持されながら測定時間を短縮することができる。
【0007】
しかし、従来技術における分離カラムではカラムごとに最適な流速を設定し、それから大きく離れた流速で使用することはあまりなかった。
【0008】
ここで、水溶液と有機溶媒などを溶離液としてグラジエント溶出法を行ったときに、それぞれの液体の粘性が異なるので、測定中は混合比率によって圧力値が変化していく。
【0009】
従来技術においても、充填剤の粒子径が小さい分離カラムがグラジエント溶出法に利用されているが、流速は一定で行われている。
【0010】
この時の一定流速は、測定中に最も圧力値が高くなる時点を基準として、分離カラムの耐圧を超えないように調整される。
【0011】
つまり、従来技術においては、調整された流速以上に流速を上げて測定時間を短縮することは考慮されていなかった。
【0012】
本発明の目的は、定速グラジエント溶出法と同様の分離効果を得ることができ、かつ、測定時間を短縮することが可能な高速液体クロマトグラフ装置及び高速液体クロマトグラフ装置の送液方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0014】
本発明の高速液体クロマトグラフ装置は、2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら溶離液を送液する送液手段と、送液された溶離液中に試料を注入する試料注入手段と、試料が注入された溶離液が供給され、試料中の目的成分を分離する分離カラムと、分離された目的成分を分析する検出器と、上記送液手段、上記試料注入手段、上記分離カラム、及び上記検出器の動作を制御する制御手段とを備える。
【0015】
上記制御手段は、2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定速度で溶離液を送液するための定速グラジエントプログラムを記憶する定速グラジエントプログラム記憶部と、定速グラジエントプログラムを2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら一定圧力で溶離液を送液するための定圧グラジエントプログラムに変換する定圧グラジエントプログラム変換部と、変換された定圧グラジエントプログラムに従って、送液される溶離液の流速を制御する流速指示部とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、定速グラジエント溶出法と同様の分離効果を得ることができ、かつ、測定時間を短縮することが可能な高速液体クロマトグラフ装置及び高速液体クロマトグラフ装置の送液方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が適用される高速液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。
【図2】本発明の定圧グラジエントプログラムの設定を行うデータ処理装置の表示画面例を示す図である。
【図3】本発明の定圧グラジエントプログラムを実行するデータ処理装置の内部概略機能構成図である。
【図4】本発明に適用される定速グラジエントプログラムのモデルを示す図である。
【図5】本発明における定圧グラジエントプログラムのモデルを示す図である。
【図6】本発明に用いる定速グラジエントプログラムの例を示す図である。
【図7】図6の定速グラジエントプログラムで測定したときのクロマトグラムを示す図である。
【図8】図6の定速グラジエントプログラムで測定したときの圧力値トレースである。
【図9】図6の定速グラジエントプログラムを細分化して、それぞれの時間毎の圧力値を図8から抽出して記載した図である。
【図10】図9の定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換したデータを示す図である。
【図11】図10の定圧グラジエントプログラムで測定したときのクロマトグラムを示す図である。
【図12】図10の定圧グラジエントプログラムで測定したときの圧力値トレースを示す図である。
【図13】本願発明の実施例1の全体動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明が適用される高速液体クロマトグラフの装置の概略図である。図1において、試薬ラック1に置かれた溶離液A2と溶離液B3はそれぞれ、送液ポンプ4に組み込まれた送液部A5と送液部B6によって試料注入装置8へ送液される。送液部5、6は、例えばシリンジが使用される。
【0020】
グラジエント溶出法を行う場合には、送液部5、6の動作速度を変更させることなどによって混合比率が調整される。通常、送液ポンプ4の吐出側には送液不良や流路内の詰まりを判断するために、圧力センサ7が内蔵されている。試料注入装置8で注入された試料は、一定温度に保つためのカラムオーブン9内に設置された分離カラム10で目的成分が分離され、それが検出器11で検知される。
【0021】
データ処理装置13は、それぞれのユニット(送液ポンプ4、試料注入装置8、カラムオーブン9、検出器11)と信号ケーブル12で接続され、各ユニットの動作制御だけではなく、検出器11の信号強度や圧力センサ7の圧力値を記録保存する。また、データ処理装置13はディスプレイ(表示装置)を備え、このディスプレイに必要な事項が表示される。
【0022】
分離カラム10には、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の複数の粒子からなる充填材が使用されている。
【0023】
図2は、定圧グラジエントプログラムを使用するときのデータ処理装置13の設定画面例を示す図である。
【0024】
図2において、項目1と項目2には、使用者が任意に入力した定速グラジエントプログラムが入力されている。図2に示した例においては、溶離液AとBとの割合の時間経過との関係と、流速とが設定可能となっている。
【0025】
使用者が項目3にチェックを入れることで、定圧グラジエントプログラムの利用を選択することができる。同時に、項目4に任意の数値を入力して、定速グラジエントプログラムのどの段階(時点)から定圧グラジエントプログラムを適用させるのかを決定することができる。
【0026】
定速グラジエントプログラムで過去に測定したときの圧力値トレースを基に定圧グラジエントプログラムに変換する場合は、項目5にチェックを入れ、項目6に基となる圧力トレースのファイルを選択する。次に、項目7もしくは項目8を入力して、基準となる圧力値、過去の圧力トレース中で最も高い圧力値を決めることができる。
【0027】
データ処理装置13の内部で本発明における実施例の動作機能を模式化したものが図3である。
【0028】
図3において、定速グラジエントプログラムで過去に測定したときの圧力値トレースを基に定圧グラジエントプログラムに変換する場合は、圧力値トレース記憶部13aに保存されている圧力値トレースと定速グラジエントプログラム記憶部13cに保存されている定速グラジエントプログラムの情報が、定圧グラジエントプログラム変換部13bに伝達される。
【0029】
変換された定圧グラジエントプログラムの動作は流速指示部13dと混合比率指示部13eを介して、送液部5、6が実行する。
【0030】
図4は、定速グラジエントプログラムを細分化して、その時間毎に実際に測定された圧力値を記載したモデルを示す表であり、図5は定圧グラジエントプログラムに変換した後のモデルを示す表である。
【0031】
図4、図5において、まず、定圧グラジエントプログラムの流速fmについて次式(1)を用いて算出する。
【0032】
fm=F・{(Ps or Pmax)/Pm} ・・・(1)
ただし、上記式(1)において、mは0以上の数であり、Fは一定流速、Psはカラム耐圧保証値などを基に使用者が定めた任意の圧力値、Pmaxは定速グラジエントプログラム中の最大圧力値、Pmは実測した圧力値を示す。
【0033】
次に、定圧グラジエントプログラムの時間tnを、次式(2)を用いて算出する。
【0034】
tn=tn−1+F・(Tn−Tn−1)/{(fn−1+fn)/2} ・・・(2)
ただし、上記式(1)において、nは1以上の数であり、Tn、Tn−1は定速グラジエントプログラムにおける時間、fn−1、fnは定圧グラジエントプログラムに変換後の流速である。
【0035】
定速グラジエントプログラムの細分化は、可能な限り短い時間間隔で行うのが好ましい。また、時間毎だけではなく、圧力変化量毎に細分化を行ってもよい。
【0036】
図6は、定速グラジエントプログラムで測定した具体例を示す表であり、図7は図6の定速グラジエントプログラムで測定したクロマトグラムである。そして、図8はその時の圧力値トレースをあらわしている。
【0037】
また、図9は0.5分間隔で、図6の定速グラジエントプログラムを細分化して、その時々の圧力値を図8から抽出して記載した表である。
【0038】
図10は0.5分以降を圧力値トレース中で最も高い圧力値を基準として、上記式(1)、(2)を用いて、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換したものである。図9に示すように定速グラジエントプログラムでは10分かかっていた測定が、図10に示すように定圧グラジエントプログラムでは8.15分に短縮された。
【0039】
なお、定速グラジエントプログラム及び定圧グラジエントプログラムでの測定終了の判断は、予定流液量が全て流された時点である。つまり、予定流液量が全て流された時点が、定速グラジエントプログラムでは10分であり、定圧グラジエントプログラムでは8.15分である。
【0040】
図9、図10に示した表は、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換した場合における測定経過時間予定が判断可能なように、データ処理装置13のディスプレイに表示することができる。
【0041】
図11は定速グラジエントプログラムから変換した定圧グラジエントプログラムで測定したときのクロマトグラムを示す図であり、図12はその時の、つまり、変換した定圧グラジエントプログラムで測定したときの圧力値トレースを示すグラフである。図12に示すように、多少の脈動はあるものの圧力値は、終始ほぼ一定で、定速グラジエントプログラムと同様の分離効果(図11)を得ることができた。
【0042】
ここで、等加速送液では送液量は二次関数的に変化していく。高速液体クロマトグラフ装置により制御が可能であれば、より厳密に定速グラジエントプログラムから定圧グラジエントプログラムへ変換するために、定圧グラジエントプログラムのtpとtp+1間(所定時間間隔)の溶液混合比率Bxを、例えば、次式(3)で二次関数的に変化させるのが好ましい。
【0043】
Bx=Bp+[fp・(tx−tp)+(tx−tp)・{(fp+1−fp)/(tp+1−t1)}・(tx−tp)/2]/{F・(Tp+1−Tp)}・(Bp+1−Bp) ・・・(3)
ただし、(3)式において、Bp、Bp+1は定速グラジエントプログラムにおける溶液混合比率、fp、fp+1は変換後の流速、txはその時の時間、Tp、Tp+1は定速グラジエントプログラムにおける時間、t1は測定開始から一定時間経過後の時間(例えば、0.5分)である。
【0044】
次に、過去の圧力値トレースデータに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換するのではなく、リアルタイムに測定された圧力値に基いて調整する(プログラム変換する)場合について説明する。
【0045】
リアルタイムに調整する場合は、図2の項目9にチェックを入れて、項目10(指定圧力値)もしくは項目11(測定開始時の圧力値)を入力して基準となる圧力値を決める。
【0046】
この場合の動作について説明する。
【0047】
図3に示した圧力センサ7で計測している現時点の圧力値と定速グラジエントプログラム記憶部13cに保存されている定速グラジエントプログラムの情報が、定圧グラジエントプログラム変換部13bに伝達される。
【0048】
定圧グラジエントプログラム変換部13bは、図2の項目10もしくは項目11で設定した基準となる圧力値になるように流速指示部13dを介して、送液部5、6の流速を調整する。
【0049】
平行して、定圧グラジエントプログラム変換部13bは、測定を開始してからの総送液量を送液ポンプ4のモーター回転数などから算出する。例えば、総送液量が10mLの場合には、流速1mL/minの定速グラジエントプログラムで10分時の混合比率になるように混合比率指示部13eを介して、送液部5、6を調整する。
【0050】
以上の動作の全体動作フローチャートを図13に示す。この動作は、データ処理装置13により各部に制御指示され、実行される。
【0051】
図13のステップS1において、図2の項目1、2にデータが入力される。次に、ステップS2において、定圧グラジエントプログラムを利用するか否かが判断され、定圧グラジエントプログラムを利用しない場合は、ステップS12に進み、定速グラジエントプログラムが実行される。
【0052】
ステップS2において、定圧グラジエントプログラムを利用する場合は、ステップS3に進み、図2に示した項目4のデータが入力され、ステップS4において、過去の圧力値をトレースに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換するか(項目5)、リアルタイムに測定した圧力値に基づいて定圧グラジエントプログラムに変換するか(項目9)が選択される。
【0053】
ステップS4において、過去の圧力値をトレースに基づいて定圧グラジエントプログラムに変換する(項目5)が選択された場合は、ステップS5に進み、過去の圧力値トレースファイルが選択され、選択されたトレースファイルがディスプレイに表示され(ステップS6)、圧力値が設定される(ステップS7)。
【0054】
次に、定速グラジエントプログラムが定圧グラジエントプログラムに変換され(ステップS8)、変換された定圧グラジエントプログラムによる数値(図10)が画面表示される。
【0055】
画面表示された定圧グラジエントプログラムによる数値により実行するか否かが判断され(ステップS10)、実行可能であればステップS11に進み、実行される。
【0056】
ステップS10において、表示された数値での実行を望まない場合は、ステップS5に戻り、圧力値トレースファイルの選択から再開する。
【0057】
ステップS4において、項目9が選択された場合は、ステップS13に進み、基準圧力値、測定開始圧力値が入力される。そして、実測が行われ(ステップS14)、実測された結果に基づいて定速グラジエントプログラムが定圧グラジエントプログラムに変換される(ステップS15)。
【0058】
そして、ステップS16において、実測値が画面表示され、画面表示された数値により実行するか否かが判断され(ステップS17)、実行可能であればステップS18に進み、実行される。
【0059】
ステップS17において、表示された数値での実行を望まない場合は、ステップS13に戻り、基準圧力値等の入力から再開する。
【0060】
以上のように、本発明の実施例によれば、最適な最大圧力が得られるように溶液の流速を制御しているので、粒子径(平均粒子径約2.5マイクロメートル)が小さな充填剤の分離カラムが用いられた場合、最大圧力内で、溶液の流速を上昇させることができ、分析時間を短縮可能となる。充填剤の粒子径が小さい分離カラムの場合は、分離カラムの耐圧を超えない範囲であれば、流速を上げても、一定以上のピーク形状を維持可能である。
【0061】
したがって、本発明の実施例1によれば、定速グラジエント溶出法と同様の分離効果を得ることができ、かつ、測定時間を短縮することが可能な高速液体クロマトグラフ装置及び高速液体クロマトグラフ装置の送液方法を実現することができる。
【0062】
なお、分離カラムは使用を続けると、試料や溶離液中のゴミが徐々に詰まり、同じ組成の溶離液を同じ流速で送液しても圧力値は上昇してしまう。
【0063】
そのため、リアルタイムで定圧グラジエントプログラムに変換して測定を行っていると、ピークの溶出時間が遅れていく。溶出時間の再現性を得るために、一度目はリアルタイムで変換を行って、その時の流速や混合比率の変化の様子を記録しておき、次回以降からは現時点の圧力値をフィードバックさせず、以前に記録した流速や混合率比率の変化を再現させて測定を行ってもよい。
【0064】
また、本発明は、充填剤の粒子径が小さい(平均粒子径約2.5マイクロメートル)分離カラムを使用する高速液体クロマトグラム装置に適用することが最も好ましいが、充填剤の粒子径が通常(平均粒子径約5.0マイクロメートル)の分離カラムを使用する液体クロマトグラム装置にも適用可能である。
【0065】
充填剤の粒子径が通常の分離カラムの場合、溶液の流速をあげると、ピーク形状が悪化する可能性はあるが測定時間の短縮は可能である。
【0066】
したがって、測定精度が劣っていても、短時間で測定が可能なことを望む場合は、充填剤の粒子径が通常の分離カラムを用いる場合に好適である。
【0067】
なお、ピーク形状の悪化は、ソフトウエア処理により改善するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1・・・試薬ラック、2・・・溶離液A、3・・・溶離液B、4・・・送液ポンプ、5・・・送液部A、6・・・送液部B、7・・・圧力センサ、8・・・試料注入装置、9・・・カラムオーブン、10・・・分離カラム、11・・・検出器、12・・・信号ケーブル、13・・・データ処理装置、13a・・・圧力値トレース記憶部、13b・・・定圧グラジエントプログラム変換部、13c・・・定速グラジエントプログラム記憶部、13d・・・流速指示部、13e・・・混合比率指示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速液体クロマトグラフ装置において、
2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら溶離液を送液する送液手段と、
上記送液手段から送液された溶離液中に試料を注入する試料注入手段と、
上記試料注入手段により試料が注入された溶離液が供給され、試料中の目的成分を分離する分離カラムと、
上記分離カラムにより分離された目的成分を分析する検出器と、
上記送液手段、上記試料注入手段、上記分離カラム、及び上記検出器の動作を制御する制御手段と、
を備え、上記制御手段は、2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定速度で溶離液を送液するための定速グラジエントプログラムを記憶する定速グラジエントプログラム記憶部と、上記定速グラジエントプログラムを2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定圧力で溶離液を送液するための定圧グラジエントプログラムに変換する定圧グラジエントプログラム変換部と、上記変換部により変換された定圧グラジエントプログラムに従って、上記送液手段により送液される溶離液の流速を制御する流速指示部とを有することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記送液手段から送液される溶離液の圧力を測定する圧力センサを備え、上記制御手段は、上記圧力センサにより測定された圧力値を記憶する圧力値トレース記憶部を有し、上記記憶手段の上記変換部は、上記圧力値トレース記憶部に記憶された圧力値に基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記送液手段から送液される溶離液の圧力を測定する圧力センサを備え、上記制御手段は、上記圧力センサにより測定された現在の圧力値と、上記送液手段の送液量とに基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項4】
請求項2に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記定速グラジエントプログラム記憶部は、複数の定速グラジエントプログラムを記憶し、上記制御手段は、複数の定速グラジエントプログラムのうちの一つと流速とが指定される指定部を有し、上記変換部は、指定部により指定された定速グラジエントプログラムと流速とに基づいて、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記指定部には、定圧グラジエントプログラムが適用される時間が指定され、上記制御手段は、指定された時間以降に上記変換した定圧グラジエントプログラムに従って、上記送液手段により送液される溶離液の流速を制御することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項6】
請求項2に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記制御手段は、表示部を有し、変換した定圧グラジエントプログラムに従った経過時間と、溶離液混合比率及び流速との関係を示すデータを上記表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項7】
請求項3に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記制御手段は、表示部を有し、上記圧力センサにより測定された現在の圧力値を上記表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記分離カラムの充填剤は、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の複数の粒子であることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項9】
2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら溶離液を送液し、上記送液された溶離液中に試料を注入し、分離カラムに上記試料が注入された溶離液が供給され、試料中の目的成分を分離し、分離された目的成分を検出器により分析する 高速液体クロマトグラフ装置の液体送液方法において、
2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定速度で溶離液を送液するための定速グラジエントプログラムを記憶し、上記定速グラジエントプログラムを2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定圧力で溶離液を送液するための定圧グラジエントプログラムに変換し、変換した定圧グラジエントプログラムに従って、送液される溶離液の流速を制御することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の液体送液方法。
【請求項10】
請求項9に記載の高速液体クロマトグラフの送液方法において、送液される溶離液の圧力を測定し、測定された圧力値を記憶し、記憶された圧力値に基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の液体送液方法。
【請求項11】
請求項9に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、上記送液される溶離液の圧力を測定し、測定された現在の圧力値と、送液量とに基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項12】
請求項10に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、複数の定速グラジエントプログラムを記憶し、複数の定速グラジエントプログラムのうちの一つと流速とが指定され、指定された定速グラジエントプログラムと流速とに基づいて、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項13】
請求項12に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、定圧グラジエントプログラムが適用される時間が指定され、指定された時間以降に上記変換した定圧グラジエントプログラムに従って、上記送液手段により送液される溶離液の流速を制御することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項14】
請求項10に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、変換した定圧グラジエントプログラムに従った経過時間と、溶離液混合比率及び流速との関係を示すデータを表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項15】
請求項11に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、測定された現在の圧力値を表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項16】
請求項9に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、上記分離カラムの充填剤は、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の複数の粒子であることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項1】
高速液体クロマトグラフ装置において、
2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら溶離液を送液する送液手段と、
上記送液手段から送液された溶離液中に試料を注入する試料注入手段と、
上記試料注入手段により試料が注入された溶離液が供給され、試料中の目的成分を分離する分離カラムと、
上記分離カラムにより分離された目的成分を分析する検出器と、
上記送液手段、上記試料注入手段、上記分離カラム、及び上記検出器の動作を制御する制御手段と、
を備え、上記制御手段は、2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定速度で溶離液を送液するための定速グラジエントプログラムを記憶する定速グラジエントプログラム記憶部と、上記定速グラジエントプログラムを2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定圧力で溶離液を送液するための定圧グラジエントプログラムに変換する定圧グラジエントプログラム変換部と、上記変換部により変換された定圧グラジエントプログラムに従って、上記送液手段により送液される溶離液の流速を制御する流速指示部とを有することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記送液手段から送液される溶離液の圧力を測定する圧力センサを備え、上記制御手段は、上記圧力センサにより測定された圧力値を記憶する圧力値トレース記憶部を有し、上記記憶手段の上記変換部は、上記圧力値トレース記憶部に記憶された圧力値に基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記送液手段から送液される溶離液の圧力を測定する圧力センサを備え、上記制御手段は、上記圧力センサにより測定された現在の圧力値と、上記送液手段の送液量とに基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項4】
請求項2に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記定速グラジエントプログラム記憶部は、複数の定速グラジエントプログラムを記憶し、上記制御手段は、複数の定速グラジエントプログラムのうちの一つと流速とが指定される指定部を有し、上記変換部は、指定部により指定された定速グラジエントプログラムと流速とに基づいて、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記指定部には、定圧グラジエントプログラムが適用される時間が指定され、上記制御手段は、指定された時間以降に上記変換した定圧グラジエントプログラムに従って、上記送液手段により送液される溶離液の流速を制御することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項6】
請求項2に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記制御手段は、表示部を有し、変換した定圧グラジエントプログラムに従った経過時間と、溶離液混合比率及び流速との関係を示すデータを上記表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項7】
請求項3に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記制御手段は、表示部を有し、上記圧力センサにより測定された現在の圧力値を上記表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項8】
請求項1に記載の高速液体クロマトグラフ装置において、上記分離カラムの充填剤は、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の複数の粒子であることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置。
【請求項9】
2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら溶離液を送液し、上記送液された溶離液中に試料を注入し、分離カラムに上記試料が注入された溶離液が供給され、試料中の目的成分を分離し、分離された目的成分を検出器により分析する 高速液体クロマトグラフ装置の液体送液方法において、
2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定速度で溶離液を送液するための定速グラジエントプログラムを記憶し、上記定速グラジエントプログラムを2種類以上の溶離液の混合比率を変化させながら、一定圧力で溶離液を送液するための定圧グラジエントプログラムに変換し、変換した定圧グラジエントプログラムに従って、送液される溶離液の流速を制御することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の液体送液方法。
【請求項10】
請求項9に記載の高速液体クロマトグラフの送液方法において、送液される溶離液の圧力を測定し、測定された圧力値を記憶し、記憶された圧力値に基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の液体送液方法。
【請求項11】
請求項9に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、上記送液される溶離液の圧力を測定し、測定された現在の圧力値と、送液量とに基づいて、上記定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項12】
請求項10に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、複数の定速グラジエントプログラムを記憶し、複数の定速グラジエントプログラムのうちの一つと流速とが指定され、指定された定速グラジエントプログラムと流速とに基づいて、定速グラジエントプログラムを定圧グラジエントプログラムに変換することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項13】
請求項12に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、定圧グラジエントプログラムが適用される時間が指定され、指定された時間以降に上記変換した定圧グラジエントプログラムに従って、上記送液手段により送液される溶離液の流速を制御することを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項14】
請求項10に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、変換した定圧グラジエントプログラムに従った経過時間と、溶離液混合比率及び流速との関係を示すデータを表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項15】
請求項11に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、測定された現在の圧力値を表示部に表示させることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【請求項16】
請求項9に記載の高速液体クロマトグラフ装置の送液方法において、上記分離カラムの充填剤は、平均粒子径が約2.5マイクロメートル以下の複数の粒子であることを特徴とする高速液体クロマトグラフ装置の送液方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−179962(P2011−179962A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44332(P2010−44332)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
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