説明

高電解質溶液中の分散剤

本発明の態様では、水溶性有効成分を含有して成る電解質溶液、水に不溶な固体状有効成分、およびポリアミノアミド樹脂、それのポリオキシアルキレン誘導体、それのポリグリセロール誘導体、それのポリカルバメート誘導体およびこれらの組み合わせから成る分散剤の組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に分散剤、特に、農業用高電解質溶液で用いるに適したポリアミド系分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な農業用途における有効成分は性質が主に疎水性または水に不溶であり、必要ならば水性媒体中に懸濁させた微細固体としてしばしば投与される。そのような有効成分は大部分が濃縮形態で製造販売され、それを後で適用する前に希釈する。例えば、そのような有効成分は典型的に懸濁濃縮液(SC)、湿潤性粉末(WP)または水分散性顆粒(WG)の形態で入手可能である。固体状配合物、例えばWPおよびWGなどは充填送達の観点ばかりでなくまた労働安全衛生の観点でも魅力的であるが、必ずしも全ての農芸化学品が固体状配合物に構築可能であるとは限らない。従って、液状の配合物、例えばSCなども重要な配合物の種類である。SC配合物で均一な分散を達成するには適切な分散剤を添加することが必須である。その上、均一な分散を達成した後、その結果としてもたらされた懸濁液は、少なくとも通常の手段、例えば噴霧などで適用することが可能なように、充分な時間安定なままである必要がある。そのようなSC配合物に入っている固体がいくらかでも沈降、凝集または軟凝集を起こすと適用に一貫性がなくなりかつ効果がなくなるばかりでなく噴霧装置の詰まりが起こる可能性もある。従って、均一な分散を容易にもたらしかつ結果として長期貯蔵または高温貯蔵中に安定なままである懸濁液をもたらす分散剤を提供する必要がある。
【0003】
しばしば、水に不溶な固体状有効成分を高電解質(塩)溶液、例えば肥料などに懸濁させるのが好ましく、特に農芸化学配合物の場合には、有効成分の一方が固体状分散体であるがもう一方が電解質溶液である2種類の有効成分を1つの配合物として一緒にするのが好ましい。農芸化学用途におけるSC配合物に入れる固体状分散剤の製造は一般に通常の分散剤、例えばエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック共重合体、トリスチリルフェノールのエトキシレート誘導体、ナフタレンスルホネート縮合物塩および高分子量櫛形共重合体、ポリアリールスルホネート縮合物、アルキルエーテルホスフェートおよびエーテルスルフェートおよびリグノスルホネートなどを用いて行われる。そのような分散剤は非電解質溶液中では沈降の兆候も結晶成長の兆候も示さない安定なSCをもたらしはするが、高電解質溶液では分散剤として働かず、その結果として粒子の凝集および軟凝集が起こってしまう。
【0004】
ある種の高電解質溶液では、リグノスルホネートが分散剤として用いられてきたが、しかしながら、それらが示す分散特性は劣る。安定な分散液を得るにはその分散剤を多量に用いる必要があることから分散剤の費用が高くなってしまう。その上、電解質濃度がより高いか或は水に不溶な有効成分を電解質溶液に高濃度で入れる必要がある場合には、リグノスルホネートを用いたのでは粒子の凝集も軟凝集も防ぐことができない。
【発明の概要】
【0005】
請求する発明の態様では、ポリアミノアミド樹脂およびこれの誘導体を分散剤として用いることを開示し、それによって、高電解質溶液中の分散性および懸濁性を改善するばかりでなく他の数多くの付属的利点ももたらし、それらを本明細書により詳細に説明する。
【0006】
1番目の面として、本発明の態様では、水溶性有効成分を含有して成る電解質溶液、水に不溶な固体状有効成分、およびポリアミノアミド樹脂、それのポリオキシアルキレン誘導体、それのポリグリセロール誘導体、それのポリカルバメート誘導体およびこれらの組
み合わせから成る群より選択される分散剤を含有して成る組成物を開示する。
【0007】
本発明の1つの態様では、前記水溶性有効成分の濃度を本組成物の約3重量%以上にする。
【0008】
本発明の1つの態様における本組成物は農業用または獣医用組成物である。
【0009】
本発明の1つの態様における水に不溶な有効成分は、有害生物防除剤、除草剤、殺虫剤、昆虫忌避剤、殺菌・殺カビ剤、殺菌剤、植物成長調整剤、肥料、ダニ駆除剤、駆虫剤、殺線虫剤およびこれらの組み合わせから成る群より選択した少なくとも1種の成分である。
【0010】
本発明の1つの態様では、前記ポリアミノアミド樹脂を多官能脂肪酸と多官能アミンの熱縮合で得るが、その多官能脂肪酸用の出発酸はCから約C60の脂肪酸である。
【0011】
本発明の1つの態様では、前記多官能アミンをCからC10アルキレンジアミン、ジアミン二量体、ポリオキシアルキレンアミン、エチレンアミンおよびこれらの組み合わせ成る群より選択する。
【0012】
本発明の1つの態様では、前記エチレンアミンをエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびこれらの組み合わせから成る群より選択する。
【0013】
本発明の1つの態様では、前記ポリオキシアルキレン誘導体をアルコキシル化反応で得る。
【0014】
本発明の1つの態様では、前記ポリカルバメート誘導体をカルバメート化反応で得る。
【0015】
本発明の1つの態様では、前記ポリグリセロール誘導体をグリシデーション反応で得る。
【0016】
本発明の1つの態様では、前記ポリオキシアルキレン誘導体を前記ポリアミノアミド樹脂とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよびこれらの組み合わせから成る群より選択した化合物の反応で得る。
【0017】
本発明の1つの態様では、前記ポリカルバメート誘導体を前記ポリアミノアミド樹脂とグリセリンカーボネートの反応で得る。
【0018】
本発明の1つの態様では、前記ポリグリセロール誘導体を前記ポリアミノアミド樹脂とグリシドール、グリセロール、エピクロロヒドリンおよびこれらの組み合わせから成る群より選択した化合物の反応で得る。
【0019】
本発明の1つの態様では、前記分散剤と水に不溶な固体状有効成分の比率を重量で表して約1:50から約1:5にする。
【0020】
本発明の1つの態様では、溶液中の前記電解質と水に不溶な固体状有効成分の比率を重量で表して約60:1から約1:1にする。
【0021】
本発明の1つの態様では、本組成物に更に保湿剤、増粘剤、湿潤剤、アジュバント、安定剤、解毒剤、構造剤、消泡剤、顔料、染料、防臭剤、吐剤、充填剤、担体、緩衝剤およ
びこれらの組み合わせから成る群より選択した少なくとも1種の添加剤も含有させる。
【0022】
2番目の面として、本発明の態様では、組成物の製造方法を開示し、この方法は、水溶性有効成分を含有して成る電解質溶液と水に不溶な固体状有効成分とポリアミノアミド樹脂、それのポリオキシアルキレン誘導体、それのポリグリセロール誘導体、それのポリカルバメート誘導体およびこれらの組み合わせから成る群より選択した分散剤を接触させる段階を含んで成る。
【0023】
3番目の面として、本発明の態様では、植物を処理する方法を開示し、この方法は、本発明の組成物と植物または土壌を接触させる段階を含んで成る。
【0024】
4番目の面として、本発明の態様では、動物を処理する方法を開示し、この方法は、本発明の組成物と動物を接触させる段階を含んで成る。
【0025】
5番目の面として、本発明の態様では、基質を処理する方法を開示し、この方法は、本発明の組成物と基質を接触させる段階を含んで成る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の特性を更に明瞭にする目的で以下の図を加えた。
【図1】図1は、本発明の1つの態様が示す流動学的特性、特に粘度プロファイルを最新の商業的分散剤と比較して示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の1つの態様が示す粒径分布を最新の商業的分散剤と比較して示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の1つの態様が示した流動学的特性、特に粘度プロファイルを示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の1つの態様が示した流動学的特性、特に粘度プロファイルを示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の1つの態様が示した流動学的特性、特に粘度プロファイルを示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0027】
本発明の態様では、ポリアミノアミド樹脂、それのポリアルコキシアルキレンオキサイド誘導体、それのポリグリセロール誘導体およびそれのポリカルバメート誘導体またはこれらの組み合わせを水に不溶な固体状有効成分が高電解質溶液に入っている安定な懸濁液を生じさせるための分散剤として用いることを開示する。本発明の態様は流動性があって均一なままである。本発明の態様は典型的に粒子の凝集の兆候も軟凝集の兆候も全く示さない。さらなる利点として、本分散剤はアジュバント特性を示す可能性があり、従って、水に不溶な固体状有効成分を懸濁させる目的と少なくとも1種の有効成分が示す生物学的効果を向上させる目的の両方を果たす可能性がある。本発明の態様を用いて農業用、獣医用、公衆衛生用または家庭用組成物を構築することができる。
【0028】
本発明の態様では、水溶性有効成分を含有して成る電解質溶液、水に不溶な固体状有効成分および分散剤(これはポリアミノアミド樹脂またはこれの誘導体である)を含有する組成物を開示する。
【0029】
本発明の態様は電解質溶液を包含する。電解質溶液は一般に塩(または酸もしくは塩基を用いることも可能である)を溶媒、例えば水などに入れそしてその塩の個々の成分(イオン)が解離した時に生じる。本発明の水溶性有効成分、例えば塩などを溶媒、例えば水などに入れるとそのような電解質溶液が生じ得る。本発明の電解質溶液のイオン濃度が高い時に高電解質として記述可能である。本発明の態様は、水溶性有効成分の濃度または他の水に不溶な固体状有効成分または溶解している塩の組み合わせの相当するイオン濃度が本組成物の約3重量%以上である電解質溶液を包含する。他の態様における水溶性有効成分の濃度は本組成物の約4重量%以上である。他の態様における水溶性有効成分の濃度は本組成物の約5重量%以上である。他の態様における水溶性有効成分の濃度は本組成物の約10重量%以上である。さらなる態様における水溶性有効成分の濃度は約10重量%から約70重量%であり得る。他の態様における水溶性有効成分の濃度は約15重量%から約40重量%であり得る。
【0030】
高電解質溶液が好ましい態様では、そのような水溶性有効成分の濃度を約30g/L(酸の当量として)以上の如何なる濃度にしてもよい。他の態様では、そのような水溶性有効成分の濃度を約120g/L、150g/L、360g/L、420g/L、450g/L、480g/L、490g/L、510g/L、517g/Lまたは520g/Lにしてもよい。1つの態様では、前記水溶性有効成分の濃度を約540g/Lにする。他の態様では、その濃度を約600g/Lにしてもよい。
【0031】
本発明の態様は水溶性有効成分を包含する。いくつかの態様における水溶性有効成分は、生物学的に有効な成分(以下に記述する如き)、例えば有害生物防除剤、特に除草剤などであってもよい。そのような水溶性有効成分には、これらに限定するものでないが、N−(ホスホノメチル)グリシン(グリホセート)およびこれの塩、4−[ヒドロキシル(メチル)ホスフィノイル]−DL−ホモアラニン(グルホシネート)アンモニウム塩および他の水溶性除草剤、例えばジカンバ、アミトロール、ブロモキシニルおよびこれらの塩、ビピリジニウム系除草剤、例えばパラコートおよびジコートおよびこれらの塩、アミトロール、芳香酸系除草剤、例えば2,4−D、MCPA(4−クロロ−2−メチルフェノキシ酢酸)およびMCPB(4−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)ブタノエート)およびこれらの塩、ピリジン系除草剤、例えばトリクロピルおよびピクロラムおよびこれらの塩が含まれ得る。請求する発明の組成物で用いるに適した他の水溶性成分の例には、液状の肥料、例えば硫酸アンモニウムおよび植物成長調整剤(これはジベレリン、例えばGAおよびこれらの塩であってもよい)が含まれる。“グリホセート”はいずれかの形態のグリホセートを意味し、それが水溶液の状態の時にはグリホセートアニオンに加えて適切なカチオンが生じるか或はグリホセート酸が生じる。そのような適切なカチオンの例はアルカリ金属カチオン、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウムおよび置換アンモニウムカチオンなどである。後者には第一級もしくは第二級アミン、例えばイソプロピルアミン、モノエタノールアミンまたはジメチルアミンなどに由来するカチオンおよびジアミン、例えばエチレンジアミンなどに由来するカチオンが含まれる。グリホセートの他の農業的に許容される塩が米国特許第3,799,758号に開示されている。更に、グリホセートの農業的に許容される塩の例は、EP−A−0 088 180に開示されている如きトリメチル−スルホニウム塩(“スルホセート”)またはアミノグアニジン塩である。グリホセートは置換可能な水素原子を2個以上有することから一塩および二塩が可能なばかりでなく、そのような塩の混合物も可能である。典型的なグリホセート塩は、カリウム、アンモニウムおよびトリメチルスルホニウム塩ばかりでなく混合アルキルスルホニウム塩およびトリアルキルアンモニウム塩である。水溶性有効成分にはまた他の適切な活性塩、塩基および酸も含まれ得る。他の適切な生物学的に有効な成分には微量栄養素が含まれ得る。そのような微量栄養素は粉末であり得、それを肥料配合物に入れて懸濁させることができる。当業者は、本発明の態様で用いるに適した他の水溶性有効成分を認識するであろう。
【0032】
本発明の態様は、水に不溶な固体状有効成分を包含する。本発明で用いるに適した水に不溶な固体状有効成分には、これらに限定するものでないが、殺虫剤、昆虫忌避剤、殺菌・殺カビ剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調整剤、肥料、微量栄養素、ダニ駆除剤、駆虫剤および殺線虫剤が含まれる。適切な水に不溶な固体状有効成分が示す水溶解度プロファイルは典型的に温度が20℃の時に本組成物の約1.0重量%以下である。適切な固体状有害生物防除剤の例には、これらに限定するものでないが、トリアジン系除草剤、例えばアトラジン、シマジン、プロメトリン、アメトリン、テルブトリンおよびテルブチラジンなど、尿素系除草剤、例えばジウロン、フルオメツロンおよびリヌロンなど、カルバメート、例えば1−ナフチルメチルカルバメートなど、殺菌・殺カビ剤、例えばプロシミドンおよびマンコゼブなど、アセチミド、例えばシモキサニル、合成ピレトロイド、例えばビフェントリンおよびアルファ−シペルメトリンなど、チアベンダゾール、カルベンダジム、オキシ塩化銅、チジアズロン、カルボフラン、硫黄、クロロタロニル、トラルコキシジム、トリアジメフォン、炭酸カルシウム、イミダクロプリド、チオクロプリド、カプタン、ジフルベンズロン、フィプロニル、メトスルフロン−メチル、ジフルフェニカン、トリフロキシストロビン、トリアスルフロン、クロルスルフロンおよびメトリブジンなどが含まれる。そのような水に不溶な固体状有効成分のリストをPesticide Dictionary(Farm Chemicals Handbookに含まれている)またはBritish Crop Protection Society:Pesticides Manualから引き出すことができる。本開示の利点を習得した当業者は、本発明の態様で用いるに適した他の水に不溶な固体状有効成分を認識するであろう。
【0033】
本発明の態様は分散剤を包含する。そのような分散剤は、ポリアミノアミド樹脂、それのポリオキシアルキレン誘導体、それのポリグリセロール誘導体、それのポリカルバメート誘導体およびこれらの組み合わせから選択可能である。そのようなポリアミノアミド樹脂は、アミノ基を有する化合物がグラフト化および/またはそれによって架橋した多官能脂肪酸二量体で構成されている。そのようなポリアミノアミド樹脂を良く知られている方法、例えばいずれかの多官能脂肪酸といずれかの多官能アミンの熱縮合などで得ることができる。商業的に適切なポリアミノアミド樹脂の一例はVERSAMID(登録商標)ポリアミノアミドであり、これはCognis GmbHから入手可能な樹脂のブランドである。本請求する発明に記述する如きポリアミノアミド樹脂およびこれの誘導体は、これらに限定するものでないが、式1に概略を示す一般的構造を有する可能性がある。
【0034】
【化1】

【0035】
式1中のRは多官能脂肪酸二量体であり、それの出発酸はCから約C60の脂肪酸である。RおよびRは水素またはメチル基またはこれらの組み合わせのいずれかである。Rは水素、メチル、アルキルまたはアリール基である。Xは酸素または窒素のいずれかであってもよい一方、Yは水素またはエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基またはこれらの組み合わせのいずれかであってもよい。他の実施形態におけるYはいずれかのアルキル、アルキルケトンまたはグリセロール基であって
もよい。更に、aは1から約11の整数であり、bは0から約30の整数であり、dは1から約30の整数であり、eは0から1の整数でありそしてLは1から約50の整数である。
【0036】
式1に示した如きポリアミノアミド誘導体は、市販の樹脂、例えばVERSAMID(登録商標)ポリアミノアミドなどの重合体バックボーンに誘導体化を受けさせることで得ることができる。そのような誘導体化反応の非限定例をスキーム1−3に示す。誘導体化はアルコキシル化反応(スキーム1に示す如き)、グリシデーション反応(スキーム2に示す如き)またはカルバメート化反応(スキーム3に示す如き)のいずれかで実施可能である。
【0037】
【化2】

【0038】
【化3】

【0039】
【化4】

【0040】
表1に示すポリアミノアミド誘導体は、それのポリオキシアルキレンオキサイド誘導体、それのポリグリセロール誘導体およびそれのポリカルバメート誘導体で構成されており、それが更にポリアミノアミド樹脂の重合体骨格に付加する。当業者は、酸とアミンの比率、縮合度(例えば反応時間および温度)ばかりでなく当該多官能酸または多官能アミンの組成を変えることで様々なポリアミノアミド樹脂を容易に得ることができるであろう。
【0041】
更に、前記ポリアミノアミド樹脂の調製で用いる多官能アミンには、如何なるCから約C10アルキレンジアミンも含まれ、例えば、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ピペラジン、ジピペリジルプロパンおよびこれらの組み合わせなどが含まれる。前記ポリアミノアミド樹脂の調製で用いるジアミンは、いずれかの脂肪酸二量体から誘導可能であり、そのようなジアミンは、第一級アミノ基をカルボキシル基の代わりに含有している可能性がある。そのような物質をしばしばジアミン二量体と呼ぶ。それらは脂肪酸二量体からニトリルを生じさせた後に水添を実施することで得られる。また、ポリオキシアルキレンアミン、例えばHuntsman Corporation(Woodlands、Texas)から商業的に入手可能なJEFFAMINE(登録商標) ポリオキシアルキレンアミンなどを用いることも可能である。他の好適なアミンには、エチレンアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびこれらの組み合わせなどが含まれる。その上、そのようなアミンは如何なる構造または樹状突起を有していてもよく、それらを脂肪酸と一緒に縮合させることで本請求する発明に従うポリアミノアミド樹脂を生じさせることができる。
【0042】
前記ポリアミノアミド樹脂の調製で用いる多官能脂肪酸二量体の調製に適した出発酸には、如何なるCから約C60脂肪酸も含まれ、例えばトール油脂肪酸に存在するオレイン酸およびリノール酸などが含まれる。そのような脂肪酸を様々な触媒使用および触媒非使用重合手順で重合させることで多官能脂肪酸二量体を得ることができる。
【0043】
他の態様では、ポリアミノアミド樹脂をエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドまたはこれらの組み合わせのいずれかと反応させてポリアミノアミド誘導体を生じさせることで水溶性もしくは水分散性分散剤を得ることができる。更に他の例として、前記ポリアミノアミド樹脂をグリセリンカーボネート、グリセロール、グリシドールまたはエピクロロヒドリンと反応させることで水溶性の高分子量分散剤を得ることも可能である。上述した方法のいずれかで生じさせたポリアミノアミド樹脂または誘導体は約500から約500,000ダルトンの好ましい分子量を有する。他の態様におけるポリアミノアミド樹脂またはこれの誘導体の分子量は約500から50,000ダルトンである。本開示の利点を習得した当業者は、本発明の態様で用いるに適した他の分散剤を認識するであろう。
【0044】
当該分散剤と水に不溶な固体状有効成分の典型的な比率は重量で表して約1:50から約1:5、より好適には約1:20から約1:10、最も好適には約1:20から約1:5である。加うるに、当該電解質と懸濁している水に不溶な固体状有効成分の典型的な比率は重量で表して約60:1から約1:1、より好適には約5:1から約1:1、最も好適には約2:1から約1:1である。本開示の利点を習得した当業者は用途に応じて使用に適した比率を認識するであろう。
【0045】
本発明の態様にまた1種以上の添加剤も含有させることも可能である。添加剤には、保湿剤、例えばプロピレングリコール、モノエチレングリコールまたはグリセロール(これはまた凍結防止剤としても働き得る)など、構造剤、例えばシリカ、例えばAEROSIL(登録商標)ヒュームドシリカ(Evonik Degussa GmbHから商業的に入手可能)または粘土など、および増粘剤、例えばキサンタンゴムまたは他の多糖ゴムなどが含まれ得る。その上、本組成物の効力を更に向上させ得るアジュバントを添加することも可能であり、それには、これらに限定するものでないが、非イオン性界面活性剤、例えばアルキル多糖、アルコールエトキシレート、エチレンジアミンアルコキシレートおよびアルキルフェノールエトキシレートなどが含まれ得るが、また、ベタインの種類の化学に属するアジュバントを存在させることも可能である。農業用途で使用可能な他の添加
剤には、充填剤および担体、例えば天然および合成のケイ酸塩およびケイ酸塩鉱物、鉱物酸化物および水酸化物およびまた天然および合成的に誘導された有機材料が含まれる。そのような材料は多孔質担体としてか或は単にある配合物が便利な重量を満足させる目的で添加可能である。そのような充填剤の例には、天然のケイ酸塩、例えばケイソウ土、合成沈澱シリカ、粘土、例えばカオリン、アタパルジャイトおよびベントナイトなど、ゼオライト、二酸化チタン、鉄の酸化物および水酸化物、アルミニウムの酸化物および水酸化物、または有機材料、例えばバガス、炭または合成有機重合体などが含まれ得る。
【0046】
更に、本発明の組成物に他の添加剤、例えば緩衝剤、例えば水素燐酸ジナトリウムおよびクエン酸など、吐剤、防臭剤、解毒剤および消泡剤、例えばケイ素系消泡剤など、染料および/または顔料などを含有させることも可能である。
【0047】
1つの態様では、請求する組成物に含有させる分散剤と組み合わせて別の添加剤、例えば湿潤剤、例えばアルキルフェノールエトキシレートもしくはアルコキシレート、アルキルスルフェート、アルキルスルホネートまたはアルキルエーテルスルフェート、脂肪アルコールエトキシレートもしくはアルコキシレート、アルキルエーテルホスフェートエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、ジアルキルスルホスクシネート塩、ナフタレンスルホネートおよび高分子量のアルコールアルコキシレートなどを用いることも可能である。本開示の利点を習得した当業者は、本組成物の使用および用途に応じて使用に適した他の添加剤を認識するであろう。
【0048】
本発明の態様は、少なくとも1種の有効成分が示す効力を向上させるアジュバント特性を示す可能性がある。除草剤、例えばグリホセートおよびこれの塩、グルホシネートおよびこれの塩、2,4−Dおよびこれの塩およびパラコートおよびこれの塩などに分子が植物内の活性部位に付着および吸収される度合を向上させるアジュバントを含有させるのが好ましい。除草剤のアジュバント性の測定を一般に広葉およびイネ科雑草種に関するフィールドテストで行うことで、記述するポリアミノアミド誘導体の方が最新の産業標準[Monsanto Company(St.Louis、Missouri)から商業的に入手可能なROUNDUP(登録商標)CT broadacre除草剤(グリホセートを含有)に比べて良好に機能することを見いだした(生物学的効率の結果に関しては表3を参照)。ポリアミノアミド樹脂またはポリアミノアミド誘導体はアジュバントとして約5%(体積当たりの重量)(重量/体積)から約20%(重量/体積)、より典型的には約8%(重量/体積)から約12%(重量/体積)の量で使用可能であり、場合により産業標準と比較した場合、約8%(重量/体積)から約10%(重量/体積)の量で使用可能である。前記ポリアミノアミド樹脂またはポリアミノアミドをまた別のアジュバントと組み合わせて用いることも可能であり、例えば5%(重量/体積)の量のポリアミノアミド樹脂および5%(重量/体積)の量の獣脂アミンエトキシレートなどと組み合わせて用いることで、追加的アジュバントの必要性を低くすることも可能である。
【0049】
別の態様では、前記ポリアミノアミド樹脂およびこれの誘導体を油分散(OD)配合物に入れる分散剤として用いることも可能である。OD配合物に入れる分散剤として用いられる通常の分散剤は溶媒が基になった高分子量分散剤に限定される。修飾および未修飾ポリアミノアミド樹脂を最初に選別することで、油が基になった系に微細有効成分が有効に分散するか否かを示す。
【0050】
本発明では、更に、組成物の製造方法も記述する。この方法は、水溶性有効成分を含有して成る電解質溶液と水に不溶な固体状有効成分と分散剤を接触させる段階を包含する。
【0051】
例えば、SCを調製する伝統的な技術を用いてそのような方法を達成することができ、その技術は、(i)水に不溶な固体状有効成分を当該分散剤が入っている電解質溶液と混
合し、(ii)ホモジナイザーを用いて前記混合物を湿式粉砕しそして(iii)その結果としてもたらされた混合物をビード粉砕することで水に不溶な固体状有効成分の粒径を小さくすることを伴う。
【0052】
2番目の例に従い、当該分散剤が入っている電解質溶液をその粉砕したSCに加えることで請求する組成物を得る。
【0053】
3番目の例に従い、本組成物の製造を(i)水に不溶な固体状有効成分を空気で粉砕し、(ii)その前以て粉砕しておいた成分を当該分散剤が入っている電解質溶液に入れて混合しそして(iii)その混合物を均一にすることで実施することも可能である。
【0054】
4番目の例に従い、(i)水に不溶な固体状有効成分のWPまたはWGを構築しそして(ii)その構築したWPまたはWGを当該分散剤が入っている電解質溶液に加えることで本組成物を得る。この4番目の例は本発明の態様を例示する非限定例であることを意味する。
【0055】
本発明の態様は農業用もしくは獣医用組成物として有用であり得、生物学的に有効な成分を含有する配合物として使用可能である。“生物学的に有効な成分”を本明細書で用いる場合、これに、これらに限定するものでないが、除草剤、殺虫剤ばかりでなく殺菌・殺カビ剤を包含させることを意図する。本明細書で意図する農業的に有効な他の成分には、殺生物剤、軟体動物駆除剤、殺藻剤、植物成長調整剤、駆虫剤、殺鼠剤、抗線虫剤、ダニ駆除剤、抗アメーバ剤および殺原虫剤が含まれる。そのような成分をしばしば一般に有害生物防除剤と呼ぶ。本明細書ではまた作物解毒剤、昆虫忌避剤、肥料、微量栄養素粉末およびアジュバントも意図する。そのような有効成分の配合物が示す有効性は、1種以上の生物学的に有効な成分、例えばトリアジンなどをグリホセート塩溶液で構成させた高電解質媒体に入れて用いることで最良に例証可能である。特に、固体状懸濁物またはいわゆるSC配合物の形態の特定の有害生物防除剤をある電解質が入っている溶液に入れて適用または一緒に構築するのがしばしば好ましい。そのような電解質には、生物学的に有効な水溶性成分が含まれ得るが、それもまた有害生物防除剤、植物もしくは昆虫成長調節剤または肥料でもある。有害生物防除剤濃縮液に入れる有効成分の正確な量は具体的な最終使用用途、例えば処理すべき標的基質または処理すべき面積などに依存するであろう。
【0056】
本発明の態様では、また、植物を処理する方法も開示し、この方法は、本発明の農業用組成物と植物もしくは土壌を接触させる段階を含んで成る。本発明の除草および肥料組成物を植物および土壌に加えてもよい。
【0057】
本発明のさらなる態様では、また、動物を処理する方法も開示し、この方法は、請求する組成物と動物を接触させる段階を含んで成る。
【0058】
本発明の態様ではまた基質を処理する方法も開示し、この方法は、本発明の組成物と基質を接触させる段階を含んで成る。そのような例には、有害生物防除剤または動物衛生剤を公衆衛生で用いることが含まれ得る。一例として、殺虫剤を予防処置として床および壁に付着させてもよい。また、殺菌・殺カビ剤を種子および土壌に付着させることも可能である。本発明の組成物を他の適切な用途で使用することも可能である。
【0059】
本発明の例示を意図した以下の実施例を考慮することで本発明の態様を更に例示する。
【実施例】
【0060】
a.ポリアミノアミド誘導体の製造
典型的手順:ポリアミノアミド樹脂を反応槽に0.35重量%の量の50重量%水酸化
カリウム水溶液と一緒に仕込んだ。その混合物に脱水を115−120℃で窒素パージしながら水濃度が<0.1%(重量/重量)になるように90−120分間受けさせた。その反応槽にポリオキシアルキレンオキサイドを仕込んだ。
【0061】
実施例1: VERSAMID(登録商標) 125ポリアミノアミド(108g、1.08のアミン当量)とプロピレングリコール(143g)と50重量%水酸化カリウム水溶液(0.88g、0.008当量)と水(11g)を混合した。その混合物を110℃に加熱して30分間撹拌した。真空をかけることで水を除去した。(穏やかな)脱水が完了した後、エチレンオキサイド(113g、2.57モル)を45分間かけて添加しそして次に反応を60分間起こさせた。その温混合物を水で有効成分が50%になるように希釈した(表1を参照)。
【0062】
実施例2−26: この上に概略を示した如き‘典型的手順’を用いて実施例2−26を生じさせた。そのようなポリアミノアミド誘導体を製造するに適した反応条件を表1に要約する。
【0063】
実施例27: VERSAMID(登録商標) 125 ポリアミノアミド(21.3g、0.20のアミン当量)とプロピレングリコール(50g)を入れておいた溶液にグリシドール(19.5g、0.25当量)を窒素雰囲気下で加えた。その溶液を120℃に1時間加熱した後、その反応混合物に水(93.2g)を有効成分が21%になるように添加した。
【0064】
実施例28: VERSAMID(登録商標) 125 ポリアミノアミド(103g)の溶液にグリセリンカーボネート(111g)を窒素流下90℃で40分かけてゆっくり加えた。その反応混合物を90℃で更に45分間撹拌した。その熱混合物にプロピレングリコール(200g)を有効成分が52%になるように添加した。
【0065】
b.ポリアミノアミドおよびポリアミノアミド誘導体(実施例1−28)が高電解質系に入っている配合物の調製
(i).水に不溶な有効成分が高電解質系に入っている分散液を生じさせる典型的手順:電解質(塩)溶液と分散剤(これは未修飾ポリアミノアミド樹脂または実施例1−28に概略を示したポリアミノアミド誘導体または市販の分散剤のいずれかであり得る)を一緒にした。その混合物に前以て空気による粉砕を受けさせておいた固体状有効成分を高せん断下で分割して加えた。水を残りの成分として加えた後の分散液を高せん断下で再び充分に均一にした。
【0066】
(ii).完全充填配合物の調製。電解質(塩)溶液および分散剤(これは未修飾ポリアミノアミド樹脂または実施例1−28に概略を示したポリアミノアミド誘導体または市販の分散剤のいずれかであり得る)、保湿剤、構造剤、ケイ素系消泡剤およびアジュバントを一緒にした。その高電解質混合物に前以て空気で粉砕しておいた水に不溶な固体状有効成分を高せん断下で分割して加えた。水を残りの成分として加えた後の分散液を高せん断下で再び充分に均一にした。
【0067】
(iii).OD配合物の調製。油および分散剤(これは未修飾ポリアミノアミド樹脂または実施例1−28に概略を示したポリアミノアミド誘導体のいずれかであり得る)および乳化剤1種または2種以上を計量してビーカーに入れて撹拌した。その混合物に前以て空気で粉砕しておいた固体状有効成分を高せん断下で分割して加えた。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例29: 本発明の教示に従う組成物の調製を35.0重量%の量のグリホセート酸(イソプロピルアミン塩として存在)、3.9重量%の量の分散剤(実施例1の)および19.4重量%の量のテルブチラジンを前記セクションb(i)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0070】
対照実施例30: 比較対照組成物の調製を35.0重量%の量のグリホセート酸(イソプロピルアミン塩として存在)、3.9重量%の量の市販分散剤[Huntsman Corporation(Woodlands、Texas)から入手可能なTERSPERSE(登録商標) 2500分散剤]および19.4重量%の量のテルブチラジンを前記セクションb(i)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0071】
実施例31: 本発明の教示に従う組成物の調製を37.3重量%の量のグリホセート酸(イソプロピルアミン塩として存在)、2.0重量%の量の分散剤であるVERSAMID(登録商標) 125ポリアミノアミドおよび15.5重量%の量のテルブチラジンを前記セクションb(i)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0072】
実施例32: 本発明の教示に従う組成物の調製を36.0重量%の量のグリホセート酸(カリウム塩として存在)、5.0重量%の量の分散剤(実施例1の)および15.9重量%の量のテルブチラジンを前記セクションb(i)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0073】
実施例33: 本発明の教示に従う組成物の調製を29.5重量%の量のグリホセート酸(カリウム塩として存在)、3.4重量%の量の分散剤(実施例1の)、14.6重量%の量のテルブチラジン、8.2重量%の量のTERWET(登録商標) 3780界面活性剤[Huntsman Corporation(Woodlands、Texas)から商業的に入手可能)、4.9重量%の量のモノエチレングリコール、0.3%の量のDOW CORNING(登録商標) ANTIFOAM C乳液(Dow Corning Corporationから商業的に入手可能)および0.4%の量のVEEGUM(登録商標)硫酸マグネシウムアルミニウム[R.T.Vanderbilt Company,Inc.(Norwalk、Connecticut)から商業的に入手可能]を前記セクションb(ii)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0074】
実施例34: 本発明の教示に従う組成物の調製を24.2重量%の量のグルホシネート−アンモニウム(50%の水性濃縮液)、5.9重量%の量の分散剤(実施例27の)、18.6重量%の量のテルブチラジン、9.7重量%の量のEMPIMIN(登録商標)
KESM 70/AU界面活性剤[Huntsman Corporation(Woodlands、Texas)から商業的に入手可能]、0.5%の量のAntifoam Cおよび0.6%の量のAEROSIL(登録商標) 200ヒュームドシリカを前記セクションb(ii)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0075】
実施例35: 本発明の教示に従う組成物の調製を20.0重量%の量のテルブチラジン、5.0重量%の量の分散剤(実施例1の)、10.0重量%の量のTERMUL(登録商標) 3000乳化剤、5重量%の量のBENTONE GEL(登録商標) IPM
V流動添加剤[Elementis Specialties,Inc.(Hightstown、New Jersey)から商業的に入手可能]および残りの70SNパラフィン油[Kesri Oil Private Limited(Dehli、India)から商業的に入手可能]を前記セクションb(iii)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0076】
実施例36: 本発明の教示に従う組成物の調製を33.7重量%の量のグリホセート酸(イソプロピルアミン塩として存在)、4.0重量%の量の分散剤(実施例28の)および18.6重量%の量のテルブチラジンを前記セクションb(i)に概略を示した典型的
な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0077】
実施例37: 本発明の教示に従う組成物の調製を36.6重量%の量のグリホセート酸(イソプロピルアミン塩として存在)、2.0重量%の量の分散剤(実施例27のポリアミノアミド)および20.0重量%の量のシマジンを前記セクションb(i)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0078】
実施例38: 本発明の教示に従う組成物の調製を31.8重量%の量のグリホセート酸(イソプロピルアミン塩として存在)、7.0重量%の量の分散剤(実施例28の)および23.7重量%の量の硫黄を前記セクションb(i)に概略を示した典型的な手順に従って一緒にすることで実施した。
【0079】
c.流動学的試験。固体分散相を含有する液状組成物の流動学的特徴を試験すること、当該組成物に入っている粒子と粒子が起こし得る相互作用を調査しそしてその組成物が所定条件下で軟凝集を起こす傾向があるか或は安定であり得るか否かを推定することができる。
【0080】
実施例29および対照実施例30で調製した組成物が示す流れの測定をAR 2000
Rheometer[TA Instruments,Inc(New Castle、Delaware)から入手]を用いて実施した。その組成物を前記レオメーターに充填して20℃で平衡状態になるように2分間放置した後、測定を開始した。20℃でせん断速度が2分間で0から100秒−1まで上昇し、100秒−1のピークに1分間の保持段階そして1分間で100から0秒−1にまで降下するように制御することで流れの測定を実施した。
【0081】
組成物の流動学的挙動:実施例29を対照実施例30と対比。実施例29を対照実施例30と比較することで流動学的特性が優れていることが実証された。特に、実施例29は相が安定な溶液をもたらし、その溶液が示した粘度は対照実施例30のそれに比べて低かった。対照実施例30はせん断によって非常に粘度が低下する挙動および有意な降伏応力を示したが、このことは、構造化用助剤を入れなかった配合物が軟凝集を起こしたことの指標であり、一方、請求する組成物が示した粘度プロファイルはかけたせん断速度全体に渡ってほとんど変化せずかつそれが示した降伏応力は僅かのみであった(図1を参照)。
【0082】
このような測定値は、実施例29(本発明の態様)が良好な分散を示したことの指標である一方、対照実施例30には軟凝集の証拠が見られる。最終的配合物が示した粒径分布(図2および表2を参照)は、ポリアミノアミド誘導体を含有させた組成物では固体状有効成分が電解質(塩)溶液中に有効に分散していることを示す追加的証拠を与えている。
【0083】
【表2】

【0084】
実施例36で調製した組成物が示す流れの測定(図3)をAR 2000 Rheometer[TA Instruments,Inc.(New Castle、Dela
ware)から入手]を用いて実施した。前記組成物を前記レオメーターに充填して20℃で平衡状態になるように2分間放置した後、測定を開始した。20℃でせん断速度が2分間で0から100秒−1まで上昇し、100秒−1のピークに1分間の保持段階そして1分間で100から0秒−1にまで降下するように制御することで流れの測定を実施した。
【0085】
実施例36(本発明の態様)は選択したせん断範囲内で低くて実際に一定の粘度を示し、このことは良好な分散系であることの指標である。
【0086】
実施例37で調製した組成物が示す流れの測定(図4)をAR 2000 Rheometer[TA Instruments,Inc.(New Castle、Delaware)から入手]を用いて実施した。前記組成物を前記レオメーターに充填して20℃で平衡状態になるように2分間放置した後、測定を開始した。20℃でせん断速度が2分間で0から50秒−1まで上昇し、50秒−1のピークに1分間の保持段階そして1分間で50から0秒−1にまで降下するように制御することで流れの測定を実施した。
【0087】
実施例37(本発明の態様)は選択したせん断範囲内で低い粘度を示しかつせん断による粘度低下挙動は僅かのみであり、このことは良好な分散系であることの指標である。
【0088】
実施例38で調製した組成物が示す流れの測定(図5)をAR 2000 Rheometer[TA Instruments,Inc.(New Castle、Delaware)から入手]を用いて実施した。前記組成物を前記レオメーターに充填して20℃で平衡状態になるように2分間放置した後、測定を開始した。20℃でせん断速度が2分間で0から100秒−1まで上昇し、100秒−1のピークに1分間の保持段階そして100から0秒−1にまで降下するように制御することで流れの測定を実施した。
【0089】
実施例38(本発明の態様)は選択したせん断範囲内で低い粘度を示しかつせん断による粘度低下挙動は僅かのみであり、このことは良好な分散系であることの指標である。
【0090】
d.生物学的効率の性能
サンプル調製。本発明の教示に従う2個のサンプル溶液の調製を実施例1または実施例27(100% 活性当量)のいずれかを1リットル当たり450グラムの酸当量(gae/L)のグリホセート(カリウム塩として存在)に溶解させることで実施した。1つの対照サンプルは未処理でありそして2番目の“市販対照”サンプルでは市販の除草剤(ROUNDUP(登録商標) CT broadacre除草剤)を用いた。
【0091】
植物の繁殖。培養土混合物[Australian Standard AS 3743(2002)に従う]を充填しておいた直径が10cmのポットの中にえん麦種を3cmの深さの所に蒔きそして斑入りアザミを1cmの深さの所に蒔いた。実生発生から1週間後に実生をまぶいてポット1個当たり1個の実生になるように均一な大きさにした。田畑条件をより密に模擬するように、えん麦を温度制御温室(14℃−25℃)の中で8日間に続いて屋外で13日間生育させた後、噴霧を適用した。斑入りアザミを温度制御温室(14℃−25℃)の中で14日間に続いて屋外で23日間生育させた後、噴霧を適用した。除草剤を塗布した後のポットを温室に戻し、最終的に収穫を行って新鮮な状態の重量を測定した。
【0092】
除草剤の塗布。除草剤配合物の塗布を110°の平らなファンノズル[Deere and Company(Moline、Illinois)から商標JOHN DEERE(登録商標) 噴霧器部品の下で入手可能なTeejet XRI lOOl−VS]をブームを横切るように50cmの間隔で3個取り付けた実験室用密閉型トラック噴霧器を用いて実施した。そのブームを固定トラックに沿って1時間当たり6キロメートルで動かしながら水を200キロパスカルの圧力で1ヘクタール当たり64リットルの体積で噴霧した。
【0093】
評価。目で見た観察を処理から10日目(DAT)または12DATに実施して対照に対する%として記録した。14DATに葉の基部の所を切断して実生を収穫した後直ちにSartorius Basic電子天秤[0−4100グラムの範囲、Satrorius AG(Goettingen、Germany)から商業的に入手可能]で重量を測定した。
【0094】
統計学的分析。データの分析を2個の要因を用いた要因計画、配合および率を用いて実施した。各処理の平均に関して5%最小有意差(LSD)を計算した。他の処理との差が有意な時、最大除草効果をアルファコード“a”で表し、効果が低くなるにつれて“b”、“c”、“d”などで表す。
【0095】
【表3】

【0096】
表3は、実施例1および27が斑入りアザミで示した生物学的効率は市販対照のそれに匹敵していることを示している。追加的に、実施例1および27は未処理対照に比べてえん麦種にいくらかのアジュバント効果も示す。前記表中の値が低いことは未処理対照に比べて効率が高いことの指標である。
【0097】
当業者は、本明細書に記述した発明は具体的に記述した発明以外の変形および修飾を受け得ることを理解するであろう。本発明は本発明の精神および範囲内に入るそのような変形および修飾形の全部を包含すると理解されるべきである。本発明はまた本明細書に言及または示した段階、特徴、組成物および化合物の全部も個別または集合的に包含しかつ前記段階または特徴の中のいずれか2つ以上のいずれかおよび全ての組み合わせも包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
水溶性有効成分を含有して成る電解質溶液、
水に不溶な固体状有効成分、および
ポリアミノアミド樹脂、それのポリオキシアルキレン誘導体、それのポリグリセロール誘導体、それのポリカルバメート誘導体およびこれらの組み合わせから成る群より選択される分散剤、
を含有して成る組成物。
【請求項2】
前記水溶性有効成分の濃度が組成物の約3重量%以上である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
農業用または獣医用組成物である請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記水に不溶な有効成分が有害生物防除剤、除草剤、殺虫剤、昆虫忌避剤、殺菌・殺カビ剤、殺菌剤、植物成長調整剤、肥料、ダニ駆除剤、駆虫剤、殺線虫剤およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1種の成分である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリアミノアミド樹脂が多官能脂肪酸と多官能アミンの熱縮合で得られた樹脂でありかつ前記多官能脂肪酸用の出発酸がCから約C60の脂肪酸である請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記多官能アミンがCからC10アルキレンジアミン、ジアミン二量体、ポリオキシアルキレンアミン、エチレンアミンおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記エチレンアミンがエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオキシアルキレン誘導体がアルコキシル化反応で得られた誘導体である請求項1記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリカルバメート誘導体がカルバメート化反応で得られた誘導体である請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリグリセロール誘導体がグリシデーション反応で得られた誘導体である請求項1記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリオキシアルキレン誘導体が前記ポリアミノアミド樹脂とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される化合物の反応で得られた誘導体である請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリカルバメート誘導体が前記ポリアミノアミド樹脂とグリセリンカーボネートの反応で得られた誘導体である請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリグリセロール誘導体が前記ポリアミノアミド樹脂とグリシドール、グリセロール、エピクロロヒドリンおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される化合物の反応で得られた誘導体である請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記分散剤と前記水に不溶な固体状有効成分の比率が重量で表して約1:50から約1:5である請求項1記載の組成物。
【請求項15】
前記溶液中の電解質と前記水に不溶な固体状有効成分の比率が重量で表して約60:1から約1:1である請求項1記載の組成物。
【請求項16】
更に保湿剤、増粘剤、湿潤剤、アジュバント、安定剤、解毒剤、構造剤、消泡剤、顔料、染料、防臭剤、吐剤、充填剤、担体、緩衝剤およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも1種の添加剤も含有して成る請求項1記載の組成物。
【請求項17】
組成物の製造方法であって、水溶性有効成分を含有して成る電解質溶液と水に不溶な固体状有効成分とポリアミノアミド樹脂、それのポリオキシアルキレン誘導体、それのポリグリセロール誘導体、それのポリカルバメート誘導体およびこれらの組み合わせから成る群より選択した分散剤を接触させる段階を含んで成る方法。
【請求項18】
植物の処理方法であって、請求項1記載の組成物と植物または土壌を接触させる段階を含んで成る方法。
【請求項19】
動物の処理方法であって、請求項1記載の組成物と動物を接触させる段階を含んで成る方法。
【請求項20】
基質の処理方法であって、請求項1記載の組成物と基質を接触させる段階を含んで成る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−526051(P2012−526051A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508856(P2012−508856)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000535
【国際公開番号】WO2010/127408
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511267701)ハンツマン・コーポレーシヨン・オーストラリア・ピーテイワイ・リミテツド (1)
【Fターム(参考)】