説明

高CRI白色発光デバイス及び駆動回路

高CRI白色発光デバイスは、青色光を生成するように動作可能な青色半導体発光体(LED)、青色光の一部分を吸収し、緑/黄色光を発光するように動作可能な蛍光体材料、及び、赤色光を生成するように動作可能な赤色半導体発光体(LED)を含む。デバイスの発光結果光は、青色及び赤色LEDによって生成された光と、蛍光体材料によって生成された緑/黄色光と、の組み合わせを含み、白色に見える。デバイスはさらに、発光結果光における赤色光対青色光の比(相対的寄与)の変動を、少なくとも25℃である動作温度範囲にわたって前記変動が20%未満になることが確実になることを、補償するように動作可能な駆動回路を含む。駆動回路は、動作温度範囲にわたってデバイスの発光結果光のCRI及びCCTの変動を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2010年11月12日にWangらによって出願された「High CRI White Light Emitting Devices and Drive Circuitry」と題する米国特許出願第12/945,641号及び2009年11月19日にWangらによって出願された「High CRI White Light Emitting Devices and Drive Circuitry」と題する米国特許仮出願第61/262,855号の優先権を主張する。これらの明細書及び図面が参照によって本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
1.発明の分野
本発明は、高い(typically(一般的に)≧80の)CRI((光源の)演色評価指数:Color Rendering Index)を有する白色発光デバイスに関する。より具体的には、本発明は、半導体発光デバイス、一般的にはLED(発光ダイオード:(Light Emitting Diodes))に基づく白色発光デバイス及びそのようなデバイスを作動させるための駆動回路に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
白色発光LED(「白色LED」)は当技術分野において公知であり、比較的最近の技術革新である。電磁スペクトルの青/紫外線(UV)部分で発光する高輝度LEDが開発されてはじめて、LEDに基づく白色光源を開発することが現実的になった。たとえばUS5,998,925に教示されているように、白色LEDは、LEDによって発光された放射線の一部分を吸収し、異なる色(より長い波長)の放射光を再発光する一つ以上の下方変換性(すなわち、光子をより低いエネルギーの光子に変換する)蛍光体材料、すなわちフォトルミネッセンス材料を含む。一般的に、LEDチップが青色光を生成し、蛍光体材料がその青色光の一定割合を吸収し、異なる色の光、一般的には黄色光又は緑色と黄色の組み合わせを再発光する。LEDによって生成される青色光のうち、蛍光体材料によって吸収されない部分が、蛍光体材料によって発光される光と組み合わさって、人の眼にほぼ白色に見える光を提供する。
【0004】
高輝度白色LEDは、その長い作動寿命(30〜50,000時間程度)及び高い光源効率(1ワットあたり70ルーメン以上)のおかげで、従来の蛍光光源、コンパクト蛍光光源及び白熱光源に代わるものとしてますます使用されている。今日、白色LEDを利用する大部分の照明器具設計は、白色LED(より一般的的には、複数の白色LED)が従来の光源構成部品に取って代わるシステムを含む。そのうえ、白色LEDは、従来の光源と比べてコンパクトなそのサイズのおかげで、新規でコンパクトな照明器具を構築する潜在能力を提供する。
【0005】
物体の色を演出する光源の能力は、光源が物体の色を人の眼にどのように映らせるか、及び色合いの微妙な変化がどれほどうまく表現されるかの尺度を与える演色評価指数(CRI)を使用して計測される。CRIは、黒体放射体と比較した場合の、色を演出する光源の能力の相対的計測値である。正確な演色が求められる用途、たとえば小売り用照明、美術館照明及び芸術作品の照明においては、高いCRI(一般的には少なくとも80)が非常に望ましい。
【0006】
白色LEDの欠点は、CRI>95である白熱光源と比べて相対的に低い、一般的に<75のCRIであるといえる。この低いCRIは、スペクトルの赤(>600nm)部分における光の不在による。白色LEDのCRIを改善するために、赤色発光蛍光体材料を配合することが公知である。しかし、黄色及び緑色の下方変換性蛍光体材料と比べて、赤色発光蛍光体材料には欠点がある。第一に、青色光(450nm、エネルギー2.76eV)を赤色光(630nm、エネルギー1.97eV)に下方変換する蛍光体材料に関連するエネルギー損失が、青色光を黄色光(550nm、エネルギー2.25eV)に変換することに伴うエネルギー損失よりも大きい。これは一般的にストークス損失と呼ばれ、赤色発光蛍光体材料に伴う、より高いストークス損失が光源効率(lm/ワット)を低下させることができる。第二に、人の眼は、緑色又は黄色光と比べ、赤色光に対して敏感でないため、眼に対して同等な効果を与えるためには、より多量の赤色蛍光体材料を必要とする。
【0007】
US6,513,949及びUS6,692,136は、一つ以上のLED(赤又は緑)と青色LED及び少なくとも一つの蛍光体(緑又は琥珀)からなる蛍光体LEDとの組み合わせを含むハイブリッド白色LED照明システムを教示している。
【0008】
US6,577,073は、青色及び赤色LEDならびに蛍光体を含むLED灯を開示している。青色LEDは、青色波長範囲内に入る発光を生成する。赤色LEDは、赤色波長範囲内に入る発光を生成する。蛍光体は、青色LEDの発光によって光励起されて、青色及び赤色波長範囲の間の中間波長範囲の発光スペクトルを有するフォトルミネッセンスを示す。
【0009】
US7,213,940は、430〜480nm(青色)及び600〜630nm(赤色)の範囲に主波長を有する光を発光する第一及び第二の群の半導体発光体(LED)ならびに555〜585nm(黄色)の範囲に主波長を有する光を発光する蛍光体材料を含む発光デバイスを開示している。
【0010】
赤色発光LEDの使用は光源効率及びCRIの両方を改善することができるが、本発明者らは、そのようなデバイスにも限界があることを認識した。特に、そのようなデバイスによって生成される光の相関色温度(CCT)及びCRIは動作温度とともに有意に変動することができる。図1aに示すように、動作温度に伴い、青色及び赤色発光LEDの発光強度の変化は異なる。一般的に、動作温度の上昇とともに赤色LEDの発光強度は青色LEDよりもずっと速く低下する。たとえば25℃〜75℃の動作温度範囲にわたって、GaN系青色LEDの発光強度は約5%低下することができるが、AlGaInP系赤色LEDの発光強度は約40%低下することができる。青色及び赤色LEDに基づく白色光デバイスにおいて、これらの異なる発光/温度特性は、図1bに示すように、動作温度の上昇とともに発光結果光のスペクトル組成の変化、ひいてはCCTの上昇を生じさせる。周知のように、白色光源のCCTは、その色相を理論的な加熱された黒体放射体と比較することによって測定される。CCTはケルビン(K)で指定され、光源と同じ色相の白色光を放射する黒体放射体の温度に対応する。そのうえ、図1bに示すように、温度上昇とともに起こる発光結果光における赤色光の相対的割合の低下がCRIの低下を生じさせる。
【0011】
したがって、既存のデバイスの限界を少なくとも部分的に超える半導体発光体に基づく高CRI白色発光デバイスの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、公知のデバイスの限界を少なくとも部分的に超える、高いCRI、一般的に80以上のCRIを有する白色発光デバイスを提供しようとする努力において生まれた。
【0013】
本発明にしたがって、白色発光デバイスは、400〜480nmの範囲に主波長を有する青色光を生成するように動作可能な少なくとも一つの青色半導体発光体、青色光の一部分を吸収し、490〜590nmの範囲に主波長を有する光を発光するように動作可能な少なくとも一つの蛍光体材料、及び600〜700nmの範囲に主波長を有する赤色光を生成するように動作可能な少なくとも一つの赤色半導体発光体を含み、デバイスの発光結果光が、青色及び赤色発光体によって生成された光と少なくとも一つの蛍光体材料によって生成された光との組み合わせを含み、白色に見え、発光結果光における赤色対青色光の比の変動を、少なくとも25℃である動作温度範囲にわたって前記変動が20%未満になるように補償するように動作可能な駆動回路を含む。理想的には、駆動回路は、発光結果光における赤色及び青色光の比(相対的寄与)を動作温度範囲にわたって一定に維持するように構成されている。実際には、発光結果光における赤色対青色光の比は動作温度範囲にわたって変動し、駆動回路は、そのような変動をできるだけ小さく、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、有利には1%未満にするように構成されている。理想的には、動作温度範囲はできる限り大きく、少なくとも20℃である動作温度範囲、好ましくは少なくとも25℃である動作温度範囲、より好ましくは少なくとも50℃である動作温度範囲、さらに好ましくは少なくとも100℃である動作温度範囲である。有利には、デバイスは、発光結果光が少なくとも80、好ましくは少なくとも85、より好ましくは少なくとも90、理想的には95以上の最小演色評価指数を有するように構成されている。
【0014】
駆動回路は、青色及び赤色発光体の少なくとも一つの動作温度に関連するパラメータに対応して赤色及び青色発光体の少なくとも一つのパワーを制御するように動作可能である。駆動構成に依存して、駆動回路は、発光体の駆動電流、駆動電圧又は両方の組み合わせを制御するように動作可能であることができる。
【0015】
一つの駆動回路において、パラメータは、青色又は赤色発光体の少なくとも一つの温度を含む。そのような回路構成において、デバイスはさらに、少なくとも赤色及び/又は青色発光体の温度を感知するためのセンサを含む。一つのデバイスにおいて、青色及び赤色発光体は、熱伝導性基板と熱的に連絡した状態でマウントされ、センサは、基板の温度を感知するように構成されている。代替デバイスにおいて、青色及び赤色発光体それぞれの温度を感知するためにそれぞれのセンサが提供されることもできる。
【0016】
温度センサは、温度依存性抵抗器(サーミスタ)、サーモカップル又は温度依存性である電気的特性を有する他のデバイスを含むことができる。センサが温度依存性抵抗器を含む駆動回路構成においては、青色及び赤色発光体の少なくとも一つが温度依存性抵抗器と直列に接続されることができ、前記発光体が定電圧源から動かされることができる。半導体発光体の電気抵抗値は温度上昇とともに減少するため、そのような回路構成は、動作温度の上昇に対応して一方又は両方の発光体の順方向駆動電流を増大させる。一つの態様において、温度依存性抵抗器は負の温度係数を有し、少なくとも一つの赤色発光体と直列に接続される。あるいはまた、温度依存性抵抗器は正の温度係数を有し、少なくとも一つの青色発光体と直列に接続される。さらなる態様において、青色及び赤色発光体はそれぞれの温度依存性抵抗器と直列に接続される。そのような態様において、赤色発光体に接続された温度依存性抵抗器は負の温度係数を有し、青色発光体に接続された温度依存性抵抗器は正の温度係数を有する。あるいはまた、各温度依存性抵抗器が負の温度係数を有することもできる。
【0017】
センサが温度依存性抵抗器を含む代替駆動回路構成においては、青色及び赤色発光体の少なくとも一つが温度依存性抵抗器と並列に接続されることができ、前記発光体が定電流源から動かされることができる。このような回路構成は電流分割器として作動し、動作温度の変化に対応して一方又は両方の発光体の順方向駆動電流を変化させる。一つの態様において、温度依存性抵抗器は正の温度係数を有し、少なくとも一つの赤色発光体と並列に接続される。あるいはまた、温度依存性抵抗器は負の温度係数を有し、少なくとも一つの青色発光体と並列に接続される。さらなる態様において、青色及び赤色発光体はそれぞれの温度依存性抵抗器と並列に接続される。一つのそのような態様において、赤色発光体と並列に接続された温度依存性抵抗器は正の温度係数を有し、青色発光体と並列に接続された温度依存性抵抗器は負の温度係数を有する。あるいはまた、各温度依存性抵抗器が正の温度係数を有することもできる。
【0018】
なおさらなる回路構成においては、青色及び赤色発光体が並列に接続され、定電流源により駆動され、温度依存性抵抗器は負の温度係数を有し、少なくとも一つの赤色発光体と直列に接続され、動作中、温度の上昇とともに少なくとも一つの赤色発光体の駆動電流が少なくとも一つの青色発光体の駆動電流に対して増大するように構成されている。あるいはまた、青色及び赤色発光体が並列に接続され、定電流源により駆動され、温度依存性抵抗器は正の温度係数を有し、少なくとも一つの青色発光体と直列に接続され、動作中、温度の上昇とともに少なくとも一つの青色発光体の駆動電流が少なくとも一つの赤色発光体の駆動電流に対して減少するように構成されている。なおさらなる構成においては、青色及び赤色発光体が並列に接続され、定電流源により駆動され、それぞれの温度依存性抵抗器が青色及び赤色発光体と直列に接続されている。
【0019】
温度依存性抵抗器を使用して赤色及び/又は青色発光体の駆動パワーを制御する回路構成において、抵抗値及び温度係数は、温度依存性抵抗器が、青色及び赤色発光体の少なくとも一つの発光強度/温度特性に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。一つの発光体だけのパワーが制御可能である構成において、抵抗値及び温度係数は、好ましくは、温度依存性抵抗器が、青色及び赤色発光体の発光強度/温度特性の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。両方の発光体のパワーが制御可能である構成において、抵抗値及び温度係数は、温度依存性抵抗器が、それぞれの発光体の発光強度/温度特性に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。
【0020】
さらなるデバイスにおいて、駆動回路は、計測温度を基準温度と比較し、温度差に依存して一方又は両方の発光体の駆動電流又は駆動電圧を制御して、発光結果光における赤色及び青色光の相対的寄与を実質的に一定に維持するように動作可能である。好ましくは、駆動回路は、赤色発光体の駆動電流を制御するように動作可能である。あるいはまた、駆動回路は、青色発光体の駆動電流を制御するように動作可能である。好都合には、駆動回路は、計測温度及び基準温度に対応する電圧を比較するように動作可能な電圧比較器を含む。
【0021】
周知のように、LEDは、多くの場合、定電流源を使用して動かされ、本発明者らは、発光体の動作温度に関連するパラメータがLEDの順方向駆動電圧であることを認識した。したがって、一つの態様において、駆動回路は、青色及び赤色発光体の少なくとも一つの順方向駆動電圧に依存して駆動電流を制御するように動作可能である。順方向駆動電圧を使用して駆動電流を制御する利点は、それが温度センサの必要性を除き、駆動回路をデバイスに対して遠くに配置することを可能にすることである。好ましい構成において、駆動回路は、青色及び赤色発光体の順方向駆動電圧の間の差に依存して駆動電流を制御するように動作可能である。そのような構成は、電圧比較器を使用して青色及び赤色発光体の順方向駆動電圧を比較し、青色及び/又は赤色発光体を駆動する制御可能電流源の電流を制御することによって具現化されることができる。
【0022】
本発明がより良く理解されるよう、以下、添付図面を参照しながら本発明の高CRI白色発光デバイス及び駆動回路を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】前記のような青色及び赤色発光LEDの発光光強度対動作温度のプロットである。
【図1b】前記のような青色及び赤色LEDを含む公知の白色発光デバイスの発光光のCCT及びCRI対動作温度のプロットである。
【図2a】本発明の一実施形態の白色発光デバイスの平面図である。
【図2b】図2aのデバイスをA−Aから見た断面図である。
【図2c】代替蛍光体構成を示す、図2aのデバイスをA−Aから見た断面図である。
【図2d】もう一つの代替蛍光体構成を示す、図2aのデバイスをA−Aから見た断面図である。
【図2e】離れた蛍光体構成を有する、図2aのデバイスをA−Aから見た断面図である。
【図3a】本発明のもう一つの実施形態の白色発光デバイスの平面図である。
【図3b】図3aのデバイスをA−Aから見た断面図である。
【図4a】本発明のさらなる実施形態の白色発光デバイスの平面図である。
【図4b】図4aのデバイスをA−Aから見た断面図である。
【図5a】温度依存性抵抗器と直列に接続されたLEDの回路図である。
【図5b】図5aの回路に関して40mA、160mA、350mA、400mAの駆動電流の場合の順方向駆動電流の変化率(ΔiF/iF)対温度依存性抵抗器抵抗値(RT)のプロットである。
【図5c】図5aの回路に関して40mA、160mA、350mA、400mAの駆動電流の場合の順方向駆動電流の変化率ΔiF/iF対温度依存性抵抗器の抵抗値によって散逸されるパワーのプロットである。
【図5d】図5aの回路に関して40mA、160mA、350mA、400mAの駆動電流の場合の温度依存性抵抗器によって散逸されるパワーの割合対温度依存性抵抗器の抵抗値RTのプロットである。
【図5e】図2〜4のデバイスを作動させるための定電圧駆動回路である。
【図5f】図2〜4のデバイスを作動させるための定電圧駆動回路である。
【図5g】図2〜4のデバイスを作動させるための定電圧駆動回路である。
【図5h】図2〜4のデバイスを作動させるための定電圧駆動回路である。
【図5i】図2〜4のデバイスを作動させるための定電圧駆動回路である。
【図5j】図2〜4のデバイスを作動させるための定電圧駆動回路である。
【図5k】図2〜4のデバイスを作動させるための定電流駆動回路である。
【図5l】図2〜4のデバイスを作動させるための定電流駆動回路である。
【図5m】図2〜4のデバイスを作動させるための定電流駆動回路である。
【図5n】図2〜4のデバイスを作動させるための定電流駆動回路である。
【図5o】図2〜4のデバイスを作動させるための定電流駆動回路である。
【図5p】図2〜4のデバイスを作動させるための定電流駆動回路である。
【図5q】図2〜4のデバイスを作動させるための制御可能電流駆動回路である。
【図5r】図2〜4のデバイスを作動させるための制御可能電流駆動回路である。
【図5s】青色及び赤色発光LEDの正規化LED順方向駆動電圧VF対動作温度のプロットである。
【図5t】図2〜4のデバイスを作動させるための制御可能電流駆動回路である。
【図5u】図2〜4のデバイスを作動させるための制御可能電流駆動回路である。
【図5v】図2〜4のデバイスを作動させるための制御可能電流駆動回路である。
【図5w】図2〜4のデバイスを作動させるための制御可能電流駆動回路である。
【図5x】図2〜4のデバイスを作動させるための制御可能電流駆動回路である。
【図5y】青色及び赤色発光LEDのLED順方向駆動電圧の差VFB−VFR対動作温度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本発明の一実施形態では、400nm〜480nm(青)の範囲に主波長を有する青色光を生成するように動作可能である少なくとも一つの青色半導体発光デバイス、青色発光体によって発光された青色光の一部分を吸収し、490nm〜590nm(青色がかった緑色〜オ色がかった黄色)の範囲に主波長を有する光を発光するように動作可能な少なくとも一つの蛍光体材料、及び600nm〜700nm(赤)の範囲に主波長を有する赤色光を生成するように動作可能である少なくとも一つの赤色半導体発光体を含む。白色に見えるデバイスの発光結果光は、青色及び赤色発光体によって生成された光と蛍光体材料によって生成された光との組み合わせを含む。一般的に、デバイスは、少なくとも80のCRIを有するように構成されている。デバイスはさらに、発光結果光における赤色及び青色光の相対的寄与(比)を実質的に一定に維持するために、青色及び/又は赤色発光体の動作温度に関連するパラメータに対応して赤色及び/又は青色発光体のパワー(順方向駆動電流、順方向駆動電圧又は両方の組み合わせ)を制御するように動作可能である駆動回路を含む。そのようなデバイスは、CRI及びCCTが実質的に一定である発光結果光を生成することができる。一般的に、CRI及び/又はCCTの変動は10%未満である。発光体の駆動パワーを制御するために使用されるパラメータは発光体の動作温度を含むことができる。発光体が定電流構成において駆動される他の態様において、パラメータは、発光体の動作温度に関連する順方向駆動電圧を含むことができる。一般的に、駆動回路は、デバイスパッケージングに組み込まれることもできるし、デバイスとは別個に、たとえばデバイスを作動させるために使用される電源の一部として提供されることもできる。
【0025】
発光デバイス
以下、添付図面の図2a〜2e、3a、3b、4a及び4bを参照しながら本発明の発光デバイスの例を説明する。本明細書を通じて、類似パーツを指すために、図の番号に起因する類似した参照番号が使用される。
【0026】
以下、デバイスの平面図及びA−Aから見た断面図をそれぞれ示す図2a及び2bを参照しながら本発明の一実施形態の白色発光デバイス200を説明する。デバイス200は、≒2700Kの相関色温度(CCT)、≒750ルーメン(lm)の最小放射光束、100lm/Wの最小光源効率及び80の最小CRIを有する白色光を生成するように構成されている。
【0027】
デバイス200は、たとえば、内容全体が参照によって本明細書に組み入れられる、2010年5月16日出願の「Light Emitting Device」と題する同時係属中の米国特許出願第12/781,194号(Hwa SUら)に記載されているようなパッケージ202(図2b)を含む。パッケージ202は、1cm四方の銅(Cu)基板204、回路層206及び正方形のセラミック(Al23)トップ208を順に含む層状構造を含む。セラミックトップ208は、トップ208が銅基板204にマウントされたとき浅い円形の凹み210を画定するような円形のスルーホールを含む。青色(450nm〜480nmの範囲、一般的には約465nmの主波長)発光LEDチップ212が、凹み210のフロアの中央に、銅基板204と直接熱的に連絡した状態でマウントされている。青色LEDチップ212は、たとえば、GaN(窒化ガリウム)系モノリシックLEDチップアレイ、たとえば台湾のEpistar Corporation(登録商標)製のMC(マルチチップ)チップを含むことができる。そのようなLEDマルチチップは一般的に、450nm、460nm又は470nmの主発光波長及び1500W〜2000mWの放射光束を有する。
【0028】
デバイスはさらに、凹み210のフロア上、銅基板204と直接熱的に連絡した状態で青色LEDチップ212に隣接してマウントされた二つの赤色(600nm〜700nm)発光LEDチップ214を含む。赤色LEDチップ214は、たとえば、AlGaInP(リン化アルミニウムガリウムインジウム)系LEDチップ、たとえばEpistar Corporation(登録商標)のES-LASOPH42チップを含むことができる。そのようなLEDチップは一般的に、615nmの主発光波長及び35lm〜45lmの放射光束を有する。
【0029】
LEDチップ212、214はボンディングワイヤ216によって回路層206に電気的に接続されている。回路層206は、一つ以上の薄い電気絶縁層207上に細い銅トラックの配設を含むことができ、所望の回路構成においてLEDを相互接続するように構成されている。
【0030】
デバイス200はさらに、その平坦なベース上に均一な厚さの蛍光体材料220の層を有するドーム形(ほぼ半球形)のレンズ218を含む。蛍光体又はフォトルミネッセンス材料220は、LEDチップ212によって発光される青色光の少なくとも一部分を吸収し、490nm〜590nm(青色がかった緑色〜オ色がかった黄色)の範囲に主波長を有する光を発光するように動作可能である。
【0031】
本発明のデバイスは、無機蛍光体材料、たとえば一般組成A3Si(O,D)5又はA2Si(O,D)4のシリケート系蛍光体との使用に特に適している(式中、Siはケイ素であり、Oは酸素であり、Aは、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)又はカルシウム(Ca)を含み、Dは、塩素(Cl)、フッ素(F)、窒素(N)又は硫黄(S)を含む)。シリケート系蛍光体の例は、それぞれの明細書及び図面が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許US7,575,697「Europium activated silicate-based green phosphor」(Intematix社に譲渡)、US7,601,276「Two phase silicate-based yellow phosphor」(Intematix社に譲渡)、US7,655,156「Silicate-based orange phosphor」(Intematix社に譲渡)及びUS7,311,858「Silicate-based yellow-green phosphor」(Intematix社に譲渡)に開示されている。蛍光体はまた、本発明者らの同時係属特許出願US2006/0158090「Aluminate-based green phosphor」において教示されているようなアルミネート系材料、同時係属出願US2008/0111472「Aluminum-silicate orange-red phosphor」において教示されているようなケイ酸アルミニウム蛍光体又は2009年12月7日出願の本発明者らの同時係属中の米国特許出願12/632,550において教示されているような窒化物系赤色蛍光体材料を含むこともできる。蛍光体材料は、本明細書に記載される例に限定されず、窒化物及び/又はスルフェート蛍光体材料、オキシ窒化物及びオキシスルフェート蛍光体又はガーネット材料(YAG)をはじめとする任意の蛍光体材料を含むことができることが理解されよう。
【0032】
粉末形態にある蛍光体材料220は、液体バインダ材料と既知の割合で徹底的に混合されて懸濁液を形成し、得られた蛍光体組成物が、たとえばスピンコーティング、スクリーン印刷、インクジェット、レタープレス、グラビア又はフレキソ印刷を使用してレンズ218の表面に被着される。液体バインダ材料は、UV又は熱硬化性液体ポリマー、たとえばUV硬化性アクリル接着剤又はシリコーンを含むことができる。
【0033】
動作中、白色に見える、デバイス200によって発光された光は、青色LEDチップ212、赤色LEDチップ214によって発光された光と、蛍光体材料220によって生成された緑色/黄色光との組み合わせを含む。
【0034】
あるいはまた、図2cに示すように、蛍光体材料220は、光透過性ポリマー材料、たとえば光学等級シリコーン、アクリル、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)から作製されるレンズ218に組み込まれることもできる。完成品レンズ218において、蛍光体材料はレンズの体積全体に均一に分散している。
【0035】
もう一つの態様において、レンズ218は、ドーム形(ほぼ半球形)のシェルを含むことができ、蛍光体材料220は、一つ以上の均一な厚さの層としてレンズの内側曲面に被着することができる(図2d)。
【0036】
さらに、図2eに示すように、LEDによって生成された熱の蛍光体材料への伝達を減らすために、蛍光体材料を、デバイス200に対して遠くに、光学部品、たとえば蛍光体材料220の一つ以上の層を含む光透過性窓221の形態で提供することが考えられる。あるいはまた、蛍光体材料は光透過性窓221に配合されることもできる。蛍光体材料220を含む窓221は、一般的には少なくとも5mmである長さLのエアギャップによってデバイス200から物理的に切り離されて、蛍光体材料の十分な熱分離を提供する。窓をデバイスに対して遠くに配置することは、多数の利点、すなわち蛍光体材料の熱劣化の減少を提供する。さらに、蛍光体材料がLEDの発光面の近くに、又はそれと直に接触する状態で提供されているデバイスと比べて、蛍光体材料をデバイスに対して遠くに提供することは、デバイスによる後方散乱光の吸収を減らす。さらに、蛍光体材料を遠くに配置することは、蛍光体をLEDチップの発光面に直に提供する場合に比べ、蛍光体材料がずっと大きな面積上に提供されるため、より一貫した色及び/又はCCTの光の生成を可能にする。窓221は、光透過性ポリマー材料、たとえば光学等級シリコーン、アクリル、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はガラス、たとえば溶融石英もしくはホウケイ酸塩ガラス、たとえばPyrex(登録商標)(Pyrex(登録商標)はCorning社のブランド名である)から作製される。一般的に、窓221及びデバイス200は照明器具又は照明モジュールに組み込まれることができる。
【0037】
以下、デバイスの平面図及びA−A線から見た断面図をそれぞれ示す図3a及び3bを参照しながら本発明のもう一つの実施形態の白色発光デバイス300を説明する。デバイス300は、≒2700Kの相関色温度(CCT)、≒750lmの最小放射光束、100lm/Wの最小光源効率及び80の最小CRIを有する白色光を生成するように構成されている。
【0038】
デバイス300は、四つの低めのパワーの赤色(600nm〜700nm)発光LEDチップ314を含むことを除き、図2a及び2bの態様と実質的に同一である。LEDチップ314は、凹み310のフロア上、銅基板304と直接熱的に連絡した状態で青色LEDチップアレイ312の周囲にマウントされている。この実施形態において、赤色LEDチップ314は、たとえば、AlGaInP(リン化アルミニウムガリウムインジウム)系LEDチップ、たとえばEpstar Corporation(登録商標)のES-LASOPH28チップを含むことができる。そのようなLEDチップは一般的に、615nmの主発光波長及び25lm〜30lmの放射光束を有する。図示する実施形態において、レンズ318は、凹み310を蛍光体/ポリマー混合物で埋めることにより、その場でパッケージ302上に形成(成形)される。
【0039】
以下、デバイスの平面図及びA−A線から見た断面図をそれぞれ示す図4a及び4bを参照しながら本発明の第三の実施形態の白色発光デバイス400を説明する。デバイス400は、≒2700Kの相関色温度(CCT)、≒750lmの最小放射光束、100lm/Wの最小光源効率及び80の最小CRIを有する白色光を生成するように構成されている。
【0040】
デバイス400は、たとえば、内容全体が参照によって本明細書に組み入れられる同時係属中の米国特許出願公開公報第2009/0294780号(2008年5月27日出願)に記載されているようなLTCC(低温同時焼成セラミック)パッケージ402を含む。図示する実施形態において、パッケージ402は、25(5行×5列)の円形凹み410の正方形アレイを有する正方形の多層セラミックパッケージである。各凹み410がそれぞれのLEDチップを収容するように構成されている。
【0041】
パッケージ402は、銀(Ag)で構成された一つ以上の回路層406を含む14mm四方のセラミックボディ408を含む。各凹み410のフロアには銀製マウンティングパッド422が設けられている。図示するように、パッケージの下面は熱伝導性ベース424を含むことができる。一般的に、マウンティングパッド422は、熱伝導性バイア426によってベースと熱的に連絡した状態で接続される。20の青色(450nm〜480nm)発光LEDチップ412が、それぞれの凹み410のフロア上、銀製マウンティングパッド422と直接熱的に連絡した状態でマウントされている。青色LED412は、たとえば、InGaN(窒化インジウムガリウム)系チップ、たとえばEpstar Corporation(登録商標)のES-CABLV24B H9チップを含むことができる。そのようなLEDマルチチップは一般的に、450nm、460nm又は470nmの主発光波長及び95mW〜110mWの放射光束を有する。
【0042】
デバイスはさらに、それぞれの凹み410内に銀製マウンティングパッド422と直接熱的に連絡した状態でマウントされた五つの赤色(600nm〜700nm)発光LEDチップ414を含む。赤色LED414は、たとえば、AlGaInP(リン化アルミニウムガリウムインジウム)系LEDチップ、たとえばEpstar Corporation(登録商標)のES-LASOPH24を含むことができる。そのようなLEDチップは一般的に、615nmの主発光波長及び10lm〜17lmの放射光束を有する。図示するように、五つの赤色LEDチップ414は、アレイの中心位置及び中心の凹みを包囲する正方形(3行×3列)の四角それぞれに位置した凹み410の中に位置している。
【0043】
LEDチップ412、414は回路層406によって電気的に接続されている。
【0044】
駆動回路
以下、図5a〜5yを参照しながら本発明のデバイスを作動させるための例示的駆動回路を説明する。各駆動回路は、デバイスの動作温度範囲にわたってデバイスの発光結果光における赤色対青色光の比の変動を最小化するために、赤色及び/又は青色LEDチップの少なくとも一つ動作温度Tに関連するパラメータに対応して、赤色及び/又は青色LEDチップの少なくとも一つの駆動パワーを制御するように動作可能である。駆動回路は、その複雑さに依存して、デバイスパッケージ内に収容されることもできるし、デバイスを作動させるために使用される電源の一部として組み込まれることもできる。
【0045】
記載されるように、LEDチップの駆動構成に依存して、駆動パワーは、赤色及び/又は青色LEDチップの順方向駆動電流iF、順方向駆動電圧VF、又は、両方の組み合わせを制御することによって制御することができる。初期試験は、適切な回路構成を用いると、本発明の発光デバイスが、50℃の動作温度の変化(ΔT=50℃)の場合でCRI及びCCTが10%未満又は5%未満の変動しか有しない発光結果光を生成することができることを示す。記載される実施形態において、LEDチップ駆動電流を制御するために使用されるパラメータは、赤色及び/又は青色LEDチップの動作温度又はLEDチップ動作温度に関連するLEDチップの順方向駆動電圧VFを含むことができる。
【0046】
周知のように、LEDは、定電圧又は定電流構成において駆動されることができる。まず、本質的に定電圧構成である駆動回路を説明する。
【0047】
定電圧駆動回路
LEDチップが定駆動電圧Vによって駆動される駆動回路においては、LEDの順方向駆動電流iF及び/又は駆動電圧VFを制御して、デバイスの動作温度範囲にわたってデバイスの発光結果光における赤色対青色光の比の変動を最小化することができる。そのような回路構成においては、一方又は両方のLEDチップの温度を使用してLEDチップの順方向駆動電流及び/又は電圧を制御することができ、温度は、温度依存性抵抗器(サーミスタ)を使用して好都合に感知される。図5aは、定電圧源Vにより駆動される温度依存性抵抗器RTと直列に接続されたLEDを示す。そのような回路の場合、LEDの順方向駆動電圧VFは以下の関係式:
F=V−VRT=V−iFT
によって求められる。
【0048】
式中、Vは定駆動電圧であり、VRTは温度依存性抵抗器をはさんでの電圧降下であり、RTは温度依存性抵抗器の抵抗値である。周知のように、温度依存性抵抗器の抵抗値は以下:
T=R0(1+K(T−T0))
によって求められる。
【0049】
式中、Tは温度であり、Kは温度依存性抵抗器の温度係数である。LEDの実効抵抗値(VF/iF)は温度の非線形関数であり、温度の上昇とともに減少する。その結果、負の温度係数(NTC、すなわち、温度上昇とともに電気抵抗値が減少する)を有する温度依存性抵抗器と直列に接続されたLEDの場合、温度上昇とともに全抵抗値(RT+VF/iF)が減少する。LEDは定電圧源Vにより駆動されるため、温度上昇とともに順方向駆動電流iFは増大する。そのような回路構成の場合、LEDの順方向駆動電流iF及び順方向駆動電圧VFは、温度とともに以下の関係式:
【数1】


にしたがって変化する。
【0050】
式中、
【数2】


は、温度とともに起こる順方向駆動電圧の変化であり、
【数3】


は、順方向駆動電流とともに起こるLED順方向駆動電圧の変化である。
【数4】


及び
【数5】


の値は、定電圧源(すなわち、サーミスタなしの)により駆動されるLEDの、計測された、順方向駆動電圧VF対温度T、及び、順方向駆動電圧VF対順方向駆動電流iFの特性から経験的に決定することができる。その結果、異なる温度における順方向駆動電流iFの変化を計算することができる。図5bは、40mA、160mA、350mA及び400mAの駆動電流iFの場合の動作温度範囲25℃〜75℃(ΔT=50℃)にわたっての順方向駆動電流の変化率(ΔiF/iF)対サーミスタ抵抗値RTのプロットである。図5bにおいて、LEDは、350mAの標準電流定格を有するEpstar Corporation(登録商標)ES-LASOPH42赤色LEDチップであり、サーミスタは25℃で10Ωの抵抗値及びNTC(負の温度係数)K=−0.0038/℃を有する。図5bから見てとれるように、50℃の温度変動(ΔT=50℃)にわたっての順方向駆動電流の変化率ΔiF/iFはサーミスタ抵抗値RT及びLEDの順方向電流の関数である。抵抗値RT≧10Ωのサーミスタの場合、温度変動ΔT=50℃にわたって≒16%の電流変化(調節)を達成することができる。
【0051】
図5c及び5dに示すように、より高い抵抗値のサーミスタは、順方向電流をより多くの量だけ調節する能力を有するが、全パワーのより多くの割合を散逸(消費)する。たとえば、25℃では、350mA又は400mAの順方向駆動電流で駆動されるLEDの場合、全パワーの約65%がサーミスタによって散逸される。その結果、これら二つの効果(電流調節の量対サーミスタパワー消費)の間でバランスをとらなければならない。たとえば、LEDチップが、5Ω(25℃で)サーミスタを使用して40mAの駆動電流で駆動されるならば、全パワーの最大10%がサーミスタによって散逸され、電流iFは15%まで調節することができる。160mAの駆動電流で駆動され、2.2Ωサーミスタによって駆動されるLEDの場合、全パワーの最大15%がサーミスタによって消費され、電流iFは13%まで調節することができる。1.1Ωサーミスタを使用して350mAの駆動電流の場合、サーミスタは全パワーの15%までを散逸し、電流iFは11%まで調節することができる。サーミスタの抵抗値及びその温度係数は、LEDチップのタイプ、LEDチップの温度特性及びLEDチップの相互接続(直列、並列又はそれらの組み合わせ)にしたがって選択されるということが理解されよう。好ましい解決手段において、RTの値は、サーミスタが全パワーの15%未満しか散逸せず、それでもなお、>10%の電流調節(補償)が提供されるように選択される。
【0052】
図5eは、デバイス500の赤色LEDチップ514がNTCサーミスタ532と直列に接続され、定電圧源VRから動かされるが、青色LEDチップ512は定電圧源VBから直接駆動される第一の駆動回路530である。上記のように、サーミスタ532の抵抗値は温度に依存し、赤色及び/又は青色LEDチップの動作温度に依存して赤色LEDチップの順方向駆動電流iFRを制御するように動作可能である。たとえば、発光デバイス200、300(図2及び3)において、サーミスタ532は、パッケージの凹み210、310の中に、銅基板204、304と熱的に連絡した状態でマウントされることができる。そのような態様において、サーミスタ532は、赤色及び青色LEDチップの動作温度に関連する基板の温度Tを感知する。発光デバイス400(図4)において、サーミスタ532は、青色又は赤色LEDチップに対応する銀製マウンティングパッド422と熱的に連絡した状態でマウントされることもできるし、熱伝導性ベース424と熱的に連絡した状態でマウントされることもできる。
【0053】
上記のように、動作温度の上昇とともに、赤色発光LEDによって発光される光の強度は一般的に、青色発光LEDによって発光される光の強度よりもずっと速く低下する(図1a)。図5eの回路構成において、サーミスタ532は負の温度係数を有し、サーミスタの抵抗値及び温度係数は、赤色及び青色LED発光強度/温度特性の間の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。動作中、LEDチップ512、514の温度が上昇すると、サーミスタ532の抵抗値は減少して、赤色LEDチップ514の順方向駆動電流iFRの増大を生じさせる。順方向駆動電流iFRの変化は赤色LEDチップの発光強度の増大を生じさせる。回路530は、デバイスの動作温度範囲にわたって発光結果光における赤色対青色の寄与の比の変動を最小化し、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。理想的には、回路は、発光結果光における赤色及び青色光の相対的寄与を動作温度範囲にわたって一定に維持するように構成されるであろう。デバイスの動作温度範囲にわたって、発光結果光における赤色及び青色光寄与の比を一定に維持するのに十分なほどLEDの電流を制御することは現実的とはいえないため、実際には、回路は、動作温度範囲の相対的寄与の変動が選択値未満、20%以下、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、理想的には1%以下であることを保証するように構成される。回路は、温度上昇に伴う青色LEDチップの発光強度の低下を補償しないため、より高い動作温度においてはデバイスの全発光強度はより低くなる。
【0054】
図5fに示す代替駆動回路534において、サーミスタ536は、青色LEDチップ512と直列に接続され、定電圧源VBから動かされることができるが、赤色LEDチップは定電圧源VRにより駆動されることができる。サーミスタ536は、赤色及び/又は青色LEDチップの動作温度を計測するように動作可能である。回路構成534において、サーミスタ536は、好ましくは、正の温度係数を有し(すなわち、温度上昇とともに電気抵抗値が増大する)、サーミスタは、赤色及び青色LED発光強度/温度特性の間の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。動作中、LEDチップ512、514の温度が上昇すると、サーミスタ536の抵抗値RTが増大して、全抵抗値(RT+VF/iF)の増大及び青色LEDチップ512の順方向駆動電流iFBの減少が生じる。順方向駆動電流の減少は青色LEDチップの発光強度の低下を生じさせる。回路534は、デバイスの動作温度範囲にわたって赤色及び青色LEDチップからの発光の比(相対的寄与)の変動が選択値未満になり、それによってデバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。しかし、CCT及び/又はCRIの変動は最小化されるが、回路は赤色LEDチップの発光強度の低下を補償しないため、動作温度の上昇とともにデバイスの全発光強度が低下するということが理解されよう。
【0055】
図5gは、それぞれのサーミスタ532、536が赤色及び青色LEDチップと直列に接続され、赤色及び青色LEDチップの順方向駆動電流を独立して制御するために使用される駆動回路538を示す。駆動回路538は、回路530(図5e)及び534(図5f)の組み合わせである。各サーミスタ532、536は、それぞれのLEDチップ群の動作温度を感知するように動作可能であることもできるし、赤色及び青色LEDチップの動作温度を計測するように動作可能であることもできる。
【0056】
駆動回路538の一つの態様において、サーミスタ532はNTCデバイスであり、サーミスタ536はPTCデバイスである。このような構成を用いると、動作温度の上昇は赤色LEDチップの順方向駆動電流iFRの増大及び青色LEDチップの順方向駆動電流iFBの減少を生じさせる。順方向駆動電流の変化の正味の効果は、赤色及び青色LEDチップからの発光の比の変化を減らし、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らす。CCT及び/又はCRIは実質的に一定のままであるが、青色LEDチップから発光の減少のせいで全発光強度は低下する。上記(図5a)のように、初期の結果は、直列に接続されたサーミスタが、温度範囲25℃〜75℃(ΔT=50℃)で約15%〜20%の順方向駆動電流の最大変化を可能にすることを示す。この温度範囲にわたり、赤色LEDの発光強度は40%低下するが、青色LEDチップの発光強度は約5%しか低下せず(図1a)、これは、約47%の赤色対青色光の比の変動に等しい。温度上昇とともに青色LEDチップの発光強度を低下させ、赤色LEDチップの発光強度を増大させるように回路を構成することにより、所与の動作温度範囲にわたって駆動電流の全最大変化を増大させることができる。たとえば、そのような構成は、25℃〜75℃の動作温度範囲にわたって約30%〜40%の全最大駆動変化が可能であり、それにより、赤色対青色光の比の変動を約7%の変動にまで最小化することを可能にすると考えられる。
【0057】
駆動回路538の代替態様においては、両方のサーミスタ532、536がNTCデバイスであることができ、それぞれのLED発光/温度特性に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。そのような構成を用いると、動作温度の上昇は、赤色LED及び青色LEDチップ両方の順方向駆動電流の増大を生じさせる。そのような回路構成は発光強度の変化をさらに減らすことができるが、同じ動作温度範囲にわたってCRI及びCCTの変動はより大きくなることがある。
【0058】
図5hは、赤色LEDチップ514の順方向駆動電流iFRがLEDチップ温度に依存して制御され、青色LEDチップ512が定電圧源により駆動されるさらなる駆動回路540を示す。この構成540において、赤色LEDチップ514は抵抗値RTPのPTCサーミスタ542と並列に接続され、その並列の組み合わせが抵抗値RTSのNTCサーミスタ532と直列に接続され、定電圧源VRから動かされる。青色LEDチップ512は定電圧源VBから直接駆動される。動作中、LEDチップ512、514の温度が上昇すると、サーミスタ532の抵抗値が減少し、サーミスタ542の抵抗値が増大して、赤色LEDチップ514の順方向駆動電流iFRの増大を生じさせる。順方向駆動電流は以下の関係式:
【数6】


によって求められる。
【0059】
式中、VFRは赤色LEDチップの順方向駆動電圧であり、RTSはサーミスタ532の抵抗値であり、関係式RTS=R0S(1+Ks(T−T0))によって求められ、RTPはサーミスタ542の抵抗値であり、関係式RTP=R0P(1+KP(T−T0))によって求められる。温度に伴う順方向駆動電流iFRの変化は以下の関係式:
【数7】


によって求められる。
【0060】
サーミスタ532、542が全パワーのあまりに多くを消費しない(好ましくは≦15%)ことを保証するため、
TS<<VFR/iFR<<RTPであり、
0S/RTS≒R0P/RTPであり、
【数8】


であり、この式は以下:
【数9】


のように簡約することができる。
【0061】
順方向駆動電流iFRの変化(増大)は赤色LEDチップ514の発光強度の増大を生じさせる。回路540は、動作温度範囲にわたって赤色及び青色LEDチップからの発光の比(相対的寄与)の変動が選択範囲内であることを保証して、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。二つのサーミスタ532、542の使用は、所与の温度変化の場合に順方向駆動電流のより大きな変化を可能にする。
【0062】
図5iに示す代替駆動回路544において、青色LEDチップ512の順方向駆動電流iFBはLEDチップ温度に依存して制御され、赤色LEDチップ514は定電圧源により駆動される。この回路構成544において、青色LEDチップ512はNTCサーミスタ546(抵抗値RTP)と並列に接続され、その並列の組み合わせがPTCサーミスタ536(抵抗値RTS)と直列に接続され、定電圧源VBから動かされる。赤色LEDチップ514は定電圧源VRから直接駆動される。動作中、LEDチップ512、514の温度が上昇すると、サーミスタ536の抵抗値が増大し、サーミスタ546の抵抗値が減少して、青色LEDチップ512の順方向駆動電流iFBの減少を生じさせる。順方向駆動電流iFBの減少は青色LEDチップ512の発光強度の低下を生じさせる。回路544は、デバイスの動作温度範囲にわたって発光結果光における赤色及び青色光の相対的寄与を実質的に一定に維持し、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。回路構成534(図5f)と同様に、CCT及び/又はCRIは実質的に一定のままであるが、全発光強度は温度上昇とともに低下する。
【0063】
図5jは、赤色及び青色LEDチップの順方向駆動電流iFR、iFBがLEDチップ温度に依存して独立して制御される駆動回路548を示す。回路548は、赤色及び青色LEDチップそれぞれがそれぞれのサーミスタ542、546と並列に接続され、その並列の組み合わせがそれぞれのサーミスタ532、536と直列に接続されている駆動回路540(図5h)及び544(図5i)の組み合わせである。サーミスタ532、542及び536、546の各対は、それぞれのLEDチップ群の動作温度を感知するように動作可能であることもできるし、赤色及び青色LEDチップの動作温度を計測するように動作可能であることもできる。
【0064】
一つの駆動回路548構成において、サーミスタ532、546はNTCデバイスであることができ、サーミスタ536、542はPTCデバイスであることができる。そのような構成を用いると、動作温度の上昇は、赤色LEDチップの順方向駆動電流iFRの増大及び青色LEDチップの順方向駆動電流iFBの減少を生じさせる。順方向駆動電流iFR、iFBの変化の正味の効果は、赤色及び青色LEDチップからの発光の比の変動を減らし、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らす。CCT及び/又はCRIは実質的に一定にとどまることができるが、青色LEDチップからの発光の減少のせいで全発光強度は低下する。サーミスタは、赤色及び青色LEDチップの発光強度/温度特性の間の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択されることができる。
【0065】
さらなる駆動回路548構成において、サーミスタ532、536はNTCデバイスであることができ、サーミスタ542、546はPTCデバイスであることができる。そのような構成を用いると、動作温度の上昇は、赤色及び青色LEDチップ514、512両方の順方向駆動電流iFR、iFBの増大を生じさせる。サーミスタは、それぞれのLEDの発光強度/温度特性に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択されることができる。
【0066】
定電流駆動回路
多くの場合、一定の発光強度を維持するためには、定電流構成においてLEDを駆動することが好ましい。図5k〜5pは、定電流源により駆動される様々な駆動回路構成を示す。
【0067】
図5kに示すような第一のそのような駆動回路550において、赤色LEDチップ514はPTC(正の温度係数)サーミスタ532と並列に接続され、定電流源552の電流IRから動かされるが、青色LEDチップ512は定電流源554の電流IBから直接駆動される。並列のサーミスタ/LED532/514構成は、動作中、温度の上昇がサーミスタの抵抗値を増大させ、それが、赤色LEDチップを含むアームを通過して流れる電流IRのより高い割合及び赤色LEDチップの順方向駆動電流iFRの増大を生じさせるような電流分割器として働く。赤色LEDチップの順方向駆動電圧VFRが一定であると仮定すると、順方向駆動電流は以下の関係式:
【数10】


によって求められる。
【0068】
式中、RTはサーミスタ532の抵抗値であり、関係式RT=R0(1+K(T−T0))によって求められる。温度とともに起こる順方向駆動電流iFRの変化は以下の関係式:
【数11】


によって求められる。
【0069】
図5kの駆動回路構成550において、サーミスタ532は、赤色及び青色LED発光強度/温度特性の間の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される抵抗値及び温度係数を有する。回路550は、動作温度範囲にわたって発光結果光における赤色及び青色光の比(相対的寄与)の変動を最小化し、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。
【0070】
図5lに示すように、代替駆動回路556において、青色LEDチップ512はNTCサーミスタ536と並列に接続され、定電流源554 IBから動かされるが、赤色LEDチップ514は定電流源552 IRから直接駆動される。動作中、温度の上昇がサーミスタ536の抵抗値を減少させ、それが、青色LEDチップを含むアームを通過して流れる電流IBのより低い割合及び青色LEDチップの順方向駆動電流iFBの減少を生じさせる。順方向駆動電流の減少は青色LEDチップの発光強度の低下を生じさせる。サーミスタ532は、赤色及び青色LED発光強度/温度特性の間の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択された抵抗値及び温度係数を有する。回路556は、デバイスの動作温度範囲にわたって発光結果光における赤色及び青色光の比の変動を最小化し、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。CCT及び/又はCRIは実質的に一定のままであるが、青色LEDチップの発光強度の低下のせいでデバイスの全発光強度は低下するということが理解されよう。
【0071】
図5mは、それぞれのサーミスタ532、536が赤色及び青色LEDチップと並列に接続され、赤色及び青色LEDチップの順方向駆動電流iFR、iFBを独立して制御するために使用される駆動回路558を示す。駆動回路558は、回路550(図5k)及び556(図5l)の組み合わせである。一つのそのような回路構成において、サーミスタ532はPTCデバイスであり、サーミスタ536はNTCデバイスである。代替構成において、両方のサーミスタ532、536はPTCデバイスであり、それぞれのLED発光強度/温度特性に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。
【0072】
図5nは、青色LEDチップ512及び赤色LEDチップが並列に接続され、一つの定電流源562から動かされる駆動回路560である。サーミスタ532が、赤色LEDチップ514を含む回路のアームに直列に接続され、赤色及び/又は青色LEDチップの動作温度に依存して赤色及び青色LEDチップの相対的駆動電流を制御するように動作可能である。図5nの回路構成において、サーミスタ532は負の温度係数を有し、赤色及び青色LEDチップ発光強度/温度特性の間の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。動作中、LEDチップ512、514の温度が上昇すると、サーミスタ532の抵抗値が減少して、赤色LEDチップ514の順方向駆動電流iFRの増大及び青色LEDチップ512の順方向駆動電流iFBの対応する減少を生じさせる。順方向駆動電流の相対的変化は、赤色LEDチップの発光強度の増大及び青色LEDチップの発光強度の低下を生じさせる。回路560は、赤色及び青色チップからの発光の相対的寄与(比)の変動を最小化し、それにより、デバイス500によって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。
【0073】
図5oに示すように、代替駆動回路564において、サーミスタ536は、青色LEDチップ512を含む回路のアームに接続することができる。サーミスタ536は、赤色及び/又は青色LEDチップの動作温度を計測するように動作可能である。回路構成564において、サーミスタ536は正の温度係数を有し、赤色及び青色LED発光/温度特性の間の差に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。動作中、LEDチップ512、514の温度が上昇すると、サーミスタ536の抵抗値が増大して、青色LEDチップ512の順方向駆動電流iFBの減少及び赤色LEDチップ514の順方向駆動電流iFRの対応する増大を生じさせる。順方向駆動電流の変化は、赤色LEDチップの発光強度の増大及び青色LEDチップの発光強度の低下を生じさせる。回路564は、デバイスの動作温度範囲にわたって発光結果光における赤色及び青色光寄与の相対的寄与の変動を最小化し、それにより、デバイスによって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすように構成されている。
【0074】
図5pは、それぞれのサーミスタ532、536が、赤色及び青色LEDチップ514、512の順方向電流iFR、iFBを制御するために使用される駆動回路566を示す。各サーミスタ532、536は、それぞれLEDチップ群の動作温度を感知するように動作可能であることもできるし、赤色及び青色LEDチップの動作温度を計測するように動作可能であることもできる。そのような回路構成566において、サーミスタ532はNTCデバイスであり、サーミスタ536はPTCデバイスである。もう一つの回路構成566においては、両方のサーミスタ532、536がNTCデバイスであり、それぞれのLED発光強度/温度特性に関連する抵抗値/温度特性を有するように選択される。
【0075】
制御可能電流駆動回路
図5q、5r及び5t〜5xは、制御可能電流源に基づく様々な駆動回路を示す。図5qは、青色LEDチップ512が定電流源554から直接駆動され、赤色LEDチップ514が、LEDチップ動作温度の変化を補償するために電流が制御可能である制御可能電流源570により駆動される駆動回路568を示す。サーミスタ536が一つ以上の抵抗器572と直列に接続されて、サーミスタ536の温度Tに関連する電圧VTを発生させるために分圧構造を形成している。図5qに示すように、サーミスタ536は接地され、温度上昇とともに電圧VTが上昇するようなPTCデバイスである。電圧VTは、電圧比較器574又は同様なデバイスを使用して基準電圧VTREFと比較される。一般的に、基準電圧VTREFは、LEDチップの正常な動作温度を表すように選択される。比較器574は、電圧VT及びVTREFの間の差に関連し、ひいては実際の動作温度と正常な動作温度との差に関連する出力電圧VCTRLを生成する。制御電圧VCTRLは、制御可能電流源570及び赤色LEDチップ514の順方向駆動電流iFRを制御するために使用される。温度とともに起こる赤色LEDチップ514の発光強度の変動は青色LEDチップ512のそれよりも大きいため、デバイスのCCT及び/又はCRIの変動を最小化するためには赤色LEDチップの順方向駆動電流を制御するだけでよい。しかし、他の回路構成においては、代わりに青色LEDチップの順方向駆動電流iFBを制御すること、又は赤色及び青色LEDチップの順方向駆動電流を独立して制御することが考えられる。後者の場合、サーミスタ532、536は、LEDチップのそれぞれの色の温度を計測する、又は赤色及び青色LEDチップの温度を計測するように構成されることができる。
【0076】
図5rに示すさらなる駆動回路576においては、A/D(アナログ/デジタル)変換器578を使用して、LEDチップの動作温度に対応する電圧VTをデジタル値に変換することができ、そのデジタル値を制御装置580が使用して制御可能電流源570を制御することができる。回路576はさらに、デバイス500によって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を最小化するのに適切な順方向駆動電流を決定するために制御装置580がアクセスすることができるルックアップ表582を含むことができる。この構成は、LED発光強度/温度特性の非線形性を考慮することができる値を含むルックアップ表を使用するため、駆動回路576は、デバイスの発光結果光の潜在的に非常に正確な制御を提供する。
【0077】
これまで説明した駆動回路530、534、538、540、544、548、550、556、558、560、564、566、568及び576のそれぞれにおいて、LEDチップの動作温度Tは、感温抵抗性デバイス(サーミスタ)を使用して計測されてきた。LEDが定電流構成において動かされるとき、順方向駆動電圧VFはLEDの動作温度に関連し(図5s)、本発明者らは、LED順方向駆動電圧VFをLED動作温度の指標として使用してLEDの動作を制御することができることを認識した。図5t〜5xの回路構成584、586、592、594及び598は、そのようなやり方で作動し、LEDチップ温度を計測する必要を除く。順方向駆動電圧をLED温度の指標として使用するさらなる利点は、制御回路のすべてを発光デバイスから離して配置することができることである。
【0078】
図5tの駆動回路584において、青色LEDチップ512は定電流源554により駆動され、赤色LEDチップ514は、LEDチップ動作温度の変化を補償するために電流が赤色LEDチップの順方向駆動電圧VFRに依存して制御可能である制御可能電流源570により駆動される。順方向駆動電圧VFRは、電圧比較器574又は同様なデバイスを使用して基準電圧VVREFRと比較される。一般的に、基準電圧VVREFRは、LEDチップの正常な動作温度における順方向駆動電圧を表すように選択される。比較器574は、電圧VFR及びVVREFRの間の差に関連し、ひいては実際の動作温度と正常な動作温度との差に関連する出力電圧VCTRLを生成する。制御電圧VCTRLは、制御可能電流源570及び赤色LEDチップ514の順方向駆動電流iFRを制御するために使用される。
【0079】
図5uは、赤色LEDチップ514が定電流源552により駆動され、青色LEDチップ512が、LEDチップ動作温度の変化を補償するために電流が青色LEDチップの順方向駆動電圧VFBに依存して制御可能である制御可能電流源588により駆動される駆動回路586を示す。順方向駆動電圧VFBは、電圧比較器590又は同様なデバイスを使用して基準電圧VVREFBと比較される。一般的に、基準電圧VVREFBは、LEDチップの正常な動作温度における順方向駆動電圧を表すように選択される。比較器590は、電圧VFB及びVVREFBの間の差に関連し、ひいては実際の動作温度と正常な動作温度との差に関連する出力電圧VCTRLを生成する。制御電圧VCTRLは、制御可能電流源588及び青色LEDチップ512の順方向駆動電流iFBを制御するために使用される。
【0080】
図5vは、赤色及び青色LEDチップ512、514が、LEDチップ動作温度の変化を補償するために電流が赤色及び青色LEDチップの順方向駆動電圧VFR、VFBに依存して制御可能であるそれぞれの制御可能電流源570、588により駆動される駆動回路592を示す。駆動回路592は駆動回路584(図5t)及び586(図5u)の組み合わせであり、同様なやり方で作動する。
【0081】
図5wは、青色LEDチップ512が定電流源554により駆動され、赤色LEDチップ514が、LEDチップ動作温度の変化を補償するために電流がLEDチップ512、514の順方向駆動電圧の差VFB−VFRに依存して制御可能である制御可能電流源570により駆動される駆動回路594を示す。赤色及び青色チップの順方向駆動電圧VFR、VFBは、順方向駆動電圧の間の差VCTRL=VFB−VFRに関連し、ひいては青色LEDチップの発光強度と比較された赤色LEDチップの発光強度の相対的低下(すなわち発光強度の比の変化)に関連する出力電圧を生成する電圧比較器596又は同様なデバイスによって比較される。
【0082】
図5xは、電流源を制御するために使用される順方向駆動電圧VFB及びVFRがデバイスの正常な動作温度Tnにおいて等しくなるように正規化されるように構成されていることを除き、駆動回路594に類似している駆動回路598である。抵抗器R1 600及びR2 602を含む分圧器構成は、通常の動作温度Tnにおいて、青色LEDチップの正規化順方向駆動電圧VFBNが赤色LEDチップの順方向駆動電圧VFRに等しくなり、以下の関係式:
【数12】


によって求められるように構成されている。
【0083】
このような回路構成は、制御電圧VCTRL=VFBN−VFRが正常な動作温度Tnにおいてゼロであることを保証する。図5yは、制御電圧VFBN−VFR対LED動作温度のプロットである。制御電圧VCTRLは、制御可能電流源570及び赤色LEDチップの順方向駆動電流iFRを制御して、それにより、赤色及び青色LEDチップからの発光の相対的寄与を実質的に一定に維持して、それにより、デバイス500によって発光される光のCCT及び/又はCRIの変動を減らすために使用される。
【0084】
図5e〜5g、5k〜5r及び5t〜5xの駆動回路それぞれにおいて、発光デバイス500は破線の囲みによって示され、少なくとも一つの青色LEDチップ512及び少なくとも一つの赤色LEDチップ514を含む。本発明の発光デバイスは、前記駆動回路の一部又は全部を含むということが考えられる。そのうえ、前記駆動回路は単に例示的であり、本発明を具現化する他の回路構成が当業者には明らかになるということが理解されよう。
【0085】
本発明の発光デバイス及び駆動回路は単に例示的であり、前記特定の実施形態には限定されず、本発明の範囲内である変更を加えることができる。たとえば、本発明のデバイスは、青色又はUV光を発光する他のLED、たとえば炭化ケイ素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウム(AlN)又は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系のLEDチップを含むことができる。
【0086】
また、蛍光体材料をレンズに配合する代わりとして、蛍光体材料を一つ以上の層の形態でレンズの面、一般的には平面に提供することが考えられる。そのような態様においては、一般的には粉末形態にある蛍光体材料が、バインダ材料、たとえばNAZDARのクリアスクリーンインク9700と混合され、その混合物がレンズの表面にスクリーン印刷されて均一な厚さの層を形成する。蛍光体は、他の被着方法、たとえば吹き付け、インクジェット印刷によって、又は粉末状の蛍光体を光透過性バインダ材料、たとえばエポキシ又はシリコーンと混合し、その蛍光体/ポリマー混合物をドクターブレーディング、スピンコーティングなどによって塗布することによって適用することもできるということが理解されよう。蛍光体材料を保護するために、レンズは、好ましくは、蛍光体層が凹みに対面する状態でマウントされる。一般的に、被着材料中の光透過性バインダに対する蛍光体材料の配合量は10%〜30%であるが、所望の発光結果光及びパッケージ設計に依存して1%〜99%の範囲であることができる。単位面積あたり十分な密度、たとえば0.02〜0.04g/cm2の蛍光体材料を被着させるためには、印刷スクリーンのメッシュサイズに依存する回数で多数回の印刷パスを実施する必要があるかもしれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
400nm〜480nmの範囲に主波長を有する青色光を生成するように動作可能な少なくとも一つの青色半導体発光体、
前記青色光の一部分を吸収し、490nm〜590nmの範囲に主波長を有する光を発光するように動作可能な少なくとも一つの蛍光体材料、及び
600nm〜700nmの範囲に主波長を有する赤色光を生成するように動作可能な少なくとも一つの赤色半導体発光体、
を含み、デバイスの発光結果光が、前記青色及び赤色発光体によって生成された光と、前記少なくとも一つの蛍光体材料によって生成された光と、の組み合わせを含んで、白色に見え、
前記発光結果光における赤色光対青色光の比の変動を、少なくとも25℃である動作温度範囲にわたって、前記変動が、20%未満になるように補償する、ように動作可能な駆動回路
を含む白色発光デバイス。
【請求項2】
前記駆動回路が、動作中、前記動作温度範囲にわたって、前記変動が、10%未満、5%未満及び1%未満からなる群より選択される、ように構成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記駆動回路が、少なくとも25℃である動作温度範囲、少なくとも50℃である動作温度範囲及び少なくとも100℃である動作温度範囲、からなる群より選択される動作温度範囲にわたっての動作用に構成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記発光結果光が、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90及び少なくとも95からなる群より選択される演色評価指数を有する、ように構成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
前記駆動回路が、前記青色及び赤色発光体の少なくとも一つの動作温度に関連するパラメータに対応して、前記赤色及び青色発光体の少なくとも一つのパワーを制御するように動作可能である、請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
前記パラメータが、前記青色及び赤色発光体の少なくとも一つの温度を含む、請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
前記赤色、及び/又は、青色発光体の温度を感知するためのセンサをさらに含む、請求項6記載のデバイス。
【請求項8】
前記青色及び赤色発光体が、熱伝導性基板と熱的に連絡した状態でマウントされ、前記センサが前記基板の温度を感知する、ように構成されている、請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
前記青色及び赤色発光体の温度を感知するためのそれぞれのセンサを含む、請求項6記載のデバイス。
【請求項10】
前記センサが、温度依存性抵抗器を含む、請求項7記載のデバイス。
【請求項11】
前記青色及び赤色発光体の少なくとも一つが、前記温度依存性抵抗器と直列に接続され、前記発光体が定電圧源から動作可能である、請求項7記載のデバイス。
【請求項12】
前記温度依存性抵抗器が、負の温度係数を有し、前記少なくとも一つの赤色発光体と直列に接続されている、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
前記温度依存性抵抗器が、正の温度係数を有し、前記少なくとも一つの青色発光体と直列に接続されている、請求項11記載のデバイス。
【請求項14】
前記青色及び赤色発光体が、それぞれの温度依存性抵抗器と直列に接続されている、請求項11記載のデバイス。
【請求項15】
前記青色及び赤色発光体の少なくとも一つが、前記温度依存性抵抗器と並列に接続され、前記発光体が定電流源から動作可能である、請求項7記載のデバイス。
【請求項16】
前記温度依存性抵抗器が、正の温度係数を有し、前記少なくとも一つの赤色発光体と並列に接続されている、請求項15記載のデバイス。
【請求項17】
前記温度依存性抵抗器が、負の温度係数を有し、前記少なくとも一つの青色発光体と並列に接続されている、請求項15記載のデバイス。
【請求項18】
前記青色及び赤色発光体が、それぞれの温度依存性抵抗器と並列に接続されている、請求項15記載のデバイス。
【請求項19】
前記青色及び赤色発光体が、並列に接続され、定電流源により駆動され、前記温度依存性抵抗器が負の温度係数を有し、前記少なくとも一つの赤色発光体と直列に接続され、動作中、温度上昇とともに前記少なくとも一つの赤色発光体の駆動電流が、前記少なくとも一つの青色発光体の駆動電流に対して増大する、ように構成されている、請求項10記載のデバイス。
【請求項20】
前記青色及び赤色発光体が、並列に接続され、定電流源により駆動され、前記温度依存性抵抗器が正の温度係数を有し、前記少なくとも一つの青色発光体と直列に接続され、動作中、温度上昇とともに前記少なくとも一つの青色発光体の駆動電流が、前記少なくとも一つの赤色発光体の駆動電流に対して増大する、ように構成されている、請求項10記載のデバイス。
【請求項21】
前記青色及び赤色発光体が、並列に接続され、定電流源により駆動され、前記青色及び赤色発光体と直列に接続されたそれぞれの温度依存性抵抗器を含む、請求項10記載のデバイス。
【請求項22】
前記駆動回路が、計測温度と基準温度との差に依存して、一方又は両方の発光体の駆動電流を制御する、ように動作可能である、請求項6記載のデバイス。
【請求項23】
前記駆動回路が、前記計測温度と前記基準温度とを比較するように動作可能な比較器を含む、請求項22記載のデバイス。
【請求項24】
前記パラメータが、前記青色及び赤色発光体の少なくとも一つの順方向駆動電圧を含む、請求項1記載のデバイス。
【請求項25】
前記駆動回路が、駆動電圧と基準電圧との差に依存して、一方又は両方の発光体の駆動電流を制御する、ように動作可能である、請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
前記駆動回路が、前記計測電圧と前記基準温度とを比較するように動作可能な比較器を含む、請求項25記載のデバイス。
【請求項27】
前記駆動回路が、前記青色及び赤色発光体の順方向駆動電圧の差に依存して、前記駆動電流を制御する、ように動作可能である、請求項24記載のデバイス。
【請求項28】
前記少なくとも一つの蛍光体材料が、前記少なくとも一つの青色LEDから少なくとも5mmの距離だけ物理的に離間している、請求項1記載のデバイス。
【請求項29】
青色光を生成するように動作可能な少なくとも一つの青色LED、
前記青色光の一部分を吸収し、緑/黄色光を発光するように動作可能な少なくとも一つの蛍光体材料、及び
赤色光を生成するように動作可能な少なくとも一つの赤色LED
を含み、デバイスの発光結果光が、前記青色及び赤色光LEDによって生成された光と、前記少なくとも一つの蛍光体材料によって生成された緑/黄色光と、の組み合わせを含んで、白色に見え、
前記発光結果光における赤色対青色光の比の変動を、少なくとも25℃である動作温度範囲にわたって、前記変動が、20%未満になるように補償する、ように動作可能な駆動回路
を含む白色発光デバイス。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図5h】
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【図5i】
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【図5j】
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【図5k】
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【図5l】
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【図5m】
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【図5n】
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【図5o】
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【図5p】
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【図5q】
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【図5r】
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【図5s】
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【図5t】
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【図5u】
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【図5v】
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【図5w】
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【図5x】
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【図5y】
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【公表番号】特表2013−511846(P2013−511846A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539976(P2012−539976)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/056893
【国際公開番号】WO2011/062915
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(506358764)インテマティックス・コーポレーション (40)
【氏名又は名称原語表記】INTEMATIX CORPORATION
【Fターム(参考)】