説明

魚の寄生生物を駆除するための装置及び方法

魚の寄生生物、たとえば養魚場のサケのサケジラミを駆除するための装置であって、制御ユニット(51)と通信するカメラ(4)を含み、制御ユニット(51)は、同様に、問題となる寄生生物に有害な点形状の光パルスを点灯するように適合された光源(5)と、同様に通信する。制御ユニット(51)は、定義された座標系内での光学認識用システムを制御し、位置を検出して魚の表面上の寄生生物に典型的なコントラストの差異を呈する位置の座標をリアルタイムで更新し、検出された位置についての座標が、光源の照準点についての座標と一致する場合に、光源(5)からの光パルスを誘発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚の寄生生物、特に養殖魚のサケジラミを駆除するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サケジラミは、増えつつある問題であり、近年メディアで大きく注目されている。この問題は、これまでは主に養殖のサケに関連していた。現在の処置方法は、多くが飼料への化学物質又は添加物の使用に加えて、魚がフィッシュケージから案内され、その後処置が完了した後にきれいなフィッシュケージに案内されるようないくつかのタイプの機械的処置を包含している。化学物質及び飼料添加物は、かなり議論されており、シラミは用いられている化学物質に対して耐性を持つようになってきている。機械的な除去は、費用が高く時間がかかり、魚に望ましくないストレスを負わせる。
【0003】
養殖のサケが逃げ出すかあるいは天然のサケと接触するという事実に関連する特有の問題は、天然のサケもまた悪影響を受ける状況を作り出してきた。この問題は、大規模なサケ養殖を有する全ての国で明らかとなっている。
【0004】
したがって、穏やかな方法で、かつ化学物質に対する必要性を低減するような方法で処置が行われる新しい方法に対する要望がある。
【0005】
このように、本発明の目的は、たとえばサケジラミのような寄生生物による害を受けた魚群の効果的な処置を可能にする方法及び/又は装置を提供することである
【0006】
それほど高価ではなく、長期的には耐性に起因してその効果が損なわれる可能性がある化学物質を利用しない手段によって、前記の目的を達成することが課題である。
【発明の概要】
【0007】
上記で言及されたような目的は、本発明による、請求項1によって定義されるような装置によって達成される。
【0008】
別の態様では、本発明は、請求項11によって開示されるような方法を含む。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は、従属項によって開示される。
【0010】
以下において「動作ユニット」が述べられる場合、これは主に、本発明の装置を含む物理的機器の実際的な用語であることが強調されるべきである。用語「動作ユニット」は、本発明の定義の一部ではないため、さらなる厳密な定義を必要としない。通常、動作ユニットは、座標系が確立された画定された通路に加えて、カメラ、光源、及びこれらが装着された機器を包含する。
【0011】
本発明のコンポーネントを構成する自動的な光学認識のためのシステムは、数多くのオートメーション及びロボット工学の連結、たとえば、米国特許番号第6,763,283号及び米国特許第7,496,228号から周知である。
【0012】
動作ユニットによって、プロセスに含まれる動作を行うように用意されたユニットが理解される。加えて、本発明の装置は、非動作ユニット、たとえば海に浮かぶブイ、別個の浮遊体、所定のパターンに従って動いて魚を引き込むか又は追い込むための手段、及び実際の処置に関連しない他の周辺機器を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に含まれるユニットを概略的に示す。
【図2】本発明の装置の動作ユニットの図である。
【図3】図2に示された実施形態の変形である。
【図4】図2及び3に示されたものとは異なる動作ユニットの実施形態の図である。
【図5】本発明の動作ユニットのさらに別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、図によって明示される一定の実施形態の形で、以下にさらに詳細に説明される。
【0015】
図1は、本発明の装置の装置コンポーネントの概略図であり、カメラ4、レーザ5、制御ユニット(CPU)51に加えて、x座標用サーボコントローラ52aと対応するモータ52b、及びy座標用サーボコントローラ53aと対応するモータ53bの形を採っている必須ではない要素を含む。光は部分的に破線Lで図示され、一方で、他のユニット間の通信のための実線は、数字又は文字を伴わずに示される。
【0016】
図2は、本発明の動作ユニット1を示し、少なくとも一方の側に窓3を有する三角形のパイプ構造体2を含む。窓3の外には、画像認識システムに接続されたカメラ4が配置され、画像認識システムはそれ自体が、論理制御ユニット51(CPU)によって制御されたコンピュータソフトウェアとして周知である形式を有する。また、レーザユニット5の形式での光源があり、これは可撓性の光ケーブル6を介して、窓3に対して向けられた光オリフィス7から光パルスを放つことができる。光ケーブル6の光オリフィス7は、キャリッジ10に摺動可能に配置されたライダ9上のアーム8によって保持され、キャリッジ10は次に、窓3に沿ってレール11上を摺動することができる。制御ユニット51は、カメラ4から情報を受信し、キャリッジ10に制御用パルスを送信する。制御ユニットは、窓3に沿ったx軸と、窓3を横断するNY軸とを有する座標系を定めることができる。この座標系内の任意の点は、キャリッジ10を所望のx座標に向けて動かすことによって、また光オリフィスが所望のy座標に位置付けられるようにライダ9を動かすことによって、光オリフィス7によって到達されることができる。
【0017】
カメラ4及び制御ユニット51はともに、一方の側から入ってくる魚を特定し、所望の精度でその速度を測定することができる。CPUは、この情報に基づいて、ソフトウェア及びオプションで魚が動いている速さに依存して、魚の又は魚の寄生生物が観察される実際の場所の、直前又はすぐ近傍に、キャリッジをセットすることができる。加えて、魚がパイプシステム2を通って動くことにより速度を低減するような方策が取られてもよい。
【0018】
カメラ及びCPUは、魚の表面の画像をカメラに面している魚の部分に限定して、魚の寄生生物を示すコントラスト等による点又は領域があるか否かに関して分析する。寄生生物が魚に存在するとCPUが判断した場合、光オリフィスは、それに応じて高精度に調整され、レーザユニット5は、寄生生物に向かって一定の強度及び期間の光パルスを点灯して、死滅させるか又は無力にする。このことは、速度を落としているか、又は魚がパイプシステムを通って動く速さにほぼ対応する速さで動いているキャリッジによって行うことができる。
【0019】
魚における所望の場所に向けた光オリフィスの正確な位置付けは、実際には異なる方法で達成されることができる。第1の工程は、魚が動く速さから、特定の時点における位置の正確なx−y座標を見いだし、その後の予測される魚の新しい座標の一組を算出し、光オリフィスを同一時点内で算出された座標に導くことであることができる。光オリフィスの座標と観測された寄生生物の座標との間にずれがある場合、同じ原理に従って新しい計算がなされ、続いて、光オリフィスの座標と寄生生物のリアルタイムの観測とが一致するまで、キャリッジ及びライダを新たに調整する。その時点で、CPUは、レーザユニット5に信号を送り、所望の強度及び期間の光パルスを生成させる。
【0020】
数多くの離散測定を用いることに加えて、二組の座標間の適合は、キャリッジを、魚の速さとおよそ同じ速度で動くように早くセットすることによって「平滑化」されてもよい。新たなデータは、迅速にサンプリングされて、x軸に沿った魚の速さ、又はy軸に沿った動きのあらゆる変化を判断することができると同時に、ストレスを受けていない魚は挙動があまり急変せず、速さは通常は、およそ同じ時間間隔で約数秒以内であり、本発明を用いた場合に典型的な間隔である。理想的には、本システムは、魚が複数の寄生生物を伴って通過した場合、光オリフィス7の位置付けをして、全ての観測された寄生生物に向けて光パルスを送るために十分に迅速である。
【0021】
管及び窓の特徴は、二つのものである。管は、光パルスを命中させることが容易になるように、魚の運動の自由度がある程度制限されることを確実にする。第二に、これは水と空気との間にバリアを設けるように機能し、これによりほとんどの技術的機器を乾いた空気中に置くことができるため、作動がより容易になり、腐食及び他の望ましくない外的影響等の問題が低減される。しかし、全ての機器を水中に配置することもまた本発明の枠内であり、その場合、管等による制限は必須ではない。それでも、本装置が命中させることができる位置に魚を案内するための何らかの形式を用いることは好都合であるが、これは、魚が処置可能ゾーンを通過することが非常に無作為かつまれであるためである。
【0022】
図3は、図2に示したものと同じタイプの装置を示す。しかし、図3では、対応するカメラ及びレーザユニットを備えるキャリッジ10は、管の3つの側面の夫々の3つの窓の夫々に示される。そのような場合、通常は3つの別個の論理システムがさらにあり、互いに独立して作動して、魚が通過すると全ての側面から魚を照らす。図3はさらに、本発明の装置が、一部を切開して図示したブイ21の中に配置されることができる方法を示し、水中のほぼ静止した位置にブイを保持することに寄与する上部浮力要素22及び下部バラスト要素23を有する。
【0023】
ブイは、たとえば比較的自由に動くことが許されている全ての魚が、当該管を通過するように案内されるような、計略的な場所に設置することができる。最も明らかな施策は、魚が二者択一的に選択する可能性がある通路を、ブイの側かあるいはその下で、完全に又は部分的に塞ぐことである。図3のブイには1つの装置のみが示されているが、当業者においては、1つを超える装置、たとえば2つ以上が、垂直に異なる高さで同じブイに配置されることができることは明白である
【0024】
図4は、本発明の装置の1つの実施形態を示し、ここでは、魚を処置するために通過させる通路が、円形の断面を有し、少なくとも1つの区域が透明な窓3’の形式を有する管2’の形状を有する。そのようなシステムでは、1以上のカメラを、管に関して外周線に沿った1以上の場所に配置された据え置き型にすることができ、一方で光オリフィス7が、管2’を中心として回転するリング12に位置付けられたアーム8’によって保持される。このシステムでは、平面二次元座標系を用いることは当然ではなく、むしろ極座標系といった長さ及び角度に基づいた座標系である。しかし、重要なのは本システムの外延ではなく、対応する「論理」によって、カメラが、魚が管窓3’を通過するのに用いる時間枠の中で、その魚において寄生生物がいる場所を向く位置に、光オリフィス7を向けられることである。
【0025】
図2に示された実施形態のように、アーム8’は、光オリフィスが常に窓3’に対して直角であるように配置されることができ、このことは、光が空気からガラスを通して液体内へ通過する時の屈折に関連する問題を取り除く。
【0026】
図5は、図2及び3の実施形態と共通の特徴を有する実施形態を示し、少なくとも一つの側面に窓を有し、窓3とほぼ一致する平面座標系が定義される三角形の管の外形が用いられる。異なる点は、可動レーザの使用に代えて、密集した光オリフィス列17がホルダ18に取り付けられることであり、光オリフィス17は、光ケーブル16を介して1以上のレーザユニット(図示せず)に接続されている。制御システムは、通過する魚において1以上の観測された寄生生物の座標に最もよく対応する光オリフィスに対して、所望の時点で光パルスを生成するように配置される。このシステムは、より少ない可動部品を有するため、より頑丈にすることができるが、光学機器に関する要求がより厳しい。
【0027】
上記の実施形態のいずれか1つにより、光源の照準機構(レーザ)は、照準のための周知の原理を用いてもよい。以下において、より強力又は「外科的」パルス型光源と同じ傾向を有する、無害な強度による点型の指示光を用いることができる。そして、強力な光源の誘発は、指示光が局所化された寄生生物に当たると自動的に起動されることができる。
【0028】
強力な光源は、通常はレーザであるが、原則的には、一点に集中し得、当該寄生生物を駆除するか又は無害にするために効果的な波長及び強度を有する任意の光源であることができる。
【0029】
当該寄生生物は、魚の任意の寄生生物であってもよいが、主としてサケジラミである。
【0030】
本システムは、主に述べられた、生きた魚が通常いる水中で使用されるが、生きた魚が一時的に水の外に出る、たとえば傾斜面上又は1つのコンテナから自然の又は人工の池までのオープンハーフパイプ内を滑るような状況で同じシステムが使用されることを妨げるものは何もない。
【0031】
図示された実施形態は、例示のみのためのものである。多くの他の代替の構成が可能である。たとえば、カメラ4は、光オリフィス7と同じアーム上に移動可能に配置されることができる。これにより、光オリフィスがどこにあるかにかかわらず、カメラが常時、座標系に向かって開かれた視界を有することが確実になる。制御ユニット51は、そのような場合、カメラの位置が動的であり、座標系内で静止しないことを当然考慮する必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚の寄生生物を駆除するための装置であって、問題となる寄生生物に有害な集中光のパルスを発するために配置された光源(5)と通信する制御ユニット(51)と、通信するように配置されたカメラ(4)を含み、制御ユニット(51)は、定義された座標系内での光学認識用システムを制御し、位置を検出して魚の寄生生物に典型的なコントラストの差異を示す位置の座標をリアルタイムで更新することに加えて、そのような検出された位置についての座標が、光源の照準点についての座標に対応する場合に、光源(5)からの光パルスを誘発するように配置されたことを特徴とする装置。
【請求項2】
魚が座標系に関して特定の方向に、好ましくは座標系の軸に沿って通過するように案内する管(2)のような物理的バリアを含むことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
制御ユニット(51)が、サーボコントローラ(52a、53b)及び接続されたモータ(52b、53b)により、光源(5)に対して光オリフィス(7)を、魚において検出された位置の方向に能動的に動かすように配置されることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項4】
定義された座標系が、光源(5)に対する光オリフィス(7)が常に直角をなす二次元座標系(x、y)であることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項5】
光源(5)が、座標系のy軸に沿って、通過する魚の移動方向を横切って配置された複数の光オリフィス(7)を含み、制御ユニット(51)が、魚において検出された位置の通過を待って、当該位置についてのx座標が、光オリフィス(7)についてのx座標と対応するときに、検出された位置のy座標と最もよく対応する光オリフィス(7)に向けて光パルスを誘発することを特徴とする、請求項4記載の装置。
【請求項6】
定義された座標系が、光源(5)が常に直角に交わる円筒形の座標系であることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項7】
光源が、座標系内におけるパルス型光の照準点を継続的に指示するように配置された、無害な、点型の指示光をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項8】
制御ユニット(51)が、対応するモータ(52b、53b)を有するサーボコントローラ(52a、53a)を制御して、指示光と魚において検出された位置との間の距離を継続的に最小限にし、距離が一定の閾値よりも小さくなった場合に光源(5)から光パルスを誘発するように配置されることを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項9】
光源がレーザであることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項10】
装置が、カメラ(4)、光源(5)、座標系及び、定義された領域を通過する魚の異なる側面を独立してカバーする対応する制御ユニット(51)を含む、複数の相互に独立した動作ユニットを含むことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項11】
定義された座標系内の光学的検出のための少なくとも1つのシステムを確立して、寄生生物に対して有害な光を、少なくとも1つの光源に提供し、座標系内の任意の位置を一時的に照らして、光学検出用システムを調整して、魚の寄生生物に典型的なコントラストの差異を示す位置を検出し、検出された位置に対してリアルタイムで更新された座標が、光源の照準点の座標と一致した場合に、光源用制御システムに、そのような検出された位置についての座標を送信し、かつリアルタイムで更新することを特徴とする、魚の寄生生物を駆除するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−518583(P2013−518583A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551937(P2012−551937)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/NO2011/000021
【国際公開番号】WO2011/115496
【国際公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(512205289)
【Fターム(参考)】