説明

魚介類の陸上養殖装置

【課題】魚介類の陸上養殖装置において、溶存酸素濃度を上げるための酸素ガスの供給口に海水中の塩分が結晶して付着することを防止して、清掃して塩分を取り除く手間を軽減できるようにする。
【解決手段】魚介類の陸上養殖装置は、水槽(1)と、水槽(1)内に海水を供給し、海水のオーバーフロー分を排水する給排水装置(2)と、水槽(1)内の海水の溶存酸素濃度を制御する溶存酸素濃度制御装置(3)とを備え、溶存酸素濃度制御装置(3)は、酸素発生装置(31)と、水槽(1)内の海水に酸素ガスを供給する気液混合エジェクター(33)と、海水の溶存酸素の濃度を検出する溶存酸素濃度センサー(38)と、溶存酸素濃度センサー(38)による検出値をもとに気液混合エジェクター(33)からの酸素ガスの供給量を調節する電動弁(34)と、供給される酸素ガスを加湿する加湿手段(36)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類の陸上養殖装置に関するものである。更に詳しくは、海水中に酸素ガスを供給して溶存酸素濃度を上げる場合、酸素ガスの供給口に海水中の塩分が結晶して付着することを防止して、定期的に清掃して塩分を取り除く手間を軽減することができ、メンテナンスを容易にした魚介類の陸上養殖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高級魚といわれるヒラメやトラフグは、海での養殖の他、一部では陸上養殖が行われている。陸上養殖においては、大型の水槽やポンプ、酸素供給装置あるいは各種センサ等からなる陸上養殖装置が使用され、大きさが限られた水槽内を海と同じ環境に近づけるための管理が行われる。この中で特に重要なのは、水槽内の海水に溶け込む酸素の濃度の維持管理である。海水の溶存酸素濃度が低すぎても、あるいは高すぎても養殖魚にストレスを与えることになる。例えばトラフグの場合では、このストレスが一つの原因となって、鋭く硬い歯で噛み合い、互いに傷付け合うという問題が生じている。
【0003】
水槽内の海水等の溶存酸素濃度を制御する装置としては、例えば特許文献1に記載された「酸素溶解装置」がある。この「酸素溶解装置」は、貯水タンク内に下端だけが開口した酸素充填用タンクを配置して、同酸素充填用タンクと貯水タンク内の貯水の自由水面とにより酸素充填空間を形成し、同酸素充填空間内に酸素を加圧状態にて充填して、貯水の自由水面より同貯水中に酸素が溶解するようにし、さらに貯水の酸素溶解濃度(溶存酸素濃度ともいう)を検出する酸素溶解濃度検出センサを備え、酸素溶解濃度を制御することにより、養殖等で採用される生物水槽内に所望の濃度の酸素溶解水を供給することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−228491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載された「酸素溶解装置」には、次のような課題があった。
すなわち、「酸素溶解装置」において海水に酸素ガスを供給する場合、その理由又は仕組みは定かではないが、供給口(特許文献1では、酸素供給パイプ8の先端開口部8a)に塩分が結晶して付着し、供給口の口径を徐々に狭めてしまい、酸素供給の邪魔になる。したがって、安定した酸素供給を行うには、供給口を定期的に清掃して塩分を取り除く必要がある。
【0006】
また、水槽に海水を導入する場合、溶存酸素濃度センサー(特許文献1では、酸素溶解濃度検出センサー6、21)のセンサー部に生物皮膜が付着してセンシングができなくなったり、センシング(検出)の精度を落としてしまうおそれがある。この場合も前記と同様に、生物皮膜を溶存酸素濃度センサーから定期的に取り除く必要がある。
【0007】
(本発明の目的)
本発明の目的は、海水中に酸素ガスを供給して溶存酸素濃度を上げる場合、酸素ガスの供給口に海水中の塩分が結晶して付着することを防止して、従来のように定期的に清掃して塩分を取り除く手間を軽減することができ、メンテナンスを容易にした魚介類の陸上養殖装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記目的に加えて、溶存酸素濃度センサーに生物皮膜が付着してセンシングができなくなったり、センシングの精度を落としてしまうことを防止して、従来のように生物皮膜を取り除く手間を軽減することができ、メンテナンスをさらに容易にした魚介類の陸上養殖装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、
魚介類の陸上養殖装置であって、
養殖の対象となる魚介類を入れる水槽と、
水槽内に海水を供給し、海水のオーバーフロー分を排水する給排水装置と、
水槽内の海水の溶存酸素の濃度を所要の値に制御する溶存酸素濃度制御装置と、
を備えており、
前記溶存酸素濃度制御装置は、
酸素源と、
酸素源から水槽内の海水に酸素ガスを供給する酸素ガス供給口を有する酸素供給部と、
海水が水槽内に供給されてから排水されるまでの間の所要位置で海水の溶存酸素の濃度を検出する溶存酸素濃度センサーと、
溶存酸素濃度センサーによる検出値をもとに酸素供給部からの酸素ガスの供給量を調節する電動弁と、
を備えており、
前記酸素供給部によって供給される酸素ガスを加湿する加湿手段を備えている、
魚介類の陸上養殖装置である。
【0010】
本発明は、
水槽の底部に集水口を備え、集水口には排水管が接続されており、排水管の先端部での排水は、水槽の液面と同じ高さでオーバーフローすることで行われるようになっており、溶存酸素濃度センサーは、排水管の先端部内の液中に浸漬して配されている、
前記魚介類の陸上養殖装置である。
【0011】
本発明は、
水槽の底部に集水口を備え、集水口には先端部に溢水枡が設けられた排水管が接続されており、溢水枡での排水は、水槽の液面と同じ高さでオーバーフローすることで行われるようになっており、溶存酸素濃度センサーは、溢水枡内の液中に浸漬して配されている、
前記魚介類の陸上養殖装置である。
【0012】
本発明は、
酸素源が酸素発生装置であり、酸素を貯留する高圧タンクを有していない、
前記魚介類の陸上養殖装置である。
【0013】
本発明は、
酸素供給部が水槽の内底部または内底部近傍に配されている、
前記魚介類の陸上養殖装置である。
【0014】
加湿手段により加湿された後の酸素ガスの湿度は、通常は100%であるが、過飽和状態である場合もある。酸素ガスの湿度が低すぎると、海水に浸漬されている酸素ガス供給口に塩分が結晶して付着し、供給口の口径を徐々に狭めてしまい、酸素供給の邪魔になるおそれがある。
【0015】
(作用)
本発明に係る魚介類の陸上養殖装置の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0016】
魚介類の陸上養殖装置は、海水の溶存酸素濃度を随時検出し、その検出値をもとに酸素ガスの供給量を調節して、海水の溶存酸素濃度を所要の値に維持するようにする。
そして、海水に供給される酸素ガスは加湿手段(36)によって加湿され、その湿度が十分に高くなることによって、海水と直接触れる酸素ガス供給口(320)には塩が付着しない。また、仮に酸素ガス供給口(320)で塩分が結晶となって一旦付着してしまった場合でも、塩は酸素ガスから継続的に水分が供給されることにより、溶けるようにして除かれる。
【0017】
また、排水管(21)の先端部または溢水枡(22)での排水は、水槽の液面と同じ高さでオーバーフローすることで行われるようになっており、溶存酸素濃度センサー(38)が、排水管(21)の先端部内または溢水枡(22)内の液中に浸漬して配されているものは、水槽(1)内に供給され導入された海水中には、生物皮膜を形成しやすい貝や甲殻類の幼生等が浮遊しているが、この幼生等は水槽(1)内で養殖されている魚類等に捕食されて、排水管(21)の先端部または溢水枡(22)まではたどり着かない可能性が高い。したがって、排水管(21)の先端部または溢水枡(22)の液面中に浸漬して配されている溶存酸素濃度センサー(38)には生物皮膜が付着しにくい。
【0018】
酸素源(31)が酸素発生装置であり、酸素発生装置は酸素を貯留する高圧タンクを有していないものは、安全性が高く、装置の管理も比較的容易にできる。また、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、輸入、移動、消費、廃棄等を規制する「高圧ガス保安法」が適用されないため、例えばきわめて高価な酸素ガス専用の電動弁等を導入する必要がなく、設備費用が安価になる利点もある。
【0019】
酸素供給部(33)が水槽(1)の内底部または内底部近傍に配されているものは、水槽(1)の仕様においてほぼ最大の水圧下で酸素ガスと海水が混合されるので、同水温下で比較した場合、酸素ガスの溶解が最大の効率で行われる。
【発明の効果】
【0020】
(a)本発明は、海水中に酸素ガスを供給して溶存酸素濃度を上げる場合に、酸素ガスを所要の湿度まで加湿することにより、供給口に海水中の塩分が結晶して付着することを防止することができるので、従来のように定期的に清掃して塩分を取り除く手間を軽減することができ、メンテナンスを容易にした魚介類の陸上養殖装置を提供することができる。
【0021】
(b)排水管の先端部での排水が水槽の液面と同じ高さでオーバーフローすることで行われるようになっており、溶存酸素濃度センサーが、排水管の先端部内または溢水枡内の液中に浸漬して配されているものは、溶存酸素濃度センサーに生物皮膜が付着してセンシングができなくなったり、センシングの精度を落としてしまうことを防止することができるので、従来のように生物皮膜を取り除く手間を軽減することができ、メンテナンスをさらに容易にした魚介類の陸上養殖装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る魚介類の陸上養殖装置の一実施の形態を示す説明図。
【図2】気液混合エジェクターの構造を示す断面説明図。
【図3】酸素ガスを加湿する加湿器の構造を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を図面に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
図1及び図2を参照する。
【0025】
魚介類の陸上養殖装置Aは、養殖の対象となる魚介類を入れる水槽1、水槽1内に海水を供給し、海水のオーバーフロー分を排水する給排水装置2及び水槽1内の海水の溶存酸素の濃度を所要の値に制御する溶存酸素濃度制御装置3を備えている。なお、本実施の形態では、溶存酸素濃度制御装置3でひとつの水槽1を管理するようになっているが、これに限定するものではなく、複数の水槽1を管理するようにしてもよい。
【0026】
水槽1は、本実施の形態では、海水が循環しやすいように平面視で円形の槽を採用しているが、これに限定するものではなく、設置場所の条件に適合する形状のものを適宜採用できる。水槽1の底部の中心部には集水口11が設けられており、内底面12は集水口11に向けてやや下り傾斜するように形成されている。
【0027】
集水口11には、給排水装置2を構成する排水管(連通管)21が接続されている。排水管21は、水槽1の底部と平行に側部外側まで延長されており、排水管21の排出側の端部側は上方へ向け鉛直方向に設けられている。排水管21の上端部には溢水枡22が設けられており、溢水枡22の上縁は水槽1の上縁よりやや低くなるように形成されている。なお、溢水枡22と水槽1は、排水管21を介し連通しているので、水槽1の液面の高さはオーバーフロー位置である溢水枡22の上縁の高さと同じになる。
【0028】
給排水装置2を構成する給水管23は、外部から水槽1の内底面12の近傍まで導入されており、先端には酸素供給部であり後述する溶存酸素濃度制御装置3を構成する気液混合エジェクター33が排出方向を横へ向けて取り付けられている。気液混合エジェクター33は、図3に示すようにベンチュリ管を使用した構造であり、給水管23から送られる海水に、後述する酸素供給管32から送られる酸素ガスを気泡状態で混合するものである。
【0029】
気液混合エジェクター33は、図1に示すように水槽1の内底部近傍に配されているので、水槽1の仕様においてほぼ最大の水圧下で酸素ガスと海水を混合することができる。これにより、気液混合エジェクター33が、より上方側の浅い位置に設けた場合と同水温下で比較した場合、酸素ガスの溶解がより高効率で行われる。
【0030】
水槽1内の海水の溶存酸素濃度は、溶存酸素濃度制御装置3によって所定の値に制御される。溶存酸素濃度制御装置3は、酸素源である酸素ガス発生装置31を備えている。酸素ガス発生装置31の構造は公知のものが採用され、特に限定しないが、本実施の形態では、合成ゼオライト等の吸着剤により、空気中の窒素を吸着除去し、高純度の酸素ガスを得る方式のものを採用しており、酸素ガスを貯留する高圧タンクを有さず、必要な分の酸素ガスを発生させることができる。
【0031】
酸素ガス発生装置31からは、酸素供給管32が延出され、酸素供給管32の先端は、酸素ガス供給口320がベンチュリ管の径小部に開口するようにして前記気液混合エジェクター33に接続されている(図3参照)。酸素供給管32の経路中には、酸素ガス発生装置31に近い側から順に、電動弁34、酸素ガス流量計35及び酸素ガス加湿器36が設けられている。電動弁34は、後述する溶存酸素制御器37によって開度が微調整されるものである。符号39はバイパス手動弁で、何らかの理由で制御が不能となったときに、手操作で強制的に溶存酸素濃度を調節するためのものである。
【0032】
酸素ガス加湿器36は、図2に示すように、気密性の水容器360内に、酸素供給管32につながる導入管361が導入され、同じく水容器360内に配された導出管362が酸素供給管32に通じている。導入管361は、水容器360内に入れられた水に先端部が浸漬できる長さに設定されており、導出管362は先端部が水に浸漬されない長さに設定されている。酸素供給管32は、水容器360内で中断した構造であるが、加湿された酸素ガスは水容器360を介し支障なく気液混合エジェクター33へ送られる。
【0033】
溶存酸素濃度制御装置3は、海水の溶存酸素の濃度を検出する溶存酸素濃度センサー38を有している。溶存酸素濃度センサー38は、前記溢水枡22の内部に配されている。溶存酸素濃度センサー38は、溢水枡22からオーバーフローにより排出される直前の海水の溶存酸素濃度を検出することができる。なお、溶存酸素濃度センサー38は水槽1内に配することもできる。
符号37は溶存酸素制御器である。溶存酸素制御器37は、溶存酸素濃度センサー38で検出した溶存酸素濃度をフィードバックして前記電動弁34の開度を調節し、気液混合エジェクター33に供給される酸素ガスの流量を調節することができる。
【0034】
(作用)
本実施の形態に係る魚介類の陸上養殖装置Aの作用を説明する。
魚介類の陸上養殖装置Aでは、給水管23から海水を供給し、気液混合エジェクター33によって、海水と酸素供給管32を通り供給された酸素ガスとを混合し、水槽1内に供給する。水槽1内の海水は、汚れや滓等とともに集水口11から排水管21に入り、溢水枡22からオーバーフローして排水され、これによって水槽1内の海水の液面は一定の高さに維持される。
【0035】
そして、トラフグ等の養殖魚は、水槽1内の海水中で養殖される。養殖においては、水槽1内の海水に溶存している溶存酸素濃度が管理され、養殖魚にストレスを与えにくい好適な溶存酸素濃度で維持されるようになっている。
詳しくは、溢水枡22内の排出される直前の海水の溶存酸素濃度を溶存酸素濃度センサー38によって随時検出し、検出値をフィードバックして溶存酸素制御器37によって電動弁34の開度を調節し、気液混合エジェクター33に供給される酸素ガスの流量を調節する。これによって、養殖魚にストレスを与えにくい好適な溶存酸素濃度を維持するための適正な流量で酸素ガスが気液混合エジェクター33に供給される。
【0036】
なお、養殖魚にストレスを与えにくい好適な溶存酸素濃度とは、養殖される魚介類の種類によっても調節されるが、例えばトラフグの場合では80〜90%程度(水槽1中の海水もほぼ同じ)である。また、給餌後は、養殖魚が活発に動くので海水中の溶存酸素濃度は、例えば50〜70%程度に低下するが、前記のような制御を行うことによって、短時間でもとの溶存酸素濃度まで回復させることができる。さらに、養殖魚の活動量が減少する夜は、酸素ガスの供給量を少なくして溶存酸素濃度を維持するようにする。
【0037】
また、海水に供給されて混合される酸素ガスは、酸素ガス加湿器36によって飽和状態又は過飽和状態に加湿されているので、湿度が十分に高くなることによって、海水と直接触れる酸素供給管32先端の酸素ガス供給口320には塩が付着しない。また、仮に酸素ガス供給口320で塩分が結晶となって一旦付着してしまった場合でも、塩は酸素ガスから継続的に水分が供給されることにより、溶けるようにして除かれる。
【0038】
さらに、溢水枡22での排水は、水槽1の海水の液面と同じ高さでオーバーフローすることで行われるようになっており、溶存酸素濃度センサー38は溢水枡22内の液中に浸漬して配されている。つまり、水槽1内に供給され導入された海水中には、生物皮膜を形成しやすい貝や甲殻類の幼生等が浮遊しているが、この幼生等は水槽1内で養殖されている養殖魚に捕食されて、溢水枡22まではたどり着かない可能性が高い。したがって、溶存酸素濃度センサー38には生物皮膜が付着しにくい。
【0039】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
A 陸上養殖装置
1 水槽
11 集水口
12 内底面
2 給排水装置
21 排水管
22 溢水枡
23 給水管
3 溶存酸素濃度制御装置
31 酸素ガス発生装置
32 酸素供給管
320 酸素ガス供給口
33 気液混合エジェクター
34 電動弁
35 酸素ガス流量計
36 酸素ガス加湿器
360 水容器
361 導入管
362 導出管
37 溶存酸素制御器
38 溶存酸素濃度センサー
39 バイパス手動弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚介類の陸上養殖装置であって、
養殖の対象となる魚介類を入れる水槽(1)と、
水槽(1)内に海水を供給し、海水のオーバーフロー分を排水する給排水装置(2)と、
水槽(1)内の海水の溶存酸素の濃度を所要の値に制御する溶存酸素濃度制御装置(3)と、
を備えており、
前記溶存酸素濃度制御装置(3)は、
酸素源(31)と、
酸素源(31)から水槽(1)内の海水に酸素ガスを供給する酸素ガス供給口(320)を有する酸素供給部(33)と、
海水が水槽(1)内に供給されてから排水されるまでの間の所要位置で海水の溶存酸素の濃度を検出する溶存酸素濃度センサー(38)と、
溶存酸素濃度センサー(38)による検出値をもとに酸素供給部(33)からの酸素ガスの供給量を調節する電動弁(34)と、
を備えており、
前記酸素供給部(33)によって供給される酸素ガスを加湿する加湿手段(36)を備えている、
魚介類の陸上養殖装置。
【請求項2】
水槽(1)の底部に集水口(11)を備え、集水口(11)には排水管(21)が接続されており、排水管(21)の先端部での排水は、水槽(1)の液面と同じ高さでオーバーフローすることで行われるようになっており、溶存酸素濃度センサー(38)は、排水管(21)の先端部内の液中に浸漬して配されている、
請求項1記載の魚介類の陸上養殖装置。
【請求項3】
水槽(1)の底部に集水口(11)を備え、集水口(11)には先端部に溢水枡(22)が設けられた排水管(21)が接続されており、溢水枡(22)での排水は、水槽(1)の液面と同じ高さでオーバーフローすることで行われるようになっており、溶存酸素濃度センサー(38)は、溢水枡(22)内の液中に浸漬して配されている、
請求項1記載の魚介類の陸上養殖装置。
【請求項4】
酸素源が酸素発生装置(31)であり、酸素を貯留する高圧タンクを有していない、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の魚介類の陸上養殖装置。
【請求項5】
酸素供給部(33)が水槽(1)の内底部または内底部近傍に配されている、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の魚介類の陸上養殖装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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