説明

魚礁兼湧昇流発生構造物及びその造成方法

【課題】魚類の蝟集・増殖効果が大きくかつ湧昇流発生効果が高い上、施工が容易で設置工事費が安価であり、造成後に激しい波浪や潮流に晒されても安定・安全に維持できる魚礁兼湧昇流発生構造物とその効率的な造成方法の提供。
【解決手段】フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から内方に向かって4枚の支骨部材2a,2b,2c,2dを延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げた上に構成材Aと同じ構造でかつ構成材Aの略8分の1の空容積を有する構成材Bの複数個をランダム状に積み上げて全体を山型状ないし山脈状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物。構成材Aがいずれも同じ大きさで同じ形状であり、構成材Bがいずれも同じ形状であること、特に両者が立方体形状のものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚礁兼湧昇流発生構造物とその造成方法に関する。詳しくは、海底に造成して魚礁として機能すると共に湧昇流の発生源としても機能する構造物とその効率的な造成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新たな漁場形成や水産資源の増殖を目的に湧昇流を人工的に発生させる構造物が数多く提案されている。例えば、特許文献1(特開平5−15275号公報)、特許文献2(特開平4−304829号公報)、特許文献3(特開平5−30877号公報)、特許文献4(特開平5−123076号公報)及び特許文献5(特開2003−189757号公報)などである。
【特許文献1】特開平5−15275号公報
【特許文献2】特開平4−304829号公報
【特許文献3】特開平5−30877号公報
【特許文献4】特開平5−123076号公報
【特許文献5】特開2003−189757号公報
【特許文献6】実公昭57−1719号公報
【非特許文献1】鈴木達雄「石炭灰硬化体の開発と漁場施設への適用」、水産工学、 日本水産工学会、1999年7月発行、第36巻・第1号、p61 〜69
【0003】
特許文献1に記載されているのは、主衝立体と補助衝立体からなる人工湧昇流発生構造物に関する技術であり、すでに実用化されているが、構造物本体が巨大かつ重量物であるため(主衝立体が340トン、補助衝立体が280トン)、海底に設置するための作業船が特殊かつ大型となり、工事費が嵩むという問題がある。また、構造物本体に魚類が棲みつく空隙が全く確保されていないので、人工魚礁としての効果はほとんど期待できない。
【0004】
特許文献2、特許文献3、特許文献4には、捨て石、ブロック、石炭灰コンクリートブロックなどを、飛散を制御しながら自由落下投入することで海底にマウンド状構造物を造成し、湧昇流を発生させる技術が開示されている。非特許文献1(「水産工学」1999年7月号に所載の報文)に開示されている「石炭灰を硬化させたサイコロ状のブロックを海底に複数個無秩序に投入して造成する人工山脈様の構造物」も湧昇流発生を目的とするマウンド状構造物の一つである。これらのマウンド状構造物は、その造成に底開き型土運船などの特殊作業船を必要とするが、これによって工事費が嵩むことはない。しかし、マウンド状構造物が空隙の少ない材料によって構成されるため、材料費が嵩み、しかも、構造物の空隙が少なく、魚類の遊泳や生息・繁殖に必要な空間が確保されないので、魚礁としても十分に機能するとは言いがたい。
【0005】
特許文献5には、既存の大型・小型魚礁と基礎構築資材(天然石、コンクリート廃材、石炭灰コンクリートなど)を組み合わせて設置した湧昇流発生構造物が開示されている。この湧昇流発生構造物は、既存の魚礁を使用していることから、魚類の生息空間確保の点で一定の評価ができる。しかし、魚礁部飛散防止用に外周部に配置される大型魚礁や網掛かり防止用のスロープ板を、ダイバーなどによる位置補正作業なしに、目的とする位置・方向に設置することは、現実的にはきわめて困難であり、この問題を解決するために潜水作業やトランスポンダーなどの位置補正手段を講ずると工事費が嵩み、造成できる水深帯も比較的浅い場所に限られるという問題がある。また、この外周部大型魚礁は、重量を軽減するためにコンクリート構成部材が面の場合は薄く、梁の場合は細くなっており、積み重ねできない構造である。したがって、後から設置される基礎構築資材や小型魚礁が大型魚礁にぶつかり、その衝撃力で破損・崩壊するおそれがある。
【0006】
このように、従来から知られている魚礁や湧昇流発生構造物は、いずれも一長一短があって漁場造成に求められているニーズ、すなわち「魚礁としても、湧昇流発生構造物としても十分に機能する構造物」、さらには「施工が容易で工事費が安く、安定性と安全性にすぐれ、魚類の蝟集・増殖効果と湧昇流発生効果が高い構造物」という条件を同時に満たすものではない。
【0007】
このような状況に鑑み、本発明者らは、鉄筋コンクリート製などのフレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aを開発した。この構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げて全体を山型状に形成した構造物は魚礁として既に実用化されている。しかし、この山型状の魚礁は、その内部空間が複雑になると共に表面積が多くなるので魚礁としては機能するが、湧昇流発生構造物としての機能は十分とは言いがたい。
【0008】
なお、本発明では、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材を「構成材A」と称する。また、構成材Aと同じ構造であるが、構成材Aの略8分の1の空容積を有する構成材を「構成材B」と称する。なお、構成材Aの代表的な構造は特許文献6(実公昭57−1719号公報)に開示されている。
【0009】
図1は、構成材Aの複数個を山型状に積み上げて造成した、いわゆる「乱積み魚礁」の側面図である。すなわち、図1に示すような乱積み魚礁(図中のAは構成材Aを示す。)はすでに全国各地で施工されており、複雑に構成される内部空間と表面積の多様さに起因する増殖効果の大きいことなどから、評価の高い工法として定着している。しかし、流体力学的には、海底に構成材Aを山型状に積み上げただけでは海流の透過を防止できないので湧昇流の発生は小さく、湧昇流発生構造物として十分に機能するとは言いがたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の状況に鑑み、本発明は、魚礁として機能すると共に湧昇流の発生構造物としても機能する構造物、すなわち、魚類の蝟集・増殖効果が大きく、かつ、湧昇流発生効果が高い構造物を提供することを第1の課題とする。さらに、本発明は、施工が容易であり、かつ設置工事費が安価であると共に、造成後に激しい波浪や潮流に晒されても安定・安全に維持できる魚礁兼湧昇流発生構造物を提供することを第2の課題とする。さらに、本発明は、これら魚礁兼湧昇流発生構造物の効率的な造成方法を提供することを第3の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記各課題を解決するための本発明のうち特許請求の範囲・請求項1に記載の発明は、上記第1の課題及び第2の課題を解決する手段であり、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げた上に、構成材Aと同じ構造であって構成材Aの略8分の1の空容積を有する構成材Bの複数個をランダム状に積み上げて全体を山型状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物である。
【0012】
すなわち、請求項1に記載する発明は、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げた上に、構成材Aの略8分の1の空容積を有し、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Bの複数個をランダム状に積み上げて全体を山型状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物である。なお、請求項1に記載する発明において、構成材Aと構成材Bとは、上記のとおり同じ構造のものであるが、必ずしも同じ形状である必要はない。
【0013】
また、同じく請求項2に記載する発明は、上記第1の課題及び第2の課題を解決する手段であり、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げた上に、構成材Aと同じ構造であって構成材Aの略8分の1の空容積を有する構成材Bの複数個をランダム状に積み上げて全体を山脈状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物である。
【0014】
すなわち、請求項2に記載する発明は、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げた上に、構成材Aの略8分の1の空容積を有し、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Bの複数個をランダム状に積み上げて全体を山脈状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物である。なお、請求項2に記載する発明において、構成材Aと構成材Bとは、上記のとおり同じ構造のものであるが、必ずしも同じ形状である必要はない。
【0015】
また、同じく請求項3に記載する発明は、上記第1の課題及び第2の課題を解決する手段であって、構成材Aがいずれも同じ大きさで同じ形状であり、かつ、構成材Bがいずれも同じ形状である請求項1又は2に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物である。
【0016】
同じく請求項4に記載する発明は、上記第1の課題及び第2の課題を解決する手段であって、構成材Aと構成材Bがいずれも立方体形状である請求項3に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物である。なお、図2・図3は、請求項4に記載する魚礁兼湧昇流発生構造物の側面図である。すなわち、図2は、ランダム状に積み上げた複数個の立方体形状の構成材Aの上に複数個の立方体形状の構成材Bをランダム状に積み上げて全体を山型状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物の側面図であり、図3は、ランダム状に積み上げた複数個の立方体形状の構成材Aの上に複数個の立方体形状の構成材Bをランダム状に積み上げて全体を山脈状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物の側面図である。図中のAは構成材Aを示し、同Bは構成材Bを示す。
【0017】
同じく請求項5に記載する発明は、上記第1の課題及び第2の課題を解決する手段であって、構成材Aと構成材Bの個数比が、構成材Aの10に対して構成材Bが15〜30である請求項4に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物である。
【0018】
同じく請求項6に記載する発明は、上記第3の課題を解決する手段であって、陸上で製作した構成材A及び/又は構成材Bをクレーン船で所定水域まで運搬し、DGPSなどの汎用型測位機を用いてあらかじめ設定した座標配置に基づいて構成材A及び/又は構成材Bの設置する位置を測定した後、一度にその1個又数個を水底の当該位置に吊り降ろして海底に次々に積み上げ、請求項1から5のいずれかに記載の魚礁兼湧昇流発生構造物を造成する方法である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載する魚礁兼湧昇流発生構造物は、上記の構成であり、従来の乱積み魚礁のように複数個の構成材Aをランダム状に積み上げただけのものではなく、複数個の構成材Aをランダム状に積み上げた上にさらに複数個の構成材Bをランダム状に積み上げて全体を山型状に形成してあるので、構成材Aの表面を空容積の小さい構成材Bが覆うことになって構造物内への海流の透過が抑止され、この構造物によって海流が遮断されて逃げ場を失い、構造物の背後に効率的に湧昇流を発生させることができる。また、請求項1に記載する構造物は、従来の構成材Aだけからなる乱積み魚礁に比べて、構成材Aどうしの隙間或いは構成材Aのフレーム部材や支骨部材の空間に構成材Bが入り込んで構造物全体の内部空間がいっそう豊富かつ複雑になると共に構造物の表面積がさらに大きくかつ多様になるので、魚類の蝟集・生息・増殖効果がさらに大きくなり、魚類の好適な隠れ場・休息場となりやすい。このため、請求項1に記載する構造物は魚礁としても好適に機能する。さらに、請求項1に記載する構造物は、特殊な機材や船舶を用いなくても造成できるので造成工事が容易であり、工事費を安価に抑えることができる。その上、請求項1に記載する構造物は、複数個の構成材をランダム状に積み上げた構造であるから、構成材Aと構成材A、構成材Aと構成材B、構成材Bと構成材Bなど構成材どうしが各フレーム部材や支骨部材で形成する空間にいろんな角度から入り込み、噛み合って固定される。特に、請求項1に記載の構造物の表面は、ランダム状に積み上げた構成材Aの上に構成材Bをランダム状に積み上げてあり、構成材Aのほとんどの表面に空容積の小さい構成材Bが被さっているので、構成材Aのフレーム部材や支骨部材の空間に構成材Bが入り込んで噛み合い、固定され、造成後に波浪や潮流に晒されても安定・安全な構造物が形成される。
【0020】
請求項2に記載する魚礁兼湧昇流発生構造物は、上記の構成であって、請求項1に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物が山型状であるのに対して全体を山脈状に形成した構造物であるから、構造物内への海流の透過を抑止・遮断する効果はさらに大きくなり、請求項1に記載の構造物よりもさらに効率的に湧昇流を発生させることができる。また、請求項2に記載する構造物は、山脈状に連なった構成材Aと構成材Bのフレーム部材や支骨部材によって構造物の表面積がいっそう大きくかつ多様化されると共に内部空間がいっそう豊富かつ複雑になるため、魚類の好適な隠れ場・休息場となりやすい。このため、請求項2に記載する構造物は、好適な湧昇流発生構造物であると同時に魚類の蝟集・生息・増殖に適するので魚礁としても好適に機能する。すなわち、請求項2に記載する構造物は、波浪や潮流などの流れに対する遮断効果がいっそう大きくなるので構造物の背後に上昇流領域と渦流域を広く発生させることができる。上昇流領域は回遊魚に刺激を与えて蝟集を促し、渦流域は遊泳力の弱い魚類の休息場やプランクトンの滞留などにより、さまざまな魚類の餌場となるため、請求項2に記載する構造物は、きわめて好適な湧昇流発生構造物であると共にきわめて好適な魚礁としても機能する。さらに、請求項2に記載する構造物は、請求項1に記載する構造物と同様に、造成が容易であり、造成工事費を安価に抑えることができる。その上、請求項2に記載する構造物は、その造成後に波浪や潮流に晒されても安定・安全に維持できる。
【0021】
請求項3に記載する魚礁兼湧昇流発生構造物は、上記の構成であるから、請求項1又は請求項2に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物と同様のすぐれた湧昇流発生効果と魚類の蝟集・生息・増殖効果を奏すると共に、構成材Aや構成材Bの製作・保管・運搬・吊り降ろしなどがさらに容易となるから、構造物の造成がいっそう容易となり、造成工事費をさらに安価に抑えることができる。その上、造成後に波浪や潮流に晒されてもいっそう安定・安全に維持できる。
【0022】
請求項4に記載する魚礁兼湧昇流発生構造物は、上記の構成であるから、請求項3に記載の構造物と同様にすぐれた湧昇流発生効果と魚類の蝟集・生息・増殖効果を奏する。同時に、請求項4に記載する構造物は、構成材Aと構成材Bの形状・構造が統一されているため、これらの製作・保管・運搬・吊り降ろしなどがいっそう容易となり、そのため構造物の造成がいっそう容易である。よって、請求項4に記載する構造物は造成工事費をさらに安価に抑えることができる。また、構成材Aと構成材Bの噛み合わせが確実となるので、構成材Aの上に構成材Bを被せたとき、いっそう安定した構造物を作ることができる。よって、請求項4に記載する構造物は、波浪や潮流などの流れに対してさらに安全・安定した構造物を形成することができる。
【0023】
また、請求項5に記載する魚礁兼湧昇流発生構造物は、上記の構成であるから、構成材Aの略全部の表面を構成材Bで覆うことができる。しかも、構成材Bのムダ(構成材Aに被さらないもの)が少なくなる。そのため、請求項5に記載する構造物は、請求項1から4までの構造物に比べてすぐれた湧昇流発生効果を効率的に奏することができる。また、同時に、構造物全体の内部空間がいっそう豊富かつ複雑になると共に構造物の表面積がさらに大きくかつ多様になるので、魚類の蝟集・生息・増殖効果がさらに大きくなる。さらに、請求項5に記載する構造物は、請求項1から請求項4までに記載する構造物と同様、構成材A・構成材Bの製作・保管・運搬・吊り降ろしなどが容易である。また、請求項5に記載する構造物は、上記のとおり構成材Bのムダを抑えることができるから、施工が容易であると共に造成工事費をさらに安価に抑えることができ、しかも、造成後の構造物を波浪や潮流に対していっそう安定・安全に維持できる。
【0024】
また、請求項6に記載する魚礁兼湧昇流発生構造物を造成する方法は、上記の構成であるから、ダイバーなどによる位置補正作業を必要とせず、構成材A及び/又は構成材Bを目的とする位置・方向に確実に設置することができる。そのため、請求項6に記載する方法は、計算したとおりの安定した構造物を自在に造成することができる。また、造成工事の費用を安価に抑えることができる。
【0025】
本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物は、上記のとおり、湧昇流による魚類の蝟集効果が大きい。また、構造物の流下に形成される渦領域がプランクトンなどの餌料の滞留域及び魚類の休息場となる。さらに、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物は、陰影のある複雑な内部空間が幼稚仔魚の隠れ場や岩礁性魚類の生息場となる。このように、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物は、魚類の餌料場・休息場・保育場・生息場などを十分に提供できるというすぐれた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物に用いる構成材Aについて説明する。図4は、本発明で用いる構成材Aの一例を示す斜視図である。本発明で用いる構成材Aは、図4に示すように、12本のフレーム部材1・1・・を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向する4本のフレーム部材1・1・1・1から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材2a・2b・2c・2dを延伸させ、中空枠体の内方中心部4で一体に結合させた構造のものである。このように、本発明で用いる構成材Aは、12本のフレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であるから、各側面・頂面・底面に大きく開放された空間が形成されていると共に強い強度を確保できる。また、中空枠体の内方にも4枚の支骨部材を延伸させ中空枠体の中心部で一体に結合させているので中空枠体の内方空間が複雑化すると共に強度がさらに大きくアップされている。そのため、構成材Aの複数個をランダム状に積み上げた場合、構成材Aの側面や上面・底面の開放空間や構成材Aどうしの間隙に別の構成材Aが食い込むことで強固な噛み合わせが形成され、斜面の勾配が1対1程度の急勾配の山型状又は山脈状の構造物の造成が可能となる。
【0027】
図4において、構成材Aの支骨部材2b・2cは、それぞれの底面を対向する左右のフレーム部材1・1と一体化させ、中空枠体の内方中心部4に向かって延伸させた三角板状の2枚の部材である。また、構成材Aの支骨部材2a・2dは、それぞれの底面を対向する左右のフレーム部材1・1と一体化させ、中空枠体の内方中心部4に向かって延伸させた三角板状の2枚の部材である。また、図4の構成材Aの支骨部材2a・2b・2c・2dにはそれぞれ略三角形状のくり抜き部3a・3b・3c・3dを設けてある。このように、支骨部材にくり抜き部を設けると、複数個の構成材Aで形成する魚礁兼湧昇流発生構造物の形状がさらに多様化するので魚類の蝟集・生息効果がさらに大きくなる。しかし、本発明では、支骨部材のくり抜き部は必ず設けなければならないというものではない。図5にくり抜き部を設けていない支骨部材を用いた構成材Aの一例を示す。
【0028】
図4の構成材Aでは、4枚の支骨部材2a・2b・2c・2dはどれも同一の三角板状であり、支骨部材2a・2b・2c・2dのくり抜き部3a・3b・3c・3dもどれも同一の略三角形状であるが、本発明で用いる支骨部材は必ずしも三角板状である必要はなく、また、4枚の支骨部材の形状が不揃いであっても差し支えない。さらに、支骨部材のくり抜き部は必ずしも三角形状にする必要はなく、また、4個のくり抜き部の形状が不揃いであっても差し支えない。さらに、4枚の支骨部材の全てにくり抜き部を設ける必要はない。
【0029】
図5は、本発明で用いる構成材Aの別の一例を示す斜視図である。図5の構成材Aも、12本のフレーム部材1・1・・を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向する4本のフレーム部材1・1・1・1から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材2a・2b・2c・2dを延伸させ、中空枠体の内方中心部4で一体に結合させた構造のものである。なお、図5の構成材Aのフレーム部材では、左右の4本のフレーム部材1・1・1・1は上下のフレーム部材1・1・1・1に対してやや内側に斜めに取り付けてある。また、図5の構成材Aの4枚の支骨部材2a・2b・2c・2dはどれも三角板状であるが、どれにもくり抜き部を設けていない。このように、本発明で用いる構成材Aはフレーム部材を組み合わせた中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造のものであれば、支骨部材として各種のバリエーションの形状のものを用いて差し支えない。
【0030】
構成材Aは、継ぎ目のない鉄筋コンクリート製のものが丈夫で耐久力があるので好ましい。また、1基の構造物の造成に用いる複数個の構成材Aは、どれも同じ大きさで同じ形状のものを用いるのが好ましく、さらには、立方体形状に製したものが最も好ましい。具体的には図4又は図5に示すような形状・構造のもので、フレーム部材の1片(外側)が3.2m前後の大きさのものが好ましい。構成材Aが立方体形状であれば、製作や運搬・保管・吊り降ろしなどの作業が容易であると共に、海底に設置するときの向きが自在で、造成工事が容易となるからである。しかし、本発明で用いる構成材Aは、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造のものであれば、必ずしも立方体形状のものでなくてもよく、また、図4や図5の形状・構造のものに限るものではない。さらに、複数個の構成材Aの形状や大きさがそれぞれ不揃いであっても差し支えない。
【0031】
次に、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物に用いる構成材Bについて説明する。構成材Bは、構成材Aと同様にフレーム材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造であるが、構成材Aの略8分の1の空容積のものである。すなわち、構成材Bのフレーム部材は構成材Aのフレーム部材の略2分の1のサイズである。なお、図4・図5は構成材Aの一例を示す図面であるが、同時に構成材Bの一例を示す図面でもある。すなわち、構成材Bも、図4や図5に示すように各種のバリエーションのものを用いることができる。
【0032】
構成材Bも、継ぎ目のない鉄筋コンクリート製のものが丈夫で耐久力があるので好ましい。また、構成材Bもどれも同じ大きさで同じ形状のものを用いるのが好ましく、さらには、立方体形状に製するのが最も好ましい。具体的には、図4又は図5に示すような形状・構造のものでフレーム部材の1片(外側)が1.6m前後の大きさのものが好ましい。構成材Bが立方体形状であれば、構成材Aと同様、製作や運搬・保管・吊り降ろしなどの作業が容易になると共に海底に設置するときの向きが自在で、造成工事が容易となるからである。しかし、本発明で用いる構成材Bは、構成材Aの略8分の1の空容積を有し、フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造のものであれば、必ずしも立方体形状にする必要はなく、また、図4又は図5の形状・構造のものに限るものではない。さらに、複数個の構成材Bの形状がそれぞれ不揃いであっても差し支えない。
【0033】
海底にランダム状に積み上げた複数個の構成材Aの上に複数個の構成材Bをランダム状に積み上げると、構成材Aは構成材Bの略8分の1の空容積のものであるから、構成材Bのフレーム部材が構成材Aどうしの隙間或いは構成材Aのフレーム部材と支骨部材の空間に入り込み、構造物全体としてその内部空間を複雑化すると共に個々の構成材A又は構成材Aと構成材Bが専有する空間の単位重量を重くし、波浪や潮流に対する安全性と安定性を向上させる役割を果たす。この場合、構成材Aには図4の形状のものを用い、構成材Bには図5の形状のものを用いるなど、構成材Aと構成材Bをそれぞれ任意の形状のものに組み合わせて用いて差し支えない。しかし、構成材Aと構成材Bとが相似形状のものであると構成材Aのフレーム部材や支骨部材に構成材Bのフレーム部材がぴったりと合致した状態で支持されやすくなり、構成材Bを構成材Aの上にさらに安定した状態で固定・支持できる。また、構成材Aの各側面や頂面・底面の開放空間や構成材Aどうしの隙間に構成材Bが食い込むことで強固な噛み合わせが形成される。さらに、両者が立方体形状であると構成材Aと構成材Bを任意の位置や状態に自在に設置することができ、しかも、構成材Aと構成材Bの噛み合わせがより確実になるので波浪や潮流に晒されやすい構造物としてはきわめて好ましい状態となる。
【0034】
本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物は山型状(請求項1の発明)又は山脈状(請求項2の発明)に形成する必要がある。本発明でいう「山型状」とは、長さと幅が略1対1から略2対1未満の富士山状ないし台柱状のことをいう。山型の高さは任意である。また、本発明でいう「山脈状」とは、長さと幅が略2対1かそれよりも長さが長い形状のことをいう。山脈の高さは任意である。
【0035】
本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物を「山型状」に造成する場合、その規模は造成する海域の状況に応じて任意である。例えば、高さ15〜20m、底面直径40〜50m、頂面直径15〜20mの台柱型状に造成するとよい。なお、上記の例の場合、構成材Aとしてフレーム部材の外側3.2mの立方体形状のものを概ね200〜300個、構成材Bとしてフレーム部材の外側1.6mの立方体形状のものを概ね300〜500個を使用することになる。また、大型のものでは、例えば、高さ20〜35m、底面直径50〜60m、頂面直径15〜20mの台柱型状に造成するとよい。この例の場合は、構成材Aとしてフレーム部材の外側3.2mの立方体形状のものを概ね300〜500個、構成材Bとしてフレーム部材の外側1.6mの立方体形状のものを概ね450〜800個を使用することになる。このように、構成材Aと構成材Bの個数比を構成材Aの10に対して構成材Bを15〜30にすると、最上段の構成材Aのほとんどの上に構成材Bを効率的に覆い被せることができるので、ムダな経費を費やすことなく、湧昇流発生効果と魚類の蝟集・増殖効果をいっそう高めることができる。
【0036】
本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物を「山脈状」に造成する場合、「山型状」に造成する場合と同様、その規模は造成する海域の状況に応じて任意である。例えば、高さ10〜15m、幅40〜50mで長さ100m以上、好ましくは120m〜150m程度に造成するとよい。なお、上記の例の場合、構成材Aとしてフレーム部材の外側3.2mの立方体形状のものを概ね550個〜850個、構成材Bとしてフレーム部材の外側1.6mの立方体形状のものを概ね1200個〜2100個を使用することになる。このように、構成材Aと構成材Bの個数比を構成材Aの10に対して構成材Bを15〜30にすると、全体を山脈状に形成する場合であっても、最上段の構成材Aのほとんどの上に構成材Bを効率的に覆い被せることができるので、ムダな経費を費やすことなく、魚礁として魚類の蝟集・増殖効果をいっそう高めることができる。なお、本発明に係る山脈状の魚礁兼湧昇流発生構造物では、山脈の長さを100m以上に形成すると海流や潮流の遮断効果がきわめて大きくなり、湧昇流の発生が高くなるのできわめて好まし。さらに、大型の魚礁兼湧昇流発生構造物の場合は、長さ200〜300mのものに造成してもよい。
【0037】
図1は、従来公知の乱積み魚礁の一例の側面図であり、図中のAは構成材Aを示す。すなわち、図1は、海底に構成材Aをランダム状に最高5段に積み上げて全体を山型状に形成してなる乱積み魚礁の側面図である。また、図6は、従来公知の乱積み魚礁の一例を模型を用いて示した説明図(写真)である。
【0038】
また、図2・図3は、それぞれ本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物の一例の側面図であり、図中のAは構成材Aを、Bは構成材Bを示す。すなわち、図2は、海底に構成材Aをランダム状に最高5段に積み上げた上に構成材Bをランダム状に最高2層に積み上げて全体を山型状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物の側面図である。また、図3は、海底に構成材Aをランダム状に最高5段に積み上げた上に構成材Bをランダム状に最高2層に積み上げて全体を山脈状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物の側面図である。さらに、図7は、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物の一例(請求項2の発明)を模型を用いて示した説明図(写真)である。図中の緑色の構成材は構成材Bを示す。
【0039】
本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物の造成は任意の方法を用いて差し支えないが、特に好ましい造成方法を以下に説明する。
すなわち、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物の好ましい造成方法は、構成材A及び/又は構成材Bを陸上で製作した後クレーン船で所定の海域へ運搬し、あらかじめ設定した各構成材の座標配置に基づいて、DGPS(ディフレンシャル・グローバル・ポジショニング・システム)などの汎用型測位機を使用しながら構成材A及び/又は構成材Bの設置する位置を測定した後、ワイヤーロープなどによって一度に1個又は数個単位で吊り下げて海底の所定の位置まで吊り降ろして設置し、設置後は自動反転フックなどを使用してロープを切り離し、以下この作業を繰り返して構成材A及び/又は構成材Bを次々に積み上げて本発明の魚礁兼湧昇流発生構造物を造成する方法である。まず、海底に構成材Aの複数個を4段〜6段程度ランダム状に積み上げ、次いで、その最上部の略全面を覆い被せる程度に複数個の構成材Bをランダム状に積み上げるとよい。このように、本発明の構造物は、近年の汎用型測位機の発達と魚礁設置技術の向上によって、特殊な船舶や機材を用いることなく、容易に施工できる。
【0040】
本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物及び魚礁兼湧昇流発生構造物の造成方法では、構成材Aと構成材Bを「ランダム状に」積み上げるが、本発明でいう「ランダム状に積み上げる」には、無造作に積み上げることの他に、上記のように、あらかじめ位置決めをした上で、一見無造作に積み上げたように見えるように積み上げることを含む。また、本発明において「構成材Aの複数個を積み上げた上に構成材Bの複数個を積み上げる」いう意味は、構成材Bの全てが構成材Aの上に覆い被さっている状態の他に、図2・図3・図7に示すように、構成材Aの一部が露出したままであったり、構成材Bの一部が構成材Aの表面を覆わないで海底に着底した状態である場合も含む。
以下、試験例をもって本発明をさらに詳細に説明する。
【試験例1】
【0041】
<構成材の材質と積み上げ方法による湧昇流発生状況確認試験>
(1)試験方法
垂直循環回流水槽(幅2m×観測部水深1m)内に以下の3種の構成材をランダム状に複数個積み上げて形成した山脈状の3つの構造物についてそれぞれ3段階の流速(0.20、0.35、0.50m/s )で可視化した着色液を流し、流況を観察した。また、流向はタフト法により10cm間隔で観察した。
構造物イ:外側フレーム8cmの構成材A(図4のもの)のみ
構造物ロ:外側フレーム8cmの構成材A(図4のもの)の上に同4cmの構成材B
(図5のもの)を積み上げたもの
構造物ハ:直径1〜2cm程度の石材の複数個を隙間なく積み上げたもの
なお、構造物の規模は、いずれも幅64cm×長さ122cm×高さ33cmの山脈状である。
【表1】

【0042】
(2)試験結果
試験結果は表1のようにまとめることができる。
a.構造物イは、構造物ロ・ハに比べて透過する流れが大きいため、渦領域の鉛直上方向 への拡がりは小さいが、水平方向へは大きく拡がる。
b.構造物ロは、構成材Aの上に構成材Bを積み重ねた効果により、自然の石材からなる 構造物ハと略同等に渦領域が鉛直方向に拡がる。
c.構造物ハは、石材で構成されていて空隙率が低いため、渦領域が鉛直方向に最も高く 拡がる。
【0043】
(3)所見
a.空隙の少ない構造物の方が上昇流の高さは高くなるが、構造物ロは、その内部を通過 する流れがあるにもかかわらず、上昇流の高さは構造物ハと大きな違いはなかった。
b.構造物背後に形成される渦領域は、構造物内部を通過する流れの量や複雑さによって 拡がりの大きさが左右される。
c.内部を通過する流れがほとんどない構造物ハでは、渦領域が狭く、その背後に循環流 が形成されているのみであった。
d.内部を通過する流れがある構造物イと構造物ロの場合、構成材を通過する複雑な流れ が構造物背後の逆流域と混ざり合い、より複雑で広範囲な流れの領域を形成する。すな わち、構造物ロでは、構造物イと同様に広い範囲で渦領域が形成された。
e.また、内部を通過する流れの量が多い構造物イの方が渦領域は広い。
f.本試験例の結果を総合すると、構造物ロは空隙率が大きく、かつ、流れに対する透過 率が低い。その結果、背後に複雑な渦領域を形成すると共に、構造物ハに匹敵する上昇 流を発生させるため、構造物ロは魚礁兼湧昇流発生構造物として最も適した構造物であ ることが判明した。
【0044】
上記の試験例は、ランダム状に積み上げた構成材Aの上に構成材Bの複数個をランダム状に積み上げた山脈状の構造物の水理特性を他の構造物と対比する試験を模型を使って実施したものであるが、同様の対比試験を、ランダム状に積み上げた構成材Aの上に構成材Bの複数個をランダム状に積み上げた山型状の構造物についても行なったところ、表1に示す試験結果と略同様の結果を得ることができた。
【産業上の利用分野】
【0045】
以上詳細に説明するとおり、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物は、魚礁として機能すると共に湧昇流の発生構造物としても機能する。すなわち、魚類の蝟集・増殖効果が大きく、かつ、湧昇流発生効果が大きい構造物である。さらに、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物は、施工が容易であり、かつ、設置工事費が安価であると共に、造成後に激しい波浪や潮流に晒されても安定・安全に維持できる。さらに、本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物の造成方法によれば、これら魚礁兼湧昇流発生構造物を効率的に造成することができる。このように、本発明は、魚類の蝟集や増殖にきわめて重要な効果を奏する発明であり、産業上の利用性はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来公知の乱積み魚礁の一例を示す側面図
【図2】本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物(山型状)の一例を示す側面図
【図3】本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物(山脈状)の一例を示す側面図
【図4】本発明に用いる構成材A(及び構成材B)の一例を示す斜視図
【図5】本発明に用いる構成材A(及び構成材B)の別の一例を示す斜視図
【図6】従来公知の乱積み魚礁の一例の模型を用いた説明図(写真)
【図7】本発明に係る魚礁兼湧昇流発生構造物(山脈状)の一例の模型を用いた説明 図(写真)
【符号の説明】
【0047】
A:構成材A、 B:構成材B
1:フレーム部材
2a・2b・2c・2d:4枚の支骨部材
3a・3b・3c・3d:4枚の支骨部材のくり抜き部
4:中空枠体の内方中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げた上に、構成材Aと同じ構造であって構成材Aの略8分の1の空容積を有する構成材Bの複数個をランダム状に積み上げて全体を山型状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物。
【請求項2】
フレーム部材を組み合わせた四角柱状の中空枠体であって左右対向するフレーム部材から中空枠体の内方に向かって4枚の支骨部材を延伸させ、中空枠体の内方中心部で一体に結合させた構造の構成材Aの複数個を海底にランダム状に積み上げた上に、構成材Aと同じ構造であって構成材Aの略8分の1の空容積を有する構成材Bの複数個をランダム状に積み上げて全体を山脈状に形成してなる魚礁兼湧昇流発生構造物。
【請求項3】
構成材Aがいずれも同じ大きさで同じ形状であり、かつ、構成材Bがいずれも同じ形状である請求項1又は2に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物。
【請求項4】
構成材Aと構成材Bがいずれも立方体形状である請求項3に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物。
【請求項5】
構成材Aと構成材Bの個数比が、構成材Aの10に対して構成材Bが15〜30である請求項4に記載の魚礁兼湧昇流発生構造物。
【請求項6】
陸上で製作した構成材A及び/又は構成材Bをクレーン船で所定水域まで運搬し、DGPSなどの汎用型測位機を用いてあらかじめ設定した座標配置に基づいて構成材A及び/又は構成材Bの設置する位置を測定した後、一度にその1個又数個を水底の当該位置に吊り降ろして海底に次々に積み上げ、請求項1から5のいずれかに記載の魚礁兼湧昇流発生構造物を造成する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−333774(P2006−333774A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162077(P2005−162077)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(591109119)海洋土木株式会社 (2)
【Fターム(参考)】