説明

魚釣用電動リール

【課題】モータ出力を調整するための操作部材およびそれに関連する角度センサの設置位置を工夫して、操作部材を低い位置で容易に操作できるようにすることにより、手持ち状態で、釣竿とリール本体とを片手で把持しながら、サミング操作からスプールの巻き取り操作に至る一連の操作をスムーズに行える小型化(省スペース化)に適した魚釣用電動リールを提供する。
【解決手段】本発明の魚釣用電動リールは、駆動モータの出力を調整する操作部材25を有する。操作部材25は、リールが装着される釣竿と共にリール本体5を片手で把持する手の親指が届く位置であって、スプールの上方で且つ表示部16の後方側の位置に配設される。操作部材25の回転軸25aは、リール本体5を上方から見たときに表示部16または制御部100を避けるように設けられ、操作部材25の操作回転角を検出するための角度センサ130に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用電動リールは、主に深場の釣りに適用させるべく、仕掛けの放出から巻き取りに至るまで、釣竿を船縁に装着された竿掛けに置いたままの状態で行えるように構成されたものが多いが、最近では、手持ち状態で操作が行えるように、よりコンパクト化された構成も製品化されている。
【0003】
一方、魚釣用電動リールは、スプールを巻き取り操作するための操作部材を、様々な位置に配置することが知られている。例えば、特許文献1に開示されているように、リール本体の後方に、モータ出力を調整できるように回動レバー式に構成した操作部材、あるいは、スライドタイプに構成した操作部材を配置することが知られている。また、特許文献2には、制御ケースの上面から円板状の回転摘み(操作部材)の一部を露出させ、上方から親指を押し付けながら回転操作することで、モータ出力を連続的に可変させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−169700号
【特許文献2】特開2003−92959号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、最近の魚釣用電動リールでは、ルアーフィッシングに用いられる魚釣用(ベイトキャスティング)リールと同様、手持ち状態で操作することが可能なタイプも望まれているが、従来の小型化された魚釣用電動リールでは、操作性の面で更に改良すべき余地がある。具体的には、釣竿とともにリール本体を把持した状態で、アタリを感知しながらのサミング操作やシャクリ操作、フッキング、釣糸巻き取り操作などの一連の操作を、釣竿とともにリール本体を把持している側の手で違和感なく行えるようにすることが望ましい。
【0006】
しかしながら、上記した従来のタイプの魚釣用電動リールでは、これら一連の操作を手持ち状態で行うことが難しい。すなわち、特許文献1に開示されている構成では、スプールの巻き取り操作を行なう操作部材を、リール本体を把持している手のみで操作するのは、操作部材の位置や把持状態、リールの重心バランスとの関係から困難である。すなわち、回動レバー式の操作部材の場合には、リール本体の後方に操作部材が配置されているため、重心から離れた位置でリール本体を把持しつつ操作部材を操作することとなり、操作に伴う回転モーメントが大きくなり操作に疲れを来たす結果となる。また、スライドタイプの操作部材の場合には、制御ケースの後面に配置されているため、それを上方から把持することが困難である。更に、このスライドタイプのものは、特許文献2にも同様のものが開示されているが、一般に、操作中に操作部材を把持する親指の位置が大きく移動するため、把持位置が重心バランスの悪い位置となったり、あるいは、その変化が大きくなり過ぎる場合があり、把持性が悪い。
【0007】
一方、特許文献2に開示されている構成(回転摘み型の操作部材)では、リールの高さ寸法が大きくなってしまい、竿を持つ片手でリールも把持しながら操作部材を操作するのが困難となる。すなわち、一般に竿を持つ片手でリールも把持しながら操作部材を操作することを考慮すると、操作部材の位置が低く、操作部材の位置の変化が小さい軸支持式のものが好ましいが、この特許文献2の回転摘み型の操作部材は、軸支持式でありながらも、その他の各構成要素の配置関係に関連して、操作部材を低い位置に配置することができていない。これは、軸支持の場合に通常必要となる角度センサの配置を十分に考慮していないからである。つまり、特許文献2に開示される構成では、操作部材の回転軸がスプール軸に対して略直交しているため、前記回転軸が制御ケースの制御パネル(表示部)と交差するように延在し、したがって、回転軸上に角度センサを配置する際に制御パネルが邪魔となる。そのため、例えば、操作部材の外径を極端に大きくしてその回転軸を制御パネルから大きく下方に延在させた状態で制御パネルの下側に配置される角度センサを回転軸上に取り付ける必要がある。この場合、操作性を考慮して、操作部材を制御ケースの上面から突出させる必要があるため、操作部材の外径が更に大きくなるとともに、角度センサを収容する必要上、制御ケースの厚み寸法も大きくなり、結果として、リール本体が大型化し、竿を持つ片手でリールも把持しながら操作部材を操作するのが更に困難となる。
【0008】
また、通常、制御パネルの下方には、制御基板などの制御部品が配置されるため、角度センサの配置空間を制御パネルの下方に確保することは困難である。そのため、角度センサを制御パネル後方であるスプール上方に設置することも考えられるが、その場合には、角度センサを収容する必要上、制御ケースによってスプール上方の一部が塞がれてしまい、サミング性が低下する結果となる。逆に、サミング性を向上させるために、角度センサと共に操作部材をリール本体の前方に設置してしまうと、その設置位置によっては操作部材に親指が届かなくなり、操作部材の操作性が低下する。
【0009】
いずれにしても、操作部材および角度センサの設置位置は、操作性やサミング性を決定付ける要因であり、十分に検討されることが必要である。特に電動リールは、海上で激しい振動や衝撃を受け、海水、餌、および、魚の粘液などに晒される過酷な環境下で使用されることから、角度センサなどのセンサ類は十分な信頼性が必要であり、したがって、ある程度の大きさが必要となり、設置スペースの確保が重要な課題である。
【0010】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、モータ出力を調整するための操作部材およびそれに関連する角度センサの設置位置を工夫して、操作部材を低い位置で容易に操作できるようにすることにより、手持ち状態で、釣竿とリール本体とを片手で把持しながら、サミング操作からスプールの巻き取り操作に至る一連の操作をスムーズに行える小型化(省スペース化)に適した魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、リール本体の左右側板間に回転可能に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に設けられ、前記スプールを回転駆動する駆動モータと、前記リール本体に回転可能に軸支され、前記駆動モータの出力を調整する操作部材とを有する魚釣用電動リールにおいて、前記リール本体は、前記駆動モータを制御する制御部および表示部を具備する制御ケースを前記スプールの前方側に有し、前記操作部材は、リールが装着される釣竿と共に前記リール本体を片手で把持する手の親指が届く位置であって、前記スプールの上方で且つ前記表示部の後方側の位置に配設され、前記操作部材の回転軸は、リール本体を上方から見たときに前記表示部または前記制御部を避けるように設けられ、前記操作部材の操作回転角を検出するための角度センサに連結されることを特徴とする。
【0012】
この請求項1に記載の発明によれば、駆動モータの出力を調整する操作部材が、リールが装着される釣竿と共に前記リール本体を片手で把持する手の親指が届く位置に配設されているため、サミング操作からスプールの巻き取り操作に至る一連の操作が違和感なくスムーズに行えるようになる。特に、本構成では、操作部材がスプールの上方で且つ表示部の後方側の位置に配設されるため、重心に近い位置でリール本体を把持しつつ操作部材を操作することも可能になり、また、操作に伴う回転モーメントが大きくなって操作に疲れを来たすような事態も回避できる。すなわち、重心バランス、操作性、および、把持性に優れた操作部材の配置を実現できる。
【0013】
また、本構成では、操作部材がリール本体に回転可能に軸支されるため、操作部材の位置がずれることがなく(そのため、回転モーメントが変わらず)、したがって、把持位置が重心バランスの悪い位置となったり、あるいは、その変化が大きくなり過ぎるといったことがない。
【0014】
更に、本構成では、操作部材の回転軸が、リール本体を上方から見たときに表示部または制御部を避けるように設けられているため、操作部材の操作回転角を検出するための角度センサを表示部または制御部と重ならないように配置することが可能になる(角度センサの配置スペースの自由度を大きくできる)。すなわち、操作部材の回転軸のこのような配置形態では、回転軸が制御ケースの表示部(制御パネル)と交差するように延在しないため、表示部の下側に角度センサを配置する必要もなく(したがって、表示部の下方に制御部を設ける従来の一般的な配置形態を容易に実現できる)、また、回転軸上に角度センサを配置する際に制御パネルが邪魔とならず、操作部材の外径を極端に大きくして角度センサを回転軸に取り付ける必要もない。したがって、制御ケースを薄く形成することができ、そのため、操作部材の設置位置を低くできるとともに、操作部材の小型化も図ることができ、結果として、リール本体の小型化、リールの把持性および操作部材の操作性を向上できる。また、このような配置形態によれば、操作部材および角度センサを含む構成要素を効率的に配置することも可能となり、省スペース化を図ることができる。
【0015】
なお、本発明では、制御ケースが配置されるリール本体の側が前方、スプールが配置されるリール本体の側が後方、左右側板が配置されるリール本体の側が左右(側方、側部)、釣竿に取り付けられるリール本体の側が下方、その反対側が上方として方向が規定される。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記操作部材の回転軸は、前記スプールの回転軸と略平行であることを特徴とする。
この請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、操作部材の回転軸をスプールの回転軸と略平行とすることで、操作中の指位置が左右方向にずれることを防止できる。つまり、良好な把持性および操作性を実現できる。上記構成において、「スプールの回転軸と略平行」とは、スプールの回転軸の軸心に対して平行な関係を含むことは無論のこと、スプールの回転軸の軸心に対して±30°以内の角度を成す方向も含むものとする。また、スプールの回転軸は、スプールの回転中心となる軸のことであり、例えばスプールを回転駆動させるためのモータがスプールの外部に配置される場合には一般にスプール軸の中心が該当し、モータがスプール内に配置される場合にはスプール軸が存在しないためモータの回転軸(の中心)が該当する。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記角度センサが前記操作部材の前記回転軸の軸線上に配置されることを特徴とする。
この請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、角度センサが操作部材の回転軸の軸線上に配置されるため、制御ケースを厚くすることなく角度センサを制御ケースと一体に保持することができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記操作部材の操作回転角を検出するための角度センサが前記リール本体の前記側板と前記制御ケースとを跨るように配置されることを特徴とする。
【0019】
この請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、角度センサがリール本体の側板と制御ケースとを跨るように配置されるため、角度センサが左右にずれる分、操作部材の左右方向の長さ(幅寸法)を大きく確保でき、操作性を向上させることができる。また、角度センサが左右にずれる分だけ、操作部材の回転軸を軸支するためのスペースをリール本体において大きく確保することができ、そのため、操作部材および回転軸の剛性・強度を高めることができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項3に記載の発明において、前記制御ケースの側部には、前記角度センサを収納するための収納部が突設されることを特徴とする。
【0021】
この請求項5に記載の発明によれば、請求項1または請求項3に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、角度センサの組み込みが容易となる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記制御ケースには、前記角度センサを収納するための収納部が上方に突出して設けられることを特徴とする。
【0023】
この請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、収納部の上方突出形態に起因して角度センサを上方に配置できることから、操作部材の回転軸も上方に配置できるため、回転軸とスプールとの干渉を未然に回避できる。
【0024】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発明において、前記操作部材が略円筒状を成すことを特徴とする。
【0025】
この請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、操作部材を略円筒状にすることにより、指との接触面積を大きく確保でき、したがって、指(一般に、親指)の操作フィーリングを向上できる。また、略円筒状の形態によって十分な剛性・強度を確保できるため、操作部材を指で保持した状態で魚が掛かった際に操作部材に大きな押圧力を加えた場合でも、その力に耐えることができる。
【0026】
なお、一般にスペースを大きく占めるこのような円筒形態を操作部材において採用できるのは、前述したように角度センサの配置スペースの自由度が大きいからである。ここで、「略円筒」とは、断面が真円の筒体を含む他、外周の少なくとも一部に凹凸などの異形部を伴う筒体も含む。
【0027】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発明において、前記制御ケースの上面には、前記表示部と前記操作部材との間で且つ釣竿と共にリール本体を片手で把持する手の親指が届く位置に操作ボタンが設けられることを特徴とする。
【0028】
この請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、表示部と操作部材との間に操作ボタンが設けられるため、釣竿と共にリール本体を把持する手の親指で操作ボタンを操作することができる。このような構成は、表示部と操作部材との間に操作部材の回転軸が存在しないからこそ実現できることであり、存在しないからこそ表示部と操作部材との間に操作ボタンを支障なく設けることができる。
【0029】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の発明において、前記操作部材、前記角度センサ、および、これらを支持する支持部材から成る操作部機構と、前記制御ケースの制御部とが、互いにリール本体の前後に配置された状態で独立に防水処理されることを特徴とする。
【0030】
この請求項9に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、操作部材、角度センサ、および、これらを支持する支持部材から成る操作部機構と、制御ケースの制御部とが、互いにリール本体の前後に配置された状態で独立に防水処理されるため、操作部機構と制御部とを前後に独立に組み付けることが可能になるとともに、メンテナンスも独立に行なうことができ、組み付け性およびメンテナンス性が向上する。
【0031】
なお、このような構造形態は、操作部材がスプールよりも上方で且つ表示部の後方側の位置に配設されるとともに操作部材の回転軸がリール本体を上方から見たときに表示部または制御部を避けるように設けられているからこそ実現できることである。また、本構成では、省スペース化のため、制御部と表示部とを上下方向に重なるように配置することが好ましい。また、制御部は、複数の制御基板を上下方向に配置することによって構成されることが好ましい。
【0032】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の発明において、前記角度センサは、リール本体を上方から見たときに、その中心軸が前記スプールの回転軸よりも前方側に位置されるとともに、その前端部位が前記制御部よりも後方側に位置されることを特徴とする。
【0033】
この請求項10に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、角度センサの位置を、スプールの回転軸の前方側で且つ制御部の後方側に設定できるため、サミングするための空間を十分に確保しつつ、制御部の設置空間も確実に確保できる。また、このような配置形態によれば、クラッチ操作部などの他の構成要素をスプールの上方の側板領域に配置することも可能となる。
【0034】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の発明において、前記制御ケースの後方部位に開放部が設けられ、この開放部に前記操作部材が配置されることを特徴とする。
【0035】
この請求項11に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の発明と同様の作用効果が得られるとともに、制御ケースの後方部位に開放部が設けられ、この開放部に操作部材が配置されるため、操作部材の外径を小さくしても(したがって、操作部材の高さを低くしても)、操作部材の操作が可能になる。
【0036】
なお、開放部は、スプール側(後方側)に向かって開口が広がる「ハ」の字形状を成すことが好ましい。そのような形状によれば、スプール上でのサミング操作から操作部材の操作への移行を障害なくスムーズに行なえるため有益である。
【0037】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記操作部材は、リールが装着される釣竿と共に前記リール本体を片手で把持する手の親指が届く位置であって、前記スプールの上方における前記表示部の側方側で且つ後方側の位置に配設され、前記操作部材の回転軸は、リール本体を上方から見たときに前記表示部または前記制御部を避けるように、前記スプールの回転軸と略垂直に延びることを特徴とする。
【0038】
この請求項12に記載の発明によれば、駆動モータの出力を調整する操作部材が、リールが装着される釣竿と共に前記リール本体を片手で把持する手の親指が届く位置に配設されているため、サミング操作からスプールの巻き取り操作に至る一連の操作が違和感なくスムーズに行えるようになる。特に、本構成では、操作部材がスプールの上方における前記表示部の側方側で且つ後方側の位置に配設されるため、リールの重心に比較的近い位置でリール本体を把持しつつ操作部材を操作可能となる。
【0039】
また、本構成では、操作部材の回転軸が、リール本体を上方から見たときに表示部または制御部を避けるように、前記スプールの回転軸と略垂直に延びるため、操作部材の操作回転角を検出するための角度センサを表示部または制御部と重ならないように配置することが可能になる(角度センサの配置スペースの自由度を大きくできる)。すなわち、操作部材の回転軸のこのような配置形態では、回転軸が制御ケースの表示部(制御パネル)と交差するように延在しないため、表示部の下側に角度センサを配置する必要もなく(したがって、表示部の下方に制御部を設ける従来の一般的な配置形態を容易に実現できる)、また、回転軸上に角度センサを配置する際に制御パネルが邪魔とならず、操作部材の外径を極端に大きくして角度センサを回転軸に取り付ける必要もない。したがって、制御ケースを薄く形成することができ、そのため、操作部材の設置位置を低くできるとともに、操作部材の小型化も図ることができ、結果として、リール本体の小型化、リールの把持性および操作部材の操作性を向上できる。また、このような配置形態によれば、操作部材および角度センサを含む構成要素を効率的に配置することも可能となり、省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、モータ出力を調整するための操作部材およびそれに関連する角度センサの設置位置を工夫して、操作部材を低い位置で容易に操作できるようにすることにより、手持ち状態で、釣竿とリール本体とを片手で把持しながら、サミング操作からスプールの巻き取り操作に至る一連の操作をスムーズに行える小型化(省スペース化)に適した魚釣用電動リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図である。
【図2】図1に示す魚釣用電動リールをハンドル側から見た側面図である。
【図3】図1に示す魚釣用電動リールを後方側から見た正面図である。
【図4】図1に示す魚釣用電動リールを前方側から見た背面図である。
【図5】内部機構が部分的に示される図1に示す魚釣用電動リールの平面図である。
【図6】図1に示す魚釣用電動リールの内部駆動機構を側方から見た概略図である。
【図7】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図8】操作部材、角度センサ、および、これらを支持する支持部材から成る操作部機構の配置形態を詳細に示す図1に示す魚釣用電動リールの平面図である。
【図9】リール本体の制御ケースおよび側板の分解図である。
【図10】図8のB−B線に沿う断面図である。
【図11】操作部機構と制御ケースの制御部等との配置関係を示す制御ケース付近を裏側(下方側)から見た斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用電動リールの制御ケースおよび側板の分解図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図である。
【図16】図15の魚釣用電動リールの制御ケースおよび側板の分解図である。
【図17】本発明の第6の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図である。
【図18】図17のC−C線に沿う断面図である。
【図19】本発明の第7の実施形態に係る魚釣用電動リールの平面図である。
【図20】操作部材の変形例を示す図であり、(a)は制御ケース部分を示す平面図、(b)は操作部材のD−D断面図、(c)は操作部材の側面図である。
【図21】操作部材の変形例を示す図であり、(a)は制御ケース部分を示す平面図、(b)は操作部材のE−E断面図、(c)は操作部材の側面図である。
【図22】操作部材の変形例を示す図であり、(a)は制御ケース部分を示す平面図、(b)は操作部材のF−F断面図、(c)は操作部材の側面図である。
【図23】操作部材の変形例を示す魚釣用電動リールの平面図である。
【図24】図23の魚釣用電動リールをハンドル側から見た側面図である。
【図25】(a)は釣竿と共にリール本体を片手で把持して操作部材を操作する状態をリールの側方から見た側面図、(b)は釣竿と共にリール本体を片手で把持して操作部材を操作する状態をリールの上方から見た平面図である。
【図26】制御ケース内に収納される制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0043】
図1〜図11は本発明の第1の実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態の魚釣用電動リール1は、左右のフレーム3a,3bに左右カバー4a,4bを取着して構成される左右側板5A,5Bを具備したリール本体5を有している。リール本体5を構成する一方の側板(右側板5B)側には、巻取り操作される手動ハンドル6が設けられており、左右側板5A,5B間には、釣糸が巻回されるスプール7がスプール軸7a(図7参照)を中心に回転可能に支持されている。また、本実施形態では、図5〜図7に示すように、スプール7の前方側における左右側板5A,5B間に駆動モータ8を保持しており、スプール7は、手動ハンドル6の巻取り操作および駆動モータ8の回転駆動によって、動力伝達機構10(図5参照)を介して釣糸巻取り方向に回転駆動される。
【0044】
なお、駆動モータ8については、スプール7の内部に設置する構成であっても良いが、本実施形態のように、スプール7の前方に設置することで、スプール7の糸巻き量を確保しつつ、リール本体5を可及的にコンパクト化することが可能となる。また、動力伝達機構10については、駆動モータ8の回転駆動力を減速してスプール7側に伝達する機能(減速機構102および伝達ベルト100(図5参照)などによって果たされる)、駆動モータ8が回転駆動しても手動ハンドル6を連れ回しさせない機能や手動ハンドル6の逆回転を防止する機能(ラチェット104を含む)などを備えた公知のものによって構成することが可能である。また、そのような動力伝達機構10については、左側板5A側に配設されていても良いし、右側板5B側に配設されていても良く、或いは、左右側板それぞれに振り分けて配設されていても良い。なお、図中(特に図5)、116はハンドル6に結合されたハンドル軸、118は、ハンドル軸116に回転可能に支持されたドライブギア、120はドライブギア118に噛合するピニオンであり、これらは前述した動力伝達機構10を構成する。また、図中、125は魚釣時にスプール7から釣糸が繰り出された際にスプール7の回転にドラグ力を付与する公知のドラグ機構である。また、リール本体5とハンドル6との間には、ドラグ機構125によるドラグ力の調整を行なうための星型のドラグ調整ノブ(スタードラグ)139が設けられている。
【0045】
また、スプール7の前方の左右側板5A,5B間には、スプール7に対して均等に釣糸を巻回する機能を備えた公知のレベルワインド機構142が設置されている。さらに、リール本体5を構成する左右側板5A,5B間のスプール7の上方には、駆動モータ8を制御する制御部100(図7,11,26参照)を具備する制御ケース15が配設されている(制御部100の構成については後述する)。この制御ケース15は、その表面が左右側板5A,5Bの表面と面一状に構成されている。
【0046】
また、リール本体5内には、ピニオン120を軸方向に移動させてスプール7を釣糸巻き取り状態/フリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構17(図5参照)が配置されている。このクラッチ機構17は、動力伝達機構10に介在されて手動ハンドル6および駆動モータ8からの動力伝達を継脱する機能を備えており、本実施形態では、右側板5B側に設置されている。このクラッチ機構17を構成するクラッチプレートには、図1に示されるように、動力伝達をON状態からOFF状態に切り換えるクラッチOFF切り換え部材18と、動力伝達をOFF状態からON状態に切り換えるクラッチON切り換え部材19が係合している。
【0047】
本実施形態におけるクラッチOFF切り換え部材18は、スプール7をサミングしながら操作が可能となるように、スプール7の後方側の左右側板5A,5B間に橋設された構成となっており、図7に示す状態から押し下げ操作することで、クラッチ機構17をON状態からOFF状態に切り換えるよう構成されている。クラッチOFF切り換え部材18は、図6に示される振り分け保持バネ400によって、図7に示すクラッチON位置とクラッチOFF位置(図示せず)との間で振り分け保持される。
【0048】
また、本実施形態におけるクラッチON切り換え部材19は、右側板5B側に設置されており、振り分け保持バネ400(図6参照)によって、クラッチON位置とクラッチOFF位置との間で揺動可能となるよう振り分け保持されている。
【0049】
リール本体5には、駆動モータ8に対して電力を供給するための給電部20が設けられている。この給電部20は、左側板5Aの前方側の下面領域に形成されており、この給電部20に対しては、着脱可能な携帯バッテリ22(図25参照)を装着したり、或いは、足元に置いたバッテリや釣り船に設置されている電源部から電力供給される給電コードが装着される。
【0050】
制御ケース15は、スプール7の前方側に設けられている。具体的には、制御ケース15は、特に図7に示すように、スプール7の上方で、その回転軸O2(この回転軸としては、本実施形態ではスプール7の外側に駆動モータ8が配置されているためスプール軸7aの軸心(中心軸)が該当するが、スプール7の内部に駆動モータ8が配置される別の形態ではスプール軸7aが存在しないためモータ8の回転軸が該当する)近傍からレベルワインド機構12および駆動モータ8を覆うような大きさを備えており、その後方部分に、駆動モータ8の出力を調整する操作部材25が配置されている。この操作部材25は、スプール7の上方に位置して、前後方向(釣竿方向)に変位できるように支持されている。ここで、スプール7の上方とは、スプールに釣糸が巻回された状態において、サミング操作しながら操作が可能となるように、操作領域(親指が当接する操作領域)が、スプール7の回転軸O2よりも前方側に多少オフセットしていることが好ましい。本実施形態における操作部材は、回転可能な形状となっており、詳細には、操作性が良好となるように、略円筒形状に構成され、その外表面(回転表面)が、左右側板間でスプール7を露出させる開口領域に面して、回転する方向が前後方向(後方側から見ると上下方向)となるように支持されている。
【0051】
操作部材25は、リール本体5を、リール脚取付け部5aを介して釣竿Rに装着した際に、図25に示すように、釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態の手の親指Tが届く位置であって、制御ケース15の表示部(液晶パネル)16の後方側の位置に配設されている。
【0052】
また、回転部材として構成される操作部材25は、操作方向が略前後方向となるように構成されている。略円筒形状に構成された操作部材25は、その回転軸25aの両端が制御ケース15に対して回転可能に支持(軸支)されており(両軸支持されている)、糸絡みを効果的に防止するようにしている(図10)。さらに、操作部材25が左右側板5A,5Bの中央領域に位置することで、リール本体5の重心に対する把持位置のバランスが良くなり、操作性が良く、疲れ難い構成とすることが可能となり、更に、右手、左手のどちらの手で把持しても共通の感覚が得られるようになる。なお、操作部材25の回転軸25aについては、制御ケース15以外の部分(例えば、側板5A,5Bなど)に対して回転可能に支持されたものであっても良い。また、操作部材25については、片側のみ回転可能に支持(片持ち支持)されたものであっても良い。また、特に本実施形態において、制御ケース15の後方部位には、後方から親指でサミングしたまま指先で操作部材25に触れるように開放部210が設けられ、この開放部210内に操作部材25が配置されている。ここで、開放部210は、スプール7側(後方側)に向かって開放幅が広がる「ハ」の字形状を成しており、制御ケース15の後端縁で開口している。そのような形状によれば、スプール7上のどの位置においてもサミング操作から操作部材25の操作への移行を障害なくスムーズに行なえるため有益である。
【0053】
ここで、操作部材における略円筒形状とは、図に示すように、内部が中実であっても良いし、全体或いは部分的に空洞部があるものを含む概念である。また、その外形状については、本実施形態のように、正確な円筒形状は勿論、周囲に凹凸が形成されていたり、指でつまんだり、当て付けることが可能な突起部が形成されたものであっても良い。或いは、軸方向の中間部分が膨出していたり、窪んでいるなど、軸方向に親指の腹部が当接できて回転操作ができるような外形状を備えたものであれば良い(これらの具体的な構成例については後述する)。さらに、略円筒形状に構成された操作部材25については、制御ケース15の表面から突出していても良いし、少なくとも一端側の回転表面が、制御ケース(リール本体)との間で略面一状にされていても良い。
【0054】
上記のように、操作部材25を、釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態でサミング操作しながら操作可能な位置に配設したことで、釣竿Rとリール本体5を保持した姿勢で片手操作を行うことが可能となる。また、親指でサミングしながら、親指の指先で操作部材25に触れていることが可能であるため、サミングによるアタリを感知しながら、即座にモータ駆動による巻き取りが可能となる。さらに、操作部材25は、略前後方向に移動可能となっていることから、同時にサミングしたり離したりする(接触させたり離す)指の動きと同一方向となり、操作性が良好となる。
【0055】
また、操作部材25を回転部材としたことで、より広い方向からの操作(例えば後方からの操作や上方からの操作)が可能となり、省スペースで操作範囲を大きくすることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、略円筒形状の操作部材25の回転軸25aは、リール本体5を上方から見たときに制御ケース15の表示部16または制御部100を避けるように、スプール7の回転軸7aと略平行に延びるように設置している。
このように、略円筒形状の操作部材25の回転軸25aを、スプール7の回転軸7aと略平行(平行を含む)にすることで、リール本体を把持保持した状態で、操作部材25を自由に回転しても、指(親指T)の位置が横方向にずれ難くなり、リール本体を把持保持した際のバランスが悪くなることがなくなる。すなわち、図25の(b)の矢印で示すように、操作部材は前後方向にしか移動しないため、親指Tの位置が大きく横にずれることはなく、リール本体の重心や給電部20にかかる力(図に示すように、給電部20は側部に設けられていることから、給電コードに引っ張られる力や携帯バッテリの重量負荷などで、釣竿Rの長手軸を中心に回転負荷による力がかかり易い)によるねじれ負荷に対し、操作性が低下したり疲れ易くなることがなくなる。この場合、操作部材25を回転させた際の指(親指T)の位置の横方向のずれを考慮すると、略平行の範囲は、スプールの回転軸に対して±30°の範囲と定義しても良い。従って、操作部材25の変位方向である「略前後方向」には、前後方向(釣竿の軸方向)は勿論、軸方向に対して±30°の範囲内を含むものとする。
【0057】
また、前記操作部材25については、上述したように、制御ケース15の後方で制御ケース15とは独立して配置されている。この場合、図7および図11に示すように、制御ケース15の後方側下端部分に、操作部材25とスプール7との間で後方側に向けて突出する誤動作防止部としての保護カバー15cを設けておくことが好ましい。このような保護カバー15cを形成しておくことにより、釣糸を巻き取り操作する際、釣糸に付着したゴミや異物が操作部材25に当たることを防止して、誤動作が生じることを防止することが可能となる。
【0058】
このように、操作部材25を、制御ケース15とは独立に設置することで、分解掃除などのメンテナンス作業が容易に行えるようになり、また、制御ケース15については、把持される部分となるため、剛性や強度の向上を図る上での設計の自由度が高くなる。すなわち、操作部材25を、制御ケース15内に組み込む構成にしないことで、各部品のメンテナンス作業が容易に行えると共に、重量増加を抑制することが可能となる。また、これに関連して、特に本実施形態では、操作部材25、後述する角度センサ130、および、これらを支持する支持部材から成る操作部機構と、制御ケース15の制御部100とが、互いにリール本体5の前後に配置された状態で独立に防水処理されている。具体的には、図7〜図11(特に図10、図11参照)に示されるように、操作部材25の一方側を軸支する回転軸25aは、制御ケース15に支持される第1の支持部材220に一体形成されており、回転軸25aは、筒状の操作部材25の内孔にOリング225(操作部材25の回転に節度感を与える)を介してシール状態で挿通されている。また、操作部材25の他方側は、操作部材25の内孔に突出する角度センサ130の内端部130aによって支持されており、内端部130aと操作部材25の他端部との間にはカラー229が介挿されている。つまり、本構成では、角度センサ130と操作部材25とが軸長方向に重なっており、それにより、軸長方向で省スペース化が図られている。また、角度センサ130は、第2の支持部材230によって制御ケース15に対して支持固定されている。そして、このような支持構造において、図11に明確に示されるように、操作部材25、角度センサ130、および、これらを支持する支持部材220,230から成る操作部機構と、制御ケース15の制御部100とが、互いにリール本体5の前後に配置されるとともに、制御部100は制御ケース15の背面で防水蓋300により完全シール処理されるとともに、前記操作部機構も図示しないシール手段によって制御部100とは独立に防水処理されている。具体的には、角度センサ130自体が完全にシール処理されている。なお、独立させずに制御ケース15内に角度センサ130を埋め込んで防水処理してもよいが、メンテナンス性には好ましくない。
【0059】
また、上記した制御ケース15には、図7および図26に明確に示されるように、駆動モータ8の駆動を制御する制御部100(制御基板120A,120B)が収容されており、操作部材25の回転操作量に応じて駆動モータ8の出力を調整するようになっている。この場合、制御部100は、操作部材25を前方に向けて回転操作することで、駆動モータ8の出力が上昇するように設定されている。すなわち、釣糸の巻き取りをする際、サミングしている親指をそのまま前方に延ばして、操作部材25を押し上げるような操作をすることで釣糸の巻き取り操作が行えるため、操作性の向上が図れるようになる。
【0060】
なお、操作部材25の回転操作量と駆動モータ8の出力との関係については任意であるが、本実施形態では、操作部材25の基準位置をモータの出力値0として、120°前方に回転操作した際、モータ出力がMaxになるように設定されている。すなわち、前方方向に向けて操作した際に増速とすることで、釣竿とリール本体を持つ手に負荷がかかる高速巻き取り時に、より前方を把持できるので、把持保持性が高くなり、操作性が良く、疲れ難くなる。
もちろん、操作部材25については、後方に向けて回転操作した際に、駆動モータ8の出力が上昇するように設定しても良い。このような操作部材の構成によれば、スプールをサミングしている親指の第一関節を折り曲げる動作をするだけで、サミング操作をONからOFFにすると同時に、操作部材を手前側に回転操作(駆動モータの増速回転)することができ操作性の良い構成となる。
【0061】
前記制御ケース15の表面には、繰り出された釣糸の長さ(糸長情報)などを表示する表示部(液晶表示部)16が設けられており、また、その周囲には、各種の情報が設定可能な複数の操作ボタン216が配設されている。なお、本実施形態において、操作ボタン216は、図1に明確に示されるように、制御ケース15の上面において、表示部16と操作部材25との間で且つ釣竿Rとともにリール本体5を把持保持した状態で親指が届く位置とされている。
【0062】
ここで、前記制御ケース15に収容される制御部100の構成について、図26を参照して説明する。
図26は、上記した構成の魚釣用電動リールの動作を制御する制御部100の構成を示すブロック図である。
【0063】
制御ケース15に収容される制御部100は、魚釣用電動リールの動作を制御するCPU(Central Processing Unit)110、糸長を計測したり、駆動モータの出力を可変制御するための各種プログラムや設定情報などを記憶したROM(Read Only Memory)111、一時記憶領域としてのRAM(Random Access Memory)112を実装した制御基板(マイクロコンピュータ)120A,120Bを備えており、これらの制御基板120A,120Bには、I/Oポート115を介して、各作動要素との間で信号の送受信がなされ、動作が制御されるようになっている。なお、本構成では、省スペース化のため、制御部100と表示部16とを上下方向に重なるように配置されている(図7参照)。また、制御部100は、複数の制御基板120A,120Bを上下方向に配置することによって構成される。
【0064】
すなわち、前記制御基板120A,120Bとの間では、前記操作部材25の操作量を検知する検知手段、具体的には、操作部材25の操作角度に応じて操作位置信号を出力する角度センサ130、スプール7に巻回されている釣糸の繰り出し量を検知することが可能な糸長計測装置140、制御ケース15上に設けられた液晶表示部16に対して各種の情報を表示させる表示制御回路160、制御ケース15上に設けられた操作ボタン16a,16b、及び駆動モータ8の出力を停止状態から高出力値まで連続的に増減調整するモータ駆動回路170との間で信号の送受信がされるよう構成されている。そして、前記CPU110は、ROM111に格納されている所定のプログラムを実行し、これに応じて生成される制御信号を、I/Oポート115を介して上記した各作動要素に供給することで各作動要素を制御し、魚釣用電動リール全体を制御する機能を有する。
【0065】
また、前記ROM111は、CPU110によって実行される各種プログラムや、制御処理に必要とされるデータ(例えば、糸長計測装置140から入力される検知信号に基づいて糸長を計測する演算プログラム、操作部材25の操作角度とそれに対応して駆動モータ8の回転速度を可変させるデューティ比を特定する可変制御テーブル、液晶表示部16で文字や数字などの画像を表示させるための画像表示データなど)が記憶されている。また、前記RAM112は、作業領域を備えており、前記プログラムが作動している際に、処理手順やデータなどを一時的に記憶する機能を備えている。
【0066】
前記操作ボタン216は、例えば、投入した仕掛けを所望の深さで停止させる深さ情報、駆動モータ8の出力の可変範囲を変更する出力範囲設定情報など、釣り人から各種の情報を受け付ける。
【0067】
前記糸長計測装置140は、スプール7が釣糸の繰り出し/巻き取りで回転駆動された際、例えば、回転部分に装着されたマグネットと、これを検知する磁気センサによって実際の回転量や回転方向を検知し、その検知信号を生成する。
【0068】
また、前記モータ駆動回路170は、スプール7を回転駆動する駆動モータ8を駆動制御する機能を備える。具体的には、モータ駆動回路170は、例えば、前記CPU110からの制御信号(PWM信号;パルス幅変調信号)に基づいて、駆動モータに対する駆動電流通電時間率(デューティ比)を可変制御し、駆動モータ8を停止状態(OFF状態)から高速回転状態(Max状態)まで連続的に増減調節する。なお、前記CPU110からは、操作部材25の初期位置(OFF位置)から実際の操作量を検知する角度センサによる検知信号に基づいて、角度毎に設定されているデューティ比に関する制御信号が出力される。
【0069】
前記表示制御回路160は、前記CPU110の制御に基づいて駆動され、液晶表示部16に対して、例えば、現在の釣糸の繰り出し量、仕掛けを投入してからの時間、駆動モータ8の駆動速度(インジケータによる表示でも良い)、或いは、操作方法やメッセージなど、釣り人に対して各種情報を表示させる機能を有する。
【0070】
操作部材25の操作回転角を検出するための角度センサ130は、操作部材25の操作角度に応じた信号を生成する機能を備えたものであれば良く、例えば、操作部材の操作量に応じた抵抗値の変化を出力するポテンショメータを備えたもの、或いは、操作量に応じたパルスを生成するエンコーダを備えたものなど、様々な構造のものを適用することが可能である。
【0071】
ここで、角度センサ130の配置形態は、本実施形態の特徴的構成の1つである。すなわち、本実施形態の特徴的な構成として、角度センサ130は、例えば図1および図9等に示されるように、ハンドル6側に配置されるとともに、操作部材25の回転軸25aの軸線L上に配置されている。この場合、角度センサ130は、リール本体5の一方の側板(本実施形態では、右側板5B)と制御ケース15とを跨るように配置されている。特に図9に明確に示されるように、角度センサ130はその右側端部が制御ケース15から側方に突出しており、その突出端部が右側板5B側に位置されるようになっている。なお、図9中、15Aは、制御ケース15の前方に配設されるフロントカバーである。また、角度センサ130が側板5Bと制御ケース15とを跨るように配置されることに伴い、制御ケース15の右側部には、図3,8,9,10(図10は図8のB−B線に沿う断面であり、図面下側が上方、図面上側が下方を示している)に明確に示されるように、角度センサ130を収納するための収納部15bが突設され、一方、側板5Bにも角度センサ130を収納するための収納部5Baが突設されている。この場合、収納部15bは、制御ケース15の上面から上方へ突出する上方突出部15baを有する。また、側板5B側の収納部5Baもリール本体5の上方に突出して設けられている。ここで、操作部材25の外径寸法と角度センサ130の外径寸法との間の関係は、これらの部材の効率的で且つ省スペースな配置および操作部材25の操作性を実現する上で重要である。これに対応して、本実施形態では、図8に示されるように、操作部材25の外径D1が角度センサ130の最大外径D2の0.8〜1.5倍に設定されている。この場合、操作部材25の回転軸25aの外径D3は4.0mm以上10.0mm以下に設定される。
【0072】
また、本実施形態においては、図7に明確に示されるように、リール本体5を上方から見たときに操作部材25の少なくとも一部がスプール7の回転軸O2と前後方向で重なっており、スプール7の回転軸O2を通って前後方向に延びる水平面Pに対するスプール7の上端部位の垂直高さ寸法H1と水平面Pに対する操作部材25の上端部位の垂直高さ寸法H2との間の寸法差は、角度センサ130の外径寸法D2の1.2〜2.4倍に設定されている。また、これに加えて、角度センサ130は、リール本体5を上方から見たときに、その中心軸O1(操作部材25の回転軸25aの軸線Lと同一)がスプール7の回転軸O2(スプール軸7aの中心軸)よりも例えば寸法Xだけ前方側に位置されるとともに、その前端部位が制御部100よりも後方側に位置されている。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動モータ8の出力を調整する操作部材25が、リールが装着される釣竿Rと共にリール本体5を把持する手の親指Tが届く位置に配設されているため、サミング操作からスプール7の巻き取り操作に至る一連の操作が違和感なくスムーズに行えるようになる。特に、本実施形態では、操作部材25がスプール7よりも上方で且つ表示部16の後方側の位置に配設されるため、重心に近い位置でリール本体5を把持しつつ操作部材25を操作することも可能になり、また、操作に伴う親指の左右方向のずれによって回転モーメントが大きくなって操作に疲れを来たすような事態も回避できる。すなわち、重心バランス、操作性、および、把持性に優れた操作部材25の配置を実現できる。また、本実施形態では、操作部材25がリール本体5に回転可能に軸支されるため、操作部材25の位置がずれることがなく(そのため、回転モーメントが変わらず)、したがって、把持位置が重心バランスの悪い位置となったり、あるいは、その変化が大きくなり過ぎるといったことがない。つまり、良好な把持性および操作性を実現できる。更に、本実施形態では、操作部材25の回転軸25aが、リール本体5を上方から見たときに表示部16または制御部100を避けるように、スプール7の回転軸O2と略平行に延びるため、操作部材25の操作回転角を検出するための角度センサ130を表示部16または制御部100と重ならないように配置することが可能になる(角度センサ130の配置スペースの自由度を大きくできる)。すなわち、操作部材25の回転軸25aのこのような配置形態では、回転軸25aが制御ケース15の表示部16と交差するように延在しないため、表示部16の下側に角度センサ130を配置する必要もなく(したがって、表示部16の下方に制御部100を設ける従来の一般的な配置形態を容易に実現できる)、また、回転軸25a上に角度センサ130を配置する際に制御パネル15が邪魔とならず、操作部材25の外径D1を極端に大きくして角度センサ130を回転軸25aに取り付ける必要もない。したがって、制御ケース15を薄く形成することができ、そのため、操作部材25の設置位置を低くできるとともに、操作部材25の小型化も図ることができ、結果として、リール本体5の小型化、リールの把持性および操作部材25の操作性を向上できる。また、このような配置形態によれば、操作部材25および角度センサ130を含む構成要素を効率的に配置することも可能となり、省スペース化を図ることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、角度センサ130がリール本体5の側板5B(側板5Aであってもよい)と制御ケース15とを跨るように配置されるため、角度センサ130が左右にずれる分、操作部材25の左右方向の長さ(幅寸法W)を大きく確保でき、操作性を向上させることができる。また、角度センサ130が左右にずれる分だけ、操作部材25の回転軸25aを軸支するためのスペースをリール本体5において大きく確保することができ、そのため、操作部材25および回転軸25aの剛性・強度を高めることができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、角度センサ130が操作部材25の回転軸25aの軸線L上に配置されるため、制御ケース15を厚くすることなく角度センサ130を制御ケース15と一体に保持することができる。また、本実施形態では、角度センサ130を収納するための収納部15bはリール本体5の上方に突出しているため、角度センサ130を上方に配置できる。そのため、操作部材25の回転軸25aも上方に配置させることができ、回転軸25aとスプール7との干渉を未然に回避できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、操作部材25が略円筒状に形成されているため、指との接触面積を大きく確保でき、したがって、指(一般に、親指)の操作フィーリングを向上できる。また、略円筒状の形態によって十分な剛性・強度を確保できるため、操作部材25を指で保持した状態で魚が掛かった際に操作部材25に大きな押圧力を加えた場合でも、その力に耐えることができる。なお、一般にスペースを大きく占めるこのような円筒形態を操作部材において採用できるのは、前述したように角度センサ130の配置スペースの自由度が大きいからである。
【0077】
また、本実施形態によれば、操作部材25の回転軸25aの外径D1が4.0mm以上10.0mm以下であるため、回転軸25aの剛性・強度を十分に確保でき、操作部材25を指で保持した状態で魚が掛かった際に操作部材に大きな押圧力を加えた場合でも、その力に耐えることができる。また、このように剛性・強度が十分得られれば、図10に示されるように、回転軸25aを操作部材25に完全に貫通させる必要がなくなるため、角度センサ130と操作部材25とを軸方向に重ねることも可能になる。なお、このように、回転軸25aの外径D1を太くできるのは、前述したように角度センサ130の配置スペースの自由度が大きいからである。なお、回転軸25aの外径D1が10.0mmを越えると、重量増の問題が生じるとともに、操作部材25の高さを低く抑えることが難しくなる。
【0078】
また、本実施形態によれば、表示部16と操作部材25との間で且つ釣竿Rと共にリール本体5を把持する手の親指Tが届く位置に操作ボタン216が設けられるため、釣竿Rと共にリール本体5を把持する手の親指Tで操作ボタン216を操作することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、操作部材25、角度センサ130、および、これらを支持する支持部材220,230から成る操作部機構と、制御ケース15の制御部100とが、互いにリール本体5の前後に配置された状態で独立に防水処理されるため、前記操作部機構と制御部100とを前後に独立に組み付けることが可能になるとともに、メンテナンスも独立に行なうことができ、組み付け性およびメンテナンス性が向上する。なお、このような構造形態は、操作部材25がスプール7よりも上方で且つ表示部16の後方側の位置に配設されるとともに操作部材25の回転軸25aがリール本体5を上方から見たときに表示部16または制御部100を避けるようにスプール7の回転軸O2と略平行に延びるからこそ実現できることである。
【0080】
また、本実施形態によれば、操作部材25の外径D1が角度センサ130の最大外径D2の0.8〜1.5倍であるため、操作部材25の外径D1を小さくでき、その操作性に優れるとともに、操作部材25の上端を低くでき、操作部材25とスプール7との干渉を避けることができる。ここで、0.8未満では、角度センサ130の収納部15bの上方への突出が大きくなりすぎてしまう。一方、1.5を超えると、操作部材25の上端高さやスプール7との干渉において好ましくない。
【0081】
また、本実施形態において、リール本体を上方から見たときに操作部材25の少なくとも一部がスプール7の回転軸O2と前後方向で重なっており、スプール軸7aの中心軸O2を通って前後方向に延びる水平面Pに対するスプール7の上端部位の垂直高さ寸法H1と水平面Pに対する操作部材25の上端部位の垂直高さ寸法H2との間の寸法差は、角度センサ130の外径寸法D2の1.2〜2.4倍となっている。そのため、リールを前後方向でコンパクトに構成しつつ、また、操作部材25とスプール7(スプールに巻かれる釣糸)との干渉を防止しつつ、操作部材25の位置を低く抑えて、サミング性および操作性を向上させることが可能になる。ここで、1.2未満では、上記干渉のリスクが生じ易くなり、また、2.4を超えると、操作性、把持性の問題だけでなく、前後方向のスペースに関する省スペース上の制約が大きくなる。
【0082】
また、本実施形態において、角度センサ130は、リール本体5を上方から見たときに、その中心軸O1がスプール軸7aの中心軸O2よりも前方側に位置されるとともに、その前端部位が制御部100よりも後方側に位置されている。そのため、サミングするための空間を十分に確保しつつ、制御部100の設置空間も確実に確保できる。また、このような配置形態によれば、クラッチ操作部などの他の構成要素をスプール7の上方の側板領域に配置することも可能となる。
【0083】
また、本実施形態によれば、制御ケース15の後方部位に開放部210が設けられ、この開放部120に操作部材25が配置されるため、操作部材25の外径を小さくしても(したがって、操作部材25の高さを低くしても)、操作部材25の操作が可能になる。
【0084】
図12は本発明の第2の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、角度センサ130を収納するための収納部15bが制御ケース15側のみに設けられ、制御ケース15の上方にだけでなく側部にも突設されている。具体的には、収納部15bは、制御ケース15の上面から上方に突出する上方突出部15baと、制御ケース15の側方に突出する側方突出部15bbとを有する。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。このような構成によれば、収納部が1つで済むため、加工工程が簡略化され、コスト低減に繋がる。また、角度センサ130の組み込みが容易となる。
【0085】
図13は本発明の第3の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、操作部材25の幅寸法Wを狭くすることにより、制御ケース15のセンサ用収納部15bを側方に突出させないようにしている。それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。このような構成によれば、リール本体の幅寸法を減少させてコンパクトなリールを実現できる。
【0086】
図14は本発明の第4の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、操作部材25および開放部210を側方(図では、左側)にずらすことにより、制御ケース15のセンサ用収納部15bを側方に突出させないようにしている。それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。このような構成によれば、操作部材25の幅寸法Wを減らすことなくリール本体5の幅寸法を減少させて、操作性を損うことなくコンパクトなリールを実現できる。
【0087】
図15および図16は本発明の第5の実施形態を示している。図示のように、本実施形態において、角度センサ130は、操作部材25の回転軸25aの軸線L上に配置されておらず、表示部16の右側部でリール本体5の側板5Bと制御ケース15とを跨るように配置されている。この場合、回転軸25aの回転を角度センサ130に対して機械的に伝えるために、回転軸25aと角度センサ130との間に伝達ベルト310が介在される。また、角度センサ130を収納するための収納部15b,5Baが制御ケース15と側板5Bとにそれぞれ設けられる。それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。このような構成によれば、突出した角度センサ収納部をスプール7の近くに設置する必要がなくなり、糸絡みが更に生じにくくなる。
【0088】
図17および図18は本発明の第6の実施形態を示している。図示のように、本実施形態において、操作部材25が位置される開放部210は、制御ケース15の後端縁で開口しておらず、制御ケース15の後端部位によって閉じられた操作用の開口窓として形成されている。この構成では、操作部材25を開口窓210から上方に突出させる必要があるため、制御ケース15の後端縁が開放された第1の実施形態に比べて操作部材25をより上方に配置する必要があり(したがって、必然的に角度センサ130のための収納部15bが上方へより大きく突出し)、操作部材25の設置高さが第1の実施形態に比べて高くなるが、上記後縁部で開口していないため、釣り種によっては誤動作が防止でき、有益である。
【0089】
図19は本発明の第7の実施形態を示している。図示のように、本実施形態では、操作部材25の回転軸25aが、リール本体5を上方から見たときに表示部16または制御部100を避けるように、スプール7の回転軸O2と略垂直に延びている。そして、角度センサ130が、表示部16の右側部で、操作部材25の回転軸25aの軸線L上に配置されている。本構成では、操作部材25がスプール7の上方で且つ表示部16の側方の位置に配設されるため、リールの重心に比較的近い位置でリール本体5を把持しつつ操作部材25を操作できる。
【0090】
図20〜図23はそれぞれ略円筒形状の操作部材25の変形例を示しており、各図における(a)は制御ケース部分を示す平面図、各図における(b)は操作部材25の断面図、そして、各図における(c)は操作部材25の側面図である。
【0091】
上述したように、操作部材25を上述した実施形態のように略円筒形状に構成するのであれば、その略円筒形状については、種々変形することが可能である。具体的には、回転操作可能であり、その操作表面部が、左右側板5A,5Bと制御ケース15との間でスプール7を露出させる開口に面して、サミングしている親指をそのまま延ばして当接できるような形状であれば良い。例えば、図20に示す操作部材25Aは、回転軸25aが両軸支持されており、その中間部分が湾曲面によって収縮した鼓形状にすると共に、その周囲に、周方向に沿って連続して凹溝25Aaを形成している。このような構成では、親指の腹部がフィットし易いと共に、滑りが生じ難くなる。或いは、図21に示す操作部材25Bは、回転軸25aが両軸支持されており、その中間部分が湾曲面によって膨出した樽形状にすると共に、その周囲に、周方向に沿って連続して突起25Baを形成している。このような構成では、親指の腹部が掛かり易くなって、滑り難く操作性の向上が図れるようになる。或いは、図22に示す操作部材25Cは、回転軸25aが両軸支持されており、円筒形状の表面の一部にレバー部25Caを形成している。このような構成では、初期値(駆動モータの出力が0)となる位置を明確化することができ、また、置き竿時における揺れる船上においても、レバー部25Caを摘んで操作できることから、操作性の向上が図れるようになる。なお、前記操作部材25の外径D1は、前述の例においては、通常の指の腹が押し付けられて接する位置で定義され、幅方向に関してはその中間位置で定義される。
【0092】
図23および図24は操作部材25の他の変形例を示しており、図示のように、本変形例に係る操作部材25Dは、略コの字型に形成された回動軸25Daを制御ケース15に形成された一対の支持凹所15dに対して両軸支持しており、回動軸25Daの中心領域に、親指がフィットし易いような柱状操作部25Dbを取着したものである。この場合、操作部25Dbを図24に示すように前方側に押し上げるような操作をすることで、駆動モータを増速させることが可能となっている。このような構成においても、回動軸25Daを中心として回動操作するため、モータ速度の微調整が行い易くなる。
【符号の説明】
【0093】
1 魚釣用電動リール
5 リール本体
5A,5B 左右側板
5Ba 収納部
6 手動ハンドル
7 スプール
7a スプール軸
8 駆動モータ
15 制御ケース
15b 収納部
16 表示部
25,25A,25B,25C,25D 操作部材
25a 回転軸
100 制御部
130 角度センサ
216 操作ボタン
220,230 支持部材
R 釣竿
P 水平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の左右側板間に回転可能に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、
前記リール本体に設けられ、前記スプールを回転駆動する駆動モータと、
前記リール本体に回転可能に軸支され、前記駆動モータの出力を調整する操作部材と、
を有する魚釣用電動リールにおいて、
前記リール本体は、前記駆動モータを制御する制御部および表示部を具備する制御ケースを前記スプールの前方側に有し、
前記操作部材は、リールが装着される釣竿と共に前記リール本体を片手で把持する手の親指が届く位置であって、前記スプールの上方で且つ前記表示部の後方側の位置に配設され、
前記操作部材の回転軸は、リール本体を上方から見たときに前記表示部または前記制御部を避けるように設けられ、前記操作部材の操作回転角を検出するための角度センサに連結されることを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】
前記操作部材の回転軸は、前記スプールの回転軸と略平行であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
【請求項3】
前記角度センサが前記操作部材の前記回転軸の軸線上に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用電動リール。
【請求項4】
前記角度センサが前記リール本体の前記側板と前記制御ケースとを跨るように配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項5】
前記制御ケースの側部には、前記角度センサを収納するための収納部が突設されることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の魚釣用電動リール。
【請求項6】
前記制御ケースには、前記角度センサを収納するための収納部が上方に突出して設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項7】
前記操作部材が略円筒状を成すことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項8】
前記制御ケースの上面には、前記表示部と前記操作部材との間で且つ釣竿と共にリール本体を片手で把持する手の親指が届く位置に操作ボタンが設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項9】
前記操作部材、前記角度センサ、および、これらを支持する支持部材から成る操作部機構と、前記制御ケースの制御部とが、互いにリール本体の前後に配置された状態で独立に防水処理されることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項10】
前記角度センサは、リール本体を上方から見たときに、その中心軸が前記スプールの回転軸よりも前方側に位置されるとともに、その前端部位が前記制御部よりも後方側に位置されることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項11】
前記制御ケースの後方部位に開放部が設けられ、この開放部に前記操作部材が配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
【請求項12】
前記操作部材は、リールが装着される釣竿と共に前記リール本体を片手で把持する手の親指が届く位置であって、前記スプールの上方における前記表示部の側方側で且つ後方側の位置に配設され、
前記操作部材の回転軸は、リール本体を上方から見たときに前記表示部または前記制御部を避けるように、前記スプールの回転軸と略垂直に延びることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2012−70700(P2012−70700A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219268(P2010−219268)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】