説明

魚類の生態環境改善用鋼製魚礁

【課題】魚類の棲息、休息および睡眠のための生態環境を改善する。
【解決手段】鋼製魚礁(100)は、多数個の第1、第2水平部材(111、113)を互いに接合して四角形状の縁部を構成する上下段部(120、110)を連結部(130)により上下間隔をおいて互いに連結する。更に第1、第2水平部材の内側または両側にそれぞれ延設された多数個の第1、第2水平板(115、117)と、第1水平部材の上面に高さ方向に斜めに延設された多数個の傾斜板(116)と、第2水平部材の上面に高さ方向に垂直に延設される多数個の垂直板(118)とを含んでなる。魚礁を構成する水平部材に別途の延長板を設置して魚礁の内部にプランクトンの群集する生態空間を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水産資源の造成のために海中に設置する鋼製魚礁に係り、特に、魚礁を構成する水平部材の周辺空間を拡大提供して魚類の生態環境を改善する鋼製魚礁に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人工魚礁とは、沿岸魚場の水産資源の確保を目的として海洋生物の産卵および棲息空間を造成し、稚魚の隠れ場を提供するために沿岸または近海に設置する人工的な構造物である。人工魚礁は、廃船舶を沈没させ或いは地上構造物を海に投下して棲息空間を造成した初期のものから、棲息空間をより効率よく造成するために六面体型、円筒型、凸凹型構造物に設計したものに至るまで、様々な形で変貌してきた。人工魚礁は、様々な材料、例えばコンクリート、廃タイヤ、鋼材などを用いて製作されている。
【0003】
ところが、コンクリート魚礁の場合は、構造的安定性には優れるが、重量などの側面からすると高層魚礁の製作に不適であり、半球状、箱状などの単純な構造で製作されるしかなくて複雑な内部空間の形成に足りないうえ、白化現象により寧ろ海を汚染させる原因となっている。そして、廃タイヤを用いた魚礁の場合も、リサイクルの側面のみが考慮されたもので、その形状自体の変形が難しくて魚礁の機能を満たしていない実情である。したがって、コンクリートに比べて相対的に軽いうえ、複雑な内部空間を形成することができ、魚類の棲息に適した構造を提供する鋼製魚礁が多く製作されており、それに関する研究も盛んに行われている。
【0004】
一方、魚類は、その魚種によって、人工魚礁と全く関係なく棲息する魚種、人工魚礁の上部で形成される湧昇流および渦流に棲息する魚種、人工魚礁の間々を通いながら棲息する魚種、および人工魚礁の内部に設けられる空間で棲息する魚種などその種類が様々である。その中でも、一部の魚種は人工魚礁の特定の空間内で産卵、棲息、休息および睡眠を行うと知られている。よって、魚礁としての機能を十分発揮するためには、異なる魚種が共存することが可能な適宜の生態空間を提供するように設計する必要がある。ところが、現在、大部分の鋼製魚礁は格子状をし、それにより設けられる生態空間のみを提供している。
【0005】
したがって、様々な魚類の蝟集のために、図1のような機能性鋼製魚礁を開発した。図1は特許文献1韓国実用新案登録第317824号に開示されている機能性鋼製魚礁を示す概略図である。図1に示すように、従来の機能性鋼製魚礁10は、複雑な内部空間を提供して魚類との接触頻度を高め、湧昇流および渦流などを発生させて魚類の触覚を刺激し、陰影効果などによって魚類の視覚を刺激するように構成した。すなわち、機能性鋼製魚礁10は、海流の流れを妨害して渦流を形成するように下部の複数箇所に渦流形成用板材11を取り付け、陰影効果を与え得るように上部に多数個の陰影形成用板材12を取り付けて構成した。
【0006】
これにより、前記機能性鋼製魚礁10は、複数箇所に渦流形成用板材11を取り付けることにより形成される湧昇流および渦流を楽しむ魚種に適した生態環境を提供し、陰影形成用板材12を取り付けることにより、魚類の生態環境をより向上させるという特徴がある。ところが、従来の機能性鋼製魚礁10は、湧昇流および渦流を楽しむ魚種にのみ適した生態環境を提供するので、各種魚種に適した生態環境を提供することができないという欠点がある。
【特許文献1】韓国実用新案登録第317824号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的とするところは、魚礁を構成する水平部材に別途の延長板を設置してその周辺空間を拡大提供することにより、様々な魚類の生態環境を改善する機能性鋼製魚礁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の鋼製魚礁は、多数個の水平部材を互いに接合して多角形状の縁部を構成する多数個のベース部と、前記ベース部を上下間隔を置いて互いに連結する一つ以上の連結部と、前記ベース部の縁部の内側に向かうように前記水平部材の一側にそれぞれ延設される多数個の第1延長板と、前記多数個のベース部のうち少なくとも最下段に位置するベース部に設置するが、前記ベース部の縁部の高さ方向に向かうように前記水平部材の他側にそれぞれ延設される多数個の第2延長板とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、魚礁を構成する水平部材に別途の延長板を設置して魚礁の内部にプランクトンの群集する生態空間を拡大提供することにより、魚類の棲息、休息および睡眠のための生態環境を改善するという効果がある。
【0010】
また、本発明は、水平部材に別途の延長板を設置することにより、湧昇流および渦流が形成され、湧昇流および渦流を好む魚種の生態環境に適し、地盤との接触面積が大きくなって軟弱地盤に効果的であるうえ、陰影効果を与えてより向上した魚類の生態環境を提供するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、1984年10月に日本において発行された「水産学シリーズ51人工魚礁」の収録内容に着眼して開発したものである。すなわち、海中に設置される人工魚礁の場合、海流または潮流の流れに対向する人工魚礁の周辺にプランクトンが群集する傾向がある。この際、プランクトンは、人工魚礁が海流の流れを妨害することにより、海流方向の反対側の人工魚礁の周辺に群集する。そこで、本発明者は、鋼製魚礁の周辺だけでなく、その内部にもプランクトンが群集するようにして、魚類の棲息、休息および睡眠のための空間を最大限拡大して提供することが可能な鋼製魚礁を開発することになった。
【0012】
以下、本発明の概念を適用した機能性鋼製魚礁の形態について図2および図3を参照して説明する。
図2および図3は本発明の概念を適用した機能性鋼製魚礁の形態をそれぞれ示す概念図であって、図2は四角錐台型機能性鋼製魚礁を、図3は六面体型機能性鋼製魚礁を概念的にそれぞれ示す。
【0013】
図2に示すように、本発明は、鋼製魚礁20を構成する第1水平部材21の内側に第1水平板22を延設し、第1水平部材21の上面に対して傾斜角を持つように高さ方向に傾斜板23を延設したものである。また、本発明は、第1水平部材21を互いに連結して補強する第2水平部材24の両側に第2水平板25を延設し、第2水平部材24の上面に垂直な高さ方向に垂直板26を延設したものである。したがって、本発明の鋼製魚礁20は、第1、第2水平部材21、24の自体形状(例えばH型鋼)によって形成される魚類の生態空間に比べて、第1、第2水平板22、25の幅と傾斜板23および垂直板26の高さだけに相当するさらに広い生態空間を提供する。
【0014】
また、図3に示すように、本発明は、鋼製魚礁30を構成する第1水平部材31の内側に第1水平板32を延設し、第1水平部材31の上面に垂直な高さ方向に第1垂直板33を延設したものである。また、本発明は、第1水平部材31を互いに連結して第2水平部材34の両側に第2水平板35を延設し、第2水平部材34の上面に垂直な高さ方向に第2垂直板36を延設したものである。したがって、本発明の鋼製魚礁30は、第1、第2水平部材31、34の自体形状(例えば、H型鋼)により形成される魚類の棲息空間に比べて、第1、第2水平板32、35の幅と第1、第2垂直板33、36の高さだけに相当するさらに広い生態空間を提供する。
【0015】
図2および図3では四角錐台型、六面体型を一例として本発明の概念を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、多角錐、多角錐台、多面体およびこれらの組み合わせなどの様々な形を適用することができる。
【0016】
以下、前述したような概念を適用した本発明に係る魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁の良好な実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
図4は本発明の第1実施例に係る魚類の生態環境を改善した四角錐台型機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図である。図4に示すように、本発明の四角錐台型機能性鋼製魚礁100は、一定の大きさの四角形状を有する下段部110と、下段部110に比べて相対的に小さい四角形状を有する上段部120と、下段部110と上段部120を一定の上下間隔をおいて互いに連結する連結部130と、下段部110と上段部120の中心を互いに連結する連結柱140とから構成される。この際、下段部110と上段部120はベース部の役割を果たす。
【0017】
下段部110は、一定の長さを持つ多数個の第1水平部材111を四角形状に溶接して四角縁部を構成し、四角縁部によって形成される空間の中心から縁部を向かって放射状に配列され且つ両端がそれぞれ固定される多数個の梁部材112を含む。この際、四角縁部の中心、すなわち梁部材112の一端が集まる部位には、連結柱140が挿入できる大きさの孔を持つ連結部材114が形成される。したがって、多数個の梁部材112は、一端が連結部材114の外周に沿ってそれぞれ固定され、他端は四角縁部を構成する第1水平部材111に放射状に固定される。この際、梁部材112の他端は四角縁部のコーナーと第1水平部材111の長手方向の中央にそれぞれ固定される。よって、下段部110には、第1水平部材111同士が接合される四角縁部の4箇所のコーナーおよび4つの第1水平部材111の中央と連結部材114とを互いに連結する8つの梁部材112が使用される。ところが、下段部110における梁部材112の数は、あまり大きい意味がなく、必要に応じて異にすることができる。
【0018】
また、下段部110には、8つの梁部材112を水平方向に互いに連結して内側四角縁部を構成する多数個の第2水平部材113をさらに含む。よって、下段部110は、中心となる連結部材114を基準として互いに異なる大きさの2つの四角縁部が形成され、これらの四角縁部のコーナーおよび各水平部材111、113の中央と連結部材114とを梁部材112によって放射状に連結する安定な構造を持つ。この際、8つの梁部材112を水平方向に互いに連結する別の水平部材によって内側四角縁部をさらに構成することもできる。
【0019】
前記下段部110を構成する水平部材111、113および梁部材112の材料としては、構造的に安定しており、結合が容易であるうえ、強度に優れたH型鋼を用いることが好ましい。
【0020】
上段部120は、その大きさが小さくなることにより内側四角縁部を構成しない以外は前記下段部110と同様に構成される。すなわち、上段部120は、四角縁部をそれぞれ
構成する多数個の水平部材121、並びに水平部材121同士が接合される四角縁部のコーナーおよび水平部材121の中央と、連結柱140が挿入できる孔を持つ連結部材123とを放射状に連結する多数個の梁部材122から構成される。これにより、上段部120は構造的安定性を持つ。この際、上段部120の四角縁部と下段部110の内側四角縁部が同一の大きさを持つように構成することが好ましい。
【0021】
上段部120を構成する水平部材121および梁部材122の材料としては、構造的に安定しており、結合が容易であるうえ、強度に優れたH型鋼を用いることが好ましい。また、上段部120は、多数個の梁部材122を水平方向に互いに連結して内側四角縁部を構成する多数個の別の水平部材をさらに含んで構成してもよい。
【0022】
連結部130は、下段部110と上段部120とを一定の上下間隔をおいて互いに連結するものであって、下段部110と上段部120とを垂直に連結する垂直部材131と、下段部110と上段部120を斜めに連結する傾斜部材132と、垂直部材131の間で、隣接する垂直部材131と上下段部120、110を互いに連結する格子部材133とから構成される。
【0023】
この際、垂直部材131は、上段部120の四角縁部のコーナーおよび水平部材121の中央と、下段部110の内側四角縁部のコーナーおよび第2水平部材113の中央とを互いに垂直に連結する。よって、連結部130には8つの垂直部材131が使用される。傾斜部材132は、上段部120の四角縁部のコーナーおよび水平部材121の中央と、下段部110の外側四角縁部のコーナー、第1水平部材111の中央および両側とを互いに斜めに連結する。よって、連結部130には16つの傾斜部材132が使用される。ところが、連結部130における垂直部材131および傾斜部材132の数は、あまり大きい意味がなく、必要に応じて異にすることができる。
【0024】
前記垂直部材131は荷重(流体力)が小さく作用し且つ潮流の流れを殆ど妨害しない円形パイプを用い、傾斜部材132は構造的安定性のためにH型鋼を用い、格子部材133は相互間の円滑な結合が可能であるように四角パイプを用いることが好ましい。
【0025】
連結柱140は、下段部110の中心と上段部120の中心を互いに連結するものであって、下段部110の中心と上段部120の中心に形成される連結部材123の孔に上下垂直に挿入されて溶接接合される。よって、連結柱140は、本発明の四角錐台型鋼製魚礁100の中心軸の役割を果たす。この際、連結柱140は荷重(流体力)が小さく作用し且つ潮流の流れを殆ど妨害しない円形パイプまたは中実型円柱から構成することが好ましい。
【0026】
本発明の鋼製魚礁100は、連結柱140を中心軸として各構成要素が相互対称構造を持つ。また、本発明の鋼製魚礁100は、連結柱140を中心軸とするが、連結柱140を基準として下段部110の梁部材112および上段部120の梁部材122が放射状に配列構成される。これにより、本発明の鋼製魚礁100は構造的安定性を持つ。
【0027】
そして、本発明の鋼製魚礁100は、上下段部120、110の縁部の内側を向かうように水平部材121および第1水平部材111の内側に第1水平板115(第1延長板)をそれぞれ延設し、下段部110の縁部の高さ方向を向かうように第1水平部材111の上面に傾斜角をもって傾斜板116(第2延長板)をそれぞれ延設する。この際、第1水平板115は水平部材121および第1水平部材111の下端内側に水平方向に接合され、傾斜板116はその下端が第1水平部材111の上面に接合され且つ両端部が傾斜部材132にそれぞれ接合される。
【0028】
また、本発明の鋼製魚礁100は、下段部110の第2水平部材113の両側に第2水平板117(第3延長板)を延設し、第2水平部材113の上面に垂直な高さ方向に垂直板118(第4延長板)を延設する。この際、第2水平板117は第2水平部材113の下端両側に水平方向に接合され、垂直板118はその下端が第2水平部材113の上面に接合され且つ両端部が垂直部材131にそれぞれ接合される。
【0029】
したがって、本発明の鋼製魚礁100は、第1、第2水平部材111、113の自体形状(例えば、H型鋼)により形成される魚類の生態空間に比べて、第1、第2水平板115、117の幅と傾斜板116および垂直板118の高さだけに相当するさらに広い生態空間を提供する。すなわち、傾斜板116および垂直板118によって海流の流れが妨害されて生態空間内にプランクトンが群集し、第1、第2水平板115、117、傾斜板116および垂直板118によって魚類の棲息、休息および睡眠のための生態空間を最大限拡大して提供することができる。したがって、本発明の鋼製魚礁100は、生態空間が拡大されることにより、様々な大きさの魚種がより改善された環境で棲息、休息および睡眠をすることができる。
【0030】
そして、本発明の鋼製魚礁100は、傾斜板116および垂直板118によって海流の流れが妨害されて湧昇流および渦流が形成されるため、湧昇流および渦流を好む魚種の棲息にも適する。また、本発明の鋼製魚礁100は、第1、第2水平板115、117によって地盤との接触面積が大きくなることにより軟弱地盤にも効果的であるという特徴がある。また、本発明の鋼製魚礁100は、第1、第2水平板115、117、傾斜板116および垂直板118を介して陰影効果を与えるため、より向上した魚類の生態環境を提供する。
【0031】
図5は本発明の第2実施例に係る魚類の生態環境を改善した六面体型機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図である。図5に示すように、本発明の六面体型機能性鋼製魚礁200は、下段部210と上段部220が同一の形態で構成され、それにより連結部230が異なるように構成されるし、傾斜板116の代わりに垂直板215が使用される以外は第1実施例の四角錐台型機能性鋼製魚礁100と同様である。したがって、同一の構成要素に対する説明はここで省略する。
【0032】
本発明の鋼製魚礁200は、下段部210と上段部220が同一の形態で構成される。したがって、連結部230は下段部210と上段部220の外側および内側四角縁部を垂直にそれぞれ連結する第1、第2垂直部材231、232と、第1、第2垂直部材231、232の間で、隣接する第1、第2垂直部材231、232と上下段部220、210を互いにそれぞれ連結する第1、第2格子部材233、234とから構成される。すなわち、第1垂直部材231は上下段部220、210の外側四角縁部のコーナーおよび第1水平部材221、211の中央を垂直に相互連結し、第2垂直部材232は上下段部220、210の内側四角縁部のコーナーおよび第2水平部材223、213の中央を垂直に相互連結する。
【0033】
したがって、本発明の六面体型鋼製魚礁200は、連結柱240を中心軸として各構成要素が相互対称構造を持つ。また、本発明の鋼製魚礁200は、連結柱240を中心軸とするが、連結柱240を基準として下段部210の梁部材212および上段部220の梁部材222が放射状に配列構成される。これにより、本発明の鋼製魚礁200は構造的安定性を持つ。
【0034】
そして、本発明の鋼製魚礁200は、上下段部220、210の第1水平部材221、211の内側に第1水平板214をそれぞれ延設し、下段部210の第1水平部材211の上面に垂直な高さ方向に第1垂直板215をそれぞれ延設する。この際、第1水平板2
14は第1水平部材221、211の下端内側に水平方向に接合され、第1垂直板215はその下端が第1水平部材211の上面に接合され且つ両端部が第1垂直部材231にそれぞれ接合される。
【0035】
また、本発明の鋼製魚礁200は、上下段部220、210の第2水平部材223、213の両側に第2水平板216を延設し、下段部210の第2水平部材213の上面に垂直な高さ方向に第2垂直板217を延設する。この際、第2垂直板216は第2水平部材223、213の下端両側に水平方向に接合され、第2垂直板217はその下端が第2水平部材213の上面に接合され且つ両端部が第2垂直部材232にそれぞれ接合される。
【0036】
したがって、本発明の鋼製魚礁200は、第1、第2水平部材211、213の自体形状(たとえば、H型鋼)により形成される魚類の生態空間に比べて、第1、第2水平板214、216の幅と第1、第2垂直板215、217の高さだけに相当するさらに広い生態空間を提供する。すなわち、第1、第2垂直板215、217によって海流の流れが妨害されて生態空間内にプランクトンが群集し、第1、第2水平板214、216および第1、第2垂直板215、217によって魚類の棲息、休息および睡眠のための生態空間を最大限拡大提供することができる。よって、本発明の鋼製魚礁200は、生態空間が拡大されることにより様々な大きさの魚種がより改善された環境で棲息、休息および睡眠をすることができる。
【0037】
そして、本発明の鋼製魚礁200は、第1、第2垂直板215、217によって海流の流れが妨害されて湧昇流および渦流が形成されるため、湧昇流および渦流を良くする魚種の棲息にも適する。また、本発明の鋼製魚礁200は、第1、第2水平板214、216によって地盤との接触面積が大きくなることにより軟弱地盤にも効果的であるという特徴がある。また、本発明の強制魚礁200は、第1、第2水平板214、216および第1、第2垂直板215、217を介して陰影効果を与えるため、より向上した魚類の生態環境を提供する。
【0038】
図6は本発明の第3実施例に係る魚類の生態環境を改善した組み合わせ型機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図である。図6に示すように、本発明の組み合わせ型機能性鋼製魚礁300は、大きさの異なる四角錐台型機能性鋼製魚礁100、100Aの間に六面体型機能性鋼製魚礁200が配列される1段サンドイッチの形で構成される。この際、四角錐台型機能性鋼製魚礁100は第1実施例の魚礁と同様に構成され、他の四角錐台型機能性鋼製魚礁100Aは第1実施例の鋼製魚礁100と同一の概念で構成するが、その大きさが大きくなることにより一部の構成要素が追加される形で構成される。そして、六面体型機能性鋼製魚礁200は第2実施例の魚礁と同様に構成される。
【0039】
本発明の組み合わせ型機能性鋼製魚礁300は、四角錐台型機能性鋼製魚礁100、100Aの間に六面体型機能性鋼製魚礁200が配列されるサンドイッチの形で構成することにより、上下段にそれぞれ形成される四角縁部が上下に互いに接する構造を持つ。ところが、本発明の鋼製魚礁300は、上下に接する四角縁部のいずれか一方を除去して1つの四角縁部によって上下段が接するように構成するが、その接する部位にも水平板と傾斜板または垂直板がそれぞれ設置され、より広い生態空間を提供するように構成することもできる。したがって、本発明の鋼製魚礁300は、全ての上段部および下段部の水平部材に水平板が延設され、かつ最上段に位置する上段部の水平部材を除いた他の上段部および下段部の水平部材に傾斜板または垂直板が延設される。これにより、本発明の鋼製魚礁300は、その内部にプランクトンが群集する広い生態空間を拡大提供して魚類の棲息、休息および睡眠のための生態環境を改善するという特徴がある。
【0040】
図7は本発明の第4実施例に係る魚類の生態環境を改善した高層機能性鋼製魚礁の形態
を示す斜視図である。図7に示すように、本発明の高層機能性鋼製魚礁400は、図6のように構成される組み合わせ型機能性鋼製魚礁300の上端にさらに六面体型機能性鋼製魚礁200Aと四角錐台型機能性鋼製魚礁100Bを順次積層して構成したものである。したがって、本発明の鋼製魚礁400は、最下段と最上段に四角錐台型機能性鋼製魚礁がそれぞれ位置し、それらの間に六面体型機能性鋼製魚礁および他の四角錐台型機能性鋼製魚礁が順次位置する2段サンドイッチの形を持つ。
【0041】
この際、六面体型機能性鋼製魚礁200Aは、第2実施例の鋼製魚礁200と同一の概念で構成するが、その大きさが小さくなることにより一部の構成要素が除去される形で構成される。また、四角錐台型機能性鋼製魚礁100Bは、第1実施例の鋼製魚礁100と
同一の概念で構成するが、その大きさが小さくなることにより一部の構成要素が除去される形で構成される。
【0042】
本発明の鋼製魚礁400は、第3実施例の組み合わせ型機能性鋼製魚礁300と同様に、上下端にそれぞれ形成される四角縁部が上下に互いに接する構造を持つ。ところが、本発明の鋼製魚礁400は、上下に接する四角縁部のいずれか一方を除去して一つの四角縁部によって上下端が接するように構成するが、その接する部位にも水平板と傾斜板または垂直板がそれぞれ設置されてより広い生態空間を提供するように構成することもできる。したがって、本発明の鋼製魚礁400は、全ての上段部および下段部の水平部材に水平板が延設され、且つ最上端に位置する上段部の水平部材を除いた他の上段部および下段部の水平部材に傾斜板または垂直板が延設される。それにより、本発明の鋼製魚礁400は、その内部にプランクトンが群集する広い生態空間を拡大提供して魚類の棲息、休息および睡眠のための生態環境を改善するという特徴がある。
【0043】
図8は本発明の第5実施例に係る魚類の生態環境を改善した高層機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図である。図8に示すように、本発明の高層鋼製魚礁500は、図7のように高層機能性鋼製魚礁400の上段部位に位置する六面体型機能性鋼製魚礁200Aを多数順次積層し、最上段に四角錐台型機能性鋼製魚礁100Bを積層して構成したものである。したがって、本発明の鋼製魚礁500は、最下段および最上段に四角錐台型機能性鋼製魚礁がそれぞれ位置し、それらの間に多数個の六面体型機能性鋼製魚礁および一つの別の四角錐台型機能性鋼製魚礁が位置することにより、中間部位の長い2段サンドイッチの形を持つ。
【0044】
本発明の鋼製魚礁500は、第4実施例の鋼製魚礁400と同様に、上下段にそれぞれ形成される四角縁部が上下に互いに接する構造を持つ。ところが、本発明の鋼製魚礁500は、上下に接する四角縁部のいずれか一方を除去して一つの四角縁部によって上下端が接するように構成するが、その接する部位にも水平板と傾斜板または垂直板がそれぞれ設置され、より広い生態空間を提供するように構成することもできる。したがって、本発明の鋼製魚礁500は、全ての上段部および下段部の水平部材に水平板が延設され、且つ最上端に位置する上段部の水平部材を除いた他の上段部および下段部の水平部材に傾斜板または垂直板が延設される。それにより、本発明の鋼製魚礁500は、その内部にプランクトンが群集する広い生態空間を拡大提供して魚類の棲息、休息および睡眠のための生態環境を改善するという特徴がある。
【0045】
前述したように、本発明は、図4に示した四角錐台型機能性鋼製魚礁100と、図5に示した六面体型機能性鋼製魚礁200を基本的構成として、所望する高さの鋼製魚礁を様々に製作することができる。
【0046】
以上、本発明の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁についての技術事項を添付図面と共に述べたが、これは本発明の好適な実施例を例示的に説明したもので、本発明を限
定するものではない。
【0047】
また、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、誰でも本発明の技術思想の範疇を逸脱することなく、特許請求の範囲内で様々な変形および模倣を加え得るのは明らかなことである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の技術に係る機能性鋼製魚礁の形態を示す概略図。
【図2】本発明の概念を適用した機能性鋼製魚礁の形態をそれぞれ示す概念図。
【図3】本発明の概念を適用した機能性鋼製魚礁の形態をそれぞれ示す概念図。
【図4】本発明の第1実施例に係る魚類の生態環境を改善した四角錐台型機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図。
【図5】本発明の第2実施例に係る魚類の生態環境を改善した六面体型機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図。
【図6】本発明の第3実施例に係る魚類の生態環境を改善した組み合わせ型機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図。
【図7】本発明の第4実施例に係る魚類の生態環境を改善した高層機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図。
【図8】本発明の第5実施例に係る魚類の生態環境を改善した高層機能性鋼製魚礁の形態を示す斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産資源の育成のために海中に設置する機能性鋼製魚礁であって、
多数個の水平部材を互いに接合して多角形状の縁部を構成する多数個のベース部と、
前記ベース部を上下間隔をおいて互いに連結する一つ以上の連結部と、
前記ベース部の縁部の内側に向かうように前記水平部材の一側にそれぞれ延設される多数個の第1延長板と、
前記多数個のベース部のうち少なくとも最下段に位置するベース部に設置するが、前記ベース部の縁部の高さ方向を向かうように前記水平部材の他側にそれぞれ延設される多数個の第2延長板とを含むことを特徴とする魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項2】
前記第2延長板は前記多数個のベース部のうち最上段に位置するベース部以外の全てのベース部に設置することを特徴とする請求項1に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項3】
前記ベース部の中心部位から縁部を向かって放射状に配列されて両端がそれぞれ固定される多数個の梁部材と、前記ベース部の中心を上下垂直に互いに連結する連結柱とをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項4】
前記多数個のベース部は、同じ大きさの2つの四角形状にそれぞれ構成され、前記連結部によって上下に連結することにより六面体形を成すことを特徴とする請求項1または2に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項5】
前記多数個のベース部は、大きさの異なる2つの四角形状にそれぞれ構成され、前記連結部によって上下に連結することにより四角錐台形を成すことを特徴とする、請求項1または2に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項6】
前記ベース部は、前記多数個の梁部材を水平方向に互いに連結して一つ以上の内側縁部をさらに構成する多数個の別の水平部材をさらに含み、
前記別の水平部材には、前記内側縁部の両側を向かうように前記別の水平部材の一側にそれぞれ延長する多数個の第3延長板と、前記内側縁部の高さ方向を向かうように前記別の水平部材の他側にそれぞれ延長する多数個の第4延長板とをさらに設置することを特徴とする請求項3に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項7】
大きさの異なる多角形状に構成された2つの前記ベース部を前記連結部によって上下に連結して下段を構成する多角錐台型構造物と、
前記多角錐台型構造物の上段を構成するベース部と同じ大きさの前記ベース部を前記連結部によって上下に連結して中段を構成する多面体型構造物と、
前記多面体型構造物の上段を構成するベース部より小さい大きさの前記ベース部を前記連結部によって上下に連結して上段を構成する別の多角錐台型構造物とを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項8】
前記別の多角錐台型構造物の上段を構成するベース部と同じ大きさの前記ベース部を前記連結部によって上下に連結して構成する別の多面体型構造物と、前記別の多面体型構造物の上段を構成するベース部より小さい大きさの前記ベース部を前記連結部によって上下に連結して最上段を構成する別の多角錐台型構造物とをさらに形成することを特徴とする請求項7に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。
【請求項9】
前記別の多角錐台型構造物の上段を構成するベース部と同じ大きさの多数個の前記ベー
ス部を多数個の前記連結部によって順次上下に連結して構成する別の多面体 型構造物らと、前記別の多面体型構造物らの上段を構成するベース部より小さい大きさの前記ベース部を前記連結部によって上下に連結して最上段を構成する別の多角錐台型構造物とをさらに形成することを特徴とする請求項7に記載の魚類の生態環境を改善した機能性鋼製魚礁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−516599(P2008−516599A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536605(P2007−536605)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/KR2005/003333
【国際公開番号】WO2006/080721
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507126373)リーフ.ティ.マックス カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】REEF.T.MAX CO.,LTD.
【Fターム(参考)】