説明

鳥害防止用線材張設具および鳥害防止装置並びに鳥害防止方法

【課題】建造物の鳥害防止対策として様々な寸法形状等の条件対応が要求され手間がかかるという問題点を解決し、広範な条件対応性があり鳥害防止効果が高く、塵埃塊の落下等の二次被害の恐れがなく、施工が容易で美観上も問題の少ない鳥害防止策を提供する。
【解決手段】コの字形状部材11と、固定用ボルト12及び線材張設対応ボルト13と線材張設用の線材張設用部材14からなる鳥害防止用線材張設具10と、鳥害防止用線材20およびバネ材30とからなる鳥害防止装置を用いて、鳥害防止用線材張設具10を適宜な間隔で鉄骨フランジ部2等に嵌合させて取り付け、鳥害防止用線材20の少なくとも一端側にバネ材30を連結し両端を線材張設用部材14に留め付ける方法で約40〜60mmの範囲の間隔で平行に配列して鳥の飛来を阻止出来る様に張設して鳥害を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物における鳥の止まり木行動や巣作りや糞などによる汚損被害を防ぐための鳥害防止用用具および装置並びに方法に関し、詳しくは、建造物の鉄骨、板状コンクリート突出部等において線材を張設して鳥類の飛来休止または営巣行動を阻止して汚損被害を防ぐための鳥害防止用線材張設具および鳥害防止装置並びに鳥害防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建造物においては、例えば水平鉄骨材の凹部やフランジ部上部やベランダやパラペットの上部等に鳩、雀、椋鳥などの鳥類が飛来して休止または営巣行動をなし建造物の汚損被害だけでなく下部を通過する人や車両の汚損、臭気、ばい菌等による被害も惹起しその被害が看過できなくなり一刻も早くその解決策が求められている。このため、鳥害防止対策として種々の方法が既に提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2等で提案の線材を所定間隔をあけて複数設置したり、ネットを張設したりして鳥類の飛来を防止する方法や、特許文献3等で提案の鉄骨水平材の上面部等に針状突起を用いた部材を付設したり、特許文献4等で提案の線状部材等による螺旋状の弾性忌避具を付設したりして止まり木行動を阻害する方法などが提案されている。
【0003】
しかし、鳥害防止対策としては、建造物の鳥害忌避場所は鉄骨部やコンクリート部もあり、形状、寸法等の様々な制約条件に対応しなければならず、出来るだけ広範な条件対応性が求められると共に、より簡便で施工が容易であり鳥害防止効果が高いものが求められる。このため、線材を所定間隔をあけて複数設置する方法では、特許文献1の例ではベランダのコンクリート部だけに対応し鉄骨部には対応不可と共にコンクリート部を損傷させるし、特許文献2の例では鳥害防止対象がリップみぞ形鋼の凹部への対応のみであり他のH形鋼部等には対応不可である。また、ネットを張設する方法の場合は広範囲を一括して覆う様にしなくてはならず大掛かりになると共に一部にでも鳥類の侵入箇所が有ると営巣や糞等による被害がより深刻になる恐れがあり美観上も好ましくない。そして、鉄骨水平材の上面部等に針状突起部材を用いた特許文献3の例や線状部材等による螺旋状の弾性忌避具を付設した特許文献4の例の様な方法で止まり木行動を阻害する方法の場合では対応可能な場所が限定されると共に塵埃が溜まりやすく掃除は容易でなく塵埃等の塊の落下や再飛散等による二次被害を惹起する恐れがある。この様に現状においては、出来るだけ広範な条件対応性が求められる建造物の鳥害防止対策として充分答えられるだけの提案が出現していないのが実状である。
【0004】
このため、形状、寸法等の様々な制約条件に対応しなければならい建造物の鳥害防止対策として、出来るだけ広範な条件対応性があり、鳥害防止効果が高く、塵埃等の塊の落下や再飛散等による二次被害の恐れも少なく、施工が容易で、美観上も問題の少ない鳥害防止対策の提案が望まれている。
【特許文献1】特開平11−253090号公報
【特許文献2】特開2004−357511号公報
【特許文献3】特開平7−298823号公報
【特許文献4】特開2004−81021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、前述の従来技術の問題点を鑑みて、従来のネットを張設して対応する方法や、鉄骨水平材の上面部等に針状突起を用いた部材や線材等による螺旋状の弾性忌避具を付設する方法等では、費用対効果を勘案すると、様々な寸法形状の鉄骨の組み合わせの鉄骨建造物における鳥類の飛来休止または営巣行動等による鳥害に対しては期待に応えられるだけの防止対策とはなり得ないと考え、線状部材を張設する方法で鳥害防止を図るべく、その際に課題となる様々な寸法形状等の条件には広範に対応出来ず、また、出来たとしても限定されるとともに個別対応しなければならず手間がかかるという課題である。すなわち、形状、寸法等の様々な制約条件に対応しなければならい建造物の鳥害防止対策として、広範な条件対応性があり、鳥害防止効果が高く、塵埃等の塊の落下や再飛散等による二次被害の恐れも少なく、施工が容易な鳥害防止装置および鳥害防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決して、その目的を達成する手段として、本発明の鳥害防止用線材張設具は、線材を張設して鳥害を防止するための線材張設具であって、建造物の鉄骨、板状コンクリート突出部等に嵌装しボルトにより締め付け固定出来る様にするためのコの字形状をなし且つ両側の突出部位の外面側に貫通穴と一体化するナット状部位が付設されたコの字形状部材と、前記ナット状部位に締め込み可能な固定用ボルト及び線材張設対応ボルトと、線材張設対応ボルトの任意な位置に装着可能で線材張設対応ボルトが嵌通出来る嵌通穴および側部に線材が貫通出来て線材張設時に線材が損傷し難い形状をなす貫通穴を有する線材張設用部材とからなることを特徴とする。
【0007】
付加して、前記コの字形状部材の突出部位の貫通穴と一体化するナット状部位がコの字形状の中央部位にも設けられていることを特徴とする。
【0008】
付加して、前記コの字形状部材の取付時に上方側となる突出部位の下部に嵌合させて着設し線材張設対応ボルトの取付数を増加出来る様にするために用いる部材であり基板部に線材張設対応ボルトが留め付けられるナット状部位が付設されると共に両側の縁部に立ち上がり部位を有する溝形増設用部材が追加されてなることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明の鳥害防止装置は、鳥害防止用線材を張設して鳥害を防止する装置であって、前述の鳥害防止用線材張設具と、鳥害防止用線材および該線材の張設後の張力保持のためのバネ材とからなり、鳥害防止用線材張設具を適宜な間隔で建造物の鉄骨フランジ部、小規模角材、板状コンクリート部等に嵌装させて固定用ボルトを用いて固設し、前記線材張設用部材に付設された貫通穴を利用し鳥害防止用線材を張設して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする。
【0010】
付加して、前記鳥害防止装置において前記鳥害防止用線材張設具を利用し電線を配線すると共に瞬時に点滅可能な発光器を設置して、発光による鳥の忌避効果も付加して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする。
【0011】
そして、本発明の鳥害防止方法は、線材を張設して鳥害を防止する方法であって、前述の鳥害防止用線材張設具と、鳥害防止用線材および該線材の張設後の張力保持のためのバネ材とを用いて、前記線材取付用ナットを装着させた線材張設対応ボルトを取り付けた鳥害防止用線材張設具を適宜な間隔で建造物の鉄骨、板状コンクリート突出部等に嵌装させて固定用ボルトを用いて固設し、鳥害防止用線材の少なくとも一端側にバネ材を連結し前記線材張設用部材に付設された貫通穴を利用し適度な張力を保持させた状態で張設して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする。
【0012】
付加して、前記鳥害防止方法において前記鳥害防止用線材張設具を利用し電線を配線すると共に瞬時に点滅可能な発光器を設置して、発光による鳥の忌避効果も付加して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、形状、寸法等の様々な制約条件に対応が必用な建造物の鳥害防止対策として、鳥害防止用線材を縦横自在に張設対応出来て、例えば、図5に示す様に、H形鋼の凹部および上部並びにH形鋼の上部に配設されたリップみぞ形鋼の凹部の鳥害対策を纏めて対応出来るなど広範な条件対応性があり、鳥害防止効果が高く、塵埃等の塊の落下や再飛散等による二次被害の恐れも少なく、施工が容易で美観上も問題の少ない鳥害防止対策が提供出来る様になり、現状の深刻化する鳥害の改善に貢献することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態としては、鳥類の飛来場所において、飛来休止、営巣等による鳥害を防止するために、前述の鳥害防止用線材張設具と鳥害防止用線材および該線材の張設後の張力保持のためのバネ材とを用いて、コの字形状部材を板状ゴム質部材を介在させてH形鋼フランジ部または板状コンクリート部等に嵌装させて固定用ボルトを用いて固設し、鳥害防止用線材を鳥類の侵入を防止出来る間隔と張力を保持出来る様に鳥害防止用線材を張設し、更に、前述の鳥害防止用線材張設具を利用し電線を配線すると共に瞬時に点滅可能な発光器を設置して発光による鳥の忌避効果も付加して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にした形態であり、以下に具体例として示す特徴が勘案された形態のものである。尚、鳥害防止装置と鳥害防止方法の実施形態は同一となるので鳥害防止用線材張設具および鳥害防止装置を主体として説明する。
【0015】
鳥害防止用線材張設具に関し、コの字形状部材としては、材質は防錆処理をなされた鋼製材やステンレス材が好適であるが、アルミ、高強度高耐久性を有するエンジニアリングプラスチック等でも本発明の目的を達成出来る強度と耐久性を確保出来る様にすれば用いることが出来る。また、形状寸法としては、コの字の突出部間寸法は約20〜200mmとし、設置対象の鉄骨フランジ、コンクリート板厚を勘案すれば約25〜60mm、130〜180mmで設定されるのが好適である。そして、部材幅及び両側部位の突出寸法は約30〜100mmとし、約40〜80mmで設定されるのが好適である。そして、部材厚みは鋼製材の場合においては約2〜5mmの範囲を目処とし、約2.5〜3.5mmの範囲で設定されるのが好適である。また、コの字形状部材に付設されるナット状部位は、材質はコの字形状部材に同材質とし、ネジ穴径は後述の固定用ボルト及び線材張設対応ボルトの径とも連関するが6〜16mmの範囲を目処とし、8〜12mmの範囲で設定されるのが好適である。また、コの字形状部材に設けられる貫通穴は前記ネジ穴径より若干大きい寸法とするのが好適である。また、ナット状部位の付設個数としては両側に1個ずつ付設しても良いが2個ずつ付設するのも好ましく、コの字の間隔寸法が小さい場合は並列に配設し大きい場合には直列に配設するのが好適である。そして、コの字形状部材のコの字の突出部間寸法が大きい場合には、少なくとも角部にコの字補強部位を設けることが好ましく、ナット状部位は貫通穴と共にコの字形状部材のコの字形状の中央部位にも設けて約40〜60mmの間隔を目処に配設されるのが好ましい。そして、コの字形状部材を鉄骨フランジ部、板状コンクリート部等に嵌装させ固定ボルトを用いて固設する時に、固定ボルトと反対側のコの字の突出部に板状ゴム質部材を介在させて固設するのが好ましい。
【0016】
固定用ボルト及び線材張設対応ボルトは、ボルト径は同一径とし前述のナット状部位のネジ穴径と連関し、前述の寸法範囲で設定されるのが好ましい。そして、材質は防錆処理をなされた鋼製材またはステンレス材が好適である。また、線材張設対応ボルトは固定用ボルトを兼用して用いることが出来る。そして、ボルト長さとしては、固定用ボルトは取付目的が果たせる短尺ボルトで良く、線材張設対応ボルトは鳥害防止用線材張設具の設置場所の条件により適宜長さが設定されてよい。また、線材張設対応ボルトの形状は、後述の線材張設対応ボルトの嵌通穴と連関するが、全長がネジ形状のものでも良いと共に固定用ボルトの機能が果たせる範囲のみにネジ山が施されたものでも良いが、全長がネジ形状のものの方が好ましい。そして、線材張設対応ボルトの頂部には鳥の休止防止と損傷防止を兼ねた先端部が絞られた形状のプラスチック製のボルト安全キャップを付設することが好ましい。
【0017】
線材張設用部材は、材質はアルミまたは防錆処理をなされた鋼製材、ステンレス材等でも良いが、エンジニアリングプラスチックが好ましい。そして、該部材の嵌通穴の内面形状は前述の線材張設対応ボルトの外面形状に対応した内面形状とし、線材張設対応ボルトへの装着対応としては、線材張設対応ボルトがネジ形状の場合は特段の装着対応を施す必用はないが、ネジ形状でない場合は、図3の(C)の(イ)又は(ロ)に示す様な側面にて固定用ネジを用いる方法又は該部材の側面に切れ目を施し固定用ネジを用いる方法等の固定対応手段を付加させて対応するのが好ましい。そして、該部材に付設される貫通穴は少なくとも2個が対称位置に配設され、線材が損傷し難い形状としては少なくとも線材と接触する部分は断面外形が円弧または楕円形状の一部をなす形状とするのが好ましい。
【0018】
溝形増設用部材は、材質はコの字形状部材に準じた材質のものが用いられる。そして、該部材の幅はコの字形状部材の幅より約1mm大きい寸法が好適であり、厚みは鋼製材の場合では約1.5〜3mmの範囲で設定されるのが好適である。また、両側の縁部の立ち上がり部位の立ち上がり寸法は約10〜40mmの範囲で設定されるのが好ましい。そして、該部材の長さは鳥害防止場所の範囲と該部材に付設されるナット状部位が約40〜60mmの間隔で配設することを勘案して適宜設定されるのが好ましい。
【0019】
鳥害防止用線材は、強靱性と耐久性を有する、例えば釣り糸、漁網、工事用水糸、凧糸などに用いられる材質のものが好適であるが、ステンレス線やアルミ線等も線材張設用部材をそれに対応出来るものを選択すれば用いても良い。そして、該線材の太さは前記釣り糸等に類する材質の場合では約1〜3mmの径のものが好ましい。また、鳥害防止用線材の張設時の間隔は約40〜60mmの範囲で平行に配列して張設されるのが好適である。
【0020】
バネ材は防性処理された鋼製または同等以上の弾性と強靱性と耐久性を有する材質の線材を用いた直径が約5〜20mmの螺旋状形態のものが好適である。そして、バネ材の引っ張り強度は鳥害防止用線材の太さと与える張力を勘案し適宜設定されて良い。
【0021】
発光器は瞬時に点滅可能なものなら限定されないが、赤色系発光のLEDが用いられたものが好適である。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例の説明として、図1は本発明の鳥害防止装置をH形鋼のフランジ部に設置した場合の1状態例の一対となる部分を示す説明図である。図2は鳥害防止用線材張設具のコの字形状部材の説明図であり、図3は線材張設用部材の説明図と線材張設対応ボルトとの組み付け方法の説明図である。図4はバネ材と溝型増設用部材の説明図である。図5はH形鋼の上部にリップみぞ形鋼が配設された条件例に設置した場合の説明図である。図6は大型H形鋼、板状コンクリート突出部への設置例の説明図である。図7は鳥害防止用線材張設具を利用し電線と発光器の設置例の説明図である。以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
まず、本発明の鳥害防止用線材張設具10は、図1に示す様に、コの字形状部材11と固定用ボルト12及び線材張設対応ボルト13と線材張設用部材14とからなっている。
【0024】
そして、本発明の鳥害防止装置1は、図1に示す様に、鳥害防止用線材張設具10に加えて鳥害防止用線材20とバネ材30とからなっていて、鳥害防止用線材張設具10を適宜な間隔で建造物の鉄骨(H形鋼)2のフランジ部等に板状ゴム質部材40を介在させ嵌装させて固定用ボルト12を用いて固設し、鳥害防止用線材20の少なくとも一端側にバネ材30を連結し線材張設用部材14に付設された貫通穴を利用し適度な張力を保持させた状態で張設して鳥の飛来を忌避し鳥害防止出来る様にしている。そして、図5に示す様に、床または屋根等6の下部でH形鋼2の上部にリップみぞ形鋼3が配設された様な複雑な条件の場合にも鳥害防止用線材20を縦横自在に張設対応出来て、H形鋼2の凹部および上部並びにリップみぞ形鋼3の凹部の鳥害対策を纏めて対応出来るなど広範な条件対応性を有している。
【0025】
更に、図2の(C)(D)に示す様に、コの字の突出部間寸法を大きくし貫通穴11aとナット状部位11bをコの字形状の中央部位にも設けたコの字形状部材11は、図6の(C)(D)に示す様に、庇等のコンクリート突出部位5とベランダ、パラペット等のコンクリート立ち上がり部位4の両方に用いることが出来る様になり、本装置の対応可能な範囲拡大出来る。
【0026】
そして、図4の(B)(C)に示す様に、基板部にナット状部位15aが付設されると共に両側の縁部に立ち上がり部位15bを有する溝形増設用部材15は、図6の(A)(B)(D)に示す様に、コの字形状部材11の取付時に上方側となる突出部位の下部に嵌合させ大型鉄骨2のフランジ部や庇等のコンクリート突出部位5に用いて鳥害防止用線材20を張設することにより、装置が大掛かりとならずに鳥害防止効果が確実に発揮出来る様にすることが出来る。また、該部材15の長さが長くなる場合には、図4の(B)に示す様に、アンカー留付用穴15cを施しアンカーボルト等を用いて固定補強するか、または、接着剤を用いて適宜接着補強することも好ましい。
【0027】
また、図7に示す様に、鳥害防止用線材張設具10を利用して電線50を配線すると共に瞬時に点滅可能な発光器60を設置することにより、発光による鳥の忌避効果も付加して鳥害防止効果をより確実にすることが出来る。
以下に、本発明線材張設具および本発明装置の構成要素となる主要な部材等について特記説明する。
【0028】
コの字形状部材11は、図2に示す様に、両側の突出部位の外面に貫通穴11aと一体化するナット状部位11bが付設されている。そして、ナット状部位11bは1個ずつでも良いが、2個を並列または直列に配設されることも好ましい。また、コの字の突出部間寸法を大きく場合には、図2の(C)(D)に示す様に、少なくとも、コの字の角部にコの字補強部位11cを設けて強度補強するのが好ましい。
【0029】
固定用ボルト12は、図1の(B)の(イ)に示す様に、主に固定専用の短尺ボルトが用いられるが、図1の(B)の(ロ)に示す様に、線材張設対応ボルト13が固定用ボルト12を兼用した形で用いることも出来る。そして、線材張設対応ボルト13は、図3の(E)に示す様に、全長がネジ形状のものでも良いと共に、図3の(F)(G)に示す様に、固定用ボルトの機能が果たせる範囲のみにネジ山が施されたものでも良いが、全長がネジ形状のものの方が好ましい。また、該ボルト13の頂部には、図6、7に示す様に、鳥の休止防止と損傷防止を兼ねた先端部が絞られた形状のプラスチック製のボルト安全キャップ13aを付設することが好ましい。
【0030】
線材張設用部材14は、図3の(A)〜(D)に示す様に、線材張設対応ボルト13が嵌通出来る嵌通穴14aと側部に線材が貫通出来て線材が損傷し難い形状をなす貫通穴14bを有している。そして、線材張設対応ボルト13への装着対応としては、線材張設対応ボルト13が全ネジ形状の場合は嵌通穴14aの内面に嵌合出来るネジ山を施して、図3の(E)に示す様な形態で装着対応し、ネジ形状でない場合は、図3の(C)の(イ)又は(ロ)に示す様な側面にて固定用ネジ14cを用いる方法又は該部材の側面に切れ目を施し固定用突出部位14dを設けて固定用ネジ14cを用いる方法等の固定対応手段を付加させて、図3の(F)(G)に示す様な形態で装着対応するのが好ましい。そして、貫通穴貫通穴14bは少なくとも2個が対称位置に配設され、線材が損傷し難い形状としては少なくとも線材と接触する部分は断面外形が円弧または楕円形状の一部をなす形状が好ましい。また、図5に示す様に、鳥害防止用線材20を縦横に張設する場合には、2個の線材張設用部材14を近接させて90度ずらした形態で配設して対応すれば良い。
【0031】
溝型増設用部材15は、図4の(B)(C)に示す様に、基板部に線材張設対応ボルト13が留め付けられるナット状部位15aが付設されると共に両側の縁部に立ち上がり部位15bを有しており、図6または7の(A)(B)(D)に示す様に、コの字形状部材11の取付時に上方側となる突出部位の下部に嵌合させて取り付けることにより、線材張設対応ボルト13の取付数が増加出来る様になる。
【0032】
鳥害防止用線材20は、図1、5に示す様に、例えば、一端部を線材張設用部材14に直接留め付け、他端部にバネ材30を連結させて線材張設用部材14に留め付けられる。尚、両端部にバネ材30を連結させて留め付けても良い。そして、複数列張設される場合は、1本の鳥害防止用線材20で線材張設用部材14の貫通穴14bを縫う様にして約40〜6mmの範囲の間隔で平行に配列して張設する。
【0033】
バネ材30は、図1および図4の(A)に示す様に、金属線材を螺旋状にし端部に環状の取付部位を有したものが用いられる。
【0034】
板状ゴム質部材40は、滑り難く長期間弾力性を有する材質が好ましく、複数の筋状の溝を施したものが好ましい。
【0035】
電線50と発光器60は、図7に示す様に、電線50は線材張設用部材14を利用し配線し、発光器60は、線材張設対応ボルト13を利用して配設する。そして、電線50は一般に用いられていて耐候性能を有する被覆電線を用いれば良く、発光器60は瞬時に点滅可能な赤色系発光のLEDが用いられた発光器が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
鳥害防止用線材に金属線を用いることにより、通信アンテナの補助アンテナとしての利用の可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の鳥害防止装置をH形鋼のフランジ部に設置した場合の1状態例の一対となる部分を示す説明図 (A)正面図 (B)側断面図
【図2】鳥害防止用線材張設具のコの字形状部材の説明図 (A)ナット状部位を並列に配置した場合の平面図 (B)Aの例の側断面図 (C)ナット状部位を直列に配置した場合の平面図 (D)Cの例の側断面図
【図3】線材張設用部材の説明図と線材張設対応ボルトとの組み付け方法の説明図 (A)(B)(C)線材張設用部材の形状例の平面図 (D)Bの例の断面図 (E)線材張設対応ボルトが全ネジ状態の例の説明図 (F)線材張設対応ボルトが下方部のみネジ状態のCのイの例での組み付け例図 (G)線材張設対応ボルトが下方部のみネジ状態のCのロの例での組み付け例図
【図4】バネ材と溝型増設用部材の説明図 (A)バネ材の形状図 (B)溝型増設用部材の平面図 (C)溝型増設用部材の断面図
【図5】H形鋼の上部にリップみぞ形鋼が配設された条件例に設置した場合の説明図(A)側断面図 (B)平面図
【図6】大型H形鋼、板状コンクリート突出部への設置例の説明図 (A)大型H形鋼への溝型増設用部材板状を追加して用いた対応例の平面図 (B)Aの例の断面図 (C)コンクリート垂直突出部へ設置した場合の例の断面図 (D)コンクリート水平突出部へ設置した場合の例の断面図
【図7】鳥害防止用線材張設具を利用し電線と発光器の設置例の説明図 (A)大型H形鋼への設置の平面説明図 (B)Aの例の断面説明図 (C)コンクリート垂直突出部へ設置した場合の例の断面説明図 (D)コンクリート水平突出部へ設置した場合の例の断面説明図
【符号の説明】
【0038】
1 ;本発明の鳥害防止装置
2 ;H形鋼
3 ;リップみぞ形鋼
4 ;ベランダ、パラペット等のコンクリート立ち上がり部位
5 ;庇等のコンクリート突出部位
6 ;床または屋根等
10 ;本発明の鳥害防止用線材張設具
11 ;コの字形状部材
11a;貫通穴
11b;ナット状部位
11c;コの字補強部位
12 ;固定用ボルト
13 ;線材張設対応ボルト
13a;ボルト安全キャップ
14 ;線材張設用部材
14a;嵌通穴
14b;貫通穴
14c;固定用ネジ
14d;固定用突出部位
15 ;溝型増設用部材
15a;ナット状部位
15b;立ち上がり部位
15c;アンカー留付用穴
20 ;鳥害防止用線材
30 ;バネ材
40 ;板状ゴム質部材
50 ;電線
60 ;発光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材を張設して鳥害を防止するための線材張設具であって、建造物の鉄骨、板状コンクリート突出部等に嵌装しボルトにより締め付け固定出来る様にするためのコの字形状をなし且つ両側の突出部位の外面側に貫通穴と一体化するナット状部位が付設されたコの字形状部材と、前記ナット状部位に締め込み可能な固定用ボルト及び線材張設対応ボルトと、線材張設対応ボルトの任意な位置に装着可能で線材張設対応ボルトが嵌通出来る嵌通穴および側部に線材が貫通出来て線材張設時に線材が損傷し難い形状をなす貫通穴を有する線材張設用部材とからなることを特徴とする鳥害防止用線材張設具。
【請求項2】
前記コの字形状部材の突出部位の貫通穴と一体化するナット状部位がコの字形状の中央部位にも設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鳥害防止用線材張設具。
【請求項3】
前記コの字形状部材の取付時に上方側となる突出部位の下部に嵌合させて着設し線材張設対応ボルトの取付数を増加出来る様にするために用いる部材であり基板部に線材張設対応ボルトが留め付けられるナット状部位が付設されると共に両側の縁部に立ち上がり部位を有する溝形増設用部材が追加されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鳥害防止用線材張設具。
【請求項4】
線材を張設して鳥害を防止する装置であって、請求項1から請求項3のいずれかに記載の鳥害防止用線材張設具と、鳥害防止用線材および該線材の張設後の張力保持のためのバネ材とからなり、鳥害防止用線材張設具を適宜な間隔で建造物の鉄骨、板状コンクリート突出部等に嵌装させて固定用ボルトを用いて固設し、前記線材張設用部材に付設された貫通穴を利用し鳥害防止用線材を張設して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする鳥害防止装置。
【請求項5】
前記鳥害防止装置において前記鳥害防止用線材張設具を利用し電線を配線すると共に瞬時に点滅可能な発光器を設置して、発光による鳥の忌避効果も付加して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする請求項4に記載の鳥害防止装置。
【請求項6】
線材を張設して鳥害を防止する方法であって、請求項1から請求項3のいずれかに記載の鳥害防止用線材張設具と、鳥害防止用線材および該線材の張設後の張力保持のためのバネ材とを用いて、前記線材取付用ナットを装着させた線材張設対応ボルトを取り付けた鳥害防止用線材張設具を適宜な間隔で建造物の鉄骨、板状コンクリート突出部等に嵌装させて固定用ボルトを用いて固設し、鳥害防止用線材の少なくとも一端側にバネ材を連結し前記線材張設用部材に付設された貫通穴を利用し適度な張力を保持させた状態で張設して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする鳥害防止方法。
【請求項7】
前記鳥害防止方法において前記鳥害防止用線材張設具を利用し電線を配線すると共に瞬時に点滅可能な発光器を設置して、発光による鳥の忌避効果も付加して鳥の飛来を忌避し鳥害を防止出来る様にしたことを特徴とする請求項6に記載の鳥害防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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