説明

鳥類忌避追い払い装置

【課題】鳥類に対する持続的な脅し効果を発揮しつつ、電源確保に関わる設備コストを抑え、降雨に際して浸水対策を施した鳥類忌避追い払い装置を提供するものである。
【解決手段】四角柱の形状を主体とし、下方に端面を開放したプラスチック製容器と、そのプラスチック製容器の対向する内壁面を叩く回転体と、回転体を回転させるための駆動源とをプラスチック製容器の内部に収納したものである。駆動源に電力を供給するためには蓄電装置と、蓄電装置の充電完了を知らせる制御装置とを用いる。そして、プラスチック製容器の壁面に駆動源、蓄電装置、制御装置を支持する部材を取り付けるための取り付け穴を設け、その取り付け穴の位置より高い位置に蓄電装置、制御装置を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類による田畑や菜園、果樹園などへの侵入、及び農作物に対する被害を防止する鳥類忌避追い払い装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物に被害を与える鳥類を追い払い、又、鳥類の田畑や菜園、果樹園などへの侵入を防ぐためにいろいろな対策がなされてきた。例えば特開2003−204751号公報のような自然風を駆動源として、又、自然風が停止中においてはモーターを駆動源として反射体を回転させて鳥類を脅すものがあれば、特開2000−53号公報のような回転体を運動させたり、スピーカーから音声などを発生させたりするような複合的動作でもって鳥類を威嚇する鳥類忌避追い払い装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2003−204751号公報
【特許文献2】 特開2000−53号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自然風を利用した鳥類忌避追い払い装置では、鳥類の活動時間帯である日中に風が吹かなければ持続的な脅し効果を発揮し難く、自然風の停止中にモーターを駆動源とする場合には家庭用電源や大型バッテリーなどの外部電源を別個用意する必要があり、設備コストが増してしまう。又、家庭用電源から導電すると鳥類忌避追い払い装置の設置場所が遠くなるほど電力損失が大きい。
【0005】
又、回転体を運動させたり、スピーカーから音声などを発生させたりするような複合的動作を行う鳥類忌避追い払い装置は、降雨の際、長時間雨風に晒されると装置内部に雨水が浸入することもあり、回転体を運動させたり、スピーカーから音声などを発生させたりするための制御部品がある場合、それらの制御部品が浸水を原因に濡れて故障する危険性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたもので、四角柱の形状を主体とし、端面を開放したプラスチック製容器と、そのプラスチック製容器の対向する内壁面を叩く回転体と、回転体を回転させるための駆動源とをプラスチック製容器の内部に収納したもので、更には駆動源に電力を供給するための蓄電装置と、蓄電装置の充電完了を知らせる制御装置とをプラスチック製容器の内部に収納したものである。
そして、好ましくはプラスチック製容器の壁面に駆動源、蓄電装置、制御装置を支持する支持器具を取り付けるための取り付け穴を設け、プラスチック製容器の開放した端面を下方に向けた時、その取り付け穴の位置より高い位置に蓄電装置、制御装置を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は四角柱の形状を主体とし、端面を開放したプラスチック製容器と、そのプラスチック製容器の対向する内壁面を叩く回転体と、回転体を回転させるための駆動源とをプラスチック製容器の内部に収納したものであるから、自然の天候に左右されることなく、持続的かつ手軽に大きな脅し効果を得ることが出来る。
そして、駆動源に電力を供給するための蓄電装置と、蓄電装置の充電完了を知らせる制御装置とを設けたので、家庭用電源や大型バッテリーを不要とするため、設備コストを抑えることができ、長距離にわたる装置の設置での電力損失を殆ど配慮しなくてもよくなった。
【0008】
又、プラスチック製容器の壁面に駆動源、蓄電装置、制御装置を支持する支持器具を取り付けるための取り付け穴を設け、その取り付け穴の位置より高い位置に蓄電装置、制御装置を設けたので、雨風に鳥類忌避追い払い装置が晒された場合に取り付け穴の隙間から雨水が浸入することがあっても、位置関係の違いから内部の蓄電装置、制御装置などが濡れることはなくなり、さらにプラスチック製容器の開放した端面を下方に向けているため、装置内部に雨水が溜まることもなく、浸水による故障の危険性はなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明に係わる鳥類忌避追い払い装置を示す正面断面図である。
【図2】 本発明に係わる鳥類忌避追い払い装置を示す側面断面図である。
【図3】 本発明に係わる鳥類忌避追い払い装置の回転体の要部を示す斜視図である。
【図4】 本発明に係わる鳥類忌避追い払い装置に用いる回路部のブロック図である。
【図5】 本発明に係わる鳥類忌避追い払い装置の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ペットボトルの底面を切り取ったような、端面を開放したプラスチック製容器の中に、内壁面を叩く回転体と駆動源と収納させることで、持続的かつ手軽に大きな脅し効果を得ることが出来る。プラスチック容器は立方体状ではなく回転体に対して対向する2壁面が叩かれるようなほぼ長方形が好ましい。回転体の回転には駆動源を用い、駆動源には蓄電装置を充電して電力を供給する。そして、蓄電装置の充電には家庭用電源や大型バッテリーを必要としないため、手軽にしかも複数装置を広い農園などに設置できる。以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
図1は本発明に係わる鳥類忌避追い払い装置を示す正面断面図で、図2は側面断面図、図5は斜視図である。これらの図において1は、四角柱の形状を主体とし、端面10を開放したプラスチック製容器である。このプラスチック製容器1は例えば2リットルペットボトルの底面を切り捨てたもので、端面10を下側に向けて用いる。プラスチック製容器1は好ましくは本体が直方体で断面が長方形の厚さ2mm以下と薄手のものである。これはプラスチック容器1のすべての内壁を叩くよりも対向する2内壁面を叩く方が、叩く力が弱くても容器の振動が大きく、又、音も響きやすいからである。
【0012】
2は、プラスチック製容器1の対向する内壁面を叩く回転体で、プラスチック製容器1のほぼ中央に位置するように設けられた支柱6に固定されたモーターなどの駆動源3の回転軸23に固定されている。この回転体2はハンマーのようなものであっても良いが、図3に示すように、叩き玉21を回転アーム22の端縁に回転自在に一対設け、回転アーム22を駆動源3で回転させる構造にしてある。このように構成することで、モーターの負荷がより小さくなり、又、プラスチック製容器1がより効率的に殴打されることになる。又、叩き玉21の可動範囲に余裕を持たせて、プラスチック製容器1の対向する内壁面を叩く際に強い負荷がかからないようにすることで、叩き玉21の表面が磨耗しないようなメンテナンスフリー性を持たせたものである。
【0013】
本発明の設置方法については、例えば、鳥類の侵入を妨げたい範囲の両端に1対の柱などを立て、その柱同士の間にロープを張って鳥類忌避追い払い装置を吊るすのが好ましい。その場合においては、プラスチック製容器1の端面10とは反対側となる面に紐などを通してロープに吊るすものとする。これにより鳥類忌避追い払い装置が中空に吊るされることで、回転体2がプラスチック製容器1の2内壁面を叩く際に音が大きくなり、鳥類の侵入を妨げたい範囲に反響しやすくなる。加えて、ロープに鳥類忌避追い払い装置を複数個吊るせば、叩く音をより大きく共鳴させることもできる。
又、副次的な効果として、駆動源3が駆動する際の振動や回転体2がプラスチック製容器1の2内壁面を叩く際の振動によって容器全体が揺れることで、動体として視覚的に鳥類を威嚇することができる。更に、プラスチック製容器1の外面に太陽光を反射させる反射材や鳥類の嫌う模様などを貼り付ければ、鳥類に対する複合的な脅し効果を発揮させることもできる。
【0014】
駆動源3であるモーターはDCブラッシュモーターを使用することが好ましい。これは例えばプランジャーを使用するのと較べてローコストかつ省電力だからである。そして、駆動源3を支持する支柱6は端面10に向かってぶら下がるよう支持器具20に取り付け、好ましくはコの字型の形状を取ることで、より堅持に駆動源3を支えるものである。
【0015】
このような駆動源3は、図4に示すブロック図にあるように、蓄電装置4に蓄えられた電力で駆動するのが好ましい。ここに示した例で言えば、外部電源(図示せず)から得られた電力を蓄電装置4に充電し、一定の電圧まで上昇したのをコンパレータa50が検出したところで制御装置5が蓄電装置4に蓄えられた電力を駆動源3に流し、回転体2を駆動させる。
そして、回転体2の駆動によって電力を消費し、蓄電装置4の電圧が一定のところまで低下したのをコンパレータb51が検出したところで制御装置5が回転体2の駆動を止め、再び蓄電装置4が充電を開始する。これにより、単調に連続的な打音を鳴らすよりも、例えば回転体2が10秒間駆動して、蓄電装置4の充電のために30秒間止まるといった緩急のついた間歇駆動を繰り返すことで、より高い鳥類に対する脅しの効果を発揮することができる。
【0016】
蓄電装置4には電気二重層コンデンサを使用することが好ましい。電気二重層コンデンサは通常のコンデンサよりも容量が大きく、電池よりも耐久性に優れ寿命も長いため、日中における鳥類忌避追い払い装置の長時間使用にも耐えうるものである。
蓄電装置4に電力を供給する外部電源については種類を選ばないが、小型かつ設備コストを抑えるものとして、太陽電池パネルを利用することが好ましい。
【0017】
コンパレータa50やコンパレータb51は、駆動源3を駆動開始させる、もしくは停止させるタイミングの基準値となる一定の電圧を検出する際にマイコンなどを利用するよりも消費電力やコストを抑えることができる。又、蓄電装置4の電圧を検出する上記の例において、蓄電装置4の容量や耐圧が少ない場合でも間歇駆動が出来るという長所が得られる。しかしこれに限られるものではなく、外部電源や蓄電装置4の容量を係数とし、天候や風向きによって設定されたタイマーで間歇駆動してもよい。
【0018】
図5は本発明に係わる鳥類忌避追い払い装置の外観を示す斜視図である。この図5の12は駆動源3、蓄電装置4、制御装置5を支持する支持器具20を取り付けるために、プラスチック製容器1の対向する壁面に開けられた取り付け穴であり、同様の目的で図2に示すような固定穴11を支持器具20の両端面に開け、支持器具20をプラスチック製容器1の内部に収納した上で、固定穴11と取り付け穴12の位置を合わせてネジを通し、支持器具20をプラスチック製容器1に固定する。その際、プラスチック製容器1の開放した端面10を下方に向けた時、好ましくは支持器具20の形状が端面10に対して凸型とするものである。これは支持器具20に支持された蓄電装置4、制御装置5を取り付け穴12よりも高い位置に設けることで、降雨時に取り付け穴12から雨水が滲み入っても支持器具20を伝って蓄電装置4、制御装置5といった回路部を濡らさないようにし、浸水で鳥類忌避追い払い装置が故障しないようにしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は鳥類による田畑や菜園、果樹園などへの侵入、及び農作物に対する被害を防止するためのものであるが、例えば、一般家庭ゴミなどを集めるゴミ置き場周辺にこの鳥類忌避追い払い装置を設置することで、鳥類は元より、犬や猫などがゴミ袋を漁ってゴミを辺りに散らかすような被害を防止することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 プラスチック製容器
2 回転体
3 駆動源
4 蓄電装置
5 制御装置
6 支柱
10 端面
11 固定穴
12 取り付け穴
20 支持器具
21 叩き玉
22 回転アーム
23 回転軸
50 コンパレータa
51 コンパレータb

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角柱の形状を主体とし、端面を開放したプラスチック製容器と、該プラスチック製容器の対向する内壁面を叩く回転体と、該回転体を回転させるための駆動源とを前記プラスチック製容器の内部に収納したことを特徴とする鳥類忌避追い払い装置。
【請求項2】
前記駆動源に電力を供給するために蓄電装置及び、該蓄電装置の充電完了を知らせる制御装置とを前記プラスチック製容器の内部に収納したことを特徴とする前記請求項目1に記載の鳥類忌避追い払い装置。
【請求項3】
前記プラスチック製容器の壁面に前記駆動源、前記蓄電装置、および前記制御装置を支持する支持器具を取り付けるための取り付け穴を設け、前記プラスチック製容器の開放した端面を下方に向けた時、前記取り付け穴の位置より高い位置に前記蓄電装置ならびに前記制御装置を設けたことを特徴とする前記請求項2に記載の鳥類忌避追い払い装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−254801(P2011−254801A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148268(P2010−148268)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(510181116)アクト株式会社 (1)
【Fターム(参考)】