説明

鶏卵計量装置

【課題】搬送中に鶏卵が割れても計量部に鶏卵の黄身や白身が付着することなく、長期にわたって高い計量精度を維持することができる鶏卵計量装置を提供する。
【解決手段】搬送部1の受け皿2に載置された状態で搬送される鶏卵Eは、ガイドレール6によってわずかに受け皿2から持ち上げられて計量レール3に載り移る。鶏卵Eの荷重が計量レール3にかかると、その荷重はアーム4によって計量部5に伝わり、その荷重から計量部5は当該鶏卵Eを計量する。計量部5は、搬送部1上を搬送される鶏卵Eより上方に設けられているので、鶏卵Eが搬送中に割れても黄身や白身が計量部に付着するおそれがない。また、計量レール3に黄身や白身が付着した場合、計量レール3に洗浄液を吹き付けても洗浄液が計量部5に浸入するおそれがないので、簡単に洗浄が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鶏卵計量装置に関し、より詳しくは、搬送中に鶏卵が割れても計量部に鶏卵の黄身や白身が付着することなく、長期にわたって高い計量精度を維持することができる鶏卵計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鶏卵は洗卵乾燥工程および検卵工程を経て、計量装置によって計量されて2L・L・M・MS・S・SSサイズの6区分、規格外の大サイズ・小サイズの2区分の合計8区分に分配され、サイズ区分ごとに包装処理が行われた後、出荷される。
【0003】
従来の鶏卵計量装置は、洗卵乾燥工程および検卵工程を経た鶏卵を搬送する1次コンベアから、サイズ区分ごとに分配搬送するための2次コンベアへ鶏卵が載り移るときに計量する。
従来の鶏卵計量装置の計量器は、鶏卵が1次コンベア上を移動する高さより低い位置に設けられており、連続的に1次コンベアから送られてくる鶏卵を計量器に取り付けられた上皿に載せて計量する(例えば、特許文献1の図2参照)。
【0004】
計量器によって計量された鶏卵は、2次コンベアに載り移り、計量された値に対応したサイズ区分に選別され、包装される。
このとき、計量異常が生じると正確なサイズ区分に選別することができない。特に、鶏卵の重量が本来より重く計量された場合は、鶏卵の容器に記載された重量よりも軽い鶏卵が出荷されてクレームにつながるおそれがあるので、長期にわたって高い計量精度を維持することができる鶏卵計量装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−150941
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の鶏卵計量装置は、鶏卵が1次コンベア上を移動する高さより低い位置に計量器が設けられているので、搬送中の鶏卵が割れ、黄身や白身が計量器の内部に浸入して故障するおそれや、黄身や白身が計量器に付着したまま放置すると、計量器と上皿をつなぐアーム部分に固着して計量異常を引き起こすといった問題があった。
【0007】
さらに、上皿に付着した黄身や白身は上皿を取り外して洗浄することができるが、計量器に洗浄液を吹き付けると内部に洗浄液が浸入して故障するので、簡単には計量器に付着した汚れを落とす事ができないといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鶏卵計量装置は、鶏卵の長軸が水平かつ進行方向に直交する状態で、鶏卵の長軸よりも進行方向左右幅が狭い受け皿に鶏卵を載置しながら鶏卵を搬送し、鶏卵の下方で前記受け皿の両外側に配された計量レールにかかる鶏卵の荷重から前記鶏卵を計量する計量部と、前記計量レールと前記計量部をつなぐアームを備え、前記計量部は、搬送される鶏卵の移動高さよりも上方に設置されている。
ここで、進行方向左右幅とは、搬送部によって搬送される鶏卵の進行方向に直交する水平方向の幅を示している。
【0009】
鶏卵の長軸が水平かつ進行方向に直交する状態で受け皿に載置された鶏卵は、鈍端と鋭端が受け皿からはみ出した状態で搬送されるので、受け皿からはみ出した部分を受け皿の両側に配された計量レールに載せることで載り移り時の衝撃を抑えながら正確に鶏卵を計量することができる。
【0010】
さらに、鶏卵を複数列で搬送する場合は、列間距離を90mm以上とすることで、鶏卵とアームの接触を防ぐことができるので、接触時の振動による計量異常や卵殻にヒビが入るおそれがなくなる。
ここで、列間距離とは、各列同士の中心間の距離を示している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鶏卵は計量部の下方を搬送されるので、鶏卵が搬送中に割れても黄身と白身が計量部に付着することがなくなる。また、計量レールに汚れが付着しても計量レールを取り外さずに洗浄液を吹き付けて洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る鶏卵計量装置の概略平面図である。
【図2】図1の鶏卵計量装置をA方向から見た図である。
【図3】図2の搬送部の別形態を示す図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る鶏卵計量装置の実施例について、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る鶏卵計量装置の概略平面図であり、図2は、図1の鶏卵計量装置をA方向から見た図であり、図3は、図2の搬送部の別形態を示す図であり、図4は、図2のB−B線断面図である。
【0015】
まず、本発明に係る鶏卵計量装置の構成について説明を行う。
図1、図2および図4に示すように、本発明の鶏卵計量装置は搬送部1と、計量部5で構成されている。搬送部1は、鶏卵Eを載置して進行方向であるX方向へ搬送するための受け皿2を備えており、鶏卵Eを長軸が水平かつX方向に直交する状態で受け皿2に載置して搬送する。
本実施例では、6列で鶏卵EをX方向へ搬送しており、X方向に対する受け皿2の左右幅Pは、規格外の小サイズの鶏卵Eの平均的な長軸よりも短い20mmとなっており、各列同士の列間距離Rは、90mm以上としている。
【0016】
搬送部1は、受け皿2の代わりに図3に示すようなキャリア32を備える構成としてもよい。
受け皿2の代わりにキャリア32で鶏卵Eを搬送する場合、鶏卵Eは、長軸が水平かつX方向に直交する状態で二つのキャリア32にまたがるように載置され、X方向へ搬送される。
【0017】
キャリア32は、図3に示すように、二つの鶏卵Eの中間に突起を設けることができるので、載り移り時に鶏卵Eが安定し、前後にある別の鶏卵Eに接触して卵殻にヒビが入るおそれがなくなる。X方向に対するキャリア32の左右幅は受け皿2と同じように、規格外の小サイズの鶏卵Eの平均的な長軸よりも短い20mmとなっている。
【0018】
搬送部1には、搬送されている鶏卵Eを計量するために、計量部5の手前で鶏卵Eを受け皿2からわずかに持ち上げるためのガイドレール6と、計量部5によって計量された鶏卵Eをもとの受け皿2へ戻すためのガイドレール7が設けられている。
図1に示すように、ガイドレール6,7は各列にそれぞれ設けられているが、図4ではガイドレール6,7以外の構成を説明するために記載を省略している。
【0019】
計量部5は、搬送部1の受け皿2に載置された状態で搬送されてくる鶏卵Eを連続的に計量するための計量器であって、搬送部1によって搬送される鶏卵Eよりも上方に設置されており、アーム4および、アーム4に取り付けられた計量レール3を有している。
【0020】
計量レール3は、搬送部1によって搬送される鶏卵Eの下方で受け皿2の両外側に配されており、本実施例では、レール幅Qを30mmとしている。計量レール3に載り移った鶏卵Eは、受け皿2からわずかに持ち上げられた状態になるので、計量が行われている瞬間は受け皿2と鶏卵Eは接触していない。
【0021】
アーム4は、計量レール3と計量部5をつなぐための連結部材であり、計量レール3にかかる鶏卵Eの荷重を上方に設けられた計量部5に伝える。
【0022】
ここで、列間距離Rについて補足する。
従来の鶏卵計量装置に係る搬送部の列間距離は76.2mmであり、そのままの列間距離で計量部5を搬送部1の上方に設けると、アーム4が鶏卵Eと接触する場合があるので列間距離を広げる必要があった。
そこで、列間距離Rを80mm、85mm、90mm、95mmとして実際に鶏卵Eを計量する実験を行ったところ、列間距離Rが85mm以下では2L以上のサイズの鶏卵Eがアーム4に接触する場合があり、90mm以上では規格外の大サイズの鶏卵Eでもアーム4に接触しなくなった。
【0023】
本実施例のように、列間距離Rを90mm以上とすることで、鶏卵Eがアーム4に接触して発生する計量異常や卵のヒビ割れがなくなり、さらに計量部5にアーム4を取り付けるときや、メンテナンス時に取り外すときに容易に作業を行うことができる。
【0024】
次に、本発明に係る鶏卵計量装置の計量動作について説明を行う。
鶏卵Eは洗卵乾燥工程および検卵工程を経て、搬送部1によってX方向へ搬送される。計量部5の手前まで搬送された鶏卵Eは、ガイドレール6によって緩やかに受け皿2から持ち上げられる。
【0025】
ガイドレール6によって受け皿2からわずかに持ち上げられた鶏卵Eは、ガイドレール6上を計量レール3まで転がりながら移動し、計量レール3に載り移る。
【0026】
ガイドレール6は、X方向へ下るようにわずかに傾斜しているのでガイドレール6上を転がりながら移動するが、計量レール3は傾斜していないので、計量レール3に載り移った鶏卵Eは、図2に示されるように受け皿2から完全に離れた状態になり、精度良く鶏卵Eを計量する事ができる。
【0027】
計量レール3にかかる鶏卵Eの荷重は、計量レール3に取り付けられたアーム4によって計量部5へ伝わり、計量部5は、アーム4から伝わる荷重の値から鶏卵Eを計量する。
【0028】
計量された鶏卵Eは、離れていた受け皿2に再び接触し、計量レール3からガイドレール7へ載り移る。
ガイドレール7は、X方向へ下るようにわずかに傾斜しているので、ガイドレール7上を転がりながら緩やかに下って再び受け皿2に載置され、X方向へ搬送される。X方向へ搬送された鶏卵Eは、計量された値に基づいて選別された後、包装され、出荷される。
【0029】
上述の本発明に係る鶏卵計量装置では、計量部5が搬送部1上を搬送される鶏卵Eよりも上方に設けられているので、鶏卵Eが搬送中に割れても黄身や白身が計量部5に付着するおそれがなくなるので、長期にわたって高い計量精度を維持することができる。
【0030】
なお、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0031】
E 鶏卵
1 搬送部
2 受け皿
3 計量レール
4 アーム
5 計量部
6,7 ガイドレール
32 キャリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏卵計量装置であって、
鶏卵の長軸が水平かつ進行方向に直交する状態で、鶏卵の長軸よりも進行方向左右幅が狭い受け皿に鶏卵を載置しながら搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される鶏卵の下方で前記受け皿の両外側に配された計量レールと、
前記計量レールにかかる前記鶏卵の荷重を受けるアームと、
前記搬送部によって搬送される鶏卵の上方に設けられ前記アームが受けた荷重から前記鶏卵を計量する計量部を備える鶏卵計量装置。
【請求項2】
前記搬送部は、列間距離を90mm以上とする複数列で鶏卵を搬送する請求項1に記載の鶏卵計量装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−93150(P2012−93150A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239206(P2010−239206)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(597017812)株式会社ナベル (56)