説明

黄色ブドウ球菌抗原

【課題】黄色ブドウ球菌感染症の予防及び診断のための抗原及びそのキットの提供。
【解決手段】陰性荷電黄色ブドウ球菌抗原はβ-ヘキソサミンを主要な糖質成分として含む。この抗原を含む黄色ブドウ球菌株は、タイプ5またはタイプ8株以外のほぼ全ての臨床的に重要な黄色ブドウ球菌株を占める。本抗原は黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原および黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原と併用して用いることができ、これによって黄色ブドウ球菌感染症のほぼ100%が保護される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本発明は、新規黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)抗原ならびに抗原を得る方法および用いる方法に関する。
【0002】
黄色ブドウ球菌(S. aureus)は様々な病原性メカニズムによっていくつかの疾患を引き起こす。これらの疾患の最も発生率の高い、そして重篤なものは、入院患者での菌血症およびその合併症である。特に、黄色ブドウ球菌は、創傷感染症ならびにカテーテルおよび人工器官装置に関連した感染症を引き起こしうる。黄色ブドウ球菌菌血症に関連した重篤な感染症には、骨髄炎、浸潤性心内膜炎、および敗血症が含まれる。問題は、病院株に多数の抗生物質耐性が存在し、それによって療法の選択が重度に制限されるためにいっそうひどくなる。
【0003】
黄色ブドウ球菌ワクチンは抗生物質耐性の問題の解決となると考えられる。莢膜多糖類(CPS)に対するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を用いて黄色ブドウ球菌の8つの異なる血清型が確認されている。カラカワら(Karakawa)、J. Clin. Microbiol. 22:445(1985)(非特許文献1)。本文書の内容および本明細書に記述の他の全ての内容は、参照として本明細書に組み入れられる。調査により、単離菌の約85〜90%が莢膜多糖類タイプ5またはタイプ8であることが示されている。タイプ5およびタイプ8CPS抗原を含むワクチンを接種した個体は、黄色ブドウ球菌株の85〜90%による感染症から保護されるが、感染の有意なリスクは依然として存在する。他の6つの血清型からの抗原を含むワクチンは、理論的には100%保護を提供するが、6つのさらなる成分の産生および精製を必要とすると考えられる。このことは、実際的な見地から擁護できないであろう。一方、タイプ5またはタイプ8として分類することができない単離菌に共通の抗原があれば、3つの抗原のみを含むワクチンの産生が可能となると考えられる。
【非特許文献1】カラカワら(Karakawa)、J. Clin. Microbiol. 22:445(1985)
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
したがって、タイプ5またはタイプ8株ではない臨床的に重要な黄色ブドウ球菌株に共通する抗原を提供することが本発明の目的である。
タイプ5またはタイプ8株ではない黄色ブドウ球菌株に共通する抗原を含むワクチンを提供することが本発明のさらなる目的である。
黄色ブドウ球菌タイプ5抗原、黄色ブドウ球菌タイプ8抗原およびタイプ5またはタイプ8株ではない黄色ブドウ球菌株に共通する抗原を含むワクチンを提供することがさらにもう一つの目的である。
タイプ5抗原、タイプ8抗原およびタイプ5またはタイプ8株ではない黄色ブドウ球菌株に共通する抗原に対する抗体を含む高度免疫グロブリン組成物を提供することがもう一つの目的である。
黄色ブドウ球菌感染症を診断するためのキットおよびアッセイを提供することがもう一つの目的である。
【0005】
本発明のこれらおよびその他の目的に従って、核磁気共鳴分光法によって検出可能なO-アセチル基を含まず、かつATCC 55804に対する抗体と反応する、β-結合ヘキソサミンを含む単離された黄色ブドウ球菌抗原が提供される。同様に、核磁気共鳴分光法によって検出可能なO-アセチル基を含まず、かつATCC 55804に対する抗体と反応する、β-結合ヘキソサミンを含む黄色ブドウ球菌抗原、黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原および黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原の少なくとも1つ、ならびに滅菌の薬学的に許容されるその担体を含む組成物も提供される。免疫療法は、そのような組成物の免疫刺激量を被験者に投与する段階を含む。
【0006】
黄色ブドウ球菌感染症に対する免疫療法剤の調製法は、本発明の組成物によって被験者を免疫し、免疫した被験者から血漿を回収し、回収した血漿からの黄色ブドウ球菌に対して作製された抗体を含む免疫グロブリンを回収する段階を含む。免疫グロブリンはβ結合ヘキソサミン抗原に対して作製された抗体を含み、さらに、黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原および黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原に対して作製された抗体を含んでもよい。免疫療法はこの免疫グロブリンを被験者に投与する段階を含む。
【0007】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な記述から明らかとなるであろう。しかし、本発明の意図および範囲内で様々な変更および修飾を行ってもよいことは、この詳細な説明から当業者には明らかであるため、本発明の好ましい態様を示す詳細な説明および特殊な実施例は説明するために限って提示されていると理解すべきである。
【0008】
好ましい態様の説明
タイプ5またはタイプ8に分類されない黄色ブドウ球菌(S. aureus)の実質的に全ての株が共通した抗原を有することが見出され、本明細書では「336抗原」と名付けた。タイプ5またはタイプ8抗原と組み合わせると、336抗原は臨床的に重要な黄色ブドウ球菌単離菌による感染症に対してほぼ完全な保護が得られるワクチンの基礎となる。この点において、「臨床的に重要な」単離菌とは、病原性である単離菌である。
【0009】
より詳しく述べると、様々な起源から得られた単離菌を分類すると、表1に示すように、単離菌の約60%がタイプ8、約30%がタイプ5、そして単離菌の残り10%のほぼ全てがタイプ336であることを示している。これらの3つのタイプの1つとして分類されないのは単離菌の1%未満である。
【0010】
【表1】

【0011】
336抗原を有する黄色ブドウ球菌(S. aureus)の代表的な株は、ブダペスト条約に基づいてアメリカンタイプカルチャーコレクションに寄託されており、寄託番号55804が付与されている。
特に、本発明者らは、黄色ブドウ球菌のタイプ5またはタイプ8株のいずれにも分類できず、メチシリン耐性株であるという特徴を有する臨床単離菌27例を得た。27株は全て、336抗原結合抗体血清に強く反応し、したがって336抗原を含む株として分類することができた。
【0012】
336抗原に対する抗体は、黄色ブドウ球菌タイプ5、タイプ8、タイプ4、K73(タイプ5の変種株)、または表皮ブドウ球菌(S. epidermis)から単離された多糖類とは交叉反応しない。したがって、336抗原はタイプ特異的で、すなわち同種タイプの抗血清のみと単一なバンドを形成する。
【0013】
336抗原は、実質的に純粋な形で、本明細書に記述のプロトコルに従って培養された特定の黄色ブドウ球菌単離菌から回収可能な量を得ることができる。特に、精製抗原の蛋白含量は1%未満および核酸含量は1%未満である。この点において、「回収可能な」量とは、抗原の単離量が、例えばイムノアッセイのような放射性標識より感度が悪い方法によって検出可能で、抗原自体を溶液中に輸送することを含むさらなる操作を行うことができることを意味する。
【0014】
336抗原を得るためには、本発明の336単離菌をまず、MgCl2/CaCl2を加えたコロンビアブロス寒天プレートで増殖させ、次に2%NaCl/コロンビア反応開始フラスコに移す。同じ培地を含む発酵剤50 Lを開始フラスコに加える。細胞を16〜24時間発酵させる。発酵後、最終濃度2%のフェノール−エタノール(1:1)で細胞を殺し、遠心して上清から細胞を分離する。抗原を細胞ペーストから抽出する。いくつかの336抗原が上清中に存在するが、細胞ペースト中に認められる量と比較してその量は有意ではない。収量が低いことと、培地からの6炭糖混入のリスクがあるために、上清からの抽出は好ましくない。
【0015】
細胞ペーストのリゾスタフィン、DNアーゼ、RNアーゼ、およびプロテアーゼによる酵素処理の後、25〜75%の冷エタノール/CaCl2による連続沈降を行うと、粗抗原抽出物が得られる。粗材料を水に再度溶解し、透析して凍結乾燥する。凍結乾燥材料を緩衝液に溶解し、同じ緩衝液で平衡にした分離用カラムに載せる。カラムを0.15 M NaClローディング緩衝液で洗浄し、次に0.15〜0.4 M NaCl勾配で溶出させる。本発明の抗原のほとんどは0.32〜0.35 M NaClで溶出する。抗原を含む分画をプールして、透析し、濃縮して凍結乾燥する。分離を繰り返してさらに精製することができる。粗抗原をリソチームで処理して、適したカラム上でサイズにより精製し、次に336陽性分画をプールして、濃縮し、透析して凍結乾燥する。
【0016】
精製336抗原のガス液体クロマトグラフィー(GLC)による分析により、主なグリコシル成分としてグルコサミンの存在が示される。これは、ジオネックスシステム(Dionex system)での糖分析によって確認する。336抗原の1H-NMR分光測光法により、主な糖質成分としてのβ-結合ヘキソサミンの存在が示される。抗原は、336抗原によって示される、認められた陰性荷電の原因である成分をさらに含む。
【0017】
図1に示すように、336、タイプ5およびタイプ8黄色ブドウ球菌抗原のそれぞれのNMRスペクトルの比較から、336抗原がタイプ5およびタイプ8黄色ブドウ球菌抗原の双方とは化学的に異なることが確認される。タイプ5およびタイプ8多糖類抗原の構造は、モリューら(Moreau)、Carbohydr. Res. 201:285(1990);およびフォーニエールら(Fournier)、Infect. Imm. 45:87(1984)によって解明された。いずれも、スルフヒドリル基を導入するために用いることができるManNAcAと共に反復単位の中にFucNAcpを有する。構造は以下の通りである:
タイプ5:
->4)-β-D-ManNAcAp(1-->4)-α-L-FucNAcp(1-->3)-β-D-FucNAcp(1-
3

OAc
タイプ8:
->3)-β-D-ManNAcAp(1-->3)-α-L-FucNAcp(1-->3)-β-D-FucNAcp(1-
4

OAc
対照的に、336抗原の主な糖質成分はβ結合ヘキソサミンである。
【0018】
哺乳類に菌血症を発症させるためには、極めて多数の菌体、または宿主抵抗性を低下させるような何らかの既知の手技を必要とする。しかし、インビトロ貪食は、インビボでの保護免疫に相関するものとして調べることができる。このモデルでは、336抗原特異的モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が、インビトロで黄色ブドウ球菌にオプソニンを作用させるか否かは、コジマら(Kojima)、Infect. Dis. Immun. 58:2367〜2374(1990)が記述した方法に従って貪食によって測定する。
【0019】
336抗原ワクチンによって誘導された抗体は、タイプ特異的貪食を容易にする。このように、インビトロ貪食アッセイは、336抗原に対する抗体が336抗原を有する黄色ブドウ球菌株による感染症に対して保護的であることを示している。タイプ5およびタイプ8抗原に基づくワクチンはこれまで、黄色ブドウ球菌のタイプ5およびタイプ8株のそれぞれによる感染症に対して保護的であることが示されている。ファトムら(Fattom)、Inf. and Imm. 58:2367〜2374(1990)およびファトムら(Fattom)、Inf. and Imm. 64:1659〜1665(1996)。タイプ5、タイプ8および336抗原の組み合わせに基づくワクチンを用いて黄色ブドウ球菌臨床株の大多数からの感染に対して保護することができる。
【0020】
本発明に係る336抗原の組成物は336抗原を「本質的に含み」、このことは、組成物を被験者にワクチンとして投与した場合、336抗原に対する免疫応答の誘発、または抗原を診断に用いる場合に診断アッセイの特徴である抗原-抗体結合を妨害する如何なる材料も組成物が含まないことを意味する。好ましい態様において、組成物はタイプ336、タイプ5およびタイプ8黄色ブドウ球菌抗原を含む。
【0021】
本発明の抗原は、試料中の黄色ブドウ球菌抗原および/または抗黄色ブドウ球菌抗体の有無を検出する診断アッセイの作製に有用である。黄色ブドウ球菌336抗原または黄色ブドウ球菌抗原に特異的な抗体を、単独、または抗原もしくはタイプ5およびタイプ8黄色ブドウ球菌抗原の1つもしくは双方に対する抗体と併用して、黄色ブドウ球菌抗原または抗体を含むことが疑われる試料と混合し、抗原-抗体結合をモニターする。抗原または抗体は放射活性または酵素標識によって標識する。好ましい態様において、抗原または抗体が、マトリクス表面に接する相補的抗体または抗原に近づけるように、抗原または抗体を固相支持体に固定する。次に試料をマトリクス表面と接触させ、表面の抗原-抗体結合をモニターする。
【0022】
例えば、抗原または抗体は、抗原または抗体が固相に結合して、酵素-抗体または酵素-抗原結合物を用いて試料中に存在する抗体または抗原を検出および/または定量する、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)において用いることができる。または、可溶化して分離された抗原がニトロセルロース濾紙と結合するウェスタンブロットアッセイを用いることができる。次に、抗体を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ-Ig結合物のような酵素または標識結合抗免疫グロブリン(Ig)を、沈殿可能または検出可能な基質の存在下で濾紙とインキュベートすることによって検出する。ウェスタンブロットアッセイは、所望の抗原の純度が50%以上である必要はないという利点を有する。ELISAおよびウェスタンブロット技術に関する記述は、その本文が本明細書に参照として組み入れられる、アウスベルら(Ausubel)編、「分子生物学の最新プロトコル(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY)」、John Willy and Sons(1988)の第10章および第11章に見られる。
【0023】
ワクチンに用いる際には、抗原に対する免疫応答を誘導するためのT細胞とB細胞との相互作用を改善するために、336抗原を、通常ポリペプチドまたは蛋白質のような免疫担体に結合することが好ましい。これは抵抗性が低下した患者での使用を意図したワクチンの場合には特に重要である。免疫担体は、能動免疫の場合にも、および受動免疫の場合のボランティアにおける高力価の抗血清を調製する際にも免疫原性を増強する。本発明の適した免疫担体には、例えば、ファトムら(Fattom)、Inf. and Imm. 61:1023〜1032(1993)が記述しているように、免疫担体として一般的に用いられる他の蛋白質と共に、破傷風毒素、ジフテリア毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)エキソトキシンAまたはその誘導体、組換え型非毒性変異株のエキソトキシンAが含まれる。
【0024】
好ましくは、抗原または抗原結合物は、アジュバント誘発毒性を避けるために、アジュバントを用いないで投与する。アジュバントを用いる場合には、保護的なIgGサブタイプ2抗体を促進するアジュバントを用いることが好ましい。典型的なアジュバントには、フロイントの完全アジュバント(CFA)およびフロイントの不完全アジュバント(IFA)が含まれる。硫酸デキストランは、ブドウ球菌細胞表面抗原に対するIgG2抗体の強力な刺激剤であることが示されており、同様にアジュバントとして適している。
【0025】
本発明はまた、336抗原を有する黄色ブドウ球菌株に結合または中和するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(マウスまたはヒト)の産生に336抗原を用いることにも関する。これらの抗体を産生するプロトコルは、アウスベルら(Ausubel)編、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY、第11章;バーテル&ヒルシャウト(Bartel and Hirshaut)編、「ハイブリドーマ作成法(METHODS OF HYBRIDOMA FORMATION)」、257〜271、Humana Press、Clifton、NJ(1988);ビテッタら(Vitetta)、Immunol. Rev. 62:159〜83(1982);およびラソ(Raso)、Immunol. Rev. 62:93〜117(1982)に記述されている。
【0026】
ポリクローナル抗体産生のために接種物は、典型的に抗原-免疫担体を、生理食塩液のような生理学的に許容される希釈剤に分散させて、水性組成物を形成することによって調製する。アジュバントの有無によらず、接種物の免疫刺激量を哺乳類に投与し、次に、抗原が保護的な抗336抗原抗体を誘導するために十分な期間、接種した哺乳動物を維持する。抗原に対する反応にプライミングされていない個体には抗原-免疫担体の追加免疫量を用いてもよい。
【0027】
抗体には、一般的に用いられる多様な動物、例えば、ヤギ、霊長類、ロバ、ブタ、ウサギ、ウマ、雌鶏、モルモット、ラット、およびマウスの抗体調製物を含んでもよく、適当な選択、分画および精製を行った後のヒト抗体であってもよい。動物の抗血清はまた、ホルマリンで死滅させた黄色ブドウ球菌の336株を動物に接種することによって、従来の方法によって、動物を飼育し、さらに加工するために血清または血漿を回収することによって、作製してもよい。
【0028】
このようにして誘導された抗体は、アルコール分画およびカラムクロマトグラフィーまたは免疫アフィニティクロマトグラフィーのような周知の技法によって望ましい程度に回収および単離することができる;すなわちセファデックス登録商標のような材料を充填したクロマトグラフィーカラムに抗原を結合させ、抗血清をカラムに通過させ、それによって特異的抗体を保持して、その他の免疫グロブリン(IgGs)および混入物質を分離し、その後カオトロピック剤によって溶出して精製抗体を回収するが、選択的にその後例えば、血液型抗原またはその他の非病原性種を結合させたカラムを通過させることによってさらに精製する。この技法は、問題の病原菌に対する抗体力価を生じたヒトの血清または血漿から望ましい抗体を単離し、このように抗原に結合することができる抗体を確実に保持させる場合には好ましい可能性がある。次に、黄色ブドウ球菌の336株に対する受動免疫用製剤にそれらを用いることができる。
【0029】
モノクローナル抗体組成物は、検出限界の範囲内で、336抗原と有効に結合することができる1種類のみの抗体結合部位を含む。モノクローナル抗体型の適した抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて調製することができる。
本発明のモノクローナル抗体組成物を産生するハイブリドーマを作製するためには、骨髄腫またはその他の自己不死化細胞株を、336抗原で高度免疫した哺乳類の末梢血、リンパ節、または脾臓から得たリンパ球と融合させる。骨髄腫細胞株はリンパ球と同じ種に由来することが好ましい。脾細胞は典型的に、ポリエチレングリコール1500を用いて骨髄腫細胞と融合する。融合したハイブリッドをHATに対する感受性によって選択する。本発明の抗体分子を分泌するハイブリドーマはELISAを用いて同定することができる。
【0030】
Balb/cマウスの脾臓、ヒト末梢血、リンパ節または脾細胞は、マウスまたはヒトハイブリドーマの調製に用いられる好ましい材料である。本発明において用いられる適したマウス骨髄腫は、ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン-感受性(HAT)細胞株が含まれ、好ましい骨髄腫はP3X63-Ag8.653である。ヒトモノクローナル抗体産生のための好ましい融合パートナーはSHM-D33で、これはメリーランド州、ロックビルのATCCから、CRL 1668の名称で入手可能なヘテロ骨髄腫である。
【0031】
本発明のモノクローナル抗体組成物は、適当な特異性の抗体分子を分泌するハイブリドーマ1個を含む栄養培地からなるモノクローナルハイブリドーマ培養を開始することによって産生することができる。培養はハイブリドーマが培地中に抗体分子を分泌するために十分な条件および期間維持する。次に、抗体含有培地を回収する。次に抗体分子を周知の技法によってさらに単離することができる。
【0032】
これらの組成物の調製に有用な媒体は、当技術分野で周知でしかも市販されており、その中には、合成培養培地、近交系動物等が含まれる。一例としての合成培地は、20%仔ウシ胎児血清を加えたダルベッコの最少基本培地である。一例としての近交系マウス株はBalb/cである。
【0033】
本発明におけるそれらの有用性に影響を及ぼすのは、主に抗体の抗原特異性であるため、種間融合のようなその他のモノクローナル抗体組成物の調製法もまた含まれる。感染した人から得たヒトリンパ球をヒト骨髄腫細胞株と融合して、336抗原を認識する抗体産生をスクリーニングすることができるハイブリドーマを産生することができる。しかし、この点においてより好ましいのは、感染したヒト被験者からの生物試料の使用を伴わないプロセスである。例えば、本明細書に記述のワクチンで免疫した被験者は、本発明内の抗体組成物に用いることが適している抗体源となることができる。
【0034】
特に好ましい態様において、黄色ブドウ球菌タイプ5およびタイプ8に対するタイプ特異的抗体に関する記述と同様の方法を用いて、336抗原に対するモノクローナル抗体を産生する。精製したモノクローナル抗体は、臨床単離菌を収集することによって細菌凝集アッセイによって特徴付けを行う。
【0035】
本説明によって産生されたモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体組成物を受動免疫によって用いて、336抗原を有する黄色ブドウ球菌株による感染症の予防または治療を目的とした免疫応答を誘導することができる。この点において、抗体の調製物はポリクローナル組成物であってもよい。そのようなポリクローナル組成物は、336抗原に結合する抗体を含み、さらに黄色ブドウ球菌のタイプ5およびタイプ8株の特徴となる抗原に結合する抗体を含んでもよい。ポリクローナル抗体成分はポリクローナル抗血清であってもよく、好ましくは、336抗原、および好ましくはタイプ5およびタイプ8抗原をチャレンジした動物からのアフィニティ精製抗体である。または、336抗原に対するモノクローナル抗体とタイプ5および/またはタイプ8抗原に対するモノクローナル抗体との混合物である、「遺伝子操作したオリゴクローナル」混合物を用いてもよい。
【0036】
双方のタイプの混合物において、抗体を化学結合させて、336抗原とタイプ5およびタイプ8抗原の一方または双方に結合することができる単一の多特異的分子を形成すると有利となりうる。そのような結合を行う1つの方法は、例えば、二つの異なる抗体のペプシン消化によって得られた2つの異なるF(ab')2断片を混合することによって、二価F(ab')2 ハイブリッド断片を作製し、還元的に開裂してFab'断片の混合物を形成し、その後ジスルフィド結合の酸化的再形成によって、最初の抗原のそれぞれに特異的なFab'部分を含むハイブリッド断片を含むF(ab')2断片の混合物を生成することである。そのようなハイブリッド抗体断片の調製法は、フェテアヌ(Feteanu)「生物学と医学における標識抗体(LABELED ANTIBODIES IN BIOLOGY AND MEDICINE)」、321〜23、McGraw-Hill Int'l Book Co.(1978);ニソノフら(Nisonoff)、Arch Biochem. Biolphys. 93:470(1961);およびハンマーリングら(Hammerling)、J. Exp. Med. 128:1461(1968);ならびに米国特許第4,331,647号に開示されている。
【0037】
全くヘテロ特異的な二価断片を作製するその他の方法、例えば、開裂した断片を結合させるための二機能リンカーを用いることも当技術分野で既知である。例えば、ボスら(Boss)の米国特許第4,816,397号の方法に従って、抗体の軽鎖および重鎖を組み込んだ組換え型分子が知られている。抗体の特徴を有する組換えまたは合成結合分子を産生する類似の方法も本発明に含まれる。2つ以上の異なる単特異的抗体または抗体断片は、当技術分野で既知の様々なリンカーを用いて結合することができる。
【0038】
本発明に従って産生された抗体成分は、抗体全体、抗体断片、または小断片を含むことができる。抗体は例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、キメラ抗体または二価もしくは多種抗原もしくはエピトープ特異性を有するハイブリッド抗体のような如何なるタイプの免疫グロブリン全体であってもよく、または断片、例えばハイブリッド断片を含むF(ab')2、Fab'、Fab等の断片であってもよく、さらに特異的な抗原と結合して複合体を形成することによって抗体のような挙動を示す、如何なる免疫グロブリンまたは如何なる天然、合成、もしくは遺伝子操作した蛋白であってもよい。特に、Fab断片は、大腸菌(E. Coli)のような遺伝的に形質転換した宿主において発現または集合させることができる。このように、ラムダベクター系は、祖先の抗体を産生する被験者の潜在的多様性と同等の、またはそれ以上の潜在的多様性を有するFab'の集団を発現するために利用することができる。ヒューズ(Huse, W.D.)ら、Science 246:1275〜81(1989)を参照のこと。
【0039】
本発明の336抗原は、組成物中の活性成分であることができ、さらに細胞免疫応答および/または黄色ブドウ球菌感染症と闘う抗体のインビボ産生を誘導するワクチンとして用いることができる、活性成分のための薬学的に許容される担体をさらに含む。この点において、薬学的に許容される担体は、材料が不活性である、またはそうでなければワクチン投与という意味において、活性剤と両立しうると共に医学的に認容されるという理由から、薬剤を投与するための溶媒として用いることができる材料である。適した賦形剤の他に、薬学的に許容される担体は、希釈剤、アジュバント、抗酸化剤、保存剤および可溶化剤のような従来のワクチン添加剤を含んでもよい。
【0040】
本発明に従って、そのようなワクチンは、黄色ブドウ球菌にまだ感染していない被験者に投与することができ、それによって、その被験者に黄色ブドウ球菌保護免疫応答(液性または細胞性)を誘導することができる。または、本発明のワクチンは、黄色ブドウ球菌感染症を既に発症しているが、ワクチンに対して生じた免疫応答が感染症のさらなる広がりを抑制できるほど十分に初期段階である被験者に投与することができる。
【0041】
もう一つのアプローチによって、本発明のワクチンは、黄色ブドウ球菌に対して作製された抗体を含む、特異的なワクチンによるチャレンジに対して生成されたグロブリン源となる被験者に投与することができる。このように処置した被験者は、従来の血漿分画法によって高度免疫グロブリンが得られるような血漿を提供し、黄色ブドウ球菌感染症に対する耐性を付与するために、またはこれを治療するためにこのグロブリンが別の被験者に投与されるであろう。本発明の高度免疫グロブリンは、免疫無防備状態の人、侵襲性技法を受ける人、またはワクチン接種に反応して自身の抗体を産生する時間がない人にとって特に有用である。
【0042】
同様に、本発明によって産生されたモノクローナル抗体またはポリクローナル抗黄色ブドウ球菌抗体は、免疫毒素と結合して、黄色ブドウ球菌感染症を既に発症しているが広範囲には広がっていない被験者に投与することができる。この目的のため、本発明の説明に従って産生された抗体材料は、本明細書において定義したような薬学的に許容される担体と共に投与する。
本発明はさらに、以下の説明的な実施例を参考にすることによって説明する。
【0043】
実施例1: 黄色ブドウ球菌の発酵
336抗原を有する黄色ブドウ球菌(S. aureus)株を、37℃でブロス培地60 Lを含む80 L発酵器中で、2%NaClを含むコロンビアブロス中で培養した。16時間播種培養1Lを加えて発酵を開始させた。細胞を200 rpmで24時間攪拌しながらA650 nmが20.0になるまで増殖させた。
【0044】
全細胞抗血清を調製するためのワクチンとして用いることができる細胞を室温で一晩ホルマリン固定した。抗体精製用細胞は、フェノール-エタノール(1:1容量比)を発酵器に最終濃度2%となるように加えて死滅させ、15〜20℃で2時間ゆっくり混合した。この処置後生存細胞は検出されなかった。次に14,500×gで遠心することによって細胞を回収し、使用するまで-70℃で保存した。細胞ペーストの約800〜900 g(正味の重量)を60 Lの発酵から得た。
【0045】
実施例2: 全細胞抗血清の調製
実施例1からのホルマリン固定細胞をOD540 nm=1となるように調節して、ウサギに静脈内注射した。アジュバントは用いなかった。ウサギを毎週飼育して、陽性全細胞血清を回収してプールした。IgGはプロテインGアフィニティカラムによって全細胞血清から精製した。この精製材料は総IgG 23 mg/mlを含み(280 nm UVスキャン)、336抗原特異的IgGの含量は実質的に少なかった。
【0046】
実施例3: 抗原の精製
細胞ペーストを0.05 Mトリス-2 mM MgSO4、pH 7.5に1mlあたり0.5 g(湿重量)で懸濁した。リゾスタフィン(100〜150 μg/ml)を加えて、混合しながら37℃で3時間インキュベートした。その後、DNアーゼおよびRNアーゼをそれぞれ最終濃度50μg/mlとなるように加え、インキュベーションをさらに4時間行った。反応混合液を10 mM CaCl2の存在下で25および75%エタノールによって連続的に沈降させた。
【0047】
75%エタノール沈降物を12,000×gで30分間遠心することによって、またはより少ない回転数でより長時間遠心することによってペレットにした。上清を透析チューブに移した。反応混合液を孔サイズ0.45 μmのメンブランフィルターで濾過し、10 mM CaCl2の存在下で25および75%エタノールによって連続的に沈降させた。75%エタノール沈降物を水で3〜8℃で十分に透析して、凍結乾燥した。粉末を0.2 M NaCl/0.05 Mトリス塩酸、pH 7.0に溶解した。得られた粗材料を0.2 M NaCl/0.05 Mトリス塩酸、pH 7.0中でQセファロースカラム上に載せ、0.2〜0.4 M NaClの直線勾配で溶出させた。実施例2からの抗血清による毛細管沈殿によって検出される抗原を含む分画をプールして、透析し、凍結乾燥した。ほとんどの抗原が0.32〜0.35 M NaCl/0.05 Mトリス塩酸で溶出された。
【0048】
このようにして得られた粗抗原を粗生成物10 mgあたりリソチーム1 mgを10 mM CaCl2中で処理して、残留ペプチドグリカン混入物を消化した。次に、リソチーム処置粗抗原、セファクリルS-300ゲル濾過カラムで0.2 M NaCl/PBS 1×によりさらに精製して、実質的に純粋な抗原を得た。反応性材料は全て全抗血清を用いてスクリーニングした。
【0049】
実施例4: 抗原の特徴付け
精製した336抗原のガス液体クロマトグラフィー(GLC)による分析から、主なグリコシル成分としてグルコサミンの存在が示される。これは、ジオネックスシステム上での糖分析によって確認する。336抗原の1H NMR分光法により、4.751 ppmでアノマー水素1個が示され、これはβ-結合ヘキソサミンに相当した。さらに、NMRスペクトルは4.229 ppm(2H)、3.649(1H)、3.571 ppm(2H)、2.19 ppm(3H)でよく分離されたシグナルを示す。O-アセチル基に対応するシグナルは認められない。このことはO-アセチル化が存在しないことを示し、タイプ5およびタイプ8のような他のタイプの黄色ブドウ球菌単離菌に認められる20〜80%のO-アセチル化とは明らかに区別される。13C-NMRスペクトルは、102.396 ppmでのアノマー領域に1つのシグナルを示している。これは主成分として単糖類が存在することの確認となる。その他のC13-NMRスペクトルシグナルはそれぞれ、81.865、76.641、74.950、71.841、71.051、70.775、67.665、67.142、61.716、56.552、50.355、43.408および23.246 ppmに現れる。
【0050】
免疫電気泳動(IEF)での精製抗原の移動度から、陰性荷電基の存在が示される。精製抗原は、硫酸フェノールアッセイによって検出される中性糖を含まない。精製抗原のKdはスーパーローズ(Superose)12 HRカラム上で0.3で、これはタイプ5(Kdは0.017)、タイプ8(Kdは0.061)、およびテイコ酸(Kdは0.18)と比較すると、分子サイズがより小さい材料である。
【0051】
実施例5: 抗原免疫担体結合物
精製抗原は、100 mM 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、pH 5.6を用いて0.5 Mアジピン酸ジヒドラジド(ADH)で変性させた。変性百分率は2〜7%(w/w)の範囲で得られた。変性した精製抗原を、ファトムら(Fattom)、Inf. and Imm. 60:584〜589(1992)に記述のように、50 mM EDACを1:1(抗原:蛋白)で用いて、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の組換え型、非毒性変異株のエキソトキシンAに結合させた。結合収率は、蛋白の測定によって決定すると50〜70%であった。結合物のKdはスーパーローズ(Superose)12 HRカラム上で0.2であった。
【0052】
結合物をアジュバント(CFAの後にIFA)と1:1の比率でウサギに注射した。陽性血液を合わせて、IgGをプロテインGカラム上で精製した。結合物により生じたIgGは、免疫拡散アッセイにおいて抗原に対する全細胞IgGによって誘導された抗体との同一性を示した。精製結合血清IgGは、280 nm UVスキャンによって総IgG 12.2 mg/ml、そしてELISAによって抗原特異的IgG 0.7 mg/mlを含むことが示された。全細胞血清、全細胞IgG、および結合IgGをオプソニン貪食アッセイおよび動物モデルにおいて用いた。
【0053】
実施例6: インビトロオプソニン貪食アッセイ
10%ウシ胎児血清(FBS)を加えたMEM1mlあたり1.0×107個の濃度に調節したHL-60細胞から多形核白血球(PMN)を得た。MgCl2/CaCl2を加えたコロンビアブロス中で黄色ブドウ球菌を一晩増殖させた。細菌の濃度を分光光度計によって540 nmでのODが0.02となるように(4×106個/ml)調節し、その後10%FBSを含むMEM中で1×106個/mlとなるように調節した。精製した抗原特異的または対照の非反応性IgGを加えて、PMNによるオプソニン化作用を容易にした。10%FBSを含むMEMで1:8に希釈した仔ウサギ補体を陰性対照として用いた。
【0054】
反応混合液は、黄色ブドウ球菌25 μl(濃度1×106個/ml)、PMN 25 μl(濃度1×107 個/ml)、補体25 μl、血清または抗体100 μl、および十分量のMEM/10% FBSを含み、反応の全量を250 μlとした。0時間、1時間、および2時間目に、試料25 μlを連続希釈した。10-2、10-3、10-4および10-5希釈の25 μlをTSA寒天プレート上に播種して、37℃でインキュベートした。
【0055】
結果を図2に示し、結合物に対する抗体が336抗原を有する黄色ブドウ球菌の代表的な株のオプソニン貪食を媒介することを示している。結果は336抗原特異的IgGの300μg〜128μgまでの量による殺細胞百分率として報告する。比較のため、非反応性IgGの同等量による殺細胞百分率も同様に報告する。PMNプラス補体を対照として用いた。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】図1Aは、336黄色ブドウ球菌抗原のNMRスペクトルを示す。
【図1B】図1Bは、タイプ5黄色ブドウ球菌抗原のNMRスペクトルを示す。
【図1C】図1Cは、タイプ8黄色ブドウ球菌抗原のNMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、336結合IgGの、336抗原を有する黄色ブドウ球菌の代表的な株のオプソニン貪食媒介能を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原が、核磁気共鳴分光法によって検出可能なO-アセチル基を含まず、ATCC 55804として寄託されている黄色ブドウ球菌タイプ336に対する抗体と特異的に結合する、β-結合ヘキソサミンを含む単離された黄色ブドウ球菌抗原。
【請求項2】
免疫担体と結合された請求項1記載の抗原を含む、抗原-担体結合物。
【請求項3】
免疫担体が組換えにより産生された緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)エキソトキシンAの非毒性変異株である、請求項2記載の抗原-担体結合物。
【請求項4】
請求項1記載の抗原と、滅菌された薬学的に許容されるその担体から本質的に成る組成物。
【請求項5】
請求項2記載の抗原-免疫担体結合物、および滅菌の薬学的に許容されるその担体から本質的に成る組成物。
【請求項6】
免疫担体が組換えにより産生された緑膿菌エキソトキシンAの非毒性変異株である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
抗原が、核磁気共鳴分光法によって検出可能なO-アセチル基を含まず、ATCC 55804として寄託されている黄色ブドウ球菌タイプ336に対する抗体と特異的に結合する、β-結合ヘキソサミンを含む単離された黄色ブドウ球菌抗原と;
黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原または黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原の少なくとも一つと;
滅菌された薬学的に許容されるその担体とを含む組成物。
【請求項8】
タイプ5およびタイプ8多糖類抗原の双方を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
抗原のそれぞれが免疫担体と結合している、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
抗原のそれぞれが同じ免疫担体に結合している請求項9記載の組成物。
【請求項11】
免疫担体が組換えにより産生された、緑膿菌エキソトキシンAの非毒性変異株である、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
請求項5記載の組成物の免疫刺激量を被験者に投与する段階を含む免疫治療法。
【請求項13】
請求項9記載の組成物の免疫刺激量を被験者に投与する段階を含む免疫治療法。
【請求項14】
請求項5記載の組成物によって被験者を免疫する段階、該免疫された被験者から血漿を採集する段階、および採集された該血漿から黄色ブドウ球菌に対して作製された抗体を回収する段階を含む、黄色ブドウ球菌感染症に対する免疫治療剤の調製法。
【請求項15】
請求項9記載の組成物によって被験者を免疫する段階、該免疫された被験者から血漿を採集する段階、および採集された該血漿から黄色ブドウ球菌に対して作製された抗体を回収する段階を含む、黄色ブドウ球菌感染症に対する免疫治療剤の調製法。
【請求項16】
請求項1記載の抗原に対して作製された単離抗体。
【請求項17】
黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原、黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原、および請求項1記載の抗原に対して作製された抗体を含む組成物。
【請求項18】
黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原に対して作製されたモノクローナル抗体、黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原に対して作製されたモノクローナル抗体、および請求項1記載の抗原に対して作製されたモノクローナル抗体を含む組成物。
【請求項19】
請求項16記載の単離抗体を被験者に投与する段階を含む、免疫治療法。
【請求項20】
請求項17記載の単離抗体を被験者に投与する段階を含む、免疫治療法。
【請求項21】
請求項1記載の黄色ブドウ球菌抗原に対するモノクローナル抗体。
【請求項22】
請求項1記載の黄色ブドウ球菌抗原を黄色ブドウ球菌特異的抗体を含むことが疑われる試料と混合する段階、および
該試料中の該抗原と黄色ブドウ球菌特異的抗体との結合に関して該混合物をモニターする段階
を含む、試料中の抗黄色ブドウ球菌抗体の有無を検出するための診断アッセイ法。
【請求項23】
抗原が固相マトリクス上に固定される、請求項22記載の診断アッセイ法。
【請求項24】
請求項21記載の黄色ブドウ球菌モノクローナル抗体を黄色ブドウ球菌抗原を含むことが疑われる試料と混合する段階、および
該抗原と該黄色ブドウ球菌モノクローナル抗体との結合に関して該混合物をモニターする段階
を含む、試料中の抗黄色ブドウ球菌抗原の有無を検出するための診断アッセイ法。
【請求項25】
抗体が固相マトリクス上に固定される、請求項24記載の診断アッセイ法。
【請求項26】
(a)請求項21記載のモノクローナル抗体と、(b)黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原に対して作製されたモノクローナル抗体および黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原に対して作製されたモノクローナル抗体の少なくとも1つと、(c)滅菌された薬学的に許容されるその担体とを含む組成物。
【請求項27】
黄色ブドウ球菌タイプ5多糖類抗原に対して作製されたモノクローナル抗体および黄色ブドウ球菌タイプ8多糖類抗原に対して作製されたモノクローナル抗体を含む、請求項26記載の組成物。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−7355(P2009−7355A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152346(P2008−152346)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【分割の表示】特願平10−513838の分割
【原出願日】平成9年9月11日(1997.9.11)
【出願人】(500175130)ナビ バイオファーマシューティカルズ (7)
【Fターム(参考)】