説明

黒色顔料分散液

電気泳動ディスプレイのために有用な顔料分散液であって、α) 式(I)(置換基は請求項1に定義される通り)のビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾフラン着色剤、β) 特定のポリマー分散剤、およびγ) 電気泳動ディスプレイ中で使用される分散液に適した溶剤、を含む顔料分散液について記載される。さらに、新規の着色剤および分散剤について記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散液、特に黒色顔料分散液であって、ビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤、特定の分散剤および適した溶剤を含む顔料分散液、前記分散液、着色剤および/または分散剤の電気泳動ディスプレイ中での使用、および新規のビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤および分散剤に関する。
【0002】
US7002728号B2内で論じられる通り、現在好ましい形態の電気泳動媒体は、白色チタニアおよびカーボンブラック粒子を、炭化水素懸濁流体中に含み、この炭化水素は単独または塩素化炭化水素または他の低誘電率流体と混合されて使用されている。黒色顔料を必要とする、大部分の他の先行技術の電気泳動ディスプレイは、この目的のために、明らかに大部分はカーボンブラックも使用しており、なぜなら、その材料はすぐに大量に利用可能であり、且つ非常に安価であるからである。しかしながら、先行技術の電気泳動ディスプレイの有する多くの問題は、黒色電気泳動粒子のためのカーボンブラックの使用と関連している。カーボンブラックは、表面の化学的性質が複雑で且つあまり理解されておらず、それは特定の原材料(典型的には石油)およびカーボンブラック製造のために使用される正確な方法に伴って広く変動することがある。カーボンブラック顔料粒子もまた、あまり理解されていないアグリゲート、フラクタル構造を有する。さらには、カーボンブラックは、周知の通り、接触させることでガスおよび液体を吸収することにおいて効果的であり、そのように吸着されたガスおよび液体がカーボンブラック表面の物理化学的性質を変えることがある。従って、バッチ毎に一貫したカーボンブラックの表面特性を確実にするのは難しい。これは、電気泳動ディスプレイにおいて特に問題であり、なぜなら、使用される電気泳動粒子は、典型的には、それらの特性がそれらの表面特性によって支配されるほど小さい(1μmのオーダー)。
【0003】
US7002758号においても述べられる通り、カーボンブラックは、反対電荷二重粒子電気泳動ディスプレイ中で、粒子の適当な変化を得ることについて特定の独特な難しさを示す。特に、カーボンブラックおよびチタニアが、それぞれ、反対電荷二重粒子電気泳動ディスプレイ中で、黒色および白色粒子として使用される場合、全て正に帯電されたカーボンブラック粒子を製造する荷電剤(charging agent)および他の材料の組み合わせが、同様に正に帯電されたチタニア粒子を少ない割合で製造する傾向があることが見出された。生じる負および正に帯電されたチタニア粒子の混合物は、媒体の極限の光学的状態の汚染をみちびき、従って、そのコントラスト比に悪影響する。
【0004】
カーボンブラックは、バルク中だけでなく、ポリマー中に分散されても、少なくとも静電防止特性をもたらす範囲で導電性を有し(S.P.Rwei et al.,Colloid.Polym.Sci.2002,280,1110〜1115ページ)、且つ、鉱油中の分散液でも(J.Electroanal.Chem.2005,577,67〜78)導電性を有することでも知られる。これは、電流が、電場の印加で分散液を通じて流れ、場の破壊を導き、従って粒子の配向をみちびくか(特定の電圧を連続的に保つことなく、場が一度印加される場合)、またはこれを補償するために電気的エネルギーを必要とするかのいずれかを意味する。
【0005】
従って、電気泳動媒体中で使用するための黒色粒子であって、例えば黒色粒子の分散液(該分散液は低い導電率、即ち高抵抗を有している)について、カーボンブラックの使用に関連した問題を欠点として有さない、黒色粒子についての要求がある。しかしながら、かかる黒色粒子についての探索は非常に困難である。多くの顔料の光学特性が当然、塗料および同様の産業におけるそれらの使用から公知ではあるが、電気泳動ディスプレイ中で使用するための顔料は、適切な光学的特性に加えて、いくつかの特性を有していなければならない。該顔料は、懸濁液、存在する任意の他の顔料粒子、典型的には懸濁液中に存在する電荷調節剤および界面活性剤、およびカプセル壁材料(カプセル壁が存在する場合)を含む、電気泳動媒体の多くの他の成分との適合性がなければならない。顔料粒子は、懸濁液中に懸濁された際、電荷の保持もできなければならず、且つ、かかる電荷によって生じる粒子のゼータ電位は、全て同一の極性でなければならず、且つ、過度に広い範囲にわたるべきではなく、または電気泳動媒体は所望の電気光学特性を有さないことがあり、例えば、いくつかの粒子が非常に低いゼータ電位を有している場合、電気泳動媒体中でかかる粒子を所望の位置へと動かすためには非常に長い駆動パルスが必要とされることがあり、媒体の緩慢なスイッチングをもたらす。電荷を獲得および保持するための顔料粒子の能力に関するかかる情報は、電気泳動ディスプレイ中で使用されることがあるほとんどの顔料については有効でないと認識され、なぜなら、かかる電気特性は顔料の通常の商業用途には関係ないからである。
【0006】
黒色顔料の相手が白色ではなく、着色粒子の場合にも同一の議論があてはまり、且つ、このディスプレイのために、上述の黒色/白色系と同様の特徴を有する、黄色/黒色、赤色/黒色、緑色/黒色および黒色/黒色の粒子系が必要とされる。
【0007】
この度、驚くべきことに、特定の特異な分散剤および特定のビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤を含む組成物、前記着色剤は一般にWO00/24736号A1内に記載される、またはその実施例12b内で特に記載される「紫色粉末」を、電気泳動ディスプレイ中のカーボンブラックの代替として使用できることが判明した。従って、適した添加剤(分散剤)の存在中で、媒体中で低伝導率および低誘電率を有する純粋な有機黒色顔料の分散液を調製でき、それは電場の影響下で電気泳動移動度を示し、従って、技術水準よりも低い伝導率、ひいてはより少ない粉末消費を有する、電気泳動ディスプレイ用途の黒色顔料として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は96−ウェル板の1つの特定のウェル中での3点電極の配置を図示する(より多くの情報については実施例11参照)。大きな点は電極用の接続箇所を表す。半円の電極の間で抵抗を測定し、中央の電極は接地としてはたらく。
【0009】
本発明は、電気泳動ディスプレイのために有用な分散液であって、特に分散された粒子が、直径100〜1000nm(ナノメートル)、好ましくは200〜800nm、最も好ましくは300〜600nmを有し、以下を含む分散液に関する:
α) 式Iのビスオキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤
【化1】

[式中、
1およびR6は互いに独立してH、CH3、CF3、FまたはCl、好ましくはHまたはF、最も好ましくはHである;
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9およびR10は他の全てから互いに独立してH、ハロゲン、R11、COOH、COOR11、COO-、CONH2、CONHR11、CONR1112、CN、OH、OR11、COCR11、OOCNH2、OOCNHR11、OOCNR1112、NO2、NH2、NHR11、NR1112、NHCOR12、NR11COR12、N=CH2、N=CHR11、N=CR1112、SH、SR11、SOR11、SO211、SO311、SO3H、SO3-、SO2NH2、SO2NHR11またはSO2NR1112である; 且つ、R2およびR3、R3およびR4、R4およびR5、R7およびR8、R8およびR9、および/またはR9およびR10は、直接結合、またはO、S、NHまたはNR11ブリッジによって互いに結合することもできる;
11およびR12は互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−シクロアルキル、C1〜C12−アルケニル、C1〜C12−シクロアルケニルまたはC1〜C12−アルキニルであり、そのそれぞれは中断されていないか、または酸素、NH、NR13および/または硫黄によって、それぞれ少なくとも2つのC原子を含む2つまたはそれより多くの断片に中断され、且つ、そのそれぞれは非置換であるか、または1またはそれより多くの回数、COOH、COOR13、COO-、CONH2、CONHR13、CONR1314、CN、オキソ、OH、OR13、OOCR13、OOCNH2、OOCNHR13、OOCNR1314、NR13、NH2、NHR13、NR1314、NHCOR14、NR13COR14、N=CH2、N=CHR13、N=CR1314、SH、SR13、SOR13、SO213、SO313、SO3H、SO3-、SO2NH2、SO2NHR13、SO2NR1314またはハロゲンで置換されている; またはC7〜C12−アラルキル、C1〜C11−ヘテロアリールまたはC6〜C12−アリール、そのそれぞれは非置換であるか、または1またはそれより多くの回数、COOH、COOR13、COO-、CONH2、CONHR13、CONR1314、CN、OH、OR13、OOCR13、OOCNH2、OOCNHR13、OOCNR1314、NO2、NH2、NHR13、NR1314、NHCOR14、NR13COR14、N=CH2、N=CHR13、N=CR1314、SH、SR13、SOR13、SO213、SO313、SO3H、SO3-、SO2NH2、SO2NHR13、SO2NR1314またはハロゲンで置換されている; 且つ、それぞれR13またはR14は、任意の他のR13またはR14と独立して、C1〜C6−アルキル、ベンジルまたはフェニルであり、そのそれぞれは非置換であるか、または1またはそれより多くの回数、上記で定義された置換基で置換され、ただし、R13およびR14の任意の置換基内の原子の総数は1〜8である; それにより、全てのR13およびR14からなる群から選択される一対の置換基は、随意に直接結合またはO、S、NHまたはNR11ブリッジによって互いに結合して環を形成できる]
またはそれらのシス−トランス異性体、またはかかる着色剤の塩または塩形成基を有する異性体、
β) 以下の段階
a1) 第一の段階において、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和モノマーを、式
【化2】

[式中、
Xは少なくとも1つの炭素原子を有する基を表し、且つ、Xから誘導される遊離基X・が重合を開始できるものである]
の構造成分を有する少なくとも1つのニトロキシルエーテルの存在中で重合する段階; または
a2) 第一の段階において、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和モノマーを式
【化3】

の少なくとも1つの安定な遊離ニトロキシル基およびフリーラジカル開始剤の存在中で重合する段階; その際、段階a1)またはa2)において使用される少なくとも1つのモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C6−アルキルまたはヒドロキシC1〜C6−アルキルエステルである;
および第二の段階
b) a1)またはa2)で調製されたポリマーまたはコポリマーを、エステル交換反応、アミド化、加水分解、または無水変性、またはそれらの組み合わせによって変性することを含む段階
を含む方法によって得られる変性ポリ(メタ)アクリレートポリマーを含むポリマー分散剤、および
γ) 電気泳動ディスプレイ中で使用される分散液に適した溶剤。
【0010】
以下で、分散液の成分をより詳細に説明する。
【0011】
ビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤。
【0012】
前記式Iの着色剤のシス−トランス異性体は、以下のコア構造を有し(置換基は省略)、上記式Iのトランス−トランス異性体は恐らく最も安定であり、シス−シス異性体は前記異性体の中で恐らく最も安定ではない。
【0013】
【化4】

【0014】
式(I)の化合物がアニオン性である場合、その電荷を任意の公知の適したカチオン、例えば金属、有機、無機または金属有機カチオン、例えば好ましくはアルカリ、アルカリ土類または遷移金属、アンモニウム、一級アンモニウム、二級アンモニウム、三級アンモニウム、例えばトリアルキルアンモニウム、四級アンモニウム、例えばテトラアルキルアンモニウムまたは有機金属錯体によって補償できる。
【0015】
式(I)の着色剤は、反射性で、且つ近赤外線に対して透明であり、従って熱の発生を制限するが、しかし、反射率と透過率との比は、それらの粒径に依存する。反射率(回折反射を含む)は、大きな粒子、例えば厚さ≧0.4μmを有するもので、さらにより著しい一方、透過性は、小さな粒子、例えば0.01〜0.3μmのサイズを有するものの場合、並びに基質中に溶解される染料の場合に優勢である。
【0016】
式(I)の当該着色剤は、通常、魅力のない暗い色の非常に大きなアグロメレートおよびアグリゲートの形態で合成から得られ、例えばWO00/24736号の実施例12bによって得られる紫色粉末のように、分散するのが非常に難しい。しかしながら、それらの粗粉末を、溶剤、好ましくはアルコール、アミド、エステル、エーテルまたはケトンの存在中で粉砕助剤を用いてそれらを湿式粉砕するだけで、適した着色剤へと容易に変換でき、このように平均サイズ≦0.5μm、好ましくは0.01〜0.3μmの粒子が得られ、これが驚くべきことに、カーボンブラックと同様の非常に魅力的な黒色の色合いを示すことが見出された。湿式噴散を、例えば、磨砕機、例えばDyno(登録商標)またはNetzsch(登録商標)ミル、Skandex(登録商標)塗料攪拌機またはその種のもの内で、例えば、好ましくは0.1〜3.0mm、特に0.5〜1.0mmのサイズの、ガラスまたはセラミックス(例えばジルコニア)パールを使用して、実施できる。アルコール、アミド、エステル、エーテルまたはケトンの量は、適切には、着色剤1部あたり0.1〜1000部、好ましくは着色剤1部あたり1〜10部である。
【0017】
湿式粉砕および/または再結晶化のために適切な溶剤は、当該技術分野においてよく知られている。例えばEP0774494号、EP0934364号およびWO02/068541号に開示される溶剤が特に、ここで参照をもって開示されるものとする。
【0018】
式I内の置換基およびそれらの定義において使用される一般的な用語は、以下の好ましい意味を有する:
2、R4、R5、R7、R9およびR10は好ましくはH、F、またはCl、特にHである。R3およびR8は好ましくはH、NO2、OCH3、OC25、Br、Cl、CH3、C25、N(CH32、N(CH3)(C25)、N(C252、α−ナフチル、β−ナフチルまたはSO3-である。好ましくは、R1はR6と同一であり、R2はR7と同一であり、R3はR8と同一であり、R4はR9と同一であり、および/またはR5はR10と同一である。
【0019】
1〜C12−アルキルは、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−メチル−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルである。
【0020】
3〜C12−シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロプロピル−メチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシル−メチル、トリメチルシクロヘキシル、ツジル、ノルボルニル、ボルニル、ノルカリル、カリル、メンチル、ノルピニル、ピニル、1−アダマンチルまたは2−アダマンチルである。
【0021】
2〜C12−アルケニルは、例えば、ビニル、アリル、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メンチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、または、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニルまたはドデセニルの任意の所望の異性体である。
【0022】
3〜C12−シクロアルケニルは、例えば、2−シクロブテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン−1−イル、2,5−ノルボルナジエン−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イルまたはカンフェニルである。
【0023】
2〜C12−アルキニルは、例えば、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イルまたは1−ドデシン−12−イルである。
【0024】
7〜C12−アラルキルは例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、9−フルオレニル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ペンチル、またはω−フェニル−ヘキシルである。C7〜C12−アラルキルが置換されている場合、アラルキル基のアルキル成分またはアリール成分のいずれかが置換されていてよい。
【0025】
6〜C12−アリールは、例えば、フェニル、ナフチルまたは1−ビフェニルである。
【0026】
ハロゲンは、例えば、F、Cl、BrまたはI(J)であり、好ましくはアルキル上のF、およびアリール上のClまたはBrである。
【0027】
1〜C11−ヘテロアリールは、4n+2の共役π電子を有する不飽和または芳香族基、例えば2−チエニル、2−フリル、1−ピラゾリル、2−ピリジル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、2−イミダゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、またはチオフェン、フラン、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンおよびベンゼン環からなる任意の他の環構造であり、且つ、非置換または1〜6つのエチル置換基によって置換されている。
【0028】
複素環式基は、例えば
【化5】

である。
【0029】
複素環式基は、アリールの隣接した置換基を結合することによって形成されてもよく、例えば
【化6】

である。
【0030】
好ましい着色剤は、式
【化7】

の顔料、および式2a
【化8】

の新規のスルホン酸、またはそれらの塩、および/または前記酸または塩のシス/トランス異性体である。
【0031】
本発明は、前記式2aの新規スルホン酸またはそれらの塩、および/または前記酸または塩のシス/トランス異性体にも関する。
【0032】
本発明のビス−オキソジヒドロインドリレン−ベンゾジフラノン着色剤は、例えばWO00/24736号A1内に記載される通り、特にWO00/24736号A1の実施例12b内に開示される方法により、またはそれと類似して、調製される。スルホン酸基またはそれらの異性体もしくは互変異性体を有する、本特許出願において記載される式Iの新規着色剤を、WO00/24736号A1の実施例12bに開示される化合物と、発煙硫酸との反応によって調製することもできる。
【0033】
特定の分散剤
前記特定の分散剤は、ポリマーまたはコポリマーであり、好ましくは変性ポリアクリレートまたはポリメタクリレートポリマー、特に、変性ポリアクリレートまたはポリメタクリレートポリマーを含むブロックコポリマーであり、WO2006/074969号A1(ここで参照をもって開示される)内に記載される、以下の段階:
a1) 第一の段階において、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和モノマーを、式
【化9】

[式中、
Xは少なくとも1つの炭素原子を有する基を表し、且つ、Xから誘導される遊離基X・が重合を開始できるものである]
の構造成分を有する少なくとも1つのニトロキシルエーテルの存在中で、重合する段階; または
a2) 第一の段階において、1つまたはそれより多くにエチレン性不飽和モノマーを、式
【化10】

の少なくとも1つの安定な遊離ニトロキシル基およびフリーラジカル開始剤の存在中で重合する段階、その際、段階a1)またはa2)において使用される少なくとも1つのモノマーがアクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C6−アルキルまたはヒドロキシC1〜C6−アルキルエステルであり、
および、第二の段階
b) a1)またはa2)で調製されたポリマーまたはコポリマーを、エステル交換反応、アミド化、加水分解、または無水変性、またはそれらの組み合わせによって変性することを含む段階
を含む方法によって得られる。
【0034】
WO2006/074969号A1の2および3ページに述べられる理由のために、上記方法によって得られる分散剤(後重合変性法を用いる)は、同一のモノマー組成を有するが後重合を用いないで相応するモノマーから直接的に合成されたポリマーとは、構造の点では明瞭に異なる。特に、エステル交換段階から生じるモノマー分布が、エステル交換反応によってのみ左右され、且つ、ラジカル重合による直接合成と比較して、ポリマー鎖に沿ってより均一な、即ち、ランダムな分布を提供することを期待できることに留意すべきである。
【0035】
段階a1またはa2におけるエチレン性不飽和モノマーは、好ましくはイソプレン、1,3−ブタジエン、α−C5〜C18−アルケン、4−ビニル−ピリジンまたはピリジニウム−イオン、2−ビニル−ピリジンまたはピリジニウム−イオン、ビニル−イミダゾールまたはイミダゾリウム−イオン、ジメチルアクリルアミド、3−ジメチルアミノ−プロピルメタクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチル−スチレン、または式CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rbの化合物
[前記Raは水素またはメチルであり、前記RbはNH2、O-(Me+)、非置換のC1〜C18−アルコキシ、少なくとも1つのNおよび/またはO原子によって中断されたC2〜C100アルコキシ、またはヒドロキシ置換C1〜C18−アルコキシ、非置換C1〜C18−アルキルアミノ、ジ(C1〜C18−アルキル)−アミノ、ヒドロキシ置換C1〜C18−アルキルアミノまたはヒドロキシ置換ジ(C1〜C18−アルキル)アミノ、−O−CH2−CH2−N(CH32または−O−CH2−CH2−N+H(CH32An-であり;
An-は一価の有機または無機酸のアニオンであり;
Meは一価の金属原子またはアンモニウムイオンであり;
Zは酸素または硫黄である]
から選択され; ただし、上記の通り、段階a1)またはa2)で使用される少なくとも1つのモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C6−アルキルまたはヒドロキシC1〜C6−アルキルエステルである。
【0036】

【化11】

の構成要素を有するニトロキシエーテルは、例えば式
【化12】

の化合物である。
【0037】
構造要素
【化13】

を有する安定な遊離基は、例えばEP−A−621878号(Xerox)内に開示されている。
【0038】
例、例えば
【化14】

がWO96/24620号(Atochem)内に記載されている。
【0039】
特に適したニトロキシエーテルおよびニトロキシル基は、式
【化15】

のものである。
【0040】
経路a2)による方法が選択される場合、フリーラジカル開始剤は好ましくはアゾ化合物(例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)、ペルオキシド(例えばアセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド)、過酸エステル(例えばジスクシン酸ペルオキシド)またはヒドロペルオキシド(例えばt−ブチルヒドロペルオキシド)である。
【0041】
好ましくは第一の重合段階を重合反応a1)に従って実施する。
【0042】
好ましくは第二の段階b)はエステル交換反応、加水分解または無水変性である。特に好ましくはエステル交換反応である。
【0043】
該エステル交換は好ましくはC1〜C6−アルコール副生成物を蒸留によって除去することを含む。
【0044】
特定の実施態様において、上述の工程の段階a1またはa2を2回行い、ブロックコポリマーを得て、その際、第一または第二のラジカル重合段階において、モノマーまたはモノマー混合物は、全モノマーに対して50〜100質量%の、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C6−アルキルまたはヒドロキシアルキルエステルを含有し、且つ、第二または第一のラジカル重合段階においてそれぞれ、エチレン性不飽和モノマーは一級または二級エステル結合を含有しない。
【0045】
ブロックコポリマーが調製される場合、第一の重合段階においてモノマーまたはモノマー混合物が、全モノマーに対して50〜100質量%の、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C6−アルキルまたはヒドロキシアルキルエステルを含有し、第二の重合段階においてエチレン性不飽和モノマーは4−ビニル−ピリジンまたはピリジニウムイオン、2−ビニル−ピリジンまたはピリジニウム−イオン、ビニル−イミダゾールまたはイミダゾリウム−イオン、ジメチルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンまたはp−tert−ブチル−スチレンであることが好ましい。
【0046】
本発明の特定の実施態様において、ブロックコポリマーはグラジエントブロックコポリマーである。
【0047】
上述の通り、ポリマーまたはコポリマーを制御フリーラジカル重合(Controlled Free Radical Polymerization、CFRP)によって調製することが必須である。Solomonらは、US4581429号内において、安定な遊離ニトロキシル基を調節剤として使用する方法を初めて記載した。それらは、上記a1)およびa2)で定義された段階である。
【0048】
U.S.4581429号は、ブロックおよびグラフトコポリマーを含む、定義されたオリゴマーホモポリマーおよびコポリマーを生成するポリマー鎖の制御成長、または「リビング」成長によるフリーラジカル重合方法を開示している。部分式R’R''N−O−Xの開始剤の使用が開示されている。該重合方法においては、フリーラジカル種R’R''−N−O・および・Xが生成される。・Xはフリーラジカル基、例えばtert−ブチルまたはシアノイソプロピルラジカルであり、エチレン基を含有するモノマー単位を重合できる。
【0049】
上述の通り、反応段階b)は、反応段階a1)またはa2)により調製されたポリマーまたはコポリマーの、エステル交換反応、アミド化、加水分解または無水変性、またはそれらの組み合わせによる変性を含む。
【0050】
エステル交換は、ポリマーまたはコポリマーのエステル基内のアルコール基を、他のアルコール基によって置き換えることを意味する。好ましくは、置き換えられるアルコール基は、メタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノールである。典型的には、エステル交換反応を、高温、典型的には70〜200℃で、CFPPポリマーと相応するアルコールとを、よく知られた触媒、例えばテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、またはアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラート、例えばNaOMe、LiOeまたはLiOC(CH33を使用して反応させることによって行う。典型的には、低沸点生成物のアルコールは、エステル交換反応混合物から蒸留によって除去される。必要であれば、触媒残留物を吸着または抽出によって除去するか、そうでなければ公知の方法、例えば水または酸との加水分解によって処理または不活性化してよい。置き換えるアルコールの選択が重要である。置き換えるアルコールが、生じるコポリマーの特性を調整する。
【0051】
加水分解は、アルカリまたは酸性条件下でのエステル結合の開裂を意味し、ポリマーまたはコポリマーがエステル官能基を含有する場合に行うことができる。加水分解の程度は広い範囲で変化し、且つ、反応時間および条件に依存することがある。例えば、5〜100%、好ましくは10%〜70%のエステル官能基が加水分解され、遊離酸基を形成し、それから塩も調製できる。金属イオンは、好ましくはアルカリ金属イオン、例えばLi+、Na+またはKa+またはアンモニウムカチオン、例えばNH4+またはNR4+であり、その際、Rは水素またはC1〜C18−アルキルであり、ただし、4つのRが全て同一の意味を有している必要はない。
【0052】
無水物変性を、ポリマーまたはコポリマーがヒドロキシル官能性を含有する場合に行うことができる。ヒドロキシル官能性は、例えばヒドロキシル官能性モノマー、例えばヒドロキシエチルアクリレートまたはメタクリレートに由来する。実質的には、全ての脂肪族または芳香族無水物を、変性方法において使用できる。無水物の例は、マレイン酸無水物、ピロメリット酸無水物、シクロヘキシル二酸無水物、スクシン酸無水物、ショウノウ酸無水物である。
【0053】
好ましくは、該分散剤は、式II
【化16】

[式中、
Xは酸素または基NHを表し、mは0または10〜20であり、pは60〜90であり、R15は水素またはメチルであり、且つ、Rは30まで、好ましくは20まで、より好ましくは16までの炭素原子を有するアルキルを表し、その際、1つまたはそれより多くの炭素原子は酸素によって置き換えられてもよく、且つ、非置換またはジメチルアミノまたはトリメチルアミノによって置換され、ただし、基X−Rは、式I中に存在する部分式−CH2−C(R15)(CO−X−R)−の全ての(p)成分において同一ではなく、且つ、異なる基X−Rはポリマー鎖に沿って無作為に分布している]
の変性ポリ(メタ)アクリレートポリマーから選択されるポリマー分散剤、および塩形成基を有するかかるポリマーの塩である。
【0054】
mが0の場合、ピリジル−エチレン成分がない。
【0055】
30個までの炭素原子を有し、その際、1つまたはそれより多くの炭素原子が酸素原子によって置き換えられ、ジメチルアミノまたはトリメチルアミノによって置換されているアルキルRは、例えば式(CH32N−CH2−CH2−O−CH2−CH2−の5−ジメチルアミノ−3−オキサペンチル、または5−トリメチルアミノ(trimethylamonio)−3−オキサペンチルであり、且つ、好ましくは2−ジメチルアミノエチルとは異なる。
【0056】
好ましくは、アルキルRは2〜20、特に4〜16個の炭素原子を有し、且つ、例えばn−ブチルまたは直鎖または分枝鎖のC12〜C16−アルキル、例えば1−ヘキサデシルである。
【0057】
上記の通り、基X−Rは、式I中に存在する部分式−CH2−C(R15)(CO−X−R)−の全ての(p)成分において同一であってはならない。好ましくは、前記の成分の20%までにおいて、Rは非置換のC1〜C6−アルキル、例えば1−ブチルである一方、残りの成分において、Rは非置換のC1〜C6−アルキルとは異なり、例えば直鎖または分枝鎖のC12〜C16−アルキル、例えば1−ヘキサデシルまたは式(CH32N−CH2−CH2−O−CH2−CH2−の5−ジメチル−アミノ−3−オキサペンチル、または5−トリメチルアミノ−3−オキサペンチルである。
【0058】
式Iの化合物中の塩形成基は、特に、例えばヨウ化メチルと反応してトリメチルアミノ基を形成できるジメチルアミノ基である。適した対イオンは、例えばテトラフェニル−ボレートまたはジアルキルホスホネート、例えばジドデシルホスホネートである。
【0059】
分散液のための溶剤
分散剤のための適した溶剤の例は、脂肪族炭化水素、例えば、狭い沸点範囲を有する高純度イソパラフィン溶剤 Isopar(商標)GおよびIsopar(商標)M; ハロゲン化炭化水素、例えばテトラクロロエチレンおよびHalocarbon(商標)0.8 (クロロトリフルオロエチレンの低分子量ポリマー)およびシリコーン液である。好ましい分散剤はドデカンである。
【0060】
本発明の分散液を電気泳動ディスプレイ中で使用できる。
【0061】
本発明は、式Iのビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤の、および/またはここで定義されるポリマー分散剤の、電気泳動ディスプレイ中での使用、および、式Iのビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤を含む分散液、ここで定義されるポリマー分散剤、および適した溶剤の、電気泳動ディスプレイ中での使用にも関する。
【0062】
本発明は、式Iのビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤の分散液、ここで定義されるポリマー分散剤、および電気泳動ディスプレイ中で使用される分散液に適した溶剤を含む電気泳動ディスプレイにも関する。
【0063】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【0064】
実施例
省略形:
DMAPMA: N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
DMAEE: ジメチルアミノエトキシエタノール
hyflo: Hyflo SuperCel(登録商標) (Fisher Scientific,Inc.); フラックス焼成珪藻土
GPC: ゲル透過クロマトグラフィー
LDI−TOF MS: レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析
n: 数平均分子量
nBA: n−ブチルアクリレート
PDI: 多分散度 (試料の多分散度は、質量平均分子量MwをMnで割ったものとして定義され、且つ、まさに分布がどれだけ狭いかの指標をもたらす)
Ph4Na: テトラフェニルボランナトリウム塩
THF: テトラヒドロフラン
4VP: 4−ビニルピリジン
【0065】
NMRスペクトルについての省略形:
s: 一重項
t: 三重項
m: 多重項
【0066】
試薬:
セチルアルコール (98% 純粋な1−ヘキサデカノール; Cognis社から入手可能)
LIAL(登録商標) 125 A: 直鎖および一分枝鎖のC12〜C15−アルカノールの混合物、Sasol Olefins and Surfactants GmbH製
Lupragen(登録商標)N 107: ジメチルアミノエトキシエタノール (BASF社より入手可能)。
【0067】
ポリマー分散剤についてここで示される命名法および式の一般的な注釈
実施例6において述べられる通り、エステル交換は無作為に進行する。これは、多くの式、例えば式によって、厳密に反映されず、それによれば、ブチルエステルのブロックとC12〜C15−アルキルエステルのブロックがあるように見える。それにもかかわらず、前記の式は、例えば式4’よりも例示的であり、且つ、この理由のために使用されている。式とは対照的に、略記された名称は、ポリマーのどの部分が無作為であるか、および、どの部分がブロックであるかをより良く反映する。例えば、実施例7に示される名称ポリ(nBA−co−Lial−b−DMAPMA)は、ポリ−n−ブチルアクリレートのブロック(文字「b」によって表される)を含むポリマーを記載しており、その際ブチル基は無作為にLIAL(登録商標)アルコール、即ちポリ(nBA−coLialA)、およびポリ−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの他のブロックによって置き換えられている。前記ブロック中のモノマーの概算数は、例えば実施例7内に(11−co−60)−b−10として示され、即ち、60個のLialアクリレート単位と、次に10個のジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)単位のブロックと、無作為に共重合された約11個のn−ブチルアクリレート単位がある。しかしながら、略記された名称は、ポリマー両端の末端基、即ち、例えば1−フェニル−エチル基を述べていないことに留意すべきである。
【0068】
公知の顔料および新規の顔料の調製
実施例1: 式1の顔料の製造
【化17】

【0069】
ビスベンゾフラノンおよびイサチンからの上記式1の顔料の合成が、WO00/24736号A1の35ページの実施例12に記載されている。生成物は、WO00/24736号A1内に「紫色粉末」として記載されている。本特許出願の発明者らが、上記式1を、前記実施例12bによって得られる生成物の最もあり得る構造を表すものであると考えている一方、該構造は絶対的に確実というわけではない。正確な構造は、式の異性体、特にシス/トランス異性体に、またはかかる異性体の混合物に相応することもある。
【0070】
上記の式の顔料の改善された形態をもたらす新規の合成、それらのシス/トランス異性体またはかかる異性体の混合物が以降に記載される。
【0071】
8.5gの2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼン二酢酸(0.37Mol、Aldrich)と、11gのイサチン(0.74Mol、Aldrich 98%)と、14gのp−トルエンスルホン酸一水和物(Fluka purum)との、800mlの氷酢酸中での混合物を、14時間の間、105℃で攪拌する。反応混合物を室温に冷却し、且つ、その懸濁液をろ紙を通じてろ過し、250mlの酢酸、200mlのメタノール、および500mlの水を用いて洗浄する。黒色の粉末を真空オーブン内、70℃/104Paで乾燥させる。
【0072】
実施例2〜5
実施例2〜5についての一般的な手順
【化18】

【0073】
上記式またはそれらの異性体の黒色顔料5.00g(実施例1に記載された新規の合成によって得られた)を、攪拌しながら30mlの発煙硫酸(25%の遊離SO3を含む)中で溶解させる。温度が30℃に達している深い紫色の溶液を、20℃に冷却し、4時間攪拌し、氷/水の混合物500ml中に放出し、そして、さらに1時間攪拌する。実施例2〜5において特定されたアミンまたはアンモニウム塩25g(即ち、複合化学量論組成過剰)を5分以内で添加する。黒色の懸濁液を30分間攪拌し、ろ過し、そして50mlの水で洗浄する。湿ったプレスケーキを100mlの水中に懸濁させ、5gのアミンまたはアンモニウム塩を添加し、且つ、その生成物を各150mlの塩化メチレンで2回抽出する。2つの有機相を1200mlのヘキサン中に、溶け込ませて攪拌する; その生成物は小さな結晶として沈殿する。懸濁液を30分間攪拌し、そしてガラス繊維フィルターにてろ過する。該生成物はフィルター上で液化する傾向があるので、100mlの塩化メチレンを用いて該生成物を溶解させてフィルターから除き、そして回転蒸発器(rotavapor)にて、わずかに高められた温度で、真空下にて溶剤の蒸発によって単離する。
【0074】
該生成物は、MS法によって測定される通り、大部分は2つのスルホ基を含有する。1H−NMRのデータに基づき、スルホ基の正確な位置は不確定である。
【0075】
実施例2a: 式2aの顔料の製造
スルホ基の位置が確定している式の、即ち、以下の式2aに描かれるジスルホン酸を製造するために、以下の製造方法を使用する:
2.3gの2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼン二酢酸(0.01Mol、Aldrich)、5.7gのイサチン−5−スルホン酸ナトリウム塩二水和物(0.02Mol、Fluka 98%)および0.7gのp−トルエンスルホン酸一水和物 (Fluka purum)の、80mlの酢酸および20mlの水中の混合物を、14時間の間、105℃で攪拌する。該反応混合物を、80℃に冷却し、且つ、懸濁液をろ紙を通じてろ過し、80mlの酢酸および100mlのメタノールで洗浄する。黒色粉末を真空オーブン内、70℃/104Pa(Pa=パスカル)で乾燥させ、式2aの化合物をもたらす; LDI−TOF: m/z=608。
【0076】
【化19】

【0077】
実施例2: 上記式のトリブチルアンモニウム塩; 使用されたアミン: トリブチルアミン。収量: 2.1g。
【0078】
実施例3: 上記式のトリオクチルメチルアンモニウム塩; 使用されたアンモニウム塩: トリオクチルメチルアンモニウムブロミド。収量: 1.6g。
【0079】
生成物は、元素分析によって、ビス(トリオクチルメチルアンモニウム)塩に相応して、特性決定される:

残留ブロミドは検出されない。
【0080】
実施例4: 上記式のオクタデシルトリメチルアンモニウム塩; 使用されたアンモニウム塩: オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド。収量: 8.3g。
【0081】
生成物は、元素分析によって特性決定され、モノ(オクタデシルトリメチルアンモニウム)塩一水和物に相応する:

残留ブロミドは検出されない。
【0082】
実施例5: 上記式のテトラエチルアンモニウム塩; 使用されたアンモニウム塩: テトラエチルアンモニウムブロミド。収量: 1.2g。
【0083】
試薬、および分散剤として使用されるコポリマーの調製
実施例6: 化合物4(4’)、即ち、ポリ(nBA−co−セチルA−b−4VP)の合成
【化20】

【0084】
機械攪拌機、およびドライアイスアセトン冷却を有する蒸留塔を備えた500mLのフラスコ内に、100.0gのポリ(nBA−b−4VP)、即ちn−ブチルアクリレートと4−ビニルピリジンとのブロックコポリマー、重合度75−b−15、WO2006/074969号A1、36ページ、実施例A2内に記載、100gのキシレンおよび71.7gのセチルアルコール(分子量242.5g/mol; n−ブチルエステルに対して45mol%)を、添加し、且つ、キシレンの共沸蒸留によって乾燥させる。3部分の0.25gのtert.ブトキシリチウム(LiOtBu)を、5時間の間に190℃で添加する。形成されたn−ブタノールを減圧で留去する。結果として、式の149.8gのポリ(nBA−co−セチルA−b−4VP)が、黄色がかったワックスとして得られる。数平均分子量Mn=15,400g/mol(PDI 1.5)。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を介した分析、並びに1H−NMRは、セチルアルコールのほぼ定量的な変換を示す。
【0085】
上記の式は恐らく、エステル交換が恐らく無作為に進行する点で、得られる生成物の構造を正確に反映しておらず、従って、得られる生成物の実際の構造は式4’によってより良く反映されていると思われる。類似の注釈が以下の実施例7〜9に当てはまる。
【0086】
実施例7: 式6のポリ(nBA−co−LialA−b−DMAPMA)の合成
【化21】

【0087】
機械攪拌機、およびドライアイスアセトン冷却を有する蒸留塔を備えた350mlフラスコ内に、式の90.5gのコポリマーおよび100.3gのLial125 (n−ブチルエステルに対して80mol%)を入れ、且つ、溶液を通じて窒素を1時間の間、室温でバブリングさせることによって、不活性化(inertisize)する。混合物を135〜142℃に加熱し、そして触媒を添加する(4部分の350mgのテトラ(イソプロピル)オルトチタネート、それぞれ2時間)。形成されたn−ブタノールを低圧(200mbar)で留去する。8時間後、生じる茶色がかったポリマーを室温に冷却し、145.1gの式のコポリマー(Mn11300、PDI 1.35(GPCによる(THF))、固体含有率97.3%(ハロゲンドライヤー 200℃)、および、(11−co−60)−b−10としてのポリ(nBA−co−LialA−b−DMAPMAについて組成物(1H−MNRによる)がもたらされる。
【0088】
の出発材料は以下の通りに得られる:
段階7.1
機械攪拌機および蒸留塔を備えた500mlのフラスコ内に、122.5gのポリ−n−ブチルアクリレート[ポリ(nBA)](WO2006/074969内の実施例A1と類似して合成; 1H−NMRによる重合度75、Mn=6830、PDI=1.31)、および85.98gのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)を装填する。該混合物を窒素下で135℃に加熱する。2.5時間後、100℃未満に冷却することによって反応を終了させ、未反応のモノマーDMAPMAを高真空(<20mbar)で、固体含有率>98.0%に達成するまで留去する(ハロゲンドライヤーによる、200℃)。
【0089】
結果として、式の茶色がかった粘性のブロックコポリマー143gが、Mn[GPC (THF)] 7480、(PDI1.32)を有して単離される。1H−NMRによる分析によれば、重合度はp(nBA−b−DMAPMA)について71−b−10として測定される。
【0090】
実施例8: 式7[ポリ(nBA−co−LialA−co−DMAEE[Me−quat]A−b−DMAPMA]+(TPB)-の共重合塩の合成
【化22】

【0091】
機械攪拌機、およびドライアイスアセトン冷却を有する蒸留塔を備えた500mlのフラスコ内に、実施例6で述べられた、重合度75−b−15を有しWO2006/074969号内の実施例A2によって調製された、200.0gの式3のポリ(nBA−b−4VP)、203.1gのLial125(n−ブチルエステルに対して約100mol%)、および4.6gのLupragenN107(Mw133.2、n−ブチルエステルに対して約3mol%; ジメチルアミノエトキシエタノール[DMAEE])を添加する。1つの部分の2.5gのテトラ(イソプロピル)オルトチタネートを添加し、そして該混合物を不活性条件下、低圧で8時間、140℃にて攪拌し、形成されるn−ブタノールを留去する。工程の最後に、残留過剰アルコールを高真空下(20mbar)で、固体含有率>95%に達するまで除去する(ハロゲンドライヤー、200℃)。これは、(5−co−1−co−70)−b−15としてのp(nBA−co−DMAEEA−co−Lial125A)−b−p(4VP)についての平均(1H−NMR)組成およびMn(GPC/THF)17.500 (PDI 1.31)を有する茶色がかった粘性のポリマーをもたらす。50.0gのこのポリマーを、機械攪拌機を備えた250mlの三つ口フラスコ内に入れ、そして100gのn−ドデカンを添加する。この混合物を40℃にわずかに加熱し、均等な溶液を得る。室温への冷却後、0.29gのヨウ化メチル(アミノ基に対して1.0当量)を、ポリマー溶液に添加し、引き続き終夜、室温で攪拌する。生じる四級化ポリマー溶液は、固体含有率32.1%(ハロゲンドライヤー、200℃)およびポリマーのMn(GPC/THF)14,300(PDI 1.29)を有して得られる。最終段階において、13.2gのドデカン中に溶解された0.66gのテトラフェニルホウ酸ナトリウム(Ph4BNa)をポリマー溶液にゆっくりと添加し、そして3時間室温で攪拌する。生じるわずかに混濁した混合物を、hyfloを通じてろ過し、式の黄色がかった溶液(固体含有率31.3%)およびMn14,300(PDI 1.24)の塩が生じる。カチオンの平均(1H−NMR)組成を、p(nBA−co−DMAEE[Me−quat]A−co−Lial125A)−b−p(4VP)+について(5−co−1−co−70)−b−15として測定する。
【0092】
実施例9: 式9 [ポリ(nBA−co−LialA−co−DMAEE[H]A)−b−DMAPMA+(DDDP)-の分散剤の合成
【化23】

【0093】
のコポリマー50.0gを、nードデカン283g中に50℃で均質に溶解する。段階9.2で記載された式10のジドデシルホスホネート(DDDP、0.64g)を添加し、そして2時間、80℃で攪拌する。式のアンモニウム塩が、n−ドデカン中の透明な茶色がかった溶液として得られる。ポリマーのGPC(THF)は、Mn18,800(PDI 1.30)をもたらす。カチオンp(nBA−co−DMAEE[H]A−co−Lial125A)−b−p(4VP)+の平均(1H−NMR)組成が、(7−co−1−co−66)−b−14であると測定される。
【0094】
出発材料を以下の通りに調製する:
段階9.1: 式8のコポリマーの合成
機械攪拌機、およびドライアイスアセトン冷却を有する蒸留器を備えた500mLのフラスコ内で、175gの式のコポリマーを、実施例8の手順に従って調製する: 73nBAおよび14の4−ビニルピリジン単位の平均(1H−NMR)組成を有するp(nBA)−b−p(4VP)ブロックコポリマー103.7g、Lial125(n−ブチルエステルに対して約100モル%)110.1g、Lupragen N 107(Mw133.2; n−ブチルエステルに対して1.5モル%)1.0g、およびテトラ(イソプロピル)オルトチタネート1.3gが、エステル交換され(18時間、140℃、200mbar)、p(nBA−co−DMAEEA−co−Lial125A)−b−p(4VP)についての平均(1H−NMR)組成(7−co−1−co−66)−b−14、およびMn(GPC/THF)15,900(PDI 1.61)を有する式の茶色がかった粘性のコポリマーになる。
【0095】
段階9.2; 式10のジドデシルホスホネート(DDDP)の合成
【化24】

【0096】
磁気攪拌棒を備えた250mlの三つ口フラスコ内で、次亜リン酸ナトリウム一水和物(Fluka、MW106)10.6gを、10mlの水中に溶解させ、そして15℃に冷却する。この溶液に、濃硫酸(97%、0.75当量)7.51gをゆっくりと導入し、混濁した粘性の反応塊が生じる。1−ドデセン35.4g(2.0当量)を室温で添加し、次に、過酸化ジベンゾイル2.42g(Bnz−O−O−Bnz; Fluka; 50%、水中)の20mlの1,4−ジオキサン中の溶液を添加する。その不均質な混合物を80〜85℃に加熱し、そして2時間攪拌し、もう1つの部分の、20mlの1,4−ジオキサン中の過酸化ジベンゾイル2.42g (Fluka、50% 水中)が続き、そして2時間、85℃で攪拌する。室温への冷却後、50mlのトルエンを添加し、60℃に加熱し、そして室温に冷却する。2つの相系が分離され、そして水相をそれぞれ50mlのトルエンで2回抽出する。結合された有機相を、水でおよびほぼ飽和した塩化ナトリウム水溶液(ブライン;それぞれ2回 20mlおよび1回 20ml)で洗浄する。hyfloを通じたろ過後、トルエンを蒸発させて乾燥させる。残留固形物を、熱いヘキサン(60℃、200ml)中に溶解させ、そして冷却させて結晶化する。結晶の一部をろ過して除去し、そのろ過ケークを冷たいヘキサンで洗浄し、そして回転蒸発器(rotorvap)にて25℃で乾燥させる。これが、白い結晶性材料としての式10の化合物14.65g(収率36%)をもたらす;

【0097】
実施例10: 式11のポリ(nBA−co−LialA−b−4VP)の合成
【化25】

【0098】
機械攪拌機、ドライアセトン冷却を有する蒸留塔を備えた100mlのフラスコ内に、WO2006/074969号内の実施例A2に従って調製されたポリ(nBA−b−4VP)18.77g (重合度73−D−14)、およびLial−125(n−ブチルエステルに対して80モル%)20.63gを添加し、そして65℃で60分間、50mbarで脱気する。3つの部分のチタン−ビス(アセチルアセトナト)−ビス−イソプロピレート0.29gを6時間の間、142℃で添加する。形成されたn−ブタノールを減圧で留去する。結果として、式11[ポリ(nBA−co−LialA−b−4VP)]のコポリマー28.94gが、茶色がかった粘性の物質として得られる; Mn=18.760g/mol (PDI 1.34)。GPC並びに1H−NMRを介した分析は、Lial−125アルコールのほぼ定量的な変換を示す。
【0099】
実施例11: 分散液の調製および評価
この実施例は、様々な分散された電気泳動黒色顔料粒子を含有する油相の調製を説明する。得られた分散液の物理的特性を以下の表1に示す。
【0100】
分散液の調製のための一般的な手順:
顔料物質1.00gを、分散機DAS200 (Lau GmbH)によって15時間、25℃で、ドデカン9.0g内へと(749.0kg/m3)(Aldrich D22、110−4)、表1で述べられた分散剤0.75gの存在中で粉砕する。実施例11iの2色の電気泳動分散液の場合、上述の1.00gの顔料物質を、実施例11iで述べられた各0.5gの顔料で置き換える。
【0101】
分散液を、さらなるドデカンを用いて、10質量%から2質量%に希釈する。この分散液20μlをさらにドデカンで希釈して1mlにした後、動的光散乱法によって測定する。
【0102】
分散された顔料粒子のサイズ[nmでの直径]およびゼータ電位(ζ)[mV]を、動的光散乱法によって、Malvern Zetasizer Nano Series装置(Malvern Instruments Ltd.、英国)を用いて測定する。生じる粒径は、下記の表1の「サイズ」の列に、ナノメートルの単位で示され、(計算された)電気泳動移動度は、μの列に10-82/Vs(40Vで)の単位で示され(電気泳動移動度は、粒子速度と電界強度との間の比例係数である)、且つ、ゼータ電位は「ゼータ(mV)」の列に示される。
【0103】
電気泳動移動度μは、スモルコフスキーの関係(ζ=μη/ε、前記μは移動度、ηは1.344mPa*秒は25℃での媒体の粘度、およびε=2.0は20℃での誘電率)から計算されている。
【0104】
抵抗Rの測定
表1に示される抵抗R[Ω]は以下の通りに測定される:
ドデカン中のカーボンブラックの分散液(Cabot Modified Carbon Black Toolkitからのベースカーボンブラック; Cabot社)を参照の通りに、コポリマー4(実施例6参照)SP−10515を分散剤として使用して、上記の「分散液の調製のための一般的な手順」に従って調製する。
【0105】
純粋なドデカン、カーボンブラック分散液、および顔料分散液(全て濃度2質量%)を、同一の容量で、WO2005/105292号内に記載される通り(その図1参照)、低導電率用の3点電極配置を用いたGatlik Ltd. (バーゼル、スイス; http://www.gatlik.com/)製の96ウェルプレートのウェル内に適用する。そのプレートはポリイミド製で、1つの特定のウェルについて、本特許出願の図1に図示される通り、対になった半円の配列の中に平坦な金電極を有する。そのウェルは、直径5mmおよび深さ2mmを有する。測定前に、プレートを、電極間の抵抗が1013Ωより高くなるまでエタノールで洗う。半円の電極の間で抵抗を測定し、中央の電極は接地としてはたらく。分散液の各試料について、3つの異なるウェル中で測定を実施し、そして、最高値および最低値を除外する。
【0106】
【表1】

【0107】
* Cabot Modified Carbon Black Toolkitからのベースカーボンブラック; Cabot社
** 「conc.」の列は、顔料の質量に対する分散剤の質量のパーセンテージを示す
*** CROMOPHTAL Jet Yellow 8GT; Ciba社。
【0108】
純粋なドデカンを有するウェルの抵抗は、>1013Ω (>1013オーム)である。
【0109】
表1からわかるように、全ての場合において、この特許出願のものである黒色顔料の分散液のゼータ電位および抵抗の絶対値(実施例11b〜11e)は、参考材料のカーボンブラック(実施例11a)のものよりも高い。
【0110】
ゼータ電位の意義は、その絶対(即ち正または負)値が、コロイド分散液の安定性に関連していることである。ゼータ電位は、隣接した、分散液中で同様に帯電された粒子の間の斥力の程度を示す。充分に小さい分子および粒子、例えば本発明のナノ粒子については、高いゼータ電位は安定性を付与する、即ち分散液は凝集に耐える。電位が低い場合、引力は斥力を上回り、且つ、分散が崩壊し、そして凝集する。従って、高いゼータ電位(正または負)を有するコロイドは電気的に安定化される一方、低いゼータ電位を有するコロイドは凝結または凝集する傾向がある。ゼータ電位の他の重要性は、電界の影響下での粒子の移動度がゼータ電位に比例することである。(絶対)ゼータ電位が高いほど、粒子の動きおよび二状態間のスイッチングが速い。
【0111】
それぞれ、導電率を低減させ、ディスプレイのより低い消費電力を得て、且つ、無電力条件下でキャパシタによって保持される電界の印加によってより長い期間、像の安定性を得るためには、分散液の高い抵抗(抵抗率)が望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動ディスプレイに有用な分散液であって、
α) 式Iのビスオキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤
【化1】

[式中、
1およびR6は互いに独立してH、CH3、CF3、FまたはCl、好ましくはHまたはF、最も好ましくはHである;
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9およびR10は他の全てから互いに独立してH、ハロゲン、R11、COOH、COOR11、COO-、CONH2、CONHR11、CONR1112、CN、OH、OR11、COCR11、OOCNH2、OOCNHR11、OOCNR1112、NO2、NH2、NHR11、NR1112、NHCOR12、NR11COR12、N=CH2、N=CHR11、N=CR1112、SH、SR11、SOR11、SO211、SO311、SO3H、SO3-、SO2NH2、SO2NHR11またはSO2NR1112である; 且つ、R2およびR3、R3およびR4、R4およびR5、R7およびR8、R8およびR9、および/またはR9およびR10は、直接結合、またはO、S、NHまたはNR11ブリッジによって互いに結合することもできる;
11およびR12は互いに独立して、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−シクロアルキル、C1〜C12−アルケニル、C1〜C12−シクロアルケニルまたはC1〜C12−アルキニルであり、そのそれぞれは中断されていないか、または酸素、NH、NR13および/または硫黄によって、それぞれ少なくとも2つのC原子を含む2つまたはそれより多くの断片に中断され、且つ、そのそれぞれも非置換であるか、または1またはそれより多くの回数、COOH、COOR13、COO-、CONH2、CONHR13、CONR1314、CN、オキソ、OH、OR13、OOCR13、OOCNH2、OOCNHR13、OOCNR1314、NR13、NH2、NHR13、NR1314、NHCOR14、NR13COR14、N=CH2、N=CHR13、N=CR1314、SH、SR13、SOR13、SO213、SO313、SO3H、SO3-、SO2NH2、SO2NHR13、SO2NR1314またはハロゲンで置換されている; またはC7〜C12−アラルキル、C1〜C11−ヘテロアリールまたはC6〜C12−アリール、そのそれぞれは非置換であるか、または1またはそれより多くの回数、COOH、COOR13、COO-、CONH2、CONHR13、CONR1314、CN、OH、OR13、OOCR13、OOCNH2、OOCNHR13、OOCNR1314、NO2、NH2、NHR13、NR1314、NHCOR14、NR13COR14、N=CH2、N=CHR13、N=CR1314、SH、SR13、SOR13、SO213、SO313、SO3H、SO3-、SO2NH2、SO2NHR13、SO2NR1314またはハロゲンで置換されている; 且つ、それぞれR13またはR14は、任意の他のR13またはR14と独立して、C1〜C6−アルキル、ベンジルまたはフェニルであり、そのそれぞれは非置換であるか、または1またはそれより多くの回数、上記で定義された置換基で置換され、ただし、R13およびR14の任意の置換基内の原子の総数は1〜8である; それにより、全てのR13およびR14からなる群から選択される一対の置換基は、随意に直接結合またはO、S、NHまたはNR11ブリッジによって互いに結合して環を形成できる]
または、それらのシス−トランス異性体、またはかかる着色剤の塩、または塩形成基を有する異性体
β) 以下の段階
a1) 第一の段階において、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和モノマーを、式
【化2】

[式中、
Xは少なくとも1つの炭素原子を有する基を表し、且つ、Xから誘導される遊離基X・が重合を開始できるものである]
の構造成分を有する少なくとも1つのニトロキシルエーテルの存在中で重合する段階; または
a2) 第一の段階において、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和モノマーを式
【化3】

の少なくとも1つの安定な遊離ニトロキシル基およびフリーラジカル開始剤の存在中で重合する段階; その際、段階a1)またはa2)において使用される少なくとも1つのモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1〜C6−アルキルまたはヒドロキシC1〜C6−アルキルエステルである;
および第二の段階
b) a1)またはa2)で調製されたポリマーまたはコポリマーを、エステル交換反応、アミド化、加水分解、または無水変性、またはそれらの組み合わせによって、変性することを含む段階
を含む方法によって得られる変性ポリ(メタ)アクリレートポリマーを含むポリマー分散剤、および
γ) 電気泳動ディスプレイ中で使用される分散液に適した溶剤
を含む分散液。
【請求項2】
着色剤が式
【化4】

の顔料である、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
着色剤が式2a
【化5】

のスルホン酸、またはそれらの塩、および/または前記酸または塩のシス/トランス異性体である、請求項1に記載の分散液。
【請求項4】
ポリマー分散剤が、式II
【化6】

[式中、
Xは酸素または基NHを表し、mは0または10〜20であり、pは60〜90であり、R15は水素またはメチルであり、且つ、Rは30個までの炭素原子を有するアルキルを表し、その際、1つまたはそれより多くの炭素原子は酸素によって置き変えられてもよく、且つ、それは非置換またはジメチルアミノまたはトリメチルアミノによって置換され、ただし、基X−Rは、式I中に存在する部分式−CH2−C(R15)(CO−X−R)−の全ての(p)成分において同一ではない]
の変性ポリ(メタ)アクリレートポリマー、および塩形成基を有するかかるポリマーの塩から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項5】
溶剤がドデカンである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の分散剤。
【請求項6】
分散された粒子が、直径200〜800nmを有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の分散液。
【請求項7】
請求項3において描かれた式2aのビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤、またはそれらの塩および/または前記酸または塩のシス/トランス異性体。
【請求項8】
請求項1から3までのいずれか1項に定義された式Iのビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤の、および/または請求項1、9および10のいずれか1項に定義されたポリマー分散剤の、電気泳動ディスプレイ中での使用。
【請求項9】
式II
【化7】

[式中、
Xは酸素または基NHを表し、mは0または10〜20であり、pは60〜90であり、R15は水素またはメチルであり、且つ、Rは20までの炭素原子を有するアルキルを表し、その際、1つまたはそれより多くの炭素原子は酸素によって置き換えられてもよく、且つ、それは非置換またはジメチルアミノまたはトリメチルアミノによって置換され、ただし、基X−Rは、式I中に存在する部分式−CH2−C(R15)(CO−X−R)−の全ての(p)成分において同一ではなく、且つ、異なる基X−Rがポリマー鎖に沿って無作為に分布している]
の変性ポリ(メタ)アクリレートポリマーから選択されるポリマー分散剤、または塩形成基を有するかかる分散剤の塩。
【請求項10】
部分式−CH2−C(R15)(CO−X−R)−の前記のp成分の20%までにおいて、Rが非置換のC1〜C6−アルキルである一方、残りの成分において、Rは非置換のC1〜C6−アルキルとは異なる、請求項9に記載の分散剤。
【請求項11】
請求項1から3までのいずれか1項に定義された式Iのビス−オキソジヒドロ−インドリレン−ベンゾジフラノン着色剤の分散液、請求項1、9および10のいずれか1項に定義されたポリマー分散剤、および電気泳動ディスプレイ内で使用される分散剤に適した溶剤を含む、電気泳動ディスプレイ。

【図1】
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【公表番号】特表2012−515240(P2012−515240A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545713(P2011−545713)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050089
【国際公開番号】WO2010/081756
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】