説明

鼻炎又は結膜炎治療器具

【課題】 簡単で且つ効果的な鼻炎又は結膜炎の治療を可能にする鼻炎又は結膜炎治療器具を提供することである。
【解決手段】 第1電極(12)と、第2電極(14)と、低周波パルス電流を発生させる低周波発生器(16)と、低周波発生器の出力端子を第1電極と第2電極にそれぞれ接続するリード線(18)と、第1電極を使用者の鼻根部および両眉の正中部の下側に接触させ、かつ、第2電極を使用者の鼻中隔と鼻骨との境界部に接触させるように位置決めするための位置決め部材(20)とを備えていることを特徴とする鼻炎又は結膜炎治療器具(10)が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻炎又は結膜炎を治療するのに用いられる鼻炎又は結膜炎治療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床的に抗原が判明している鼻炎は、鼻アレルギー又は鼻アレルギー性鼻炎と呼ばれ、抗原が不明である鼻炎を含めて鼻過敏症と総称される。とりわけ、鼻炎の一種である花粉症に悩む患者は多く、花粉の発生時期には、花粉発生情報が発せられる程の社会現象になっている。また、花粉症は、眼の結膜のかゆみや充血を発生させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、鼻炎や結膜炎に苦しむ患者は多いが、簡単で且つ効果的な対処法は提示されていないのが実情である。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、簡単で且つ効果的な鼻炎や結膜炎の治療を可能にする鼻炎又は結膜炎治療器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鼻炎に罹患した場合には、抗原が鼻粘膜に付着すると、くしゃみ、鼻汁、鼻閉の順に症状があらわれる。これらの症状の原因は、以下のように考えられている。
(1)「くしゃみ」について
抗原が鼻粘膜に付着すると、その抗原の刺激により、鼻粘膜の肥満細胞がヒスタミンを放出する。そして、放出されたヒスタミンが鼻粘膜に分布する三叉神経知覚枝を刺激し、三叉神経を求心路とした呼吸反射により、くしゃみが誘発される。
(2)「鼻汁」について
鼻粘膜に存在し、鼻汁を分泌する鼻腺には、翼突管神経が分布している。この翼突管神経は、主として副交感神経であり、この神経の反射により、鼻汁が分泌される。また、翼突管神経は、涙腺にも分布しており、眼球表面に抗原が付着すると、涙が分泌される。
(3)「鼻閉」について
鼻閉は、ヒスタミン、ロイコトルエン等のいわゆるケミカルメディエイターによって引き起こされる。鼻閉は、血管拡張と粘膜の浮腫によって発生し、粘膜の浮腫により気道が相対的に狭小化することによって引き起こされる。
【0006】
本発明の治療器具は、両眉の正中部の下側と鼻根部並びに鼻中隔と鼻骨との境界部を物理的に圧迫刺激すると鼻粘膜が収縮して鼻の通りが良くなるという経験的事実と、当該部位が神経の経路に近接しているので刺激が容易であるという点を応用したものである。すなわち、鼻炎又は結膜炎による副交換神経の刺激状態に対して、交換神経刺激状態にすべく、本発明の治療器具は、両眉の正中部の下側、鼻根部、並びに、鼻中隔と鼻骨との境界部を刺激することができるように構成したものである。
【0007】
本願請求項1に記載の鼻炎又は結膜炎治療器具は、第1電極と、第2電極と、低周波パルス電流を発生させる低周波発生器と、前記低周波発生器の出力端子を前記第1電極と前記第2電極にそれぞれ接続するリード線と、前記第1電極を使用者の鼻根部および両眉の正中部の下側に接触させ、かつ、前記第2電極を使用者の鼻中隔と鼻骨との境界部に接触させるように位置決めするための位置決め部材とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項2に記載の鼻炎又は結膜炎治療器具は、前記請求項1の器具において、前記低周波発生器が、1Hz〜12000Hzのパルス電流を発生させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項3に記載の鼻炎又は結膜炎治療器具は、前記請求項1又は2の器具において、前記位置決め部材が、眼鏡型又はゴーグル型の形状を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鼻炎又は結膜炎治療器具を使用することにより、簡単に且つ効果的に鼻炎又は結膜炎の治療をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る鼻炎又は結膜炎治療器具について詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る鼻炎又は結膜炎治療器具を示した全体図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の好ましい実施の形態に係る鼻炎又は結膜炎治療器具は、第1電極12と、第2電極14と、低周波パルス電流を発生させる低周波発生器16と、低周波発生器16の第1出力端子16a及び第2出力端子16bを第1電極12と第2電極14にそれぞれ接続するリード線18とを備えている。
【0012】
第1及び第2電極12、14は、通常の導電性材料で形成してよい。
【0013】
低周波発生器16は、通常の型式のものを使用してよいが、800Hz〜1200Hzのパルス電流を発生させるように構成されているのが好ましい。
【0014】
鼻炎又は結膜炎治療器具10は又、第1電極12を使用者の両眉の正中部の下側及び鼻根部に接触させ、かつ、第2電極14を使用者の鼻中隔と鼻骨との境界部に接触させるように位置決めするための位置決め部材20を備えている。位置決め部材20は、図1に示されるように、全体として眼鏡型に形作られたフレーム20aと、フレーム20aの両方の耳掛け部20a1同士を連結する弾性部材20bとを有している。弾性部材20bとしては、ゴム紐等を利用してよい。位置決め部材20のフレーム20aには、使用者が位置決め部材20を顔面に装着した場合に第1電極12が使用者の両眉の正中部の下側及び鼻根部に接触し、第2電極14が使用者の鼻中隔と鼻骨との境界部に接触するような箇所に、第1電極12及び第2電極14が固定されている。
【0015】
なお、第1電極12は、横長の帯状形状を有するものとして図示されており、図示されている帯状部全体を導電性材料で形成してもよいが、少なくとも参照符号12aで示されている箇所(鼻根部)と参照符号12bで示されている箇所(両眉の正中部の下側)を導電性材料で形成しておけば、所要の目的を達成することができる。
【0016】
図3は、鼻周辺の各部位を示した図である。図3において、Aが鼻根部、Bが鼻背、Cが鼻橋、Dが外鼻孔、Eが鼻翼、Fが鼻尖、Gが人中をそれぞれ示している。鼻炎又は結膜炎治療器具10の第1電極12は、図3のAの箇所に接触するように位置決めされる。
【0017】
次に、以上のように構成された鼻炎又は結膜炎治療器具10の使用について説明する。まず最初に、使用者の顔面に鼻炎又は結膜炎治療器具10を装着する。その際、第1電極12が鼻根部及び両眉の正中部の下側に接触し、第2電極14が鼻中隔と鼻骨との境界部に接触するように注意する。次いで、低周波発生器16の電源をONにして、1Hz〜12000Hzのパルス電流を発生させる。なお、電流は30mA以下、電圧は70V以下にするのが望ましい。刺激時間が短すぎると、神経が感知しないので、数秒間刺激した後、休止し、また数秒間刺激するというように、間欠的に刺激すると一層効果的である。
【0018】
アレルギー反応などで鼻粘膜が腫脹した場合に、副交換神経が粘膜の腫脹を促進し、交換神経が粘膜の腫脹を抑制するように作用すること知られている。すなわち、交換神経は、一定の緊張状態を保持している結果、眼瞼、鼻・副鼻腔に分布する副交換神経に拮抗して粘膜の腫脹を抑えるように作用する。交換神経は、動脈とともに粘膜に分布しているが、鼻・副鼻腔に分布する知覚神経を痛覚によって刺激することにより、知覚神経が刺激されて交換神経の緊張が亢進して、血管が収縮する結果として、粘膜の腫脹が軽減される。
【0019】
本発明の鼻炎又は結膜炎治療器具10を使用すると、三叉神経1枝・2枝の皮膚が刺激されて脳幹部の自律神経中枢が反射し、これにより副交換神経刺激状態から交換神経刺激状態になり、その結果、鼻腔粘膜を収縮させ、鼻粘膜からの分泌を抑制し、鼻閉症状を軽減させるものと考えられる。また、両眉の正中部の下側が刺激されると、結膜に分布する眼窩上神経を刺激し、結膜のかゆみや充血を緩和するものと考えられる。
【0020】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0021】
例えば、前記実施の形態において、位置決め部材20が眼鏡型に形作られているが、電極12、14を所定箇所に接触させることができるのであれば、位置決め部材を他の任意の形態に形成してもよい。図4は、ゴーグル型の位置決め部材20′を示した模式図である。すなわち、図4に示される位置決め部材20′は、全体としてゴーグル型に形作られたフレーム20′aと、ゴム紐等で形成される弾性部材20′bとを有している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る鼻炎又は結膜炎治療器具を模式的に示した図である。
【図2】図1の鼻炎又は結膜炎治療器具を装着した状態を示した図である。
【図3】鼻周辺の各部位を示した図である。
【図4】鼻炎又は結膜炎治療器具の変形形態を示した模式図である。
【符号の説明】
【0023】
10 鼻炎又は結膜炎治療器具
12 第1電極
14 第1電極
16 低周波発生器
18 リード線
20、20′ 位置決め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻炎又は結膜炎を治療するための鼻炎又は結膜炎治療器具であって、
第1電極と、
第2電極と、
低周波パルス電流を発生させる低周波発生器と、
前記低周波発生器の出力端子を前記第1電極と前記第2電極にそれぞれ接続するリード線と、
前記第1電極を使用者の鼻根部および両眉の正中部の下側に接触させ、かつ、前記第2電極を使用者の鼻中隔と鼻骨との境界部に接触させるように位置決めするための位置決め部材とを備えていることを特徴とする鼻炎又は結膜炎治療器具。
【請求項2】
前記低周波発生器が、1Hz〜12000Hzのパルス電流を発生させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の鼻炎又は結膜炎治療器具。
【請求項3】
前記位置決め部材が、眼鏡型又はゴーグル型の形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の鼻炎又は結膜炎治療器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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