説明

鼻鏡

【構成】手で握る把持部100a、100bと鼻孔の開拡部101a、101bとを有してなる2つのア−ム1a、1bを支点X(2)で固定してなる鼻鏡Nにおいて、2つのア−ム1a、1bの内部のバネ3を脱着可能に構成すると共に、2つのア−ム1a、1b及びバネ3を合成樹脂により構成してなる鼻鏡N。
【効果】合成樹脂製で、安価で、使い捨てにすることができるので、集団検診などでも衛生的で、バネを脱着可能に構成しているので、バネが劣化しそのバネ力が衰えたら新たなバネに交換可能なので、鼻の検診、治療などを行うときの作業性を阻害せず、又、当該鼻鏡の滅菌・消毒に際しては、当該バネを取り外して繰り返し滅菌や煮沸消毒などを行えるので、鼻鏡の分解・組立が容易で、滅菌・消毒が不充分となることがなくなった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鼻鏡(鼻鏡器)は、鼻孔を拡げて、鼻の検診、治療などを行うときに使用されるやっとこ様の器具で、従来の鼻鏡は、金属製で、高価で、集団検診などでは、その都度、消毒液に浸漬してから診察しているが、複数の者に繰り返して使用するので、極めて不衛生であった。
鼻鏡には、和辻式や俣野式やハルトマン式やフレンケル式などがあるが、基本的には、その先端側で鼻孔内に挿入して鼻孔を拡げる開拡部と手元側で手で把持する把持部とを有してなり、当該把持部は、バネにより付勢されている。
当該把持部は、当該バネが使用により、劣化してきて、そのバネ力が衰えると、鼻の検診、治療などを行うときの作業性を悪化せしめる。従来の鼻鏡は、当該バネが、鼻鏡と一体化されて固定されているので、交換が不可能で、当該バネの劣化により、当該バネだけの新しいものの交換は出来ず、当該鼻鏡全体を処分せざるを得なかった。
又、当該鼻鏡の滅菌・消毒に際しては、繰り返し滅菌や煮沸消毒などが行われるが、従来の鼻鏡は、当該バネが、鼻鏡と一体化され固定化されているので、当該煮沸消毒や繰り返し滅菌に際して、当該バネの取り外し、分解・組立が容易に出来ず、滅菌・消毒が不充分となることがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消できる技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的および新規な特徴は以下の明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特許請求の範囲は、次の通りである。
(請求項1) 手で握る把持部と鼻孔の開拡部とを有してなる2つのア−ムを支点で固定してなる鼻鏡において、当該2つのア−ムの内部のバネを脱着可能に構成すると共に、当該2つのア−ム及びバネを合成樹脂により構成してなることを特徴とする鼻鏡。
(請求項2) 2つのア−ムの支点を、合成樹脂製のピンにて固定してなることを特徴とする、請求項1に記載の鼻鏡。
(請求項3) 2つのア−ム側に各々突起部を設け、一方、バネ側に当該ア−ム側の突起部に対応できる穴部を設けてバネを脱着可能に構成してなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鼻鏡。
(請求項4) バネが、円弧状に構成されてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の鼻鏡。
(請求項5) バネが、角状に構成されてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の鼻鏡。
【発明の効果】
【0005】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、本発明によれば、合成樹脂製で、安価で、使い捨てにすることができるので、集団検診などでも衛生的で、バネを脱着可能に構成しているので、バネが劣化しそのバネ力が衰えたら新たなバネに交換可能なので、鼻の検診、治療などを行うときの作業性を阻害せず、又、当該鼻鏡の滅菌・消毒に際しては、当該バネを取り外して繰り返し滅菌や煮沸消毒などを行えるので、鼻鏡の分解・組立が容易で、滅菌・消毒が不充分となることがなくなった。
【0006】
次に、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0007】
図1は、本発明の鼻鏡の一実施例の分解構成図で、図2は、同鼻鏡の一実施例の組立構成図である。
図1及び図2に示すように、当該鼻鏡Nは、2つのア−ム1a、1bを備えてなる。
当該2つのア−ム1a、1bは、それぞれ、手で握る把持部100a、100bと鼻孔の開拡部101a、101bとを有してなる。
【0008】
2つのア−ム1a、1bは、それぞれピン2の挿着孔102a、102bを設け、図1に示すように、当該2つのア−ム1a、1bの当該ピン2の上下の挿着孔102a、102bに、ピン2を挿通させて、一方のア−ム1bの下側でワッシャ−201を当接してかしめ、当該2つのア−ム1a、1bを、図2に示すように、当該ピン2の位置を支点(X)として固定する。
【0009】
図1及び図2に示すように、当該鼻鏡Nは、バネ3を備える。
当該バネ3は、把持部100a、100bの内部で、脱着可能に構成されてなる。
当該バネ3は、図1及び図2に示すように、バネ先端部301a、301bとバネ本体部302とを備えてなる。
図1及び図2に示すように、2つのア−ム1a、1b側に、各々突起部1000a、1000bを設ける。
一方、バネ3側のバネ先端部301a、301bに、それぞれ当該ア−ム1a、1b側の当該突起部1000a、1000bに対応できる穴部301a,301bを設ける。
図2に示すように、バネ3側のバネ先端部301a、301bの各穴部301a,301bに、2つのア−ム1a、1b側の各突起部1000a、1000bを嵌合させると、バネ3が把持部100a、100bの内部に装着される。
当該バネ3側のバネ先端部301a、301bの各穴部301a,301bと、2つのア−ム1a、1b側の各突起部1000a、1000bとの嵌合を解くと、当該バネ3は、当該2つのア−ム1a、1bから脱すことができる。
【0010】
図1及び図2では、同図に示すように、当該鼻鏡Nにおけるバネ3が、円弧状に構成されてなる実施例を示してあるが、図3及び図4では、当該円弧状のバネ3に代えて、角状のバネ3を用いた実施例を示す。
当該角状のバネ3を用いた実施例は、前記実施例が円弧状のバネ3を用いた以外は同様であり、図3及び図4に示すように、当該鼻鏡Nは、手で握る把持部100a、100bと鼻孔の開拡部101a、101bとを有してなる2つのア−ム1a、1bを備え、当該2つのア−ム1a、1bには、それぞれピン2の挿着孔102a、102bを設け、当該2つのア−ム1a、1bの当該ピン2の上下の挿着孔102a、102bに、ピン2を挿通させ、一方のア−ム1bの下側でワッシャ−201を当接してかしめ、当該2つのア−ム1a、1bを、図4に示すように、当該ピン2の位置を支点(X)として固定する。
図3及び図4に示すように、当該角状のバネ3でも、バネ先端部301a、301bとバネ本体部302とを備えてなり、当該角状のバネ3のバネ先端部301a、301bに、穴部301a,301bを設ける。
図3及び図4に示すように、2つのア−ム1a、1b側に、それぞれ当該ア−ム1a、1b側の当該突起部1000a、1000bに対応できる各々突起部1000a、1000bを設ける。
図4に示すように、バネ3側のバネ先端部301a、301bの各穴部301a,301bに、2つのア−ム1a、1b側の各突起部1000a、1000bを嵌合させると、当該角状のバネ3が把持部100a、100bの内部に装着される。
当該バネ3側のバネ先端部301a、301bの各穴部301a,301bと、2つのア−ム1a、1b側の各突起部1000a、1000bとの嵌合を解くと、当該バネ3は、当該2つのア−ム1a、1bから脱すことができる。
【0011】
当該鼻鏡Nは、合成樹脂製で、当該鼻鏡Nを構成する2つのア−ム1a、1b、ピン2、ワッシャ−201及びバネ3の全てが合成樹脂製である。
本発明の当該鼻鏡Nは、合成樹脂製で、使い捨てとすることができる。
当該合成樹脂としては、ポリプロピレンが好ましい。当該ポリプロピレン製鼻鏡Nは、耐熱温度が160℃以上あり、当該鼻鏡の滅菌・消毒に際して、繰り返し滅菌や煮沸消毒を充分行うことが出来る。
【0012】
図4により当該鼻鏡Nの作用を説明するに、2つのア−ム1a、1bのそれぞれの把持部100a、100bを手で握り、手に力を込め当該把持部100a、100bを内側に押圧すると、当該2つのア−ム1a、1bのピン2による固定位置を支点(X)として、当該2つのア−ム1a、1bの鼻孔の開拡部101a、101bが開拡する。
力を緩めれば、当該2つのア−ム1a、1bのそれぞれの把持部100a、100bが、当該2つのア−ム1a、1bの固定位置を支点(X)として、外側に、元の位置に戻り、それに伴い、鼻孔の開拡部101a、101bが、内側の元の位置に戻り、閉じる。
当該開拡部101a、101bの先端部側には、外側に凸で内側に凹みを有する鼻孔挿入部1010a及び1010bを備え、当該鼻孔の開拡部101a、101bの開拡により広がり、一方、当該鼻孔の開拡部101a、101bの閉じにより、呼吸のための透通孔Hが形成される。
【0013】
当該鼻鏡Nの上記のような機能に関して、バネ3は重要であり、バネ作用が衰えてくると、当該鼻鏡Nは使い物にならない。当該バネ3の劣化に対して、本発明では、当該バネ3は、把持部100a、100bの内部で、脱着可能に構成されてなり、しかも、バネ3側のバネ先端部301a、301bの各穴部301a,301bに、2つのア−ム1a、1b側の各突起部1000a、1000bを嵌合させれば、簡単に、バネ3を把持部100a、100bの内部に装着することができ、一方、当該バネ3側のバネ先端部301a、301bの各穴部301a,301bと、2つのア−ム1a、1b側の各突起部1000a、1000bとの嵌合を解けば、当該バネ3を、当該2つのア−ム1a、1bから容易に脱すことができるので、その脱着も容易で、従来の鼻鏡では、当該バネが、鼻鏡と一体化され固定化されているので、当該煮沸消毒や繰り返し滅菌に際して、当該バネの取り外し、分解・組立が容易に出来ず、滅菌・消毒が不充分となることがあったが、本発明では、脱着が容易なので、当該煮沸消毒や繰り返し滅菌に際して、当該バネの取り外し、分解・組立を容易に出来、滅菌・消毒を充分行うことができ、又、当該バネ3をポリプロピレン等の合成樹脂製とすれば、耐熱温度が160℃以上あり、当該鼻鏡の滅菌・消毒に際して、繰り返し滅菌や煮沸消毒を充分行うことが出来る。
【0014】
本発明は上記実施例に限定されず、適宜変更が可能である。
上記実施例では、ピン2に依る2つのア−ム1a、1bの固定・支点形成手段を挙げたが、他のネジなどの固定手段を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、各種の鼻鏡に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の鼻鏡の一実施例の分解構成図である。
【図2】本発明の鼻鏡の一実施例の組立構成図である。
【図3】本発明の鼻鏡の他の一実施例の分解構成図である。
【図4】本発明の鼻鏡の他の一実施例の組立構成図である。。
【符号の説明】
【0017】
1a…ア−ム
1b…ア−ム
2…ピン
3…バネ
100a…把持部
100b…把持部
101a…開拡部
101b…開拡部
301a…穴部
301b…穴部
1000a・・・突起部
1000b・・・突起部
X…支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で握る把持部と鼻孔の開拡部とを有してなる2つのア−ムを支点で固定してなる鼻鏡において、当該2つのア−ムの内部のバネを脱着可能に構成すると共に、当該2つのア−ム及びバネを合成樹脂により構成してなることを特徴とする鼻鏡。
【請求項2】
2つのア−ムの支点を、合成樹脂製のピンにて固定してなることを特徴とする、請求項1に記載の鼻鏡。
【請求項3】
2つのア−ム側に各々突起部を設け、一方、バネ側に当該ア−ム側の突起部に対応できる穴部を設けてバネを脱着可能に構成してなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鼻鏡。
【請求項4】
バネが、円弧状に構成されてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の鼻鏡。
【請求項5】
バネが、角状に構成されてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の鼻鏡。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−119455(P2010−119455A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293640(P2008−293640)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(503447173)三和商事株式会社 (2)
【Fターム(参考)】