説明

(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法

【課題】医薬品として有用な(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶製造法を提供する。
【解決手段】(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液と塩化水素を混合せしめ、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特許文献1に開示された、医薬として優れた作用を有する(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩は優れた5−HT拮抗作用を有し、慢性動脈閉塞症に伴なう潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善に有効な医薬として臨床で多く使用されている。(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩は、特許文献1の実施例2の記載に基づき製造することができる。また特許文献2に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩はI形結晶とII形結晶の2種の結晶形態が存在し、特許文献1の実施例2記載の方法に従って得られた結晶はII形結晶とI形結晶のモル比が約3:7の混晶であることが示されている。しかし、特許文献1の実施例2の方法では再結晶溶媒に非常に多くのアセトンを使用しなければならず容積効率が悪い。したがって使用する溶媒量の少ない、効率的な工業的製造法が望まれている。
【特許文献1】特開昭58−32847号公報
【特許文献2】特開2006−160765号公報
【0003】
また、工業的に結晶を得るための手段としては、所望の化合物を任意の溶媒と混合し、加熱と攪拌を加えて溶解せしめ、溶媒の蒸発や冷却等の操作により結晶を析出させるのが一般的である。所望の化合物を溶解する溶媒であれば結晶を得ることはできるが、製品の歩留まりがよく、作業者の安全衛生上から扱いが容易(爆発性の低いこと、引火点が高いことなど)な溶媒の使用が求められる。
さらに、医薬原体使用する場合、溶媒の毒性が品質上重要となる。溶媒は原体中に必ず残存していることから結晶化に使用する溶媒は乾燥などの操作で除去が容易で、溶媒そのものの毒性が低いことが求められる。
したがって晶析による医薬原体製造法においては溶媒の選択が重要である。しかしながら画一的な溶媒のスクリーニングにより前述の要件を満たす溶媒を見出すことは困難であり、溶媒種、溶媒量、晶析温度、晶析時間、乾燥方法(減圧乾燥、送風乾燥など)の各種条件を加味し適切な結晶製造法を決定する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、医薬品として有用な(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法を鋭意検討した結果、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液と塩化水素を混合せしめることによって、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶が効率よく得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は以下の手段によって達成される。
1. (±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液と塩化水素を混合せしめ、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶を得ることを特徴とする(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩の製造法。
2.塩化水素が溶液状態であることを特徴とする上記1記載の製造法。
3.塩化水素が気体状態であることを特徴とする上記1記載の製造法。
4.(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素溶液を添加することを特徴とする、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法。
5.塩化水素溶液に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を添加することを特徴とする、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法。
6.(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素を吹き込むことを特徴とする、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法。
7.30〜60℃で塩化水素溶液を添加する上記4記載の製造法。
8.−20〜40℃で(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を添加する上記5記載の製造法。
9.30〜60℃で塩化水素を吹き込む上記6記載の製造法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、医薬品として有用な(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶を安定的且つ効率的に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートは下記式で表され、特許文献1に記載の方法により製造できる化合物である。(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶製造に使用する(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの不純物は、得られる結晶の物理化学的特性に影響を与えることから98%以上の液体クロマトグラフィー純度であることが望ましい。
【化1】

【0009】
先ず、本発明に係る(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶について説明する。
本発明の混晶とは、溶液から析出させた結晶が2種以上の結晶多形が混合している状態の結晶を意味する。
本発明にて得られる(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、I形結晶に由来する特徴的ピーク9.3°およびII形結晶に由来する特徴的ピーク9.5°双方の回折ピークを有するものである。また、それらの比率(I形結晶:II形結晶)は粉末X線回折スペクトルにおけるI形結晶に由来する特徴的ピーク9.3°とII形結晶に由来する特徴的ピーク9.5°のピーク強度の比で表すことができる。
【0010】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートは、(±)−1−〔O−〔2−(m−メトキシフェニル)エチル〕フェノキシ〕−3−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール塩酸塩(特許文献1の実施例1の記載に基づき製造することができる公知化合物)を水に溶解せしめ、塩基でフリー化、有機溶媒で抽出し、濃縮して得られる(±)−1−〔O−〔2−(m−メトキシフェニル)エチル〕フェノキシ〕−3−(ジメチルアミノ)−2−プロパノールを無水コハク酸と反応させ製造することができる。
【0011】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液は、溶媒中で(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートを製造するか、または(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートに溶媒を加え混合することで調製可能である。
【0012】
本発明において溶媒とは、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートを溶解するものであればよく、工業的に入手可能であり、さらには、服用する患者及び製造作業者の安全性の観点から低毒性の溶媒が好ましい。例えば、水、アルカン、アルコール、ケトン、アルデヒド、エーテル、エステル、カルボン酸、アミドなどが挙げられ、また、それらの混合物が挙げられる。幾つかの特定の溶媒の例としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−メトキシエタノール、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロフォルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエテン、1,1,2−トリクロロエテン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、テトラリン、クメン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、スルフォラン、水などが挙げられるが、好ましくは、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、エタノール、2−プロパノール、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、水が挙げられる。また、これらの溶媒の組合せも好適である。
【0013】
溶媒の使用量は特に限定されないが、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートに対して1〜20倍が好ましい。
【0014】
本発明において塩化水素は特に限定されないが、塩化水素ボンベとして市販されているものを使用してもよく、用時調製したものを使用しても良い。例えば、用時調製する際は、硫酸に塩酸を添加混合、または、塩化ナトリウムに硫酸を添加混合することで塩化水素を用時調製することができる。
【0015】
塩化水素溶液は市販の塩化水素溶液を用いるか、または、溶媒に塩化水素を接触させ溶解せしめることで調製することができる。塩化水素溶液調製に用いる溶媒の使用量は特に限定されないが、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートに対して1〜20倍である。塩化水素の使用量は特に限定されないが、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートに対して1.0〜2.0モル当量が好ましい。溶媒の温度が高いと、塩化水素ガスの一部が揮発することから、塩化水素ガスの溶解時は溶媒を室温以下に保持することが望ましい。塩化水素溶液は経時的に劣化したり、濃度が変化したりするので、調製後は速やかに使用することが望ましい。
【0016】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造は、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素溶液を添加するか、または、塩化水素溶液に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を添加することで実施される。さらには、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素を吹き込むことで実施される。
【0017】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造において、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に、塩化水素溶液を添加する時の溶液の内温は特に限定されないが、60℃以下にコントロールするのが好ましく、30〜60℃にコントロールするのがより好ましい。 内温が60℃より高いと不純物増加や塩化水素が揮発し収率低下が起こるので好ましくない。添加時間は使用する設備の温度調節能力およびスケールで変動するが最長6時間程度である。
【0018】
塩化水素溶液に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を添加する時の溶液の内温は特に限定されないが、内温を40℃以下にコントロールするのが好ましい。 添加時間は使用する設備の温度調節能力およびスケールで変動するが最長6時間程度である。
【0019】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に、塩化水素を吹き込む時の溶液の内温は特に限定されないが、内温を30〜60℃にコントロールするのが好ましい。内温が60℃より高いと不純物増加や塩化水素の吸収が妨げられ収率低下が起こるので好ましくない。塩化水素を吹き込む時間は使用する設備の温度調節能力およびスケールで変動するが最長6時間程度である。
【0020】
上記以外の操作条件、例えば攪拌の有無も特に限定されず、静置下あるいは攪拌下に結晶化することができる。種結晶の添加は任意であるが、添加により目的とする結晶を確実に得ることもできる。
【0021】
塩化水素と(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を混合した後は、10℃以下まで冷却し、結晶を十分に析出せしめてからろ過して(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩の湿結晶を取り出す。湿結晶を減圧乾燥、または送風乾燥することで所望の(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶を得ることができる。
【0022】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
実施例における液体クロマトグラフィー純度は、下記条件にて液体クロマトグラフィー分析を行い、各成分ピークの面積%を用いたものであり純度の指標とした。
装置:LC−2000Plus series(日本分光株式会社)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に粒子径が5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度::40℃付近の一定温度
移動層:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸混液=1300/700/1の混合液 流速:1.0mL
検出波長:272nm
【0024】
実施例における粉末X線回折スペクトルはMultiFlex型X線回折装置(株式会社リガク)を用いて以下の条件で測定した。
X線源:Cu
フィルター:使用しない
モノクロメーター:使用
管電圧:40kV
管電流:40mA
発散スリット:1/2°
散光スリット:1/2°
受光スリット:0.15mm
サンプリング間隔:0.020°
スキャンスピード:1.200°/min
【0025】
実施例1〜7に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素溶液を添加する(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法を示した。
実施例8〜19に塩化水素溶液に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を添加する(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法を示した。
実施例20〜26に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素を吹き込む(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法を示した。
【0026】
実施例1
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート11.73gのテトラヒドロフラン溶液56.6gに、12.6%塩化水素/テトラヒドロフラン溶液15.8gを、30〜35℃で添加した。4℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(テトラヒドロフラン40mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶12.08g(収率95%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=41:59であった。
【0027】
実施例2
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.18gのテトラヒドロフラン溶液25.0gに、35%塩酸1.51gを、30〜35℃で添加した。2℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(テトラヒドロフラン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.08g(収率90%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.9%、I形結晶:II形結晶の比率=33:63であった。
【0028】
実施例3
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート1.55gの2−プロパノール9.5mLの溶液に、35%塩酸0.45gを、30〜35℃で添加した。9℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(2−プロパノール2mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶1.61g(収率96%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.7%、I形結晶:II形結晶の比率=69:31であった。
【0029】
実施例4
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート1.55gのエタノール9.5mLの溶液に、35%塩酸0.45gを、30〜35℃で添加した。9℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(エタノール2mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶1.47g(収率88%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.7%、I形結晶:II形結晶の比率=35:65であった。
【0030】
実施例5
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート1.55gの酢酸エチル9.5mLの溶液に、35%塩酸0.45gを、30〜35℃で添加した。8℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(酢酸エチル2mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶1.51g(収率90%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=49:51であった。
【0031】
実施例6
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート11.24gのアセトン溶液51.03gに、10%塩化水素/アセトン溶液20.0gを、30〜35℃で添加した。5℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(アセトン40mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶12.19g(収率96%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=73:27であった。
【0032】
実施例7
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート11.24gのアセトン溶液51.03gに、10%塩化水素/アセトン溶液20.0gを、50〜55℃で添加した。2℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(アセトン40mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶11.68g(収率95%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=49:51であった。
【0033】
実施例8
12.6%塩化水素/テトラヒドロフラン溶液15.8gに、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート11.73gのテトラヒドロフラン溶液56.6gを、30〜35℃で添加した。5℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(テトラヒドロフラン40mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶12.12g(収率95%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=46:54であった。
【0034】
実施例9
1℃に冷却したテトラヒドロフラン5mLとアセトン10mLの溶液へ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/テトラヒドロフラン/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.79gのテトラヒドロフラン溶液28.0gを、10℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.33g(収率84%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=66:34であった。
【0035】
実施例10
1℃に冷却したテトラヒドロフラン5mLとアセトン10mLの溶液へ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/テトラヒドロフラン/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.79gのテトラヒドロフラン溶液28.0gを、0℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.89g(収率92%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=65:35であった。
【0036】
実施例11
1℃に冷却したテトラヒドロフラン5mLとアセトン10mLの溶液へ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/テトラヒドロフラン/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.79gのテトラヒドロフラン溶液28.0gを、30〜35℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.93g(収率93%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=52:48であった。
【0037】
実施例12
1℃に冷却したテトラヒドロフラン15mLへ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/テトラヒドロフラン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.85gのアセトン溶液26.0gを、10℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.46g(収率86%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=32:68であった。
【0038】
実施例13
3℃に冷却したアセトン15mLへ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.78gのアセトン溶液26.0gを、10℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.80g(収率93%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=28:72であった。
【0039】
実施例14
3℃に冷却したアセトン15mLへ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.78gのアセトン溶液26.0gを、10℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.69g(収率91%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=39:61であった。
【0040】
実施例15
4℃に冷却したアセトン15mLへ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.78gのアセトン溶液26.0gを、20℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.72g(収率91%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=62:38であった。
【0041】
実施例16
3℃に冷却したアセトン15mLへ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.78gのアセトン溶液26.0gを、0℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.47g(収率87%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=58:42であった。
【0042】
実施例17
9.5%塩化水素/アセトン溶液12.7gに、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.87gのテトラヒドロフラン溶液28.4gを、30℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.72g(収率90%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=72:28であった。
【0043】
実施例18
0℃に冷却したテトラヒドロフラン15mLへ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/テトラヒドロフラン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.85gのアセトン溶液26.0gを、30℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶4.12g(収率65%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=62:38であった。
【0044】
実施例19
4℃に冷却したテトラヒドロフラン5mLとアセトン10mLの溶液へ、硫酸2mLに35%塩酸2mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させ、塩化水素/テトラヒドロフラン/アセトン溶液を調製後、この溶液に、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.79gのテトラヒドロフラン溶液28.0gを、30℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.39g(収率86%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=72:28であった。
【0045】
実施例20
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート5.57gのアセトン溶液34.5gに、30〜40℃で、硫酸2.5mLに35%塩酸2.5mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させた。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶5.61g(収率93%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=37:63であった。
【0046】
実施例21
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート23.5gのテトラヒドロフラン溶液144.8gに、35〜40℃で、硫酸5.1mLに35%塩酸5.1mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させた。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶23.7g(収率93%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.9%、I形結晶:II形結晶の比率=49:51であった。
【0047】
実施例22
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート23.5gのテトラヒドロフラン溶液144.8gに、55〜60℃で、硫酸5.1mLに35%塩酸5.1mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させた。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶19.1g(収率75%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%、I形結晶:II形結晶の比率=36:64であった。
【0048】
実施例23
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート23.5gのテトラヒドロフラン溶液144.8gに、45〜50℃で、硫酸5.1mLに35%塩酸5.1mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させた。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶19.2g(収率75%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.9%、I形結晶:II形結晶の比率=53:47であった。
【0049】
実施例24
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート23.5gのテトラヒドロフラン/酢酸イソプロピル(5/2体積比)溶液145.4gに、35〜40℃で、硫酸5.1mLに35%塩酸5.1mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させた。結晶を濾過、洗浄(アセトン20mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶を得た。I形結晶:II形結晶の比率=59:41であった。
【0050】
実施例25
反応容器に水910g、(±)−1−〔O−〔2−(m−メトキシフェニル)エチル〕フェノキシ〕−3−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール塩酸塩130gを仕込み溶解させた。イソプロピルエーテル660g、25%水酸化ナトリウム水溶液62.5gを加え攪拌した。有機層を分離し、水910gで3回水洗した。有機層を濃縮し、テトラヒドロフラン578g、無水コハク酸42.7gを加え35〜40℃で3時間攪拌し(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートのテトラヒドロフラン溶液を得た。この溶液にテトラヒドロフラン231gを追加し得られた溶液へ、35〜40℃で、硫酸33.3mLに35%塩酸33.3mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させた。結晶を濾過、洗浄(テトラヒドロフラン200mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶128.5g(収率78%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.7%、I形結晶:II形結晶の比率=65:35であった。
【0051】
実施例26
反応容器に水910g、(±)−1−〔O−〔2−(m−メトキシフェニル)エチル〕フェノキシ〕−3−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール塩酸塩130gを仕込み溶解させた。イソプロピルエーテル660g、25%水酸化ナトリウム水溶液62.5gを加え攪拌した。有機層を分離し、水910gで3回水洗し、有機層717.7gを得た。得られた有機層のうち552gを濃縮し、テトラヒドロフラン445g、無水コハク酸27.3gを加え35〜40℃で4時間攪拌し(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートのテトラヒドロフラン溶液を得た。この溶液にテトラヒドロフラン178gを追加し得られた溶液へ、35〜40℃で、硫酸49mLに35%塩酸49mLを添加し発生させた塩化水素を吸収させた。結晶を濾過、洗浄(テトラヒドロフラン210mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶108.7g(収率96%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.4%、I形結晶:II形結晶の比率=61:39であった。
【0052】
比較例1(I形結晶が得られた実験)
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート11.24gのアセトン溶液51.05gに、10%塩化水素/アセトン溶液20.0gを、15〜25℃で添加した。4℃まで冷却した後、結晶を濾過、洗浄(アセトン40mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶12.17g(収率96%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%であった。
【0053】
比較例2(I形結晶が得られた実験)
10%塩化水素/アセトン溶液25.3gに、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート11.73gのアセトン溶液52gを、40〜45℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン25mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶11.53g(収率91%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%であった。
【0054】
比較例3(I形結晶が得られた実験)
10%塩化水素/アセトン溶液25.3gに、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート11.73gのアセトン溶液52gを、50〜55℃で添加した。結晶を濾過、洗浄(アセトン25mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶11.83g(収率93%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%であった
【0055】
比較例4(I形結晶が得られた実験)
反応容器に水91kg、(±)−1−〔O−〔2−(m−メトキシフェニル)エチル〕フェノキシ〕−3−(ジメチルアミノ)−2−プロパノール塩酸塩13kgを仕込み溶解させた。酢酸イソプロピル79.4kg、25%水酸化ナトリウム水溶液6.3kgを加え攪拌した。有機層を分離し、水91kgで3回水洗し、有機層を得た。得られた有機層を濃縮し、アセトン51.4kg、無水コハク酸4kgを加え35〜40℃で8時間攪拌し(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートのアセトン溶液を得た。この溶液にアセトン5kgを追加し得られた溶液へ、20〜25℃で、塩化水素2.6kgを吸収させた。結晶を濾過、洗浄(アセトン15kg)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶15.6kg(収率94%)を得た。液体クロマトグラフィー純度99.8%であった。
【0056】
比較例5(特許文献1の実施例2の再現実験)
アセトン750mLに(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩2.00gを添加し、50℃まで加熱し、溶解させた。溶解後、24℃まで冷却し結晶を析出させた。結晶を濾過、洗浄(アセトン5mL)した。乾燥し、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶1.12g(収率56%)を得た。I形結晶:II形結晶の比率=65:35であった。

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例25で得た(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の粉末X線回折スペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液と塩化水素を混合せしめ、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶を得ることを特徴とする(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩の製造法。
【請求項2】
塩化水素が溶液状態であることを特徴とする請求項1記載の製造法。
【請求項3】
塩化水素が気体状態であることを特徴とする請求項1記載の製造法。
【請求項4】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素溶液を添加することを特徴とする、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法。
【請求項5】
塩化水素溶液に(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を添加することを特徴とする、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法。
【請求項6】
(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液に塩化水素を吹き込むことを特徴とする、(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナート塩酸塩のI形結晶とII形結晶の混晶の製造法。
【請求項7】
30〜60℃で塩化水素溶液を添加する請求項4記載の製造法。
【請求項8】
−20〜40℃で(±)2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル}エチル水素サクシナートの溶液を添加する請求項5記載の製造法。
【請求項9】
30〜60℃で塩化水素を吹き込む請求項6記載の製造法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−126447(P2010−126447A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299573(P2008−299573)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(307013570)株式会社DNPファインケミカル福島 (11)
【Fターム(参考)】