説明

(メタ)アクリレートに基づくブロックコポリマー

本発明は、制御重合により製造され、(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性モノマーからなる少なくとも1つのブロックAまたはB、ならびに官能性ポリマーに基づくブロックPを有する、ブロックコポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御重合により製造され、(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性モノマーからなる少なくとも1つのブロックAまたはB、ならびに官能性ポリマーに基づくブロックPを有する、ブロックコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2004/056898号は、種々のポリマーアームが2つの領域、すなわちコアおよびシェルからなり、アクリレートコポリマーである分枝ポリマーを記載する。これは、ラジカル重合によって製造され、3〜10の多分散性を有することができる。ラジカル重合により鎖延長できる低分子量で多官能性の(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパントリアクリレートまたはペンタエリスリトールテトラアクリレートがポリマー前駆体として有用である。
【0003】
欧州特許出願公開第1308493(A)号も既知である。これは、ブロックコポリマーに基づく感圧接着剤を記載する。これらのブロックコポリマーは、P(A)−P(B)−P(A)構造、とりわけP(B)−P(A)X構造を有さねばならない。成分Xは、種々のポリマーアームを供えた多官能性の分枝ユニットであると記載されている。例えば、低分子量ビニルチオエステルまたは類似の尿素またはチオ尿素が、このような系を製造するための例として記載される。
【0004】
欧州特許第1179566(B)号も同様に既知である。これは、シリコーンポリマーブロックと(メタ)アクリレートブロックからなるブロックコポリマーを1つの成分として含有するエラストマー組成物を記載する。さらなるポリマー成分および詳細な製造方法は記載していない。
【0005】
先行技術からは、(メタ)アクリレートビルディングブロックを含有せず他のポリマーからなる中心ポリマービルディングブロックを有するポリマーは全く知られていない。種々の重合方法のために既知の出発分子のみが使用される。あるいは、高含量のシリコーンポリマーを有するコポリマーが知られている。
【0006】
前記先行技術において、アクリレートブロックコポリマーは、様々な反応機構により調製できることが明示されている。このようなポリマーは、さらに異なるポリマーと混合することもできる。しかしながら、共に混合する際、ポリマーの互いの相溶性がしばしば保障されないという事実が問題である。特に、シリコーンポリマーとの相溶性がしばしば問題である。さらに、実質的な成分としてアクリレートブロックコポリマーを使用すると、このポリマーから製造される組成物、例えば、接着剤またはシーラントの性質が、ベースポリマーの性質に限定される。特に、材料の弾性、凝集性および接着性
が十分でないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/056898号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第1308493(A)号明細書
【特許文献3】欧州特許第1179566(B)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、その構造および用いるポリマーブロックを通じて、様々なポリマーの特性を組み合わせることを可能にする、(メタ)アクリレートコポリマーに基づくブロックコポリマーを提供することである。ポリマー成分の共有結合が、さらに、相溶性を確保し、その後の種々のポリマーの分離を妨げる。その上、このブロックコポリマーから調製される組成物の特定の性質が得られるように、分子レベルで定義された領域をポリマー中に選択的に導入できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本目的は、ブロックPおよび少なくとも1つのブロックAまたはブロックBからなるブロックコポリマーにより達成され、Pは、OH、SH、RNH−置換されたポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づく、350〜30,000g/molの間の分子量を有するポリマービルディングブロックであり、Aは、(メタ)アクリレートモノマーおよび/または共重合性モノマーに基づく、Tg>10℃を有するブロックであり、Bは、(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性モノマーに基づく、Tg<10℃を有するブロックであり、制御重合のための少なくとも1つの開始剤ビルディングブロックを備えたPの共有結合によって、AとPは互いに結合している。これは、続いてブロックAおよび/またはBと、メタ(アクリレート)モノマーを用いる制御重合により反応する。
【0010】
本発明のブロックコポリマーにおけるポリマーブロックPとして、種々のベースポリマーが適当である。これらのポリマーは基本的に既知である、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づくポリマーである。これらのポリマーは1個、特に2個の官能基を有すべきであり、官能基は求核基、例えばOH、SHまたはRNH基である。ポリマーは、これらの反応基を介して、開始剤と反応できる。これらのポリマーは、基本特性の知識に従って当業者により選択され得る市販のポリマーであってよい。ブロックコポリマーにおいてブロックPとして使用できるこれらのポリマーは、それらの製造方法に由来した必要な官能基を含むが、続くポリマー類似反応により、そのような官能基をベースポリマーに導入することも可能である。
【0011】
このようなポリマーは、さらなる反応が可能な、少なくとも1個の官能基を有すべきである。求核基が特に適当である。求電子基、例えば無水物、エポキシドまたはイソシアネート基は求核基に変換することもできる。このような官能基の例は、OH、NH、SH、COOH、無水物、エポキシドまたはNCO基である。
【0012】
ポリマービルディングブロックPとして適当なポリマーの1つは、ポリウレタンプレポリマーである。これらは、ジオールおよび/またはトリオールとジイソシアネートまたはトリイソシアネート化合物の反応により製造できる。この場合、末端がOH官能化されたプレポリマーが得られるような比率が、主に選択される。プレポリマーは、特に、直鎖であり、すなわち主にジオールとジイソシアネートから製造される。三官能性のポリオールまたはイソシアネートを、少ない割合で追加的に使用することは可能である。プレポリマーの合成に使用できるポリオールおよびポリイソシアネートは当業者に既知である。
【0013】
PUプレポリマー合成に適当なイソシアネートは、接着剤としての使用で既知の単量体の脂肪族または芳香族のジイソシアネートまたはトリイソシアネートである。これらのイソシアネートの既知のオリゴマー、例えば、ビウレット、カルボジイミドまたはシアヌレートもまた使用できる。30,000g/mol以下、特に100〜10,000g/molの分子量を有する既知のポリオールを、二官能性または三官能性ポリオールとして選択することもできる。ポリオールは、例えばポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレートまたはポリアミドに基づくポリールから選択され、2個または3個のOH基を有する。末端のOH基を有するジオールが好ましい。イソシアネート基の量は、OH−官能性のPUポリオールが得られるように、または、NCO基を次いでOH基に変換できるように、選択される。
【0014】
本発明に関して、ポリエステルもPとして適当なポリマーである。これらは、酸およびアルコール成分の重縮合、特に、ポリカルボン酸または2つ以上のポリカルボン酸の混合物とポリオールまたは2つ以上のポリオールの混合物(例えば400g/mol以下の分子量を有する、特に低分子量のポリオール)との重縮合により製造できる既知のポリエステルであってよい。これらのポリエステルは、末端位置において、COOHまたはOH基で官能化することができ、他の官能基も場合により可能である。しかしながら、これらの基は次いで、前記の求核基に変換される。
【0015】
脂肪族、脂環式、芳香族または複素環の親物質を有するものは、ポリカルボン酸として適当である。遊離カルボン酸の代わりに、それらの酸無水物またはC1−5モノアルコールとのエステルを、所望により重縮合に使用することができる。多くのポリオールを、ポリカルボン酸と反応するジオールとして使用することができる。例えば、1分子あたり2〜4個の第1級または第2級OH基と、2〜20個のC原子を有する脂肪族ポリオールが適当である。同様に、より高官能性のアルコールを使用することもできる。このようなポリエステルポリオールの製造方法は当業者に既知であり、そのような生成物は市販されている。
【0016】
同様に、末端位置にOH基を有するポリアセタールがポリオールとして適当である。ポリカーボネートジオールまたはポリカプロラクトンジオールを、さらなるポリエステルポリオールとして選択することもできる。
【0017】
さらに、ポリエーテルポリオールも、ポリマービルディングブロックPとして用いることができる。ポリエーテルポリオールは、好ましくは低分子量ポリオールとアルキレンオキシドとを反応させて得られる。アルキレンオキシドは、好ましくは、2〜4個のC原子を有する。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたは異性体のブタンジオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドとの反応生成物が適当である。多官能性のアルコール、例えばグリセロール、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたは糖アルコールと、前記のアルキレンオキシドとの、ポリエーテルポリオールを与える反応生成物もまた適当である。それらは、ランダムポリエーテルまたはブロックコポリエーテルであり得る。前記の反応により得られ、約300〜約30,000g/mol、好ましくは約400〜約20,000g/molの分子量を有する、ポリエーテルポリオールが特に適当である。
【0018】
適当なポリオールの別の種類は、OH官能性ポリオレフィンである。ポリオレフィンは当業者に既知であり、さまざまな分子量で製造できる。ホモ−またはコポリマーとして、エチレン、プロピレンまたは長鎖α−オレフィンに基づくポリオレフィンを、官能基を含有するモノマーの共重合によって製造することも、あるいは、グラフト反応によって官能化することもできる。別の可能性は、これらのベースポリマーにOH基を、例えば酸化によって、後で与えることである。
【0019】
エチレンおよび/またはプロピレンに加えて用いることができるモノマーは、エチレン/プロピレンと共重合できる既知のオレフィン性不飽和モノマーである。特に、それらは、直鎖または分枝のC〜C20のα−オレフィン(例えばブテン、へキセン、メチルペンテン、オクテン)、環式不飽和化合物(例えば、ノルボネンまたはノルボナジエン)、対称的または非対称的に置換されたエチレン誘導体(置換基として適当なC〜C12アルキル基を有する)、および任意に不飽和カルボン酸またはカルボン酸無水物である。特に好ましい態様では、変性ポリオレフィンを生成するためメタロセンに基づく触媒を使用する。これらの(コ)ポリマーは、狭い分子量分布を有するという特徴的な特性を持ち、特に好ましくは、コモノマーは分子鎖に沿って均一に分布する。
【0020】
ポリオールの別の種類は、ポリアミド鎖を含有する。ポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸またはポリカルボン酸との反応生成物である。選択的合成により、末端位置でポリアミドにOH基を導入することができる。例えば、二量体脂肪酸、脂肪族直鎖ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸をカルボン酸として用いることができる。トリカルボン酸を少量、重合により導入することもできる。脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよび/またはポリエーテルジアミンが、アミンとして適当である。種々のジアミンの混合物が通常使用される。このようなポリアミドは当業者に既知である。例えば、二級アミノ基での官能基化が同じく知られている。
【0021】
ポリマーブロックPは液体または固体状であってよいが、さらなる処理のため、ポリマービルディングブロックPの溶液またはエマルションを生成できることが必要である。
【0022】
ポリマービルディングブロックPは、OH、SH、RNHから選択される少なくとも1個の官能基を有する。また、2〜10個、好ましくは1〜5個、特に2または3個の官能基を含有することができ、通常、同一の官能基がポリマーP中に含まれるべきである。特定の態様において、これらの官能基は末端位置にある。ポリマーPの分子量は、300〜30,000g/molであり、特に400〜20,000g/molである(GPCにより測定できる、数平均分子量M)。
【0023】
前記ポリマービルディングブロックPは、求核性官能基、特に、OH基、SH基またはNHR基を含有する。これらの基は、その後、制御重合のための開始剤ビルディングブロックと反応する。これらは、前述の求核基と反応できる基Zを有する化合物であり、さらに式I、II、IIIまたはIV
(I)−CR2−m−COOR
(II)−C(O)CR3−m
(III)−(O)CCR3−m
(IV)−Ph−CR3−m
[式中、X=Cl、Br、I;
Ph=フェニレン、フェニル;
=C〜C10のアルキル、脂肪族、脂環式または芳香族基;
=HまたはCH
m=1または2である]
の基を共に有する。
臭素化合物が好ましい。
【0024】
Pの求核基と反応できるさらなる反応基Zとして、例えば、C〜Cのアルコールとのアルキルエステル、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸ハライドまたはエポキシド基を用いることができる。
【0025】
例えば、式I〜IVの官能基は保持される一方、それに対して、基Zは、OH、SHまたはNHR基と反応するように、反応を任意に触媒を用いて行う。開始剤ビルディングブロックのポリマービルディングブロックPへの共有結合は、このようにして得られる。
【0026】
求核基と反応するこのような開始剤ビルディングブロックの例は、R−(CH−CHX−COOR、R−(CH−C(CH)X−COOR、R−(CH−CX−COOR、R−(CH−OOC−CHX、R−(CH−OOCCHX−CH、R−(CH−OOCCX−(CH、R−(CH−OOCCHX、R−(CH−OOCCX−CH、R−(CH(O)CC(O)CHX、R−(CH(O)CC(O)CHX、R−(CH(O)CC(O)CXCH、Y(O)C−CHX、Y(O)CCHX−CH、Y(O)CCX−(CH、Y(O)CCHX−C、Y(O)CCX(C、R−(CH−CHX−Ph、R−(CH−CX−Ph、o−、m−またはp−R−Ph−CHX、o−、m−またはp−R−Ph−CHXCH、o−、m−またはp−R−Ph−CX−(CH、o−、m−またはp−R−Ph−CXCH、o−、m−またはp−R−Ph−CHX、o−、m−またはp−R−Ph−OOCCHX、o−、m−またはp−R−Ph−OOCCHXCH、o−、m−またはp−R−Ph−OOCCX−(CH(CH、R−Ph−OOCXCH、o−、m−またはp−R−Ph−OOCCHXまたはo−、m−またはp−R−Ph−SOXであり、ここで、Rはイソシアネートまたはエポキシド基のような基Zで置換されたC〜Cのアルキル基を意味し、YはOH、X、メトキシまたはエトキシを意味する。ハロ酸誘導体、例えば2−ハロ酸(例えば2−ブロモプロピオン酸、2−ブロモイソ酪酸、2−クロロプロピオン酸、2−クロロイソ酪酸)、2−ハロ酸エステル(例えば2−ブロモプロピオン酸メチルエステル、2−ブロモイソ酪酸エチルエステル、2−クロロプロピオン酸メチルエステル、2−クロロイソ酪酸エチルエステル)、2−ハロ酸ハロゲン化物(例えば2−ブロモプロピオン酸ブロミド、2−ブロモイソ酪酸ブロミド、2−クロロプロピオン酸クロリドまたは2−クロロイソ酪酸クロリド)を用いるのが好ましい。
【0027】
開始剤ビルディングブロックの量は、ポリマーPで反応する少なくとも1つの開始剤分子が存在するように選択される。全てのOH、NHまたはSH基が開始剤分子と反応するのが好ましい。
【0028】
ポリマーと開始剤の反応は、通常、有機溶媒中で行う。従来の有機溶媒をここで用いることができる。溶媒の沸点は、140℃以下が好ましい。続く工程段階において、溶媒を所望により蒸留で除去することができる。
【0029】
本発明によると、対応する官能化されたポリマービルディングブロックPは、次いでさらに反応する。ここで、開始剤基は既知の触媒と、(メタ)アクリレートモノマー、ビニル置換の芳香族モノマーまたは他の不飽和共重合性モノマーから選択される対応する不飽和モノマーと反応する。原則的には、官能性ポリマービルディングブロックPから開始し、Pの制御重合を達成する複数の既知の重合方法が存在する。
【0030】
1個の開始剤基がブロックPに存在するならば、A−PまたはB−P構造を有するポリマーが得られる。ポリマーPの1つあたりに2個の開始剤基が存在するならば、A−P−AまたはB−P−B構造を有するポリマーが得られる。2個を超える開始剤基がポリマーPに含まれるのであれば、分枝または星形の構造が形成される。
【0031】
官能基移動重合(GTP)を用いた(メタ)アクリレートに基づくブロックコポリマーの製造は記載されている。この方法は、本発明のポリマーブロックAおよびBを生成するのに用いることができる。
【0032】
リビング重合または制御重合方法、例えばアニオン重合または官能基移動重合は、さらなる方法として適当である。ポリマーブロックAおよびBは、これらの重合方法を用いて構築できる。さらなる方法は、RAFT重合であるか、あるいは、ブロックAおよびBを生成する重合を、窒素酸化物を用いて行うことができる。しかしながら、本発明の好ましい製造方法は、ATRP重合である。
【0033】
ATRPのための触媒は、Chem.Rev.2001,101,2921に記載されている。銅錯体が主に記載されているが、とりわけ、鉄、ロジウム、白金、ルテニウムまたはニッケル化合物も使用できる。開始剤または移動可能な原子基を含有するポリマー鎖と酸化還元サイクルを形成できる、全ての遷移金属化合物が、通常、使用できる。
【0034】
(メタ)アクリレートに基づくモノマーは、ブロックAおよびBのために選択することができる。(メタ)アクリレートの表記は、(メタ)アクリル酸のエステルを意味し、メタクリレートエステル、アクリレートエステルまたは2つの混合物を意味する。さらに、共重合性の不飽和モノマー、特に、ビニル芳香族のモノマーも、これらの(メタ)アクリレートと重合させることができる。ガラス転移温度は、モノマーの選択により影響され得る。ホモポリマーとして、低いガラス転移温度、特に<10℃、を有するモノマーは、軟質モノマーとみなされる。ホモポリマーとして、ガラス転移温度>10℃を有するモノマーは、硬質モノマーとみなされる。
【0035】
ホモポリマーブロックを製造できるが、ブロックAおよびBが少なくとも2つのモノマーからなるコポリマーであるならば、例えばランダムな分布が好ましい。モノマーの濃度に勾配を示すポリマーブロックAおよびBを製造することも同様に可能である。さらに、さらなる官能基、例えばOH基、カルボキシル基、NH基、エポキシド基などを有する(メタ)アクリレートモノマーを、ブロックAまたはBに、重合により組み込むことも可能である。この場合、これらの官能基が重合反応に影響を与えないようにすることが重要であり、すなわちモノマーの追加の反応基として(メタ)アクリル二重結合、イソシアネート基またはハロゲン基は避けるべきである。
【0036】
本発明に関して、ブロックAは10℃を超える高Tgを有し、言い換えれば硬質ブロックである。ブロックBは10℃未満のTgを有し、言い換えれば軟質ブロックである(ガラス転移温度Tgは、DSCにより測定)。個々のブロックに使用できるモノマーは、当業者に既知である。ホモポリマーのガラス転移温度は、文献に記載されている。
【0037】
ブロックAおよびブロックBの両方において重合できるモノマーは、(メタ)アクリレート、例えば直鎖、1〜40個のC原子を有する分枝または脂環式アルコールのアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート、例えば、それぞれ非置換のまたは1〜4置換のアリール基を有し得る、ベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート;他の芳香族置換(メタ)アクリレート、例えばナフチル(メタ)アクリレート;5〜80個のC原子を有するエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシ(m)エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートの群から選択できる。
【0038】
ヒドロキシ官能性の(メタ)アクリレートを、ブロックAまたはB中に重合することも可能であり、例えば2〜36個のC原子を有する直鎖、分枝または脂環式のジオールのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートで、例えば、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチルモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、特に好ましくは2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0039】
上記の(メタ)アクリレートに加えて、重合される組成物は、さらに、前記の(メタ)アクリレートと特にATRPの方法によって共重合可能な不飽和モノマーを含有することもできる。これらは、とりわけ1−アルケン、例えば1−へキセン、1−ヘプテン、分枝アルケン、例えばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、アクリロニトリル、ビニルエステル、例えばビニルアセテート、スチレン、ビニル基部をアルキル置換基で置換したスチレン、例えばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、1個以上のアルキル置換基を環に有する置換スチレン、例えばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン、複素環化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよびイソプレニルエーテル、マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミドおよびジエン、例えばジビニルベンゼンであり、その他に、対応するヒドロキシ官能性および/またはアミノ官能性および/またはメルカプト官能性の化合物が挙げられる。これらのコポリマーは、さらに、ヒドロキシおよび/またはアミノおよび/またはメルカプト官能基を1個の置換基中に有するように調製することもできる。このようなモノマーは、例えばビニルピペリジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、水素化ビニルチアゾールおよび水素化ビニルオキサゾールである。ビニルエステル、ビニルエーテル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、スチレンまたはアクリロニトリルが特に好ましくAブロックおよび/またはBブロックと共重合する。
【0040】
0重量%〜50重量%、特に25重量%以下の、ATRPによって重合でき(メタ)アクリレートの群に属さないモノマーを、ブロックAのコポリマーおよびブロックBのコポリマーの両方に添加することができる。
【0041】
この方法は、ハロゲンを含まない溶媒中で行うことができる。トルエン、キシレン、HO;アセテート、好ましくはブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、酢酸エチル、酢酸プロピル;ケトン、好ましくはエチルメチルケトン、アセトン;エーテル;アルコール、好ましくは1〜10個のC原子を有するアルコール;アリフェート、好ましくはペンタン、ヘキサン、イソオクタンが好ましい。
【0042】
重合は、標準圧、減圧、加圧下で行うことができる。重合温度も重要ではない。しかしながら、通常−20℃〜200℃、好ましくは0℃〜130℃、特に好ましくは50℃〜120℃の範囲である。
【0043】
本発明のブロックコポリマーは、ブロックPおよび少なくとも1つのブロックAまたはBを含有しなければならない。本発明のブロックコポリマーは、A−P−AまたはB−P−Bの構造を有することもできる。ブロックP1つあたりに、2つより多くの開始剤ビルディングブロックを有すると、星型ブロックコポリマーが得られる。本発明の適当な製造方法を用いて、逐次ポリマーブロックを製造することもできる。ここで、構造Bのブロックは構造Aのブロックに続くことができ、逆もまた同様である。複数の異なるブロックを次々と逐次的に重合すること、例えば(AB)nP(ここで、nは1〜10、好ましくは1〜3であり得る)も同様に可能である。ABAまたはBAB構造(ポリマービルディングブロックPで反応させる)を含有させることもできる。本発明のブロックコポリマーは、通常、対称に構造化され、すなわちポリマーブロックPで反応させる(メタ)アクリレートブロックは同じ構造を有する。
【0044】
本発明のブロックコポリマーの1つの態様では、さらなる官能基を有さないブロックAおよびBを含有する。したがって、これらのポリマーは後の使用において反応性ではない。本発明のブロックコポリマーの他の態様では、ブロックAまたはブロックBのいずれかに1個以上の官能基を有する。例えばOH基、エポキシド基、アミノ基、チオ基、シリル基、アリル基、酸基または同様の官能基が官能基として挙げられる。ブロック1つあたりの官能基の数は1〜10個であり、特にブロック1つあたりに3官能基以下である。これらは、ブロックに沿ってランダムに分布するか、ブロックの一端に集中していてよい。特定の態様において、ブロックAまたはBは、同じ種類の官能基を有する末端位置において1つまたは2つのモノマーを含有する。
【0045】
(メタ)アクリレートブロックのガラス転移温度は、幅色い範囲内に調整できる。本発明によると、ブロックAは10℃より大きい、特に>30℃のTgを有する。さらに、ブロックBは10℃未満、特に<0℃のTgを有する。
【0046】
特定の態様において、ブロックPおよびそれに対称的なブロックAまたはブロックBを有するブロックコポリマーを得ることは可能であり、反応性官能基は(メタ)アクリレート鎖の末端に含まれる。
【0047】
本発明のポリマーは、好ましくは5000g/mol〜120,000g/mol、特に好ましくは80,000g/mol未満、極めて好ましくは7500g/molから50,000g/molの数平均分子量を有する。分子量分布は1.9未満、好ましくは1.7未満、特に好ましくは1.5未満であることがわかった。全ての(メタ)アクリレートブロックAおよびBの割合が、本発明のブロックコポリマーの10重量%〜80重量%、特に20重量%超、好ましくは30〜60重量%の場合が適当である。
【0048】
ATRPに続いて適当な硫黄化合物の添加により遷移金属化合物を沈殿させることができる。遷移金属配位子錯体は消失して「裸の」金属が凝結する。ポリマー溶液は、次いで、単なるろ過によって簡単に精製できる。前記の硫黄化合物は、好ましくはSH基を有する化合物である。ラジカル重合で知られている調整剤、例えばメルカプトエタノール、エチルヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンまたはチオグリコール酸が極めて好ましい。銅含量は、5ppm未満、特に1ppm未満まで減少できる。
【0049】
本発明のブロックコポリマーは、従来どおりに、有機溶媒中または水性エマルション中で調製される。重合後および処理後に所望により溶媒を除去できる。しかしながら、所望により、ポリマーの溶液が得られるようにするのが後続処理に便利であり得る。
【0050】
溶液重合に加えて、ATRPをエマルション、ミニエマルション、マイクロエマルション、懸濁またはバルク重合として行うこともできる。
【0051】
本発明のポリマーは、種々の方法でさらに処理できる。これらは、例えば接着剤、シーラント、注封材料、フォームまたはコーティング剤中の重合体主成分として使用できる。これらは、添加剤として、すなわち少量(例えば10%以下)で前記組成物に添加することもできる。それらは非架橋組成物であってよく、その場合には、特に、本発明の非反応性のブロックコポリマーも使用されるが、それらは反応性の架橋組成物であってもよい。この場合、反応基を含有するブロックコポリマーまたは非反応性のブロックコポリマーを使用することができる。これらは、例えば組成物の反応基と反応するように選択してよい。さらに、反応性の本発明のブロックコポリマーを架橋性組成物中の主な結合剤として用いることも可能である。
【0052】
ポリ(メタ)アクリレートブロックAおよびBとポリ(メタ)アクリレートとは異なるブロックPの組み合わせにより、組成物の特性に選択的に影響を与えることができる。Pを高い割合で有するブロックコポリマーを用いるのであれば、これらのポリマーの特性がより明らかに顕著になる。(メタ)アクリレートブロックを高い割合で有するポリマーを用いるのであれば、アクリレート特性がより強く顕著になる。
【0053】
ポリマーの相溶性に関する問題は、架橋性またはプラスチック物質中に本発明のポリマーを用いることにより回避できる。ブロックPとの改良された相溶性を有していれば、低相溶性のポリマーでさえ用いることができる。ポリマーPは、非架橋の状態であっても(メタ)アクリレートブロックと化学結合しているため、対応する組成物から分離し得ない。
【0054】
硬化性プラスチックまたは架橋性プラスチック組成物の広範な利用が本発明のブロックコポリマーにより可能になる。ポリマーPの選択によって、それらの特性は選択的に影響され得る。非相溶性も回避でき得る。狭い分子量分布はポリマーの粘性、したがって組成物の粘性にも影響を与えることができ、その結果、加工性を改良できることを意味する。
【0055】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、いかようにも限定するものではない。
【実施例】
【0056】
数平均または重量平均分子量、MまたはM、および分子量分布M/Mを、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)でテトラヒドロフラン中、PMMA標準を対照として測定した。
【0057】
ガラス転移温度は、DIN EN ISO 11357−1に記載されている、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。
【0058】
OH価は、DIN53240に従って測定した。
【0059】
軟化点は、DIN52011に従って測定した。
【0060】
〔ポリマー実施例1〕
990gのポリエーテルジオール(47.1のOH価で、プロピレンオキシド含量90重量%およびエチレンオキシド含量10重量%を有する)を、1リットルのトルエンに溶解し、窒素雰囲気下で0℃に冷却した。88.3gのトリエチルアミンを添加後、内部温度が10℃未満に保たれるように攪拌しながら、194.4gのブロモイソ酪酸ブロミドのトルエン(200ml)溶液を滴下した。次いで、混合物を室温で一晩攪拌した。沈殿した塩をろ去し、溶媒をロータリーエバポレーター(油浴温度120℃、2mbar圧)中で、真空下で除去した。所望の生成物1の透明な液体が得られた。
【0061】
112gの生成物1、125mlのトルエン、5.6gの銅(I)オキシドおよび13.7gのN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)を、攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素供給管および滴下漏斗を備えた反応フラスコに窒素雰囲気下で入れた。次いで、1500mlのトルエン中の1366gのBAを添加し、混合物を80℃で5時間かけて重合した。5時間の重合時間の後、平均分子量Mnを測定するためにサンプルを取り出し(Mn=34,500、Mw/Mn=1.6)、550mlのトルエン中で493gのMMAを添加した。想定した少なくとも90%の転換率まで混合物を重合させて、23.9gのn−ドデシルメルカプタンを添加することにより反応を終了させた。溶液を、シリカゲルを通してろ過により処理し、次いで揮発性成分を蒸留により除去した。次いで、平均分子量をSEC測定により測定した(Mn=41,500、Mw/Mn=1.7)。
【0062】
〔ポリマー実施例2〕
マクロ開始剤(生成物2)をポリマー実施例1に記載した方法により、77.2のOH価を有するポリエーテルジオールから調製した。
【0063】
57.2gの生成物2、60mlのトルエン、6.5gの銅(I)オキシドおよび14.0gのN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)を、攪拌装置、温度計、還流冷却器、窒素供給管および滴下漏斗を備えた反応フラスコにN雰囲気下で入れた。次いで、1400mlのトルエン中の1420gのBAを添加し、混合物を80℃で5時間かけて重合した。5時間の重合時間の後、平均分子量Mnを測定するためにサンプルを取り出し(Mn=13,400、Mw/Mn=1.7)、490mlのトルエン中で500gのMMAを添加した。想定した少なくとも90%の転換率まで混合物を重合させ、26.1gのn−ドデシルメルカプタンを添加することにより反応を終了させた。溶液を、シリカゲルを通してろ過により処理し、次いで揮発性成分を蒸留により除去した。次いで、平均分子量をSEC測定により測定した(Mn=17,000、Mw/Mn=1.6)。
【0064】
〔感圧接着剤−実施例1〕
約12,800g/molの分子量を有する、ポリマー実施例1(69.5%量)のPMMA−PBA−ポリエーテル−PBA−PMMAポリマーを、約112mgKOH/gの酸価、約82℃の軟化点および約13,400の分子量の市販のスチレン−アクリレート樹脂(30%量)および安定剤(Ciba社製Irganox1010)(0.5%量)と溶融しながら混合した。
【0065】
製剤は、ブルックフィールドサーモセルRVT IIで測定して、約3800mPa・s/170℃の溶融粘度を有する。
【0066】
混合物を、20μmの塗り厚で塗布した。
【0067】
評価は次の値を示す結果となった。
ループ接着性(FINAT試験方法no.9)8.2N(接着破壊)、
180°剥離強さ(FINAT試験方法no.1)11.4N/25mm(接着破壊)、
剪断強度(FINAT試験方法no.8)4h(凝集破壊)
【0068】
〔感圧接着剤−実施例2〕
約17,000g/molの分子量を有する、ポリマー実施例2(69.5%)のPMMA−PBA−ポリエーテル−PBA−PMMAポリマーを、約112mgKOH/gの酸価、約82℃の軟化点および約13,400の分子量の市販のスチレン−アクリレート樹脂(30%)および安定剤(Ciba社製Irganox1010)(0.5%)と溶融しながら混合した。
【0069】
製剤は、ブルックフィールドサーモセルRVT IIで測定して、約2700mPa・s/170℃の溶融粘度を有する。
【0070】
混合物を、20μmの塗り厚で塗布した。
【0071】
評価は次の値を示す結果となった。
ループ接着性(FINAT試験方法no.9)12.3N(凝集破壊)、
180°剥離強さ(FINAT試験方法no.1)11.7N/25mm(接着破壊)、
剪断強度(FINAT試験方法no.8)16h(凝集破壊)
【0072】
〔溶剤系接着剤−実施例3〕
30%の酢酸エチルに溶解させた、ポリマー実施例1(79.5%)のPMMA−PBA−ポリエーテル−PBA−PMMA、実施例1のスチレン−アクリレート樹脂(30%)および安定剤(Ciba社製Irganox1010)(0.5%)を共に混合した。
【0073】
混合物を50μmの少量で塗布し、90℃で5分乾燥させた。
【0074】
評価は次の値を示す結果となった。
ループ接着性(FINAT試験方法no.9)18.6N(接着破壊)、
180°剥離強さ(FINAT試験方法no.1)8.2N/25mm(凝集破壊)、
剪断強度(FINAT試験方法no.8)5.2h(凝集破壊)
【0075】
〔溶剤系接着剤−実施例4〕
30%の酢酸エチルに溶解させたポリマー実施例2のポリマー(99.5%)、安定剤(Ciba社製Irganox1010)(0.5%)を均一化させた。
【0076】
混合物を50μmの少量で塗布し、90℃で5分乾燥させた。
【0077】
評価は次の値を示す結果となった。
ループ接着性(FINAT試験方法no.9)5.5N(接着破壊)、
180°剥離強さ(FINAT試験方法no.1)0.9N/25mm(接着破壊)、
剪断強度(FINAT試験方法no.8)3.0h(凝集破壊)
【0078】
〔感圧接着剤−実施例5〕
ポリマー実施例1(49.5%)を、約40,000g/molの分子量を有するPMMA−PBA−シロキサン−PBA−PMMA(欧州特許出願公開第1375605(A)号の記載に従って調製)(20%)と、約112mgKOH/gの酸価および約82℃の軟化点を有するスチレン−アクリレート樹脂(30%)を、0.5%の安定剤(Ciba社製Irganox1010)と共に混合した。
【0079】
製剤は、ブルックフィールドサーモセルRVT IIで測定して、約4500mPa・s/180℃の溶融粘度を有する。
【0080】
混合物を、20μmの塗り厚で塗布した。
【0081】
評価は次の値を示す結果となった。
ループ接着性(FINAT試験方法no.9)0.6N(接着破壊)、
剪断強度(FINAT試験方法no.8)6.9h(凝集破壊)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックPおよび少なくとも1つのブロックAまたはブロックBからなるブロックコポリマーであって、
・Pは、OH、SH、RNH−置換されたポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づくポリマーブロックであり、300〜30,000g/molの数平均分子量を有し、
・Aは、(メタ)アクリレートモノマーおよび/または共重合性モノマーに基づく、Tg>10℃を有するブロックであり、
・Bは、(メタ)アクリレートモノマーおよび共重合性モノマーに基づく、Tg<10℃を有するブロックであり、
制御重合により、少なくとも1つのブロックAおよび/またはBと共有結合した開始剤ビルディングブロックとPとの共有結合によって、A、BおよびPが互いに結合されたブロックコポリマー。
【請求項2】
Pの全てのOH、SH、RNH基が、開始剤ビルディングブロックで官能化され、Aおよび/またはBブロックと通じるように反応させた、請求項1に記載のブロックコポリマー。
【請求項3】
ブロックAおよび/またはブロックBが(AB)nまたは(BA)n構造(式中、n=1〜10、特に1または2である)を有するマルチブロックである請求項1または2に記載のブロックコポリマー。
【請求項4】
ブロックAはホモポリマーまたはコポリマーであり、コポリマーの場合にはグラディエントまたはランダムポリマーの形をとる請求項1〜3のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項5】
ブロックPが、1〜10、好ましくは1〜5、特に2または3の官能価を有する請求項1〜4のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項6】
ブロックAまたはBが、それぞれ1個以上の官能基、好ましくは1〜10個のランダムに分布した官能基を有する請求項1〜5のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項7】
ポリマーの末端にあるブロックAまたはBが官能基を有する、特に末端位置に1個の官能基を有する請求項1〜6のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項8】
ブロックAが、ビニル置換の芳香族モノマーから大部分において構成される、あるいは、独占的に構成される請求項1〜7のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項9】
ブロックAおよびBがATRP重合によって調製される請求項1〜8のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項10】
ポリマービルディングブロックPが、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはテトラヒドロフランに基づいて調製されるポリエーテルジオールまたはポリエーテルトリオール、あるいは、脂肪族および/または芳香族のジカルボン酸と低分子量、特に400〜20,000g/molの分子量を有するジオールから調製されるポリエステルジオールまたはトリオールである、請求項1〜9のいずれかに記載のブロックコポリマー。
【請求項11】
OH、SH、RNH基を含有するポリマービルディングブロックをブロックPとして用い、該ポリマービルディングブロックは該OH、SH、RNH基の少なくとも1個でハロ酸誘導体と反応し、この反応生成物は、(メタ)アクリレート、スチレンおよびそれとともに共重合可能なモノマーから選択されるラジカル重合性モノマーと、ATRP反応によって重合する、請求項1〜10のいずれかに記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項12】
ブロックAおよび/またはBはマルチブロック構造を有し、該ブロックが連続的に製造される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
重合後にメルカプタンまたはチオール基含有化合物を添加することによりATRP触媒を沈殿させ、ろ過によりポリマー溶液から分離する請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
溶融接着剤、フリーフローイング接着剤、感圧接着剤、弾性シーラント、コーティング剤およびフォームを製造するための、請求項1〜10に記載のポリマーの使用。
【請求項15】
架橋性組成物、反応性の官能基を含有するブロックコポリマーにおける、請求項1〜10に記載のブロックコポリマーの使用。

【公表番号】特表2011−528739(P2011−528739A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519093(P2011−519093)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055608
【国際公開番号】WO2010/009911
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】