説明

(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の製造のための方法

本発明は、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)の製造のための新規な方法を記載しており、当該方法は、(a)(S)−(−)−5−ヒドロキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリンをアセチル化し、そのアセテートを得ること、(b)このアセテート、(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリンを2−(2−チオニル)エタノール ニトロベンゼンスルホネートと反応させること、(c)(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレンを加水分解し、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)を得ること、並びに(d)アセチル化反応及びそれに続く形成されたアセテートの加水分解により、又はロチゴチンの、塩酸塩又は臭化水素酸塩生成による塩化及びそれに続く塩基遊離のいずれかによりロチゴチンを精製すること、を含む。ロチゴチンはドーパミンアゴニストであり、パーキンソン病の治療のために必要とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(ロチゴチン)(I)を製造するための方法に関する。
【化1】

【背景技術】
【0002】
米国特許第4,654,628号には、ドーパミン作用活性を示すアルキルアミノテトラリン誘導体が記載されている。それらの化合物の中に、rac−(I):
【化2】


がある。
【0003】
米国特許第4,657,925号においてその結果が記載されている続く研究は、以下、(I)とするエナンチオマー、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトールのドーパミン作用は、そのエナンチオマー、(6R)−(+)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトールのドーパミン作用より140倍まで高いことを示している。
【0004】
米国特許第4,885,308号には、パーキンソン病の治療のための、ロチゴチンとして知られている活性成分(I)の使用が記載されている。
【0005】
それ故、該活性成分を製造するための方法の必要性がある。
【0006】
これまでrac−(I)の製造のために記載された方法−米国特許第4,654,628号及び米国特許第4,657,925号−において、最終合成工程は、対応するメチルエーテルの加水分解によるフェノール基の脱保護に依存している。その加水分解は、激しい酸条件、例えば、高温における48%HBr(J.Med.Chem.、1979年、22巻、12号、1469−1475頁)又は低温でのBBr(Pharmaceutisch Weekblad Scientific Edition、1985年、7、208−211頁)、を必要とする。チエニル基はそれらの酸条件に対してあまり安定でないという事実により、その最終合成工程において、多数の不純物が生成される。
【0007】
米国特許第6,372,920 B1号には、出発物質のアミノテトラリンに対して0.6モル比における炭酸ナトリウムの存在下で32時間の還流においてキシレン中の大過剰量の2−(2−チエニル)エタノール 4−トルエンスルホネートでの(−)−5−ヒドロキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(V)のアルキル化による(I)の製造が開示されている。著者らによると、出発物質のアミノテトラリンに対して1.9より低いモル比値でのアルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩の使用により、副生成物の生成は低減する。しかし、本願発明者らの経験によると、フェノールのO−アルキル化において、かなりの数の化合物が副生成物として生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,654,628号明細書
【特許文献2】米国特許第4,657,925号明細書
【特許文献3】米国特許第4,885,308号明細書
【特許文献4】米国特許第6,372,920 B1号明細書
【特許文献5】米国特許第5,442,117号明細書
【特許文献6】米国特許第4,127,580号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hackselら、J.Med.Chem.、1979年、22巻、12号、1469−1475頁
【非特許文献2】Pharmaceutisch Weekblad Scientific Edition、1985年、7、208−211頁
【非特許文献3】Sonesson、J.Med.Chem.、1995年、38巻
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記により、これまでに記載された(I)の製造方法のいずれも、工業的適用には満足のいくものではないと考えられる。それ故、ロチゴチン(I)の製造のための代替的な工業的方法を提供する必要がある。
【0011】
本発明は、医薬品としての使用を提供する高純度を有する化合物、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の製造のために工業的レベルで適用されることができる代替的方法を提供するという問題に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明において提供される解決手段は、本願発明者らが、線状又は分岐状のアルキルエステル又はフェニルアルキルの形態(III)における予め保護された(S)−(−)−5−ヒドロキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(V)を、一般式(IV)(式中、Lは、ハロゲン、好ましくは塩素及び臭素、並びにスルホネート、好ましくはメタンスルホネート、2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート、4−ニトロベンゼンスルホネート及び4−トルエンスルホネート、から成る群から選ばれる脱離基である)の化合物でアルキル化することにより、フェノールのO−アルキル化副反応が回避され、故に、(6S)−(−)−1−アシルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン(II)が得られることを見出したという事実に基づいている。さらに、本願発明者らは、アルキル化剤として、より緩和な反応条件の使用を容易にする、メタンスルホネート又は4−トルエンスルホネートよりも反応性であるニトロベンゼンスルホネートの特定の使用を提示する。
【0013】
続いて、緩和な条件下での(II)のエステル基の加水分解により、高純度の(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)が生成される。
【0014】
同様に、本発明により提供される他の解決手段は、本願発明者らが、該フェノールを、式、RCOClの対応するアシルクロリド及び式、(RCO)Oの対応する酸無水物から選ばれるアシル化剤でアシル化することから成る、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の精製方法により、高純度で(6S)−(−)−1−アシルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン(II)を得ることができることを見出したという事実に基づいている。その後、緩和な条件下での該エステルの加水分解により、高純度の(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)を得る。
【0015】
類似の方法において、本願発明者らにより提示された他の精製方法は、最終化合物(I)の、塩酸及び臭化水素酸から選ばれる鉱酸での塩化、続いての、このように形成された塩の任意の分離及び任意のその結晶化、並びに該塩の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩から成る群から選ばれる無機塩での処理による(I)の最終的な回収を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、医薬品としての使用を提供する高純度を有する化合物、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の製造のために工業的レベルで適用されることができる代替的方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(I)を製造するための方法、すなわち、本発明の目的、が基づく合成経路はスキーム1に示される:
【化3】

【0018】
Rは、線状又は分岐状の(C−C)−アルキル及び(C−C)−フェニルアルキルから成る群から選ばれる。
【0019】
Lは、ハロゲン、好ましくは塩素及び臭素、並びにスルホネート、好ましくはメタンスルホネート、2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート、4−ニトロベンゼンスルホネート及び4−トルエンスルホネート、から成る群から選ばれる脱離基である。
【0020】
高光学純度の化合物(V)は、文献[Hackselら、J.Med.Chem.、1979年、22(12)巻、1469−1475頁;Sonesson、J.Med.Chem.、1995年、38巻及び米国特許第5,442,117号を参照]において記載された方法のいずれかにより得られ得る。
【0021】
本願発明者らにより提示された合成経路は、単離された生成物として又はその場での反応媒体としてのいずれかのその塩(臭化水素酸塩又は塩酸塩)の形態におけるフェノール(V)の、アシル化剤[酸クロリド、RCOCl、又は酸無水物、(RCO)O)]でのO−アシル化から出発し、(−)−5−アシルオキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III)を得る。
【0022】
特定の態様において、アシル化剤は塩化アセチルであり、形成されるエステルは(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)である。
【0023】
(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン(II’)を生成するための、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩から成る群から選ばれる塩基の存在下での、かつ、アセトニトリル及びプロピオニトリルから成る群から選ばれる脂肪族ニトリル、並びにヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,5−ジメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、スチレン及びクメンから成る群から選ばれる脂肪族又は芳香族炭化水素、並びにそれらの混合物、成る群から選ばれる非プロトン性不活性溶媒中での、その混合物の沸点での、アミン、(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)の、一般式(IV)の化合物でのアルキル化反応もまた、本発明の目的である。
【0024】
特定の態様において、一般式(IV)の化合物の脱離基(L)は、2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート及び4−ニトロベンゼンスルホネートから選ばれ、溶媒はトルエンであり、塩基は重炭酸ナトリウムである。
【0025】
2−(2−チエニル)エタノール ニトロベンゼンスルホネートの製造は、米国特許第4,127,580号に開示されているように、類縁体、2−(2−チエニル)エタノール 4−トルエンスルホネートの製造について文献に記載されている方法のいずれかにより行われる。
【0026】
続いて、(II)は、次の中から選ばれる補助剤の存在下で加水分解される:
a1)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム、好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、から成る群から選ばれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、又は
a2)塩酸、臭化水素酸、硫酸及び燐酸から成る群から選ばれる鉱酸、好ましくは塩酸、を含有する水溶液。
該加水分解は、水、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから成る群から選ばれる4以下の炭素原子を有する脂肪族アルコール並びにそれらの混合物、好ましくは水、メタノール及びエタノール並びにそれらの混合物、により構成される媒体中で、される。
【0027】
次の中から選ばれる、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の精製方法もまた、本発明の目的である:
a)(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)のアシル化、そのエステル(II)の単離、そして最終的な加水分解。特定の態様において、アシル化剤は塩化アセチルであり、(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩(II’・HCl)が得られ、続いて加水分解し、高純度を有する(I)を得る。並びに、
b)最終化合物(I)の塩化、再結晶され得る形成塩の単離、及び無機塩基での処理による塩の遊離。特定の態様では、形成塩は塩酸塩であり、続いての塩基の遊離は水/酢酸エチル二相性混合物中の炭酸カリウムを用いて行われる。
【実施例】
【0028】
下記の実施例は本発明を例示するために付加的に与えられるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0029】
例1
(−)−5−ヒドロキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(V)からの(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)の製造
9.6gの(−)−5−ヒドロキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(V)を80mlの酢酸に溶解した。その後、その混合物を35〜40℃に加熱し、9.8mlの33%HBrを酢酸に添加し(1.2当量)、この温度で30分間保持した。その後、その混合物を45〜50℃に加熱し、4.5mlの塩化アセチル(1.35当量)を添加し、この温度で6時間保持した。その後、30mlのトルエンを添加し、その混合物を15〜18℃にゆっくりと冷却した。この温度を2時間維持した。その懸濁液を濾別し、得られた固体を加熱乾燥した。13.8gの(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン臭化水素酸塩、(III’)・HBr、を得た(90%の収率)。
【0030】
融点(DSCピーク): 282.48℃
【0031】
IR(cm−1, KBr): 3434, 2942, 2814, 2787, 1757, 1459, 1451, 1221, 1035
【0032】
H−NMR(dmso−d) δ: 0.91 (t, 3H, NH−CH−CH−CH), 1.61 (m, 3H, NH−CH−CH−CH y NH−CH−CH−CH−C), 2.22 (m, 1H, NH−CH−CH−CH−C), 2.25 (s, 1H, OCH), 2.40−2.52 (m, 1H), 2.69−2.75 (dq, 1H), 2.79−2.86 (dd, 1H), 2.95 (t, 2H, NH−CH−CH−CH), 3.21 (dd, 1H), 3.54 (m, 1H), 6.90 (d, 1H, Ar−H), 7.03 (d, 1H, Ar−H), 7.18 (t, 1H, Ar−H)
【0033】
塩基を遊離させ、(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)を得るために、攪拌下で、13.6gの(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン臭化水素酸塩、(III’)・HBr、を70mlのトルエン及び140mlの10%のKCOの混合物に懸濁させた。その二相性混合物を35℃に30分間加熱した。層を分離し、水(30ml)で洗浄した。有機層を溶媒が除去されるまで濃縮した。10g(98%の収率)の(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)を油として得た。
【0034】
IR(cm−1, NaCl): 3319, 3067, 3026, 2931, 1763, 1581, 1459, 1369, 1202, 1024
【0035】
H−NMR(CDCl) δ: 0.89 (t, 3H, NH−CH−CH−CH), 1.19 (s ancho, 1H, NH), 1.51 (m, 3H, NH−CH−CH−CH y NH−CH−CH−CH−C), 2.03 (m, 1H, NH−CH−CH−CH−C), 2.27 (s, 3H, OCOCH), 2.48−2.60 (m, 2H, NH−CH−CH−CH−C y NH−CH−CH−C), 2.64 (t, 2H, NH−CH−CH−CH), 2.74 (dt, 1H, NH−CH−CH−CH−C), 2.88 (m, 1H, NH−CH), 3.02 (dd, 1H, NH−CH−CH−C), 6.81 (d, 1H, Ar−H), 6.95 (d, 1H, Ar−H), 7.10 (t, 1H, Ar−H)
【0036】
例2
(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)からの(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩、(II’)・HCl、の製造
10gの例1で得られた(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)を60mlのトルエン中で、9gのNaHCO(2.2当量)及び16gの2−(2−チエニル)エタノール 2−ニトロベンゼンスルホネート(1.05当量)と混合した。その混合物を還流下で11時間、加熱した。還流後、その混合物を80℃に冷却し、80mlの10%KCOを添加した。層を分離し、有機層を40mlの5%NaHCOで、その後、40mlの水で洗浄した。有機層を、油が得られるまで蒸留により濃縮した。その生成物を、酢酸エチルでの再溶解及びイソプロパノール中のHClの添加により、その塩酸塩に変換した。生成された固体を濾過により回収し、乾燥させた。12.7gの(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩を白色固体として得た(80%の収率)。
【0037】
融点(DSCピーク): 146.62℃
【0038】
IR(cm−1, KBr): 3445, 3050, 2968, 2938, 2431, 1764, 1462, 1201
【0039】
H−NMR(CDCl) δ: 1.00 (t, 3H), 1.88−2.06 (m, 3H), 2.28 (s, 3H, OCOCH), 2.61 (m, 2H), 2.87−3.67 (m, 10H), 6.88 (d, 1H, Ar−H), 6.92 (dd, 2H, Ar−H), 7.00 (dd, 1H, Ar−H), 7.16 (m, 2H, Ar−H), 12.31 (s, 1H, NH)
【0040】
例3
(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩、(II’)・HCl、からの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の製造
6gの例2で得られた(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩、(II’)・HCl、を30mlのメタノール及び30mlの水に溶解させた。その後、室温において、10MのNaOHの溶液をpHが13になるまで添加した。その混合物を攪拌下で3時間保持し、その後、メタノール中で蒸留し、6MのHClでpHが7.5になるまで中和した。その生成物を24mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を12mlの水で洗浄し、その後、溶媒の蒸留除去により濃縮した。4gの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトールを白色固体として得た(85%の収率)
【0041】
融点(DSCピーク): 78.94℃
【0042】
IR(cm−1, KBr): 3500, 3098, 3065, 2969, 2932, 1585, 1465, 1281, 775, 701
【0043】
H NMR(CDCl) δ: 0.89 (t, 3H, N−CH2−CH−CH); 1.51 (sextuplete, 2H, N−CH−CH−CH); 1.58 (ddd, 1H, N−CH−CH−CH−C); 2.10 (ddd, 1H, N−CH−CH−CH−C); 2.55 (t, 2H, N−CH2−CH−CH); 2.47−2.60 (m, 1H, C−CH−CHN); 2.67−2.87 (m, 4H, N−CH−CH−CH−C y N−CH−CH−tiofeno); 2.90 (m, 1H, C−CH−CHN); 2.92−3.01 (m, 3H, C−CH−CHN y N−CH−CH−tiofeno); 4.83 (s, 1H, OH); 6.57 (d, 1H, Ar−H); 6.67 (d, 1H, Ar−H); 6.80 (d, 1H, Ar−H); 6.90 (dd, 1H, Ar−H); 6.97 (t, 1H, Ar−H); 7.10 (d, 1H, Ar−H)
【0044】
例4
ロチゴチンの精製方法
a)アセテート形成及びそれに続く加水分解
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)からの(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩、(II’)・HCl、の製造
5gの例2で得られた(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(HPLCによる99.53%純度)を室温下で50mlの酢酸に溶解した。その後、その混合物を45〜50℃に加熱し、1.56ml(1.4当量)の塩化アセチルを添加した。その混合物を攪拌下で7時間、この温度に保持し、その後、50mlのトルエンを添加した。その混合物を、油が生成されるまで、真空下で濃縮した。25mlの酢酸エチルの添加により、(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩を沈殿させた。その混合物を濾別し、固体を乾燥させた。得られた固体の重量は4.3g(87%の収率)であり、HPLC純度は99.75%であった。
【0045】
(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩、(II’)・HClからの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の製造
例3におけるのと同様に、4gの(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン塩酸塩を加水分解し、99.87%のHPLC純度で白色固体として2.88gの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトールを得た(90%の収率)。
【0046】
b)塩化及びそれに続く塩基遊離
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)からの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール塩酸塩、(I)・HCl、の製造
1gの例3で得られた(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)(HPLCによる96.58%純度)を室温において8mlの酢酸エチルに溶解した。その後、イソプロパノール中の2.5MのHCl溶液を1.5ml添加した。その混合物を0〜5℃に3時間冷却し、白色固体を沈殿させた。その混合物を濾別し、1gの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール塩酸塩を得た(90%の収率)。その生成物をHPLCにより分析し、その純度は98.58%であった。
【0047】
融点(DSCピーク): 119.20℃
【0048】
IR(cm−1, KBr): 3237, 2948, 2631, 1733, 1589, 1466, 1279, 773
【0049】
塩基を遊離させ、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)を得るために、1gの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール塩酸塩、(I)・HCl、を5mlの水及び5mlの酢酸エチルの二相性混合物に懸濁させた。その混合物をpHが7.5になるまで炭酸カリウムで中和した。層を分離し、有機層を3mlの水で洗浄し、その後、溶媒の蒸留除去により濃縮し、0.8gの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトールを99.0%のHPLC純度で白色固体として得た(90%の収率)。
【0050】
例5
(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)からの(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン臭化水素酸塩、(II’)・HBr、の製造
15gの例1で得られた(−)−5−アセトキシ−N−n−プロピル−2−アミノテトラリン(III’)を、120mlの酢酸イソプロピル中で、20.4gのNaHCO(4当量)及び24.8gの2−(2−チエニル)エタノール 2−ニトロベンゼンスルホネート(1.3当量)と混合した。その混合物を還流下で15時間、加熱した。還流後、その混合物を30〜35℃に冷却し、その塩を濾別した。その濾液に、30mlの脱イオン水を添加し、希釈したNaOHでpHを12.5に調整した。層を分離し、有機層を水で洗浄した。有機層に、10mlのイソプロパノール及び10.3gの水性48%HBrを添加した。生成された固体を濾過により回収し、乾燥させた。23.4gの(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン臭化水素酸塩を白色固体として得た(87%の収率)。
【0051】
H−NMR(CDCl) δ: 1.01 (t, 3H), 1.90−2.15 (m, 3H), 2.28 (s, 3H, OCOCH), 2.64 (m, 2H), 2.88−3.70 (m, 10H), 6.92 (d, 1H, Ar−H), 6.96 (dd, 2H, Ar−H), 7.04 (dd, 1H, Ar−H), 7.20 (m, 2H, Ar−H), 11.57 (s, 1H, NH).
【0052】
IR(cm−1, KBr): 3435, 3052, 2962, 2940, 2611, 1763, 1462, 1201, 1031, 734
【0053】
例6
(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン臭化水素酸塩、(II’)・HBr、からの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の製造
3gの例5で得られた(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン臭化水酸塩、(II’)・HBr、を24mlのメタノールに溶解した。その後、室温において1.3gの50%NaOH(2.3当量)溶液を添加した。その混合物を攪拌下で3時間保持した。メタノールを蒸留除去した後、24mlの酢酸イソプロピルを添加し、その混合物をpHが7.5になるまで6MのHClで中和した。その有機層を12mlの水で洗浄し、溶媒の蒸留除去により濃縮した。メチルシクロヘキサン及びn−ヘプタンの添加の後、白色固体が沈殿した。その固体を乾燥させ、1.9g(87%の収率)の、例3において得られた生成物の特性と同じ特性を有する、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)と同定された生成物を得た。
【0054】
例7
(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン臭化水素酸塩、(II’)・HBr、からの(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)の製造
5.0gの例2で得られた(6S)−(−)−1−アセトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフタレン臭化水素酸塩、(II’)・HBr、を15mlのメタノールに溶解した。その後、2.0gの50%NaOH(2.2当量)溶液を添加した。その混合物を室温において攪拌下で3時間保持した。その後、5mlのメタノール及び50mlの脱イオン水を徐々に添加した。白色の沈殿物が現れた。その反応混合物を0〜5℃において1時間、冷却した。固体を濾過により回収し、乾燥させた。3.38g(94%の収率)の、(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I)と同定される生成物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I):
【化1】


の製造のための方法であって、
a)溶媒中で、補助剤の存在下での、化合物(II):
【化2】


の加水分解であって、式中、Rは線状又は分岐状(C−C)アルキル及び線状又は分岐状(C−C)フェニルアルキルから成る群から選ばれ、
補助剤は、
a1)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム、好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、から成る群から選ばれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、並びに、
a2)塩酸、臭化水素酸、硫酸及び燐酸から成る群から選ばれる鉱酸、好ましくは塩酸、を含有する水溶液、
から選ばれ、
溶媒は、水、脂肪族アルコール−それは、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから成る群から選ばれる4以下の炭素原子を有する−、及びそれらの混合物、好ましくは水、メタノール及びエタノール並びにそれらの混合物、で構成される、
加水分解、並びに、
b)任意の精製であって、
b1)アシル化剤での最終化合物(I)のアシル化であって、アシル化剤は、対応する式RCOClのアシルクロリド、及び対応する式(RCO)Oの酸無水物から選ばれ、式中、Rは上と同じ意味を有する、アシル化、続いて、このように形成されたエステル(II)の分離、並びに工程a)に従う最終的な加水分解、並びに、
b2)塩酸及び臭素水素酸から選ばれる鉱酸での最終化合物(I)の塩化、続いて、このように形成された塩の分離、並びに任意のその結晶化、並びにその塩の無機塩基での処理による(I)の最終的な回収であって、無機塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウム、から成る群から選ばれる、回収、
から選ばれる、精製、
の工程を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、化合物(II)の製造が、化合物(III):
【化3】


の、化合物(IV):
【化4】


による、塩基の存在下での、及び非プロトン性の溶媒中での、その混合物の沸点での、アルキル化を含み、
式中Rは上と同じ意味を有し、
式中Lは、ハロゲン、好ましくは塩素及び臭素、並びにスルホネート、好ましくはメタンスルホネート、2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート、4−ニトロベンゼンスルホネート及び4−トルエンスルホネート、から成る群から選ばれる脱離基であり、
塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウム、から成る群から選ばれ、
溶媒は、アセトニトリル及びプロピオニトリルから成る群から選ばれる脂肪族ニトリル、並びにヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,5−ジメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、スチレン及びクメンから成る群から選ばれる脂肪族又は芳香族炭化水素、並びにそれらの混合物、から成る群から選ばれる、
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、Lが2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート及び4−ニトロベンゼンスルホネートから選ばれ、無機塩基がアルカリ金属重炭酸塩、好ましくは重炭酸ナトリウムであり、溶媒がトルエンである、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、中間体(III)の製造が、臭化水素酸及び塩酸から成る群から選ばれる鉱酸での塩としての化合物(V):
【化5】


の、アシル化剤でのアシル化を含み、アシル化剤は、対応する式RCOClのアシルクロリド及び対応する式(RCO)Oの酸無水物から選ばれ、式中Rは上と同じ意味を有する、
方法。
【請求項5】
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I):
【化6】


の製造のための方法であって、
a)溶媒中で、補助剤の存在下での、化合物(II’):
【化7】


の加水分解であって、
補助剤は、
a1)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム、好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、から成る群から選ばれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、並びに、
a2)塩酸、臭化水素酸、硫酸及び燐酸から成る群から選ばれる鉱酸、好ましくは塩酸、を含有する水溶液、
から選ばれ、
溶媒は、水、脂肪族アルコール−それは、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから成る群から選ばれる4以下の炭素原子を有する−、及びそれらの混合物、好ましくは水、メタノール及びエタノール並びにそれらの混合物、で構成される、
加水分解、並びに、
b)任意の精製であって、
b1)アセチルクロリド及び酢酸無水物から選ばれるアシル化剤での最終化合物(I)のアシル化、続いて、このように形成されたエステル(II’)の分離、並びに工程a)に従う最終的な加水分解、並びに、
b2)塩酸及び臭素水素酸から選ばれる鉱酸での最終化合物(I)の塩化、続いて、このように形成された塩の任意の分離、並びに任意のその結晶化、並びにその塩の無機塩基での処理による(I)の最終的な回収であって、無機塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウム、から成る群から選ばれる、回収、
から選ばれる、精製、
を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、化合物(II)の製造が、化合物(III’):
【化8】


の、一般式(IV):
【化9】


の化合物による、塩基の存在下での、及び非プロトン性の溶媒中での、その混合物の沸点での、アルキル化を含み、
式中Lは、ハロゲン、好ましくは塩素及び臭素、並びにスルホネート、好ましくはメタンスルホネート、2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート、4−ニトロベンゼンスルホネート及び4−トルエンスルホネート、から成る群から選ばれる脱離基であり、
塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウム、から成る群から選ばれ、
溶媒は、アセトニトリル及びプロピオニトリルから成る群から選ばれる脂肪族ニトリル、並びにヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,5−ジメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、スチレン及びクメンから成る群から選ばれる脂肪族又は芳香族炭化水素、並びにそれらの混合物、から成る群から選ばれる、
方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、Lが2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート及び4−ニトロベンゼンスルホネートから選ばれ、無機塩基がアルカリ金属重炭酸塩、好ましくは重炭酸ナトリウムであり、溶媒がトルエンである、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、中間体(III’)の製造が、臭化水素酸及び塩酸から成る群から選ばれる鉱酸での塩としての化合物(V):
【化10】


の、アシル化剤でのアシル化を含み、アシル化剤は、アセチルクロリド及び酢酸無水物の間から選ばれる、
方法。
【請求項9】
(6S)−(−)−5,6,7,8−テトラヒドロ−6−[プロピル−(2−チエニル)エチル]アミノ−1−ナフトール(I):
【化11】


の製造のための方法であって、
a)臭化水素酸及び塩酸から成る群から選ばれる鉱酸での塩としての化合物(V):
【化12】


の、アシル化剤でのアシル化であって、アシル化剤は、対応する式RCOClのアシルクロリド、及び対応する式(RCO)Oの酸無水物から選ばれ、式中、Rは線状又は分岐状(C−C)アルキル及び線状又は分岐状(C−C)フェニルアルキルから成る群から選ばれ、好ましくはメチルである、
アシル化、
b)生じる化合物(III):
【化13】


の、一般式(IV):
【化14】


の化合物による、鉱物塩基(mineral base)の存在下での、及び非プロトン性の溶媒中での、その混合物の沸点での、アルキル化であって、
式中Rは上と同じ意味を有し、
式中Lは、ハロゲン、好ましくは塩素及び臭素、並びにスルホネート、好ましくはメタンスルホネート、2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート、4−ニトロベンゼンスルホネート及び4−トルエンスルホネート、から成る群から選ばれる脱離基であり、
鉱物塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウム、から成る群から選ばれ、
溶媒は、アセトニトリル及びプロピオニトリルから成る群から選ばれる脂肪族ニトリル、並びにヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,5−ジメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、スチレン及びクメンから成る群から選ばれる脂肪族又は芳香族炭化水素、並びにそれらの混合物、から成る群から選ばれる、
アルキル化、
c)溶媒中で、補助剤の存在下での、生じる化合物(II):
【化15】


の加水分解であって、式中Rは上と同じ意味を有し、
補助剤は、
c1)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウム、好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、から成る群から選ばれるアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、並びに、
c2)塩酸、臭化水素酸、硫酸及び燐酸から成る群から選ばれる鉱酸、好ましくは塩酸、を含有する水溶液、
から選ばれ、
溶媒は、水、脂肪族アルコール−それは、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールから成る群から選ばれる4以下の炭素原子を有する−、及びそれらの混合物、好ましくは水、メタノール及びエタノール並びにそれらの混合物、で構成される、
加水分解、並びに、
d)任意の精製であって、
d1)アシル化剤での最終化合物(I)のアシル化であって、アシル化剤は、対応する式RCOClのアシルクロリド、及び対応する式(RCO)Oの酸無水物から選ばれ、式中、Rは上と同じ意味を有する、アシル化、続いて、このように形成されたエステル(II)の分離、並びに工程c)に従う最終的な加水分解、並びに、
d2)塩酸及び臭素水素酸から選ばれる鉱酸での最終化合物(I)の塩化、続いて、このように形成された塩の分離、並びに任意のその結晶化、並びにその塩の無機塩基での処理による(I)の最終的な回収であって、無機塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩及び重炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウム、から成る群から選ばれる、回収、
から選ばれる、精製、
の工程を含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、Lが2−ニトロベンゼンスルホネート、3−ニトロベンゼンスルホネート及び4−ニトロベンゼンスルホネートから選ばれ、無機塩基がアルカリ金属重炭酸塩、好ましくは重炭酸ナトリウムであり、溶媒がトルエンである、方法。

【公表番号】特表2012−511538(P2012−511538A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540060(P2011−540060)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066662
【国際公開番号】WO2010/066755
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508036488)インテルキム、ソシエダッド アノニマ (6)
【Fターム(参考)】