説明

1−ビニルピロリジン−2−オン/エステル共重合体

本発明は、ポリビニルピロリドンのセグメント”A”と、ポリエステルのセグメントBとを有するセグメント共重合体並びにこのセグメント共重合体の調製方法及びその利用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−ビニルピロリジン−2−オン/エステル共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
薄層、ニードル状、マイクロスフェア及びナノスフェアの形態の生物分解性ポリマーに基づいた制御された薬物放出システムは、使用の容易性及び薬物の枯渇後の移植の問題が消失することを理由に、より重要となっている。この点、そのマトリックスは、特定の時間の経過後、通常の排出経路を介した体部からの連続した完全な消失を伴った、消失可能で非毒性の生体の生成物へと分解するように、設計され得る。
【0003】
この技術は、投与されると体内で極度に短い平均寿命を有するような治療的な効果が大きいペプチドやタンパク質に主として使用され、これにより実用的に適用可能な範囲に影響を及ぼす。
【0004】
しかしながら、これらのタンパク性の薬物のうち、制御された放出システムに導入されると、優れた効果を発揮する薬物が多く存在し、従って、生体内において消失率を一定にするような制御された薬物動態で放出することが確実となり、従って、長期間に渡って体液中で適切な濃度が維持されることとなる。
【0005】
制御された放出システムに最も頻繁に使用される生物分解性ポリマーは、特に重要なグリコール酸と乳酸との共重合体のうち、現在PLGAとして公知のポリマーをベースとしたものである。PLGA、ポリカーボネート、酸無水物、ポリオルトエステル(polyorthoester)等と異なり、ポリエステルは、それほど考慮されていない。
【0006】
タンパク性の薬物を導入した生物分解性の制御された放出システムにおいてしばしば現存する一つの問題として、化学的又は物理的相互作用を示さないかこれらの作用をほとんど示さない、導入されるマトリックスに対する薬物の親和性の低さが挙げられる。このことにより、マトリックス中での均一な分散性能が困難となり、薬物放出動態が不規則になる。特に、生物分解性デバイスの本体(body)に取り込まれた後薬物の一部が実質的に急速に放出されるという「アウトバースト(out−burst)」と称される現象が発生する。
【0007】
アウトバーストは、2つの方法で障害を与える。その一つとしては、急速に脱離することにより急速に消失するので、経時的に適切な治療レベルを維持するように、実質的な薬物の一部が消失する。他方、生体に相対的に実質的なレベルの薬物が急速に取り込まれることにより、所望しない副作用が惹起される可能性がある。
【0008】
アウトバースト現象は、マトリックスに非常に適合されたもの(混和性)ではない薬物の一部が、デバイス内に均一に分散されずにデバイスの表面近傍に蓄積し急速に表面近傍から脱離することによるものである。ペプチド性又はタンパク性の薬物とより高い親和性を有しつつ、生体で消失可能で完全に非毒性の生産物に変化する新規の生体分解性マトリックスを検索する必要性が未だ現存する。
【0009】
公知であるポリ−N−ビニルピロリドン又はポリビニルピロリドン(以下、PVPと称する。)が多くの物質と複合体を形成し且つPVPが非毒性であることは、周知である。この特性故、このポリマーは、外的又は経口用に、多くの食品や医薬品に原料として広く知られている。
【0010】
このポリマーは、以下の式を有することを特に特徴とする。
【0011】
【化1】

【0012】
高分子量のPVPは、過去に、全身的な使用を目的として広く使用されていた。
【0013】
しかしながら、このポリマーが生物分解性を有さないことが発見され、高分子量(つまり、腎臓での濾過閾値以上(PVPの分子量で40,000以上))である場合、消失されず、種々の毒性を発揮することとなり体部に残存することが発見されたため、高分子量のPVPの使用は中止された。
【0014】
しかしながら、近年、腎臓での消失閾値以下の分子量である1,000〜10,000で、一つのカルボキシ末端(メチルエステル又はエチルエステル体)を有し、或いは水酸基を有する、PVPオリゴマーの合成方法が確立された(非特許文献1乃至3)。
【0015】
これらの共重合体は、特に以下の式を有することを特に特徴とする。
【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

【0018】
加えて、ラクトン基は、同様の技術を用いて、導入されてもいる(非特許文献4)。
【非特許文献1】F.M.Veronese、L.Sartore、P.Caliceti、O.Schiavon、E.Ranucci、P.Ferruti著、J.Bioact.Compat.Polym.、1990年、5巻、p.167
【非特許文献2】P.Caliceti、O.Schiavon、F.M.Veronese、L.Sartore、E.Ranucci、R.Ferruti著、J.Bioact.Compat.Polym.、1995年、10巻、p.103
【非特許文献3】E.Ranucci、G.Spagnoli、F.Bignotti、L.Sartore、P.Ferruti、P.Caliceti、O.Schiavon、F.M.Veronese著、Macromol.Chem.Phys.、1995年、196巻、p.763
【非特許文献4】M.Tarabic、E.Ranucci著、Macromol.Biosci.、2001年、1巻、p.126
【非特許文献5】G.Odian著、“Principles of Polymerization”、1991年、3版、John Wiley & Sons
【非特許文献6】E.Ranucci、M.Tarabic、M.Gilberti、A.−C.Albertsson著、Macromol.Chem.Phys.、2001年、1219巻、p.201
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本願の一態様では、PVPの短鎖を導入して改変したポリエステル型の生物分解性且つ生体で完全に消失可能なポリマーを有し、従来の種々の薬物又はタンパク性薬物と高い親和性を確保するものに関する。特に、本発明は、PVPオリゴマーがエステル結合で架橋されたポリエステルに関する。なお、このポリエステルは、生体内で完全に溶解する。これにより、ひとたび体内に導入されると、この新規の材料は、経時的に単純な酸とアルコールとに変換され、且つ出発物質であるPVPオリゴマーに変換され、これらが簡単に生体で消失可能で、完全な生物分解性を示す。
【0020】
本発明は、この共重合体及びこれを有する組成物の調製方法にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
従って、本発明は、ポリビニルピロリドン(PVP)構造のセグメント”A”と、ポリエステル構造のセグメント”B”とを有するセグメント共重合体を提供する。
【0022】
この共重合体は、PVP−COO−(R−COO)H型の構造を有するA−Bタイプの2つのブロックにおいて直鎖の共重合体の形態で例示される種々の配列と想定され、nは、5〜500であり、好ましくは15〜50であり、Rは、炭素数1〜12、好ましくは1〜6の直鎖又は分岐炭化水素鎖である。また、この共重合体は、PVP−(OOC−ROH構造を有し、nは、5〜500であり、好ましくは15〜50であり、Rは、炭素数1〜12、好ましくは1〜6の直鎖又は分岐炭化水素鎖である。
【0023】
代替的に、本発明による共重合体は、PVP−COO−(R−OOCRCOO)−R−OOC−PVPの構造式を有するA−B−A型の3つのブロックの直鎖型であってもよく、ここで、nは、5〜300、好ましくは10〜100であり、R及びRは、独立に、炭素数1〜25、好ましくは1〜8の直鎖又は分岐の炭化水素鎖である。また、本発明による共重合体は、PVP−(OOC−R−COOROOCRCOO−PVPの構造式を有するものであってもよく、ここで、nは、5〜300、好ましくは10〜100であり、R及びRは、上述と同様の炭化水素鎖である。
【0024】
本発明による共重合体は、分岐鎖の端部に配置されたセグメントが分岐又は高度に分岐されてもよい。この種の共重合体の概略図又は例示図は、図1に示した通りであって、Aは、ポリビニルピロリドンであり、Dは、ポリカルボン酸又はポリオール由来の残基であり、この水酸基又はカルボキシル基は、少なくとも3個であり、(BC)は、Bポリエステルセグメントの繰り返し単位を示し、nは、2〜200である。この分岐鎖の端部には、モノカルボン酸R−COOH又は単一の水酸基を有するR−OH(Rは、炭素数1〜25、好ましくは1〜8の直鎖又は分岐炭化水素鎖)型のアルコールに由来のPVPセグメント又は残基のいずれかが配置されてもよい。この種類の共重合体の概略図又は例示図は、図2に示す通りであって、Aは、ポリビニルピロリドン鎖であり、Dは、ポリカルボン酸又はポリオール由来の残基であり、この水酸基又はカルボキシル基は、少なくとも3個であり、(BC)は、Bポリエステルセグメントの繰り返し単位を示し、nは、2〜200であり、Eは、単機能性アルコールの残基である。
【0025】
また、分岐鎖の端部には、ジカルボン酸であるHOOC−R−COOH又はジヒドロキシアルコールであるHO−R−OH由来のPVPセグメント又は残基が配置されてもよく、ここで、Rは、上述の直鎖又は分岐炭化水素鎖である。
【0026】
この分岐部位は、3〜12個、好ましくは3〜6個の置換基(それぞれ、水酸基又はカルボキシル基)を有するポリオール又はポリカルボン酸残基から好ましくなる。
【0027】
分岐部位の数と、ポリエステルフラグメントの数とのモル比は、0.01〜2、好ましくは0.1〜1.5であり、分岐部位の数と、PVPフラグメントの数とのモル比は、0.01〜100、好ましくは0.1〜10である。
【0028】
所望であれば、本発明による共重合体は、上記の分岐又は高度に分岐した状態が上記の各鎖の特定の数の接続を形成することにより、架橋されてもよく、これにより、不溶解性とする。
【0029】
最後に、本発明による共重合体は、ポリエステル鎖の一つの端部に櫛状にグラフトされた(comb−grafted)PVPセグメントを有してもよい。
【0030】
本発明による共重合体は、600〜15,000、好ましくは1,000〜6,000の分子量で、重量比が5〜95%、好ましくは10〜50%のPVPセグメントを好ましく有する。
【0031】
この共重合体の平均分子量は、10,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜200,000である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明による共重合体は、公知の方法で調製すればよい。例えば、調製方法は、水酸化又はカルボキシル化PVPを用いて、単機能性化合物のモノマー混合物に導入することによる従来の多機能性重縮合工程を改変することからなり、特に、PVPオリゴマーは、上述の通り、その一端部で機能化される。
【0033】
この工程の基礎となる理論的考察は、以下の通りである。
【0034】
例えば二酸及びジオールなどの相補的な置換基a及びbを有するモノマーを包含する重縮合において、反応の進行を決定する(govern)2つのパラメーターを定義し得る。その一つとしては、これら2つの置換基間の初期の二段燃焼率(initial stoichiometric ratio)(rと表記)があり、ここで、慣例により、欠陥置換基(deficiency function)をaと表記し、これは、分子として配置されている。
【0035】
r=Na0/Nb0
【0036】
ここで、下付文字”0”は、初期状態に関連するものであることを示す。rは、定義により、1以下である。
【0037】
その他のパラメーターとしては、反応の範囲(extent of reaction)(pと表記)が挙げられ、これは、欠陥置換基から算出され、以下の通り定義される。
【0038】
p=Na0−Na0/Na0
【0039】
ここで、Nは、観測時に存在する置換基aの数を示す。従って、パラメーターpは、定義により、1以下である。
【0040】
2以上の置換基を有するモノマーを全体的又は部分的に包含する重縮合は、”反応の臨界的な範囲”(pと表記)として公知の特定のp値以上で、架橋反応及び不溶性の生成物を生じさせ得る。この反応の範囲以上で、反応系は、流動性を失い、従って、pは、「ゲル化点(gelation point)」とも称される。
【0041】
ゲル化点に対応する反応の臨界的な範囲pcは、Flory及びStockmayerの式として、以下の通り与えられる。
【0042】
【数3】

【0043】
ここで、ρは、2以上の置換基を有するモノマー(a)に属する置換基aの画分(fraction)の、同種類の全置換基(a)に対する割合を示し、以下の通り定義される。
【0044】
【数4】

【0045】
また、rは、上述した通り、初期の二段燃焼率であって、多数の置換基を有するかどうかに拘わらず、より少ない置換基を分子として配置することで通常算出されるものである。
【0046】
式(1)において、p(及びp)並びにrは、共に共通である。特に、臨界的な二段燃焼率rは、反応系がゲル化し得る以上で存在し、反応系がゲル化し得ない以下では存在しない。p値の如何にかかわらずr<rでは、分岐して架橋していないポリマーが得られ、従って、原則として、適切な溶媒中で混和性と溶解性とを示す。
【0047】
値は、理論的には、pに1を代入して得られる。この点、定義によると、p(及びp)が1を越える場合には、与えられない。従って、p=1を代入して、rに関して式(1)を解くと、以下の通りとなる。
【0048】
【数5】

【0049】
またρ=1である場合、つまり、多機能性モノマーがその種類の置換基を有するただ一つのものである場合、式(3)は、以下の通りに変形される。
【0050】
【数6】

【0051】
式(1)は、単機能性化合物が存在する場合には、適用しないことを認識されるべきである。これらの系に関し、単機能性化合物が存在する場合にも有効な代替的な式について、以下の通り述べる。
【0052】
【数7】

【0053】
ここで、fwA及びfwBは、単機能性置換基を有する、存在するモノマーの置換基の「重量(weight)」平均であって、以下の通り、定義される。
【0054】
【数8】

【0055】
Aj及びfBjは、タイプ”A”及びタイプ”B”の各モノマーの置換基を示し、NAj及びNBjは、反応系におけるそれぞれのモル数を示す(非特許文献5参照)。
【0056】
この場合、反応系がゲル化する以上で臨界値rを定義し得、反応系がゲル化し得ない以下では、定義し得ない。これは、pに1を代入して、以下の通り、決定され得る。
【0057】
【数9】

【0058】
本発明の一態様は、単機能性のPVPオリゴマーから出発して、反応の最大範囲において、高度に分岐しているが架橋されておらず依然として混和性と溶解とを有するか、或いは事実上架橋されているPVPで改変された重縮合反応に関する。
【0059】
この結果は、この目的で単機能性化合物(必要ではないが排他的でなく、PVPオリゴマー端部で機能性化されているもの)を多機能性重縮合系(例えば、排他的でなく、多機能性ポリエステル化反応など)に用いて式(6)で定義したrよりもr値がそれぞれ低く、或いは高くなるように、試薬を適切に測定して、得られる。
【0060】
これらの系において、本発明の目的で、水酸基又はカルボキシル基(また、メチル又はエチルエステルの形態)でその端部が機能性化されたPVPオリゴマーは、単機能性コモノマー(マクロモノマー)として使用され、ジオール又はジカルボン酸は、二機能性コモノマーとして使用され、且つ、ポリオール又はポリカルボン酸は、多機能性コモノマーとして使用される。
【0061】
この技術により、生成物は、高度に分岐された分子構造を有するポリエステル−PVPブロック共重合体の性質を有するようになり、これにより、ポリビニルピロリドン構造のセグメントは、これらを「閉鎖(closing)」するように、分岐鎖の端部に配置される。
【0062】
従って、端部が単機能性化されたPVPオリゴマーから出発して、分子当たり多くのPVPセグメントを有しつつ、同様のオリゴマーからジオールやジカルボン酸を含む従来の線形重縮合において一本のポリマー鎖当たり2つのPVPセグメントのみが導入され得る共重合体を得ることが可能となる。
【0063】
単機能性PVPオリゴマーの次に、コモノマーとしてモノ酸及びモノアルコールを導入することにより、いくつかの分岐鎖の終端は、残基を有し、いくつかは、PVPセグメントとなる。このことは、生成物のPVPの重量が広範な限度で変化し得ることを意味する。
【0064】
この技術に関して、溶解性と混和性とを有しつつ、非常に大きな分子量を有する生成物が容易に得られる。これは、モノマー間の初期のモル比が臨界比rを越えることなくこの比率に近づくことにより、得られる。
【0065】
また、PVPにより水中で不溶性であり膨潤性を有する架橋生成物は、モノマー間の初期のモル比が臨界比rを越えることにより、得られる。
【0066】
特に、分岐鎖の端部に配置されたPVPセグメントを有する分岐又は高度に分岐された共重合体は、以下の比率の混合物の重縮合により、調製される。
【0067】
つまり、
a)任意でメチル体又はエチルエステル体の、水酸基又はカルボキシル基で端部を単機能性化されたPVPと;
b)ジカルボン酸及びジオールと;
c)以下のi)及びii)を条件とした、少なくとも3個の水酸基又はカルボキシル基を有するポリオール又はポリカルボン酸と;
である。
【0068】
i)上記の共重合体が架橋されていない場合は、r<r
ii)上記の共重合体が架橋されている場合は、r>r
【0069】
特に、PVPセグメントと、Rが、炭素数1〜25で直鎖又は分岐の炭化水素鎖であり、モノカルボン酸R−COOH又は単一の水酸基を有するアルコールR−OHに由来する残基とを分岐鎖の端部に配置された分岐鎖又は高度に分岐した共重合体は、以下の比率の混合物の重縮合を行うことを有する工程により、調製される。
【0070】
つまり、
a)任意でメチル体又はエチルエステル体の、水酸基又はカルボキシル基で端部を機能性化されたPVPと;
b)ジカルボン酸及びジオールと;
c)少なくとも3つの水酸基又はカルボキシル基を有するポリオール又はポリカルボン酸と;
d)以下の条件であり、Rが上述の置換基を意味する、モノカルボン酸R−COOH又は単一の水酸基を有するアルコールROHと;
である。
【0071】
i)上記の共重合体が架橋されていない場合、r<rであり
ii)上記の共重合体が架橋されている場合、r>rである。
【0072】
好ましくは、上記の工程において、ジオール及び二酸は、以下の一般式
HOOC−R−COOH及びHO−R−OH(R及びRは、独立に、炭素数1〜25、好ましくは1〜8の、直鎖又は分岐の炭化水素鎖)
を有し、ジオール又はポリカルボン酸は、分子当たり3〜12、好ましくは3〜6の水酸基又はカルボキシル基を有する。
【0073】
分岐の程度が少ない生成物を得るように、ρ比を漸次減少させることにより、反対の反応を行うことも可能である。
【0074】
多機能性モノマーが反応混合物に導入されていない場合、ρは、0となる。これは、二機能性重縮合の存在を意味し、得られるポリマーは、分岐鎖を有さず、従って直鎖であることを意味する。モノマー混合物にいくつかの単機能性PVPオリゴマーを導入することにより、これらは、鎖の末端を構成することになり、2つのセグメントを有するA−B型の直鎖の共重合体が得られ、そのうちの一つ(A)は、PVPの特性を有し、他の一つ(B)は、ポリエステルの特性を有する。また、二つの端部に配置されたPVPセグメントを有する3つのセグメントを有するABA型の共重合体が得られる。
【0075】
特に、本発明によるA−B型の共重合体は、一端が水酸基又はカルボキシル基で終了するPVPに以下の成分で重縮合反応を行うことを有する工程で調製される:
モノアルコール又はモノカルボン酸の存在下で二酸又はジアルコール;
ヒドロキシカルボン酸又は任意でその環状誘導体。
【0076】
なお、COOHの全モル数に対するOH基の全モル数の比率は、1である。
【0077】
例えば、PVP−COO−(R−COO)H又はPVP−(OOC−ROHの共重合体を調製するには、末端に水酸基又はカルボキシル基(また、メチル体又はエチルエステル体)で単機能性化されたPVPと、HO−RCOOH型のヒドロキシカルボン酸との間で重縮合を行う。なお、Rは、炭素数1〜12、好ましくは1〜6の直鎖又は分岐の酸化水素鎖である。
【0078】
また、末端が水酸基又はカルボキシル基(また、メチル体又はエチルエステル体)、及びHO−R−COOHのラクトン、グリコライド、ラクチドなどの環状誘導体で単機能性化されたPVPで開始する開環重縮合を行う。
【0079】
特に、ABA型の共重合体は、端部に水酸基又はカルボキシル基を有するPVPを二酸又はジアルコールで重縮合反応を行うことを有する工程で調製される。なお、COOHの全モル数に対するOHの全モル数の比率は、1である。
【0080】
例えば、PVP−COO−(R−OOCR−COO)−R−OOC−PVP型又はPVP−(OOC−R−COOROOCRCOO−PVP型の構造の共重合体で、nは、5〜300、好ましくは10〜100であり、R及びRは、独立で、炭素数1〜25、好ましくは1〜8の直鎖又は分岐の炭化水素鎖である共重合体を調製するには、任意でメチル体又はエチルエステル体であり、水酸基又はカルボキシル基を端部に有するPVPと、ジカルボン酸HOOC−R−COOH及びジオールHO−R−OHの混合物との間で重縮合反応を行う。なお、R及びRは、上述と同様の置換基である。
【0081】
端部にラクトン基を有するPVPの場合、上述の調製工程は、マクロモノマーとして機能性化されたPVPを単独又は他のラクトン類と混和したものを用いて、従来の開環ラクトン重合工程を改変することからなる。この工程により櫛状の共重合体が得られ、ここで、PVP鎖は、直鎖のポリエステル鎖から突出し、得られた生成物は、PVP量に依存して、水に溶解又は不溶である。この種の工程を、下述の例2で示しており、その開環重合は、γ−ブチロラクトン存在下で、γ−ブチロラクトンを端部に有するPVPに対して行われる。
【0082】
本願出願人は、本発明による共重合体をグラフトされた櫛状のものを調製する新規の方法を見出した。この方法により、既に形成されたポリエステル鎖、特に市販のPLGAに、PVPセグメントを挿入することが可能となる。
【0083】
この方法は、重合反応のみを行うことにより所望の共重合体を得ることが可能であるので、従来の方法よりも明らかに経済的である。
【0084】
この方法は、連鎖移動剤として同様のPLGAを用いて、N−ビニルピロリドンで連鎖移動反応を行うことを有する。
【0085】
加えて、本願出願人は、この方法に関して、平均分子量が10,000未満の多くのポリビニルピロリドン鎖を挿入し得ることを予期せぬことに見出した。
【0086】
斯かる優れた結果は、メチルイソブチル酸などの第二の移動剤の存在下で上述の重合反応を行うことで、達成される。
【0087】
本発明は、治療学的若しくは化粧上の活性成分、又は栄養補助食品と組み合わせによるセグメント共重合体を有する組成物に関する。
【0088】
以下の例は、示すことを目的とするものであって、限定的な目的を有するものではない。
【0089】
(例)
(例1)
数平均分子量(average numerical molecular weight)が3500のPVP、コハク酸、グリセロール及び1,6−ヘキサンジオールに基づいた重縮合物の調製
1.1 カルボキシル基を末端に有するポリビニルピロリドンオリゴマー(以下、PVP2COOHと称する。)の合成
出発物質:
使用した出発材料及びその量を表1に示す。
【0090】
表1 カルボキシル化PVPオリゴマーの合成に使用した出発材料
【0091】
【表1】

【0092】
方法
a)カルボキシル化PVPメチルエステル(PVP2COOMe)の調製
メチルプロピオン酸及びVPを、タップ及びマグネティックスターラーを装備した2Lの1つ口のフラスコに導入し、吸引/Nのサイクルを4回繰り返して、脱気する。窒素を流入させながら、AIBNを添加し、70℃に保つ。この反応を、これらの条件で、18時間行う。
【0093】
熱源を取り除き、加温しながらt−ブチルパラクレゾールを添加し、このフラスコを、外気温まで冷却する。
【0094】
ポリマーを回収するため、ロタベーパー(Rotavapor)で反応混合物の容量を、約200mLにまで減少させ、攪拌下で600mLの冷エーテル中で沈殿させた。これを、ブフナー漏斗で濾過し、100mLのメチレンクロライドに溶解し、300mLの冷EtO中で攪拌下、再沈殿させる。これを、ブフナー漏斗で濾過し、窒素を流入させながら、得られたPVP−COOMeポリマーを乾燥し、粗生成物の特性を、SECで検討する(データを表1に示す)。
【0095】
b)カルボキシル化PVP(PVP2COOH)の調製
PVP2COOMeを、0.1M水酸化ナトリウム水溶液に、5:1を越える比率で溶解し、攪拌下、16時間載置する。その後、pHが2.5となるまで、0.1Mの塩酸溶液を添加する。
【0096】
Amicon社製の限外濾過装置(公称のカットオフ値が3000のセルロース製メンブレンで3回通過)で生成物を精製し、凍結乾燥する。最終生成物の特性を、SECで検討した(データを表2に示す)。収率は、80.5%。
【0097】
表2 SECで得たPVP2COOMe及びPVP2COOHの分子量データ
【0098】
【表2】

【0099】
1.2 重縮合物の調製
出発材料:
使用した出発材料及びその量を表3に示す。
【0100】
表3 重縮合物の調製に用いた出発材料及びその量
【0101】
【表3】

【0102】
全ての条件が完全な場合、反応系は、1.2003モルのCOOHと、三機能性(グリセロール)に対応する0.6モルを含む1.8モルのOHとを有する。Stockmeyerの式において、ρは、0.332であり、従って、rは、0.751である。初期の二段燃焼率は、0.667であり、これは、rよりも低いものである。従って、この反応系は、高度に分岐はしているが架橋されていない生成物を提供する。
【0103】
方法
a)グリセロール及びPVP2COOHを反応器に導入し、98%の硫酸を滴下し、この混合物を、110℃に加熱して、密閉容器で5時間載置する。この方法で、PVP2COOHは、対応するグリセロールエステル体となる。
【0104】
b)冷却後、上述の混合物に無水コハク酸を添加し、反応系に、若干圧の窒素を導入する。100℃に加熱して2時間載置し、再度98%の硫酸を滴下する。この方法により、存在する生成物(過剰なグリセロール、PVP2COOH、グリセロールエステル)は、ヘミコハク酸となる。この時、窒素を流入させながら、ヘキサンジオールを導入する。
【0105】
この反応系は、グリセロールヘミコハク酸(0.197モル)、PVP2COOHグリセロールエステルジコハク酸(0.003モル)及び1,6−ヘキサンジオール(0.60モル)の混合物からなる。
【0106】
エステル化反応とともにトランスエステル化反応(trans−esterification reaction)が活性的に起こるので、添加手段は、計算値に影響は与えないが、初期相でのグリセロールの消失が阻止され、従って、PVP2COOHの、形成するポリマー構造への完全な挿入が有利に進行する。
【0107】
c)ヘキサンジオールを添加した後、温度を100℃とし、若干圧の窒素下で16時間載置する。さらに、100℃で1時間窒素を流入させ、その後、吸引(0.2トール)下、100℃で4時間載置した。この方法は、副生成物(水)を消失させ、反応を完了する機能を有する。
【0108】
d)最終的に、溶融状態のまま、反応器から生成物を回収する。これを経時的に冷却して、ワックス様の固形物に固化する。
【0109】
生成物を、水中で再膨潤させ、溶解させない。代わって、これを、メタノール、エタノール、クロロホルム及び酢酸エチル中に溶解する。クロロホルム中での固有粘度は、30℃で、0.23dl/gである。
【0110】
(例2)
平均分子量3500のPVPセグメントがポリエステル鎖の端部にグラフトされた櫛状共重合体の調製
2.1 ラクトン基を末端に有するPVPオリゴマー(PVP−γ−ブチロラクトン)の調製
マグネティックスターラー、冷蔵装置及び窒素注入用チューブを装着した2口のフラスコ内で、N−ビニル−2−ピロリジノン(2g、18.02ミリモル)、γ−ブチロラクトン(32mL、360ミリモル)及びAIBN(20mg)を混和する。この溶液を、25mmHgの圧力となるまで3回の連続した脱気サイクルを介して、脱気し、その後、窒素を流入させる。この反応を、その後、窒素雰囲気下、一定の攪拌下、70℃で、24時間保持する。この後、外気温度に冷却して反応を停止し、得た固形残渣をCHCl(3mL)で溶解して粗生成物を回収し、これをEtOで沈殿する。得た白色の粉末状沈殿をデカンテーションで回収し、減圧乾固する。その後、再蒸留水(100mL)にこの乾燥生成物を溶解し、3000のカットオフ値を有するメンブレン限外濾過(Amicon社製)を繰り返して、モノマー及びラクチド残渣から生成物を精製する。より低い分子量画分を廃棄し、より大きい分子量画分(20mLの残渣溶液)を、凍結乾燥で回収し、外気温度で保存する。収量は、1.8g。
【0111】
SECで同定した平均分子量は、3500である。伝達係数(transfer constant)Cは、以下の式で同定した。
【0112】
【数10】

【0113】
ここで、Yt(訳者注:この文字列は、上記数10に記載の代数のひとつであり、この文字列の上部には、線が付されている。以下、同様。)は、変換(conversion)、[M]は、開始時間におけるモノマー濃度、[T]は、開始時間における伝達物(transferer)(つまり、D,L−ラクチド)の濃度、X(訳者注:この文字列は、上記数10に記載の代数のひとつであり、この文字列の上部には、線が付されている。以下、同様。)は、重合反応の平均累積集中度(average cumulative numerical degree)である。得た値は、1.7×10−2である。
【0114】
2.2 開環重合による、γ−ブチロラクトンを用いたPVP−γ−ブチロラクトンの共重合
PVP−γ(2g)、γ−ブチロラクトン(4g)及びジオクタン酸スズ(20mg)を、シリコン隔膜を介して、25mLのガラスバイアルに注入する。なお、このガラスバイアルには、シリコン隔膜、横方向に接続されたアルゴン流入用チューブ及びマグネティックスターラーが装備され、アルゴンが一定量流入するように保持されている。その後、一定に攪拌しながら、アルゴン雰囲気下、100℃で24時間、この反応を維持する。この後、外気温度に冷却して反応を停止し、得た半固形の残渣を、最小量のCHCl(5mL)に溶解して、粗生成物を回収し、これを、EtOで沈殿する。得た白色の粉末状の沈殿物を、デカンテーションで回収し、減圧乾固で乾燥する。EtO中でのCHCl沈殿を、2回繰り返す。最終的に得た生成物は、白色の固形物であって、塩化系溶媒に可溶であり、水に再膨潤可能なものである。収量は、4.5gである。SECで同定した平均分子量は、35,000である。PVP鎖の含量は、33w/w%である。
【0115】
(例3)
PLGAサンプル(数平均分子量Mn=80000)(10g)を、窒素雰囲気下、室温で攪拌しながら、VP(20mL)に溶解した。AIBN(モノマーに対して0.01w/w%)を、得た粘性を有する溶液に添加した。この反応混合物を、ゆっくり70℃に加熱し、これを、時折攪拌しながら、この温度で24時間載置した。この後、これを、ジクロロメタンに溶解し、得た固形物を、4倍容量のエーテルで沈殿して、回収した。乾燥後、グラフトされていないPVPが水性抽出物中に観測されなくなるまで、大量の水で複数回、この粗生成物を抽出した。各洗浄ステップの間、生成物を、攪拌しながら45℃に保った。収量は、12gである。
【0116】
最終生成物の特性は、FT−IR、H−NMR、13C−NMRで検討した。これら全ての観測データは、予測した構造と一致した。さらに、H−NMRの定量分析により、PVP含量は、27.2%であった。
【0117】
窒素含量(元素分析)は、3.28%であり、これは、実験誤差の範囲内でNMRによる同定と一致した。
【0118】
みかけ分子量(SEC)は、Mnで96000であり、Mwで103000であった。
【0119】
(例4)
例1に従って調製した微細粉末状のPLGA/PVPグラフト共重合体を、100mLの1MNaOH水溶液に懸濁した。この懸濁液を、室温で7日間攪拌した。このポリマーは、徐々に溶解した。得た溶液を、希塩酸でpH3にまで酸性化し、凍結乾燥した。これにより、ジクロロメタンで複数回抽出した白色粉末を得た。このジクロロメタン抽出物を、濾過し、全量が50mLとなるまで、吸引下で蒸発させた。最終的に、250mLのエーテルを添加して、0.73gのPVPの沈殿物を得た。なお、この量は、IR及びNMRで同定したものである。
【0120】
SEC分析により、Mn=36,000、Mw=58,000なる結果を得た。
【0121】
(例5)
追加の連鎖移動剤として40mLのメチルイソブチル酸を添加した以外は、例3と同様の処理を行った(非特許文献6)。24時間後、反応混合物を、ジクロロメタンで溶解し、例1と同様に処理した。
【0122】
窒素含量(原子分析)は、2.65%であり、この値は、実験誤差範囲内で、NMRによる同定(27w/w%)と一致した。
【0123】
みかけの分子量(SEC)は、Mn=82,000、Mw=103,000であった。
【0124】
(例6)
例4で得た生成物を出発物質として、例4と同様に処理した。最終的に単離したPVP(1g)をSEC分析したところ、Mn=3200、Mw=7000であった。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明による分岐又は高度に分岐した構造式の概略図を示し、PVPセグメントは、分岐鎖の末端に配置されている。
【図2】モノカルボン酸又は単一の水酸基を有するアルコールに由来するPVPセグメント又は残基を有する本発明による分岐又は高度に分岐された共重合体の概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルピロリドン(PVP)構造を有するセグメント”A”と、ポリエステル構造を有するセグメント”B”とを有することを特徴とするセグメント共重合体。
【請求項2】
直鎖のA−B型共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のセグメント共重合体。
【請求項3】
前記構造は、PVP−COO−(R−COO)H型又はPVP−(OOC−ROH型であって、nは、5〜500であり、Rは、炭素数1〜12で直鎖又は分岐の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項2に記載のセグメント共重合体。
【請求項4】
前記nは、15〜150であり、
は、1〜6の炭素原子を有することを特徴とする請求項3に記載のセグメント共重合体。
【請求項5】
A−B−A型の直鎖の共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のセグメント共重合体。
【請求項6】
前記構造は、PVP−COO−(R−OOCRCOO)−R−OOC−PVP型又はPVP−(OOC−R−COOROOCRCOO−PVP型であって、nは、5〜300であり、R及びRは、独立に、1〜25の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項5に記載のセグメント共重合体。
【請求項7】
nは、10〜100であり、
及びRは、1〜8の炭素原子を有することを特徴とする請求項6に記載のセグメント共重合体。
【請求項8】
当該セグメント共重合体は、分岐又は高度に分岐されており、
前記PVPセグメントは、分岐鎖の端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のセグメント共重合体。
【請求項9】
図1に記載の一般式を有し、
Aは、ポリビニルピロリドンであり、
Dは、ポリカルボン酸又はポリオールに由来し、その水酸基又はカルボキシル基は、3個以上有し、
(BC)は、ポリエステルのセグメントBの繰り返し単位を示し、
nは、2〜200であることを特徴とする請求項8に記載のセグメント共重合体。
【請求項10】
PVPセグメント、並びにRが1〜25の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖である、モノカルボン酸R−COOH又は単一の水酸基を有するアルコールR−OHに由来の残基と;
PVPセグメント、並びにRが上述と同義の直鎖又は分岐の炭化水素鎖である、ジカルボン酸HOOC−R−COOH又は2つの水酸基を有するアルコールOH−R−OHに由来の残基と;
を分岐鎖の端部に有する分岐又は高度に分岐した共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の共重合体。
【請求項11】
Rは、1〜8の炭素原子を有することを特徴とする請求項10に記載のセグメント共重合体。
【請求項12】
図2に示すセグメント共重合体であって、
Aは、ポリビニルピロリドン鎖を示し、
Dは、ポリカルボン酸又はポリオールに由来の残基であり、その水酸基又はカルボキシル基は、3個以上有し、
(BC)は、ポリエステルのセグメントBの繰り返し単位を示し、
nは、2〜200であり、
Eは、単機能性アルコールの残基であることを特徴とする請求項10又は11に記載のセグメント共重合体。
【請求項13】
分岐部位は、3〜12の置換基(水酸基又はカルボキシル基)を有するポリオール又はポリカルボン酸残基からなることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載のセグメント共重合体。
【請求項14】
前記ポリオール又は前記ポリカルボン酸の置換基数は、3〜6であることを特徴とする請求項13に記載のセグメント共重合体。
【請求項15】
前記の分岐部位の数と、ポリエステルフラグメントの数との比率は、0.01〜2であることを特徴とする請求項8乃至14のいずれか一項に記載のセグメント共重合体。
【請求項16】
前記比率は、0.1〜1.5であることを特徴とする請求項15に記載のセグメント共重合体。
【請求項17】
前記の分岐部位の数と、PVPセグメントの数とのモル比は、0.01〜100であることを特徴とする請求項8乃至15のいずれか一項に記載のセグメント共重合体。
【請求項18】
前記モル比は、0.1〜10であることを特徴とする請求項17に記載のセグメント共重合体。
【請求項19】
架橋されていることを特徴とする請求項8乃至18のいずれか一項に記載のセグメント共重合体。
【請求項20】
前記PVPセグメントは、ポリエステル鎖の端部で櫛状にグラフトされていることを特徴とする請求項1に記載のセグメント共重合体。
【請求項21】
前記PVPセグメントは、600〜15,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載のセグメント共重合体。
【請求項22】
前記セグメントA(PVP)は、1,000〜6,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項21に記載のセグメント共重合体。
【請求項23】
PVP含量は、重量比で、5%〜95%であることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載のセグメント共重合体。
【請求項24】
前記PVP含量は、10%〜50%であることを特徴とする請求項23に記載のセグメント共重合体。
【請求項25】
10,000〜1,000,000の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項1乃至24のいずれか一項に記載のセグメント共重合体。
【請求項26】
前記重量平均分子量は、20,000〜200,000であることを特徴とする請求項25に記載のセグメント共重合体。
【請求項27】
請求項2に記載の共重合体の調製方法であって、
水酸基又はカルボキシル基を有する端部で終了するPVPに:
モノアルコール又はモノカルボン酸の存在下、二酸又は2つの水酸基を有するアルコールと;
ヒドロキシカルボン酸、又はその環状誘導体と;
のそれぞれで重縮合反応を行う工程であって、COOH基の全モル数に対するOH基の全モル数の比率が、1である工程を有することを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項3に記載の共重合体の調製方法であって、HO−R−COOH型のヒドロキシカルボン酸の存在下で、任意でメチル体又はエチルエステル体である、水酸基又はカルボキシル基を端部に有するPVP間で重縮合反応を行う工程を有し、
は、1〜12の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記Rは、1〜6の炭素原子を有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項3に記載の共重合体の調製方法であって、任意でメチル体又はエチルエステル体である、水酸基又はカルボキシル基を端部に有するPVPを、ラクトン、グリコライド又はHO−R−COOHの一般式を有するヒドロキシ酸であるラクチドから選択された環状誘導体で開環重縮合を行う工程を有し、
は、1〜12の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記Rは、1〜6の炭素原子を有することを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項5に記載の共重合体の調製方法であって、
水酸基又はカルボキシル基を端部に有するPVPを、COOH基の全モル数に対するOH基の全モル数の比率が、1である二酸又は2つの水酸基を有するアルコールで重縮合反応を行う工程を有することを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項6又は7に記載の共重合体の調製方法であって、
任意でメチル体又はエチルエステル体である、水酸基又はカルボキシル基を末端に有するPVPと、HOOC−R−COOHの一般式を有するジカルボン酸及びHO−R−OHの一般式を有するジオールの混合物とで重縮合反応を行う工程を有し、
及びRは、独立で、1〜25の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
及びRは、1〜8の炭素原子を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項8又は9に記載の共重合体の調製方法であって、
a)任意でメチル体又はエチルエステル体である、水酸基又はカルボキシル基を末端に有するPVP;
b)ジカルボン酸及びジオール;並びに
c)3個の水酸基又はカルボキシル基を有し、
i)前記共重合体が架橋されていない場合、r<rであり、
ii)前記共重合体が架橋されている場合、r>rである、
ポリオール又はポリカルボン酸;
の混合物の重縮合反応を行う工程を有し、
前記rは、Na0/Nb0であり、
前記Na0は、欠乏状態の水酸基又はカルボキシル基の初期の全数を示し、
前記Nb0は、過剰状態のカルボキシル基又は水酸基の初期の全数を示し、
は、
【数1】

であり、ここで、fwA及びfwBは、モノアルコール又はモノカルボン酸を含む存在するモノマーの置換基の「重量」平均であることを特徴とする方法。
【請求項36】
前記ジオール及び前記二酸は、それぞれ、HOOC−R−COOH及びHO−R−OHの一般式をそれぞれ有し、
及びRは、独立に、1〜25の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記R及びRは、1〜8の炭素原子を有することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリオール又はポリカルボン酸は、分子当たり、3〜12個の水酸基又はカルボキシル基を有することを特徴とする請求項35乃至37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリオール又はポリカルボン酸は、分子当たり、3〜6個の水酸基又はカルボキシル基を有することを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の共重合体の調製方法であって、
a)任意でメチル体又はエチルエステル体である、水酸基又はカルボキシル基を末端に有するPVP;
b)ジカルボン酸及びジオール;
c)3個以上の水酸基又はカルボキシル基を有するポリオール又はポリカルボン酸;
d)R−COOH型のモノカルボン酸又はROH型の単一の水酸基を有するアルコールであって、Rは、以下の(i)及び(ii)
i)前記共重合体が架橋されていない場合、r<rであり、
ii)前記共重合体が架橋されている場合、r>rである、
を条件とした上述と同様の定義を有し、
前記rは、Na0/Nb0であり、
前記Na0は、欠乏状態の水酸基又はカルボキシル基の初期の全数を示し、
前記Nb0は、過剰状態のカルボキシル基又は水酸基の初期の全数を示し、
は、
【数2】

であり、ここで、fwA及びfwBは、モノアルコール又はモノカルボン酸を含む存在するモノマーの置換基の「重量」平均であることを特徴とする方法。
【請求項41】
前記ジオール及び前記二酸は、それぞれ、HOOC−R−COOH及びHO−R−OHの一般式をそれぞれ有し、
及びRは、独立に、1〜25の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖であることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記R及びRは、1〜8の炭素原子を有することを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ポリオール又はポリカルボン酸は、分子当たり、3〜12個の水酸基又はカルボキシル基を有することを特徴とする請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリオール又はポリカルボン酸は、分子当たり、3〜6個の水酸基又はカルボキシル基を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ラクトン単独又はこれと同様若しくはことなるラクトンを任意で端部に有するPVPの混合物の開環重合を行う工程を有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項46】
γ−ブチロラクトンの存在下、γ−ブチロラクトンで終了するPVPに対して実行することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
連鎖移動剤としてPLGAの存在下、N−ビニルピロリドンで連鎖移動重合を行う工程を有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項48】
第2の連鎖移動重合を行う工程を有し、
該連鎖移動重合を行う連鎖移動剤は、メチルイソブチレートであることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項1乃至20のいずれか一項に記載のセグメント共重合体と、
治療的若しくは美容上の活性を有する成分又は栄養補助食品と、
を有することを特徴とする組成物。
【請求項50】
種々の分子量のポリ(酪酸−グリコール酸)(PLGA)の共重合体を有するブレンドを調製するための、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の共重合体の使用。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−507568(P2007−507568A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530226(P2006−530226)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051641
【国際公開番号】WO2005/030832
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(501229539)メディオラヌム ファルマチェウティチ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【Fターム(参考)】