説明

1−ヘキセンの製造方法

【課題】油水分離性が良好な状態で金属成分を効率的に除去することができ、かつ装置の腐食を防止することができる1−ヘキセンの製造方法を提供すること。
【解決手段】溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液を得る工程(工程1)、及び工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させる工程(工程2)を有する1−ヘキセンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−ヘキセンの製造方法に関するものであり、より詳細には、油水分離性が良好な状態で金属成分を効率的に除去することができ、かつ装置の腐食を防止することができる1−ヘキセンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1−ヘキセンは、線状低密度ポリエチレン等の原料として用いられている。1−ヘキセンの製造方法としては、例えば、特許文献1には、特定のチタン錯体と有機アルミニウムオキシ化合物とを触媒として用いて、エチレンを3量化させる方法が記載されている。
一方、工業的に連続的に1−ヘキセンを製造する際には、反応液に金属成分が含有されているため、1−ヘキセンを蒸留分離する条件によっては、金属成分による蒸留塔への付着などの問題が惹起される。また、反応液から1−ヘキセンを分離した後の残存溶液をリサイクル使用または廃棄処分する際に、残存溶液中に金属成分が含まれていると、リサイクル使用する場合は、配管やポンプの内部、吸込口、吐出口等に金属成分が汚れ成分として析出し、長期運転できない可能性があり、廃棄処分する場合は、廃油等の焼却時にバーナーノズル等に金属成分が汚れ成分として析出し、長期運転できない可能性があるなどの問題が生じる。
以上のように、工業的に連続的に1−ヘキセンを製造する際に、反応液に含有される金属成分を除去することは重要である。
例えば、特許文献1には、反応液を塩酸水および純水で洗浄する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第09/5003号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法は、酸類を使用する方法であり、装置を腐食させる問題があった。
本発明の課題は、油水分離性が良好な状態で金属成分を効率的に除去することができ、かつ装置の腐食を防止することができる1−ヘキセンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、ある特定の条件を持つアルカリ類を使用することで、油水分離性が良好な状態で効率的に金属成分を除去することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液を得る工程(工程1)、及び工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させる工程(工程2)を有する1−ヘキセンの製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、1−ヘキセンを製造する際に、油水分離性が良好な状態で金属成分を効率的に除去することができ、かつ装置の腐食を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の1−ヘキセンの製造方法は、溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液を得る工程(以下、「工程1」と記載することがある。)、及び工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させる工程(以下、「工程2」と記載することがある。)を有する。
【0008】
[工程1]
工程1は、溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液を得る工程である。工程1として、好ましくは、溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、50%以上の選択率で得られた1−ヘキセンを含む溶液を得る工程である。ここで、選択率とは、(工程1で得られた1−ヘキセンの重量(g))/(工程1で消費されたエチレンの重量(g))によって計算される。
【0009】
工程1で用いる周期律表第4族の遷移金属化合物としては、例えば、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性、1−ヘキセンの選択性の観点から、好ましくは、チタン化合物である。
【0010】
チタン化合物として、例えば、下記一般式[1]で表されるチタン化合物等が挙げられる。



(式中、Lは、炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基または炭素数6〜30のアリールオキシ基を表し、X、XおよびXは、それぞれ同一または相違なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボニルオキシ基またはカルバモイル基を表し、Gは、中性配位子を表し、nは、0〜2の整数を表し、nが2の場合、2個の中性配位子は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【0011】
Lにおける炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基および炭素数6〜30のアリールオキシ基、並びにX、XおよびXにおける炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボニルオキシ基およびカルバモイル基は、置換基を有していてもよい。
【0012】
、XおよびXにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0013】
、XおよびXにおける炭素数1〜30のヒドロカルビル基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数5〜30のシクロアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基等が挙げられる。
【0014】
炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基等が挙げられる。
【0015】
炭素数2〜30のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
【0016】
炭素数2〜30のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0017】
炭素数3〜30のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0018】
炭素数5〜30のシクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
【0019】
炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
【0020】
炭素数7〜30のアラルキル基としては、例えば、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が挙げられる。
【0021】
炭素数1〜30のヒドロカルビル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基等が挙げられる。該ハロゲン原子および炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、該炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基等が挙げられる。
【0022】
、XおよびXにおける炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数7〜30のアラルキルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
炭素数1〜30のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−イコソキシ基等が挙げられる。
【0024】
炭素数6〜30のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基、6−アダマンチル−4−メチル−2−[N−{2−(2−メトキシフェニル)}フェニルイミノフェノキシ基等が挙げられる。
【0025】
炭素数7〜30のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基等が挙げられる。
【0026】
炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。該ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0027】
、XおよびXにおける炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボニルオキシ基としては、例えば、炭素数2〜30のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜30のアリールカルボニルオキシ基、炭素数8〜30のアラルキルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0028】
炭素数2〜30のアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、ネオペンチルカルボニルオキシ基、イソアミルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基、n−デシルカルボニルオキシ基、n−ドデシルカルボニルオキシ基、n−ペンタデシルカルボニルオキシ基、n−エイコシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0029】
炭素数7〜30のアリールカルボニルオキシ基としては、例えば、フェニルカルボニルオキシ基、2−トリルカルボニルオキシ基、3−トリルカルボニルオキシ基、4−トリル基カルボニルオキシ、2,3−キシリルカルボニルオキシ基、2,4−キシリルカルボニルオキシ基、2,5−キシリルカルボニルオキシ基、2,6−キシリルカルボニルオキシ基、3,4−キシリルカルボニルオキシ基、3,5−キシリルカルボニルオキシ基、2,3,4−トリメチルフェニルカルボニルオキシ基、2,3,5−トリメチルフェニルカルボニルオキシ基、2,3,6−トリメチルフェニルカルボニルオキシ基、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニルオキシ基、3,4,5−トリメチルフェニルカルボニルオキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェニルカルボニルオキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェニルカルボニルオキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェニルカルボニルオキシ基、ペンタメチルフェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0030】
炭素数8〜30のアラルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、ベンジルカルボニルオキシ基、(2−メチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(3−メチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(4−メチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0031】
炭素数2〜30のヒドロカルビルカルボニルオキシ基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。該ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0032】
、XおよびXにおけるカルバモイル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜30のヒドロカルビル基等が挙げられる。
【0033】
Gにおける中性配位子としては、例えば、窒素原子を含有する化合物、酸素原子を含有する化合物、リン原子を含有する化合物、硫黄原子を含有する化合物等が挙げられ、窒素原子を含有する化合物としては、例えば、アミン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物等が挙げられ、酸素原子を含有する化合物として、例えば、エーテル化合物、ケトン化合物、アルデヒド化合物、エステル化合物等が挙げられ、リン原子を含有する化合物としては、例えば、トリアルキルホスフィン化合物、トリアリールホスフィン化合物、ホスフィンオキシド化合物等が挙げられ、硫黄原子を含有する化合物としては、例えば、チオエーテル化合物、スルホン化合物等が挙げられる。より具体的には、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トリフェニルホスフィン、ジメチルスルフィド、チオフェン等が挙げられる。
【0034】
Lにおける炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基としては、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。Lにおける炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のトリアルキルシリル基等が挙げられる。
【0035】
Lにおける炭素数6〜30のアリールオキシ基としては、上記X、XおよびXのところで例示したものと同じものを挙げることができる。
【0036】
Lにおける炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基として、好ましくは、下記一般式[2]で表される基である。



(式中、Cp----は、Tiとの結合を表し、Cpは、炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基を表し、Jは、周期律表第13〜16族の原子を表し、Rは、炭素数6〜30のアリール基または炭素数7〜30のアラルキル基を表し、Rは、水素原子または炭素数1〜30のヒドロカルビル基を表し、mは、Jの原子価−2を表し、mが2以上の整数の場合、複数のRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、また、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0037】
Cpにおける炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基としては、例えば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。Cpにおける炭素数5〜30のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のトリアルキルシリル基等が挙げられる。
【0038】
Jにおける周期律表第13〜16族の原子としては、例えば、ホウ素原子、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、好ましくは、炭素原子またはケイ素原子である。
【0039】
における炭素数6〜30のアリール基および炭素数7〜30のアラルキル基、並びにRにおける炭素数1〜30のヒドロカルビル基としては、上記X、XおよびXのところで例示したものと同じものを挙げることができる。
【0040】
Lにおける炭素数6〜30のアリールオキシ基として、好ましくは、下記一般式[3]または下記一般式[4]で表される基である。



(式中、O-----は、Tiとの結合を表し、R〜Rは、それぞれ同一または相違なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、ヘテロ環式化合物残基、炭素数2〜30のジヒドロカルビルアミノ基または炭素数1〜30のヒドロカルビルシリル基を表し、R〜Rのうち2個以上が互いに結合して環を形成していてもよい。sは、1または2を表す。sが2の場合、2個のRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。Qは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を表す。Zは、炭素数1〜30の炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を表す。ZとQとを結ぶ結合は、単結合であっても、二重結合または三重結合であってもよく、QとRとを結ぶ結合は、単結合であっても、二重結合または三重結合であってもよい。RとZとは、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0041】



(式中、O-----は、Tiとの結合を表し、R〜R14は、それぞれ同一または相違なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、ヘテロ環式化合物残基、炭素数2〜30のジヒドロカルビルアミノ基または炭素数1〜30のヒドロカルビルシリル基を表し、これらのうち2個以上が互いに結合して環を形成していてもよい。tは、1または2を表す。tが2の場合、2個のRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。Qは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を表す。Zは、炭素数1〜30の炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を表す。ZとQとを結ぶ結合は、単結合であっても、二重結合または三重結合であってもよく、QとRとを結ぶ結合は、単結合であっても、二重結合または三重結合であってもよい。RとZとは、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0042】
〜R14におけるハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビル基および炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基としては、上記X、XおよびXのところで例示したものと同じものを挙げることができる。
【0043】
〜R14におけるヘテロ環式化合物残基のヘテロ環式化合物としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジン、フラン、ピラン、チオフェン等が挙げられる。該ヘテロ環式化合物は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基等が挙げられる。
【0044】
〜R14における炭素数2〜30のジヒドロカルビルアミノ基におけるジヒドロカルビルアミノ基とは、アミノ基上の2個の水素原子が2個のヒドロカルビル基で置換されたアミノ基である。該ヒドロカルビル基としては、例えば、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。該炭素数1〜15のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、該炭素数3〜15のシクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基等が挙げられ、該炭素数6〜15のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。かかる炭素数2〜30のジヒドロカルビルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(tert−ブチルジメチルシリル)アミノ基等が挙げられる。
【0045】
〜R14における炭素数1〜30のヒドロカルビルシリル基におけるヒドロカルビルシリル基とは、シリル基上の1〜3個の水素原子が1〜3個のヒドロカルビル基で置換されたシリル基である。該ヒドロカルビル基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜30のアリール基等が挙げられる。該炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、該炭素数3〜30のシクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基等が挙げられ、該炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基などが挙げられる。かかる炭素数1〜30のヒドロカルビルシリル基としては、例えば、炭素数1〜30のモノヒドロカルビルシリル基、炭素数2〜30のジヒドロカルビルシリル基、炭素数3〜30のトリヒドロカルビルシリル基等が挙げられる。炭素数1〜30のモノヒドロカルビルシリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基等が挙げられ、炭素数2〜30のジヒドロカルビルシリル基としては、例えば、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基等が挙げられ、炭素数3〜30のトリヒドロカルビルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
これらのヒドロカルビルシリル基はいずれもそのヒドロカルビル基がハロゲン原子で置換されていてもよい。該ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0046】
およびZにおける炭素数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。
【0047】
炭素数1〜30のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基、エチルメチレン基、プロピレン基、プロピルメチレン基、ブチレン基、ブチルメチレン基、ペンチレン基、ペンチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルエチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、メチルブチルメチレン基等が挙げられ、炭素数2〜30のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ブタジエニレン基等が挙げられ、炭素数6〜30のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、キシリレン基等が挙げられる。該炭素数1〜30の炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基等が挙げられる。
【0048】
およびZにおけるヘテロ環式化合物残基のヘテロ環式化合物としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジン、フラン、ピラン、チオフェン等が挙げられる。該ヘテロ環式化合物は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヒドロカルビル基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基等が挙げられる。
【0049】
また、1−ヘキセンを高い選択性で製造できる観点から、上記一般式[3]で表される化合物において、QとNとを結ぶZの原子数としては、好ましくは、3〜5であり、上記一般式[4]で表される化合物において、QとOとを結ぶZの原子数としては、好ましくは、4または5である。
なお、QとNとを結ぶZの原子数またはQとOとを結ぶZの原子数とは、下記(A)、下記(B)のようにして数えることができ、(A)の場合は3であり、(B)の場合は4である。




【0050】
周期律表第4族の遷移金属化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、インデニルチタニウムトリクロライド、フルオレニルチタニウムトリクロライド、(1−メチル−1−フェニル)エチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、6−アダマンチル−4−メチル−2−[N−{2−(2−メトキシフェニル)}フェニル]イミノ−フェノキシチタニウムトリクロライド、およびこれらのクロライドをメチル、メトキシド、フェノキシド、ベンジロキシド、アセテート、ジメチルアミド、ハイドライド、ブロマイド、アイオダイドに変えた化合物などが挙げられる。好ましくは、(1−メチル−1−フェニル)エチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、6−アダマンチル−4−メチル−2−[N−{2−(2−メトキシフェニル)}フェニル]イミノ−フェノキシチタニウムトリクロライドであり、より好ましくは、6−アダマンチル−4−メチル−2−[N−{2−(2−メトキシフェニル)}フェニル]イミノ−フェノキシチタニウムトリクロライドである。
【0051】
工程1で用いる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム化合物、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、水素化アルキルアルミニウム化合物、アルミノキサン化合物等が挙げられ、トリアルキルアルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が挙げられ、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物としては、例えば、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等が挙げられ、水素化アルキルアルミニウム化合物としては、例えば、ジエチルアルミニウムヒドリド等が挙げられ、アルミノキサン化合物としては、例えば、メチルアルミノキサン等が挙げられる。これらのうち、活性、選択性の観点から、好ましくは、メチルアルミノキサンである。これらの有機アルミニウム化合物は、1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
また、有機アルミニウム化合物は、担体に担持して用いてもよい。担体としては、例えば、金属酸化物、金属の複合酸化物、無機ハロゲン化物等が挙げられ、金属酸化物としては、例えば、シリカ、マグネシア、アルミナ、チタニア等が挙げられ、金属の複合酸化物としては、例えば、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等が挙げられ、無機ハロゲン化物としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム等が挙げられる。
【0053】
工程1で用いる溶媒としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素化合物、脂環式飽和炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、直鎖状不飽和炭化水素化合物等が挙げられる。直鎖状飽和炭化水素化合物として、好ましくは、炭素数4〜10の直鎖状飽和炭化水素化合物であり、より好ましくは、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンまたはオクタンであり、更に好ましくは、ブタン、ペンタン、ヘキサンまたはヘプタンであり、特に好ましくは、ブタン、ペンタンまたはヘプタンであり、脂環式飽和炭化水素化合物として、好ましくは、炭素数4〜10の脂環式飽和炭化水素化合物であり、より好ましくは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンまたはデカリンであり、更に好ましくは、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンであり、特に好ましくは、シクロヘキサンであり、芳香族炭化水素化合物として、好ましくは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素化合物であり、より好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレンまたはテトラリンであり、更に好ましくは、ベンゼン、トルエンまたはキシレンであり、特に好ましくは、トルエンであり、直鎖状不飽和炭化水素化合物として、好ましくは、炭素数4〜10の直鎖状不飽和炭化水素化合物であり、より好ましくは、1−ヘキセンである。これらの溶媒は、1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0054】
工程1で用いる溶媒として、好ましくは、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたは1−ヘキセンであり、より好ましくは、ブタン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンまたは1−ヘキセンである。
【0055】
工程1における反応温度としては、好ましくは、0〜200℃であり、反応圧力としては、好ましくは、常圧〜20MPaであり、反応時間としては、好ましくは、1分〜20時間である。また、工程1における反応は、回分式、半回分式または連続式のいずれであってもよい。
【0056】
工程1で用いる周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物との重量比(周期律表第4族の遷移金属化合物の重量(g)/有機アルミニウム化合物の重量(g))は、好ましくは、0.0001〜10である。
【0057】
本発明においては、工程1における副反応を抑制する観点から、工程1として、好ましくは、溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、反応混合物を得た後、得られた反応混合物と、アルコール類とを接触させて1−ヘキセンを含む溶液を得る工程である。
【0058】
アルコール類とは、少なくとも1つのアルコール性水酸基を含む化合物のことであり、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0059】
[工程2]
工程2は、工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液(以下、「アルカリ性水溶液」と記載することがある。)とを接触させる工程である。
【0060】
工程2における工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液(アルカリ性水溶液)との接触は、任意の段階で行うことができ、例えば、工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液(アルカリ性水溶液)とを接触させることによって行ってもよく、工程1によって得られた溶液から、少なくとも一部の1−ヘキセンを分離することによって得られた残存溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液(アルカリ性水溶液)とを接触させることによって行ってもよい。
【0061】
工程2で用いるアルカリ性水溶液は、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液である。金属水酸化物とは、少なくとも1個の水酸基を含有する金属化合物のことであり、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムまたは水酸化カルシウム等が挙げられる。このうち、工業的に入手容易さの観点から、好ましくは、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0062】
本発明においては、工程1によって得られた溶液中には、1−ヘキセンの他に、工程1で用いた周期律表第4族の遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物に由来する金属成分が含まれている。この金属成分を水層に除去するために、工程2では、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液を用いる必要がある。
金属水酸化物を含まない場合、または水溶液のpHが12.0未満である場合は、1−ヘキセンを含む溶液と、金属成分を含む水層との分離性が不良となり、1−ヘキセンを含む溶液と、金属成分を含む水層との分液操作が困難となり、金属成分の除去が困難となる。
【0063】
工程1によって得られた溶液と、アルカリ性水溶液とを接触させる際は、各種の抽出装置を使用して行うことができ、好ましくは、攪拌槽と静置分離槽とを使用して、工程1によって得られた溶液と、アルカリ性水溶液との接触を行い、その後、油層と水層との分離を行う。また、攪拌槽と静置分離槽とを使用する場合、これらの組み合わせは、1段であってもよく、多段あってもよい。また、回分式または連続式のいずれの抽出方式であってもよい。
【0064】
攪拌槽と静置分離槽とを使用して、工程1によって得られた溶液と、アルカリ性水溶液との接触を行い、その後、油層と水層との分離を行う場合、工程1によって得られた溶液と、アルカリ性水溶液との重量比は、通常、(工程1によって得られた溶液の重量(g))/(アルカリ性水溶液の重量(g))=0.01〜100である。また、その際の処理温度は、通常、25〜60℃であり、処理時間は、通常、5〜120分である。
【0065】
本発明においては、工程1によって得られた溶液中には、1−ヘキセンの他に副生物としてポリエチレンが含まれていることがあり、工程1と工程2との間に、工程1によって得られた溶液からポリエチレンを除去する工程を設けてもよい。工程1によって得られた溶液からポリエチレンを除去する方法としては、例えば、ろ過機、遠心分離機等を使用して、除去する方法等が挙げられる。また、本発明においては、工程1と工程2との間に、工程1によって得られた溶液から溶媒を除去する工程を設けてもよい。工程1によって得られた溶液から溶媒を除去する方法としては、例えば、蒸留等が挙げられる。ここで、除去された溶媒は、工程1で用いる溶媒として再利用することができる。
【0066】
本発明において、アルカリ性水溶液と接触させた後に得られた水層は、金属成分を含むアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液は、工程2で用いるアルカリ性水溶液として再利用することができる。該アルカリ溶液を再利用する場合は、金属成分が蓄積されるため、該アルカリ溶液の一部(金属成分とともに)を系外に除去しながら、残りのアルカリ溶液を再利用し、除去した量のフレッシュなアルカリ性水溶液を加えて使用する。
【0067】
本発明においては、工程2によって、金属成分を水層に除去できるので、1−ヘキセンを分離する際に、蒸留を行う場合は、金属成分による蒸留塔への付着等の問題が起きなく、1−ヘキセン分離後の残存溶液をリサイクル使用する場合は、配管やポンプ内部、吸込口、吐出口等に金属成分が汚れ成分として析出することがないので、長期運転ができ、該残存溶液を廃棄処分する場合は、廃油等の焼却時にバーナーノズル等に金属成分が汚れ成分として析出することがないので、長期運転ができる。
【0068】
本発明の1−ヘキセンの製造方法として、好ましくは、
(1)溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液を得る工程(工程1)、工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液と、水層とに分離する工程(以下、「工程2’」と記載することがある。)、及び工程2’によって得られた1−ヘキセンを含む溶液から1−ヘキセンを分離する工程(以下、「工程3」と記載することがある。)を有する1−ヘキセンの製造方法、または
(2)溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液を得る工程(工程1)、工程1によって得られた溶液から、少なくとも一部の1−ヘキセンを分離することによって、1−ヘキセンまたは1−ヘキセンを含む溶液と、少なくとも一部の1−ヘキセンが分離された残存溶液とを得る工程(以下、「工程4」と記載することがある。)、及び工程4によって得られた残存溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させて、油水分離を行う工程(以下、「工程2’’」と記載することがある。)を有する1−ヘキセンの製造方法、である。
【0069】
[工程2’]
工程2’は、工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液(アルカリ性水溶液)とを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液と、水層とに分離する工程である。
工程2’で用いるアルカリ性水溶液としては、上記工程2で用いるアルカリ性水溶液として例示したものと同じものを挙げることができる。
【0070】
本発明においては、工程1によって得られた溶液中には、1−ヘキセンの他に、工程1で用いた周期律表第4族の遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物に由来する金属成分が含まれている。この金属成分を水層に除去するために、工程2’では、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液を用いる必要がある。
金属水酸化物を含まない場合、または水溶液のpHが12.0未満である場合は、1−ヘキセンを含む溶液と、金属成分を含む水層との分離性が不良となり、1−ヘキセンを含む溶液と、金属成分を含む水層との分液操作が困難となり、金属成分の除去が困難となる。
【0071】
工程1によって得られた溶液と、アルカリ性水溶液とを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液と、水層とに分離する際は、各種の抽出装置を使用して行うことができ、好ましくは、攪拌槽と静置分離槽とを使用して行う。また、攪拌槽と静置分離槽とを使用する場合、これらの組み合わせは、1段であってもよく、多段あってもよい。また、回分式または連続式のいずれの抽出方式であってもよい。
【0072】
攪拌槽と静置分離槽とを使用して、工程1によって得られた溶液と、アルカリ性水溶液とを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液と、水層とに分離する場合、工程1によって得られた溶液と、アルカリ性水溶液との重量比は、通常、(工程1によって得られた溶液の重量(g))/(アルカリ性水溶液の重量(g))=0.01〜100である。また、その際の処理温度は、通常、25〜60℃であり、処理時間は、通常、5〜120分である。
【0073】
本発明においては、工程1によって得られた溶液中には、1−ヘキセンの他に副生物としてポリエチレンが含まれていることがあり、工程1と工程2’との間に、工程1によって得られた溶液からポリエチレンを除去する工程を設けてもよい。工程1によって得られた溶液からポリエチレンを除去する方法としては、例えば、ろ過機、遠心分離機等を使用して、除去する方法等が挙げられる。また、本発明においては、工程1と工程2’との間に、工程1によって得られた溶液から溶媒を除去する工程を設けてもよい。工程1によって得られた溶液から溶媒を除去する方法としては、例えば、蒸留等が挙げられる。ここで、除去された溶媒は、工程1で用いる溶媒として再利用することができる。
【0074】
工程2’によって得られた水層は、金属成分を含むアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液は、工程2で用いるアルカリ性水溶液として再利用することができる。該アルカリ溶液を再利用する場合は、金属成分が蓄積されるため、該アルカリ溶液の一部(金属成分とともに)を系外に除去しながら、残りのアルカリ溶液を再利用し、除去した量のフレッシュなアルカリ性水溶液を加えて使用する。
【0075】
[工程3]
工程3は、工程2’によって得られた1−ヘキセンを含む溶液から1−ヘキセンを分離する工程である。1−ヘキセンを分離する際の分離する量として、好ましくは、工程1によって得られた1−ヘキセンの50重量%以上を分離することであり、より好ましくは、60重量%以上を分離することであり、更に好ましくは、70重量%以上を分離することである。
1−ヘキセンを分離する方法としては、例えば、蒸留等が挙げられる。工程2’によって得られた1−ヘキセンを含む溶液には、アルカリ成分が混入していることがあり、蒸留を行う前に、水洗によって該アルカリ成分の除去を行ってもよい。また、蒸留によって、1−ヘキセンを分離する場合、同時に該溶液に含まれる溶媒を分離してもよく、分離された溶媒は、工程1で用いる溶媒として再利用することができる。
【0076】
本発明において、工程1、工程2’、及び工程3を有する1−ヘキセンの製造方法である場合、工程2’によって、金属成分を水層に除去できるので、工程3で1−ヘキセンを分離する際に、蒸留を行う場合は、金属成分による蒸留塔への付着等の問題が起きなく、工程3で1−ヘキセンを分離した後の残存溶液をリサイクル使用する場合は、配管やポンプ内部、吸込口、吐出口等に金属成分が汚れ成分として析出することがないので、長期運転ができ、該残存溶液を廃棄処分する場合は、廃油等の焼却時にバーナーノズル等に金属成分が汚れ成分として析出することがないので、長期運転ができる。
【0077】
[工程4]
工程4は、工程1によって得られた溶液から、少なくとも一部の1−ヘキセンを分離することによって、1−ヘキセンまたは1−ヘキセンを含む溶液と、少なくとも一部の1−ヘキセンが分離された残存溶液とを得る工程である。
【0078】
工程1によって得られた溶液から1−ヘキセンを分離する方法としては、例えば、蒸留等が挙げられる。
【0079】
工程1によって得られた溶液から蒸留によって1−ヘキセンを分離する場合、同時に該溶液に含まれる溶媒を分離してもよい。ここで、分離された溶媒は、工程1で用いる溶媒として再利用することができる。
【0080】
ここで、少なくとも一部の1−ヘキセンを分離するとは、工程1によって得られた溶液から1−ヘキセンの全量を分離してもよく、一部の1−ヘキセンを分離して、残存溶液中に一部の1−ヘキセンが残存していてもよい。1−ヘキセンを分離する際の分離する量として、好ましくは、工程1によって得られた1−ヘキセンの50重量%以上を分離することであり、より好ましくは、60重量%以上を分離することであり、更に好ましくは、70重量%以上を分離することである。
【0081】
[工程2’’]
工程2’’は、工程4によって得られた残存溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液(アルカリ性水溶液)とを接触させて、油水分離を行う工程である。
【0082】
工程2’’で用いるアルカリ性水溶液としては、上記工程2で用いるアルカリ性水溶液として例示したものと同じものを挙げることができる。
【0083】
工程4によって得られた残存溶液中には、工程1で用いた周期律表第4族の遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物に由来する金属成分が含まれている。この金属成分を水層に除去するために、工程4では、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液を用いる必要がある。金属水酸化物を含まない場合、または水溶液のpHが12.0未満である場合は、残存溶液から金属成分を水層に抽出させる際に、有機層と水層との分離性が不良となり、有機層と水層との分液操作が困難となり、金属成分の除去が困難となる。
【0084】
工程4によって得られた残存溶液と、アルカリ性水溶液とを接触させて、油水分離を行う際は、各種の抽出装置を使用して行うことができ、好ましくは、攪拌槽と静置分離槽とを使用して行う。
また、攪拌槽と静置分離槽とを使用する場合、これらの組み合わせは、1段であってもよく、多段あってもよい。また、回分式または連続式のいずれの抽出方式であってもよい。
【0085】
攪拌槽と静置分離槽とを使用して、工程4によって得られた残存溶液と、アルカリ性水溶液とを接触させて、油水分離を行う場合、工程4によって得られた残存溶液と、アルカリ性水溶液との重量比は、通常、(工程4によって得られた残存溶液の重量(g))/(アルカリ性水溶液の重量(g))=0.01〜100である。また、その際の処理温度は、通常、25〜60℃であり、処理時間は、通常、5〜120分である。
【0086】
工程2’’で得られた油層には、溶媒が含まれており、該油層から溶媒を蒸留によって回収して、工程1で用いる溶媒として再利用することができる。該油層には、アルカリ成分が混入していることがあり、蒸留を行う前に、水洗によって該アルカリ成分の除去を行ってもよい。
【0087】
工程2’’によって得られた水層は、金属成分を含むアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液は、工程2で用いるアルカリ性水溶液として再利用することができる。該アルカリ溶液を再利用する場合は、金属成分が蓄積されるため、該アルカリ溶液の一部(金属成分とともに)を系外に除去しながら、残りのアルカリ溶液を再利用し、除去した量のフレッシュなアルカリ性水溶液を加えて使用する。
【0088】
本発明において、工程1、工程4、及び工程2’’を有する1−ヘキセンの製造方法である場合、工程2’’によって、金属成分を水層に除去できるので、工程2’’で油水分離を行った後の油層をリサイクル使用する場合は、配管やポンプの内部、吸込口、吐出口等に金属成分が汚れ成分として析出することがないので、長期運転ができ、該油層を廃棄処分する場合は、廃油等の焼却時にバーナーノズル等に金属成分が汚れ成分として析出することによって、長期運転ができなくなることがない。
【実施例】
【0089】
以下に本発明を実施例により説明する。
【0090】
[参考例1]
下記式(1)で表されるチタン錯体(0.5mM トルエン溶液)0.0005mmol、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム製 MMAO−3A、1Mヘキサン溶液)5mmol、トルエン144mLを混合し、次いで容器内の圧力が3.2MPaになるようにエチレンを導入し、25℃で60分反応させる。反応後、2−エチル−1−ヘキサノールを50mmol 導入し、反応を停止させる。エチレンを脱圧し、反応液を得る。反応液には、下記式(1)で表されるチタン錯体0.0005mmol、メチルアルミノキサン5mmol、トルエン144mL、ヘキサン5mL、2−エチル−1−ヘキサノール50mmol、1−ヘキセン53.58g、デセン類2.85g、ポリエチレン0.57gが含まれている。


【0091】
[参考例2]
参考例1で得た反応液から、ろ過によりポリエチレンを除き、ろ液を得る。ろ液には、上記式(1)で表されるチタン錯体0.0005mmol、メチルアルミノキサン5mmol、トルエン144mL、ヘキサン5mL、2−エチル−1−ヘキサノール50mmol、1−ヘキセン53.58g、デセン類2.85gが含まれている。
【0092】
[実施例1]
(1)反応モデル油の調製
上記式(1)で表されるチタン錯体の1mMトルエン溶液0.43g、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム製 MMAO−3A、Alを5.4wt%含有するヘキサン溶液)2.80g、トルエン123.88g、2−エチル−1−ヘキサノール5.97g、1−デセン4.14gを混合した。混合液を反応モデル油とする。
【0093】
(2)アルカリ性水溶液との接触
上記(1)で調製した反応モデル油7.03g、1−ヘキセン3.07gおよびpH=13.3の水酸化ナトリウム水溶液4.97gを回転子を入れた20mLスクリュー管に入れ、5分間激しく攪拌し、その後2分間静置した。その結果、2層に分離していることが確認できた。
【0094】
[参考例3]
参考例2で得たろ液から、蒸留により1−ヘキセンおよびヘキサンを除去し、蒸留残渣を得る。蒸留残渣には、上記式(1)で表されるチタン錯体0.0005mmol、メチルアルミノキサン5mmol、トルエン144mL、2−エチル−1−ヘキサノール50mmol、デセン類2.85gが含まれている。
【0095】
[実施例2]
実施例1(1)で調製した反応モデル油10.02gおよびpH13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.05gを回転子を入れた20mLスクリュー管に入れ、5分間激しく攪拌し、その後2分間静置した。その結果、2層に分離していることが確認できた。
【0096】
[比較例1]
実施例2でpH13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.05gの代わりに、pH=11.8の水酸化ナトリウム水溶液5.01gを使用する以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、2層の間に白濁した層が観察された。
【0097】
[比較例2]
実施例2で反応モデル油10.02gおよびpH13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.05gの代わりに、反応モデル油10.01gおよびpH13.3のアンモニア水溶液5.01gを使用する以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、2層の間に白濁した層が観察された。
【0098】
[比較例3]
実施例2で反応モデル油10.02gおよびpH13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.05gの代わりに、反応モデル油9.99gおよびpH=11.0の炭酸ナトリウム水溶液5.09gを使用する以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、2層の間に白濁した層が観察された。
【0099】
[実施例3]
実施例2で反応モデル油10.02gおよびpH13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.05gの代わりに、反応モデル油1.02gおよびpH=13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.02gを使用する以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、2層に分離していることが確認された。
【0100】
[実施例4]
実施例2で反応モデル油10.02gおよびpH13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.05gの代わりに、反応モデル油0.11gおよびpH=13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.17gを使用する以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、2層に分離していることが確認された。
【0101】
[実施例5]
実施例2で反応モデル油10.02gおよびpH13.3の水酸化ナトリウム水溶液5.05gの代わりに、反応モデル油10.06gおよびpH=13.3の水酸化ナトリウム水溶液0.50gを使用する以外は実施例2と同様に実験を行った。その結果、2層に分離していることが確認された。
【0102】
[実施例6]
(1)1−ヘキセンの製造
十分にアルゴン置換した攪拌機付の200mLオートクレーブに、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム製 MMAO−3A、1Mヘキサン溶液)5.5mmol、トルエン95mLを混合し、次いで容器内の圧力が3.2MPaになるようにエチレンを導入した。下記式(1)で表されるチタン錯体(1.0mM トルエン溶液)0.0005mmolを導入した後、40℃で30分間攪拌した。反応後、2−エチル−1−ヘキサノール 1mL を導入し、反応を停止させた。0℃に冷却後、エチレンを脱圧し、反応溶液Aを得た。反応溶液Aには、1−ヘキセンが7.7重量%、アルミニウムが0.17重量%含まれ、チタンは測定検出限界以下であった。


【0103】
(2)アルカリ性水溶液との接触
反応溶液A20.04gおよびpH=12.8の水酸化ナトリウム水溶液10.01gを回転子を入れた50mLスクリュー管に入れ、5分間激しく攪拌し、その後2分間静置した。その結果、2層に分離していることが確認できた。また、分離後の油層には、アルミニウムおよびチタンは測定検出限界以下であった。
【0104】
[比較例4]
実施例6(2)で反応溶液A20.04gおよびpH=12.8の水酸化ナトリウム水溶液10.01gの代わりに、反応溶液A 19.99gおよびpH=11.1の水酸化ナトリウム水溶液10.00gを使用する以外は実施例6(2)と同様に実験を行った。その結果、2層の間に白濁した層が観察された。また、油層の採取が不可能なため、金属濃度の分析が不可能であった。
【0105】
[比較例5]
実施例6(2)で反応溶液A20.04gおよびpH=12.8の水酸化ナトリウム水溶液10.01gの代わりに、反応溶液A 20.03gおよびpH=13.3のアンモニア水溶液10.01gを使用する以外は実施例6(2)と同様に実験を行った。その結果、2層の間に白濁した層が観察された。また、油層の採取が不可能なため、金属濃度の分析が不可能であった。
【0106】
[実施例7]
(1)1−ヘキセンの製造
十分にアルゴン置換した攪拌機付の200mLオートクレーブに、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム製 MMAO−3A、1Mヘキサン溶液)5.5mmol、トルエン95mLを混合し、次いで容器内の圧力が3.2MPaになるようにエチレンを導入した。下記式(1)で表されるチタン錯体(1.0mM トルエン溶液)0.0005mmolを導入した後、40℃で30分間攪拌した。反応後、2−エチル−1−ヘキサノール 1mL を導入し、反応を停止させた。0℃に冷却後、エチレンを脱圧し、反応溶液A’を得た。反応溶液A’には、1−ヘキセンが5.4重量%含まれていた。
【0107】
(2)1−ヘキセンの分離
実施例7(1)で得た反応溶液A’を常圧下に蒸留し、1−ヘキセンを分離した。1−ヘキセンを分離後に残存した溶液を残存溶液Bとした。残存溶液Bには、1−ヘキセンが1.1重量%、アルミニウムが0.16重量%含まれ、チタンは測定検出限界以下であった。
【0108】
(3)アルカリ性水溶液との接触
残存溶液B20.02gおよびpH=12.8の水酸化ナトリウム水溶液10.04gを回転子を入れた50mLスクリュー管に入れ、5分間激しく攪拌し、その後2分間静置した。その結果、2層に分離していることが確認できた。また、分離後の油層には、アルミニウムおよびチタンは測定検出限界以下であった。
【0109】
[比較例6]
実施例7(3)で残存溶液B20.02gおよびpH=12.8の水酸化ナトリウム水溶液10.04gの代わりに、残存溶液B20.08gおよびpH=11.4の水酸化ナトリウム水溶液10.18gを使用する以外は実施例7(3)と同様に実験を行った。その結果、2層の間に白濁した層が観察された。また、油層の採取が不可能なため、金属濃度の分析が不可能であった。
【0110】
[比較例7]
実施例7(3)で残存溶液B 20.02gおよびpH=12.8の水酸化ナトリウム水溶液10.04gの代わりに、残存溶液B20.06gおよびpH=13.1のアンモニア水溶液10.04gを使用する以外は実施例7(3)と同様に実験を行った。その結果、2層の間に白濁した層が観察された。また、油層の採取が不可能なため、金属濃度の分析が不可能であった。
【0111】
[実施例8]
(1)1−ヘキセンの製造
十分にアルゴン置換した攪拌機付の200mLオートクレーブに、メチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム製 MMAO−3A、1Mヘキサン溶液)5.5mmol、トルエン95mLを混合し、次いで容器内の圧力が3.2MPaになるようにエチレンを導入した。下記式(2)で表されるチタン錯体(1.0mM トルエン溶液)0.0005mmolを導入後、40℃で30分間攪拌した。反応後、エタノール 1mL を導入し、反応を停止させた。0℃に冷却後、エチレンを脱圧し、反応溶液Cを得た。反応溶液Cには、1−ヘキセンが1.0 重量%、およびアルミニウムが0.32重量%含まれ、チタンは測定検出限界以下であった。


【0112】
(2)アルカリ性水溶液との接触
反応溶液C20.15gおよびpH=12.7の水酸化ナトリウム水溶液10.01gを回転子を入れた50mLスクリュー管に入れ、5分間激しく攪拌し、その後2分間静置した。その結果、2層に分離していることが確認できた。また、分離後の油層には、アルミニウムおよびチタンは測定検出限界以下であった。
【0113】
[実施例9]
(1)1−ヘキセンの分離
実施例8(1)で得られた反応溶液Cを常圧下に蒸留し、1−ヘキセンを分離した。1−ヘキセンを分離後に残存した溶液を残存溶液Dとした。残存溶液Dには、1−ヘキセンが0.1重量%含まれていた。
【0114】
(2)アルカリ性水溶液との接触
残存溶液D20.29gおよびpH=12.4の水酸化ナトリウム水溶液10.01gを回転子を入れた50mLスクリュー管に入れ、5分間激しく攪拌し、その後2分間静置した。その結果、2層に分離していることが確認できた。また、分離後の油層には、アルミニウムおよびチタンは測定検出限界以下であった。
【0115】
以上より、金属成分および1−ヘキセンを含む溶液または該溶液から1−ヘキセンを分離して得られた金属成分を含む溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させることによって、油水分離性が良好となり、金属成分を除去できることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中で、周期律表第4族の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物と、エチレンとを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液を得る工程(工程1)、及び工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させる工程(工程2)を有する1−ヘキセンの製造方法。
【請求項2】
工程2が、工程1によって得られた溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させて、1−ヘキセンを含む溶液と、水層とに分離する工程(工程2’)であり、さらに、工程2’によって得られた1−ヘキセンを含む溶液から1−ヘキセンを分離する工程(工程3)を有する請求項1に記載の1−ヘキセンの製造方法。
【請求項3】
工程2が、工程1によって得られた溶液から、少なくとも一部の1−ヘキセンを分離することによって、1−ヘキセンまたは1−ヘキセンを含む溶液と、少なくとも一部の1−ヘキセンが分離された残存溶液とを得る工程(工程4)、及び工程4によって得られた残存溶液と、金属水酸化物を含み、かつpHが12.0以上である水溶液とを接触させて、油水分離を行う工程(工程2’’)である請求項1に記載の1−ヘキセンの製造方法。
【請求項4】
周期律表第4族の遷移金属化合物が、チタン化合物、ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物である請求項1〜3いずれかに記載の1−ヘキセンの製造方法。
【請求項5】
有機アルミニウム化合物が、トリアルキルアルミニウム化合物、ハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、水素化アルキルアルミニウム化合物またはアルミノキサン化合物である請求項1〜4いずれかに記載の1−ヘキセンの製造方法。
【請求項6】
金属水酸化物が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムまたは水酸化カルシウムである請求項1〜5いずれかに記載の1−ヘキセンの製造方法。

【公開番号】特開2011−51973(P2011−51973A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170111(P2010−170111)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】