説明

1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−C]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジンの結晶形

本開示は、1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジン、その塩および溶媒和物の結晶形を提供する。本開示はまた、一般に、該結晶形を含む医薬組成物、並びにHIVおよび/またはAIDSの治療における該結晶形の使用方法、およびこのような結晶形を得る方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2005年12月14日に出願された米国仮出願番号60/750,247の優先権の利益を主張する。
【0002】
産業上の利用可能性の分野
本発明は、一般に、1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジンの結晶形に関する。本発明はまた、一般に、該結晶形を含む医薬組成物、並びにHIVおよび/またはAIDSの治療における該結晶形の使用方法、およびこのような結晶形を得る方法にも関する。
【0003】
発明の背景
HIV−1(ヒト免疫不全ウイルス−1)感染は、重大な医療問題として残され、2002年の終わりには世界中で、推定4200万人が感染している。HIVおよびAIDS(後天性免疫不全症候群)の症例数は、急速に増加している。2002年において、〜500万の新たな感染が報告され、310万人がAIDSで亡くなった。HIVの治療のための現在利用可能な薬物には、
9種のヌクレオシド逆トランスクリプターゼ(RT)阻害薬または認可シングルピル併用:ジドブジンまたはAZT(またはレトロビル(登録商標))、ジダノシン(またはヴァイデックス(登録商標))、スタブジン(またはゼリット(登録商標))、ラミブジン(または3TCまたはエピビル(登録商標))、ザルシタビン(またはDDCまたはハイビッド(登録商標))、コハク酸アバカビル(またはザイアジェン(登録商標))、フマル酸テノホビルジソプロキシル(またはビリアード(登録商標))、コンビビル(登録商標)(AZTを加えた3TCを含有)、トリジビル(Trizivir)(登録商標)(アバカビル、ラミブジンおよびジドブジンを含有);
3種の非ヌクレオシド逆トランスクリプターゼ阻害薬:ネビラピン(またはビラミューン(登録商標))、デラビルジン(またはレスクリプター(登録商標))およびエファビレンツ(またはサスティバ(Sustiva)(登録商標));
8種のペプチド模倣プロテアーゼ阻害薬または認可製剤:サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、カレトラ(登録商標)(ロピナビルおよびリトナビル)、およびアタザナビル(レイアタッツ(登録商標))が含まれる。これらの各薬物は、単独で用いるとウイルス複製を一時的にしか抑制できない。しかしながら併用した場合は、これらの薬物はウイルス血症および疾患進行に対し十分な効果を有する。実際、併用療法の広範囲にわたる適用の結果として、AIDS患者の中の死亡率の著しい減少が最近証明されてきた。しかし、これらの印象的な結果にもかかわらず、結局、30〜50%の患者が薬物併用療法に失敗している。不十分な薬効、非コンプライアンス、限られた組織浸透および特定細胞型内の薬物−特異的制限(たとえば、ほとんどのヌクレオシド類縁体は、休止細胞においてリン酸化され得ない)は、敏感なウイルス(sensitive virus)の不完全抑制の原因となりうる。さらに、変異の頻繁な取込みを兼ねたHIV−1の速い複製速度やすばやい代謝回転(turnover)は、準最適薬物濃度である場合に、薬剤耐性変異体の出現および処置ミスをもたらす(LarderおよびKemp ; Gulick ; Kuritzkes ; Morris−Jonesら;Schinaziら; Vaccaおよび Condra ; Flexner ; Berkhoutおよび Renら;(Ref. 6-14))。従って、より多くの治療の選択肢を提供するために、別個の耐性パターン、および好都合な薬物動態並びに安全性プロフィールを示す新規抗HIV薬が必要である。
【0004】
2005年2月25日に出願された米国出願番号11/066,745(2004年12月10日に出願された米国仮出願番号60/635,231および2004年3月15日に出願された60/553,320の優先権の利益を主張し、その全体が本明細書に引用される)は、式:
【化1】

[式中、
Xは、CまたはNであるが、但し、XがNである場合、R1は存在せず;
Wは、CまたはNであるが、但し、WがNである場合、R2は存在せず;
Vは、Cであり;
1は、水素、メトキシまたはハロゲンであり;
2は、水素であり;
3は、メトキシまたはヘテロアリールであり、その各々は独立して、Gから選択される一つの置換基で適宜置換されていてもよく;その中で、ヘテロアリールは、トリアゾリル、ピラゾリルまたはオキサジアゾリルであり;
Eは、水素またはその医薬的に許容されるモノもしくはジ塩であり;
Yは、
【化2】

からなる群より選択され;
10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17は各々独立して、Hまたはメチルであるが、但し、R10−R17の多くて2つがメチルであり;
18は、C(O)−フェニル、C(O)−ピリジニル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、フタラジニル、アザベンゾフリルおよびアザインドリルからなる群より選択され、その各々は独立して、メチル、−アミノ、−NHMe、−NMe2、メトキシ、ヒドロキシメチルおよびハロゲンからなる群より選択される基の1〜2個で適宜置換されていてもよく;
Dは、シアノ、S(O2)R24、ハロゲン、C(O)NR2122、フェニルおよびヘテロアリールからなる群より選択され;その中で、該フェニルまたはヘテロアリールは独立して、1〜3個の同一もしくは異なるハロゲンで、またはGから選択される1〜3個の同一もしくは異なる置換基で適宜置換されていてもよく;ヘテロアリールは、ピリジニルおよびオキサジアゾリルからなる群より選択され;
Aは、フェニル、ピリジニル、フリル、チエニル、イソキサゾリルおよびオキサゾリルからなる群より選択され、その中で、該フェニル、ピリジニル、フリル、チエニル、イソキサゾリルおよびオキサゾリルは独立して、1〜3個の同一もしくは異なるハロゲンで、またはGから選択される1〜3個の同一もしくは異なる置換基で適宜置換されていてもよく;
Gは、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルケニル、フェニル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロゲン、−NR23C(O)−(C1-6)アルキル、−NR2425、−S(O)2NR2425、COOR26および−CONR2425からなる群より選択され;その中で、該(C1-6)アルキルは、ヒドロキシ、ジメチルアミノまたは1〜3個の同一もしくは異なるハロゲンで適宜置換されており;
26は、水素および(C1-6)アルキルからなる群より選択され;
20、R21、R22、R23、R24、R25は独立して、水素、(C1-6)アルキルおよび−(CH2nNR2728からなる群より選択され;
nは、0〜6であり;および
27およびR28は各々独立して、Hまたはメチルである]
の化合物類(またはその医薬的に許容される塩)を開示する。
【0005】
米国出願番号11/066,745はまた、化合物
【化3】

も明確に開示する。
【0006】
形態が異なると、別の物理的および/または化学的特性を有しうるので、化合物 1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジン(IUPAC名:(3−((4−ベンゾイルピペラジン−1−イル)(オキソ)アセチル)−4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル)メチル 二水素リン酸エステル)、その塩および溶媒和物の別の形態が必要である。長期の保存等のためには、1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジン、その塩および溶媒和物の安定な形態を生成する必要もある。その実行可能な商品化を可能とするためには、製造、精製、および製剤化のための信頼性が高く再現可能な方法も必要である。
【0007】
発明の概要
本発明は、1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジン、その塩および溶媒和物の結晶形を提供する。これらの結晶形の態様には、本明細書で−01−H2−1型、−02−SA−1型、−03−E.5−1型、−03−SA−2型、および−03−DSA−2型等としての特徴を有するものが含まれる。特定の形態、例えば「−01−H2−1」等の特徴を有するように本明細書で用いられる名前は、類似または同一の物理的および化学的特徴を有するいずれの他の物質についても制限するものとみなされるべきではなく、むしろこれらの名称は、本明細書でも与えられる特徴情報に従って解釈されるべき識別子に過ぎないことが理解されるべきである。
【0008】
1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジンは、本明細書で化合物(I)として識別され、式(I):
【化4】

(I)
によって記載される。
【0009】
第1の態様において、本開示は、01−H2−1型の化合物(I)を含む化合物(I)の結晶形に関する。第2の態様において、本開示は、02−SA−1型の化合物(I)を含む化合物(I)の結晶形に関する。第3の態様において、本開示は、03−E.5−1型の化合物(I)を含む化合物(I)の結晶形に関する。
【0010】
第4の態様において、本開示は、03−SA−2型の化合物(I)を含む化合物(I)の結晶形に関する。第5の態様において、本開示は、03−DSA−2型の化合物(I)を含む化合物(I)の結晶形に関する。本開示のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な記載からより明らかとなる。
【0011】
発明の詳細な説明
本開示は、少なくとも一部分において、化合物(I)、その塩および溶媒和物の結晶形を提供する。本開示はまた、一般に、該結晶形を含む医薬組成物、並びにHIVおよび/またはAIDSの治療における該結晶形の使用方法、およびこのような結晶形を得る方法にも関する。化合物(I)は、1−ベンゾイル−4−[2−[4−メトキシ−7−(3−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−[(ホスホノオキシ)メチル]−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−3−イル]−1,2−ジオキソエチル]−ピペラジンである。本明細書で化合物(I)は、式(I):
【化5】

(I)
によって記載される。
【0012】
定義
本明細書中で用いられるように、「多形」とは、同一の化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子、および/またはイオンの異なった空間配置を有する結晶形をいう。
【0013】
「溶媒和物」とは、結晶格子構造の中に組み込まれる溶媒分子をさらに含む分子、原子、および/またはイオンの結晶形をいう。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的配置および/または非規則的配置で存在しうる。溶媒和物は、量論溶媒分子量または非量論溶媒分子量を含みうる。例えば、非量論溶媒分子量の溶媒和物は、溶媒和物から溶媒が一部喪失した結果生じうる。溶媒和物は、結晶格子構造の中で一つより多くの分子または化合物(I)を含むダイマーまたはオリゴマーとして生じうる。
【0014】
本明細書で用いられるように、「非晶質の」とは、結晶性ではない分子、原子、および/またはイオンの固形をいう。非晶質固形物は、明確な(definitive)X線回折パターンを示さない。
【0015】
本明細書中で用いられるように、「実質的に純粋」は、結晶形に関連して用いられる場合に、化合物の重量に基づいて、化合物(I)の90重量パーセント超、例えば90、91、92、93、94、95、96、97、98、および99重量パーセント超、また例えば約100重量パーセントと同等の純度を有する化合物を意味する。残りの物質には、化合物の他の形態、並びに/あるいは反応不純物および/またはその製造で生じる製造不純物が含まれる。例えば、化合物(I)の結晶形は、90重量パーセント超の純度を有する場合に実質的に純粋であると見なされうるが、それは残りの10重量パーセント未満の物質には、化合物(I)の他の形態および/または反応不純物および/または製造不純物が含まれるという、当該技術分野において現時点で公知であり一般に受け入れられている方法によって測定されるからである。
【0016】
本明細書で用いられる用語「医薬的に許容される」とは、正常な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または合理的な損益比(benefit/risk ratio)に見合った他の問題の合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させるのに適した化合物、物質、組成物、および/または製剤をいう。特定の好ましい態様において、化合物(I)またはその塩もしくは溶媒和物の各々は、実質的に純粋な形態である。
【0017】
本明細書で用いられる用語「実質的に(substantially in accordance)」は、例えば装置の制限(instrumentation limitation)および装置のバリエーション(instrumentation variation)などの変更を考慮した場合に、当業者が同一であるとみなすことを意味する。
【0018】
本明細書で用いられる用語「実質的に純粋な結晶」とは、支配的な量の単一多形および適宜少量の一つまたはそれ以上の他の多形の存在を示す、実質的に純粋な相均一性を備えている結晶形のサンプルをいう。サンプル中の一つより多い多形の存在は、粉末X線回折(PXRD)または固体核磁気共鳴法のような技術によって決定されうる。例えば、実験で測定されたPXRDパターンとシミュレーションされたPXRDパターンの比較において、余分なピークの存在によって、サンプル中の一つより多い多形の存在が示唆されうる。シミュレーションされたPXRDPXRDは、単一の結晶X線データから計算されうる。Smith, D.K., 「A FORTRAN Program for Calculating X-Ray Powder Diffraction Patterns」, Lawrence Radiation Laboratory, Livermore, California, UCRL-7196 (April 1963)を参照せよ。
【0019】
用語「スラリー」は、本明細書中で用いられるように、化合物の飽和溶液を意味し、それはまた追加量の化合物を含んで、所定の温度で化合物および溶媒の不均一な混合物を与えうる。
【0020】
「治療上の有効量」は、HIVおよびAIDSを治療するために単独または併用して投与された場合に有効な化合物(I)の結晶形の量を含むものと意図される。化合物(I)の結晶形およびその医薬組成物は、HIVまたはAIDSの治療に有用でありうる。化合物(I)が別の薬物と併用して用いられる場合、本明細書に記載される化合物の組合せは、相乗的な組合せをもたらしうる。例えばChou and Talalay, Adv. Enzyme Regul. 1984, 22, 27-55に記載されている相乗作用は、併用して投与される場合の化合物の効果が、単剤として単独で投与される場合の化合物の相加効果よりも大きい場合に生じる。
【0021】
本明細書で用いられるように、「治療(treating)」または「治療(treatment)」は、哺乳類、特にヒトにおける症状の治療を含み、以下を含む:
(a)哺乳類、特に、症状にかかりやすいが、まだそれを有しているとは診断されていない哺乳類において、その症状が発生するのを予防すること;
(b)症状の抑制、すなわち、その進行の抑止;および/または
(c)症状の軽減、すなわち、症状の後退を引き起こすこと。
【0022】
化合物(I)の合成:
有機合成の当業者に周知の方法、並びにその全体が本明細書に引用されている共有(commonly owned)の米国非仮特許出願番号11/066,745(2005年2月25日に出願)に記載された方法を用いて、化合物(I)は製造されうる。
【0023】
結晶性物質の一般的な製造:
結晶形の製造方法は、当該技術分野で公知である。結晶形は様々な方法によって製造されうるが、それには、例えば、適当な溶媒からの結晶化または再結晶化、昇華、融解からの成長、固体以外から固体への状態変換、超臨界流体からの結晶化、および噴射スプレーが含まれる。溶媒混合物からの結晶形の結晶化または再結晶化のための技術には、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子および/または塩の過飽和溶媒混合物への種晶の付加、溶媒混合物の凍結乾燥、および溶媒混合物への貧溶媒(逆溶媒(countersolvent))の付加が含まれる。ハイスループット結晶化技術は、多形を含む結晶形の製造に用いられうる。
【0024】
多形を含む薬物の結晶、製造方法、および薬物の結晶の評価は、Solid-State Chemistry of Drugs, S. R. Byrn, R.R. Pfeiffer, and J.G. Stowell, 2nd Edition, SSCI, West Lafayette, Indiana (1999)において議論される。
【0025】
溶媒を用いる結晶化技術のために、溶媒の選択は一般に一つまたはそれ以上の因子に依存し、その因子は例えば、化合物の溶解度、結晶化技術、および溶媒の蒸気圧である。溶媒は組み合わせて用いてもよく、例えば、化合物は第一の溶媒の中に可溶化されて溶液を得、続いて貧溶媒の付加によって溶液中の化合物の溶解度を減少させ、結晶の形成が得られうる。貧溶媒は、化合物が低溶解度を有する溶媒である。
【0026】
結晶を製造するための適当な溶媒には、極性および非極性溶媒が含まれる。結晶化のための溶媒の例には、例えば、トルエン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、ジエチルエーテル、メチル第三ブチルエーテル、トリエチルアミン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、酢酸エチル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、ジクロロメタン、エタン酸ブチル、1−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−プロパノール、1−オクタノール、エタノール、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、アセトニトリル、ブタンニトリル、エチレングリコール、メタノール、ジエチルアミン、グリセロール、水、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸t−ブチル、ヘキサクロロアセトン、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、ジエチレングリコール、1−、2−、もしくは3−ペンタノール、2−メチル−l−プロパノール、および2−ブタノールが含まれる。
【0027】
結晶を製造するための一つの方法において、化合物は適当な溶媒の中で懸濁および/または撹拌されてスラリーを与えるが、それは加熱されて溶解を促進しうる。
【0028】
種晶はいずれの結晶化混合物にも加えられ、結晶化を促進しうる。種晶の添加は、特定の多形の成長を調節し、または結晶性生成物の粒子サイズ分布を調節するのに用いてもよい。したがって、必要な種晶の量の計算は、利用できる種晶のサイズおよび平均的な生成物粒子の目的のサイズに依存し、これは例えば、「Programmed Cooling of Batch Crystallizers」, J. W. Mullin and J. Nyvlt, Chemical Engineering Science, 1971, 26, 369-377に記載されている。一般に、小さなサイズの種晶は、バッチにおける結晶の成長を効果的に調節するのに必要である。小さなサイズの種晶は、大きな結晶のふるい分け、粉砕、または微粉化、あるいは溶液の微結晶化によって生成しうる。結晶の粉砕または微粉化は、目的の結晶形からの結晶化度においていずれの変化(すなわち、アモルファスまたは別の多形への変化)ももたらさないことに注意を払うべきである。
【0029】
冷却された結晶化混合物は真空下でろ過されてもよく、単離された固体は適当な溶媒、例えば冷却した再結晶溶媒で洗浄してもよく、窒素でパージしながら乾燥して目的の結晶形を得てもよい。単離された固体は、適当な分光学的技術または分析技術、例えば、固体核磁気共鳴法、示差走査熱量測定、粉末X線回折などによって分析し、生成物の好ましい結晶形の形成を確かめてもよい。生じた結晶形は、典型的には、本来結晶化の手順において用いられる化合物の重量に基づいて、単離収率約70重量パーセント超、好ましくは単離収率90重量パーセント超の量で製造される。生成物は、必要であればともに粉砕され、または網目スクリーンを通過して生成物を粉々にしてもよい。
【0030】
結晶形は、化合物(I)を製造するための最終段階の反応系から直接製造されうる。これは、例えば化合物(I)が結晶化されうる溶媒または溶媒混合物を、本方法の最終段階で用いることによって達成されうる。もう一つの方法として、結晶形は蒸留または溶媒付加技術によって得られうる。この目的のための適当な溶媒には、例えば前述の非極性溶媒および極性溶媒、並びにアルコールのようなプロトン性極性溶媒、およびケトンのような非プロトン性極性溶媒が含まれる。
【0031】
評価:
化合物(I)、その塩および溶媒和物の結晶形は、多数の方法、例えばこれらに限らないが、粉末X線回折(PXRD)、シミュレーションされた粉末X線パターン(Yin. S.; Scaringe, R. P.; DiMarco, J.; Galella, M. and Gougoutas, J. Z., American Pharmaceutical Review, 2003, 6,2, 80)、示差走査熱量測定(DSC)実験、固体C−13 NMR測定(W.L. Earl and D.L. VanderHart, J. Magn. Reson., 1982, 48, 35-54)、ラマン分光法、赤外分光法、吸湿等温線(VTI−−可変温度等温線(variable temperature isotherm))、および高温技術(hot stage technique)によって評価されうる。
【0032】
形態は、単結晶X線回折を用いて評価および識別してもよく、それは一定の分析温度での特定の形態の単結晶の単位格子測定に基づいている。単位格子の詳細な記載は、Stout & Jensen, X-Ray Structure Determination: A Practical Guide, Macmillan Co., New York (1968), Chapter 3 において与えられ、それは本明細書に引用される。あるいは、結晶格子内の空間関係における固有の原子配置を、測定された部分原子座標に従って評価してもよい。結晶構造を評価する別の方法は、回折プロファイルが、純粋な粉末物質を表すシミュレーションされたプロファイルと比較される(両者は同一の分析温度で行われる)粉末X線回折解析による方法、および一連の2θ値を特徴とする対象の形態(subject form)についての測定による方法である。
【0033】
X線回折パターンが、用いられた測定条件に依存する測定誤差と共に得られうることは、当業者が認識している。特に、X線回折パターンにおける強度が、用いられた測定条件に依存して変動しうることは、一般に公知である。相対強度もまた、実験条件に依存して変化しうることはさらに理解されるべきであり、したがって、強度の正確な順は考慮されるべきではない。また、通常のX線回折パターンについての回折角の測定誤差は、典型的には約5%またはそれ未満であり、前記回折角に関してこの程度の測定誤差は考慮されるべきである。したがって、本発明の結晶形が、本明細書で開示された添付図に描かれたX線回折パターンと完全に同一のX線回折パターンを与える結晶形に限らないことは理解されるべきである。添付図に開示されたものと実質的に同一のX線回折パターンを与えるいずれの結晶形も、本発明の範囲内にある。X線回折パターンの実質的同一性を確認する能力は、当業者の範囲内にある。
【0034】
同様に、添付図に開示されたものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、および/または吸湿等温線パターンを与えるいずれの結晶形も本発明の範囲内にあることは理解されるべきである。これらのパターンの実質的同一性を確認する能力は、当業者の範囲内にある。
【0035】
有用性:
化合物(I)、その塩および溶媒和物の結晶形は、単独または他の化合物と併用して、AIDSおよび/またはHIV感染を治療するのに用いられうる。
【0036】
本発明の結晶形を、一つまたはそれ以上の賦形剤または他の物質と共に製剤化して、上記で特定される適応症(indication)の治療に適した製剤を得てもよい。
【0037】
本発明の結晶形を様々な経路で投与してもよく、投与前に様々な溶媒に溶解してもよい。本発明によればさらに、ウイルス感染、たとえばHIV感染やAIDSを治療する方法および医薬組成物が提供される。該治療は、このような治療を必要とする患者に対し、医薬担体および本開示の結晶形の治療上の有効量を含む医薬組成物を投与することが必要である。
【0038】
医薬組成物は、経口投与しうる懸濁液または錠剤;鼻腔噴霧剤、殺菌注射用製剤、たとえば殺菌注射用水性もしくは油性懸濁液;または坐剤の形状であってよい。
【0039】
懸濁液で経口投与する場合、これらの組成物は医薬処方の分野で周知の技法に従って調製され、そして、増量のための微結晶セルロース、沈殿防止剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および当該分野で公知の甘味剤および/またはフレーバーを含有してもよい。即時放出錠剤としてのこれらの組成物は、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、スターチ、ステアリン酸マグネシウムおよびラクトースおよび/または当該分野で公知の他の賦形剤、結合剤、エキステンダー、崩壊剤、希釈剤および潤滑剤を含有してもよい。
【0040】
注射用溶液または懸濁液は、公知の技法に従って、適当な非毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶剤、たとえばマンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液もしくは等張性塩化ナトリウム溶液、または適当な分散もしくは湿潤および沈殿防止剤、たとえば殺菌性で刺激の少ない固定油(合成モノもしくはジグリセリドを包含)、および脂肪酸(オレイン酸を包含)を用いて処方されてもよい。
【0041】
化合物(I)は、無溶媒型、溶媒和物および/または水和物としての新規結晶形で存在しうる。化合物(I)の溶媒和物の製造において、様々な溶媒が用いられうる。好ましい溶媒には、例えば、極性溶媒(例えば極性プロトン性および極性非プロトン性溶媒)が含まれる。好ましい形態で、製造中に用いられる溶媒には、例えば、DMFまたはアセトン、好ましくはアセトンが含まれる。溶媒和物中の溶媒に対する化合物(I)の比は変化し、例えば、選択された特定の溶媒および溶媒和物の製造方法に依存しうる。好ましくは、溶媒和物は、一溶媒和物、半溶媒和物、不定比または二溶媒和物である。
【0042】
略語
以下に示す略語(これらのほとんどは、当業者にとって周知の通常の略語である)を、本発明の説明および実施例を通じて使用する。使用する略語の幾つかは、以下の通りである。
h=時間
rt=室温
mol=モル
mmol=ミリモル
g=グラム
mg=ミリグラム
mL=ミリリットル
TFA=トリフルオロ酢酸
DCE=1,2−ジクロロエタン
CH2Cl2=ジクロロメタン
TPAP=過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム
THF=テトラヒドロフラン
DEPBT=3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン
DMAP=4−ジメチルアミノピリジン
P−EDC=ポリマー支持1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
EDC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
ヒューニッヒ塩基=N,N−ジイソプロピルエチルアミン
mCPBA=メタ−クロロ過安息香酸
アザインドール=1H−ピロロ−ピリジン
4−アザインドール=1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
5−アザインドール=1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン
6−アザインドール=1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン
7−アザインドール=1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
PMB=4−メトキシベンジル
DDQ=2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
OTf=トリフルオロメタンスルホンオキシ
NMM=4−メチルモルホリン
PIP−COPh=1−ベンゾイルピペラジン
NaHMDS=ナトリウムヘキサメチルジシラジド
EDAC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
TMS=トリメチルシリル
DCM=ジクロロメタン
DCE=ジクロロエタン
MeOH=メタノール
THF=テトラヒドロフラン
EtOAc=酢酸エチル
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
TMP−Li=2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルリチウム
DME=ジメトキシエタン
DIBALH=水素化ジイソブチルアルミニウム
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
CBZ=ベンジルオキシカルボニル
PCC=クロロクロム酸ピリジニウム
Me=メチル
Ph=フェニル
【0043】
本明細書に記載された化合物(I)の結晶性物質は、医薬組成物に製剤化され、および/または、治療方法および/または予防方法に用いられうる。これらの方法には、これらに限らないが、単独または一つもしくはそれ以上の他の医薬活性剤(例えば本明細書に記載した障害の治療に有用でありうる薬剤)と併用した結晶性の化合物(I)の投与が含まれる。
【0044】
本発明は、好ましくは一つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体および/または賦形剤と併用して、本発明の新規結晶の医薬的な有効量を患者に投与することを特徴とするのが好ましい。活性成分並びに担体および/または賦形剤の相対的な割合は、例えば、物質の溶解度および化学的性質、選択された投与経路および標準的な医薬実務によって決定されうる。
【0045】
化合物(I)の結晶形は、錠剤、カプセル剤(その各々は、持続的放出製剤または徐放性製剤を含む)、ピル、パウダー、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ、および乳剤のような経口製剤で患者に投与されうる。これらはまた、静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮下、または筋肉内への形態で投与されてもよく、すべて医薬技術における当業者に周知の製剤が使用される。これらは単独で投与されてもよいが、一般に、選択された投与経路および標準的な医薬実務に基づいて選択された医薬担体と共に投与される。
【0046】
化合物(I)の結晶形についての投与計画は、もちろん公知の要因、例えば特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法および投与経路;受容者の生物種、年齢、性別、健康、病状、および体重;症状の性質および程度;同時治療の種類;治療の頻度;投与経路、患者の腎機能および肝機能、並びに望まれる効果によって変化する。医師または獣医師は、血栓塞栓性障害の進行の予防、対抗(counter)、または抑止するのに必要な薬物の有効量を決定および処方しうる。明らかに、いくつかの単位製剤は、ほぼ同じ時間に投与されうる。予防または治療に最も適した化合物(I)の結晶形の投与量は、投与の形態、選択された化合物の特定の結晶形および治療中の特定の患者の生理的特徴と共に変化しうる。概して言えば、最初は少用量を用い、必要であれば、該状況下で目的の効果に達するまで、少しずつ増やしてもよい。
【0047】
一般的なガイダンスによれば、成人では、適当な用量は、約0.001から約1000mg/Kg(体重)の範囲にわたってもよく、並びにその中の範囲および特定の用量のすべてのコンビネーション(組合せ)およびサブコンビネーションであってもよい。好ましい投与量は、吸入によって1日あたり約0.01から約100mg/kg(体重)、経口投与によって1日あたり、好ましくは0.1から70、より好ましくは0.5から20mg/Kg(体重)、および静脈内投与によって1日あたり約0.01から約50、好ましくは0.01から10mg/Kg(体重)でありうる。各々の特定の場合において、用量は、治療されるべき対象に特有の要因、例えば年齢、体重、一般的な健康状態および医薬品の有効性に影響を及ぼしうる他の特徴に従って決定されうる。化合物(I)の結晶形は、1日1回の用量で投与されるか、または1日の総用量が、1日2回、3回、または4回の分割用量で投与されうる。
【0048】
錠剤またはカプセルのような固形製剤での経口投与について、化合物(I)の結晶形を、無毒の医薬的に許容される不活性担体、例えば乳糖、デンプン、ショ糖、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム(dicalcium phosphate)、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等と併用してもよい。
【0049】
好ましくは、活性成分に加えて、固形製剤には、本明細書で「賦形剤」と呼ばれる多数の別の成分が含まれうる。これらの賦形剤には、とりわけ希釈剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤および崩壊剤が含まれる。着色料もまた組み入れられてもよい。本明細書で用いられる「希釈剤」は、製剤にかさ(bulk)を与えて、錠剤を圧縮するのに実用的な大きさにする薬剤である。希釈剤の例は、乳糖およびセルロースである。本明細書で用いられる「結合剤」は、粉末状物質に粘着性の性質を与えて、圧縮後に錠剤が損なわれていないようにし、並びに粉末の自由流動性を改善するのに用いられる薬剤である。典型的な結合剤の例は、乳糖、デンプンおよび様々な糖である。本明細書で用いられる「滑沢剤」は、いくつかの機能、例えば圧縮装置への錠剤の付着を防止し、圧縮またはカプセル封入前の造粒の流れ(flow)を改善する機能を有する。滑沢剤はほとんどの場合、疎水性の物質である。しかしながら、滑沢剤の過剰使用は望ましくない。なぜなら、分解が低下し、および/または薬物(drug substance)の溶解が遅れる製剤をもたらしうるからである。本明細書で用いられる「流動促進剤」とは、造粒物質の流動特性を改善しうる物質をいう。流動促進剤の例には、タルクおよびコロイド性の二酸化ケイ素が含まれる。本明細書で用いられる「崩壊剤」は、製剤に加えられて、投与後に該固形製剤の分散(breakup)または崩壊を促進する物質または物質の混合物である。崩壊剤として役立ちうる物質には、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴムおよび架橋ポリマーが含まれる。「超崩壊剤」と呼ばれる崩壊剤のグループは、一般に固形製剤中、低濃度で用いられ、典型的には単位製剤の全重量に対して1重量%から10重量%である。クロスカルメロース、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムは、それぞれ架橋セルロース、架橋ポリマーおよび架橋デンプンの例を表す。デンプングリコール酸ナトリウムは、30秒未満で7倍から12倍にふくれて、それを含む造粒物(granulation)を効率よく崩壊させる。
【0050】
本発明で好ましく用いられる崩壊剤は、加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムおよびクロスポビドンを含む群から選択される。本発明におけるより好ましい崩壊剤は、加工デンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウムである。
【0051】
好ましい担体には、本明細書に記載される固形医薬製剤を含むカプセル剤または圧縮錠剤が含まれる。好ましいカプセルまたは圧縮錠剤型には、一般に、カプセルの内容物の全重量または錠剤の全重量に対して約10重量%超の量で、化合物(I)の結晶形の治療上の有効量および一つまたはそれ以上の崩壊剤が含まれる。
【0052】
好ましいカプセル製剤には、カプセルあたり約5から約1000mgの量で化合物(I)の結晶形が含まれうる。好ましい圧縮錠剤の製剤には、錠剤あたり約5mgから約800mgの量で化合物(I)の結晶形が含まれる。より好ましい製剤には、カプセルまたは圧縮錠剤あたり約50から約200mgが含まれる。好ましくは、カプセルまたは圧縮錠剤の医薬製剤には、化合物(I)の結晶形の治療上の有効量;界面活性剤;崩壊剤;結合剤;滑沢剤;および適宜、別の医薬的に許容される賦形剤、例えば希釈剤、流動促進剤などが含まれ;その中で崩壊剤は、加工デンプン;クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムおよびクロスポビドンから選択される。
【0053】
液体形態の経口投与について、化合物(I)の結晶形は、いずれの経口の無毒性の医薬的に許容される不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などとも併用されうる。液体組成物には、該組成物をより口に合うようにする甘味料が含まれうる。甘味料は、糖、例えばショ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、乳糖など、または糖の代用品(sugar substitute)、例えばシクラミン酸、サッカリン、アスパルテームなどから選択されうる。糖の代用品が甘味料として選択される場合、本発明の組成物に用いられる量は、糖が用いられる場合よりも実質的に少ない。これを考慮すれば、甘味料の量は、約0.1から約50重量%の範囲にわたってもよく、並びにその中の範囲および特定の量のすべてのコンビネーション(組合せ)およびサブコンビネーションであってもよい。好ましい量は、約0.5から約30重量%の範囲にわたる。
【0054】
より好ましい甘味料は、糖、特にショ糖である。用いられる粉末ショ糖の粒径が、最終組成物の外観(physical appearance)、および味についてのその最終的な許容性(ultimate acceptance)に重大な影響を及ぼすことが見出されてきた。用いられるショ糖成分の好ましい粒径は、200から325メッシュ(米国標準篩(US Standard Screen))未満の範囲にあり、並びにその中の範囲および特定の粒径のすべてのコンビネーション(組合せ)およびサブコンビネーションである。
【0055】
無菌注射液は、必要に応じて本明細書で列挙される様々な他の成分と共に、適当な溶媒中に化合物(I)の結晶形の必要量を組み入れ、続いて無菌化濾過(filtered sterilization)することによって製造されうる。一般に、分散剤は、無菌化した活性成分を、分散媒質およびいずれの他の必要な成分も含む無菌ベヒクルに組み入れることによって製造されうる。無菌注射液の製造用無菌パウダー(sterile powder)の場合、好ましい製造方法には、減圧乾燥および凍結乾燥技術が含まれていてもよく、それによって、活性成分に、そのあらかじめ無菌化濾過した溶液からのいずれの別の目的成分も加えた粉末が生じうる。
【0056】
いったん本開示の記載(teaching)が与えられれば(armed)、当業者にとって明らかであるように、溶解した場合、化合物(I)はその結晶構造を失い、その結果、化合物(I)の溶液とみなされる。しかしながら、本発明のすべての形態は、化合物(I)が、例えば溶解され、または懸濁されうる液体製剤の製造に用いられてもよい。また、化合物(I)の結晶形は、固形製剤に組み入れられてもよい。
【0057】
また液体組成物には、医薬組成物の製剤化に通常利用される他の成分も含まれうる。このような成分の一つの例は、レシチンである。それは、0.05から1重量%の範囲にあり、並びにその中の範囲および特定の量のすべてのコンビネーション(組合せ)およびサブコンビネーションである乳化剤として、本発明の組成物に用いられる。より好ましくは、乳化剤は、約0.1から約0.5重量%の量で用いられうる。用いられうる成分の他の例は、抗菌防腐剤、例えば安息香酸またはパラベン;懸濁剤、例えばコロイド二酸化ケイ素;抗酸化剤;経口局所麻酔薬;香料;および着色料である。
【0058】
このような任意の成分の選択および本発明の組成物中のその使用濃度(level)は、当該技術分野の水準の範囲内であり、下記の実施例からさらに良く理解される。
【0059】
化合物(I)の結晶形はまた、ターゲティング可能な薬物担体としての可溶性ポリマーともカップリングされうる。このようなポリマーには、ポリビニルピロリジンピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルトアミドフェノールまたはパルミトイル基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジンが含まれうる。化合物(I)の結晶形のゼラチンカプセル剤には、結晶性の化合物(I)および本明細書に記載された液体もしくは固形成分が含まれうる。またゼラチンカプセル剤には、粉末担体、例えば乳糖、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸なども含まれうる。類似の希釈剤を用いて、圧縮錠剤を作成してもよい。錠剤とカプセル剤は両方とも、持続放出性製剤として製造されて、数時間かけて薬物を連続的に放出しうる。錠剤は、糖衣またはフィルムコーティングされて、いずれの不快な味もマスクし、かつ大気から錠剤を保護するか、または腸溶コーティングされて、胃腸管(gastrointestinal track)内で選択的に崩壊しうる。
【0060】
一般に、水、適当な油、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)、および関連する糖溶液およびグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが、非経口溶液に適した担体である。非経口溶液のための溶液は、担体中に結晶性エファビレンツを溶解し、必要であれば、緩衝物質を加えることによって製造される。単独または併用した抗酸化剤、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸は、適当な安定化剤である。クエン酸およびその塩並びにEDTAナトリウムもまた用いられうる。また非経口溶液には、防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピル−パラベンおよびクロロブタノールも含まれうる。
【0061】
適当な医薬担体は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.に記載されており、本明細書によって、その開示はその全体が本明細書に引用される。
【0062】
化合物(I)の好ましい結晶形を、本発明の成分(a)として用いてもよく、それは独立して、上記のようないずれの製剤であってもよく、また上記のように様々に併用しても投与されうる。以下の記載において、成分(b)は、併用療法に適した本明細書記載の一つまたはそれ以上の薬剤を表すものと理解されるべきである。
【0063】
様々な障害の治療に有用であり、一つまたはそれ以上の無菌容器(container)中に新規形態の化合物(I)を含む医薬組成物の治療上の有効量を含みうる医薬キットもまた、本発明の範囲内である。いったん本開示が与えられれば、キットには、当業者に容易に理解される通常の医薬キット構成要素がさらに含まれていてもよい。容器の無菌化は、当業者に周知の通常の無菌化法を用いて行われうる。
【0064】
01−H2−1型の化合物(I)
01−H2−1型の化合物(I)は、実験式C2526781・2H2Oを有する二水和物である。01−H2−1型の単結晶は、表1で評価される。01−H2−1型における各原子(Hを除く)は、図3に従ってラベル付けされる。部分原子座標は、表2に記載されている。
【0065】
02−SA−1型の化合物(I)
02−SA−1型の化合物(I)は、C2524781Na2・8H2O・0.5C25OHの実験式を有する二ナトリウム塩のヘミエタノラート八水和物(hemiethanolate octahydrate of di-sodium salt)である。02−SA−1型の単結晶は、表3で評価される。02−SA−1型における各原子(Hを除く)は、図5に従ってラベル付けされる。部分原子座標は、表4に記載されている。
【0066】
03−E.5−1型の化合物(I)
03−E.5−1型の化合物(I)は、C2526781・C41113・0.5C25OHの実験式を有するモノトリス塩のヘミエタノラート(hemiethanolate of mono-TRIS salt)である。03−E.5−1型の単結晶は、表5で評価される。03−E.5−1型における各原子(Hを除く)は、図8に従ってラベル付けされる。部分原子座標は、表6に記載されている。
【0067】
03−SA−2型の化合物(I)
03−SA−2型の化合物(I)は、C2526781・C41113・0.5H2O・0.5C36Oの実験式を有するモノトリス塩のヘミアセトナート半水和物(hemiacetonate hemihydrate of mono-TRIS salt)である。03−SA−2型の単結晶は、表7で評価される。03−SA−2型における各原子(Hを除く)は、図11に従ってラベル付けされる。部分原子座標は、表8に記載されている。
【0068】
03−DSA−2型の化合物(I)
03−DSA−2型の化合物(I)は、03−SA−2型の脱水および脱溶媒和型(dehydrated and desolvated formo)であるモノトリス塩である。
【0069】
表1.01−H2−1型の単結晶の評価

【0070】
表2.01−H2−1型についての原子座標(×104)および等価等方性変位パラメータ(equivalent isotropic displacement parameter)(A2×103
U(eq)は、直交化されたUijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【表1】

【0071】
表3.02−SA−1型の単結晶の評価

【0072】
表4.02−SA−1型についての原子座標(×104)および等価等方性変位パラメータ(A2×103
U(eq)は、直交化されたUijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【表2】

【0073】
表5.03−E.5−1型の単結晶の評価

【0074】
表6.03−E.5−1型についての原子座標(×104)および等価等方性変位パラメータ(A2×103
U(eq)は、直交化されたUijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【表3】

【0075】
表7.03−SA−2型の単結晶の評価

【0076】
表8.03−SA−2型についての原子座標(×104)および等価等方性変位パラメータ(A2×103
U(eq)は、直交化されたUijテンソルのトレースの3分の1として定義される。
【表4】

【0077】
本発明はさらに、以下の例に記載される。すべての例は、実施例(actual example)である。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0078】
実施例
実施例1.1 01−H2−1型の化合物(I)
遊離酸(25mg)をMeOH(1mL)に溶解した。3つの開放型キャピラリー(open-ended capillary)をバイアル中に置いて、核形成および結晶化を促進するのに役立てた。室温でゆっくり蒸発させることによって、キャピラリー上に四角い板状結晶(square-like plate)と、ずっと小さな粒径の結晶性固形物を得た。
【0079】
実施例1.2 02−SA−1型の化合物(I)
1. 化合物(I)の遊離酸(100mg、0.171mmol)をNaOH(1N、〜0.4mL、0.4mmol)と混合し、最終のpHは6.5であった。
2. IPA(3.5mL)を30〜35℃で透明な水溶液に加え、室温まで〜1時間ゆっくり冷却した。
3. 固形物を溶液からゆっくり晶出させた。
4. 懸濁液を室温で2時間攪拌し、固形物を濾過によって集めた。
5. 濾過ケーキをIPS(2×2.5mL)ですすいだ。
6. 生じた固形物を簡易の真空(house vacuo)で55℃で乾燥して、白色固形物を得た(72mg)。
7. 顕微鏡下で、それは半結晶性固形物であった。
8. 固形物を50〜55℃でEtOH(1.5mL)に溶解し、室温まで〜1時間ゆっくり冷却した。
9. 透明な溶液を室温で7日間静置し、顕微鏡下で毛のような結晶が観察された。
【0080】
実施例1.3 03−E.5−1型の化合物(I)
モノトリス塩(50mg)を室温で水(0.2mL)に溶解し、次いでEtOH(1.0mL)を加え、透明な溶液を得た。2つの開放型キャピラリーをバイアル中に置いて、核形成および結晶化を促進するのに役立て、バイアルをアルミホイルで覆った。2週間後、キャピラリー上に薄い板状結晶が形成された。
【0081】
実施例1.4 03−SA−2型の化合物(I)
最初にモノトリス塩(50mg)を室温で水(0.2mL)に溶解し、次いでアセトン(1.0ml)を加えた。別のアセトン(0.6mL)を加えた後に、白色沈殿が生じた。透明な溶液が得られるまで、バイアルを80℃で加熱した。溶液を加熱から取り除き、自然に室温まで冷却した。2時間以内に長くて細い針状晶が観察された。
【0082】
実施例1.5 03−DSA−2型の化合物(I)
化合物(I)−ジトリスのジトリス塩(di-tris salt)の製造
1. 化合物(I)の遊離酸(0.50g)のH2O溶液(2mL、pH 1.02)を混合した。
2. トリスアミン水溶液(3M)を、pH 7.32になるまで遊離酸水溶液に加えた。
3. クルードの深紅色溶液を、セライトパッドを通して濾過し、H2O(3mL)を用いてセライトパッドをすすいだ。
4. アセトン(75mL)を室温で1時間かけて水溶液にゆっくりと加え、室温で種晶を入れた。
5. 室温で3時間攪拌した後、懸濁液を濾過によって集め、150:1 アセトン−水(2×5mL)ですすいだ。
6. 固形物を高真空で3時間乾燥し、窒素を出しながら(bleeding)、55℃で24時間、簡易の真空で乾燥した。
7. それによって生成物を得た(0.355g、SMに基づいて51%、SMの純度に基づいて60%)。
8. HPLCによってAP>99%が示され、母液は5〜10%の生成物を有する。
【0083】
化合物(I)−モノトリスの製造
9. ジトリス塩(0.35g)のH2O溶液(3mL)を、pHが3.3になるまでTFA(50mg、1当量)に加え、反応液に種晶を入れ、37℃まで加熱し、40℃まで2時間ゆっくりと加熱した。アセトン(60mL)を溶液に加え、溶液を室温まで〜2時間ゆっくりと冷却し、白色固形物がゆっくりと現れた。
10. 室温で3時間攪拌した後、白色懸濁液をN2下で濾過によって集め、アセトン(2×10mL)ですすいだ。固形物を減圧乾燥して、生成物を得(0.241g、回収率80%、クルードの酸から49%)、HPLCによってAP>99%が示され、NMRによって529:トリス 1:10〜1.01が示された。
【0084】
実施例2. 単結晶X線測定(PXRD)
少なくとも下記の方法を用い、単結晶X線回折法を用いて、実施例1.1〜1.5で得られたいくつかのサンプルを評価した。シミュレーションされたPXRDもまたプロットする。結果を図1、4、6、9および12に示す。表9は、01−H2−1型、02−SA−1型、03−E.5−1型、03−SA−2型、および03−DSA−2型の化合物(I)を説明する選択されたPXRDピークを列挙する。
【0085】
表9.選択されたPXRDピークの位置(2θにおける角度)
【表5】

【0086】
単結晶データ(WFD)
グラファイト単色(graphite-monochromated)Cu Kα照射(λ=1.54056Å)を備えているブルカー SMART 2K CCD回折計を用いて、室温で回折データを集めた。結晶−検出器間距離4.98cmで、2θの範囲にわたって、ωスキャンモードを用いて十分なデータセットを集めた。実験の吸収補正には、回折計(Bruker AXS. 1998, SMART and SAINTPLUS. Area Detector Control and Integration Software, Bruker AXS, Madison, Wisconsin, USA)に関するSADABSルーチンを利用した。最終的な単位格子パラメータを、全データセットを用いて決定した。
【0087】
SHELXTLソフトウェアパッケージ(Sheldrick, GM. 1997, SHELXTL. Structure Determination Programs. Version 5.10, Bruker AXS, Madison, Wisconsin, USA.)を用いて、すべての構造を直接法によって解析し、完全行列(full-matrix)最小二乗法によって精密化した。精密化において最小化された関数は、Σw(|Fo|−|Fc|)2であった。RはΣ||Fo|−|Fc||/Σ|Fo|として定義され、一方、Rw=[Σw(|Fo|−|Fc|)2/Σw|Fo21/2であり、ここでwは観測強度における誤差に基づく適当な重み関数である。示差フーリエマップ(Difference Fourier map)を、精密化の全段階で調査した。すべての水素でない原子を、異方性熱変位パラメータで精密化した。最終の示差フーリエマップにおいて、水素結合に関わる水素原子を置いたが、一方、他の水素原子の位置は、標準的な結合距離および結合角を有する理想化された配置(idealized geometry)から計算した。これらは等方性温度因子を割り当てられ、固定パラメータによる構造因子計算に含められた。
【0088】
シミュレーションされたPXRDパターン
JPOWソフトウェア(Materials Data Inc. 2001. JPOWD. Powder Diffraction Simulation and Structure Display. Materials Data Inc, Livermore, California, USA)を用いることによって、すべてのシミュレーションされたPXRDパターンを、室温での結晶構造の精密化された原子座標から計算した。
【0089】
実施例3. 示差走査熱量測定(DSC)
少なくとも下記の方法を用い、DSCを用いて、実施例1.1〜1.5で得られたいくつかのサンプルを評価した。シミュレーションされたPXRDもまたプロットした。結果を図2、7、10および13に示す。
【0090】
DSC(オープン皿(open pan))
示差走査熱量測定(DSC)実験を、TAインスツルメント(TA Instruments)(登録商標)モデルQ1000または2920において行った。サンプル(約2〜6mg)を、小さい穴を有するオープンアルミニウム皿または密封皿(sealed pan)中で秤量し、ミリグラムの100分の1まで正確に記録し、DSCに移した。装置を50mL/分で、窒素ガスでパージした。加熱速度10℃/分で、室温と300℃の間でデータを集めた。下向きの吸熱ピークでプロットした。
【0091】
実施例4. 熱重量分析(TGA)
少なくとも下記の方法を用い、TGAを用いて、実施例1.1〜1.5で得られたいくつかのサンプルを評価した。シミュレーションされたPXRDもまたプロットした。結果を図2、7、10および13に示す。
【0092】
TGA(オープン皿)
熱重量分析(TGA)実験を、TAインスツルメント(登録商標)モデルQ500または2950において行った。サンプル(約10〜30mg)を、あらかじめ風袋を量った白金皿中に置いた。サンプルの重量を正確に測定し、装置によってミリグラムの1000分の1まで記録した。炉(furnace)を100mL/分で、窒素ガスでパージした。加熱速度10℃/分で、室温と300℃の間でデータを集めた。
【図面の簡単な説明】
【0093】
本発明は、下記の添付図面を参照することによって説明される。
【図1】図1は、01−H2−1型の化合物(I)の実験およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=293KでCuKα λ=1.5418Å)を説明する。
【図2】図2は、01−H2−1型の化合物(I)の示差走査熱量測定パターンおよび熱重量分析パターンを説明する。
【図3】図3は、01−H2−1型の化合物(I)における原子(H原子を除く)のラベル付けを説明する。
【0094】
【図4】図4は、02−SA−1型の化合物(I)のシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=173KでCuKα λ=1.5418Å)を説明する。
【図5】図5は、02−SA−1型の化合物(I)における原子(H原子を除く)のラベル付けを説明する。
【図6】図6は、03−E.5−1型の化合物(I)の実験およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=293KでCuKα λ=1.5418Å)を説明する。
【0095】
【図7】図7は、03−E.5−1型の化合物(I)の示差走査熱量測定パターンおよび熱重量分析パターンを説明する。
【図8】図8は、03−E.5−1型の化合物(I)における原子(H原子を除く)のラベル付けを説明する。
【図9】図9は、03−SA−2型の化合物(I)の実験およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=293KでCuKα λ=1.5418Å)を説明する。
【0096】
【図10】図10は、03−SA−2型の化合物(I)の示差走査熱量測定パターンおよび熱重量分析パターンを説明する。
【図11】図11は、03−SA−2型の化合物(I)における原子(H原子を除く)のラベル付けを説明する。
【図12】図12は、03−DSA−2型の化合物(I)の実験およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=293KでCuKα λ=1.5418Å)を説明する。
【図13】図13は、03−DSA−2型の化合物(I)の示差走査熱量測定パターンおよび熱重量分析パターンを説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I):
【化1】

、その塩または溶媒和物の結晶形。
【請求項2】
01−H2−1型を含む、請求項1の結晶形。
【請求項3】
結晶形が約20℃から約25℃の温度であり、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータの特徴を有する、請求項2の結晶形。
【請求項4】
実質的に表2に記載される部分原子座標の特徴を有する、請求項2の結晶形。
【請求項5】
約20℃から約25℃の温度で、5.3±0.2、7.2±0.2、9.7±0.2、10.6±0.2、10.9±0.2、11.7±0.2、13.2±0.2、13.8±0.2、14.5±0.2、15.7±0.2、17.0±0.2、17.7±0.2、18.2±0.2、19.6±0.2、および20.3±0.2からなる群より選択される4つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項2の結晶形。
【請求項6】
約20℃から約25℃の温度で、5.3±0.2、7.2±0.2、9.7±0.2、10.6±0.2、10.9±0.2、11.7±0.2、13.2±0.2、13.8±0.2、14.5±0.2、15.7±0.2、17.0±0.2、17.7±0.2、18.2±0.2、19.6±0.2、および20.3±0.2からなる群より選択される5つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴をさらに有する、請求項5の結晶形。
【請求項7】
約20℃から約25℃の温度で、実質的に図1に示される粉末X線回折(PXRD)パターンの特徴を有する、請求項2の結晶形。
【請求項8】
実質的に図2に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの特徴を有する、請求項2の結晶形。
【請求項9】
実質的に図2に示される熱重量分析(TGA)図の特徴を有する、請求項2の結晶形。
【請求項10】
単結晶形である、請求項2の結晶形。
【請求項11】
02−SA−1型を含む、請求項1の結晶形。
【請求項12】
結晶形が約163Kから約183Kの温度であり、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータの特徴を有する、請求項11の結晶形。
【請求項13】
実質的に表4に記載される原子座標の特徴を有する、請求項11の結晶形。
【請求項14】
約163Kから約183Kの温度で、4.3±0.2、6.7±0.2、7.4±0.2、8.5±0.2、10.0±0.2、11.8±0.2、12.9±0.2、13.5±0.2、14.1±0.2、14.8±0.2、15.5±0.2、16.0±0.2、16.5±0.2、17.1±0.2、および18.5±0.2からなる群より選択される4つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項11の結晶形。
【請求項15】
約163Kから約183Kの温度で、4.3±0.2、6.7±0.2、7.4±0.2、8.5±0.2、10.0±0.2、11.8±0.2、12.9±0.2、13.5±0.2、14.1±0.2、14.8±0.2、15.5±0.2、16.0±0.2、16.5±0.2、17.1±0.2、および18.5±0.2からなる群より選択される5つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴をさらに有する、請求項14の結晶形。
【請求項16】
約20℃から約25℃の温度で、実質的に図4に示される粉末X線回折(PXRD)パターンの特徴を有する、請求項11の結晶形。
【請求項17】
単結晶形である、請求項11の結晶形。
【請求項18】
03−E.5−1型を含む、請求項1の結晶形。
【請求項19】
結晶形が約20℃から約25℃の温度であり、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータの特徴を有する、請求項18の結晶形。
【請求項20】
実質的に表6に記載される原子座標の特徴を有する、請求項18の結晶形。
【請求項21】
約20℃から約25℃の温度で、5.0±0.2、5.8±0.2、7.2±0.2、8.1±0.2、10.0±0.2、11.0±0.2、11.6±0.2、12.0±0.2、13.2±0.2、16.1±0.2、17.0±0.2、17.5±0.2、19.0±0.2、20.4±0.2、および21.1±0.2からなる群より選択される4つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項18の結晶形。
【請求項22】
約20℃から約25℃の温度で、5.0±0.2、5.8±0.2、7.2±0.2、8.1±0.2、10.0±0.2、11.0±0.2、11.6±0.2、12.0±0.2、13.2±0.2、16.1±0.2、17.0±0.2、17.5±0.2、19.0±0.2、20.4±0.2、および21.1±0.2からなる群より選択される5つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴をさらに有する、請求項21の結晶形。
【請求項23】
約20℃から約25℃の温度で、実質的に図6に示される粉末X線回折(PXRD)パターンの特徴を有する、請求項18の結晶形。
【請求項24】
実質的に図7に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの特徴を有する、請求項18の結晶形。
【請求項25】
実質的に図7に示される熱重量分析(TGA)図の特徴を有する、請求項18の結晶形。
【請求項26】
単結晶形である、請求項18の結晶形。
【請求項27】
03−SA−2型を含む、請求項1の結晶形。
【請求項28】
結晶形が約20℃から約25℃の温度であり、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータの特徴を有する、請求項27の結晶形。
【請求項29】
実質的に表8に記載される原子座標の特徴を有する、請求項27の結晶形。
【請求項30】
約20℃から約25℃の温度で、5.0±0.2、7.2±0.2、8.2±0.2、9.9±0.2、10.9±0.2、11.8±0.2、14.9±0.2、15.4±0.2、15.9±0.2、16.7±0.2、17.3±0.2、17.7±0.2、20.1±0.2、20.6±0.2、および21.9±0.2からなる群より選択される4つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項27の結晶形。
【請求項31】
約20℃から約25℃の温度で、5.0±0.2、7.2±0.2、8.2±0.2、9.9±0.2、10.9±0.2、11.8±0.2、14.9±0.2、15.4±0.2、15.9±0.2、16.7±0.2、17.3±0.2、17.7±0.2、20.1±0.2、20.6±0.2、および21.9±0.2からなる群より選択される5つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴をさらに有する、請求項30の結晶形。
【請求項32】
約20℃から約25℃の温度で、実質的に図9に示される粉末X線回折(PXRD)パターンの特徴を有する、請求項27の結晶形。
【請求項33】
実質的に図10に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの特徴を有する、請求項27の結晶形。
【請求項34】
実質的に図10に示される熱重量分析(TGA)図の特徴を有する、請求項27の結晶形。
【請求項35】
単結晶形である、請求項27の結晶形。
【請求項36】
03−DSA−2型を含む、請求項1の結晶形。
【請求項37】
約20℃から約25℃の温度で、実質的に図12に示される粉末X線回折(PXRD)パターンの特徴を有する、請求項36の結晶形。
【請求項38】
実質的に図13に示される示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの特徴を有する、請求項36の結晶形。
【請求項39】
実質的に図13に示される熱重量分析(TGA)図の特徴を有する、請求項36の結晶形。
【請求項40】
約20℃から約25℃の温度で、5.0±0.2、7.3±0.2、8.3±0.2、10.1±0.2、11.0±0.2、14.4±0.2、15.0±0.2、15.5±0.2、16.0±0.2、17.4±0.2、18.4±0.2、18.9±0.2、19.4±0.2、20.2±0.2、および20.6±0.2からなる群より選択される4つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴を有する、請求項36の結晶形。
【請求項41】
約20℃から約25℃の温度で、5.0±0.2、7.3±0.2、8.3±0.2、10.1±0.2、11.0±0.2、14.4±0.2、15.0±0.2、15.5±0.2、16.0±0.2、17.4±0.2、18.4±0.2、18.9±0.2、19.4±0.2、20.2±0.2、および20.6±0.2からなる群より選択される5つまたはそれ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターンの特徴をさらに有する、請求項40の結晶形。
【請求項42】
請求項1の結晶形の治療上の有効量を哺乳類に投与することを特徴とする、哺乳類におけるAIDSまたはHIVの治療方法。
【請求項43】
該哺乳類がヒトである、請求項42の方法。
【請求項44】
組成物の重量に基づいて、少なくとも5重量%の請求項1の結晶形を含む組成物。
【請求項45】
化合物(I)、その塩または溶媒和物が実質的に純粋である、請求項1の結晶形。
【請求項46】
実質的な純粋が、化合物(I)、その塩または溶媒和物の重量が全重量の少なくとも90%である、請求項45の結晶形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−521414(P2009−521414A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545772(P2008−545772)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/047571
【国際公開番号】WO2007/070589
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】