説明

1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを含む殺生剤組成物

本発明の対象は、
a) 1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン


及び/またはそれの塩、好ましくはアルカリ塩またはアンモニウム塩、特にリチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、
b) 1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン


c) 次式III
1−(O−A)(x+y) −O−R2 (III)
[式中、
1及びR2は、互いに独立して水素を表すか、または炭素原子数1〜8の線状もしくは分枝状で飽和もしくは不飽和のアルキル基を表し、
(O−A)は、エチレンオキシ基(EO)、プロピレンオキシ基(PO)、ブチレンオキシ基、及び/またはフェニルエトキシ基から選択されるアルコキシ基を表し、
xは、1〜15の数を表し、そして
yは、0〜10の数を表す]
で表される少なくとも一種の溶剤、
を含む溶液の形の殺生剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンと、グリコール類、ポリグリコール類またはこれらのエーテルからなる群から選択される少なくとも一種の溶剤とを含む溶液の形の殺生剤組成物、並びに防腐剤としてのそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
殺生剤は、微生物の成長の制御もしくは阻止のためにそしてそれによって製品及び材料の防腐を保証するために様々な分野で使用されている。重要な用途分野は、アクリル塗料または水性接着剤の防腐、または表面処理である。様々な微生物、例えばバクテリア、菌類、カビ及び藻類に対する防腐剤の幅広い作用範囲を達成するために、殆どの場合、複数種の殺生有効物質からなる複合製品が使用されている。
【0003】
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンからなる殺生剤が、抗バクテリア及び抗菌有効物質として、非常に幅広く、例えば建築、繊維材料、皮革、製紙、電子及び食品工業、並びに化粧料及び農業などに使用されている。また同様に、上記の両有効物質は、染料及び接着剤、油中水型エマルション及び潤滑剤にも好ましく使用されている。
【0004】
欧州特許出願公開第98410号明細書には、微生物に対する1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンとの相乗作用が記載されており、それを様々な調合物に使用することについて特許請求されており、そして様々な用途における両有効物質の有利な濃度が記載されている。これらの殺生有効物質は、固体の形でまたは分散物として製剤または調合物中に順にまたは一種に配合することができる。
【0005】
特開平06-119 704号公報には、有効物質としての1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)及び1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンからなり、キシレン中の分散液の形または流動性の粉末の形の殺生剤が記載されている。
【0006】
殺生剤組成物の分散液は、温度の変動及び長い貯蔵期間の際に相の分離または集塊化する傾向があり、そして固形材料と同じように、調合物中に均一に配合することが困難である。ユーザーにとっては、ポンプ移送及びスプレー可能であり、ユーザーが扱い易くそして生態的及び毒性の面で許容可能な低粘性の溶液が有利である。
【0007】
英国特許出願公開第1 191 253号明細書及び同第1 330 531号明細書には、水とアミン類との溶剤混合物中にBITを含む溶液が開示されている。アミン類は、
臭いが強く、揮発性が高く、そして様々な用途、例えば食品工業に適していない。
【0008】
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンは、水中に難溶性である。米国特許第4 188 376号明細書には、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンがプロピレングリコール−水混合物またはジエチレングリコール−水混合物中に溶解し得ることが記載されている。この際、これらの溶液は、5重量%未満の有効物質含有率でしか安定していない。より高濃度の溶液は析出を起こす傾向がある。しかし、商業的な使用のためには、5%を超える有効物質濃度を有する殺生剤が有利である。
【0009】
1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンは、グリセリンまたは2−エチルヘキサノールなどの溶剤中には難溶性であり、他方、ジメチルスルホキシドまたはN−メチルピロリドンなどの他の慣用の溶剤中には良好に溶解するが、化学的に不安定である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、物理的かつ化学的に安定している、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを含む溶液を提供するという課題があった。それに加えて、これらの溶液が、生態学的及び毒性の面で許容可能であり、100℃を超える沸点を有し、そして特に水性調合物中に簡単に配合可能であることも狙いである。
【0011】
驚くべきことに、これらの課題が、グリコール類、ポリグリコール類もしくはそれらのエーテルからなる群から選択される溶剤の使用によって解決されることが見出された。
【0012】
それ故、本発明の対象は、
a) 1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン
【0013】
【化1】

【0014】
及び/またはこれの塩、好ましくはアルカリもしくはアンモニウム塩、特にリチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、
b) 1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン
【0015】
【化2】

【0016】
c) 次式III
1−(O−A)(x+y) −O−R2 (III)
[式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素または炭素原子数1〜8の線状もしくは分枝状で飽和もしくは不飽和のアルキル基を表し、
(O−A)は、エチレンオキシ基(EO)、プロピレンオキシ基(PO)、ブチレンオキシ基、及び/またはフェニルエトキシ基から選択されるアルコキシ基を表し、
xは、1〜15の数であり、そして
yは、0〜10の数である]
で表される少なくとも一種の溶剤、
を含む溶液の形の殺生剤組成物である。
【0017】
一つの態様では、(O−A)(x+y)は、(x+y)が1〜25のアルコキシ単位を包含する単一のアルコキシ基を表す。更に別の態様では、(O−A)(x+y)は、式−(O−A1x−(O−A2y−の混合アルコキシ基を表し、これは、ランダムにまたはブロック状に配列されることができ、そして前記式中、x及びyは、上記の意味を有する。この際、(O−A1)は、エチレンオキシ単位を表し、(O−A2)はプロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位またはフェニルエトキシ単位を表す。(O−A2)単位数が1を超える場合には、(O−A2)は、均一にプロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位、またはフェニレンエトキシ単位を表すことができるか、またはこれらの混合物を表すことができる。本明細書においてフェニルエトキシ基とは、フェニルオキシランの付加によって生ずる構造単位のことと理解される。
【0018】
1及びR2は、好ましくは互いに独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、好ましくはメチルを表す。
【0019】
xは、好ましくは1〜10の数、特に2〜8の数である。
【0020】
yは、好ましくは1〜5の数を表す。
【0021】
本発明の好ましい態様の一つでは、R1は水素であり、そしてR2は、炭素原子数1〜8の線状または分枝状アルキル基を表し、xは2〜12の数を表し、そしてyは0を表す。
【0022】
本発明の更に別の好ましい態様の一つでは、R1は水素を表し、R2はn−ブチルを表し、xは2〜6の数、好ましくは3〜6の数を表し、そしてyは0の数である。
【0023】
本発明の更に別の好ましい態様の一つでは、R1は水素を表し、R2はメチルを表し、xは2〜12の数、好ましくは6〜8の数を表し、そしてyは0を表す。
【0024】
本発明の更に別の好ましい態様の一つでは、R1及びR2は水素を表す。
【0025】
本発明の更に別の好ましい態様の一つでは、R1及びR2は水素を表し、(O−A)はエチレンオキシ基(EO)を表し、xは1〜15の数、好ましくは2〜12の数、特に好ましくは3〜10の数を表し、そしてyは0を表す。
【0026】
好ましい溶剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクチルエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、エチルグリコール、プロピルグリコール、イソプロピルグリコール、n−ブチルグリコール、i−ブチルグリコール、t−ブチルグリコール、メチルジグリコール、メチルポリグリコール、エチルジグリコール、プロピルジグリコール、ブチルジグリコール、エチルトリグリコール、プロピルトリグリコール、ブチルトリグリコール、ブチルポリグリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、メチルジプロピレングリコール、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、プロピレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル; ポリエチレングリコールジアリルエーテル; ポリエチレングリコールアリルメチルエーテル; ポリアルキレングリコールアリルメチルエーテルである。
【0027】
本発明の更に別の対象の一つは、上記式Iの1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び上記式IIの1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを含む溶液を、上記の両殺生有効物質を上記式IIIの溶剤中に溶解することによって製造する方法である。
【0028】
本発明の更に別の対象の一つは、上記式Iに従う1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、上記式IIに従う1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、及び上記式IIIに従う少なくとも一種の溶剤を含む溶液の形の組成物を防腐剤として使用することである。
【0029】
本発明の好ましい対象の一つは、上記式1に従う1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンまたはその塩を1重量%を超える量、好ましくは1.5重量%〜30重量%の範囲の量、特に好ましくは5重量%〜10重量%の範囲の量で、及び上記式IIに従う1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを1重量%を超える量、好ましくは1.5重量%〜40重量%の範囲の量、特に好ましくは2重量%〜30重量%の範囲の量、就中好ましくは3〜10重量%の範囲の量で含む溶液の形の殺生剤組成物である。百分率の値は全て、それぞれ溶液の総重量を基準にした重量%である。
【0030】
本発明の更に別の好ましい対象の一つは、上記式Iに従う1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンまたはそれの塩、及び上記式IIに従う1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを含み、この際、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンとの重量比が1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、特に好ましくは3:1〜1:1の範囲である、溶液の形の殺生剤組成物である。
【0031】
本発明による組成物は、バクテリア、藻類または菌類などの微生物を殺すことができる更に別の殺生有効物質を含むことができる。
【0032】
次式VIaまたはVIb
【0033】
【化3】

【0034】
で表される更に別のイソチアゾリン類、並びに2、3、4及び/または5位に置換基を有することができるこれらの誘導体も好適である。このような置換基は、例えば線状、分枝状もしくは環状炭化水素基、ハロゲン原子またはカルボニル基であることができる。炭化水素基としては、C1〜C12アルキル基、フェニル基及び縮合芳香族系が好ましい。
【0035】
イソチアゾリンの更に別の好ましい誘導体は、次式VII
【0036】
【化4】

【0037】
で表されるイソチアゾリノンである。これは、上記のイソチアゾリンと同様の置換基を有することができる。
【0038】
殺生有効作用を有するイソチアゾリン類は、例えば非ハロゲン化イソチアゾリン類である。適当な非ハロゲン化イソチアゾリン類は、例えば2−メチル−3−イソチアゾリン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−3−イソチアゾリン、2−プロピル−3−イソチアゾリン、2−イソプロピル−3−イソチアゾリン、2−ブチル−3−イソチアゾリン(この際、ブチルは、n−ブチル、iso−ブチル、またはtert−ブチルを表すことができる)、2−n−オクチル−3−イソチアゾリンである。
【0039】
殺生有効作用を有する更に別のイソチアゾリン類は、例えばハロゲン化されたイソチアゾリン類である。好適なハロゲン化イソチアゾリン類は、例えば5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾリン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンまたは4,5−ジクロロ−2−(n−オクチル)−4−イソチアゾリン−3−オンである。
【0040】
好ましい更に別の殺生有効物質は、トリアジン類、例えば1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,5−トリメチル−[2H,4H,6H]−ヘキサヒドロ−1,3,5−S−トリアジン、メチレン−ビス−モルホリン、オキサゾリジン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール、グルタルアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ナトリウム2−ピリジンチオール−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン、ジメチロール−ジメチルヒダントイン、1,6−ジヒドロキシ−2,5−ジオキサヘキサン; 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素(ジウロン); N−シクロプロピル−N'−(1,1−ジメチルエチル)−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン; メチルベンズイミダゾール−2−イルカルバメート(カルベンダジム); N−(1,1−ジメチルエチル)−N'−エチル−6−(メチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(テルブトリン); 4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール; 2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェノール; 2−ベンジル−4−クロロフェノール; 2,2'−ジヒドロキシ−5,5'−ジクロロ−ジフェニル−メタン; p−第三アミルフェノール; o−フェニルフェノール; ナトリウム−o−フェニルフェノール; p−クロロ−m−クレゾール; 2−(チオシアノメチルチオ)−ベンズチアゾール; 3,4,4'−トリクロロカルバニリド; 1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン−亜鉛; 1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾ−ル−1−イルメチル)−ペンタン−3−オール(テブコナゾール)、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾ−ル(プロピコナゾール)、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール、ホルムアルデヒド; 尿素; グリオキサール; 2,2'−ジチオ−ビス−(ピリジン−N−オキシド)、3,4,4−トリメチルオキサゾリジン、4,4−ジメチルオキサゾリジン、N−ヒドロキシ−メチル−N−メチルジチオカルバミン酸カリウム、アダマンタン、N−トリクロロメチル−チオフタルイミド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、2,4,5−トリクロロフェノール、デヒドロ酢酸、ナフテン酸銅、オクタン酸銅、トリブチルスズオキシド、ナフテン酸亜鉛、8−キノリン酸銅である。
【0041】
更に、第四級アンモニウム化合物、好ましくはアルキルジメチルアンモニウムクロライド、例えばココジメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、例えばジココジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、例えばC12/14−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、またはココジメチルジクロロベンジルアンモニウムクロライドからなる群から選択される殺生剤も挙げられる。
【0042】
溶液の形の本発明による殺生剤組成物の製造は、様々な方法で行うことができる。有効物質としての1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを攪拌しながら式IIIの溶剤中に溶解し、そしてこれを、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン及び式IIIの溶剤を含む溶液に加えることができる。同様に、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン及び式IIIの溶剤からなる溶液に固形の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを溶解することもできる。
【0043】
溶液の形の本発明による殺生剤組成物の製造は、好ましくは、溶剤の用意後に1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを加えそして攪拌して溶液にすることによって行われる。次いで、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを加え、そしてこれを攪拌して溶液にする。若干の熱を加えることによって、溶解プロセスを加速することができる。
【0044】
本発明の特に好ましい対象の一つは、1,2−ベンズイソチアゾリン−2−オンを1〜10重量%、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを1〜10重量%、及びグリコール単位数が7のポリエチレングリコールを溶剤として含む溶液の形の殺生剤組成物である。
【0045】
本発明の更に別の特に好ましい対象の一つは、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを3〜10重量%、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを2〜8重量%、及びジエチレングリコールを溶剤として含む溶液の形の殺生剤組成物である。
【0046】
本発明の更に別の特に好ましい対象は、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンを1〜10重量%、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを1〜10重量%、及びグリコール単位数が2〜6のブチルポリグリコールを溶剤として含む溶液の形の殺生剤組成物である。本発明による殺生剤組成物は、好ましい態様の一つでは、式(III)の溶剤の他に、多くて60重量%、好ましくは多くて40重量%の割合の更に別の溶剤を含むことができる。このような更に別の溶剤は、次の物質からなる群から選択される:
− アルコール類は、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、フェノキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、2−エチルヘキサノール、2−プロポキシエタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、1,2,6−ヘキサントリオールである;
−アルカン類は、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタンである;
−塩化アルカン類は、例えば塩化メチレン、二塩化エチレンである;
−芳香族類は、例えばベンゼン、トルエン、キシレンである;
−ニトリル類は、例えばアセトニトリルである;
−アミド類は、例えばジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミドである;
−ケトン類は、例えばアセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソアミルケトン、2−ブタノンである;
−エーテル類は、例えばイソプロピルエーテルである;
−アセテート類は、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸2−メトキシエチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、二酢酸エチレングリコールである;
−ラクテート類は、例えば乳酸メチル、乳酸エチルである;
−ホスフェート類は、例えばトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムテトラフルオロホスフェートである;
−アミン類は、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンである;
−ポリオール類は、例えば次式IV
3(OH)y IV
[式中、
3は、炭素原子数3〜40、好ましくは20までの炭化水素基であり、そして
yは、3〜40の整数、好ましくは20までの整数を表し、そしてこの際、R3中に含まれる炭素原子は、それぞれ多くて一つのOH基を持つかまたはOH基を持たない]
で表される多価アルコール類、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリグリセリンまたはこれらの全ての混合物であり;
並びに更に、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、シクロヘキサノン及び/または水、並びに2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール−モノイソブチレート(テキサノールエステル)。
【0047】
更に別の特に好ましい態様の一つでは、殺生剤a)及びb)のための溶剤は、5:1〜1:5の重量比の式IIIの化合物とグリセリンとの混合物である。この際、好ましくは、式III中において、R1及びR2は水素であり、xは4〜14の数、好ましくは8を表し、そしてyは0を表す。
【0048】
本発明の組成物は、通常は、処理すべき基材または処理された最終製品を基準にして上記の両殺生有効物質が合計で0.0001重量%〜5重量%、好ましくは0.0002重量%〜3重量%、特に好ましくは0.0005〜1重量%の量で使用されるような重量で用いられる。
【0049】
本発明による殺生剤組成物は、場合によっては乳化剤または分散剤を含んでいてもよい。
【0050】
分散剤及び乳化剤としては、炭素原子数8〜22の線状脂肪アルコール、炭素原子数12〜22の脂肪酸またはアルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールに2〜30モルのエチレンオキシド及び/または5モルまでのプロピレンオキシドを付加した生成物; グリセリンに1〜30モルのエチレンオキシドを付加した生成物のC12〜C18−脂肪酸モノ−もしくはジエステル; 炭素原子数6〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸またはそれのエチレンオキシド付加生成物のグリセリンモノ−もしくはジエステルまたはソルビタンモノ−もしくはジエステル; ヒマシ油及び/または硬化ヒマシ油に15〜60モルのエチレンオキシドを付加した生成物; ポリオール−、特にポリグリセリンエステル、例えばポリグリセリンポリリシノレート及びポリグリセリンポリ−12−ヒドロキシステアレートが好適である。好ましい液状脂肪酸エステルは、PEG−10ポリグリセリル−2ラウレート及びポリグリセリル−2セスキイソステアレートである。
【0051】
更に、エトキシル化されているかまたはエトキシル化されていないモノ−、ジ−またはトリアルキルリン酸エステル及びアルキルアリールリン酸エステル、例えばイソトリデシルリン酸エステル及びこれの塩、トリ−sec−ブチルフェノールリン酸エステル及びこれの塩、及びトリスチリルフェニルリン酸エステル及びこれの塩も好適である。
【0052】
モノ−、ジ−及びトリアルキルクワット(quat)及びこれらのポリマー性誘導体などのカチオン性乳化剤も使用することができる。
【0053】
また同様に、これらの物質群の二つまたはそれ以上の群から選択される複数種の化合物の混合物も好適である。脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、グリセリンモノ−もしくはジエステル、並びに脂肪酸のソルビタンモノ−もしくはジエステル、またはヒマシ油にエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加した生成物も公知の商業的に入手できる製品である。この際、これらは、均一な混合物であり、その平均アルコキシル化度は、付加反応に使用したエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドと基質の物質量の比率に相当する。
【0054】
本発明の殺生剤組成物は、完成した殺生剤組成物を基準として0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%の割合の一種またはそれ以上の乳化剤または分散剤を含むことができる。
【0055】
本発明による殺生剤組成物は、更に追加的に、界面活性剤、増粘剤、ゲル化防止剤、可溶化剤、低温保護剤、泡立防止剤、緩衝剤、湿潤剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤、電解質、規定剤(Stellmittel)、香料及び着色料を含むことができる。
【0056】
更に別の態様の一つでは、本発明の組成物はアニオン性界面活性剤を含むことができる。
【0057】
好ましいアニオン性界面活性剤は、直鎖状もしくは分枝状のアルキルスルフェート、−スルホネート、−カルボキシレート、−ホスフェート、−スルホスクシネート及び−タウレート、アルキルエステルスルホネート、アリールアルキルスルホネート及びアルキルエーテルスルフェートである。
【0058】
アルキルスルフェートは、式ROSO3M(式中、Rは、好ましくはC10〜C24炭化水素残基、特に好ましくは炭素原子数10〜20のアルキル−もしくはヒドロキシアルキル基、就中好ましくはC12〜C18−アルキルもしくは−ヒドロキシアルキル基を表す)で表される水溶性の塩または酸である。Mは、水素またはカチオン、好ましくはアルカリ金属カチオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)またはアンモニウムもしくは置換アンモニウム、例えばメチル−、ジメチル−もしくはトリメチルアンモニウムカチオン、または第四級アンモニウムカチオン、例えばテトラメチルアンモニウム−及びジメチルピペリジニウムカチオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン及びこれらの混合物などのアルキルアミン類から誘導される第四級アンモニウムカチオンである。
【0059】
アルキルエーテルスルフェートは、式RO(A)mSO3M(式中、Rは、好ましくは置換されていないC10〜C24アルキルもしくは−ヒドロキシアルキル基、特に好ましくはC12〜C20アルキルもしくは−ヒドロキシアルキル基、就中好ましくはC12〜C18−アルキルもしくは−ヒドロキシアルキル基を表す)で表される水溶性の塩または酸である。Aは、エトキシもしくはプロポキシ単位であり、mは0よりも大きい数、典型的には0.5〜6の数、特に好ましくは0.5〜3の数であり、そしてMは、水素原子またはカチオン、好ましくは金属カチオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム)、アンモニウムまたは置換されたアンモニウムカチオンである。置換されたアンモニウムカチオンの例は、メチル−、ジメチル−、トリメチルアンモニウム−及び第四アンモニウムカチオン、例えばテトラメチルアンモニウム及びジメチルピペリジニムカチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンもしくはこれらの混合物などのアルキルアミン類から誘導されるアンモニウムカチオンである。例としては、C12〜C18−アルキル−ポリエトキシレート(1,0)スルフェート、C12〜C18−アルキル−ポリエトキシレート−(2,25)スルフェート、C12〜C18−アルキル−ポリエトキシレート−(3,0)スルフェート、C12〜C18−アルキル−ポリエトキシレート−(4,0)スルフェートが挙げられ、この際、カチオンはナトリウムまたはカリウムである。
【0060】
また、直鎖状または分枝状C6〜C22アルキル鎖を有するアルキルスルホネート、例えば第一パラフィンスルホネート、第二パラフィンスルホネート、アルキルアリールスルホネート、例えばC5〜C20アルキル鎖を有する線状アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネート及びホルムアルデヒドからなる縮合生成物、リグノスルホネート、アルキルエステルスルホネート、すなわちC8〜C20カルボキシル酸(すなわち脂肪酸)のスルホン化された線状エステル、C8〜C24−オレフィンスルホネート、クエン酸アルカリ土類金属塩の熱分解生成物をスルホン化することによって製造されたスルホン化されたポリカルボキシル酸も同様に好適である。
【0061】
更に別の好適なアニオン性界面活性剤は、アルキルグリセリンスルフェート類、脂肪アシルグリセリンスルフェート類、オレイルグリセリンスルフェート類、アルキルフェノールエーテルスルフェート類、アルキルホスフェート類、アルキルエーテルホスフェート類、イセチオネート類、例えばアシルイセチオネート類、N−アシルタウリド類、アルキルスクシナメート類、スルホスクシネート類、特にジ−ノニル−もしくはジ−オクチル−スルホスクシネート類、スルホスクシネート類のモノエステル(特に、飽和もしくは不飽和C12〜C18モノエステル)及びスルホスクシネート類のジエステル(特に飽和もしくは不飽和C12〜C18ジエステル)、アシルサルコシネート類、アルキルポリサッカライド類のスルフェート、例えばアルキルポリグリコシド類のスルフェート、分枝状第一アルキルスルフェート及びアルキルポリエトキシカルボキシレート類、例えば式RO(CH2CH2O)kCH2COO+(式中、RはC8〜C22アルキル基であり、kは0〜10の数であり、そしてMは可溶性の塩を形成するカチオンである)で表されるカルボキシレートから選択される。
【0062】
ノニオン性界面活性剤としては、好ましくは脂肪アルコールエトキシレート(アルキルポリエチレングリコール)、アルキルフェノールポリエチレングリコール、アルキルメルカプタンポリエチレングリコール、脂肪アミンエトキシレート(アルキルアミノポリエチレングリコール)、脂肪酸エトキシレート(アシルポリエチレングリコール)、ポリプロピレングリコールエトキシレート(例えばPluronics(R))、脂肪酸アルキロールアミド(脂肪酸アミドポリエチレングリコール)、N−アルキル−及びN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルポリサッカライド、サッカロースエステル、ソルビトールエステル及びポリグリコールエーテルなどが挙げられる。
【0063】
両性界面活性剤としては、好ましくはアンフォアセテート、特に好ましくはモノカルボキシレート及びジカルボキシレート、例えばココアンフォカルボキシプロピオネート、ココアミドカルボキシプロピオン酸、ココアンフォカルボキシグリシネート(またはココアンフォジアセテートとも呼ばれる)及びココアンフォアセテートなどが挙げられる。
【0064】
カチオン性界面活性剤としては、例えばジ−(C10〜C24)−アルキル−ジメチルアンモニウムクロライドまたは−ブロマイド、好ましくはジ−(C12〜C18)−アルキルジメチルアンモニウムクロライドまたは−ブロマイド; (C10〜C24)−アルキル−ジメチル−エチルアンモニウムクロライドまたは−ブロマイド; (C10〜C24)−アルキル−トリメチルアンモニウムクロライドまたは−ブロマイド、好ましくはセチルトリメチルアンモニウムクロライドまたは−ブロマイド及び(C20〜C22)−アルキル−トリメチルアンモニウムクロライドまたは−ブロマイド; (C10〜C24)−アルキル−ジメチルベンジル−アンモニウムクロライドまたは−ブロマイド、好ましくは(C12〜C18)−アルキル−ジメチルベンジル−アンモニウムクロライド; N−(C10〜C18)−アルキル−ピリジニウムクロライドまたは−ブロマイド、好ましくはN−(C12〜C16)−アルキル−ピリジニウムクロライドまたは−ブロマイド; N−(C10〜C18)−アルキル−イソキノリニウム−クロライド、−ブロマイドまたは−モノアルキルスルフェート; N−(C12〜C18)−アルキル−ポリオイルアミノホルミルメチル−ピリジニウムクロライド; N−(C12〜C18)−アルキル−N−メチル−モルホリニウム−クロライド、−ブロマイドまたは−モノアルキルスルフェート; N−(C12〜C18)−アルキル−N−エチル−モルホリニウム−クロライド、−ブロマイドまたは−モノアルキルスルフェート; (C16〜C18)−アルキル−ペンタオキシエチル−アンモニウム−クロライド; ジイソブチル−フェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム−クロライド; N,N−ジエチルアミノ−エチルステアリルアミド及び−オレイルアミドと塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リン酸との塩; N−アシル−アミノエチル−N,N−ジエチル−N−メチル−アンモニウムクロライド、−ブロマイドまたは−モノアルキルスルフェート及びN−アシルアミノエチル−N,N−ジエチル−N−ベンジル−アンモニウム−クロライド、−ブロマイドまたは−モノアルキルスルフェート(この際、アシルは好ましくはステアリルまたはオレイルを表す)などが挙げられる。
【0065】
本発明による殺生剤組成物は、完成した殺生剤組成物を基準にして0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%の割合で一種または二種以上の界面活性剤を含むことができる。
【0066】
増粘剤としては、好ましくは、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギネート及びチロース類、更に脂肪酸の高分子量ポリエチレングリコールモノ−及びジエステル、硬化ヒマシ油、長鎖脂肪酸の塩、例えばステアリン酸ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム及びチタン、またはベヘン酸のナトリウム及び/またはカリウム塩、更にはポリアクリレート、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン、並びにポリサッカライドが使用される。また、欧州特許出願公開第1 060 142号明細書、同第1 028 129号明細書、同第1 116 733号明細書に記載されるようなアクリロイルジメチルタウリン酸に基づくコポリマーも同様に好適である。
【0067】
増粘剤は、本発明による殺生剤組成物中に、完成した殺生剤組成物を基準にして好ましくは0.01〜5重量%の量、特に0.5〜2重量%の量で使用することができる。
【0068】
適当な可溶化剤は、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、アルカンホスホン酸及びアルケニルジカルボン酸並びにこれらの酸無水物である。
【0069】
低温安定化剤としては、この目的に使用可能な全ての慣用の材料が機能し得る。例としては、尿素、グリセリン及びプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0070】
過酸化水素は、水溶液中で過酸化水素を遊離するものであれば任意の無機過酸化物であることができ、例えば過ホウ酸ナトリウム(一水和物及び四水和物)及び過炭酸ナトリウムなどがある。
【0071】
消泡剤としては、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート; オルガノポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン及びそれと微細で場合によってはシラン化されたシリカとの混合物; パラフィン; ワックス及び微結晶性ワックス及びそれとシラン化されたシリカとの混合物が好適である。異なる発泡防止剤の混合物、例えばシリコーン油、パラフィン油及び/またはワックスを含む混合物が有利である。
【0072】
緩衝剤としては、全ての慣用の酸及びこれらの塩が挙げられる。好ましくは、リン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤が挙げられる。
【0073】
湿潤剤としては、アルコールエトキシレート/−プロポキシレートを使用することができる。
【0074】
更に、本発明による組成物は、好ましくは、該剤を100〜2000mPas、好ましくは約600mPasの粘度に調整するための中和剤及び規定剤を含む。好ましい規定剤は無機塩、特に好ましくはアンモニウム塩または金属塩、特にハロゲン化物、酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、硫酸塩及び硝酸塩のアンモニウム塩または金属塩、特に塩化ナトリウムである。中和剤としては、NaOH及びKOHが好ましい。
【0075】
本発明による組成物は、電解質としては、無機及び有機塩を含むことができる。好適なものは、アルカリ、アルカリ土類金属、金属またはアンモニウムのハロゲン化物、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、ケイ酸塩、酢酸塩、酸化物、クエン酸塩またはポリリン酸塩である。好ましくは、例えばCaCl2、MgCl2、LiCl、KCl、NaCl、K2SO4、K2CO3、MgSO4、Mg(NO3)2、ZnCl2、ZnO、MgO、ZnSO4、CuSO4、Cu(NO3)2が使用される。
【0076】
有機塩としては、アンモニウム塩または金属塩、好ましくはグリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、サリチル酸、アスコルビン酸、ピルビン酸、フマル酸、レチノイン酸、スルホン酸、安息香酸、コウジ酸、果実酸、リンゴ酸、グルコン酸、ガラクツロン酸のアンモニウム塩または金属塩などが挙げられる。電解質としては、本発明による組成物は、異なる塩の混合物を含むこともできる。
【0077】
本発明による調合物は、該殺生剤組成物を基準にして0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%の量で電解質を含むことができる。
【0078】
金属イオン封鎖剤としては、例えばトリポリリン酸ナトリウム(STPP)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、それの塩、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ポリアクリレート、ホスホネート、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ポリリン酸の塩、例えばエチレンジアミンテトラメチレン−ホスホン酸(EDTMP)及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、シュウ酸、シュウ酸塩、クエン酸、ゼオライト、カーボネート及びポリカーボネートが好適である。
【0079】
錯化剤としては、ホスホネート、アミノホスホネート及びアミノカルボキシレートなどが挙げられる。
【0080】
本発明による殺生剤組成物は、好ましくは、染料、塗料、ポリマーエマルション、冷却潤滑剤、金属加工助剤、植物保護用調合物、建築用化学品、清浄剤、プラスチック及び接着剤の防腐のために使用される。
【0081】
更に、本発明による殺生剤組成物は、直接そのままでまたは希釈して、消毒剤として使用することができる。
【0082】
更に、本発明による殺生剤組成物は、表面被覆用材料に配合することができる。この被覆材料を用いて被覆する表面に、それによって殺生作用が供される。
【0083】
殺生有効物質の既に上に記載した使用量は、上記の全ての用途に当てはまる。
【0084】
上記殺生剤組成物は、好ましくは1〜13のpH値、特に好ましくは3〜9のpH値、特に4〜8のpH値を有する。
【実施例】
【0085】
以下の例は、本発明をより詳細に説明するものである。全ての百分率の値は、特に断りがない限りは重量%である。
【0086】
【表1】

【0087】
有効物質または複数種の有効物質の溶解性の測定のためには、50重量%の有効物質/有効物質混合物及び50重量%の溶剤を、25℃で15分間攪拌する。溶液が得られない場合は、各々5重量%の溶剤を加え、そして透明な溶液が生ずるまで25℃で15分間攪拌する。
【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
表4:+25℃及び+40℃で28日間の貯蔵期間後の様々な溶剤中での殺生有効物質の貯蔵安定性
【0091】
【表4】

【0092】
例63と65との比較は、PEG400及びグリセリンからなる混合物中の殺生剤としての1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンの組み合わせが格別安定していることを明らかに示している。
【0093】
処方例:
例66
Nipacide BITペースト 10.00 (7.5 %有効物質含有率)
1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン 4.04 % (4.0 %有効物質含有率)
ポリグリコール300 合計を100 %にする量

直後の20℃での調合物の外観: 透明、結晶無し
54℃で14日間貯蔵後の調合物の外観: 透明、結晶無し
5℃で14日間貯蔵後の調合物の外観: 透明、結晶無し
【0094】
例67
Nipacide BITペースト 8.50 (6.4 %有効物質含有率)
1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン 4.04 % (4.0 %有効物質含有率)
ジエチレングリコール 合計を100%にする量

直後の20℃での調合物の外観: 透明、結晶無し
54℃での14日間貯蔵後の調合物の外観: 透明、結晶無し
5℃で14日間貯蔵後の調合物の外観: 透明、結晶無し
【0095】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン
【化1】

及び/またはそれの塩、好ましくはアルカリ塩またはアンモニウム塩、特にリチウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩、
b) 1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン
【化2】

c) 次式III
1−(O−A)(x+y)−O−R2 (III)
[式中、
1及びR2は、互いに独立して、水素を表すか、または炭素原子数1〜8の線状もしくは分枝状で飽和もしくは不飽和のアルキル基を表し、
(O−A)は、エチレンオキシ基(EO)、プロピレンオキシ基(PO)、ブチレンオキシ基、及び/またはフェニルエトキシ基から選択されるアルコキシ基を表し、
xは、1〜15の数を表し、そして
yは、0〜10の数を表す]
で表される少なくとも一種の溶剤、
を含む溶液の形の殺生剤組成物。
【請求項2】
それぞれ溶液の総重量を基準にして、上記式Iに従う1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンまたはそれの塩を1重量%〜30重量%の量で及び上記式IIに従う1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを1重量%〜40重量%の量で含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
上記式Iに従う1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンまたはそれの塩、及び上記式IIに従う1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンを、1:10〜10:1の範囲の1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン:1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンの重量比で含む、請求項1及び/または2の組成物。
【請求項4】
(O−A)(x+y)が、(x+y)=1〜25のアルコキシ単位を含む単一のアルコキシ基を表す、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項5】
(O−A)(x+y)が、ランダムにまたはブロック状に配列することができる式−(O−A1x−(O−A2y−の混合アルコキシ基を表し、この際、xは、1〜15の数を表し、yは0〜10の数を表し、そして(O−A1)はエチレンオキシ単位を、そして(O−A2)はプロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位、またはフェニルエトキシ単位を表す、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項6】
1が炭素原子数1〜4のアルキル基を表す、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項7】
2が炭素原子数1〜4のアルキル基を表す、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項8】
xが1〜10の数を表す、請求項1〜7の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項9】
yが1〜5の数を表す、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項10】
1が水素を表し、R2が炭素原子数1〜8の線状もしくは分枝状アルキル基を表し、xが2〜12の数を表し、そしてyが0を表す、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項11】
1が水素を表し、R2がn−ブチルを表し、xが2〜6の数を表し、そしてyが0の数を表す、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項12】
1が水素を表し、R2がメチルを表し、xが2〜12の数を表し、そしてyが0を表す、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項13】
1及びR2が水素を表す、請求項1〜5、8及び9の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項14】
1及びR2が水素を表し、(O−A)がエチレンオキシ基(EO)を表し、xが1〜15、好ましくは2〜12の数を表し、そしてyが0を表す、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項15】
溶剤c)が、5:1〜1:5の重量比で、次式IV
3(OH)y IV
[式中、R3は炭素原子数3〜40の炭化水素基であり、そして
yは、3〜40の整数を表し、そして
3中に含まれるそれぞれの炭素原子は、多くとも一つのOH基を有するかまたはOH基を持たない]
で表される多価アルコールと混合される、請求項1〜4、8、13、14の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項16】
多価アルコールがグリセリンである、請求項15の組成物。
【請求項17】
防腐剤としての、請求項1〜16の一つまたはそれ以上に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2009−529507(P2009−529507A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557629(P2008−557629)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001629
【国際公開番号】WO2007/101576
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】