説明

1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを含む組成物

【課題】安定で、有用な範囲内の粘度を有し、かつほとんどもしくは全く分散剤を有しない、食品と間接的に接触する組成物における使用できるBIT分散濃縮物を提供する。
【解決手段】水性媒体中に分散された1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを含み、かつ1種以上のポリサッカライドをさらに含む組成物であって、(a)当該組成物が界面活性化合物を含まないか、または(b)当該組成物が1種以上の界面活性化合物を含み、かつ当該組成物中の当該界面活性化合物の量が当該組成物の重量を基準にして0.4重量%未満である、組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)は、例えば、有用な水性組成物、例えば、ラテックスなどにおいて微生物(例えば、バクテリア、糸状菌、カビ、酵母など)を殺すために使用される有効な殺生物剤である。BITはpHが7.5以下の場合水中での低い溶解度を有し、よって水中に分散されたBIT粒子(「水性BIT分散物」と称される)の形態でBITを提供するのが一般的である。有用な水性組成物中で微生物の抑制に必要とされるよりも高い濃度のBITを有する形態(「BIT濃縮物」と称される)でBITを提供することが多くの場合望まれる。好適な量のBIT濃縮物が有用な水性組成物に添加されることができ、有用な水性組成物における微生物の制御に必要とされるBITの濃度を達成することができる。有用であるために、BIT分散濃縮物(すなわち、BIT濃縮物でもあるBIT分散物)は有用な粘度を有するべきであり、かつそれは安定であるべきである。
【0002】
米国特許第6,306,413号はBIT、分散剤およびキサンタンガムを含む組成物を記載する。多くの分散剤は、食品と間接的に接触する組成物における使用については政府機関によって承認されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,306,413号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BIT分散濃縮物は、食品と間接的に接触する組成物における使用について承認されている成分をできるだけ多く含むことが望まれる。この目的を達成する1つの方法は食品との間接的接触が承認されていない成分を除くことである。よって、安定で、有用な範囲内の粘度を有し、かつほとんどもしくは全く分散剤を有しないBIT分散濃縮物を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態においては、水性媒体中に分散された1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを含み、かつ1種以上のポリサッカライドをさらに含む組成物であって、(a)当該組成物が界面活性化合物を含まないか、または(b)当該組成物が1種以上の界面活性化合物を含み、かつ当該組成物中の当該界面活性化合物の量が当該組成物の重量を基準にして0.4重量%未満である、組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書において使用される場合、ある物質の個々の分子が液体溶媒全体にわたって分布させられて溶液を形成する場合に、その物質は液体溶媒中に「溶解され」ている。溶液においては、貯蔵中長期間にわたって(例えば、25℃で7日間以上)溶質は凝集せずもしくは溶媒から相分離しない。
【0007】
本明細書において使用される場合、個々の粒子が液体媒体全体にわたって分布させられる場合には、その粒子は液体媒体中に「分散され」ている。分散物中の粒子は100nm以上のメジアン粒子サイズを有する。分散された粒子は固体、液体(液体媒体と混和性でない場合)もしくは気体でありうる。
【0008】
水性媒体は25℃で液体であり、かつ水性媒体の重量を基準にして50重量%以上の水を含む組成物である。水性媒体中に溶解している物質は、本明細書においては、水性媒体の部分であると見なされ、水性媒体中に分散されている物質は、本明細書においては、水性媒体の部分であるとは見なされない。
【0009】
本明細書において使用される場合、25℃で水中に溶解されうる化合物の最大量が、水99グラム中化合物1グラム以下である場合には、その化合物は「水不溶性」である。本明細書において使用される場合、ある化合物の1グラムより多くが25℃で99グラムの水中に溶解されうる場合には、その化合物は「水溶性」である。
【0010】
本明細書において使用され、かつTextbook of Polymer Science第2版、1971においてFW Billmeyer,JR.によって定義されるように、「ポリマー」は、より小さな化学繰り返し単位の反応生成物からなる相対的に大きな分子である。ポリマーは10より多い繰り返し単位からなり、1,000より多い分子量を有する。ポリマーは線状、分岐、星形、ループ、超分岐、架橋またはこれらの組み合わせである構造を有しうる;ポリマーは単一種の繰り返し単位を有することができ(ホモポリマー)、またはポリマーは2種以上の繰り返し単位を有することができる(コポリマー)。コポリマーはランダム、シークエンス、ブロック、他の配列で、またはこれらの混合もしくは組み合わせで配列された様々な種類の繰り返し単位を有することができる。
【0011】
本明細書において使用される場合、「界面活性」化合物は分散剤、界面活性剤もしくはその双方である化合物である。
【0012】
本明細書において使用される場合、「有機溶媒」は25℃で液体である有機化合物である。
【0013】
本発明は1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)の使用を伴う。BITは25℃で固体である粒子の集団の形態で提供される。個々の粒子、凝集体および集塊を含むこのような集団の粒子は1マイクロメートル〜500マイクロメートルのサイズの範囲である。このような集団は通常約85重量%のBITおよび約15重量%の水を含む。このような集団は粉体に見えるが、多くの場合「ペースト」と称される。
【0014】
本発明の組成物においては、BITの粒子は水性媒体中に分散される。好ましい水性媒体は水性媒体の重量を基準にして75重量%以上の水分含量を有する。本発明の組成物中のBITの好ましい量は、本発明の組成物の重量を基準にして5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上である。独立して、本発明の組成物中のBITの好ましい量は、本発明の組成物の重量を基準にして40重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下であり、さらにより好ましくは25重量%以下である。
【0015】
本発明の組成物は1種以上のポリサッカライドを含む。ポリサッカライドは、繰り返し単位がモノサッカライドであり、10より多い繰り返し単位からなるポリマーである。好ましいのは50以上の繰り返し単位を有するポリサッカライドであり、より好ましくは75以上の繰り返し単位である。好ましいポリサッカライドは水溶性である。好ましいポリサッカライドはセルロースエーテル、セルロースエーテルの誘導体、ガムおよびこれらの混合物である。
【0016】
セルロースエーテルおよびその誘導体は、セルロースのアルキル化および場合によっては、さらなる化学修飾によって製造される。好ましいセルロースエーテルおよびその誘導体は水溶性である。セルロースエーテルおよびその誘導体の中では、好ましいのはヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、より好ましいのはヒドロキシエチルセルロースである。
【0017】
ガムは生物学的システムによって製造されるポリサッカライドである。好ましいガムは水溶性である。好ましいガムは500,000以上の重量平均分子量を有し、より好ましくは100万以上である。ガムの中では、好ましいのはキサンタンガムである。
【0018】
より好ましいポリサッカライドはヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムおよびこれらの混合物である。
【0019】
本発明の組成物においては、ポリサッカライドの好ましい量は、組成物の重量を基準にして0.5重量%以上、より好ましくは0.6重量%以上である。独立して、本発明の組成物においては、ポリサッカライドの好ましい量は、組成物の重量を基準にして1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.8重量%以下である。ある実施形態においては、唯一のポリサッカライドが、セルロースエーテル、セルロースエーテルの誘導体、およびこれらの混合物から選択される1種以上のポリサッカライドであり、このような実施形態においては、ポリサッカライドの好ましい量は組成物の重量を基準にして0.7重量%以上である。
【0020】
本発明の組成物は界面活性化合物をほとんどもしくは全く含まない。すなわち、本発明の組成物は分散剤をほとんどもしくは全く含まず、かつ組成物は界面活性剤をほとんどもしくは全く含まない。
【0021】
分散剤は、粒子が水と混合される場合に、水に不溶性の無機化合物の粒子の表面上に吸着するポリマーである。分散剤分子の少なくとも一部分(「アンカー」基)は水に不溶性である1種以上の無機化合物との適合性を有する。分散剤分子の少なくとも1つの他の部分は水との適合性を提供する。分散剤は水の表面張力を低減させることについて界面活性剤よりも通常かなり弱い。
【0022】
分散剤には、アニオン性分散剤、非イオン性分散剤、およびこれらの混合物が挙げられる。アニオン性分散剤には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸もしくはマレイン酸の重合単位のようなカルボキシルモノマー単位を含むホモポリマーおよびランダムコポリマーが挙げられる。アニオン性分散剤には、例えば、「アンカー基」に結合した親水性ポリマーも挙げられる。親水性ポリマーには、例えば、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸が挙げられる。アンカー基には、例えば、アミノ(ビスメチレンホスホン酸)基、アルキルフェノール基およびアミン含有ポリマーブロック(例えば、ポリビニルピリジンおよびポリジメチルアミノエチルメタクリラートなど)が挙げられる。アニオン性分散剤には、例えば、リグニンスルホン酸ナトリウム、並びにナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物のナトリウム塩が挙げられる。
【0023】
非イオン性分散剤には、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである分散剤が挙げられる。
【0024】
界面活性剤は化合物の分子が疎水性部分および親水性部分を有する化合物である。界面活性剤のカテゴリーは一般的に「界面活性剤」と呼ばれる化合物を含み、かつ、乳化剤および湿潤剤も含む。界面活性剤はカチオン性、アニオン性、両性イオン性もしくは非イオン性でありうる。アニオン性界面活性剤の分子の親水性部分はアニオン性である。非イオン性界面活性剤は通常ポリマー系であり、ポリマー系非イオン性界面活性剤分子は多くの場合ブロックコポリマーであり、親水性ブロック(例えば、ポリ(エチレンオキシド)など)および疎水性ブロック(例えば、ポリ(プロピレンオキシド)など)を有する。界面活性剤は通常、水溶液の表面張力の低減について分散剤よりも有効である。
【0025】
本発明の組成物中の全ての界面活性化合物の量の合計はゼロであることができ、またはゼロより大きくてもよい。本発明の組成物中の全ての界面活性化合物の量の合計は組成物の重量を基準にして0.4重量%未満でもある。好ましいのは、全ての界面活性化合物の量の合計が組成物の重量を基準にして0.4重量%以下である組成物であり、より好ましいのは0.2重量%以下であり、より好ましいのは0.1重量%以下であり、最も好ましいのはゼロである。
【0026】
本発明の組成物のいくつかの実施形態はクレイを含む。クレイが使用される場合には、好ましいのはスメクタイトクレイである。クレイが使用される場合には、好ましい量は本発明の組成物の重量を基準にして1.5重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以下である。好ましい実施形態はクレイを含まない。
【0027】
本発明の組成物のいくつかの実施形態は1種以上の酸、1種以上の塩基、1種以上の塩またはこれらの組み合わせを含む。酸、塩基、および/または塩は組成物のpH値を調節するためにおよび/またはpHを所望の値に維持するための緩衝性を提供するために添加されうる。好ましい組成物は1.5〜7.5のpHを有する。より好ましくは、2.0以上のpHを有する組成物であり、より好ましいのは2.5以上である。
【0028】
本発明の好ましい組成物はアクリルポリマーをほとんどもしくは全く含まない。アクリルポリマーはアクリルモノマーの重合単位をポリマーの重量を基準にして50重量%以上含む。アクリルモノマーはアクリル酸、メタクリル酸、これらの置換もしくは非置換アミド、並びにこれらの置換もしくは非置換エステルである。好ましいのは、アクリルポリマーの量が組成物の重量を基準にして0.4重量%未満である組成物であり、より好ましくは0.2重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下であり、最も好ましいのはゼロである。
【0029】
本発明の好ましい組成物はポリサッカライドではないポリマー系増粘剤をほとんどもしくは全く含まない。ポリマー系増粘剤は比較的少量で水に添加される場合に、水の粘度を上昇させるポリマーである。すなわち、1グラムの増粘剤が99グラムの水に添加される(および必要ならば水のpHが調節される)場合に、水の粘度は2倍以上上昇させられる。いくつかのポリマー系増粘剤は、例えば、水中に可溶性であるポリマーである。いくつかのポリマー系増粘剤は、例えば、水中に可溶性ではなく、pHが臨界値を超えて上昇させられる場合には水中で膨潤性するラテックスポリマーである。好ましいのはポリサッカライドではないポリマー系増粘剤の量が組成物の重量を基準にして0.4重量%未満であり、より好ましくは0.2重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下であり、最も好ましくはゼロである。
【0030】
本発明の好ましい組成物においては、組成物中の全ての界面活性化合物およびポリサッカライドではない全てのポリマー系増粘剤の合計量は、組成物の重量を基準にしてゼロ以上であり、かつ0.4重量%未満である。組成物中の全ての界面活性化合物およびポリサッカライドではない全てのポリマー系増粘剤の合計量は、より好ましくは、組成物の重量を基準にして0.2重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下であり、最も好ましくはゼロである。
【0031】
本発明の好ましい組成物はポリサッカライドではないあらゆる種類のポリマーをほとんどもしくは全く含まない。好ましいのはポリサッカライドではないポリマーの量が組成物の重量を基準にして0.4重量%未満である組成物であり、より好ましくは0.2重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下であり、最も好ましくはゼロである。
【0032】
本発明のある組成物はBITに加えて、1種以上の追加の殺生物剤を含む。殺生物剤は微生物の生命を殺す化合物である。追加の殺生物剤は、例えば、ホルムアルデヒド放出性殺生物剤、アルデヒド、尿素系殺生物剤、第四級アンモニウム殺生物剤、フェノール系殺生物剤、ハロゲン含有殺生物剤、有機金属殺生物剤、有機硫黄殺生物剤、複素環式殺生物剤、ビグアナイド殺生物剤、他の窒素含有殺生物剤、アルコール殺生物剤およびこれらの混合物から選択されうる。1種以上の追加の殺生物剤が存在する場合には、好ましい追加の殺生物剤は水溶性の殺生物剤である。いくつかの好適な水溶性殺生物剤は、例えば、3−イソチアゾロンの水溶性誘導体である。好適な水溶性殺生物剤には、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMI)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MI)、ブロノポール、ジメチロールジメチルヒダントイン(DMDMH)、エチレンジオキシジメタノール(EDDM)、グルタルアルデヒド、グリオキサール、テトラヒドロ−1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)イミダゾ(4,5−d)イミダゾール−2,5−(1H,3H)−ジオン(CAS登録番号5395−50−6、テトラメチロールアセチレンジウレアもしくはTMDUとも称される)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
1種以上の水溶性殺生物剤が使用される場合には、水溶性殺生物剤のゼロより多い任意の量が意図される。1種以上の水溶性殺生物剤が使用される場合には、水溶性殺生物剤の好ましい量は組成物の重量を基準にして0.3重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは2重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上である。独立して、1種以上の水溶性殺生物剤が使用される場合には、水溶性殺生物剤の好ましい量は組成物の重量を基準にして25重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、より好ましくは12重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。CIMまたはCMIとMIとの混合物が含まれる場合には、CMIもしくはCMIとMIとの混合物の好ましい量は組成物の重量を基準にして0.3重量%〜2重量%である。
【0034】
1種以上の水溶性殺生物剤が使用されるいくつかの実施形態においては、1種以上の水溶性殺生物剤は溶液のpHに感受性である場合がある。すなわち、5より高いpHにおいては、pHが上昇するにつれてこのような殺生物剤は次第に不安定になる。このような実施形態においては、pHは好ましくは7.5以下、より好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下である。
【0035】
ある実施形態においては、組成物はBITに加えて、水に不溶性である1種以上の殺生物剤を含む。このような実施形態の中では、BITではなくかつ水に不溶性である殺生物剤の好ましい量は、組成物の重量を基準にして5重量%以下である。
【0036】
本発明の好ましい組成物は水に不溶性であってBIT以外の殺生物剤をほとんどもしくは全く含まない。好ましいのは、水に不溶性であってBIT以外の殺生物剤の良が組成物の重量を基準にして1重量%以下である組成物であり、より好ましくは0.3重量%以下であり、より好ましくは0.1重量%以下であり、最も好ましくはゼロである。
【0037】
BITに加えて、何らかの殺生物剤が存在するか存在しないかにかかわらず、本発明の組成物中の殺生物剤の全ての好ましい量(すなわち、全ての殺生物剤の量の合計)は、本発明の組成物の重量を基準にして15重量%〜50重量%であり、より好ましくは15重量%〜35重量%であり、より好ましくは15重量%〜25重量%である。
【0038】
本発明の組成物は、BITペースト(本明細書において上述したとおり)、水、ポリサッカライドおよび場合によっては他の成分をボールミルに入れて、この混合物を微粉砕することを含む方法によって通常製造される。結果物は水性媒体中のBIT粒子の分散物である。微粉砕が完了した後で、得られる分散物の粒子サイズが、ISO1520試験方法(スイス国、ジュネーブの国際標準化機構により発行)に従って、ヘグマン(Hegman)粉末度ゲージを使用して測定される。好ましい粒子サイズは5マイクロメートル以上であり、より好ましいのは10マイクロメートル以上である。独立して、好ましい粒子サイズは200マイクロメートル以下であり、より好ましいのは100マイクロメートル以下であり、より好ましいのは50マイクロメートル以下である。
【0039】
本発明のある組成物は1種以上の有機溶媒を含む。好ましいのは、有機溶媒をほとんどもしくは全く含まない組成物である。1種以上の有機溶媒が存在する場合には、好ましい量は組成物の重量を基準にして10重量%以下であり、より好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下である。最も好ましいのは有機溶媒を含まない組成物である。
【0040】
本発明の組成物は場合によっては、本明細書において上述の成分以外の追加の成分を含むことができる。好適な任意成分には、例えば、1種以上の消泡剤、1種以上の安定化剤、1種以上の配合助剤およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
本実施例の目的のために、ここで開示される各操作は他に特定されない限りは25℃で行われることが理解される。
【実施例】
【0042】
遠心分離試験
組成物が分離した層に分かれるのに耐える能力を試験するために、遠心分離試験が使用された。サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)によるHeraeus商標Megafuge商標16を用いて、組成物は15分間3100rpmで1650Gで回転させられた。回転後、組成物は目視で検査された。分離した層が観察された場合には、各層に残留する組成物のパーセンテージが報告された。
【0043】
粘度測定
試験方法ASTM D562(米国、ペンシルベニア州、ウェストコンショッケンの米国材料試験協会)に従って、Sheen商標480パドル粘度計を用いて粘度が測定された。結果はクレブス単位で報告される。組成物は、組成物が製造された直後および再び1日後に測定された。
【0044】
混合
以下の実施例において、組成物は以下のように混合された。水道水および(存在する場合には)クレイが容器に入れられ、数分間(典型的には10分間)770rpmで分散機にかけられた。この分散機の速度は220rpmに低下させられ、(存在する場合には)分散剤が添加され、その一方で分散機は数分間200rpmで作動し続けた。(存在する場合には)水溶性殺生物剤が添加され、分散機の速度がさらに数分間200rpmに保持された。(存在する場合には)さらなる水溶性殺生物剤が添加され、その一方で分散機は数分間200rpmで作動し続けた。分散機は480rpmに回転数を上げられ、BITが添加され、分散機は数分間(典型的には5〜10分間)駆動させられた。(存在する場合には)有機酸および緩衝剤が添加され、pHを好ましい範囲(典型的には4.5〜2.5)に調節し、その際分散機は数分間駆動し続けた。分散機が200rpmで駆動し続けつつ、ポリサッカライドが添加され、次いで分散機は30分間200rpmで運転された。
【0045】
以下の実施例において、示される量は各配合物の全重量を基準にした重量パーセントである。
【0046】
遠心分離試験についての評価:評価は最も大きな相に含まれる組成物のパーセンテージに基づいて以下のように決定された:
【表1】

【0047】
略語:
B1=ブロノポール:ケーソン(Kathon商標)886F(ダウケミカルカンパニーから)の重量比4.41:1の殺生物剤の混合物。
B2a=2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ダウケミカルカンパニーから。
B2b=2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとのブレンド、CMI:MIの重量比3:1、ダウケミカルカンパニーから。
B2=殺生物剤B2aおよびB2bの混合物。
クレイ1=Veegum商標スメクタイトクレイ、R.T.Vanderbilt Co.,Inc.から。
X1=キサンタンガム、ダニスコグリンステッドから。
HEC=ヒドロキシエチルセルロース、ダウケミカルカンパニーから。
P1=Byk商標P−105、分散剤、BykChemie GmbH Companyから。
D1=Darvan商標No.1、分散剤、R.T.Vanderbilt Companyから。
M1=Metolat商標388分散剤、Munzing Chemie GmbH Companyから。
I1=Imbentin商標U/070分散剤、Kolb Distribution Ltdから。
A33=Aculyn商標33、増粘剤、アクリルラテックス増粘剤、ダウケミカルカンパニーから。
Visc−0=製造直後に測定された粘度
Visc−1=1日後に測定された粘度
【0048】
【表2】

実施例11は混合物を粉砕することなく成分を混合することにより製造された。
【0049】
【表3】

注(1)他の殺生物剤の量は5〜10パーセントであった。
【0050】
【表4】

【0051】
比較例(「C」の印をつけた)は全て遠心分離試験で悪い結果を有していた(16.3Cを除く、これは望まれるよりも高濃度の分散剤を有していた)。本発明の実施例は概して、遠心分離試験においてかなり良好な結果を有していた。界面活性剤もしくはクレイを含まない配合物は、「優」の物理的安定性のために少なくとも0.55%のキサンタンおよび「秀」の物理的特性のために少なくとも0.65%のキサンタンを必要とした。好適な界面活性物質(その中には、例えば、P1およびD1がある)の低濃度(0.3%未満)を含む配合物について同じこと保っている。クレイ(0.8%〜1.4%)と一緒にされ、キサンタン(0.55%〜0.7%)を含む配合物は優〜秀の物理的安定性も示した。M1を用いると、劣った結果が観察された。単独の増粘剤としてHECを使用すると、「優」の物理的安定性のために約0.8%が必要とされた。1%でのHECは許容可能であったが望まれるより高い粘度をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に分散された1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを含み、かつ1種以上のポリサッカライドをさらに含む組成物であって、
前記ポリサッカライドは前記水性媒体中に溶解されており、かつ
(a)当該組成物が界面活性化合物を含まないか、または
(b)当該組成物が1種以上の界面活性化合物を含み、かつ当該組成物中の前記界面活性化合物の量が当該組成物の重量を基準にして0.4重量%未満である、組成物。
【請求項2】
前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの量が当該組成物の重量を基準にして5重量%〜40重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリサッカライドの量が当該組成物の重量を基準にして0.5重量%〜1.5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
当該組成物中での全ての界面活性化合物と、ポリサッカライドではない全てのポリマー系増粘剤との合計量が当該組成物の重量を基準にして0以上であり、かつ0.4重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリサッカライドがキサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロースまたはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
当該組成物が、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンではない1種以上の殺生物剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンではない前記殺生物剤が1種以上の水溶性殺生物剤を含む請求項6に記載の組成物。

【公開番号】特開2012−36184(P2012−36184A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−159548(P2011−159548)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】