説明

17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエン

本発明は、式(I)の17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエン類、それらの調製方法、医薬の調製のためへの17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエン類の使用及びそれらの化合物を含んで成る医薬調製物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエン類及びそれらの調製方法、医薬の調製のためへの17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエン類の使用及びそれらの化合物を含んで成る医薬調製物に開する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、抗エストロゲン作用を有し、すなわちそれらの物質はエストロゲンに対して阻害作用を発揮する。そのような物質はすでに広く記載されている。
【0003】
例えば、抗エストロゲン作用を有する化合物は、EPO138504B1号から知られている。それらは実質的に、中でもヒドロキシル又はアルコキシにより3−位置で、ヒドロキシルにより17α−位置で、及び水素又はアルキルにより17β−位置で置換されるエストラ−1,3,5(10)−トリエン誘導体である。それらの化合物はさらに、部分的に弗素化され得、そして中でも、アミド、アミノ、アミン、N−オキシド、オキシ、スルファニル、スルフィニル及び/又はスルホニル基により中断され得るアルキル側鎖を、7α−位置で有する。
【0004】
WO99/33855A1号は、3−及び17−位置でヒドロキシル基を有することができる11β−ハロ−7α−置換されたエストラ−1,3,5(10)−トリエンを記載する。その7α−側鎖は、アミン窒素原子により、又はスルファニル、スルフィニル又はスルホニル基により中断される、部分的に弗素化された、任意に不飽和の炭化水素鎖である。
【0005】
他の化合物は、WO98/07740A1号に記載される。それらは置換された7α−(ξ−アミノアルキル)エストラ−1,3,5(10)−トリエンである。3−位置で、それらの化合物は好ましくは、ヒドロキシル、メトキシ又はアセチルオキシ基を有し、そして17β−及び/又は17α−位置で、それらは好ましくは、メチル又はトリフルオロメチル基を有する。11β−位置は好ましくは、弗素により占められ、そして7α−位置は、末端で少なくとも部分的に弗素化され、そしてアミン窒素原子及びスルファニル、スルフィニル又はスルホニル基により中断されるアルキル側鎖により占められる。
【0006】
WO97/45441A1号は、3−位置及び17α−位置でヒドロキシル基を有する7α−(5−メチルアミノペンチル)エストラ−1,3,5(10)−トリエンを開示する。その17β−位置は、メチル又はエチニル基により占められる。さらに、エストラトリエン骨格の2−位置はまた、弗素原子により置換され得る。
【0007】
投与に基づいて、既知化合物は種々の生物学的に高い活性の代謝物を形成することが見出された。それらの代謝物の形成は、所望しない作用及び従って、制御できない活性範囲を導く。特に、副作用が生じるか、又は所望する主要作用(抗エストロゲン作用)がそれらの代謝物の自発的形成により制御できなくなる。さらに、経口投与に基づく既知化合物の適合性は満足のゆくものではない。特に、既知化合物は肺胞マクロファージの蓄積を促進することが見出された。
【0008】
満足のいかない経口生物学的利用能が従来技術のすべての抗エストロゲンに共通する。さらに、従来技術の抗エストロゲンは、チトクロームP450オキシダーゼと相互作用する。構造的に最も近い従来技術は、水素とは異なる位置17での基がβ−位置ではなく、α−位置で結合されず、そして同様に、位置17で結合される酸素含有基がα位置ではなく、β−位置でエストラトリエン骨格に結合されていないことにおいて、本発明の化合物とは異なる、WO03/045972号の化合物を形成する。
【0009】
現在まで、従来技術は、それらの化合物がエストロゲン受容体に対して高い親和性を有さず、そして従って、エストロゲン又は抗エストロゲン効果も予測されなかった多くの指摘が存在するので、17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンとは異なる(J. Med.Chem. 1979, 22 (12), 1538ff)。当業者がこれを却下した場合でさえ、彼は、従来技術が複雑であり、そしてほとんど約束できない経路のみを記載するので、17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンについて合成経路を見出すことは困難であった。
【0010】
この従来技術に基づいて、ほとんど生物学的活性代謝物を形成しない追加の抗エストロゲン化合物を供給することが、本発明の目的である。さらに、経口投与に基づいて、前記化合物は生物学的利用能を改良し、従って患者のストレスを低めるべきである。これは患者のコンプライアンスを高める。
【0011】
驚くべきことには、及び当業者の偏見を払拭するためには、本発明の17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンが抗エストロゲン性質及び相当に改良された生物学的利用能を有することが現在見出された。これは予測できないことであった。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、下記一般式(I):
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、Halは、エストラトリエン骨格に11β−位置で結合される弗素又は塩素を表し;
R1、R2及びR4はお互い独立して、水素、弗素、塩素又は臭素を表し;
R3は、水素、又はC1-C4-アルキルもしくはC1-C4-アルカノイル基を表し;
R17’は、水素、又はC1-C4-アルキル又はC1-C4-アルカノイル基を表し;
R17’’は、任意にはモノ又はポリ弗素化されたC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル又はC2-C4-アルキニル基を表し、ここでR17’-Oは、エストラトリエン骨格に17α−位置で結合され、そしてR17’’はエストラトリエン骨格に17β−位置で結合され;
【0015】
Uは、直鎖又は枝分れ鎖のC1-C13-アルキレン、C2-C13-アルケニレン又はC2-C13−アルキニレン基を表すか、又は基A−Bを表し、ここでAは、エストラトリエン骨格に結合され、そしてエストラトリエン骨格に-CH2-を通して結合されるベンジリデン基であり、フェニレン基であり、又はエストラトリエン骨格にアルキル基を通して結合されるC1-C3−アルキレン−フェニレン基であり、そしてBは、直鎖又は枝分れ鎖のC1-C13-アルキレン、C2-C13-アルケニレン又はC2-C13−アルキニレン基を表し、そしてA及びBはまた、酸素原子を通してお互い結合され得;
Vは、メチレン又は-C(O)-基を表し;
Xは、結合又はC1-C3-アルキレン基を表し;
【0016】
R5は、水素、又はC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニルもしくはC2-C4-アルキニル基を表し;
R6は、水素又は基-CH2-R7又はC(O)-R7を表し、ここでR7は水素、又は直鎖又は枝分れ鎖の弗素化されていないか又は少なくとも部分的に弗素化されたC1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル又はC2-C6-アルキニル基(ヒドロキシルにより一又は多置換され得る)を表し;又は
R5及びR6は、Xと共に及び側鎖の窒素原子と共に、4〜6員のヘテロシクリル環(側鎖の窒素原子の他に、追加のヘテロ原子を有し、そして/又はカルボニル基を含むことができる)を形成し;
Yは、C5-C8-アルキレン基を表し;
Eは、C1-C4-ペルフルオロアルキル基を表すか、又はハロゲン又は-CF3により一又は五置換されるフェニル基を表す]
の17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエン類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出現は次の定義に基づかれる:
Cn-アルキル
Cn-アルキルは、n個の炭素原子を有する、直鎖又は枝分れ鎖の飽和単価の炭化水素基を表す。
Cn-アルキレン
Cn-アルキレンは、n個の炭素原子を有する、直鎖又は枝分れ鎖の飽和二価の炭化水素基を表す。
Cn−アルケニレン
Cn−アルケニレンは、n個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖又は枝分れ鎖の二価の炭化水素基を表す。
Cn-アルキニレン
Cn−アルキニレンは、n個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する、直鎖又は枝分れ鎖の二価の炭化水素基を表す。
【0018】
Cn−アルケニル
Cn−アルケニルは、n個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖又は枝分れ鎖の単価の炭化水素基を表す。
Cn−アルキニル
Cn−アルキニルは、n個の炭素原子及び少なくとも1つの三重結合を有する、直鎖又は枝分れ鎖の単価の炭化水素基を表す。
Cn−アルキルカルボニル=Cn−アルカノイル
Cn−アルキルカルボニルは、基−C(O)−Cn−アルキルを表す。
一般的に、nは1〜6、好ましくは1〜4及び特に好ましくは1〜3である。
次の基は、例の手段により及び参照の手段により言及され得る:
アセチル及びプロパノイル。
【0019】
ヘテロ原子
ヘテロ原子は、酸素、窒素又は硫黄原子を意味するものとして理解されるべきである。
ヘテロアリール
ヘテロアリールは、炭素とは異なる少なくとも1つのヘテロ原子を有する単価の芳香族単−又は二環式環システムである。存在することができるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子である。結合原子価は、いずれかの芳香族炭素原子又は窒素原子で存在することができる。
【0020】
ヘテロシクリル
本発明のためには、ヘテロシクリルは、十分に又は部分的に水素化されたヘテロアリール(十分に水素化されたヘテロアリール=飽和へテロシクリル)、すなわち炭素又はヘテロ基とは異なる少なくとも1つのヘテロ原子を有する非芳香族単−又は二環式環システムである。存在することができるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子である。結合原子価は、いずれかの炭素原子又は窒素原子で存在することができる。
【0021】
本発明の単環式へテロシクリル環は、4〜6環原子を有する。4環原子(4員)を有するヘテロシクリル環は、例えばアゼチジニルを包含する。5環原子(5員)を有するヘテロシクリル環は、例えば環ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル及びピロリニルを包含する。6環原子を有するヘテロシクリル環は、例えば環ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルを包含する。
【0022】
ハロゲン
用語ハロゲンは、弗素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する。弗素が好ましい。
一般式(I)においては、Halは、エストラトリエン骨格に11β−位置で結合される弗素又は塩素を表す。好ましくは、Halは、弗素原子を表す。
【0023】
一般式(I)においては、R1、R2及びR4はお互い独立して、水素、弗素、塩素又は臭素を表す。好ましくは、R1、 R2及びR4はお互い独立して、水素、塩素又は臭素を表す。特に好ましくは、R1は水素を表し、R2は水素又は塩素を表し、そしてR4は水素、塩素又は臭素を表す。最も好ましくは、R1, R2及びR4は水素を表す。
【0024】
一般式(I)においては、R3は、水素、又はC1-C4-アルキル又はC1-C4-アルカノイル基を表す。好ましくは、R3は水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はtert−ブチル、又は対応するアルカノイル(アセチル、プロピオニル、ブタノイル)を表す。特に好ましくは、R3は、水素、メチル又はアセチル基を表。最も好ましくは、R3は水素を表す。
【0025】
一般式(I)においては、R5は、水素、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル又はC2-C4-アルキニル基を表す。R5は好ましくは、R5は、水素又はC1-C3−アルキル基を表す。R5は特に好ましくは、水素を表す。
【0026】
一般式においては、R6は、水素又は基-CH2-R7又はC(O)-R7又はC(O)-R7を表し、ここでR7は水素、又は直鎖又は枝分れ鎖の弗素化されていないか又は少なくとも部分的に弗素化されたC1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル又はC2-C6-アルキニル基(ヒドロキシルにより一又は多置換され得る)を表す。R6は好ましくは、水素又は-CH2-R7を表し、ここでR7は水素、メチル又はエチル基を表す。R6は特に好ましくは、メチル基を表す。
【0027】
一般式(I)においては、他方では、R5及びR6は、Xと共に及び側鎖の窒素原子と共に、4〜6員のヘテロシクリル環(側鎖の窒素原子の他に、追加のヘテロ原子を有し、そして/又はカルボニル基を含むことができる)を形成する。R5及びR6は側鎖の窒素原子と共に、5員のヘテロシクリル環(側鎖の窒素原子のために、追加のヘテロ原子を有し、そして/又はカルボニル基を含むことができる)を形成する。特に好ましくは、R5及びR6は、側鎖の窒素原子と共に、ピロリジン環を形成する。
【0028】
一般式(I)においては、R17’は、水素、又はC1-C4-アルキル又はC1-C4-アルカノイル基を表す。
【0029】
一般式(I)においては、R17’’は、任意にはモノ又はポリ弗素化されたC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル又はC2-C4-アルキニル基に表し、ここでR17’-Oは、17α−位置で結合され、そしてR17’’はエストラトリエン骨格に17β−位置で結合される。特に、R17’及びR17’’は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert−ブチルである。水素、アセチル、プロピオニル及びブタノイルがさらに、R17’について好ましい。エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル及び3−ブチニル、及びまた、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフィルオロプロピル及びノナフルオロブチルがさらに、R17’’について好ましい。特に好ましくは、R17’は、水素、メチル又はアセチル基を表す。特に好ましくは、R17’’は、メチル、エチニル又はトリフルオロメチル基を表す。最も好ましくは、R17'は水素を表す。最も好ましくは、R17’’はメチル基を表す。
【0030】
一般式(I)においては、Uは、直鎖又は枝分れ鎖のC1-C13-アルキレン、C2-C13-アルケニレン又はC2-C13−アルキニレン基を表すか、又は基A−Bを表し、ここでAは、エストラトリエン骨格に結合され、そしてエストラトリエン骨格に-CH2-を通して結合されるベンジリデン基であり、フェニレン基であるか、又はエストラトリエン骨格にアルキル基を通して結合されるC1-C3−アルキレン−フェニレン基であり、そしてBは、直鎖又は枝分れ鎖のC1-C13-アルキレン、C2-C13-アルケニレン又はC2-C13−アルキニレン基を表し、そしてA及びBはまた、酸素原子を通してお互い結合され得る。
【0031】
Uは特に、直鎖又は枝分れ鎖のアルキレン基であり得る。メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン又はトリデシレン基が好ましいUである。特に好ましくは、Uは-(CH=)p-(ここでpは2〜10の整数である)を表す。特に好ましくは、Uはブチレン、ペンチレン、ヘキシレン又はヘプチレン基である。最も好ましくは、Uはn−ブチレン基、すなわちUについての式-(CH2)p-(p=4)である。
【0032】
一般式(I)においては、Vは、メチレン又は-C(O)-基を表す。特に、Vは、メチレン基を表す。従って、最も好ましい態様においては、基U-Vはn−ペンチレンであり得る。
一般式(I)においては、Xは、結合又はC1-C3-アルキレン基を表す。好ましくは、Xは、結合又はメチレン基を表す。特に好ましくは、Xは結合である。
一般式(I)においては、Yは、C5-C8-アルキレン基を表す。好ましくは、Yは結合又はC5-C7−アルキレン基である。特に好ましくは、Yはn−ペンチレン又はn−ヘキシレン基である。
【0033】
一般式(I)においては、Eは、C1-C4-ペルフルオロアルキル基を表すか、又はハロゲン又は-CF3により一又は五置換されるフェニル基を表す。好ましくは、Eは-CF3、-C2F5、-C3F7、-C4F9を表し、ハロゲン及び/又はトリフルオロメチルにより1〜3置換されるフェニルを表す。特に好ましくは、Eは、-C2F5、-C3F7、-C4F9又はトリフルオロメチルフェニル基を表す。最も好ましくは、Eは-C2F5を表す。
【0034】
好ましいサブグループの化合物は、
Halが、弗素を表し;
R1、 R2及びR4がお互い独立して、水素、塩素又は臭素を表し;
R3が、水素、メチル又はアセチル基を表し;
R5が、水素又はC1-C3−アルキル基を表し;
R6が、水素又は-CH2-R7を表し、ここでR7は水素、メチル又はエチル基を表し;又は
R5及びR6が、側鎖の窒素原子と共に、5員のヘテロシクリル環(側鎖の窒素原子のために、追加のヘテロ原子を有し、そして/又はカルボニル基を含むことができる)を形成し;
【0035】
R17’が、水素、メチル又はアセチル基を表し;
R17’’が、メチル、エチニル又はトリフルオロメチル基を表し;
Uが、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン又はヘプチレン基を表し;
Vが、メチレン基を表し;
Xが、結合又はメチレン基を表し;
Yが、結合又はC5-C7−アルキレン基を表し;そして
Eが、-C2F5、-C3F7、-C4F9又はトリフルオロメチルフェニル基を表す、式(I)の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩により形成される。
【0036】
最も好ましいサブグループの化合物は、
R1が、水素を表し;
R2が、水素又は塩素を表し;
R4が、水素、塩素又は臭素を表し;
R3が、水素を表し;
Halが、弗素を表し;
R5が水素を表し、そしてR6がメチル基を表し;又は
R5及びR6が、側鎖の窒素原子と共に、ピロリジン環を形成し;
【0037】
R17’が、水素を表し;
R17’’が、メチル基を表し;
Uが、n−ブチレン基を表し;
Vが、メチレン基を表し;
Xが、結合を表し;
Yが、n−ペンチレン又はn−ヘキシレン基を表し;そして
Eが、-C2F5を表す、式(I)の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩により形成される。
【0038】
本発明によれば、17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンの薬理学的に許容できる酸付加塩及びエステルがまた、包含される。付加塩は、無機及び有機酸によるその対応する塩である。適切な付加塩は特に、塩酸塩、臭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩及びメタンスルホン酸塩である。R3及びR17’が水素であり、すなわち3, 17α−ジオールが存在する場合、それらのヒドロキシル化合物のエステルがまた、形成され得る。それらのエステルは好ましくは、有機酸により形成され、適切な酸は、付加塩の配合についての酸と同じ酸、すなわち、特に酢酸、また高級カルボン酸、例えばプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸又はピバル酸である。
【0039】
新規17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンは、多くのキラル中心を有する。従って、個々の場合、個々の化合物の多くの立体異性体形が存在する。式Iの化合物は、互異性体、立体異性体又は幾何学的異性体として存在することができる。さらに、本発明はまた、すべての可能性ある異性体、例えばE及びZ異性体、S及びR鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、及び前述のもの、例えば互異性体化合物の混合物を包含する。すべてのそれらの異性体化合物形は、明確に言及しない場合でされ、本発明の主題の一部である。異性体混合物は、従来の方法、例えば結晶化、クロマトグラフィー処理、又は塩形成により、鏡像異性体又はE/Z異性体に分離される。
【0040】
本発明のための特に適切な化合物は、一般式(I)を有するエストラトリエン、すなわち下記のものである:
11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[メチル(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
4-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[メチル(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
4-ブロモ-11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[メチル(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
4-ブロモ-11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
4-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
4-ブロモ-11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール;
4-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3, 17α-ジオール;
2,4-ジクロロ11β-フルオロ-17β-メチル-7-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール。
【0041】
本発明の17β−アルキル−17α−オキソ−エストラトリエンはまた、ハロゲン原子が11β−位置で結合され、そしてアルキル基が17β−位置で結合される既知化合物とは異なる。
【0042】
17β−位置で置換されていない3,17α−ジヒドロキシ−エストラトリエンに比較して、本発明の17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンは実質的に代謝物を形成しない。17−オキソ誘導体をもたらす、17α−位置に結合されるヒドロキシル基の酸化により形成されるエストラトリエン誘導体は非常に強い生物学的活性を有することが見出された。
【0043】
アルキル基、特にC1-C4−アルキル基により17β−位置をブロックすることにより、この酸化反応が先回りされ、これがまた、代謝物種も抑制する。従って、活性化合物として使用される本発明のエストラトリエンは、種−無関係効能及び活性を有する。従って、それらの化合物の利点は、活性化合物の十分な効能が単一化合物において実現される事実にある。
【0044】
この理由のために、生物学的活性代謝物の形成の欠如のために、効能を一定の構造原理に割当てることが容易であり、従って活性化合物についてのより標的化された研究を可能にするので、医薬の開発において好都合である。
さらに、本発明の17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンは、ほとんど100%、エストラジオールの作用を阻害する。従って、それらは抗エストロゲンである。
【0045】
本発明の化合物の効能を試験するために、本発達ラットによるインビボ試験を実施した。このために、医薬の経口投与(p.o.)による子宮の成長を試験した(抗エストロゲン作用についての試験)。
本発明の原理は、エストロゲンの同時投与を伴って、抗エストロゲン作用を有する化合物の投与の効果を調べることである。齧歯動物においては、エストロゲンの投与は、子宮の高められた重量をもたらす(増殖及びヒドロペキシア(hydropexia)の両者による)。
【0046】
試験のために、35〜45gの重量の未成熟雌のラットが、実験の開始で試験された。用量当たり5〜6匹の動物が試験された。p.o.投与のために、物質は1部のエタノール(E)に溶解され、そして9部のピーナッツ油(PO)により補充された。新環境順応のために、母により産み落とされた直後の若いラットが、処理の開始の1日前、供給され、そしてすぐに、ケージにおいて食物を供給された。3日間、動物は、1日当たり1度、0.5μgのエストラジオールベンゾエート(EB)と組合して処理された。EBは常に皮下投与(s.c.)され、そして試験物質は、最後の投与の24時間後、p.o.投与され、動物が計量され、そして殺され、そして子宮が取り出された。用意された子宮の湿重量(少ない内容物)が決定された。次の対照研究が実施された:負の対照のためには、0.2mlのE/PO混合物が動物及び日当たり投与された。正の対照研究のためには、0.5μgのEB/0.1mlが動物及び日当たり投与された。
【0047】
個々のグループに関して、相対的器官重量(mg/100g体重)の標準偏差(X±SD)及び対照グループ(EB)に対する差異の有意性がDunnett試験(p<0.05)により決定された。EB対照に対する阻害率(%)が、計算プログラムを用いて決定された。試験物質の相対的効能が共分散及び回帰分析により計算された。
選択化合物についての試験結果が表1に示される。表1は、0.5μgのEB/0.1mlのs.c.投与及び0.03mg/kg体重の範囲での量で、エストロゲン作用を有する化合物の同時経口投与によるラットにおける子宮増殖についての試験結果を示す。
【0048】
【表1】

【0049】
抗エストロゲン作用が、約0.03mg/kgの用量が経口投与される場合、50%であることが表1から見出され得る。
【0050】
本発明の化合物は、17β−位置で置換されていないその対応する化合物よりも効果的であるか、又はさらにより効果的である。17β−位置で置換されていない化合物に比較して、本発明のエストラトリエンはまた、良好な適合性を有し、その結果、後者が好ましい。良好な適合性ほど、代謝物の形成が実質的に制限される事実に特に起因することができる。
【0051】
本発明の化合物はさらに、非常に高い生物学的利用能により区別され、そして従って、本発明の化合物の投与により問題の患者において高い血漿濃度を達成することが可能である。すでに言及される高い適合性と組合して、本発明の化合物を用いて、問題の化合物の有効濃度とは有意に異なる活性化合物の血清濃度を確立することが可能であるので、好結果をもたらす及び安全な治療を実施することが可能である。有効濃度は、それぞれの徴候において所望する効果を達成するために必要とされる最少の活性化合物血漿濃度である。
【0052】
本発明の一般式(I)の17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンは、医薬の調製のために特に適切である。従って、本発明はまた、少なくとも1つの一般式(I)の17β−アルキル−17α−オキシ−エストラトリエンの他に、少なくとも1つの医薬的に適合できるキャリヤーを含んで成る医薬製剤にも関する。本発明の医薬製剤又は組成物は、通常の固体又は液体又は液体キャリヤー又は希釈剤、及び適切な用量による所望するタイプの投与のために適切な通常の医薬及び産業用助剤を用いて、それ自体知られている態様で調製される。
【0053】
好ましい製剤は、経口、腸内又は非経口、例えばi.p.(腹腔内)、i.v.(静脈内)、i.m.(筋肉内)又は皮下投与のために適切な投与形から成る。そのような投与形は例えば、i.p.、i.v.、i.m.又は皮下注入、等のための錠剤、フィルム錠剤、被覆された錠剤、ピル、カプセル、粉末、クリーム、軟膏、ローション、液体、例えばシロップ、ゲル、注入できる液体である。さらに、デポット形、例えば移植調製物、及び坐薬がまた適切である。この場合、それらのタイプに依存して、個々の調製物は、本発明のエストラトリエンを、徐々に又は短時間に一度に、身体に放出する。
【0054】
経口投与に関しては、カプセル、ピル、錠剤、被覆された錠剤及び液体、又は医薬製剤としての他の知られている経口投与形を用いることが可能である。この場合、医薬は、活性化合物が短時間で放され、そして身体に通過するか、又はデポット作用を有し、その結果、身体への活性化合物の長期持続する遅延した供給が達成されるように配合され得る。少なくとも1つのエストラトリエンの他に、投与単位は、1又は複数の医薬的に適合できるキャリヤー、例えば医薬のレオロジーを調製するための物質、界面活性剤、溶解剤、マイクロカプセル、微粒子、顆粒、希釈剤、結合剤、例えば澱粉、糖、ソルビトール及びゼラチン、さらに充填剤、例えば珪酸及びタルク、滑剤、着色剤、香料及び他の物質を含んで成ることができる。
【0055】
対応する錠剤は例えば、活性化合物と、既知錠剤、例えば不活性希釈剤、例えばデキストロース、糖、ソルビトール、マンニトール、ポリビニルピロリドン、崩壊剤、例えば小麦粉又はアルギン酸、結合剤、例えば澱粉又はゼラチン、滑剤、例えばカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート又はポリビニルアセテートとを混合することにより得られる。錠剤はまた、多層からも成ることもできる。
【0056】
従って、被覆された錠剤は、類似して錠剤に製造されるコアーを、被覆された錠剤被膜に通常使用される剤、例えばポリビニルピロリドン又はセラック、アラビアゴム、タルク、酸化チタン又は糖により被覆することにより製造され得る。ここで、被覆される錠剤のシェルはまた、多くの層から成ることができ、ここで錠剤について上記に言及される助剤が使用され得る。
【0057】
活性化合物を含むカプセルは例えば、不活性キャリヤー、例えばラクトース又はソルビトールと共に混合され、そしてゼラチンカプセルに封入される活性化合物により製造され得る。
【0058】
本発明のエストラトリエンはまた、経口投与のために意図され、そして活性エストラトリエンの他に、医薬的に適用できる油及び/又は医薬的に適合できる親油性界面活性剤、及び/又は医薬的に適合できる親水性界面活性剤、及び/又は医薬的に適合できる水混和性溶媒を成分として含む溶液の形でも配合され得る。
【0059】
本発明の活性化合物の良好な生物学的利用能を達成するために、化合物はまた、シクロデキストリンクラスレートとして配合され得る。このためには、化合物は、α−、β−又はγ−シクロデキストリン又はその誘導体と反応される。
【0060】
外部適用のためのクリーム、軟膏、ローション及び液体が使用される場合、それらは、本発明の化合物が適切な量で身体に適用されるよう構成されるべきである。それらの投与形は、助剤、例えば医薬のレオロジーを調節するための物質、界面活性剤、保存剤、溶解剤、希釈剤、皮膚を通して本発明のエストラトリエンの透過性を高めるための物質、着色剤、香料及び皮膚保護剤、例えばコンディショナー及び保湿剤を含んで成る。本発明の化合物と共に、医薬はまた、他の活性化合物を含んで成ることができる[Ulimanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, Band 4 (1953), Seiten 1 - 39; J. Pharm. Sei., 52, 918 ff. (1963); H. v.Czetsch-Lindenwald, Hilfsstoffe fur Pharmazie und angrenzende Gebiete; Pharm. Ind., 2, 72 ff (1961); Dr. H. P. Fiedler, Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie , Kosmetik und angrenzende Gebiete, Cantor AG, Aulendorf/Wurtt., 1971]。
【0061】
本発明の物質はまた、注入又は注射のための溶液としての生理食塩水にも使用され得る。非経口投与に関しては、活性化合物は、生理学的に適合できる希釈剤において溶解されるか、又は懸濁され得る。適切な希釈剤は特に、油性溶液、例えばゴマ油、ヒマシ油及び綿種子油における溶液である。溶解性を高めるためには、溶解剤、例えばベンジルベンゾエート又はベンジルアルコールを添加することが可能である。
【0062】
注入できる製剤を配合するためには、本発明の化合物が溶解されるか又は乳化されるいずれかの液体キャリヤーが使用され得る。それらの液体は時折また、粘度を調節するための物質、界面活性剤、保存剤、溶解剤、希釈剤及び溶液を等張にするための追加の添加剤を含んで成る。エストラトリエンと共に、他の活性化合物を投与することもまた可能である。
【0063】
本発明のエストラトリエンはまた、デポット注入又は移植調製物の形で皮下適用され得る。そのような調製物は、活性化合物の遅延された放出が可能にされるよう配合され得る。このためには、既知技法、例えば溶解するか又は膜と共に作動するデポットが使用され得る。不活性材料として、移植体は例えば、生物分解性ポリマー又は合成シリコーン、例えばシリコーンガムを含むことができる。皮下投与のためには、エストラトリエンは例えばパッチ中にも組込まれ得る。
【0064】
本発明の物質を、経皮投与のための経皮システム中に組込まれることも可能である。
治療的に有効な血液レベルを生成する改良された経皮皮膚流動を達するためには、本発明の化合物はまた、WO01/76608号における他の抗エストロゲンについて記載されるように、経皮システム中に組込まれ得る。それらの経皮システムは、2種の浸透剤、特にラウリン酸及びプロピレングリコールの特定の比率により区別される。
【0065】
本発明の一般式(I)の物質の投与量は、主治医により決定され、そして中でも、投与される物質、投与方法、処理されるべき障害、及び障害の重症度に依存する。投与される化合物の量は、広範以内で変化し、そしていずれかの有効量を包含する。処理される条件及び投与型に依存して、投与される化合物の量は、1日当たり、0.02〜20mg/kg体重、好ましくは0.1〜1mg/kg体重であり得る。ヒトにおいては、これは、1〜1000mgの毎日の用量に対応する。ヒトにおける好ましい毎日の投与量は、5〜50mgである。これは特に腫瘍治療に適用される。用量は、一度に投与される単一用量として与えられるか、又は複数回に毎日の用量として分けられ得る。
【0066】
一般式(I)の化合物は、非常に強い抗エストロゲン活性を有する化合物である。
化合物は、エストロゲン依存性障害、例えば乳癌(タモキシフェン耐性乳癌のセコンドライン治療;タモキシフェンの代わりに乳癌のアジュバント処理のための)、子宮内膜癌、卵巣癌、前立腺肥大、無排卵性不妊症及びメラノーマの治療のために適切である。
【0067】
一般式(I)の化合物は、ホルモン依存性腫瘍の処理のために抗ゲスターゲン(競争性プロゲステロンアンタゴニスト)と共に使用され得る(EP310542A号)。
一般式(I)の化合物はまた、抗増殖作用を有する他の活性化合物と組合され得る。好ましくは、アロマターゼインヒビター、例えばアナストロゾール、レトロゾール又はエキセメスタンとの組合せが好ましい。
【0068】
一般式(I)の化合物が使用され得るほかの徴候は、男性の脱毛、化学療法により引起される漫性脱毛症及びまた多毛である(Hye-Sun Oh und Robert C. Smart, Proc. Natl. Acad. Sei. USA, 93 (1996) 12525 - 12530)。
【0069】
さらに、一般式(I)の化合物は、婦人科性障害、例えば子宮内膜症の処理のための薬物の調製に使用され得る。婦人科性障害に関しては、本発明の化合物はまた、ゲスタゲン及び/又はエストロゲンと組合され得る。一般式(I)の化合物は例えば、中でもエストロゲン及び純粋な抗エストロゲンを含んで成り、そして閉経近くか又は閉経後の女性の選択的エストロゲン治療のための同時、連続的又は別々の使用のために意図される、EP346014B1号に記載される製品において1つの成分として使用され得る。
【0070】
一般式(I)の化合物はさらに、男性及び女性生殖機能制御(男性生殖機能制御:DE19510862.0A号)のための医薬組成物の調製のために使用され得る。
【0071】
本発明のエストラトリエン類は、既知方法に類似して調製され得る:
【化2】

【0072】
スキーム1は、本発明の化合物の調製を可能にする反応スキームを示す。
原則的に、列挙される化合物のすべては、17−オキソ化合物から調製され得る。17−オキソ化合物の調製は、WO 99/33855号[CAS: 204138-84-1 (Cl-on, 2b), CAS: 204138-92-1 (Br-on, 1g), CAS: 204138-93-2(Br-Ol)]に、典型的な態様で記載される。同じ置換パターンを有するこの書類に表現的に開示される化合物以外の他の誘導他は同様にして調製され得る。同じ態様においては、17α−ヒドロキシ又は17α−アルコキシ化合物(“17α−OH”)から本発明のエストラトリエンを調製することもまた可能である。
【0073】
同様に、それらの誘導体の調製が、WO99/33855号に記載される。同じ態様で、この書類はまた、17α−ヒドロキシ又は17α−アルコキシ化合物、及び7α−位置で側鎖においてアミン基を有する17−オキソ化合物の調製を開示する。出発材料の調製が記載されていない場合、出発材料は知られているか、又は市販されており、又はその化合物は記載される方法に類似して合成される。いくつかの前駆体、中間体及び生成物の調製が下記に典型的な態様で記載される。
【0074】
本発明に従って物質を調製するためには、例えば、次の工程を用いる(また、EP 0138 504 B1号 ; WO 97/45441 A1号 ; WO 98/07740 A1号 ; WO 99/33855 A1号を参照のこと):
7α−位置における側鎖は例えば、WO98/07740A1号に記載される方法により構成され得る。
【0075】
下記に記載される工程段階においては、R1、R2、R3、 R4、 R5、R6、 Hal、R17’、R17‘’、U、V、X、Y、Eは、上記に与えられる意味を有する。PGは保護基、例えばエーテル、エステル又はカーボネートを表す。アルキル又はシリルエーテルが特に好ましく、そしてブチルジメチルシリル及びテトラヒドロピラニルエーテルが好ましい。
【0076】
LGは脱離基、例えばスルホネート基又はハロゲンを表す。トシレート又はメシレート基、及びまた、塩素、臭素又はヨウ素が特に適切である。塩素又はメシレート基が好ましい。
R20は、水素又は任意には、モノ−又はポリ弗素化されたC1-C3−アルキル、C2-C3−アルケニル又はC2-C3−アルキニル基を表す。
【0077】
任意の工程段階a)においては、一般式III (WO99/33855号)の11−ハロ−7−鎖置換された3−ヒドロキシエストラ−17−オンの3−ヒドロキシル基は、シリル化剤又はジヒドロピランとの反応により、一般式IVのシリルエーテル−又はテトラヒドロピラニルエーテル−保護された化合物に転換される。この反応は、塩基、例えばイミダゾール、又は酸、例えばピリジニウムパラ−トルエンスルホン酸の存在下で室温(0〜100℃)で、非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタンにおいて、3時間(1〜24時間)、実施される。
【0078】
【化3】

【0079】
他方では、工程段階a)は、D.W. Hansen und D. Pilipauskas J. Org. Chem. (1985) 945 oder K. F. Bernady et al. J. Org. Chem. (1979) 1438に従って実施される。
【0080】
Wittig反応においては、一般式(IV)の保護された又は遊離7α−置換されたエストロン誘導体が、室温(20〜100℃)で、8時間(1〜24時間)、塩基、例えばブチルリチウムの存在下で、非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド又はトルエン中、メチルトリフェニルホスホニウムハロゲン化物を用いて、一般式(V)の17−エキソメチレンステロイドに転換され得る(工程段階b))。
【0081】
【化4】

【0082】
段階c)においては、一般式(V)の環外オレフィンは、室温(0〜100℃)で、4時間(1〜18時間)、非プロトン性溶媒、例えばジクロロメタン中、メタ−クロロ過安息香酸を用いて、一般式(VI)の17−スピロエポキシドに転換され得る。この反応の粗生成物(VI)は、貯蔵安定性ではなく、そしてすぐに、精製しない場合、10℃(0〜80℃)で、2時間(1〜24時間)、非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はトルエン中、水素化リチウムアルミニウムを用いて、段階d)において、一般式(VII )(式中、位置17における基−CH2-R20は基R17’’を表す)の17β−アルキル−エストラ−3,17α−ジオールに転換され得る。
【0083】
【化5】

【0084】
段階e)においては、一般式(VII )の保護された又は遊離17β−アルキル−エストラ−3,17α−ジオールは任意には、室温(0〜100℃)で、22時間(4〜48時間)、極性非プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド中、ハロゲン化剤、例えば2, 3, 4, 5, 6, 6−ヘキサクロロ−2, 4−シクロヘキサジエン−1−オンを添加することにより、一般式(VIII )のハロゲン化されたエストラジオールに転換され得る。
【0085】
【化6】

【0086】
段階f)においては、一般式(VIII )の保護された又は遊離ハロゲン化されたエストラジオールは、室温(0〜100℃)で12時間(4〜48時間)、極性溶媒、例えば水又はエタノール中、有機酸、例えばシュウ酸、又は弗化物、例えばテトラブチルアンモニウム弗化物による、3−位置における保護基の除去の前、室温(0〜100℃)で、12時間(4〜48時間)、極性非プロトン性溶媒、例えばピリジン又はジメチルホルムアミド中、アシル化剤又はエーテル化剤、例えばアシル無水物、アシルハロゲン化物又はアルキルハロゲン化物の添加により、一般式(IX)のエストラジオール誘導体に転換される。
【0087】
【化7】

【0088】
段階g)においては、一般式(IX)のエストラジオール誘導体は、室温(20〜100℃)で、8時間(4〜48時間)、適切な場合、無機塩基、例えば炭酸ナトリウム、ヨウ化物塩、例えばヨウ化ナトリウムの存在下で、極性非プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド中、一般式(XV)のアミン構築ブロックにより、一般式(I)のアミンに転換され得る。
【0089】
【化8】

【0090】
一般式(XV)のアミン構築ブロックの一般的調製:
【化9】

【0091】
ヨウ素化:
【化10】

【0092】
段階h)においては、一般式(X)のアルコールは、室温(20〜100℃)で、1時間(0.25〜8時間)、ジクロロメタン中、トリフェニルホスフィン及びヨウ素の反応溶液への滴下により、一般式(XI)のヨウ化物に転換され得る。
【0093】
【化11】

【0094】
段階i)においては、一般式(XII)のWittig塩は、非プロトン性極性溶媒、例えばアセトニトリル中、トリフェニルホスフィンの懸濁液に、一般式(XI)のヨウ化物を添加し、そして煮沸点(40〜100℃)で8時間(2〜24時間)、撹拌することにより得られる。
【0095】
【化12】

【0096】
段階j)においては、一般式(XIII )のアルデヒド又はケトンは、非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン中、一般式(XII)のWittig塩及び塩基、例えばナトリウムヘキサメチルジシラザンを反応溶媒に滴下し、室温(0〜80℃)に暖め、そしてこの温度で、さらに1時間(0.5〜10時間)、撹拌することにより、一般式(XIV)の任意に保護されたオレフィンに、-40℃(-78〜30℃)で転換され得る。
【0097】
【化13】

【0098】
段階k)においては、一般式(XIV)の任意に保護されたオレフィンが、室温(0〜80℃)で、1時間(0.5〜8時間)、水素化触媒、例えば酸化白金の存在下で、大気圧(1〜20バール)下で極性溶媒、例えば水性エタノールにおいて水素により水素化され、そして適切な場合、酸、例えば塩酸を用いて、一般式(XV)のアミンに保護解除され得る。
一般式(X)のアルコールの調製:
【0099】
【化14】

【0100】
一般式(XVI)(式中、−Y’(CH2)2-は-Y-を表す)のアルキルは、段階l)においては、-10℃(-30〜30℃)で炭酸水素ナトリウム及びナトリウムジチオネートの存在下で、極性非プロトン性溶媒において、一般式(XVII)のヨージドにより、一般式(XVIII )のヨウ化ビニルに転換され得る。
【0101】
段階m)においては、一般式(XVIII )のヨウ化ビニルは、室温(0〜80℃)で、1時間(0.5〜8時間)、水素化触媒、例えば活性炭の存在下で大気圧(1〜20バール)下で水素により、一般式(X)のアルコールに水素化され得る。
【実施例】
【0102】
A. 本発明の化合物の調製
例1[5-(11β-フルオロ-3,17α-ジヒドロキシ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-7α-イル)ペンチル](メチル)(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミン
【化15】

【0103】
1.1 中間体の調製
1.1.1 3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロエストラ-1,3,5(10)-トリエン- 17-オン
室温で、3.81gのイミダゾールを、160mlのジクロロメタン中、15.7gの7α−(5−クロロペンチル)−11β−フルオロ−3−ヒドロキシ−17β−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(WO99/33855号、CAS:204138−84−1)の溶液に添加し、その混合物を10℃に冷却し、8.44gのtert−ブチルジメチルシリル塩化物を少しずつ添加し、そしてその混合物を室温で3時間、撹拌した。検査のために、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(40ml)及び80mlの水を、氷冷却下で添加し、相を分離し、そして有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。これにより、21gの粗3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロエストラ-1,3,5(10)-トリエン- 17-オンを得る。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.16 (d, 1 H), 6.67 (d(br), 1 H), 6.58 (s(br), 1H), 5.58 (d, 1 H), 3.51 (t, 2H), 0.98 (s, 9H), 0.91 (s, 3H), 0.19 (s, 6H)。
【0104】
1.1.2 3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17-メチレン-エストラ-1,3,5(10)-トリエン
室温で、36mlのブチルリチウム溶液(ヘキサン中、2.5M)を、500mlのテトラヒドロフラン中、28.58gのメチルトリフェニルホスホニウム臭化物の溶液に、10分間にわたって添加し、その混合物を室温で20分間、撹拌し、そして次に、70℃に温め、280mlのテトラヒドロフラン中、10.14gの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロエストラ-1,3,5(10)-トリエン- 17-オンの溶液を80分間にわたって滴下し、そしてその混合物を95℃の浴温度で2時間、撹拌した。調査のために、160mlの水を、氷冷却下で滴下し、相を分離し、水性層を酢酸エチルにより抽出し、そして組合された有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。
【0105】
これにより、27gの第1の粗生成物を得た。4度、これを40℃で100mlのヘキサンと共に撹拌し、デカントし、そして減圧下で乾燥した。これにより、11.6gの精製された粗生成物3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17-メチレン-エストラ-1,3,5(10)-トリエンを得た。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 7.18 (d, 1 H), 6.67 (m, 1 H), 6.57 (s(br), 1 H), 5.57 (d(br), 1 H), 4.67 (m, 2H), 3.51 (t, 2H), 0.97 (s, 9H), 0.19 (s, 6H)。
【0106】
1.1.3 3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-(17R)-スピロ-[エストラ- 1, 3,5(10)-トリエン-17,2'-オキシラン]
室温で、3.05gのm−クロロ過安息香酸を、55mlのジクロロメタン中、5.32gの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17-メチレン-エストラ-1,3,5(10)-トリエンの溶液に少しずつ添加し、そしてその混合物を4時間、撹拌した。調査のために、50mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び50mlのメチルtert−ブチルエーテルを添加し、相を分離し、水性相をメチルtert−ブチルエーテルにより抽出し、そして組合された有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。これにより、5.6gの粗3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-(17R)-スピロ-[エストラ- 1, 3,5(10)-トリエン-17,2'-オキシラン]を得た。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 7.16 (d, 1 H), 6.67 (m, 1 H), 6.57 (s(br), 1 H), 5.57 (d, 1 H), 3.51 (t, 2H), 3.22 (s, 1 H), 1.02 (s(br), 3H), 0.98 (s, 12H), 0.19 (s, 6H)。
【0107】
1.1.4 3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-17α-オール
10℃で、20mlのテトラヒドロフラン中、5.27gの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-(17R)-スピロ-[エストラ- 1, 3,5(10)-トリエン-17,2'-オキシラン]の第2溶液を、水素化リチウムアルミニウムの2M溶液(5.03ml)に滴下し、そしてその混合物を室温で2時間、撹拌した。調査のために、8mlのアセトン及び70mlのクエン酸溶液を添加し、その混合物を80mlの酢酸エチルより希釈し、相を分離し、水性相を酢酸エチルにより抽出し、そして組合された有機相を塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。これにより、2.75gの純粋な3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-17α-オールを得た。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 7.17 (d, 1 H), 6.65 (m, 1 H), 6.57 (s(br), 1 H), 5.52 (d, 1 H), 3.51 (t, 2H), 1.26 (d, 3H), 0.98 (s, 9H), 0.91 (d, 3H), 0.19 (s, 6H)。
【0108】
1.1.5 メチル-(8, 8, 9, 9, 9−ペンタフルオロノニル)アミン
-20℃で、40gのメチルアミンを、10mlの無水テトラヒドロフラン中、2.9gの8, 8, 9, 9, 9−ペンタフルオロノニルトシレート[WO 99/33855号, 20頁, CAS: 228570-38-5]の溶液に縮合し、そしてその混合物を室温で一晩、圧力容器において撹拌した。圧力容器を−20℃で通気し、そして室温に暖め、過剰のメチルアミンを蒸発した。反応溶液をジクロロメタンに取り、水により洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。これにより、1.58gのメチル-(8, 8, 9, 9, 9−ペンタフルオロノニル)アミンを、粗生成物として得た。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 2.60 (t, 2H), 2.47 (s, 3H), 1.94-2.14 (m, 2H), 1.57-1.68 (d, 2H),1.48-1.56 (m, 2H),1.34-1.46 (m, 6H)。
【0109】
1.2 最終生成物の調製
0.22gの炭酸ナトリウム、0.63gのヨウ化ナトリウム及び0.78gのメチル-(8, 8, 9, 9, 9−ペンタフルオロノニル)アミンを、6.29mlのジメチルホルムアミド中、1.1gの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-17α-オールの溶液に添加し、そしてその混合物を80℃で5時間、撹拌した。調査のために、その混合物を10mlの酢酸エチルにより希釈し、そして水及び炭酸水素ナトリウム溶液により洗浄し、そして有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。
【0110】
この粗生成物を9.44mlのエタノールに溶解し、0.73gの弗化カリウム及び0.2mlの水を添加し、そしてその混合物を室温で14時間、撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、そしてヘキサン/酢酸エチルを用いて、シリカゲル上でクロマトグラフィー処理した。これにより、577mgの純粋な[5-(11β-フルオロ-3,17α-ジヒドロキシ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-7α-イル)ペンチル](メチル)(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミンを得た。
H-NMR: 600 MHz, CDCl3, δ = 7.18 (d, 1H), 6.63 (m, 1H), 6.52 (s(br), 1H), 5.60 (d, 1H), 2.21 (S,3H), 1.26 (S, 3H), 0.88 (d, 3H)。
【0111】
例211β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化16】

【0112】
2.1 中間体の調製
2.1.1 (R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-ピロリジン
【化17】

【0113】
a) 6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-4-ヨードヘプト-4-エン-1-オール
【化18】

【0114】
-12℃で、507gのペンタフルオロヨードエタンを、1.5Lのアセトニトリル及び1.14Lの水中、150gの4−ペンチン−1−オールの溶液に添加した。次に、150gの炭酸水素ナトリウム及び294gの亜ジチオン酸ナトリウム(85%純度)の混合物を添加し、そしてその混合物を-10℃〜0℃で1時間撹拌した。反応をTLCにより確認し、次に反応混合物を水に添加し、そして酢酸エチルにより抽出し、そして抽出物を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過の後、抽出物を100mバールで回転蒸発器上で注意して濃縮した。これにより、6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-4-ヨードヘプト-4-エン-1-オールを、粗生成物(650g)として得た。
【0115】
b) 6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプタン-1-オール CAS [344452-11-5]
【化19】

【0116】
室温で、118gのパラジウム−1−炭素を、3Lの酢酸エチル及び500mlのトリエチルアミン中、650gの粗6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-4-ヨードヘプト-4-エン-1-オールの溶液に添加し、そして次に、その混合物を、大気圧で水素雰囲気下で水素化し、そして反応の進行を1H−NMRによりモニターした。濾過及び酢酸エチルによる触媒の洗浄の後、有機相を、水、1%強度の塩酸及び飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄した。硫酸ナトリウム上での乾燥及び50mバール以下への溶媒の注意した濃縮の後、残渣を65℃でオイルポンプ真空(0.5mバール)下で蒸留し、6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプタン-1-オール(235g)を得た。
H-NMR: 400 MHz,CDCl3, δ = 3.66 (t, 2H), 2.03 (m, 2H), 1.40-1.70 (m, 7H)。
【0117】
c) 1 ,1 ,1 ,2,2-ペンタフルオロ-7-ヨードヘプタン
【化20】

【0118】
室温で、61.56gのヨウ素を、500mlのジクロロメタン中、64.25gのトリフェニルホスフィンの溶液に、冷却下で添加し、そしてその混合物を15分間、撹拌した。1時間にわたって、60mlのジクロロメタン中、50gの6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプタン-1-オールの溶液を滴下し、そしてその混合物をさらに1時間、撹拌した。その混合物を、水に添加し、そしてジクロロメタンにより抽出し、そして有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして回転蒸発器上で注意して濃縮した。残渣を300mlのヘキサンにより消化し、そして得られるヘキサン相を10mバールで蒸発し、1 ,1 ,1 ,2,2-ペンタフルオロ-7-ヨードヘプタン(62.4g)を得た。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 3.20 (t, 2H), 2.03 (m, 2H), 1.86 (m, 2H), 1.43-1.69 (m, 4H)。
【0119】
d) (6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-トリフェニル-ホスホニウムヨウ化物
【化21】

【0120】
313gの1 ,1 ,1 ,2,2-ペンタフルオロ-7-ヨードヘプタンを、1.26Lのアセトニトリル中、260gのトリフェニルホスフィンの懸濁液に添加し、そしてその混合物を18時間、加熱還流した。溶媒を濃縮し、そして生成物を、tert−ブチルメチルエーテルから2度、再結晶化した。これにより、(6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-トリフェニル-ホスホニウムヨウ化物(567g)を白色粉末として得た。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 7.66-7.91 (m, 15 H),3.76 (m, 2H), 1.50-2.10 (m, 8H)。
【0121】
e) tert-ブチル(S)-2-[(Z)-7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクト-1-エニル]-ピロリジン-1-カルボキシレート
【化22】

【0122】
-40℃で、738mlのナトリウムヘキサメチルジシラザン(テトラヒドロフラン中、1M )を、10分間にわたって、3.8Lのテトラヒドロフラン中、468.38gの(6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-トリフェニル-ホスホニウムヨウ化物の溶液に添加し、そしてその混合物をこの温度で2時間、放置した。15分間にわたって、850mlのテトラヒドロフラン中、147gのtert-ブチル(2S)−2−ホルミル−1−ピロリジンカルボキシレートの溶液を添加し、そしてその混合物を、-40℃で1時間、撹拌し、室温に暖め、そしてさらに1時間、撹拌した。
【0123】
2.5Lのヘキサンの添加の後、その混合物を、その元の体積の1/3に濃縮し、tert−ブチルメチルエーテルを添加し、そして得られる沈殿物を定着した。その混合物を濾過し、フィルターケークをブチルメチルエーテルにより洗浄し、そして濾液を濃縮乾燥した。シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)上でのフラッシュ−クロマトグラフィー処理により、tert-ブチル(S)-2-[(Z)-7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクト-1-エニル]-ピロリジン-1-カルボキシレート(155.7g)を得た。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 5.33 (m, 2H), 4.47 (br. s, 1 H), 3.37 (m, 2H), 1.41 (s, 9H)。
【0124】
f) tert-ブチル(R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-ピロリジン-1-カルボキシレート
【化23】

【0125】
室温で、6.19gの酢酸白金を、1.4Lのメタノール及び300mlの水中、61.9gのtert-ブチル(S)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクト-1-エニル)-ピロリジン-1-カルボキシレートの溶液に添加し、そしてその混合物を、水素摂取が完結するまで、大気圧下で水素化した。セライト層を通しての濾過の後、濾液を濃縮し、酢酸エチルに取り、水性相を分離し、そして有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濃縮した。PTFEフィルターを通して前記溶液を濾過し、続いて蒸発乾燥した。得られるtert-ブチル(R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-ピロリジン-1-カルボキシレート(59.6g)を、次の段階のために、粗生成物として、直接使用した。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 3.71 (br. s, 1 H), 3.21-3.43 (m, 2H), 1.44 (s, 9H)。
【0126】
g) (R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-ピロリジン
【化24】

【0127】
室温で、35mlの塩酸(37%の強度)を、636mlの1,4−ジオキサン中、35gのtert-ブチル(R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-ピロリジン-1-カルボキシレートの溶液に添加し、そして次に、その混合物を50℃で1時間、加熱した。次に、その混合物を濃縮し、塩化メチレンを添加し、その混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び水により2度、洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濃縮し、そして生成物をkugelrohr蒸留(bp. 110-125℃、1トル)により精製した。これにより、(R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-ピロリジン(21.21g)を得た。
H-NMR: 400 MHz, CDCI3, δ = 3.00 (ddd, 1 H), 2.92 (m, 1 H), 2.81 (ddd, 1H), 2.00 (m, 2H), 1.87 (m, 1 H), 1.52-1.80 (m, 6H), 1.28-1.51 (m, 8H), 1.21 (m, 1 H)。
【0128】
2.2 最終生成物の調製
例1の段階1.2に類似して、1.1gの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール及び860mgの(R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-ピロリジン(アミンとして)は、フラッシュクロマトグラフィー処理の後、11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(772mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.19 (d, 1 H), 6.65 (m, 1 H), 6.55 (s(br), 1 H), 5.60 (d, 1 H), 3.14 (m, 1 H), 2.91 (m, 1 H), 2.54 (m, 1H), 1.26 (s, 3H), 0.88 (d, 3H)。
【0129】
例311 β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化25】

【0130】
3.1 中間体の調製
3.1.1 (R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-ピロリジン
【化26】

【0131】
a) 5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-3-ヨードヘキシ-3-エン-1-オール
【化27】

【0132】
例2.1.1a)に記載の方法に類似して、280gの3−ブチン−1−オール及び1136gのペンタフルオロエチルヨウ化物は、次の段階のために直接使用される粗生成物として、5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-3-ヨードヘキシ-3-エン-1-オール(1205g)を与えた。
【0133】
b) 5,5,6,6, 6-ペンタフルオロヘキサン-1 -オール (ZK 6074973, CAS [58556-45-9])
【化28】

【0134】
例2.1.1b)に記載の方法に類似して、319.5gの5,5,6,6,6-ペンタフルオロ-3-ヨードヘキシ-3-エン-1-オールは、5,5,6,6, 6-ペンタフルオロヘキサン-1 -オール(223g)を与えた。
H-NMR: 300 MHz、 CDCl3, δ = 3.69 (t, 2H), 2.06 (m, 2H), 1.54-1.77 (m, 5H)。
【0135】
c) 1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-6-ヨードヘキサン
【化29】

【0136】
例2.1.1c)に記載の方法に類似して、223gの5,5,6,6, 6-ペンタフルオロヘキサン-1 -オールは、1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-6-ヨードヘキサン(223g)を与えた。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 3.20 (t, 2H), 1.85-2.15 (m, 4H), 1.66-1.79 (m, 2H)。
【0137】
d) (5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル)-トリフェニル-ホスホニウムヨウ化物
【化30】

【0138】
例2.1.1d)に記載の方法に類似して、334gの1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-6-ヨードヘキサンは、(5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル)-トリフェニル-ホスホニウムヨウ化物(671g)を与えた。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 7.65-7.92 (m, 15 H), 3.88 (m, 2H), 1.73-2.22 (m, 6H)。
【0139】
e) tert-ブチル(S)-2-[(Z)-6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプト-1 -エニル]-ピロリジン-1 -カルボキシレート
【化31】

【0140】
例2.1.1 e)に記載の方法に類似して、318gの (5,5,6,6,6-ペンタフルオロヘキシル)-トリフェニル-ホスホニウムヨウ化物(671g)は、tert-ブチル(S)-2-[(Z)-6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプト-1 -エニル]-ピロリジン-1 -カルボキシレート(132.7g)を与えた。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 5.29-5.49 (m, 2H), 4.52 (m, 1 H), 3.44 (m, 2H), 2.28 (m, 2H), 1.46 (s, 9H)。
【0141】
f) tert-ブチル(R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-ピロリジン-1 - カルボキシレート
【化32】

【0142】
例2.1.1f)に記載の方法に類似して、132gのtert-ブチル(S)-2-[(Z)-6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプト-1 -エニル]-ピロリジン-1 -カルボキシレートは、tert-ブチル(R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-ピロリジン-1 - カルボキシレート(135g)を与えた。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 3.72 (br. s, 1H), 3.23-3.39 (m, 2H), 1.44 (s, 9H)。
【0143】
g) (R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-ピロリジン
【化33】

【0144】
例2.1.1g)に記載の方法に類似して、20.5gのtert-ブチル(R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-ピロリジン-1 - カルボキシレートは、(R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロ-ヘプチル)-ピロリジン(13g)を与えた。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 4.09 (br s, 1 H), 3.00 (m, 2H), 1.61-1.94 (m, 5H), 1.21-1.59 (m, 9H)。
【0145】
3.2 最終生成物の調製
例1の段階1.2に類似して、1.1gの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール及び820mgの(R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロヘプチル)-ピロリジン(アミンとして)は、フラッシュクロマトグラフィー処理の後、11 β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(760mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.18 (d, 1 H), 6.63 (m, 1 H), 6.53 (s(br), 1 H), 5.60 (d, 1 H), 3.16 (m, 1H), 2.90 (m, 1H), 2.54 (m, 1H), 1.26 (s, 3H), 0.88 (d, 3H)。
【0146】
例44-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[メチル(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル]-エストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化34】

【0147】
4.1 中間体の調製
4.1.1 3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-17α-オール
【化35】

【0148】
窒素雰囲気下で、505mgの2,3,4,5,6,6−ヘキサクロロ−2,4−シクロヘキサジエン−1−オンを、9mlのジメチルホルムアミド中、732mgの3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−7α−(5−クロロペンチル)−11β−フルオロ−17β−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17α−オールの溶液に添加し、そしてその混合物を室温で22時間、撹拌した。これに続いて、126mgの2,3,4,5,6,6−ヘキサクロロ−2,4−シクロヘキサジエン−1−オンをさらに添加し、そして続いて、7時間後、最後の126mgの部分を添加した。
【0149】
その反応混合物をさらに56時間、撹拌し、そして次に濃縮し、そして粗生成物を、シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)上で反復してクロマトグラフィー処理した。これにより、444mgの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-17α-オールを得た。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.12 (d, 1 H), 6.75 (m, 1 H), 5.59 (d, 1 H), 3.51 (t, 2H), 3.06 (d, 1 H), 1.26 (s, 3H), 1.03 (s, 9H), 0.87 (d, 3H), 0.23 (s, 3H), 0.22 (s, 3H)。
【0150】
4.2 最終生成物の調製
例1の段階1.2類似して、428mgの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-17α-オール及び284mgの(8,8,9,9,9−ペンタフルオロノニル)メチルアミン(アミンとして)は、フラッシュクロマトグラフィー処理の後、4-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[メチル(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル]-エストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(176mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.20 (d, 1H), 6.89 (m, 1H), 5.59 (d, 1H), 3.00 (d, 1H), 2.18 (s, 3H), 1.26 (S,3H), 0.87 (d, 3H)。
【0151】
例54-ブロモ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[メチル(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル]-エストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化36】

【0152】
5.1 中間体の調製
5.1.1 7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化37】

【0153】
2.13gの弗化カリウム及び0.55mlの水を、27mlのエタノール中、3.2gの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)- 7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-17α-オールの溶液に連続的に添加し、そしてその混合物を室温で18時間、撹拌した。溶媒を濃縮し、そして次に残渣を酢酸エチルに取り、そして水及び塩化ナトリウム溶液により2度、洗浄した。有機相を濾過し、そして溶媒を回転蒸発器上で除去し、そして続いて、シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)上でフラッシュクロマトグラフィー処理し、7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(2.74g)を得た。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.20 (d, 1 H), 6.67 (m, 1 H), 6.57 (s (br.), 1 H), 5.60 (d, 1 H), 4.71 (s, 1 H), 3.51 (t, 2H), 2.92 (dd, 1 H), 2.71 (d, 1 H), 2.54 (dd, 1 H), 0.88 (d, 3H)。
【0154】
5.1.2 4-ブロモ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化38】

【0155】
0℃で、167mlのクロロホルム中、1.17gのN−ブロモスクシンイミドを、278mlのクロロホルム中、278mlの7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオールの溶液に添加し、そしてその混合物をこの温度で30分間、撹拌した。次に、その混合物を室温にゆっくり暖め、そしてさらに30分間、撹拌した。反応混合物を濃縮し、そして残渣を酢酸エチルに取り、水により2度、洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、そして再び濃縮乾燥した。シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)上でのフラッシュクロマトグラフィー処理により、4-ブロモ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(1.86g)を得た。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.25 (d, 1 H), 6.91 (m, 1 H), 5.60 (d, 1 H), 5.56 (s, 1 H), 3.52 (t, 2H), 2.95 (d, 1 H), 1.26 (s, 3H), 0.87 (d, 3H)。
【0156】
5.2 最終生成物の調製
室温で、77.1mgの炭酸ナトリウムに、218.1mgのヨウ化ナトリウム及び270mgの(8, 8, 9, 9, 9−ペンタフルオロノニル)メチルアミンを、2.18mlのジメチルホルムアミド中、355mgの4-ブロモ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオールの溶液に添加した。次に、その混合物を80℃で5時間、撹拌した。
【0157】
溶媒の除去の後、残渣を酢酸エチルに取り、そしてその溶液を水及び半飽和炭酸水素ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器上で除去した。シリカゲル(アミン相:ヘキサン/酢酸エチル)上でのフラッシュクロマトグラフィー処理により、4-ブロモ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[メチル(8,8,9,9,9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル]-エストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(228mg)を得、これをジエチルエーテルから再結晶化した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.24 (d, 1 H), 6.90 (d, 1 H), 5.59 (d, 1 H), 2.96 (d, 1 H), 2.18 (s, 3H), 1.26 (s, 3H), 0.87 (d, 3H)。
【0158】
例64-ブロモ-11 β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化39】

【0159】
例5の段階5.2に類似して、223mgの4-ブロモ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール及び187mgの(R)−2−(7, 7, 8, 8, 8−ペンタフルオロオクチル)ピロリジン(アミンとして)(化合物2.1.1)は、フラッシュクロマトグラフィー処理(アミン相:ヘキサン/酢酸エチル)の後、4-ブロモ-11 β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(250mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.24 (d, 1 H), 6.90 (d, 1H), 5.60 (d, 1 H), 3.13 (m, 1 H), 2.96 (d, 1H), 1.26 (S,3H),0.86 (d, 3H)。
【0160】
例74-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1 -ピロリジニル] ペンチル] -エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化40】

【0161】
7.1 中間体の調製
7.1.1 4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化41】

【0162】
室温で、164mgの弗化カリウム及び42μlの水を、8mlのエタノール中、262mgの3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-17α-オールの溶液に連続的に添加し、そしてその混合物を室温で24時間、撹拌した。溶媒を濃縮し、そして次に、残渣を酢酸エチルに取り、そして水により洗浄した。有機相の濾過及び溶媒の回転蒸発器上での除去の後、シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)上での続くフラッシュクロマトグラフィー処理により、4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(94mg)を得た。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.21 (d, 1 H), 6.90 (d, 1 H), 5.60 (d, 1H), 5.55 (s (br.), 1 H), 3.52 (t, 2H),2.98 (d, 1H), 1.26 (s, 3H), 0.87 (d, 3H)。
【0163】
7.2 最終生成物の調製
例5の段階5.2に類似して、206mgの4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール及び209mgの(R)−2−(7, 7, 8, 8, 8−ペンタフルオロオクチル)ピロリジン(アミンとして)(化合物2.1.1)は、反復されたフラッシュクロマトグラフィー処理(シリカゲル、続いてアミン相:ヘキサン/酢酸エチル)の後、4-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1 -ピロリジニル] ペンチル] -エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(165mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.20 (d, 1 H), 6.90 (d, 1H), 5.60 (d, 1 H), 3.12 (m, 1 H), 2.99 (d, 1H), 1.26 (s, 3H), 0.876 (s (br.), 3H)。
【0164】
例84-ブロモ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化42】

【0165】
例5の段階5.2に類似して、255mgの4-ブロモ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール及び178mgの(R)−2−(7, 7, 8, 8, 8−ペンタフルオロヘプチル)ピロリジン(アミンとして)は、フラッシュクロマトグラフィー処理(シリカゲル:ヘキサン/酢酸エチル)の後、4-ブロモ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(287mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.24 (d, 1 H), 6.90 (d, 1 H), 5.60 (d, 1 H), 3.12 (m, 1 H), 2.96 (d, 1 H), 1.26 (s, 3H), 0.86 (d, 3H)。
【0166】
例94-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(6, 6, 7, 7, 7-ペンタフルオロヘプチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化43】

【0167】
9.1 中間体の調製
9.1.1 4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化44】

【0168】
例7の段階7. 1. 1の方法に類似して、4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオールを、239mgの2,3,4,5,6,6−ヘキサクロロ−2,4−シクロヘキサジエン−1−オンを、6mlのジメチルホルムアミド中、325mgの(5−クロロペンチル)−11β−フルオロ−17β−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17α−ジオールの溶液に窒素雰囲気下で添加し、そして室温で24時間、撹拌することにより調製した。次に、追加の12mgの2,3,4,5,6,6−ヘキサクロロ−2,4−シクロヘキサジエン−1−オンを添加した。さらなる56時間の撹拌の後、反応混合物を水に添加し、そして酢酸エチルにより抽出した。有機相の乾燥及び濃縮の後、シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)上での続くフラッシュクロマトグラフィー処理により、4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1, 3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(240mg)を得た。
H-NMR: 400 MHz, CDCI3、7.1.1下に言及されるような。
【0169】
9.2 最終生成物の調製
例5の段階5.2に類似して、240mgの4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール及び238mgの(R)−2−(7, 7, 8, 8, 8−ペンタフルオロオクチル)ピロリジン(アミンとして)は、反復されたフラッシュクロマトグラフィー処理(シリカゲル、続くアミン相;ヘキサン/酢酸エチル)の後、4-クロロ-11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(6, 6, 7, 7, 7-ペンタフルオロヘプチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(205mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.20 (d, 1H),6.89 (d, 1 H), 5.60 (d, 1 H), 3.14 (m, 1 H), 2.99 (d, 1 H), 1.26 (s, 3H), 0.87 (d, 3H)。
【0170】
例102,4-ジクロロ11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール
【化45】

【0171】
10.1 中間体の調製
10.1.1 7α-(5-クロロペンチル)-2,4-ジクロロ11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α- ジオール
【化46】

【0172】
所望する純粋な標的構造体の他に、例4の段階4. 1. 1に記載される塩素化は、フラッシュクロマトグラフィー処理の後、3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-クロロ-7α-(5-クロロペンチル)-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-17α-オール及び3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)- 7α-(5-クロロペンチル)-2,4-ジクロロ-11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1,3,5(10)-トリエン-17α-オールの少量の混合物を得、これを、例7. 1. 1に記載される方法に従って脱シリル化した。シリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)上でのフラッシュクロマトグラフィー処理により、7α-(5-クロロペンチル)-2,4-ジクロロ11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α- ジオール(76mg)を得た。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.28 (s, 1 H), 5,82 (s (br.) 1 H), 5.53 (d, 1 H), 3.51 (t, 2H), 2.97 (d, 1 H), 1.26 (s, 3H), 0.86 (s, 3H)。
【0173】
10.2 最終生成物の調製
例5の段階5.2に類似して、76mgの7α-(5-クロロペンチル)-2,4-ジクロロ11 β-フルオロ-17β-メチルエストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α- ジオール及び65mgの(R)−2−(7, 7, 8, 8, 8−ペンタフルオロオクチル)ピロリジン(アミンとして)(化合物2. 1. 1)は、フラッシュクロマトグラフィー処理(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル)、続く分離用HPLC、及び炭酸水素ナトリウム溶液を用いての微量の蟻酸の除去の後、2,4-ジクロロ11β-フルオロ-17β-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17α-ジオール(16mg)を付与した。
H-NMR: 400 MHz, CDCl3, δ = 7.27 (s, 1 H), 5.54 (d, 1 H), 3.13 (m, 1 H), 2.98 (d, 1 H), 1.26 (s, 3H), 0.86 (d, 3H)。
【0174】
B. 比較17α−アルキル化合物の調製
C1:11 β-フルオロ-17α-メチル-7α-[5-[メチル(8, 8,9,9, 9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル] -エストラ- 1, 3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール CAS[536975-64-1]:
【化47】

【0175】
12.75gのメチル-(8, 8, 9, 9, 9−ペンタフルオロノニル)アミン及び5.47gの炭酸ナトリウムを、200mlの無水ジメチルホルムアルデヒド中、19.5gの7α−(5−ブロモペンチル)−11β−フルオロ−17α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(WO2003/045972号、27ページ、2.2a)の溶液に添加した。次にその混合物を80℃で5.5時間、撹拌した。溶媒の除去の後、残渣を酢酸エチルに取り、その混合物を水及び半飽和炭酸水素ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器上で除去した。
【0176】
シリカゲル(アミン相;ヘキサン/酢酸エチル)上でのフラッシュクロマトグラフィー処理により、11 β-フルオロ-17α-メチル-7α-[5-[メチル(8, 8,9,9, 9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル] -エストラ- 1, 3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール(14.5g)を得、これをジエチルエーテルから再結晶した。
H-NMR: 300 MHz, CDCl3, δ = 7.16 (d, 1H), 6.64 (d, 1H), 6.54 (d, 1H), 5.56 (d, 1H), 2.90 (d, 1 H), 2.69 (d, 1 H), 2.40 - 2.34 (m, 4H), 2.25 (s, 3H), 1.06 (d, 3H)。
【0177】
C211β-フルオロ-17α-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)-1-ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1 ,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール
【化48】

【0178】
3.0gの(2R)2−(7,7,8,8,8−ペンタフルオロオクチル)ピロリジン、2.01gの炭酸ナトリウム及び2.53gのヨウ化ナトリウムを、45mlの無水ジメチルホルムアルデヒド中、3.45gの7α−(5−クロロペンチル)−11β−フルオロ−17α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールの溶液に添加した。次にその混合物を100℃で5時間、撹拌した。溶媒の除去の後、残渣を酢酸エチルに取り、その混合物を水及び半飽和炭酸水素ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器上で除去した。
【0179】
シリカゲル(アミン相;ヘキサン/酢酸エチル)上でのフラッシュクロマトグラフィー処理により、11 β-フルオロ-17α-メチル-7α-[5-[メチル(8, 8,9,9, 9-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル] -エストラ- 1, 3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール(4.5g)を得、これをジエチルエーテルから再結晶化した。
H-NMR: 600 MHz, CDCI3, δ = 7.17 (d, 1 H), 6.66 (d, 1 H), 6.56 (d, 1 H), 5.56 (d, 1 H), 2.89 (d, 1H), 2.71 (d, 1 H), 1.06 (d, 3H)。
【0180】
C311 β-フルオロ-17α-メチル-7α-[5-[(2R)-2-(6,6,7,7,7-ペンタフルオロヘプチル)-1 -ピロリジニル]ペンチル]-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール
【化49】

【0181】
11.83gの(2R)2−(6,6,7,7,7−ペンタフルオロヘプチル)ピロリジン、2.6gの炭酸ナトリウム及び7.33gのヨウ化ナトリウムを、50mlの無水ジメチルホルムアルデヒド中、10gの7α−(5−クロロペンチル)−11β−フルオロ−17α−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールの溶液に添加した。次にその混合物を80℃で18時間、撹拌した。溶媒の除去の後、残渣を酢酸エチルに取り、その混合物を水及び半飽和炭酸水素ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして濾過し、そして溶媒を回転蒸発器上で除去した。シリカゲル(アミン相;ヘキサン/酢酸エチル)上でのフラッシュクロマトグラフィー処理により、11 β-フルオロ-17α-メチル-7α-[5-[メチル(7, 7,8,8, 8-ペンタフルオロノニル)アミノ]ペンチル] -エストラ- 1, 3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール(9.84g)を得、これをジエチルエーテルから再結晶化した。
H-NMR: 600 MHz, CDCl3, δ = 7.15 (d, 1 H), 6.61 (d, 1 H), 6.51 (d, 1 H), 5.56 (d, 1 H), 2.88 (d, 1 H), 2.72 (d, 1 H), 1.05 (d, 3H)。
【0182】
C. 特徴化
C.1 特徴づけする実験の説明
C.1.1 代謝安定性
試験物質の代謝安定性を、0.3μMの濃度で、0.5mg/mlのタンパク質含有率に調節されたヒト肝臓ミクロソームを含む懸濁液におけるインキュベーションにより決定した。インキュベーション体積は3.03mlであり、ここでpH7.4でのリン酸緩衝液(リン酸ナトリウム緩衝液100mM(NaH2PO4X H2O + Na2HPO4X 2H2O))におけるミクロソーム緩衝液2.4mlを最初に充填し、これを、0.6mlの補因子ミックス(リン酸緩衝液(pH7.4)中、1.2mgのNADP、3IUのグルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ、14.6mgのグルコース6−リン酸及び4.9mgのMgCl2から成る)の添加により活性化した。アッセイは、30μlの試験物質原液の添加により開始され、ここで前記原液の組成は、インキュベーションの間の溶媒濃度がDMSOについて0.2%以下及びメタノールについて1%以下になるよう存在する。
【0183】
インキュベーションは、37℃のインキュベーション温度で60分間にわたって実施され、この間、ミクロソームは連続した撹拌により均質懸濁液で維持された(300rpmでのTec Control Shaker RS 485)。6種の異なった時点(2,8,16,30,45及び60分)で、個々の場合、250μlのアリコートを取り、そしてすぐに、同じ体積の氷冷却されたメタノールに添加し、そしてカバーした。サンプルを-20℃で一晩、凍結し、そして次に、3000rpmで15分間、遠心分離し、この後、100μl透明な上清液を除去し、その濃度を決定した。分析を、LCMC/MS検出カップリングされたAgilent1200HPLC Systemを用いて実施した。
【0184】
時間に対する濃度の低下を用いて、上記に記載されるミクロソームインキュベーション混合物における試験物質の半減期を決定し、これは、“固有のクリアランス”、すなわち試験物質の代謝排除のたの最大肝臓ミクロソーム速度を計算するためにも使用された。その部分についてのこの“固有のクリアランス”は、ヒトにおける最大代謝クリアランスを評価するために種々の生理学的パラメーターと共に使用され得、ここで上記に言及される原理は第1期代謝反応を表すことができるのみである(典型的には、チトクロームP450酵素又はフラビンモノオキシゲナーゼの酸化還元反応、及びまたエステラーゼ及びアミダーゼの加水分解反応)。生理学的パラメーターは次のものである:ヒト肝臓血流:1.3L/kg/時;特定の肝臓重量(kg体重当たり):21g/kg;ミクロソームタンパク質含有率:40mg/g肝臓。さらに、(i)ヒトにおける試験物質の再吸収が100%であり、そして(ii)評価された代謝クリアランスが最初の通過として計算されることが仮定されると、最大の経口生物学的利用能(Fmax)が評価された。
【0185】
配合及び簡単な例示:CL固有−見掛け[ml/(分*mgタンパク質)]:ミクロソームタンパク質含有率(40mg/ml)により割算された、インキュベーション混合物における試験物質の排除定数kel(分-1)を表す。CL固有[I(h*kg)]:肝臓血流がインキュベーションにおいて制限因子(kel*肝臓重量/肝臓割合(ミクロソーム含有率)でない場合、試験物質の代謝排除についての肝臓(ミクロソーム)の最大能力。CL血液−十分に撹拌された[I/(h*kg)]:推定される血液クリアランス(第1期代謝を通して):(QH*CL固有)/(QH+CL固有)。Fmax [%]:試験物質の経口投与の後の最大生物学的利用能:(1−CL血液−十分に撹拌された/QH)*100。
【0186】
C.1.2 生物学的利用能
試験物質の胃内生物学的利用能を、少なくとも5kg及び多くとも12kgの体重を有する雌の目をさましている犬において決定した。このためには、溶解された形で投与される試験物質は、静脈内15分注入及び胃投与のためであり、そして適合できる溶解剤、例えばPEG400及び/又はエタノールが適合できる量で使用される。
【0187】
静脈内投与
0.2〜1mg/kgの低用量で、試験物質を15分間にわたって注入した。時間、5分、10分、15分(例えば、手短には、注入の最後の前)、20分、30分、45分、1, 2, 4, 6, 8, 24時(注入の開始に基づかれる)で、約1〜1.5mlの血液サンプルを採取した。血液サンプルをリチウム/ヘパリン管(SarstedtからのMonovettes(商標))において、振盪しないで貯蔵し、そして3000rpmで15分間、遠心分離した。100μlのアリコートを、その上清液(血漿水)から除き、そして400μlの冷ACNの添加により沈殿した。沈殿されたサンプルを-20℃で一晩、凍結し、そして次に、3000rpmで15分間、遠心分離し、その後、透明な上清液150μlを除き、その濃度を決定した。分析を、カップリングされたLCMS/MS検出と共にAgilent 1200 HPLCシステムを用いて実施した。
【0188】
次のPKパラメーター(PK計算ソフトウェア、例えばWinNonLin(商標)を通して)の計算を用いた:CLplasma:試験物質の合計の血漿クリアランス(L/kg/時);CLblood:試験物質の合計の血液クリアランス(L/kg/時)、ここで(CLblood=CLplasma*Cp/Cb);Vss:定常状態での見掛けの分布体積(L/kg);T1/2:特定間隔内の半減期(ここで:最終T1/2, 時での);AUCnorm:用量により割算された、時間0〜無限大の点から推定される血漿濃度時間プロフィール下の面積(kg*L/時);AUC(0-tn)norm:用量により割算された、時点0での点〜測定できる血漿濃度が存在する最後の時点の血漿濃度時間プロフィール下の積分された面積(kg*L/時);Cmax:血漿における試験物質の最大濃度(μg/L);Cmax.norm:用量により割算された、血漿における試験物質の最大濃度(kg/L); Cb/Cp:血液:血漿濃度分布の比率。
【0189】
胃内投与
1〜2mg/kgの低用量で、試験物質を、食物を与えられていない雌の犬へ、ボーラスとして胃管を通して胃内に投与した。15分、30分、45分、1, 2, 4, 6, 8, 24時(注入の開始に基づかれる)の時点で、約1〜1.5mの血液を除いた。血液サンプルをリチウム/ヘパリン管(SarstedtからのMonovettes(商標))において、振盪しないで貯蔵し、そして3000rpmで15分間、遠心分離した。100μlのアリコートを、その上清液(血漿水)から除き、そして400μlの冷ACNの添加により沈殿した。沈殿されたサンプルを-20℃で一晩、凍結し、そして次に、3000rpmで15分間、遠心分離し、その後、透明な上清液150μlを除き、その濃度を決定した。分析を、カップリングされたLCMS/MS検出と共にAgilent 1200 HPLCシステムを用いて実施した。
【0190】
次のPKパラメーター(PK計算ソフトウェア、例えばWinNonLin(商標)を通して)の計算を用いた: AUCnorm:用量により割算された、時間0〜無限大の点から推定される血漿濃度時間プロフィール下の面積(kg*L/時);AUC(0-tn)norm:用量により割算された、時点0での点〜測定できる血漿濃度が存在する最後の時点の血漿濃度時間プロフィール下の積分された面積(kg*L/時);Cmax:血漿における試験物質の最大濃度(μg/L);Cmax.norm:用量により割算された、血漿における試験物質の最大濃度(kg/L); T1/2:特定間隔内の半減期(ここで:最終T1/2, 時での);Fobs%:観察される経口生物学的利用能、すなわち投与後のAUC(0-tn)normにより割算された、投与後のAUC(0-tn)norm; tmax:血漿における試験物質の最大濃度が特定される時点。
【0191】
C.2 結果
表2は、PK特徴化の結果を示す:(C1-3:直接的類似、すなわち、それらは位置17で立体異性体においてのみ異なる)。
【0192】
【表2】

【0193】
17β−基を有する本発明の化合物は、ヒトミクロソームにおける高められた代謝安定性、及び胃内投与後、犬における高められた生物学的利用能を有するので、直接的類似体よりも卓越している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】

[式中、Halは、エストラトリエン骨格に11β−位置で結合される弗素又は塩素を表し;
R1、R2及びR4はお互い独立して、水素、弗素、塩素又は臭素を表し;
R3は、水素、又はC1-C4-アルキルもしくはC1-C4-アルカノイル基を表し;
R17’は、水素、又はC1-C4-アルキル又はC1-C4-アルカノイル基を表し;
R17’’は、任意にはモノ又はポリ弗素化されたC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル又はC2-C4-アルキニル基を表し、ここでR17’-Oは、エストラトリエン骨格に17α−位置で結合され、そしてR17’’はエストラトリエン骨格に17β−位置で結合され;
Uは、直鎖又は枝分れ鎖のC1-C13-アルキレン、C2-C13-アルケニレン又はC2-C13−アルキニレン基を表すか、あるいは基A−Bを表し、ここでAは、エストラトリエン骨格に結合され、そしてエストラトリエン骨格に-CH2-を通して結合されるベンジリデン基であり、フェニレン基であり、又はエストラトリエン骨格にアルキル基を通して結合されるC1-C3−アルキレン−フェニレン基であり、そしてBは、直鎖又は枝分れ鎖のC1-C13-アルキレン、C2-C13-アルケニレン又はC2-C13−アルキニレン基を表し、そしてA及びBはまた、酸素原子を通してお互い結合され得;
Vは、メチレン又は-C(O)-基を表し;
Xは、結合又はC1-C3-アルキレン基を表し;
R5は、水素、又はC1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニルもしくはC2-C4-アルキニル基を表し;
R6は、水素又は基-CH2-R7又はC(O)-R7を表し、ここでR7は水素、又は直鎖もしくは枝分れ鎖の弗素化されていないか又は少なくとも部分的に弗素化されたC1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル又はC2-C6-アルキニル基(ヒドロキシルにより一又は多置換され得る)を表し;又は
R5及びR6は、Xと共に及び側鎖の窒素原子と共に、4〜6員のヘテロシクリル環(側鎖の窒素原子の他に、追加のヘテロ原子を有し、そして/又はカルボニル基を含むことができる)を形成し;
Yは、C5-C8-アルキレン基を表し;
Eは、C1-C4-ペルフルオロアルキル基を表すか、又はハロゲン又は-CF3により一又は五置換されるフェニル基を表す]
で表される化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項2】
Halが、弗素を表し;
R1、 R2及びR4がお互い独立して、水素、塩素又は臭素を表し;
R3が、水素、メチル又はアセチル基を表し;
R5が、水素又はC1-C3−アルキル基を表し;
R6が、水素又は-CH2-R7を表し、ここでR7は水素、メチル又はエチル基を表し;又は
R5及びR6が、側鎖の窒素原子と共に、5員のヘテロシクリル環(側鎖の窒素原子のために、追加のヘテロ原子を有し、そして/又はカルボニル基を含むことができる)を形成し;
R17’が、水素、メチル又はアセチル基を表し;
R17’’が、メチル、エチニル又はトリフルオロメチル基を表し;
Uが、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン又はヘプチレン基を表し;
Vが、メチレン基を表し;
Xが、結合又はメチレン基を表し;
Yが、結合又はC5-C7−アルキレン基を表し;そして
Eが、-C2F5、-C3F7、-C4F9又はトリフルオロメチルフェニル基を表す、
請求項1記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項3】
R1が水素を表し;
R2が水素又は塩素を表し;そして
R4が水素、塩素又は臭素を表す、
請求項1又は2記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項4】
R3が水素を表す、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項5】
Halが弗素を表す、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項6】
R5が水素を表し、そしてR6がメチル基を表し、又はR5及びR6が側鎖の窒素原子と共に、ピロリジン環を形成する、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項7】
R17'が水素を表し、そしてR17’’がメチル基を表す、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項8】
Uがn−ブチレン基を表す、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項9】
Vがメチレン基を表す、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項10】
Xが結合を表す、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項11】
Yがn−ペンチレン又はn−ヘキシレン基を表す、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項12】
Eが−C2F5を表す、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項13】
R1が、水素を表し;
R2が、水素又は塩素を表し;
R4が、水素、塩素又は臭素を表し;
R3が、水素を表し;
Halが、弗素を表し;
R5が水素を表し、そしてR6がメチル基を表し;又は
R5及びR6が、側鎖の窒素原子と共に、ピロリジン環を形成し;
R17’が、水素を表し;
R17’’が、メチル基を表し;
Uが、n−ブチレン基を表し;
Vが、メチレン基を表し;
Xが、結合を表し;
Yが、n−ペンチレン又はn−ヘキシレン基を表し;そして
Eが、-C2F5を表す、
請求項1項記載の式(I)の化合物類、及びそれらの鏡像異性体及びジアステレオマー、それらの塩、溶媒化合物、及び溶媒化合物の塩。
【請求項14】
下記式(IX)
【化2】

[式中、R1、R2、R3、R4、Hal、R17'、R17"、U及びVは、請求項1〜13のいずれか1項記載の意味を有し、そしてLGはスルホネート基又はハロゲンを表す]で表される中間体。
【請求項15】
医薬として使用のための請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物類。
【請求項16】
エストロゲン−依存性障害の処理のための薬物の調製のためへの請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物を含んで成る医薬製剤。

【公表番号】特表2012−528808(P2012−528808A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513491(P2012−513491)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003204
【国際公開番号】WO2010/139411
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】