説明

2−ヒドロキシアセトフェノンオキシム誘導体

【課題】 殺菌・殺カビ性を有する化合物の製造のための中間体として既知の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジンの製造のために有用な中間体化合物を提供すること。
【解決手段】 ω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシム、O−アルキル−ベンゾフラノンオキシム及びω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌・殺カビ性を有する化合物の製造のための中間体として既知の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジン(WO 95−04728)の製造のための新規な方法に関する。さらに、本発明は新規な3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジン、その製造のための新規な中間体及び新規な中間体の製造のための複数の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)−ジオキサジンを対応するヒドロキシフェニル酢酸エステルから出発して製造できることはすでに開示されている(特許文献1参照)。かくして、例えば、ヒドロキシフェニル酢酸メチル(a)をジヒドロピランと反応させ、得られるジヒドロピラニルエーテル(b)を亜硝酸t−ブチルを用いて2−[2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシイミノ酢酸メチル(c)に転化させ、この化合物をヨードメタンを用いてアルキル化して2−[2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−フェニル]−2−メトキシイミノ酢酸メチル(d)を得、これをヒドロキシルアミンと反応させて2−[2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−フェニル]−2−メトキシイミノ−N−ヒドロキシアセトアミド(e)を得、それをジブロモエタンを用いて環化して3−{1−[2−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−フェニル]−1−メトキシイミノ−メチル}−5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン(f)を得、最後に酸触媒反応を用いてテトラヒドロピラニル基を除去することにより(5,6−ジヒドロ[1,4,2]ジオキサジン−3−イル)−(2−ヒドロキシフェニル)−メタノン−O−メチルオキシム(1)を製造することができる。この合成は下記の反応式により示すことができる:
【0003】
【化1】

【0004】
この方法の主な欠点は、多数の段階を時々は低い収率で行わなければならないことであり、これは原価効率に決定的に悪影響を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第95/04728号
【発明の概要】
【0006】
今回、(プロセスa)式(II)
【0007】
【化2】

【0008】
[式中、
Aはアルキルを示し、
、R、R及びRは同一又は異なり、それぞれ互いに独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、それぞれ場合によりハロゲン−置換されていることができるアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルを示し、
、Z、Z及びZは同一又は異なり、それぞれ互いに独立して水素、アルキル、ハロゲノアルキル又はヒドロキシアルキルを示すか、あるいは
とZ、又はZとZ、又はZとZはそれらが結合している各炭素原子と一緒になって環状脂肪族環を形成する]
のO−ヒドロキシエチル−O’−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを、適宜希釈剤の存在下に、及び適宜、塩基又は酸の存在下において転位させ、立体異性体の混合物として存在し得る得られる生成物を適宜、希釈剤の存在下に、及び適宜、酸の存在下において適宜、異性化させて所望のE異性体を得る場合に、一般式(I)
【0009】
【化3】

【0010】
[式中、A、R、R、R、R、Z、Z、Z及びZはそれぞれ上記で定義された通りである]
の新規な及び既知の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジンが得られることが見いだされた。
【0011】
定義において、アルコキシ又はアルキルチオの場合のように複素原子と組み合わされた場合を含むアルキルなどの飽和又は不飽和炭化水素鎖は、それぞれ直鎖状もしくは分枝鎖状である。
【0012】
本発明に従って製造することができる化合物及びその前駆体は、適宜、種々の考え得る異性体の、特に例えばE及びZ異性体などの立体異性体の混合物として、ならびに適宜、互変異性体として存在することができる。E及びZ異性体の両方、ならびにこれらの異性体の混合物、ならびに考え得る互変異性体が特許請求されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のプロセスa)の方法は、好ましくは、
Aがメチル、エチル、n−もしくはi−プロピルを示し、
、R、R及びRが同一又は異なり、それぞれ互いに独立して水素、ハロゲン、
シアノ、ニトロを示すか、あるいはそれぞれ炭素数が1〜6であり、そのそれぞれが場合により1〜5個のハロゲン原子により置換されていることができるアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルを示し、
、Z、Z及びZが同一又は異なり、それぞれ互いに独立して水素、それぞれ炭素数が1〜4のアルキル又はヒドロキシアルキル、あるいは炭素数が1〜4であり且つ1〜5個の同一又は異なるハロゲン原子を有するハロゲノアルキルを示すか、あるいは
とZ、又はZとZ、又はZとZはそれらが結合している各炭素原子と一緒になって炭素数が5、6又は7の環状脂肪族環を形成する
式(I)の化合物の製造に用いられる。
【0014】
Aがメチル又はエチルを示し、
、R、R及びRが同一又は異なり、それぞれ互いに独立して水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、i−、s−もしくはt−ブチル、メトキシ、エトキシ、n−もしくはi−プロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メチルスルホニル又はエチルスルホニル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメチルチオ、ジフルオロクロロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル又はトリフルオロメチルスルホニルを示し、
、Z、Z及びZが同一又は異なり、それぞれ互いに独立して水素、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、i−、s−もしくはt−ブチル、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロエチルを示すか、あるいは
とZ、又はZとZ、又はZとZがそれらが結合している各炭素原子と一緒になって炭素数が5、6又は7の環状脂肪族環を形成する
式(I)の化合物の製造が特に好ましい。
【0015】
本発明は式(I−a)
【0016】
【化4】

【0017】
[式中、
A、R、R、R、R、Z、Z、Z及びZはそれぞれ上記で定義された通りであるが、置換基R、R、R、R、Z、Z、Z及びZの少なくとも1つは水素と異なる]
の新規な3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシスミノメチル)ジオキサジンにも関する。
【0018】
上記の一般的又は好ましい基の定義は、式(I)の化合物及びまた、対応して、製造のためのそれぞれの場合に必要な出発材料又は中間体の両方に適用される。
【0019】
これらの基の定義は随意、互いに結合することができる、すなわち与えられる好ましい化合物の範囲の間の組み合わせを含むことができる。
【0020】
式(II)は本発明のプロセスa)を行うための出発材料として必要なO−ヒドロキシエチル−O’−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムの一般的定義を示す。この式(II)において、A、R、R、R、R、Z、Z、Z及びZはそれぞれ、本発明に従って製造することができる式(I)の化合物の記載と関連して、A、R、R、R、R、Z、Z、Z及びZに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。
【0021】
式(II)の出発材料は以前に開示されてはおらず、それらも新規な化合物として本出願の主題の一部を形成する。
【0022】
式(II)のO−ヒドロキシエチル−O’−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムは、
(プロセスb)式(III)
【0023】
【化5】

【0024】
[式中、
A、R、R、R及びRはそれぞれ上記で定義された通りである]
のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを式(IV)
【0025】
【化6】

【0026】
[式中、
はハロゲン、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ又はアルカノイルオキシを示し、
Gは水素を示すか、あるいは
及びGは単結合により連結され、ここで
は酸素を示し、
Gは
【0027】
【化7】

【0028】
を示すか、あるいは
及びGは一緒になって単結合を示し、
、Z、Z及びZはそれぞれ上記で定義された通りである]
のエタン誘導体と、適宜、希釈剤の存在下で、及び適宜、塩基の存在下において反応させると得られる。
【0029】
式(III)は、本発明のプロセスb)を行うための出発材料として必要なO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムの一般的定義を示す。この式(III)において、R、R、R及びRはそれぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してR、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。
【0030】
式(III)の出発材料は以前に開示されてはおらず、それらも新規な化合物として本出願の主題の一部を形成する。
【0031】
式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムは、
(プロセスc)式(V)
【0032】
【化8】

【0033】
[式中、
A、R、R、R及びRはそれぞれ上記で定義された通りである]
のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムを適宜、希釈剤の存在下で塩基と反応させる、あるいは
(プロセスd)式(VI)
【0034】
【化9】

【0035】
[式中、
A、R、R、R及びRはそれぞれ上記で定義された通りである]
のO−アルキル−ベンゾフラノンオキシムを適宜、希釈剤の存在下で、及び適宜、酸もしくは塩基の存在下でアルカリ金属亜硝酸塩又は亜硝酸アルキルと反応させると得られる。
【0036】
式(V)は、本発明のプロセスc)を行うための出発材料として必要なω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムの一般的定義を示す。この式(V)において、A、R、R、R及びRはそれぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してA、R、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。
【0037】
式(V)の出発材料は以前に開示されてはおらず、それも新規な化合物として本出願の主題の一部を形成する。
【0038】
式(V)のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムは、
(プロセスe)式(VII)
【0039】
【化10】

【0040】
[式中、
、R、R及びRはそれぞれ上記で定義された通りである]
のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンを式(VIII)
A−O−NH (VIII)
[式中、
Aは上記で定義された通りである]
のアルコキシアミン−あるいはその酸付加錯体−と、適宜、希釈剤の存在下で、及び適宜、酸受容体の存在下で反応させると得られる。
【0041】
式(VII)は、本発明のプロセスe)を行うための出発材料として必要なω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンの一般的定義を示す。この式(VII)において、A、R、R、R及びRはそれぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してA、R、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。
【0042】
式(VII)の出発材料は既知であり、既知の方法により得ることができる(Proc.−Indian Acad.Sci.Sect.A,83,1976,238,239,242;J.Chem.Res.Miniprint,1978,865,877;J.Amer.Chem.Soc.,67<1945>99,101;Synthesis,5,1982,397−399)。
【0043】
式(VI)は、本発明のプロセスd)を行うための出発材料として必要なO−アルキル−ベンゾフラノンオキシムの一般的定義を示す。この式(VI)において、A、R、R、R及びRはそれぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してA、R、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。
【0044】
式(VI)の出発材料は以前に開示されてはおらず、それらも新規な化合物として本出願の主題の一部を形成する。
【0045】
式(VI)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムは、
(プロセスf)式(IX)
【0046】
【化11】

【0047】
[式中、
A、R、R、R及びRはそれぞれ上記で定義された通りであり、
Xはハロゲンを示す]
のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムを適宜、希釈剤の存在下で塩基と反応させるか、あるいは
(プロセスg)式(X)
【0048】
【化12】

【0049】
[式中、
、R、R及びRはそれぞれ上記で定義された通りである]
のベンゾフラノンを式(VIII)のアルコキシアミン−もしくはその酸付加錯体−と、適宜、希釈剤の存在下で、及び適宜、酸受容体の存在下で反応させるか、あるいは
(プロセスh)式(XI)
【0050】
【化13】

【0051】
[式中、
、R、R及びRはそれぞれ上記で定義された通りである]
のベンゾフラノンオキシムを式
A−Y (XII)
[式中、
Aは上記で定義された通りであり、
Yはハロゲン、アルキルスルホニルオキシ、アルコキシスルホニルオキシ又はアリールスルホニルオキシを示す]
のアルキル化剤と、適宜、希釈剤の存在下で、及び適宜、塩基の存在下で反応させると得られる。
【0052】
式(IX)は、本発明のプロセスf)を行うための出発材料として必要なω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムの一般的定義を示す。この式(IX)において、A、R、R、R及びRはそれぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してA、R、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。Xはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素を示す。
【0053】
式(IX)の出発材料は以前に開示されてはおらず、それらも新規な化合物として本出願の主題を形成する。
【0054】
式(IX)のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムは、
(プロセスi)式(XIII)
【0055】
【化14】

【0056】
[式中、
、R、R、R及びXはそれぞれ上記で定義された通りである]
のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンを式(VIII)のアルコキシアミン−もしくはその酸付加錯体−と、適宜、希釈剤の存在下で、及び適宜、酸受容体の存在下で反応させると得られる。
【0057】
式(XIII)は、本発明のプロセスi)を行うための出発材料として必要なω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンの一般的定義を示す。この式(XIII)において、R、R、R及びRはそれぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してR、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。Xはハロゲン、好ましくは塩素又は臭素を示す。
【0058】
式(XIII)のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンは既知であり、既知の方法により製造することができる(J.Org.Chem.(1990),55(14),4371−7及びSynthesis(1988),(7),545−6)。
【0059】
式(X)は、本発明のプロセスg)を行うための出発材料として必要なベンゾフラノンの一般的定義を示す。この式(X)において、R、R、R及びRはそれぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してR、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。
【0060】
式(X)のベンゾフラノンは既知であり、既知の方法により製造することができる(Friedlaender;Neudoerfer,Chem.Br.30<1897>,1081)。
【0061】
式(XI)は、本発明のプロセスh)を行うための出発材料として必要なベンゾフラノンオキシムの一般的定義を示す。この式(XI)において、R、R、R及びR
それぞれ、本発明に従って製造できる式(I)の化合物の記載と関連してR、R、R及びRに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。
【0062】
式(XI)のベンゾフラノンオキシムは既知であり、既知の方法により製造することができる(例えばStoermer,Bartsch,Chem.Ber.,33<1900>,3180を参照されたい)。
【0063】
式(XII)は本発明のプロセスh)を行うための出発材料としてさらに必要なアルキル化剤の一般的定義を示す。この式(XII)において、Aは本発明に従って製造することができる式(I)の化合物の記載と関連してAに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。Yはハロゲン、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、アルキルスルホニルオキシ、好ましくはメチルスルホニルオキシ、アルコキシスルホニルオキシ、好ましくはメトキシスルホニルオキシ、あるいはアリールスルホニルオキシ、好ましくは4−トリルスルホニルオキシを示す。
【0064】
式(XII)のアルキル化剤は合成のための既知の化学品である。
【0065】
式(VIII)は本発明のプロセスe)、g)及びi)を行うための出発材料としてさらに必要なアルコキシアミンの一般的定義を示す。この式(VIII)において、Aは本発明に従って製造することができる式(I)の化合物の記載と関連してAに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。式(VIII)のアルコキシアミンの好ましい酸付加錯体は、それらの塩酸塩、硫酸塩及び水素硫酸塩である。
【0066】
式(VIII)のアルコキシアミン及びそれらの酸付加錯体は合成のための既知の化学品である。
【0067】
式(IV)は本発明のプロセスb)を行うための出発材料としてさらに必要なエタン誘導体の一般的定義を示す。この式(IV)において、Z、Z、Z及びZは本発明に従って製造することができる式(I)の化合物の記載と関連してZ、Z、Z及びZに関して好ましいか又は特に好ましいとしてすでに挙げた意味を有するのが好ましいか又は特に好ましい。Yはハロゲン、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素、アルキルスルホニルオキシ、好ましくはメチルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、好ましくは4−トリルスルホニルオキシ、あるいはアルカノイルオキシ、好ましくはアセチルオキシを示す。Gは水素を示すか、又は単結合によりYに連結され、その場合Yは酸素を示し、Gはカルボニルを示すか、あるいはG及びYは一緒になって単結合を示す。
【0068】
式(IV)のエタン誘導体は合成のための既知の化学品である。
【0069】
本発明のプロセスa)を酸の存在下で行う場合、適した希釈剤はすべての不活性有機溶媒である。これらには好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル、あるいはスルホン類、例えばスルホラン、ならびに上記の希釈剤のいずれかの混合物が含まれる。特に好ましい希釈剤はエーテル類、例えばジエチルエーテル、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、
トルエン又はキシレンである。
【0070】
本発明のプロセスa)を塩基の存在下で行う場合、適した希釈剤は水及びすべての有機溶媒である。これらには好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;スルホン類、例えばスルホラン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物が含まれる。好ましい希釈剤は水、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ならびに水とのそれらの混合物である。この場合に特に好ましい希釈剤は水又はアルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物である。
【0071】
本発明のプロセスb)を行うのに適した希釈剤は、水及びすべての有機溶媒である。これらには好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;スルホン類、例えばスルホラン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物が含まれる。好ましい希釈剤は水、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ならびに水とのそれらの混合物である。特に好ましい希釈剤は水又はアルコ
ール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物である。
【0072】
本発明のプロセスc)を行うのに適した希釈剤は水及びすべての有機溶媒である。これらには好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ケトン類、例えばアセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン;ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;スルホン類、例えばスルホラン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物が含まれる。好ましい希釈剤は水、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル;あるいはニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリル又はベンゾニトリル、ならびに水とのそれらの混合物である。
【0073】
本発明のプロセスd)を行うのに適した希釈剤は水及びすべての不活性有機溶媒である。これらには好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;有機酸、例えば酢酸;エステル類、例えば酢酸メチル、酢酸エチル又は酢酸ブチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;スルホン類、例えばスルホラン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物あるいは純粋な水が含まれる。
【0074】
本発明のプロセスe)、g)及びi)を行うのに適した希釈剤はすべての不活性有機溶媒である。これらには好ましくは芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、
クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;有機酸、例えば酢酸;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;スルホン類、例えばスルホラン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物あるいは純粋な水が含まれる。特に好ましい希釈剤はアミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、水とのそれらの混合物、あるいは純粋な水である。さらに2相混合物、例えば水/トルエンも特に好ましい。
【0075】
本発明のプロセスf)を行うのに適した希釈剤はすべての不活性な有機溶媒である。これらには好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ケトン類、例えばアセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン;ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリル又はベンゾニトリル;アミド類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドン又はヘキサメチルリン酸トリアミド;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;スルホン類、例えばスルホラン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびに水とのそれらの混合物あるいは純粋な水、ならびに例えば水/トルエンなどの2相混合物が含まれる。特に好ましい希釈剤は脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;ならびに例えば水/トルエンなどの2相混合物である。
【0076】
本発明に従って製造することができる式(I)の化合物の異性化を行うのに適した希釈剤は、すべての不活性有機溶媒である。これらには好ましくは脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はデカリン;ハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン又はトリクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン又はアニソール;エステル類、例えば酢酸メチル又は酢酸エチル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド;あるいはスルホン類、例えばスルホランが含まれる。
【0077】
本発明に従って製造することができる式(I)の化合物の異性化は、適宜、酸の存在下で行われる。適した酸はすべての無機及び有機プロトン性酸、ならびにルイス酸である。これらには例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、三フッ化酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素(エーテレートとしても)、三臭化ホウ素が含まれる。
【0078】
本発明のプロセスa)は、適宜、酸又は塩基の存在下で行われる。適した酸はすべての無機及び有機プロトン性酸、ならびにルイス酸、ならびに又すべてのポリマー酸である。これらには例えば塩化水素、臭化水素、硫酸、蟻酸、酢酸、三フッ化酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素(エーテレートとしても)、三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄(III)、五塩化アンチモン、酸性イオン交換剤、酸性アルミナ及び酸性シリカゲルが含まれる。塩化水素又は臭化水素が好ましい。適した塩基はすべての通常の無機又は有機塩基である。これらには好ましくはアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属水素化物、水酸化物、アミド類、アルコキシド類、酢酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えば水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸アンモニウム、ならびに第3アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、あるいはジアザビシクロウンデセン(DBU)が含まれる。特に好ましい塩基はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及び第3アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)である。
【0079】
本発明のプロセスb)は適宜、適した酸受容体の存在下で行われる。適した酸受容体はすべての通常の無機もしくは有機塩基である。これらには好ましくはアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属水素化物、水酸化物、アミド類、アルコキシド類、酢酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えば水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸アンモニウム、ならびに第3アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、あるいはジアザビシクロウンデセン(DBU)が含まれる。特に好ましい塩基はナトリウムメトキシド、
ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及び第3アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)である。
【0080】
本発明のプロセスc)は適宜、適した酸受容体の存在下で行われる。適した酸受容体はすべての通常の無機もしくは有機塩基である。これらには好ましくはアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属水素化物、水酸化物、アミド類、アルコキシド類、酢酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えば水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸アンモニウム、ならびに第3アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、あるいはジアザビシクロウンデセン(DBU)が含まれる。特に好ましい塩基はアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属水酸化物、アルコキシド、炭酸塩もしくは重炭酸塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸アンモニウム、及び第3アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)又はジアザビシクロウンデセン(DBU)である。
【0081】
本発明のプロセスd)は適宜、酸又は塩基の存在下で行われる。適した酸はすべての無機及び有機プロトン性酸である。これらには例えば塩化水素、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、三フッ化酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸が含まれる。適した塩基はすべての通常の無機又は有機塩基である。これらには好ましくはアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属水素化物、水酸化物又はアルコキシド類、例えば水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが含まれる。
【0082】
本発明のプロセスe)、g)及びi)は適宜、適した酸受容体の存在下で行われる。適した酸受容体はすべての通常の無機もしくは有機塩基である。これらには好ましくはアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属水酸化物、アルコキシド類、酢酸塩、炭酸塩又は重炭酸塩、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は炭酸アンモニウム、ならびに第3アミン類、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、あるいはジアザビシクロウンデセン(DBU)が含まれる。
【0083】
本発明のプロセスa)及びb)の実行において、反応温度は比較的広い範囲に及んで変化させることができる。反応は一般に−20℃〜100℃の温度、好ましくは0℃〜80℃の温度で行われる。
【0084】
本発明のプロセスc)の実行において、反応温度は比較的広い範囲に及んで変化させることができる。反応は一般に0℃〜150℃の温度、好ましくは20℃〜100℃の温度で行われる。
【0085】
本発明のプロセスe)、g)及びi)の実行において、反応温度は比較的広い範囲に及んで変化させることができる。反応は一般に0℃〜150℃の温度、好ましくは0℃〜80℃の温度で行われる。
【0086】
本発明のプロセスd)の実行において、反応温度は比較的広い範囲に及んで変化させることができる。反応は一般に−20℃〜150℃の温度、好ましくは0℃〜100℃の温度で行われる。
【0087】
本発明のプロセスf)の実行において、反応温度は比較的広い範囲に及んで変化させることができる。反応は一般に0℃〜200℃の温度、好ましくは20℃〜150℃の温度で行われる。
【0088】
式(I)の化合物の製造のための本発明のプロセスa)の実行においては、式(II)のO−ヒドロキシエチル−O’−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムの1モル当たり一般に1〜15モル、好ましくは2〜6モルの塩基が用いられる。
【0089】
式(II)の化合物の製造のための本発明のプロセスb)の実行においては、式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムの1モル当たり一般に1〜15モル、好ましくは3〜6モルの式(IV)のエタン誘導体が用いられる。
【0090】
式(III)の化合物の製造のための本発明のプロセスc)の実行においては、式(V)のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムの1モル当たり一般に1〜15モル、好ましくは2〜8モルの塩基が用いられる。
【0091】
式(III)の化合物の製造のための本発明のプロセスd)の実行においては、式(VI)のO−アルキル−ベンゾフラノンオキシムの1モル当たり一般に1〜5モル、好ましくは1〜3モルのアルカリ金属亜硝酸塩又は亜硝酸アルカリが用いられる。
【0092】
式(V)、(VI)及び(IX)の化合物の製造のための本発明のプロセスe)、g)及びi)の実行においては、それぞれ式(VII)のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノン、式(X)のベンゾフラノン及び式(XIII)のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンの1モル当たり、それぞれ一般に1〜15モル、好ましくは1〜8モルの式(VIII)のアルコキシアミン−もしくはその酸付加錯体−が用いられる。
【0093】
式(VI)の化合物の製造のための本発明のプロセスf)の実行においては、式(IX)のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムの1モル当たり一般に1〜15モル、好ましくは1〜5モルの塩基が用いられる。
【0094】
本発明のプロセスa)〜i)は一般に大気圧において行われる。しかし高圧又は減圧において,一般に0.1バール〜10バールにおいて,プロセスを行うこともできる。
【0095】
好ましいプロセス変法(A)の場合、プロセスe)に記載されている通り、式(VII)のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンを適宜、緩衝系、例えば酢酸ナトリウム/酢酸中で式(VIII)のアルコキシアミン−もしくはその酸付加錯体−と反応させることにより式(V)のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムに転化させる。化合物(V)を塩基、例えば重炭酸ナトリウム水溶液と反応させて式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを得る。式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを塩基性溶液、例えばアルカリ金属水酸化物水溶液中で式(IV)のエタン誘導体と反応させ、式(II)のO−ヒドロキシエチル−O’−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを得、それを好ましくは仕上げなしでさらに塩基性溶液中で反応させ、所望の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジンを得る。これを適宜、例えば酢酸エチルなどの有機溶媒中で塩化水素などの酸を用いる処理により所望のE異性体に異性化させる。
【0096】
さらに好ましいプロセス変法(B)の場合、プロセスi)に記載されている通り、式(XIII)のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンを適宜、緩衝系、例えば酢酸ナトリウム/酢酸中で式(VIII)のアルコキシアミン−もしくはその酸付加錯体−と反応させることにより式(IX)のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンオキシムに転化させる。式(IX)の化合物を水/メチルt−ブチルエーテル系において塩基、例えば重炭酸ナトリウムで処理することにより環化し、式(VI)のO−アルキル−ベンゾフラノンオキシムを得る。酸性又は塩基性溶液中でアルカリ金属亜硝酸塩又は亜硝酸アルキルで処理すると、式(VI)のO−アルキル−ベンゾフラノンオキシムは式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを与える。式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを塩基性溶液、例えばアルカリ金属水酸化物水溶液中で式(IV)のエタン誘導体と反応させ、式(II)のO−ヒドロキシエチル−O’−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを得、それを好ましくは仕上げなしでさらに塩基性溶液中で反応させ、所望の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジンを得る。これを適宜、例えば酢酸エチルなどの有機溶媒中で塩化水素などの酸を用いる処理により所望のE異性体に異性化させる。
【0097】
第3の好ましいプロセス変法(C)の場合、プロセスg)に記載されている通り、式(X)のベンゾフラノンを適宜、緩衝系、例えば酢酸ナトリウム/酢酸中で式(VIII)のアルコキシアミン−もしくはその酸付加錯体−と反応させることにより、式(VI)のO−アルキルベンゾフラノンオキシムに転化させる。酸性又は塩基性溶液中でアルカリ金属亜硝酸塩又は亜硝酸アルキルで処理すると、式(VI)のO−アルキル−ベンゾフラノンオキシムは式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを与える。式(III)のO−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを塩基性溶液、例えばアルカリ金属水酸化物水溶液中で式(IV)のエタン誘導体と反応させ、式(II)のO−ヒドロキシエチル−O’−アルキル−ベンゾフランジオンジオキシムを得、それを好ましくは仕上げなしでさらに塩基性溶液中で反応させ、所望の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジンを得る。これを適宜、例えば酢酸エチルなどの有機溶媒中で塩化水素などの酸を用いる処理により所望のE異性体に異性化させる。
【0098】
本発明の方法が、特に組み合わされた時に、高収率で高純度の生成物を与えることは非常に驚くべきことである。一般式(V)の化合物が塩基で処理されると、室温などの低温で水の存在下においてさえ容易に水を脱離させて環化し、高収率の式(III)の化合物を与え、それを濾過により簡単に高純度で単離できることは、特に驚くべきことである。既知の文献に従うと、これらの条件下では式(V)の化合物の脱プロトン化のみが予想されるべきであった。さらに、式(III)の化合物がアルカリ性条件下で問題なくエポキシドと反応し、式(II)の化合物を与えることができ、それを今度は適宜、仕上げなしでさえ、直接所望の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジンに環化できることは、特に驚くべきことである。例えばChem.Ber.1902,1640は、ベンゾフランジオンモノオキシムが酸を用いる、及び塩基を用いる両方の処理により分裂してサリチル酸誘導体又はヒドロキシフェニルグリオキサル酸誘導体を与えると記載している。かくして式(III)の化合物は与えられた反応条件下で同様
に分解することが予想されてしかるべきであった。式(VI)の化合物の容易なニトロソ化(プロセスd)も驚くべきことであり、それはオキシムに対してα位に位置するメチル又はメチレン基のニトロソ化は、ケト基に対してα位に位置するメチル又はメチレン基と対照的に、以前には記載がないからである。
【0099】
本発明の方法は複数の利点を有する。かくして該方法は大量の3−(1−ヒドロキシフェニル−1−アルコキシイミノメチル)ジオキサジンを高収率及び高純度で製造することを可能にする。出発材料として必要な式(IV)のエタン誘導体、式(VII)のω−ニトロ−2−ヒドロキシアセトフェノン、式(X)のベンゾフラノン及び式(XIII)のω−ハロゲノ−2−ヒドロキシアセトフェノンを大量にでも、低い経費で容易に得られ得ることは、さらなる利点である。
【実施例】
【0100】
製造及びプロセス実施例:
実施例1:
プロセス変法(A)
【0101】
【化15】

【0102】
段階1
化合物(V−1)
【0103】
【化16】

【0104】
プロセスe)
20℃において73.5g(0.88モル)のメトキシアミン塩酸塩を、500mlのメタノール中の80.0g(0.44モル)のo−ヒドロキシ−ω−ニトロアセトフェノンの溶液に加え、混合物を45〜50℃において8〜12時間撹拌する。溶液を20℃に冷却し、1lの氷−水中に注ぎ、1時間撹拌する。結晶性生成物を濾過し、500mlの水を用いて1回に少量で洗浄し、真空乾燥室において40℃で乾燥する。72g(理論値の74.6%)の1−(2−ヒドロキシフェニル)−2−ニトロ−エタノン O−メチル−オキシムが立体異性体の混合物として得られる。
【0105】
HPLC:logP=1.87(12.3%),2.27(83.5%)
【0106】
段階2
化合物(III−1)
【0107】
【化17】

【0108】
プロセスc)
71.8gの1−(2−ヒドロキシ−フェニル)−2−ニトロ−エタノン O−メチル−オキシムを700mlの水中の121g(0.342モル)の重炭酸ナトリウムの溶液に加える。30分以内に混合物を90〜95℃に加熱し、そうすると未溶解の出発材料が溶融し、反応し、生成物が析出する。混合物を20℃に冷却し、生成物を濾過し、500mlの水を用いて1回に少量で洗浄し、空気乾燥する。57.4g(理論値の91.3%)のベンゾフラン−2,3−ジオン 3−(O−メチル−オキシム) 2−オキシムが2つの立体異性体の混合物として得られる。
【0109】
HPLC:logP=1.56(28.4%),1.72(71.6%)
【0110】
段階3
化合物(II−1)
【0111】
【化18】

【0112】
プロセスb)
20℃において、264.3g(6.0モル)のエチレンオキシドを2lの水中の192.2g(1.0モル)のベンゾフラン−2,3−ジオン 3−(O−メチル−オキシム) 2−オキシムの溶液中に85分間かけて通過させる。溶液を5℃に冷却し、70g(1.06モル)の水酸化ナトリウムペレットを加え、そうすると温度が10℃に上昇する。さらに冷却せずに混合物をさらに165分間撹拌し、形成される沈澱を吸引濾過し、500mlの氷−水を用いて1回に少量で洗浄し、真空乾燥室において40℃で乾燥する。143.0g(理論値の61%)のベンゾフラン−2,3−ジオン 2−[O−(2−ヒドロキシ−エチル)−オキシム] 3−(O−メチル−オキシム)が2つの立体異性体の混合物として得られる。
【0113】
HPLC:logP−1.65(0.5%),1.79(99.5%)
【0114】
段階4
化合物(I−1)
【0115】
【化19】

【0116】
プロセスa)
250mlの水中の25.6g(0.1084モル)のベンゾフラン−2,3−ジオン
2−[O−(2−ヒドロキシ−エチル)−オキシム] 3−(O−メチル−オキシム)及び14.2g(0.216モル)の水酸化カリウムペレットの溶液を60℃において195分間撹拌する。溶液10℃に冷却し、氷酢酸を用いてpH5〜6に酸性化する。結晶性生成物を吸引濾過し、200mlの水を用いて1回に少量で洗浄し、真空乾燥炉中で45℃において乾燥する。17.7g(理論値の67.7%)のE−(5.6−ジヒドロ−[1,4,2]ジオキサジン−3−イル)−(2−ヒドロキシ−フェニル)−メタノン O−メチル−オキシムが得られる。
【0117】
HPLC:logP=1.22
【0118】
実施例2
化合物(I−1)
【0119】
【化20】

【0120】
プロセスa)及びb)のワン−ポット変法
20℃において、19.8g(0.3モル)の水酸化カリウムペレットを400mlの水中の38.4g(0.2モル)のベンゾフラン−2,3−ジオン 3−(O−メチル−オキシム) 2−オキシムの懸濁液に加え、混合物を30分間撹拌し、そうすると溶液が生成する。20℃において、17.6g(0.4モル)のエチレンオキシドを75分間かけて導入し、混合物を20℃で終夜撹拌すると沈澱が生成する。次いで混合物を60℃で11時間撹拌すると沈澱が再溶解する。溶液を冷却し、氷酢酸を用いてpH5〜6に酸性化する。結晶性生成物を吸引濾過し、300mlの水を用いて1回に少量で洗浄し、真空乾燥室中で45℃において乾燥する。19.6g(理論値の39.3%)の(5,6−ジヒドロ−[1,4,2]ジオキサジン−3−イル)−(2−ヒドロキシ−フェニル)−メタノン O−メチル−オキシムが得られる。
【0121】
HPLC:logP=1.24(E異性体94.2%);2.05(Z異性体0.6%)
【0122】
実施例3
化合物(I−1)
【0123】
【化21】

【0124】
異性化
112gの塩化水素を806g(4.19モル)の(5,6−ジヒドロ−[1,4,2]ジオキサジン−3−イル)−(2−ヒドロキシ−フェニル)−メタノン O−メチル−オキシム(33.3%のZ異性体、66.6%のE異性体)の溶液中に60分かけて導入し、そうすると溶液は20℃〜27℃に温まる。混合物を20℃でさらに18時間撹拌し、続いて減圧下で濃縮する。残留物を真空乾燥室中で40℃において乾燥する。94.8%(HPLC)のE異性体含有率を有する806g(理論値の100%)の(5,6−ジヒドロ−[1,4,2]ジオキサジン−3−イル)−(2−ヒドロキシ−フェニル)−メタノン O−メチル−オキシムが得られる。
【0125】
実施例4
化合物(III−1)
【0126】
【化22】

【0127】
プロセスd)
40mlのtert−ブタノール中に3.92g(0.035モル)のカリウムtert−ブトキシドを溶解する。この溶液に10mlのtert−ブタノール中の5.7g(0.035モル)のベンゾフラン−3−オン O−メチル−オキシム及び7.2g(0.07モル)の亜硝酸tert−ブチルの溶液を加える。混合物を冷却せずに2時間撹拌し、次いで20mlの2N塩酸水溶液と混合する。結晶性生成物を濾過し、水で繰り返し洗浄し、デシケーター中で乾燥する。3.19g(理論値の47.1%)のベンゾフラン−2,3−ジオン 3−(O−メチル−オキシム) 2−オキシムが86.33%の異性体A及び12.98%の異性体B(HPLC)を含む2つの異性体の混合物として得られる。
【0128】
H NMRスペクトル(DMSO−d/TMS):δ=4.10(3H,異性体B);4.11(3H;異性体A);7.21/7.24/7.26(1H);7.31/7.34(1H);7.51/7.53/7.56(1H);7.63/7.65(1H,異性体B) 8.02/8.05(1H,異性体A);11.36(1H,異性体A);11.75(1H,異性体B)ppm。
【0129】
tert−ブタノールの代わりに酢酸ブチルを用いると、同一の結果が得られる。
【0130】
実施例5
化合物(III−1)
【0131】
【化23】

【0132】
プロセスd)
−10℃において、2g(0.019モル)の亜硝酸tert−ブチルを、乾燥塩化水素で飽和された30mlの酢酸エチルに滴下し、混合物をこの温度で15分間撹拌する。−10℃において、5mlの酢酸エチルに溶解された1.6g(0.0098モル)のベンゾフラン−3−オン O−メチル−オキシムを次いで加え、温度を0℃に上昇させ、混合物をこの温度で30分間撹拌する。結晶性生成物を濾過し、1.08gの結晶性ベンゾフラン−2,3−ジオン 3−(O−メチル−オキシム) 2−オキシムを、HPLCに従い54.7%(理論値の56%)の異性体B及び42.9%の異性体Aを含む2つの立体異性体の混合物として得る。
【0133】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):δ=4.10(3H,異性体B);4.11(3H,異性体A);7.21−7.26(1H);7.31−7.35(1H);7.5−7.65(2H,異性体B+1H,異性体A);8.02−8.05(1H,異性体A);11.36(1H,異性体A);11.75(1H,異性体B)ppm。
【0134】
類似の方法で5−メチルベンゾフラン−2,3−ジオン 3−(O−メチル−オキシム) 2−オキシム(III−2)を得た。
【0135】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):δ=2.24(3H,異性体B);2.25(3H,異性体A)ppm。
【0136】
実施例6
化合物(VI−1)
【0137】
【化24】

【0138】
プロセスf)
74g(0.303モル)の2−ブロモ−1−(2−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン O−メチル−オキシムを350mlのtert−ブチルメチルエーテルに溶解し、400mlの水中の40g(0.377モル)の炭酸ナトリウムの溶液と共に激しく撹拌しながら5日間還流下で加熱する。有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸留し、45.5g(理論値の82.8%、HPLC分析に従い90%のZ異性体)の粗ベンゾフラン−3−オン O−メチル−オキシムを得る。
【0139】
H NMRスペクトル(DMSO−d/TMS):δ=3.93(3H);5.16(2H);7.0−7.07(2H);7.39−7.45(1H);7.54−7.5
7(1H)ppm。
【0140】
類似の方法で5−メチルベンゾフラン−3−オン O−メチル−オキシム(VI−2)を得た。
【0141】
GC/MS:M=177;HPLC:logP=2.88
【0142】
実施例7
化合物(VI−1)
【0143】
【化25】

【0144】
プロセスg)
6.7g(0.05モル)のベンゾフラン−3−オンを50mlのメタノール中の4.2g(0.05モル)のO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩及び4.1g(0.05モル)の酢酸ナトリウムと一緒に3時間、還流下で加熱する。溶媒を減圧下で蒸留し、反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸留する。7.27g(理論値の89.2%)の粗ベンゾフラン−3−オン O−メチル−オキシムが得られる。分析のために、Kugelrohrを用い、2トール及び70℃において粗生成物を蒸留する。油が得られ、それはNMR分析及びHPLC分析の両方に従うと、2つの立体異性体を含む(79%の異性体B及び21%の異性体A)。
【0145】
H−NMRスペクトル(DMSO−d/TMS):δ=3.93(3H,異性体B);3.93(3H,異性体A);5.11(2H,異性体A);5.16(2H,異性体B);7.0−7.07(2H);7.39−7.45(1H);7.54/7.57(1H,異性体B);7.95−8.02(1H,異性体A)ppm。
【0146】
実施例8
化合物(VI−1)
【0147】
【化26】

【0148】
プロセスh)
3.7gのベンゾフラン−3−オンオキシムを15mlのジメチルホルムアミドに溶解する。20℃において1gの水素化ナトリウム(60%)を加え、気体の発生が止むまで混合物を撹拌する。次いで3.15gの硫酸ジメチルを滴下し、混合物を20℃で24時間撹拌する。反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上
で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸留する。残留物をn−ヘキサン/アセトン(4:1)を用いてシリカゲル上のクロマトグラフィーにかける。1.7g(理論値の42%)のベンゾフラン−3−オン O−メチル−オキシムが油として得られる。
【0149】
H−NMRスペクトル(DMSO−d/TMS):δ=3.93(3H);5.16(2H);7.0−7.07(2H);7.39−7.45(1H);7.54/7.57(1H)ppm。
【0150】
実施例9
化合物(IX−1)
【0151】
【化27】

【0152】
プロセスi)
500mlのメタノール中の107.5g(0.5モル)のω−ブロモ−2−ヒドロキシ−アセトフェノンを41.75g(0.5モル)のO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩と共に還流下で4時間加熱する。メタノールを減圧下で蒸留し、残留物を500mlの水と混合し、100mlの酢酸エチルで4回抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸留する。0℃において、残留物を石油エーテルと共に撹拌し、74g(理論値の52%)の結晶性2−ブロモ−1−(2−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン O−メチル−オキシムを2つの立体異性体(53%の異性体B及び33%の異性体A)の混合物として得る。
【0153】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):δ=3.98(3H,異性体B);3.99(3H,異性体A);4.53(3H,異性体A);4.69(3H,異性体B);6.85−6.93(2H);7.26−7.35(2H);10.21(1H,異性体B);10.25(1H,異性体A)ppm。
【0154】
類似の方法で2−クロロ−1−(2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)−エタノン
O−メチル−オキシム(IX−2)が得られた。
【0155】
H NMRスペクトル(CDCl/TMS):δ=2.32(s,3H);4.08(s,3H)ppm。
【0156】
実施例1及び2と同様にして、及び本発明のプロセスa)の一般的記載に従って、表1に挙げられている式(I−a)の化合物が得られた:
【0157】
【化28】

【0158】
【表1】

【0159】
実施例1、化合物(II−1)と同様にして、及び本発明のプロセスb)の一般的記載に従って表2に挙げられている式(II−a)の化合物が得られた:
【0160】
【化29】

【0161】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(V)
【化1】

[式中、
Aはメチル、エチル、n−もしくはi−プロピルを示し、
、R、R及びRは同一又は異なり、それぞれ互いに独立して水素、ハロゲン、シアノ、ニトロを示すか、あるいはそれぞれ炭素数が1〜6であり、そのそれぞれが場合により1〜5個のハロゲン原子により置換されていることができるアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルを示す]
の化合物。
【請求項2】
式(VI)
【化2】

[式中、A、R、R、R及びRはそれぞれ請求項1で定義された通りである]
の化合物。
【請求項3】
式(IX)
【化3】

[式中、A、R、R、R及びRはそれぞれ請求項1で定義された通りであり、
Xはハロゲンである]
の化合物。

【公開番号】特開2009−102437(P2009−102437A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29988(P2009−29988)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【分割の表示】特願平9−354160の分割
【原出願日】平成9年12月8日(1997.12.8)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】