説明

2価鉄イオン発生装置

【課題】海水中、土壌中において、2価鉄イオンを効率よく発生させて生物の生命活動を律速する2価鉄イオン発生装置を提供する。
【解決手段】メッキ板12、鉄鋼材13、腐植物14を重ね合わせて作成した球形、立方体等のキレート化合物(2価鉄イオン発生装置11)を漁礁へ固定したり、又は、土壌中へ投入することにより、金属のイオン化傾向を利用して発生させた2価鉄イオンを生物に供給して生物の生命活動および生産性を促進する2価鉄イオン発生装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2価鉄イオンの発生とその有効利用に関する。
【背景技術】
【0002】
生物は、鉄イオンを2価鉄イオンとして、またフルボ酸鉄等のキレート鉄として生体内に取り入れる。2価鉄イオンは生物の呼吸鎖複合体に於ける電子伝達体として重要な役目を果たす。微量ではあるが、不足すると呼吸鎖全体を律速し、生命活動全般にかかわる。植物等の光合成生物においても、光合成の電子伝達系においてシトクロムb6(2ヘムたんぱく質2Fe−2S)として、生命活動全般を律速する。
【0003】
2価鉄イオンの不足による現象として、海水中においては、磯焼けという現象がある。褐藻類、紅藻類などが石灰藻に変る現象をいう。石灰藻は非常に生産性が低く、不毛の海となる。その為、従来技術として、鋼鉄製の漁礁等により、対策が行われている。しかし鉄イオンは、水酸化鉄、酸化鉄として不溶化し、生物に利用されなくなる。また鋼鉄製の漁礁表面を水酸化鉄、酸化鉄の酸化皮膜として被覆し、鉄イオンの発生は効果が減少する。
【0004】
土壌中においても、2価鉄イオンの不足により、イネの黄化現象等に見られるように、生産性が大きく落ちる。従来技術としてキレート鉄の投入等が行われるが、3価鉄イオン、硫化鉄、水酸化鉄、酸化鉄として、植物に利用されにくくなる。
【0005】
なお本発明に関する公知技術として次の非特許文献1を、挙げることが出来る。
【0006】
【非特許文献】 「森が消えれば海も死ぬ(講談社ブルーバックス)」第32頁〜第60頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の鉄イオンは、水酸化鉄、酸化鉄として不溶化し、生物に利用されなくなる。また鋼鉄製の漁礁表面を水酸化鉄、酸化鉄の酸化皮膜として被覆し、鉄イオンの発生は効果が減少する。またキレート鉄も、3価鉄イオン、硫化鉄、水酸化鉄、酸化鉄として、植物に利用されにくくなる
【0008】
本発明は、金属のイオン化傾向を利用したものである。イオン化傾向の大きい金属はイオン化傾向の小さい金属に電子を押し付ける。鉄は、鉄よりイオン化傾向の小さい金属、ニッケル、スズ、亜鉛、銅、水銀、銀、白金、金等に電子を流すアノードとなる。鉄よりイオン化傾向の小さい金属はカソードとなる。その際鉄は、イオン化される。例えば海水中のスズと鉄のメッキ板(ブリキ)は、海水中で水和している塩素イオン(酸化剤Cl−)や傷によりスズが腐食される、鉄はスズに電子を渡しイオン化する。鉄イオンは、塩素と結合し塩化鉄(FeCl)となる。また海水中、土壌中において、腐植物と錯体を形成し、キレート化する。共に生物に容易に利用される。
【0009】
本発明は鉄のイオン化傾向により、電池のように絶えず電子を受け渡すことにより、絶えずイオン化することに特徴がある。その為、電子を受け渡す距離に金属が接近する必要がある。メッキや溶融、微粉末の混合等により、金属同士を接近させる。
【問題を解決する為の手段】
【00010】
上述の目的を達成する本発明は、金属同士の溶融、メッキ板の重ね合わせ、微粉末の混合に固形剤を加え使用しやすくする等の方法をとる。また、キレート化のために、腐食物を間に挟む、混合する等の方法もとる。形は利用形態により様々に変えられる。例えば球形、立方体等である。
【00011】
2価鉄イオン発生装置を利用箇所に設置、投入する。例えば漁礁への固定、土壌中への投入等である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、絶えず2価鉄イオンを海水中、土壌中に発生させることが出来る。生物の生命活動そして生産性全体を律速する2価鉄イオンを生物に供給する事により、磯焼け、黄化現象などの2価鉄イオン不足を防ぎ、本来の生命活動、生産性、を取り戻すことができる。また2価鉄イオンは石灰藻の胞子を死滅させる。不毛の海を豊饒の海とする。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1〜図2は、本発明の実施の形態に係り、図1はその外観斜視図の1例である。図2は形態の例である。
【0015】
図3は本発明の使用状況に係り、図3は使用状況の縦断面図、
【0016】
図1に示すように、2価鉄イオン発生装置11は、メッキ材12、鉄鋼材13、腐食物14との重層構造もとる。重層構造は順序等は不同である。
【0017】
図2に示すように、2価鉄イオン発生装置は様々な形態(形状、大きさ)をとる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、漁礁や農業資材を製造、販売する産業分野で利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明の実施構造の1例に係る2価鉄イオン発生装置の外観斜視図である。
【図2】 2価鉄イオン発生装置の形態に係わる外観斜視図である。
【図3】 2価鉄イオン発生装置の使用状況の縦断面図である。
【符号の説明】
【0020】
11 2価鉄イオン発生装置
12 鉄と鉄よりイオン化傾向の小さい金属とのメッキ(ブリキ等)
13 鉄鋼材
14 腐植物(ピートモス等)
15 球形2価鉄イオン発生装置
16 立方体2価鉄イオン発生装置
17 固定器具
18 漁礁躯体
19 スズなどの鉄よりイオン化傾向の小さい金属

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明の2価鉄イオン発生装置は、金属のイオン化傾向を利用したものである。イオン化傾向の大きい金属はイオン化傾向の小さい金属に電子を押し付ける。鉄は、鉄よりイオン化傾向の小さい金属、ニッケル、スズ、亜鉛、銅、水銀、銀、白金、金に電子を流すアノードとなる。鉄よりイオン化傾向の小さい金属はカソードとなる。その際鉄は、イオン化される。例えば海水中のスズと鉄のメッキ板(ブリキ)は、海水中で水和している塩素イオン(酸化剤Cl−)によりスズが腐食される、鉄はスズに電子を渡しイオン化する。鉄イオンは、塩素と結合し塩化鉄(FeCl)となる。また海水中、土壌中において、腐植物と錯体を形成し、キレート化する。共に生物に容易に利用される。
上述の目的を達成する本発明は、金属同士の溶融、メッキ、メッキ板の重ね合わせ、微粉末の混合に固形剤を加え使用しやすくする等の方法をとる。また、キレート化のために、腐食物を間に挟む、混合する等の方法もとる。形は利用形態により様々に変えられる。例えば球形、立方体等である。2価鉄イオン発生装置を利用箇所に設置、投入する。例えば漁礁への固定、土壌中への投入等であることを特徴とする2価鉄イオン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−148678(P2008−148678A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−357262(P2006−357262)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(507018436)
【出願人】(507018447)
【Fターム(参考)】