説明

2型糖尿病を治療または予防する方法

本発明は一般に、それを必要とする対象における2型糖尿病を治療、予防またはその発病リスクを低減する方法に関し、より詳しくは、2型糖尿病を治療または予防するために経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法および血糖コントロールを向上させるために経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、それを必要とする対象における2型糖尿病を治療、予防またはその発病リスクを低減する方法に関し、より詳しくは、2型糖尿病を治療または予防するために経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法および血糖コントロールを向上させるために経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2型糖尿病は、遺伝および環境要因の組合せに起因すると考えられる、炭水化物代謝の障害である。一般的に2型糖尿病の個体は、インスリンの不十分な分泌または利用、過度の尿生産、ならびに血液および尿中の糖の過剰量を示す。2型糖尿病発症の確立された危険因子としては、肥満、好ましからぬ体脂肪分布、耐糖能異常、高インスリン血症およびインスリン抵抗性がある。インスリン抵抗性は、少なくとも初期、およびしばしば患者の生涯を通して、基本的に2型糖尿病の病態生理の基礎をなすので、インスリン感受性を改善することは主要な治療手段の1つであり、この疾病状態の価値ある評価を提供する。肥満、特に内臓肥満、および異脂肪血症は、大部分の2型糖尿病の対象と関連していることが報告された。それらは、疾患発病の危険因子でもある。糖尿病の治療目標の1つは慢性合併症を予防することであり、その例としては肥満、異脂肪血症および高血圧の強力な管理が挙げられる。
【0003】
2型糖尿病の男性患者は、健康な男性よりもテストステロンレベルが低いことが示された(例えば、非特許文献1参照。)。2型糖尿病は、しばしば、男性のテストステロンレベルが年齢に伴い減少し始める(男性更年期)のと同時に、中年に表面化する。勃起不全は、しばしば初期症状となりうつ病を引き起こすことがある、2型糖尿病の共通の合併症である。
【0004】
男性の主要な循環アンドロゲンであるテストステロンは、コレステロールから合成される。精巣の約500,000,000のライディッヒ細胞は、1日に生産される6〜7mgのテストステロンの95%を超える量を分泌する。脳下垂体によって生産される2つのホルモン、黄体形成ホルモン(「LH」)および卵胞刺激ホルモン(「FSH」)は、精巣機能の発達および維持のために要求され、テストステロン産生を負に調節する。循環テストステロンは、2本の異なる経路を通って様々な17−ケトステロイドに代謝される。テストステロンは、酵素5α−レダクターゼによりジヒドロテストステロン(「DHT」)に、または、アロマターゼ酵素複合体によりエストラジオール(「E2」)に代謝される。
【0005】
テストステロンは、98%がタンパク質に結合して血液中を循環する。男性においては、結合の約40%は高親和性の性ホルモン結合グロブリン(「SHBG」)とのものである。残りの60%は、アルブミンと弱く結合する。ゆえに、テストステロンの測定のいくつかは、臨床検査室で入手可能である。本明細書で使用する用語「遊離の」テストステロンは、タンパク質と結合していない血液中のテストステロン分画を指す。本明細書で使用する用語「総テストステロン」または「テストステロン」は、遊離のテストステロンさらにタンパク質と結合したテストステロンを意味する。本明細書で使用する用語「生物が利用可能なテストステロン」は、非SHBG結合性のテストステロンを指し、アルブミンに弱く結合したテストステロンを含む。
【0006】
UCLA Harbor Medical Centerからの以下の表は、正常な男性成人の範囲のホルモン濃度をまとめる。
【0007】
【表1】

【0008】
文献で報告されているテストステロンの半減期にはかなりの変動があり、10分から100分にわたる。しかし、循環テストステロンは正常な青年では日内変動をすることについて、研究者は一致する。最高レベルは約午前6:00から8:00の間に起こり、レベルは日中を通して低下する。特性プロフィールは、720ng/dLの最高テストステロンレベルおよび430ng/dLの最低レベルを有する。しかし、この日内周期の生理的重要性は、あるとしても、明瞭でない。
【0009】
男性の性腺機能低下症は、テストステロン濃度が正常範囲以下に減少する様々な病態生理状態から生じる。性腺機能低下状態は、いくつかの生理的変化、例えばセックスへの関心の低下、不能症、除脂肪体重、骨密度低下、感情の低下およびエネルギーレベルの低下と関連づけられることがある。
【0010】
研究者は、一般に性腺機能低下症を3つの型の1つに分類する。第1の性腺機能低下症には、先天的または後天的な無睾丸症、XYY症候群、XX雄性、ヌーナン症候群、性腺形成異常症、ライディッヒ細胞腫、異常系統の精巣、精索静脈瘤、セルトーリ細胞症候群、潜伏精巣、左右相称のねじれ、精巣消滅症候群、睾丸摘除術、クラインフェルター症候群、化学療法、アルコールまたは重金属からの毒性傷害および一般疾患(腎機能不全、肝硬変、糖尿病、異栄養性ミオトニー)による精巣不全症が含まれる。低い血清テストステロン濃度は高いFSHおよびLH濃度と関連しているという点で、第1の性腺機能低下症患者は完全なフィードバック機構を示す。しかし、精巣または他の不全症のため、高いLH濃度は、テストステロン産生を刺激する効果はない。
【0011】
第2の性腺機能低下症には、特発性のゴナドトロピンまたはLH放出ホルモンの欠乏が含まれる。この種の性腺機能低下症には、カルマン症候群、Prader−Labhart−Willi症候群、Laurence−Moon−Biedl症候群、下垂体不全/腺腫、Pasqualini症候群、ヘモクロマトーシス、高プロラクチン血症または腫瘍、外傷、放射線もしくは肥満に起因する下垂体−視床下部損傷が含まれる。第2の性腺機能低下症患者は完全なフィードバック経路を示さないので、より低いテストステロン濃度はLHまたはFSHレベルの上昇と関連しない。ゆえに、これらの男性は低いテストステロン血清レベルを有するが、ゴナドトロピンは正常から低い範囲にある。
【0012】
第3の性腺機能低下症は年齢と関連する。男性は、約20歳から30歳以後に、平均血清テストステロンの緩慢であるが連続的な低下を経験する。研究者は、この低下は1年で約1〜2%であると推定する。男性の断面研究によると、80歳の平均テストステロン値は30歳のそれの約75%であることがわかった。SHBGの血清濃度は男性が年齢を重ねるに従い増加するので、生物が利用可能な遊離テストステロンの低下は総テストステロンの低下よりさらに大きい。研究者は、50歳および70歳の間の健康男性の約50%では、生物が利用可能なテストステロンのレベルは正常範囲の下限よりも低いと推定している。さらに、男性が年齢を重ねるに従い、テストステロン濃度のサーカディアンリズムは、しばしば弱まるか、低下するか、完全に失われる。老化に伴う主要な問題点は、視床下部−脳下垂体ユニットの中にあるようである。例えば、研究者は、老化に伴い、低いテストステロンレベルにもかかわらずLHレベルは増加しないことを発見した。原因に関係なく、高年齢の男性のこれらの未処置のテストステロン欠乏症は、性的機能不全、リビドー減少、筋肉質量の減少、骨密度低下、抑うつ性の感情および認知機能低下を含む、様々な生理的変化に導く可能性がある。最終結果は、老人性腺機能低下症、すなわち、通常「男性更年期」と呼ばれるものである。今日、性腺機能低下症は男性で最も普通のホルモン欠乏症であり、1,000人の男性中5人の患者がいる。現時点では、性腺機能低下症を有するあらゆる年齢の推定された4,000,000〜5,000,000人のアメリカ人男性の5%だけが、現在テストステロン補充療法を受けていると推定される。
【0013】
【非特許文献1】バルレット・コナー,E(Barrett−Connor,E.)ら、Am.J.Epidemiol.、132(5):895〜901(1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ゆえに、糖尿病の治療、予防またはその発病リスクの低減のための、および血糖コントロールの向上のための、安全で有効な治療法の必要性が当技術分野にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は一般に、それを必要とする対象における、2型糖尿病を治療、予防またはその発病リスクを低減する方法に関し、より詳しくは、2型糖尿病を治療または予防するために経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法および血糖コントロールを向上させるために経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法に関する。本出願は、それを必要とする対象における2型糖尿病の治療、予防もしくはその発病リスクの低減のための、および/または血糖コントロールの向上のための、経皮送達可能な医薬品の製造における、この経皮水性アルコールゲル組成物の使用にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は多くの異なる形態で実施することができるが、本開示は本発明の原理の例示としてだけみなされるべきもので、本発明を例示されている実施形態に制限するものではないとの理解により、いくつかの具体的な実施形態を本明細書で検討する。本発明が特にテストステロンに関して本明細書で例示される場合、テストステロン合成系の他のいかなるステロイドによっても、所望により、本明細書で記載される方法、キット、組合せおよび組成物において、テストステロンの代わりに全体または一部を置換することができることは理解される。
【0017】
本発明は、2型糖尿病の治療、予防、またはその発病リスクの低減のために、経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法に関する。本発明は、それを必要とする対象における血糖コントロールを向上させるために経皮水性アルコールゲル組成物を投与する方法にも関する。本出願は、それを必要とする対象における2型糖尿病の治療、予防もしくはその発病リスクの低減のための、および/または血糖コントロールの向上のための、経皮的送達可能な医薬品の製造における、この経皮水性アルコールゲル組成物の使用にも関する。
【0018】
一実施形態では、本発明は水性アルコールゲル中のテストステロンの経皮投与の方法を目的とする。本発明は、それを必要とする対象における2型糖尿病の治療、予防もしくはその発病リスクの低減のための、および/または血糖コントロールの向上のための、経皮的送達可能な医薬品の製造における、この水性アルコールゲルの使用も目的とする。ゲルは、エタノールまたはイソプロパノールなどの1つまたは複数の低級アルコール、浸透促進剤、増粘剤、および水を含む。さらに、本発明は塩、緩和剤、安定剤、抗菌物質、芳香剤および推進剤を任意選択で含むことができる。
【0019】
本発明は、糖尿病が一旦臨床的に明白になった場合の対象におけるその治療、予防、回復、その進行の停止または減速のための、あるいは、糖尿病に関連または関係する症状の治療のための、キット、方法、組合せおよび医薬組成物も含む。対象は、投与時点ですでに糖尿病の診断がされていてもよく、または、糖尿病の発病リスクを有してもよい。本発明は、それを必要とする対象で血糖コントロールを向上させるためのキット、方法、組合せおよび医薬組成物をさらに含む。
【0020】
用語「誘導体」は、他のものによる1つの原子、分子または基の交換または置換によって、類似構造の他の化合物から生成される化合物を指す。例えば、ある化合物の水素原子をアルキル、アシル、アミノ、その他によって置換して、その化合物の誘導体を生成することができる。
【0021】
本明細書で用いるように、用語「低級アルコール」は、単独でまたは組合せにおいて、1から約6個の炭素原子を含む直鎖型または分岐鎖型のアルコール部分を意味する。一実施形態では、低級アルコールは1から約4個の炭素原子を含み、他の実施形態においては、低級アルコールは2から約3個の炭素原子を含む。そのようなアルコール部分の例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノールがある。
【0022】
本明細書で用いるように、用語「低級アルキル」は、単独でまたは組合せにおいて、1から約6個の炭素原子を含む直鎖型または分岐鎖型のアルキル基を意味する。一実施形態では、低級アルキルは1から約4個の炭素原子を含む。そのような基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルがある。
【0023】
用語「浸透促進剤」は、皮膚を通しての薬剤の送達を促進する剤を指す。これらの剤は、促進剤、アジュバントおよび吸収促進剤とも呼ばれ、本明細書では総称して「エンハンサー」と呼ぶ。この類の剤としては、薬剤の溶解性および拡散性を改善する機能を有するもの、ならびに湿気を保持する角質層の能力を変えるか、皮膚を柔らかくするか、皮膚透過性を改善するか、浸透助剤もしくは毛包オープナーの働きをするか、または、境界層などの皮膚の状態を変えるかすることによって経皮吸収を改善するものを含む、多様な作用機構を有するものが挙げられる。本発明の浸透促進剤は脂肪酸の機能的誘導体であり、その例としては、脂肪酸の等配電子修飾体、または脂肪酸のカルボン酸官能基の非酸性誘導体もしくはその等配電子修飾体がある。一実施形態では、脂肪酸の機能的誘導体は、−COOH基がその機能的誘導体、例えばアルコール、ポリオール、アミドおよびその置換された誘導体で置換されている、不飽和カルボン酸である。用語「脂肪酸」は、4から24個の炭素原子を有する脂肪酸を意味する。
【0024】
組成物は、「薬理学的に有効な量」で使われる。このことは、投与される薬剤の濃度は、組成物において、その薬剤が使用される期間にわたって送達薬剤の治療的レベルをもたらすものであることを意味する。そのような送達は、個々の投薬単位が使われる期間、組成物からの薬剤の流出速度、例えばゲルからのテストステロンの流出、適用部位の表面積、その他、を含むいくつかの変数に依存する。例えばテストステロンについては、必要なテストステロンの量は、エンハンサーと一緒に用いたときとそうでないときの、ゲルおよび皮膚を通したテストステロンの流出速度に基づいて実験的に決定することができる。
【0025】
用語「プロドラッグ」は、薬理作用(活性治療剤)が体内の代謝過程による変換から生じる、薬剤または化合物を指す。プロドラッグは、対象への投与およびその後の吸収の後に、ある過程、例えば代謝過程によって活性またはより活性な種に変換される、薬剤前駆体と一般に考えられる。変換過程からの他の生成物は、生体によって容易に処理される。プロドラッグは、それをより不活性にし、かつ/または薬剤に溶解性もしくはなんらかの他の特性を与える、プロドラッグ上に存在する化学基を一般に有する。一旦化学基がプロドラッグから切断されると、より活性な薬剤が生成する。プロドラッグは可逆的な薬剤誘導体として設計することができ、部位特異的組織への薬剤輸送を強化するモディファイヤーとして利用することができる。現在までのプロドラッグの設計は、水が主要な溶媒である領域を標的にするために、治療化合物の有効水溶性を向上させることであった。例えば、Fedorakら、Am.J.Physiol、269:G210〜218(1995)は、デキサメサゾン−ベータ−D−グルクロニドを記載する。McLoedら、Gastroenterol.、106:405〜413(1994)は、デキサメサゾン−コハク酸−デキストランを記載する。Hochhausら、Biomed.Chrom.、6:283〜286(1992)は、デキサメサゾン−21−スルホベンゾエートナトリウムおよびデキサメサゾン−21−イソニコチン酸を記載する。さらに、J.LarsenおよびH.Bundgaard[Int.J.Pharmaceutics、37、87(1987)]は、可能性のあるプロドラッグ誘導体としてのN−アシルスルホンアミドの評価を記載する。J.Larsenら[Int.J.Pharmaceutics、47、103(1988)]は、可能性のあるプロドラッグ誘導体としてのN−メチルスルホンアミドの評価を記載する。プロドラッグは、例えばSinkulaら、J.Pharm.Sci.、64:181〜210(1975)、でも記載されている。本発明の組合せおよび方法で使用することができる「プロドラッグ」の他の非限定的な例としては、パレコキシブ(プロパンアミド、N−[[4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソオキサゾリル)フェニル]スルホニル]−)およびMAG−カンプトセシンがある。
【0026】
一実施形態では、本発明は水性アルコールゲル中のテストステロンの経皮投与の方法を目的とする。ゲルは、エタノールまたはイソプロパノールなどの1つまたは複数の低級アルコール、浸透促進剤、増粘剤、および水を含む。一実施形態では、ゲルは、例えば水酸化ナトリウムなどの水酸化物放出剤をさらに含む。さらに、本発明は塩、緩和剤、安定剤、抗菌物質、芳香剤および推進剤を任意選択で含むことができる。
【0027】
本発明の方法および組成物で役に立つテストステロン合成系中のステロイド類としては、テストステロン同化または異化経路中のステロイドがある。本発明の広い態様においては、本発明で使用される有効成分としては、アナボリックステロイド類、例えばアンドロイソオキサゾール、アンドロステンジオン、ボラステロン、クロステボール、エチルエストレノール、ホルミルジエノロン、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン、メテノロン、メチルトリエノロン、ナンドロロン、オキシメステロン、キンボロン、ステンボロン、トレンボロン;アンドロゲンステロイド類、例えばボルデノン、デヒドロエピアンドロステロン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロロン、メトアンドロステノロン、17α−メチルテストステロン、17α-メチルテストステロン3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プラステロン、スタンロロン、スタノゾロール、ジヒドロテストステロン、テストステロン;およびプロゲストーゲン類、例えばアナゲストーン、酢酸クロルマジノン、酢酸デルマジノン、デメゲストーン、ジメチステロン、ジヒドロゲステロン、エチニルエストレノール、エチステロン、エチノジオール、二酢酸エチノジオール、酢酸フルロゲストン、ゲストデン、カプロン酸ゲストノロン、ハロプロゲステロン、17−ヒドロキシ−16−メチレン−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸17α−ヒドロキシプロゲステロン、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、19−ノルプロゲステロン、ノルビニステロン、ペンタゲストロン、プレネノロン、プロゲステロン、プロメゲストン、キンゲストロンおよびトレンゲストン;ならびにこれらの化合物の全ての塩、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、プロドラッグおよび誘導体を挙げることができる。(一部、Merck Index、Merck & Co.Rahway、N.J.(1998)、で提供されるリストに基づく)。上述のステロイドの組合せを、本明細書で記載される方法、キット、組合せおよび組成物で使用することができる。
【0028】
本発明の方法および医薬組成物に含まれるものは、記載された化合物の異性体形態および互変異性体ならびにその薬剤として許容される塩である。例示的な薬剤として許容される塩は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エムボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、b−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸から調製される。
【0029】
浸透促進剤のそれには限定されない例としては、C8〜C22脂肪酸、例えばイソステアリン酸、オクタン酸およびオレイン酸;C8〜C22脂肪族アルコール、例えばオレイルアルコールおよびラウリルアルコール;C8〜C22脂肪酸の低級アルキルエステル、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチルおよびラウリン酸メチル;アジピン酸ジイソプロピルなどのC6〜C22二酸のジ(低級)アルキルエステル;グリセリルモノラウレートなどのC8〜C22脂肪酸のモノグリセリド;テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル;ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドジメチルエーテル;ジメチルスルホキシド;グリセリン;酢酸エチル;アセト酢酸エステル;N−アルキルピロリドン;およびテルペン類がある。
【0030】
本明細書で使われる増粘剤(別名ゲル化剤)としては、アニオン性ポリマー、例えばポリアクリル酸(B.F.Goodrich Specialty Polymers and Chemicals Division of Cleveland、Ohio、によるCARBOPOL(登録商標))、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、その他、例えばCarbopol(登録商標)ポリマーの誘導体、例えばCarbopol(登録商標)Ultrez 10、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、Carbopol(登録商標)954、Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)981、Carbopol(登録商標)ETD 2001、Carbopol(登録商標)EZ−2およびCarbopol(登録商標)EZ−3、ならびに他のポリマー、例えばPemulen(登録商標)ポリマー乳化剤およびNoveon(登録商標)ポリカルボフィルを挙げることができる。一般に、さらなる増粘剤、エンハンサーおよびアジュバントは、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy、Meade Publishing Co.、United States Pharmacopeia/National Formularyでみることができる。
【0031】
一実施形態では、本発明の製剤は、対象に対して投薬単位につき約0.5mg〜約250mgのテストステロンを、またはその同等物を送達する。本発明の他の実施形態では、製剤は、対象に対して投薬単位につき約5mg〜約150mgのテストステロンを、またはその同等物を送達する。本発明の他の実施形態では、本発明の製剤は、対象に対して投薬単位につき約25mg〜約100mgのテストステロンを、またはその同等物を送達する。本発明の他の実施形態では、本発明の製剤は、対象に対して投薬単位につき約50mg〜約100mgのテストステロンを、またはその同等物を送達する。本発明の他の実施形態では、本発明の製剤は、対象に対して投薬単位につき約100mgのテストステロンを、またはその同等物を送達する。ゆえに、例えば、1日1回投与のために製剤化したテストステロンのゲル、軟膏、クリームまたはパッチは、約25mg、または約50mg、または約75mg、または約100mgのテストステロンを含むことができる。
【0032】
一実施形態では、製剤はゲル、軟膏、クリームまたはパッチであって、テストステロンと、ミリスチン酸イソプロピルなどの浸透促進剤と、Carbopolなどの増粘剤と、エタノールまたはイソプロパノールなどの低級アルコールと、水とを含む。他の実施形態では、製剤はゲル、軟膏、クリームまたはパッチであって、以下の近似百分率の物質を含む。
【0033】
【表2】

【0034】
一実施形態では、100g組成物中に、ゲル、軟膏、クリームまたはパッチは約0.01g〜約15gのテストステロン、約0.01g〜約50gの浸透促進剤、約0.1g〜約50gのゲル化剤および約30g〜約98gの低級アルコールを含むことができる。他の実施形態では、100g組成物中に、ゲル、軟膏、クリームまたはパッチは約0.1g〜10gのテストステロン、約0.1g〜約5gの浸透促進剤、約0.1g〜約5gのゲル化剤、約45g〜約90gの低級アルコールおよびバランス水を含むことができる。
【0035】
一実施形態では、組成物は、当技術分野で公知であるように、ゲルの形成時にゲル化剤を助けるのに十分な量で、水酸化ナトリウムもしくはトリエタノールアミンもしくは水酸化カリウム、またはそれらの組合せをさらに含むゲル、軟膏、クリームまたはパッチである。一実施形態では、水酸化ナトリウムの溶液が、例えば0.1N水酸化ナトリウム溶液、0.2N水酸化ナトリウム溶液、0.5N水酸化ナトリウム溶液、1.0N水酸化ナトリウム溶液、1.5N水酸化ナトリウム溶液、2.0N水酸化ナトリウム溶液、または組成物に水酸化ナトリウムの十分量を提供する他のいかなる適当な溶液でも使われる。一実施形態では、組成物は約1%〜約10%の0.1N水酸化ナトリウムを含む。
【0036】
他の実施形態では、医薬組成物は約0.5%〜約10%のテストステロンと、約30%〜約98%のアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノールと、約0.1%〜約5%のミリスチン酸イソプロピルと、約0.1%〜約5%のゲル化剤と、バランス水とを含む。成分の百分率は、組成物の重量に対する重量である。一実施形態では、組成物は約1%〜約10%の0.1N水酸化ナトリウムを含む。
【0037】
他の実施形態では、医薬組成物はテストステロンを水性アルコールゲルに含む。テストステロンは、組成物の重量に対する重量で、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、約3%、約3.1%、約3.2%、約3.3%、約3.4%、約3.5%、約3.6%、約3.7%、約3.8%、約3.9%、約4%、約4.1%、約4.2%、約4.3%、約4.4%、約4.5%、約4.6%、約4.7%、約4.8%、約4.9%、約5%、約5.1%、約5.2%、約5.3%、約5.4%、約5.5%、約5.6%、約5.7%、約5.8%、約5.9%、約6%、約6.1%、約6.2%、約6.3%、約6.4%、約6.5%、約6.6%、約6.7%、約6.8%、約6.9%、約7%、約7.1%、約7.2%、約7.3%、約7.4%、約7.5%、約7.6%、約7.7%、約7.8%、約7.9%、約8%、約8.1%、約8.2%、約8.3%、約8.4%、約8.5%、約8.6%、約8.7%、約8.8%、約8.9%、約9%、約9.1%、約9.2%、約9.3%、約9.4%、約9.5%、約9.6%、約9.7%、約9.8%、約9.9%、約10%、約10.1%、約10.2%、約10.3%、約10.4%、約10.5%、約10.6%、約10.7%、約10.8%、約10.9%、約11%、約11.1%、約11.2%、約11.3%、約11.4%、約11.5%、約11.6%、約11.7%、約11.8%、約11.9%、約12%、約12.1%、約12.2%、約12.3%、約12.4%、約12.5%、約12.6%、約12.7%、約12.8%、約12.9%、約13%、約13.1%、約13.2%、約13.3%、約13.4%、約13.5%、約13.6%、約13.7%、約13.8%、約13.9%、約14%、約14.1%、約14.2%、約14.3%、約14.4%、約14.5%、約14.6%、約14.7%、約14.8%、約14.9%または約15%の濃度で存在してもよい。この実施形態のエンハンサーとしてはミリスチン酸イソプロピルがあり、それは組成物の重量に対する重量で約0.5%、約0.65%、約0.75%、約0.85%、約0.95%、約1%、約2%、約3%、約4%または約5%の濃度で存在してもよい。医薬組成物は、組成物の重量に対する重量で、約70%、約71%、約71.4%、約71.8%、約72%、約72.3%、約72.5%、約72.7%、約73%、約73.5%、約74%、約74.5%、約75%または約75%の濃度で存在するC1〜C4アルコールも含む。さらに、医薬組成物はゲル化剤としてポリアクリル酸および/またはカルボキシメチルセルロースを含む。一実施形態では、ゲル化剤は組成物の重量に対する重量で約1%の濃度で存在するポリアクリル酸である。
【0038】
そのようなテストステロンゲルの1つが最近になって作られ、それは本出願の譲受人Unimed Pharmaceuticals,Inc.、Marietta、Georgia、により、AndroGel(登録商標)の商標で米国で入手できる。一実施形態では、ゲルは以下の近似量の物質を含む。
【0039】
【表3】

【0040】
この製剤の構成要素はその量を変更することができるが、なお本発明の精神および範囲内にあり続けることを、当業者ならば理解する。例えば、組成物は約0.1〜約10.0gのテストステロン、約0.1〜約5.0gのCARBOPOL、約0.1〜約5.0gのミリスチン酸イソプロピルおよび約30.0〜約98.0gのエタノールを含むことができる。
【0041】
他の実施形態では、組成物は組成物の重量に対する重量で0.01%を超える量のテストステロン、約0.1%を超える量の浸透促進剤、約0.1%を超える量の増粘剤、および約30%を超える量の低級アルコールを含む。
【0042】
ゲルは対象の皮膚領域の上にすりこむか置いて、乾燥させる。例示すると、ゲルは1日1回皮膚領域の上へ、例えば、腿および/または腰の上部外側にすりこむ。塗布後、対象は手を洗浄する。ゲルの塗布は望ましい薬物動態学的プロフィールを有するテストステロンレベルの増加をもたらし、対象において糖尿病または糖尿病と関連もしくは関係する症状の治療または予防で、あるいは、血糖コントロールの向上で効果を発揮する。組成物は、したがって、男性および女性でいくつかの状態または疾患を治療するために役に立つ。
【0043】
一実施形態では、本発明は、下記のように、テストステロンゲルの成分と適合するポリエチレンライナーを有するパケットを使用する。パケットは、単位用量または多回投与用量を保持することができる。
【0044】
他の実施形態では、これらの方法および組成物は、容器中に組成物の例えばより大きなホイルパケットを有する強固な多回投与容器から(例えば、ハンドポンプで)注入される組成物を使用する。そのようなより大きなパケットは、上のようなポリエチレンライナーを含むこともできる。一実施形態では、多回投与容器は、ハンドポンプを挿入したキャニスタ内に、ポリエチレンポーチを含むエアレスポンプを含む。一実施形態では、ポリエチレンポーチは、44gまたは88gの製品を含む。一実施形態では、例えばポンプを完全に3回押し下げてゲルを捨てることによって、ポンプは使用前に下準備をする。一実施形態では、ポンプは、下準備および設定された数の正確な投与を可能にする十分な製品を含む。一実施形態では、1回のポンプの完全な押し下げにより、1.25gのテストステロンゲルが送達される。この実施形態では、3.75g用量のゲルは、3回のポンプ押し下げを必要とする。5g用量のゲルは、4回のポンプ押し下げを必要とする。7.5g用量のゲルは、6回のポンプ押し下げを必要とする。10g用量のゲルは、8回のポンプ押し下げを必要とし、以下同様である。当然、1回のポンプ押し下げにより、所望の用量を送達するのに適当な、いかなる量のテストステロンゲルでも送達することができる。
【0045】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第6503894号、米国特許出願公開第2002/0183296号、第2003/0022877号、第2003/0050292号、第2003/0139384号、第2003/0232072号、第2004/0002482号、第2004/0092494号、ならびに米国特許出願第09/703753号、第10/787071号、第10/825540号、第10/828678号、第10/829618号、第10/867435号、第10/924421号および第10/925421号において、性腺機能低下男性へのAndroGel(登録商標)を使うテストステロンの経皮塗布は、改善されたテストステロンレベル、感情、リビドーおよび性的能力をもたらすことが示され、記載されている。本明細書で開示されるように、AndroGel(登録商標)は対象で糖尿病の治療もしくは予防のために、または血糖コントロールの向上のために使うこともできることが今ではわかっている。
【0046】
本発明の方法および組成物は、対象、例えば男性で、糖尿病の治療、予防、回復、その進行の停止または減速のための、今日利用できるものと比較して強化された治療オプションを提供する。本発明の方法および組成物は、対象、例えば男性で、血糖コントロールを向上するための、今日利用できるものと比較して強化された治療オプションを提供する。
【0047】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は1日に1回、2回もしくは3回、または所望の治療効果を達成するのに必要な回数投与される。他の実施形態では、本発明の組成物は1日に1回、2回または3回、隔日に投与される。他の実施形態では、本発明の組成物は、週に1回、隔週、または月に1回の頻度で、1日に1回、2回または3回投与される。
【0048】
ヒトの治療に役立つ他に、本発明は哺乳類、爬虫類、鳥類、外来動物および哺乳類、齧歯動物、その他を含む家畜の獣医科治療のためにも役立つ。一実施形態では、哺乳類はヒト、サルなどの霊長類、またはキツネザル、ウマ、イヌ、ブタまたはネコを含む。他の実施形態では、齧歯動物はラット、マウス、リスまたはモルモットを含む。
【0049】
本発明の一実施形態では、それを必要とする対象、すなわち糖尿病を有するかその発病リスクを有することが示された対象における、糖尿病の治療、予防、またはその発病リスクの低減のための方法が提供される。この方法は、対象の血清にテストステロンを送達するために、対象の皮膚の領域に組成物の薬理学的有効量を投与することを含む。組成物は、約0.01%〜約15%(w/w)のテストステロン、約0.01%〜約50%(w/w)の浸透促進剤、約0.01%〜約50%(w/w)のゲル化剤、約30%〜約98%(w/w)の低級アルコール、およびバランス水を含む。
【0050】
組成物は、本発明の一実施形態では、皮膚に塗布された後に、1日につき少なくとも約10μgのステロイドを対象の血清に送達する速度および期間でステロイドを放出することができる。
【0051】
本発明の他の実施形態では、組成物は、対象の皮膚に塗布された後に、投与の約2時間後から投与の約24時間後までの間に血清1dlにつき約400ngを超えるテストステロンの循環血清濃度を達成する速度および期間でテストステロンを放出することができる。
【0052】
本発明の他の実施形態では、組成物は、対象の皮膚に塗布された後に、血清1dlにつき約400ngから血清1dlにつき約1050ngのテストステロンの循環血清濃度を達成する速度および期間でテストステロンを放出することができる。
【0053】
本発明の他の実施形態では、対象の皮膚への本発明の組成物の1日約0.1グラムの塗布につき、血清テストステロン濃度の少なくとも約5ng/dlの増加が対象で起こる。
【0054】
本発明の他の実施形態では、本発明の組成物は、約0.1gから約10gの用量で毎日投与するために対象に提供される。本発明の組成物はいかなる適当な用量、例えば約0.1g〜約10g、例えば約0.1g、約0.44g、約0.88g、約1g、約1.32g、約1.5g、約1.75g、約2g、約2.25g、約2.5g、約2.75g、約3g、約3.5g、約3.75g、約4g、約4.25g、約4.5g、約4.75g、約5g、約5.25g、約5.5g、約5.75g、約6g、約6.25g、約6.5g、約6.75g、約7g、約7.25g、約7.5g、約7.75g、約8g、約8.25g、約8.5g、約8.75g、約9g、約9.25g、約9.5g、約9.75g、約10g、または他のいかなる適当な用量によっても提供することができる。
【0055】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物の3.75g用量は37.5mgのテストステロンを含み、本発明の組成物の5g用量は50mgのテストステロンを含み、本発明の組成物の7.5g用量は75mgを含み、本発明の組成物の10g用量は100mgのテストステロンを含む。
【0056】
本発明の他の実施形態では、治療が必要な対象は、本発明の組成物の最初の適用(前処理)の前に、約300ng/dl未満の血清総テストステロンレベルを有する。
【0057】
本発明の他の実施形態では、本発明の組成物の毎日投与の少なくとも約30日後には、対象の血清テストステロン濃度は少なくとも約300ng/dl〜約1050ng/dlであり、例えば約400ng/dl〜約1050ng/dl、約500ng/dl〜約1050ng/dl、約600ng/dl〜約1050ng/dlまたは約700ng/dl〜約1050ng/dlである。
【0058】
本発明の他の実施形態では、本発明の組成物を毎日投与した後、対象の総テストステロン濃度は約300ng/dlを超える。一実施形態では、対象の血清総アンドロゲン濃度は、約400ng/dl、約500ng/dl、約600ng/dlまたは約700ng/dlを超える。一実施形態では、総テストステロン濃度は、投与の24時間後に測定される。一実施形態では、総テストステロン濃度は2日間の毎日投与の後に、例えば、10日、20日または30日後に測定される。
【0059】
本発明の方法、キット、組合せおよび組成物の他の実施形態では、本発明の組成物は、少なくとも約7日間、1日に1回、2回または3回対象に投与される。一実施形態では、組成物は1日1回投与される。
【0060】
本発明の一実施形態では、それを必要とする対象、すなわち血糖コントロールの必要性が示されるか血糖コントロールを必要とするリスクを有することが示された対象における、血糖コントロールの向上のための方法が提供される。この方法は、対象の血清にテストステロンを送達するために、対象の皮膚の領域に組成物の薬理学的有効量を投与することを含む。組成物は、約0.01%〜約15%(w/w)のテストステロン、約0.01%〜約50%(w/w)の浸透促進剤、約0.01%〜約50%(w/w)のゲル化剤、約30%〜約98%(w/w)の低級アルコール、およびバランス水を含む。
【0061】
本発明は、対象、すなわち糖尿病を有するかその発病リスクを有することが示された対象における、約0.5%〜約10%(w/w)のテストステロン、約0.1%〜約5%(w/w)の浸透促進剤、約0.1%〜約5%(w/w)の増粘剤、約30%〜約98%(w/w)の低級アルコール、およびバランス水を含む組成物の量をその対象へ投与することによる、糖尿病の治療、予防、またはその発病リスクの低減のための方法も提供する。
【0062】
本発明は、それを必要とする対象、すなわちそれを必要とすることが示された対象における、約0.5%〜約10%(w/w)のテストステロン、約0.1%〜約5%(w/w)の浸透促進剤、約0.1%〜約5%(w/w)の増粘剤、約30%〜約98%(w/w)の低級アルコール、およびバランス水を含む組成物の量をその対象へ投与することによる、血糖コントロールを向上させる方法も提供する。
【0063】
本発明は、それを必要とする対象における糖尿病の治療、予防、またはその発病リスクの低減のための、約0.1%〜約10%(w/w)のテストステロン、約0.1%〜約5%(w/w)のミリスチン酸イソプロピル、約0.1%〜約5%(w/w)の増粘剤、および約30%〜約98%(w/w)の低級アルコールを含む医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象へ投与することを含む方法も提供する。一実施形態では、増粘剤はCarbopol(登録商標)などのポリアクリル酸であり、組成物は水酸化ナトリウムなどの水酸化物放出剤をさらに含む。
【0064】
本発明は、対象で血糖コントロールを向上させるための、約0.1%〜約10%(w/w)のテストステロン、約0.1%〜約5%(w/w)のミリスチン酸イソプロピル、約0.1%〜約5%(w/w)の増粘剤、約30%〜約98%(w/w)の低級アルコール、およびバランス水を含む医薬組成物の有効量をそれを必要とする対象へ投与することを含む方法も提供する。一実施形態では、増粘剤はCarbopol(登録商標)などのポリアクリル酸であり、組成物は水酸化ナトリウムなどの水酸化物放出剤をさらに含む。
【0065】
テストステロンゲルによって示される目標送達速度の達成は、男性でテストステロンゲルの薬物動態学から推定することができる。上半身へ様々な量のゲルを塗布した後の、男性の平均血清濃度(Cavg)値を下の表で示す。
【0066】
【表4】

【0067】
男性で得られた結果に基づいて、0.5グラムのテストステロンゲル用量は、1日につき約300μgのテストステロンを送達する。
【0068】
本発明は以下の実施例でさらに説明されるが、それらはいかなる方法であれ限定するものと解釈すべきではない。本出願を通して引用されている全ての文献の内容は、参照により明示的に本明細書に組み込まれている。本発明の実施は、特に明記しない限り、薬理学および薬剤学の従来の手法を使用するが、これらは当技術分野の範囲内である。
[実施例]
【実施例1】
【0069】
高血圧男性における性腺機能低下症の有病率
その理由に関係なくプライマリーケア診察室を訪問する少なくとも45歳の男性における性腺機能低下症の有病率を、この実施例は示す。性腺機能低下症の発生が、この患者群の高血圧、高脂血症および体重増加を含むメタボリックシンドロームの認知要素と関連するかどうか調べること。
【0070】
(方法)
研究デザイン:この研究は、2週間の間にプライマリーケア診察室で正午前に診察された少なくとも45歳の患者における、性腺機能低下症の有病率を測定する横断的調査であった。米国全土からの2650のプライマリーケア診療所の無作為標本からの臨床医と、接触した。130の診療所が参加資格を得た。検査訪問の理由に関係なく2週間の間の午前8時から正午までの間に参加医師の診察室で診察された男性に、研究への参加を依頼した。
【0071】
患者選定基準としては、年齢45歳以上、血液サンプルを提供する能力、既往、社会歴、併用する医薬品ならびに性腺機能低下症関連の徴候および症状に関連した一組の簡単な質問に答える意思、さらには英語を読み、話し、理解する能力が含まれた。除外基準としては、インフォームドコンセント用紙への記名をすることができないか、その意思がないことである。
【0072】
評価:全ての適格患者は、朝(午前8時から正午までの間)に1回血液採取を行って総テストステロン(TT)、遊離テストステロン(FT)、生物が利用可能なテストステロン(BAT)および性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の濃度の検査を行った。全ての血液検査は、Esoterix Labs、Austin、TX、によって分析された。
【0073】
以下の情報を捕えるために、人口統計学上の特性、既往、社会歴および併用した医薬品を集めた。性腺機能低下症と関連する症状、一般的幸福感の低下、筋力の低下/弱体感、身体的消耗/活力消失、性欲/リビドーの減少、性的遂行能力/頻度の減少、抑うつ感および共存症状態。
【0074】
統計分析:一次分析では、TT<300ng/dLと定義された性腺機能低下症のための記述統計学および有病率推定に焦点を当てた。人口統計的変数および他の根底にある状態(危険因子)に由来する患者サブグループについては、性腺機能低下症の有病率推定(95%の信頼区間[CI]による)も得た。人口統計的変数の影響を評価して性腺機能低下症と関連する可能性のある危険因子を特定するために、第2の調査分析を実施した。分析の各因子について、オッズ比および対応する95%CIを求めた。最終的な段階的重回帰分析モデルについてHosmer−Lemeshow適合度検定を行い、データに対するモデルの適正を検査した。
【0075】
(結果)
参加させるために接触した米国全土の2650のプライマリーケア診療所のうち、95の診療所から患者が参加した(家庭医療51%、内科42%)。参加を求められた2498人の男性のうち、2165人が研究に登録された(87%の受入れ率)。
【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
ほとんどの男性(61.6%)は、日常の手当てのための診察であった。249人の男性(12%)は、心血管関連の検査訪問のために病院を訪れた。
【0079】
研究において登録された評価可能なテストステロンレベルを有する2162人の患者のうち、836人(38.7%)は性腺機能低下症であった(TT<300ng/dlまたは性腺機能低下症のために治療中)。TT値に関係なく、その時点でテストステロン療法を受けていた80人の患者は、性腺機能低下症と考えた。テストステロンを受けていない2082人の患者において、756人(36.3%)は性腺機能低下症(95%CI、34.2%〜38.4%)であった。全患者の平均TT濃度は、364.8ng/dlであった。全患者の性腺機能低下症(TTに基づく)の粗有病率は、38.7%であった。群間のTTの比較と同じで、BAT、FTおよびSHBG値を性腺機能低下状態で層化したとき、群の間で有意差(P<0.001)が観察された。
【0080】
【表7】

【0081】
未処置の性腺機能低下症患者(n=2085)の性腺機能低下症の有病率は、36.3%(95%CI、34.2%〜38.4%)であった。
【0082】
【表8】

【0083】
正常性機能の患者よりも有意に高い割合の性腺機能低下症患者が、メタボリックシンドロームの認知要素、すなわち高血圧、高脂血症、糖尿病および肥満の病歴を報告した(全ての状態でP<0.001)。
【0084】
【表9】

【0085】
性的遂行能力/頻度の減少はこれらの男性の間で性腺機能低下症の最も共通の症状であり、55.8%(正常性機能の群に対してP=0.014)が報告した。糖尿病、高血圧または高脂血症の病歴をもつ正常性機能の男性より有意に大きな割合の性腺機能低下症男性が、性的遂行能力/頻度の減少を報告した(P≦0.014)。性欲/リビドーの減少および身体的消耗感/活力消失は、高脂血症または糖尿病の病歴をもつ正常性機能の男性に対して性腺機能低下症男性で有意に増加した(P≦0.023)。一般幸福感の低下は、正常性機能の男性と比較して高脂血症の性腺機能低下症男性で有意により共通であった(P=0.011)。
【0086】
【表10】

【0087】
未処置の性腺機能低下症患者における高血圧の有病率は42.4%であり、性腺機能低下症を有する確率は正常血圧の男性より高血圧の病歴をもつ男性で1.84倍高かった。
【0088】
【表11】

【0089】
段階的重回帰分析(危険因子の間の相互関係を検討するのに用いられた)から得られたオッズ比は、性腺機能低下症と年齢、増加するBMI、糖尿病および高血圧との関係を確認した。
【0090】
糖尿病の登録患者の性腺機能低下症の有病率を、表8で示す。
【0091】
【表12】

【0092】
高脂血症の登録患者の性腺機能低下症の有病率を、表9で示す。
【0093】
【表13】

【0094】
(結論)
この研究において、TT<300ng/dlに基づいて、45歳以上の男性の間の性腺機能低下症の有病率は、38.7%であると推定された。未処置の性腺機能低下症患者の高血圧の有病率は42.4%であり、高血圧者は性腺機能低下症を有する確率が1.84倍高かった。これらの男性の間の性腺機能低下症で最も共通の症状は性的遂行能力/頻度の減少であり、性腺機能低下症男性の55.8%が報告した。HIM研究での性腺機能低下症の有病率は年齢に伴い上昇し、このことは、他の研究からの知見と一致する。性腺機能低下症の相対危険度は、年齢が10歳上がるごとに増加した。この実施例は、正常性機能の患者よりも有意に高い割合の性腺機能低下症患者が、高血圧ならびに他のメタボリックシンドロームの認知要素、すなわち高脂血症、糖尿病および体重増加の病歴を報告したことを示す。
【実施例2】
【0095】
2型糖尿病の性腺機能低下症男性における血糖コントロールに及ぼす1%テストステロンゲル投与の影響
この実施例は、テストステロンゲルの経皮投与が、経口血糖降下薬による安定投薬療法(842週)で中程度のコントロール(A1C、7.0%〜9.0%)を示す性腺機能低下症2型糖尿病男性で、血糖コントロールの向上(ベースラインから26週目までのグリコシル化ヘモグロビン(A1C)の平均変化)をもたらすことを示す。
【0096】
2型糖尿病と診断され、経口血糖降下薬による安定投薬療法で中程度の血糖コントロール(A1C、7.0%〜9.0%)を示した30歳から80歳の性腺機能低下症男性が、多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、平行群、用量調整研究に登録される。研究への参加に同意する対象は、選定前の検査訪問で<300ng/dlの血清総テストステロン濃度を示し、25〜40kg/mのボディーマスインデックス(BMI)を有する必要がある。これらの要件が満たされ、残りの選定/除外基準が満たされると、対象は8週のスクリーニング期間に入る。経口血糖降下薬の安定投薬療法を受け、中程度のコントロール(A1C、7.0%〜9.0%)状態を示し、選定前の検査訪問で<300ng/dLの血清総テストステロン濃度を示す性腺機能低下症対象が、無作為化のために選択される。合計180人の適格対象者は、1%テストステロンゲルによる26週間の治療または対応するプラセボゲルによる治療を受けるように、ベースライン時に1:1に無作為化される。
【0097】
無作為化後の最初の2週間の初期用量は、1日に7.5gの試験薬(1%テストステロンゲルまたはプラセボ)である。この開始用量は、用量滴定期間の間に600ng/dl〜1000ng/dlの朝の血清総テストステロン濃度の目標範囲を速やかに達成するために選択された。この目標範囲は、高−中から高−正常の総テストステロンレベルを表す。2週の終わりに、血清テストステロン濃度が測定される。朝の血清総テストステロン濃度(600ng/dl〜1000ng/dl)の目標範囲を達成しない対象は、6週目までに15.0gの最大用量に達するか、または、目標血清テストステロン範囲に達するか、そのいずれか早い方まで、2週間ごとに2.5gずつ彼らの用量を調整する。対象は、研究の残りの期間、この用量を継続する。
【0098】
研究期間中のいかなるときでも、血清総テストステロン濃度が>1000ng/dlであるならば、血清総テストステロン濃度が600ng/dl〜1000ng/dlの目標範囲に入るかまたは5.0g/日の最小用量に達するかそのいずれか早い方まで、用量は2週間ごとに2.5gずつ減少させる。5.0g/日の最小表示用量を少なくとも2週間投与されて総血清テストステロンレベルが>1000ng/dlである対象では、用量は2.5g/日まで低下させなければならない。2.5g/日の用量で2週後にまだ総血清テストステロンレベルが>1000ng/dlであるならば、対象は中止しなければならない。
【0099】
総テストステロン、遊離テストステロン、生物が利用可能なテストステロン、SHBG、黄体形成ホルモン(LH)およびエストラジオールが収集および分析される。A1C、空腹時血糖、空腹時血中インスリン、Cペプチド、アポ(a)、レプチン、フルクトサミン、ならびに総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、非HDLコレステロールおよびトリグリセリドを含む脂質プロフィールも測定する。対象の体重、ボディーマスインデックス(BMI)、ウエスト周囲径、ウエスト対ヒップ比および皮膚ひだの厚さを分析する。コンピュータ断層撮影法(CT)スキャンは、内臓体脂肪を測定するのに用いる。二重エネルギーX線吸光光度定量法(DEXA)スキャンは、除脂肪体重を測定するのに用いる。17項目のハミルトンうつ病評価尺度(17−GRID Hamilton Depression Rating Scale)は、すでにうつ病と診断された大人で病気の程度を測定するように設計された17項目のスクリーニング手段であって、研究期間を通じて患者に適用される。国際勃起スコア(International Index of Erectile Function(IIEF))は、15個の質問からなる、検証済みの多次元的自己管理型アンケートであり、臨床試験で勃起不全および治療予後を評価するのに用いられ、また、研究期間中の検査訪問時の患者にも実施される。低血糖事象を記録する。血液学、血液化学、前立腺特異抗原(PSA)、検診、デジタル直腸内診法、国際前立腺症状スケールおよび心電図記録も収集する。
【0100】
治療対象(intent−to−treat)(ITT)集団は、試験薬の少なくとも1用量を投与した全ての無作為化対象からなり、少なくとも1つのポストベースライン効力測定値を有する。プロトコル適合集団は、実質的にプロトコルに違反しなかった全てのITT対象からなる。
【0101】
一次効力パラメータは、A1Cのベースラインから26週までの平均変化と定義される。さらなる効力パラメータとしては、6週、10週、14週、18週および22週時におけるA1Cのベースラインからの平均変化がある。応答者として特定された対象の割合も計算される。応答者は、以下の4個の基準のいずれかによって特定される。A1Cのベースラインからの0.7%の減少、A1Cのベースラインからの0.5%の減少、A1Cの7.0%の絶対値、または連続検査訪問時の平均空腹時血糖の30mg/dLのベースラインからの平均減少。全ての測定パラメータのベースラインからの平均変化が計算される。インスリン抵抗性=空腹時血清インスリン(μU/mL)×空腹時血漿グルコース(mmol/L)/22.5と定義されたHomeostasis Model Assessment of Insulin Resistance(HOMA IR)におけるベースラインからの平均変化も、評価される。最後に、投与群別の各種バックグラウンド経口血糖降下薬の投薬レベルにおける、ベースラインからの平均変化が分析される。
【0102】
特に明記しない限り全ての統計的検定は片側であり、0.050の有意水準で実施される。全ての統計的検定は、ITT集団およびプロトコル適合集団で実施される。適宜、平均、標準偏差、中央値、範囲、度数分布および95%の片側信頼区間を含む記述統計学が提示される。
【0103】
全ての引用文献および特許参考文献は、参照により本明細書で組み込まれる。本発明は特定の実施形態および実施例に関して記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の概念を利用する他の実施形態が可能であることは理解されなければならない。本発明は、請求された要素、ならびに、根底原理の真の精神および範囲に含まれるあらゆる修正形態、変形形態または同等物によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における2型糖尿病の治療、予防もしくはその発病リスクの低減のための、および/または血糖コントロールの向上のための、経皮送達可能な医薬品の製造における、
a.約0.01%から約15%(w/w)のテストステロン合成系のステロイドと、
b.約0.01%から約50%(w/w)の浸透促進剤と、
c.約0.01%から約50%(w/w)の増粘剤と、
e.約30%から約98%(w/w)の低級アルコールと、
f.バランス水と
を含む水性アルコールゲル医薬組成物の使用。
【請求項2】
水性アルコールゲル医薬組成物は、
a.約0.1%から約10%(w/w)のテストステロン合成系のステロイドと、
b.約0.1%から約5%(w/w)の浸透促進剤と、
c.約0.1%から約5%(w/w)の増粘剤と、
e.約30%から約98%(w/w)の低級アルコールと、
f.バランス純水と
を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
テストステロン合成系のステロイドはテストステロン、その塩、そのエステル、そのアミド、その鏡像異性体、その異性体、その互変異性体、そのプロドラッグおよびその誘導体からなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
組成物は約1%(w/w)のテストステロン、またはその塩、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、プロドラッグ、誘導体を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
浸透促進剤はC8〜C22脂肪酸、C8〜C22脂肪族アルコール、C8〜C22脂肪酸の低級アルキルエステル、C6〜C22二酸のジ(低級)アルキルエステル、C8〜C22脂肪酸のモノグリセリド、テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル、ポリエチレンオキシドジメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、グリセリン、酢酸エチル、アセト酢酸エステル、N−アルキルピロリドン、テルペン、ミリスチン酸イソプロピルおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
浸透促進剤はミリスチン酸イソプロピルである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
増粘剤はポリアクリル酸である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
水性アルコールゲル医薬組成物は約45%から約90%のエタノールまたはイソプロパノールを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
水性アルコールゲル医薬組成物は、
a.約1%(w/w)のテストステロンと、
b.約0.9%(w/w)のポリアクリル酸と、
c.約0.5%(w/w)のミリスチン酸イソプロピルと、
d.約67%(w/w)のエタノールと、
e.バランス純水と
を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
対象は約300ng/dL未満の治療前血清総テストステロン濃度を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
水性アルコールゲル医薬組成物は、皮膚に塗布された後に、1日につき少なくとも約10μgのステロイドを対象の血清に送達する速度および期間でステロイドを放出することができる、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
水性アルコールゲル医薬組成物は、皮膚に塗布された後に、投与の約2時間後から投与の約24時間後までの間に血清1dlにつき約400ngを超えるテストステロンの循環血清総テストステロン濃度を達成する速度および期間でテストステロンを放出することができる、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
血清テストステロン濃度は血清1dlにつき約400ngのテストステロンから血清1dlにつき約1050ngのテストステロンまでの間で維持される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
テストステロン合成系のステロイドの治療的有効量を対象の血清に送達する水性アルコールゲル医薬組成物の量が対象の皮膚領域へ投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
水性アルコールゲル医薬組成物は約0.1gから約10gの用量で毎日投与するために対象に提供される、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
水性アルコールゲル医薬組成物の量は約50から100mgのテストステロンを皮膚に送達する5から10gの用量である、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
水性アルコールゲル医薬組成物は少なくとも約7日間の間、1日に1回、2回または3回投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2008−534644(P2008−534644A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504713(P2008−504713)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003974
【国際公開番号】WO2006/108719
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507332778)
【出願人】(507332354)ユニメド ファーマスーティカルズ インク (3)
【Fターム(参考)】