説明

2層式薄膜ホログラフィック太陽光コレクタ及び太陽光コンセントレータ

【課題】コンパクトな光コレクタ及び/又は光コンセントレータとしてホログラフィック薄膜を使用する。
【解決手段】一つ以上の光電池に光学的に結合されている一つ以上の光導波路層(701a、701b、701c)から成る装置を開示する。装置は、体積回折特徴物または表面回折特徴物、体積ホログラムまたは表面ホログラムから成る一つ以上の光転向フィルムまたは光転向層(702a、702b、702c)を更に備える。光導波路層(701、701b、701c)上に入射される光は、反射型であるか透過型である体積回折特徴物または表面回折特徴物またはホログラムによって、向きが変えられ、複数の全反射によって、光導波路層(701a、701b、701c)により導波される。導波される光は、光電池へ導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互関連出願の参照)
本願は、“THIN FILM HOLOGRAPHIC SOLAR CONCENTRATOR/COLLECTOR”と題された008年2月12日に出願された特許文献1(代理人整理番号:QMRC.002PR)の優先権を35U.S.C.§119(e)の下で主張する。その明細書の内容は、すべてその全部の参照によって、本願明細書において組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明は太陽エネルギーの分野に関し、特にマイクロ構造薄膜(micro−structured thin films)を使用して、太陽輻射(solar radiation)を収集して集光させることに関する。
【背景技術】
【0003】
1世紀以上、石炭、油及び天然ガスのような化石燃料が米国の主エネルギー源として提供されてきた。代替エネルギー源の必要性が、増加している。化石燃料は、急速に枯渇される再生不可能なエネルギー源である。インド及び中国のような発展途上国における大規模工業化は、利用可能な化石燃料に対する相当な負担を負う。加えて、地政学的な問題は、このような燃料の供給に急速に影響を及ぼすことになる。地球温暖化も、近年より大きな問題となっている。多くの要因が、地球温暖化に関与すると考えられる。しかしながら、化石燃料の広範囲にわたる使用が、地球温暖化の主要な原因であること推定される。従って、再生可能であると共に経済的に現実的で、且つ環境的に安全なエネルギー源の発見が至急必要である。太陽エネルギーは、環境的に安全で再生可能なエネルギー源である。太陽エネルギーは、熱エネルギー及び電気エネルギーのような他のエネルギーの形に変換され得る。しかしながら、再生可能なエネルギーの経済的に競争的な源としての太陽エネルギーの使用は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する際における低い変換効率と、一日における時間帯による太陽エネルギーの変化及び一年における月ごとの太陽エネルギーの変化とによって、妨げられる。
【0004】
光起電力(Photovoltaic:PV)電池は、光学エネルギーを電気エネルギー源に変換し、結果として、太陽エネルギーを電力(electrical power)に変換するために用いることができる。光起電力太陽電池(Photovoltaic solar cells)は、非常に薄く且つモジュール式でありえる。太陽電池のサイズは、2、3mm〜数十のセンチメートルの範囲内にあることができる。太陽電池(光起電力電池)から出力される電気出力の各々は、数ミリワット〜数ワットの範囲内にあることができる。いくつかの太陽電池は、電気的に接続されると共に、パッケージされ、電気の充分な量を生成し得る。太陽電池は、衛星及びその他の宇宙船への電力提供、居住用及び商業用の建物(properties)へ電気供給、自動車用電池の充電等の広範囲の用途に用いられることが可能である。
【0005】
太陽コンセントレータ(Solar concentrators)は、太陽エネルギーを集めて、集光させ、太陽電池におけるより高い変換効率を成し遂げるのに用いることができる。例えば、放物面鏡(parabolic mirrors)は、光エネルギーを熱エネルギー及び電気エネルギーに変換させる装置において、光を集めて焦光させるのに用いることができる。他のタイプのレンズ及び鏡も、変換効率を著しく上昇させるのに用いられ得る。
【0006】
太陽電池において、光を集めて集光させ、一日中の太陽の動きを追う光コレクタ(light collectors)及び光コンセントレータを使用することも有効と成りうる。加えて、曇った日に拡散光を集める機能を有することも有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国仮出願第61/028139号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、そのようなシステムは、複雑で、大きくて重く且つ大型である。多くの用途のために、これらが光コレクタ及び/又は光コンセントレータが大きさにおいて、コンパクトであることも好ましい。コンパクトな光コレクタ及び/又は光コンセントレータとしてホログラフィック薄膜を使用することも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願明細書において、記載されている様々な実施形態において、光電池(photocell)に光学的に結合される光導波路を備える装置が記載されている。その装置は、光転向フィルム(light turning film)又は光転向層(light turning layer)を更に備える。光転向フィルム又は光転向層は、体積回折特徴物(volume diffractive features)、表面回折特徴物(surface diffractive features)、体積ホログラム、又は表面ホログラムを備える。光導波路上に入射する光は、反射性(reflective)又は透過性(transmissive)である体積回折特徴物、表面回折特徴物、体積ホログラム、又は表面ホログラムによって、方向が変えられ、複数の全反射によって、光導波路を通って誘導される。誘導される光は、光電池へと向きを変えられる。ある実施形態では、太陽エネルギーが熱生成器(thermal generator)を加熱するために用いられ、水を加熱して蒸気から電気が作り出される。様々な実施形態において、光導波路は、薄くて(例えば、1mm未満)、例えば、薄膜から成る。光導波路は、可撓性材料で形成され得る。複数の光導波路層(light guide layer)は、各々の上面上に積層されることができ、コンセントレータを形成する。コンセントレータは、より広い範囲の角度及び/又はより広い範囲の波長にわたって作動し、回折効率(diffraction efficiency)を向上させてきた。
【0010】
様々な種実施形態において、上面及び底面を有する第1の光導波路を備える太陽エネルギー収集装置が、開示されている。太陽エネルギー収集装置は、更に、第1の光電池と第1の光導波路の前記上面に入射される環境光(ambient light)の向きを変え、前記環境光が前記第1の光導波路内で全反射によって、前記上面及び底面から前記第1の光電池へ導波されるように配置された複数の回折特徴物とを備え、前記第1の光導波路は、1ミリメートル以下の厚さを有する。
【0011】
様々な実施形態において、光を導波させるための第1の光導波手段を含む太陽エネルギー収集装置が、開示されている。第1の光導波手段は、上面及び底面を含み、光は前記上面及び底面での複数の全反射によって、該第1の光導波手段内で導波する。太陽エネルギー収集装置は、光を吸収するための第1の光吸収手段を備える。第1の光吸収手段は、該第1の光吸収手段により吸収される光から電気信号を生成するように構成される。太陽エネルギー収集装置は、光を回折させるための複数の光回折手段を備える。複数の光回折手段は、第1の光導波手段の前記上面上に入射した環境光を向け替えて、前記環境光を全反射によって、第1の光導波手段内で前記上面及び底面から前記第1の光吸収手段まで導波させるように配置される。そこにおいて、前記第1の光導波手段は、1mm以下の厚みを有する。幾つかの実施形態において、光導波手段は光導波路を備え、光吸収手段は光電池を備え、光回折手段は回折特徴物を備える。
【0012】
様々な実施形態において、太陽エネルギー収集装置の製造方法が開示される。太陽エネルギー収集装置の製造方法は、上面及び底面を有する第1の光導波路を形成するステップを備える。第1の光導波路は複数の回折特徴物を含み、前記上面及び前記底面での複数の全反射によって、該第1の光導波路の内部において、光を導波させる。太陽エネルギー収集装置の製造方法は、第1の光電池を形成するステップを更に備える。そこにおいて、前記第1の光導波路は、1mm以下の厚さを有する。様々な種実施形態において、複数の回折特徴物は、第1の光導波路上に配置されている。
【0013】
様々な実施形態において、内部において、光を導波させる第一及び第二の光導波路層を備える太陽エネルギー収集装置が開示されている。太陽エネルギー収集装置は、更に第1の光電池と、前記第1の光導波路層上に入射した環境光の向きを変えるように配置された第1の複数の回折特徴物と、前記第2の光導波路層上に入射した環境光の向きを変えるように配置された第2の複数の回折特徴物と、を備え、前記環境光は、前記第1及び第2の光導波路層内において、前記第1の光電池へ導波される。
【0014】
様々な実施形態において、少なくとも一つの光コレクタを備える太陽エネルギー収集装置が、開示されている。光コレクタは、上面及び底面と、前記光導波路の前記上面上に入射した環境光の向きを変えるように構成された複数の回折特徴物と、を備える光導波路、少なくとも一つの光電池、及び太陽熱生成器(solar thermal generator)を備える。
【0015】
様々な実施形態において、太陽エネルギー収集装置は、上面及び底面を有する光導波路を備える。光導波路は、前記上面及び底面での複数の全反射によって、内部において、光を導波させる。太陽エネルギー収集装置は、光電池と透過型回折要素(transmissive diffractive element)とを更に備える。透過型回折要素は、光導波路の前記上面上に入射した環境光の向きを変え、前記光が全反射によって、光導波路内部において、上面及び底面から前記第1の光電池まで導波されるように配置された複数の回折特徴物を備える。
【0016】
様々な実施形態において、太陽エネルギー収集装置は、光を導波させるための光導波手段であって、上面及び底面を有すると共に、前記上面及び前記底面での複数の全反射によって、内部において、光を導波させる光導波手段を備える。太陽エネルギー収集装置は、光を吸収するための光吸収手段であって、吸収された光から電気信号を生成するように構成された光吸収手段を更に備える。また、太陽エネルギー収集装置は、透過(transmission)による光回折手段であって、光導波路の前記上面に入射される環境光の向きを変え、前記環境光が前光導波路内で全反射によって、前記上面及び前記底面から光吸収手段に導波するように配置された光回折手段を更に備える。様々な実施形態において、前記光導波手段は、光導波路を備え、前記光吸収手段が光電池を備え、透過による光回折手段が、複数の回折特徴物を有する透過型回折要素を備える。
【0017】
様々な実施形態において、太陽エネルギー収集装置の製造方法が開示されている。太陽エネルギー収集装置の製造方法は、上面及び底面を有する光導波路であって、複数の回折特徴物を有する透過型回折要素を備えると共に前記上面及び前記底面での複数の全反射によって、内部において、光を導波させる光導波路を形成するステップと、光電池を形成するステップと、を備える。
【0018】
様々な実施形態において、光を導波させるための第一及び第二の光導波手段を備える太陽エネルギー収集装置が開示されている。太陽エネルギー収集装置は、光を吸収するための第1の光吸収手段であって、該第1の光吸収手段により吸収された光で電気信号を生成するように構成された第1の光吸収手段を更に備える。太陽エネルギー収集装置は、光を回折させるための第1及び第2の複数の光回折手段を備える。第1及び第2の複数の光回折手段は、前記第1及び第2の光導波手段上に入射された環境光の向きを変えるように構成される。光は、前記第1及び第2の光導波手段内において、前記第1の光吸収手段へ導波される。様々な実施形態において、第1及び第2の光導波手段は光導波路を備え、第1の光吸収手段は光電池を備え、第1及び第2複数の光回折手段は、回折特徴物を備える。
【0019】
様々な実施形態において、太陽エネルギー収集装置の製造方法が開示されている。太陽エネルギー収集装置の製造方法は、内部において、光を導波させると共に内部に第1の複数の回折特徴物を含む第1の光導波路層と、内部において光を導波させると共に内部に第2の複数の回折特徴物を含む第2の光導波路層とを形成するステップを備える。太陽エネルギー収集装置の製造方法は、第1の光電池を形成するステップを備える。幾つかの実施形態において、光は、前記第1及び第2の光導波路層内において、前記第1の光電池へ導波される。幾つかの実施形態において、第一及び第二の複数の回折特徴物は、前記第1及び第2の光導波路層上に配置される。
【0020】
様々な実施形態において、光を収集するための少なくとも一つの光収集手段を備える太陽エネルギー収集装置が開示されている。光収集手段は、光を導波させるための光導波手段であって、上面及び底面と、光を回折させるための複数の光回折手段と、を含む光導波手段を備える。光回折手段は、前記光導波手段の前記上面上に入射した環境光の向きを変えるように構成されている。太陽エネルギー収集装置は、光を吸収するための少なくとも一つの光吸収手段であって、該光吸収手段により吸収された光から電気信号を生成するように構成された少なくとも一つの光吸収手段を更に備える。太陽エネルギー収集装置は、熱エネルギーを電気エネルギー又は機械エネルギーに変換するため手段を更に備える。様々な実施形態において、光収集手段は光コレクタを備え、光導波手段は光導波路を備え、光回折手段は回折特徴物を備え、光吸吸収手段は光電池を備え、又は熱エネルギー変換手段は太陽熱生成器を備える。
【0021】
様々な実施形態において、太陽エネルギー収集装置の製造方法が開示されている。太陽エネルギー収集装置の製造方法は、少なくとも一つの光コレクタを形成するステップを備える。その光コレクタは、上面及び底面と前記光導波路の前記上面上に入射する環境光の向きを変えるように構成された複数の回折特徴物とを有する光導波路を備える。太陽エネルギー収集装置の製造方法は、少なくとも一つの光電池を形成するステップ、又は太陽熱生成器を形成するステップを更に備える。本願明細書において、開示される例示の実施形態は、添付の概略図面に図示される。
それは、図示するためのためにだけある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】光線が光導波路内部で屈折した後、光導波路から導波される光導波路の側面概略図である。
【図1B】光導波路の側面図及び屈折の光円錐を示す概略図である。
【図1C】光導波路の上面に配置すると共に透過型ホログラムを備える光転向要素(light turning element)の側面図の概略図である。
【図1D】光導波路の下面に配置した反射型ホログラムを備える光転向要素の側面図を示す概略図である。
【図2A】体積回折特徴物、表面回折特徴物、体積ホログラム、又は表面ホログラムを有する光転向要素を備える光導波路内で、導波される光円錐を示す概略図である。
【図2B】体積回折特徴物、表面回折特徴物、体積ホログラム又は表面ホログラムを有する光転向要素と、光導波路内で導波される2つの光円錐とを備える光導波路の他の実施形態を示す概略図である。
【図3A】体積ホログラムを備える光転向層の実施形態を示す概略図である。
【図3B】表面レリーフ回折特徴物を備える光転向層の実施形態を示す概略図である。
【図3C】平坦化された表面レリーフ回折特徴物を有する光転向層の実施形態を示す概略図である。
【図4A】透過型ホログラムを有する光転向層を備える光コレクタを製作するための一配置を示す概略図である。
【図4B】図4Aの方法によって製作される光コレクタと、その中に集められて導波される環境光と、を示す概略図である。
【図4C】複数の体積ホログラムを備える光コレクタを製作するための一配置を示す概略図である。
【図5A】反射型ホログラムを有する光転向層を備える光コレクタを製作するための一配置を示す概略図である。
【図5B】図5Aの方法により製作される光コレクタと、その中に集められて導波される環境光と、を示す概略図である。
【図6】連続的な光コレクタの間のエアギャップと共に積み上げられる複数の光コレクタを備える一実施形態を示す概略図である。
【図7】それぞれの光コレクタが光学的に結合するように一緒に積層される複数の光コレクタを備える一実施形態を示す概略図である。
【図8】連続的な光コレクタの間に低屈折率材料を有する複数の光コレクタを備える一実施形態を示す概略図である。
【図9】各光コレクタが、様々な角度で入射する光を集める複数の光コレクタを備える一実施形態を示す概略図である。
【図9A】各光コレクタが、様々な角度で入射する光を集める複数の光コレクタを備える一実施形態を示す概略図である。
【図10】各光コレクタが、様々な波長の入射光を収集する複数の光コレクタを備える一実施形態を示す概略図である。
【図11A】光コレクタと、光コレクタの互いに対向する端に沿って横方向に配置された太陽電池と、を備える一実施形態を示す概略図である。
【図11B】光コレクタの互いに対向する端に沿って横方向に配置された1つ、2つの又は4つの太陽電池を備える光コレクタの様々な実施形態を示す概略図である。
【図11C】光コレクタの互いに対向する端に沿って横方向に配置された1つ、2つの又は4つの太陽電池を備える光コレクタの様々な実施形態を示す概略図である。
【図11D】光コレクタの互いに対向する端に沿って横方向に配置された1つ、2つの又は4つの太陽電池を備える光コレクタの様々な実施形態を示す概略図である。
【図12】光コレクタ、太陽電池及び太陽熱生成器を備えるシステムの概略図である。
【図13】居住用住居の屋根上に、又は窓上に配置される光電池に光学的に結合した光収集プレート、シート又はフィルムを示す概略図である。
【図14】光電池に光学的に結合した光収集プレート、シート又はフィルムが自動車の屋根上に配置されている実施形態を示す概略図である。
【図15】光電池に光学的に結合した光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムがラップトップのボディ上に取り付けられている実施形態を示す概略図である。
【図16】光電池に光学的に結合した光収集プレート、シート又はフィルムが衣料品上に取り付けられている一例を示す概略図である。
【図17】光電池に光学的に結合した光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムが靴上に配置された一例を示す概略図である。
【図18】光電池に光学的に結合した光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムが飛行機の翼及びウインドウ上に取り付けられている実施形態を示す概略図である。
【図19】光電池に光学的に結合した光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムが帆船上に取り付けられている実施形態を示す概略図である。
【図20】光電池に光学的に結合した光収集プレート、シート又はフィルムが自転車上に取り付けられている実施形態を示す概略図である。
【図21】光収集プレート、シート又はフィルムが衛星上に取り付けられている実施形態を示す概略図である。
【図22】光電池に光学的に結合した光収集シートが実質的に可撓性を有する実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明は、本発明に係る特定の実施形態を導く。しかしながら、本発明は、多くの異なる方法において、実施されることができる。以下の説明から明らかであるように、実施形態は、光源からの放射光を集めて、捕獲して、凝集させるように構成されるいかなる装置においても実施されることができる。より詳しくは、本願明細書において、記載された実施形態は、様々な用途で行われても、又は関係していてもよく、例えば電力を住居及び商業的な建物へ供給し、例えばラップトップ、PDA、腕時計、計算機、携帯電話、ビデオレコーダー、静止及びビデオ・カメラ、MP3プレーヤなどの電子装置へ電力を供給することなどが想定される。加えて、本願明細書において、記載されている実施形態は、着用可能であると共に電力が生成可能な衣類、靴及びアクセサリにおいて、使うことができる。本願明細書において、記載されている幾つかの実施形態は、自動車用電池、ナビゲーション用装置及び揚水を充電することに使うことができる。本願明細書において、記載されている実施形態は、航空宇宙及び衛星用途に使うことができる。さらに他の応用にも、用いられ得る。
【0024】
本願明細書において、記載されている様々な実施形態において、光コレクタ又は光コンセントレータ(凝集器)は、光電池に結合される。光コレクタ及び/又はコンセントレータは、例えば、体積レリーフ回折特徴物、表面レリーフ回折特徴物、体積レリーフホログラム、表面レリーフホログラムを内部に有するプレート、シート又はフィルムである光導波路を備える。光導波路上に入射する環境光は、体積レリーフ回折特徴物、表面レリーフ回折特徴物、体積レリーフホログラム、表面レリーフホログラムによって、光導波路内において向きが変えされ、全反射によって、光導波路を通して導波される。光電池は、光導波路の一つ以上の端に沿って配置され、光導波路から出射された光は、光電池と結合される。環境光を収集して、集光させ且つ光電池へ導くために光導波路を使用することによって、光エネルギーを電気エネルギーに高い効率で変換できると共に、安価で製造できる光−電気装置が実現可能となる。ある実施形態では、太陽エネルギーが、水を加熱するか、又は蒸気から電気を作り出すための熱ジェネレータを駆動する(例えば加熱する)ためにも使われる。光導波路は、プレート、シート又はフィルムとして形成されることができる。様々な実施形態において、光導波路は、薄く(例えば、1センチメートル未満)、例えば薄膜状を成す。光導波路は、剛性又は半剛性の材料で製作されることができる。幾つかの実施形態において、光導波路は、可撓性の材料で形成されることができる。光導波路は、反射性又は透過性である表面回折特徴物、体積回折特徴物、表面ホログラム、又は体積ホログラムから成ることができる。複数の光導波路層は、より広い角度及び/又は波長の範囲にわたって作動し、且つ回折効率が上昇されたコンセントレータを作り出すために、各々の上面上に積層され得る。
【0025】
本願明細書において、開示される本発明の幾つかの実施形態は、ホログラフィックな要素を含む平坦なコレクタを有する光電池において、配送するための日光の収集を可能にする。環境光は、回折要素又はホログラフィック要素により捕獲され、光導波路の導波モードに結合される。図1Aは、空気で囲まれた光導波路101を備える実施形態の側面図を示す。光導波路101は、光学的に透過性の材料を含むことができる。その材料は、一つ以上の波長での放射に対して実質的に光学的に透過性を有する。例えば一実施形態において、光導波路101は、可視領域(visible region)及び近赤外線領域(near infra−red region)における波長に対して実質的に光学的に透過性であってもよい。他の実施形態において、光導波路101は、紫外線又は赤外線の領域の波長を透過してもよい。光導波路101は、実質的に光学的に透過型のプレート、シート又はフィルムを備えることができる。光導波路101は、平坦であってもよく、又は曲がっていてもよい。光導波路101は、実施形態に対して構造的安定性を与えるために、例えばガラス又はアクリルのような、剛性又は半剛性の材料から形成されてもよい。他の実施形態において、光導波路101は、例えば可撓性ポリマーのような可撓性材料で形成されてもよい。幾つかの他の実施形態における光導波路101を形成するために、他の材料、例えばPMMA、ポリカーボネート、ポリエステル(例えばPETなど)、シクロオレフィン・ポリマー(例えばZeonor(登録商標)など)が、用いられることが可能である。幾つかの実施形態において、厚さによって、光導波路101が剛性であるか、又は可撓性であるかが決定してもよい。ある実施形態では、光導波路101は、基板上に堆積された薄膜を備えることができる。基板は、不透明でも、部分的に、又は、実質的に完全に光学的に透過性を有する、あるいは透明であってもよい。基板は、剛性を有してもよく、又は可撓性を有してよい。
【0026】
光導波路101は、2つの表面から成ることができる。上面(upper surface)は、環境光が入射するように構成される。幾つかの実施形態では、光導波路の底面は、基板に付着されていることができる。光導波路101は、周囲が複数の端によって、囲まれていることができる。様々な実施形態において、光導波路101の長さ及び幅は、実質的に光導波路101の厚さより大きい。光導波路101の厚さは、0.1mm〜10mmの間にあることができる。光導波路101の面積(area)は、1.0cm〜10,000cmの範囲内でありえる。しかしながら、これらの範囲外の寸法であってもよい。
【0027】
図1Aに示すように、空気内にあるに由来する光導波路101の実施形態の上面上に入射する環境光102iの光線を考慮する。環境光102iは、上面の法線に対して角度θで入射する。幾つかの実施形態において、光線102iは、法線に対する角度θの光線102rのように光導波路101内で屈折され、その後法線に対して角度θの光線102tのように光導波路から周囲の空気媒体へ透過される。幾つかの実施形態において、光線102tが光導波路101から透過されるときの角度θは、光線102iは光導波路101に入射するときの角度θにほぼ等しい。
【0028】
光導波路101の内部の屈折光102rが、光導波路101の法線に対してなす屈折角θは、スネルの法則により算出されることができる。屈折角θは、空気媒体の屈折率に対する光導波路材料の屈折率の比率の逆数に等しい。幾つかの実施形態では、図1Bに示すように、光導波路上の空気から入射されると共に半球102内にある光線は、光線103a及び光線103bにより定義される円錐内で屈折して、その後光導波路101から透過される。これらの実施形態の入射光の光線は、入射角に関係なく光導波路からいつでも透過され。そのため、光を光導波路内に捕獲して導波させるのに対して、このような光導波路を用いることは、困難であり得る。
【0029】
図1Aの光102rの光線が、光導波路101から透過されるのを防止するために、屈折角θは、光導波路101を構成する材料の臨界角θTIR以上でなければならない。臨界角θTIRは、光学的により高密度媒体(denser medium)から光学的により低密度媒体(rarer medium)に通過する光の光線が全反射される際における、最も小さい入射角である臨界角θTIRは、光学的により高密度及び光学的に低密度の媒体の屈折率に依存する。図1Aを参照すると、臨界角θTIRは、このように、光導波路101を構成する材料と、光導波路101を囲んでいる材料(例えば空気)とに依存する。幾つかの実施形態では、それは、スネルの法則によって示されることができ、空気から生じている光線において、(例えば図1Aに示されているように)、入射角が表面の法線に対して90度にほぼ等しいときに、屈折角は、臨界角にほぼ等しくなる。
【0030】
光転向要素は、光導波路上に入射する環境光を捕獲し、この入射光を光導波路の導波モードに変換するための、光導波路と共に含まれることができる。光転向要素は、全反射によって、光導波路内に光の光線が導波されるように、光導波路の内部における光の入射光線の角度を変えることができる。幾つかの実施形態において、光導波路により収集され、導波される光の量は、光導波路の光収集効率として称されることができる。従って、様々な実施形態において、光転向要素は、光導波路の光収集効率を可能にする、及び/又は、向上させることができる。光転向要素を備える光導波路によって、集められて導波される光は、光導波路の一つ以上の端に配置した、一つ以上の光−電変換装置(例えば太陽電池)に伝達されることができる。光導波路を構成する寸法及び材料の適当な選択によって、入射する環境光は光導波路を通して導波されることができ、所望の距離に伝達されることができる。
【0031】
図1C及び図1Dは、光転向要素105を更に備える光導波路101の実施形態を例示する。光転向要素105は、マイクロ―構造が形成された薄膜でもよい。幾つかの実施形態において、光転向要素105は、体積レリーフ回折特徴物又は表面レリーフ回折特徴物、体積ホログラム又は表面ホログラムを含んでいてもよい。光転向要素105は、薄いプレート、シート又はフィルムであってもよい。幾つかの実施形態において、光転向要素105の厚さは、約1μmから約100のμmの範囲であってもよい。しかし、他の実施形態においては、より大きくてもよく、又はより小さくてもよい。幾つかの実施形態において、光転向要素又は光転向層105の厚さは、5μmと50μmとの間にあることができる。幾つかの他の実施形態において、光転向要素又は光転向層105の厚さは、1μmと10μmとの間にあることができる。光転向要素105は、接着剤によって、光導波路101の表面に取り付けられることが可能である。接着剤は、光導波路101を構成する材料と整合された屈折率を有するものであってもよい。幾つかの実施形態では、接着剤は、光転向要素105構成する材料と整合された屈折率を有するものであってもよい。幾つかの実施形態において、光転向要素105は、光導波路101上を覆っていてもよい。特定の他の実施形態において、体積回折特徴物、表面回折特徴物、体積ホログラム又は表面ホログラムは、エンボス、モールド又は他の方法によって、光導波路101の上又は下の表面上に形成され得る。
【0032】
体積回折特徴物、表面回折特徴物、体積ホログラム又は表面ホログラムは、透過又は反射モードで作動できる。一般的に、透過型回折要素又は透過型ホログラムは、光学的に透過する材料を含み、透過型回折要素又は透過型ホログラムを通過する光を回折させる。通常、反射型回折要素及び反射型ホログラムは、反射性材料を含み、反射型回折要素及び反射型ホログラムから反射された光を回折させる。ある実施形態では、体積又は表面の回折要素/ホログラムは、透過型構造及び反射型構造の混成であり得る。回折要素/ホログラムは、レインボウホログラムを含むことができ、コンピュータにより生成された回折要素又はホログラム、又は他のタイプのホログラム又は回折光学要素を含む。反射型ホログラムは、透過型ホログラムより白色光の集光及び導波が可能であるため、幾つかの実施形態において、反射型ホログラムは、透過型ホログラムより好まれ得る。それらの実施形態において、ある程度の透過度が必要とされる場合には、透過型ホログラムが使うことができる。透過型ホログラムは、複数の層から成る実施形態において、反射型ホログラムより好まれ得る。後述する特定の実施形態において、透過性の層の積層体(たとえば透過型ホログラム)は、光学性能を向上させるのに役立つことができる。透過性の層は、一部の光が光導波路の下の空間領域まで光導波路を通過できるように設計されている実施形態に役立ち得る。設計又は美的目的のため、回折要素又はホログラムの色を、反射し又は透過できる。設計又は美的目的のために、光導波路が、一つ以上の色を透過するように構成された実施形態において、透過型ホログラム又はレインボウホログラムが、使用され得る。設計又は美的目的のために、光導波路が、一つ以上の色を反射するように構成された実施形態において、反射型ホログラム又はレインボウホログラムが、使用され得る。
【0033】
光転向要素105の1つの可能な利点は、下記の図1C及び1Dを参照して説明される。図1Cは、光転向要素105が、透過型ホログラムを含むと共に光導波路101の上面上に配置されている実施形態を示す。環境光102iの光線は、光転向要素105の上面に、入射角θで入射する。光転向要素105は、光102iの入射光線の方向を曲げ、又は回折させる。回折光102bは、光導波路内における光線102rの伝搬角度(angle of propagation)が、θTIRより大きいθ”であるように光導波路101上に入射する。その結果、光転向要素105が存在しない場合(例えば図1Aに示すように)、光導波路101の外に透過されて、光導波路101の内部で導波されない光102tの光線は、光転向要素105がある場合には、現在光導波路101内部に集光されて、導波される。従って、光転向要素105は、光導波路101の集光率(collection efficiency)を上昇させる。
【0034】
図1Dは、光転向要素105は、反射型ホログラムを備えると共にまた光導波路101の底面に配置されている実施形態を例示する。図1Aと関連して上述したように、光線102rの伝播角度がθ’となるように、光線102iが角度θで光導波路101の上面に入射する。光転向要素105に当たった屈折光線102rは、光転向要素105によって、角度θ”の光線102bとして転向される。角度θ”は、光導波路101に対する臨界角θTIRより大きい。角度θ”1が臨界角θTIRより大きいので、その後、光線102bは、複数の全反射によって、光導波路101内部において、導波される。このように、光導波路101によって、導波されなかった光102iの光線は、(例えば図1Aに示すように)光転向要素105の存在のため、光導波路101の内部に導波される。幾つかの実施形態において、それらがフィルム又は層を備える場合、光導波路101及び光転向要素105は、一緒に、光収集フィルム又は光収集層として呼ばれ得る。
【0035】
上記の通り、光転向要素は、受け入れの円錐を増加させ、その中に存在している光の光線を光導波路によって、収集して導波させるのに用いられ得る。図2Aは、光導波路201の上面上に配置すると共に体積回折特徴又は表面回折特徴を有する、光転向要素205から成る光導波路201の実施形態を示す。半角度βを持つ円錐204の内部の入射光の光線(これからは非導波光円錐と呼ばれる)は、光転向要素205によって、転向又は曲げられる。光導波路201内において、転向された、又は曲げられた光線の角度は、θTIRによりも小さいか、あるいは同等である。従って、非導波光円錐204内に存在している入射光の光線は、光導波路から透過され得る。様々な実施形態において、非導波光円錐204の外側に存在している光の光線は、図2Bを参照して後述するように、光導波路内において収集され、そして導波され得る。
【0036】
光転向要素205で、表面回折特徴物、体積回折特徴物、表面ホログラム又は体積ホログラムは、異なる方向に沿った環境光を受け入れるように、形成され得る。例えば、図2Bに図示される実施形態において、表面回折特徴物又は体積回折特徴物は、−x軸及びy軸によって、4分割された第2象限(second geometric quadrant)にある円錐206の範囲内の入射光の光線と、x軸及びy軸によって、4分割された第1象限(first geometric quadrant)にある円錐207の範囲内の入射光の光線と、を受け入れることができて、転向させることができる。円錐206内の光の光線は、円錐208内の経路に沿って透過され、一方で円錐207内の光の光線は、円錐209内の経路に沿って透過される。円錐208及び円錐209内の光の光線は、光導波路201内で導波されることができ、光導波路201の端に沿って配置され得る光−電変換装置(例えば光電池)に接続されることができる。
【0037】
表面ホログラム又は体積ホログラムは、感光性プレート、感光性フィルム又は感光性層上の2つの光線の干渉により生成されるパターンを記録することによって、作られる。2つの光線のうちの1つは、入力ビームと呼ばれ、その他は、出力ビームと呼ばれる。この2つの光線が互いに干渉され、結果として生じる干渉パターンは、屈折率の変調(例えば、体積ホログラム)として又はトポグラフィー特徴物(例えば、表面ホログラム)として、感光性プレート、感光性フィルム又は感光性層に記録される。幾つかの実施形態において、干渉パターンは、フリンジ(fringes )又は格子(grating)として記録されることができる。ある実施形態では、干渉パターン(又はホログラフィック・パターン)が、屈折率の変化として記録されることができる。このような特徴物は、(例えば、体積ホログラムにおける)体積特徴物と呼ばれる。図3Aは、体積特徴物を備えるホログラフィックプレート、ホログラフィックフィルム又はホログラフィック層の側面図を示す。他の実施形態において、干渉パターンは、例えば、ホログラフィックプレート、ホログラフィックフィルム又はホログラフィック層の表面上にトポグラフィーの変化として記録されることができる。このような特徴物は、(例えば、表面ホログラム又は回折光学要素における)表面レリーフ特徴物(surface relief features)と呼ばれる。図3Bは、表面レリーフホログラフィック特徴物又は回折特徴物を備えるホログラフィプレート、ホログラフィフィルム又はホログラフィ層の側面図を示す。
【0038】
第2の光線を再生するため、ホログラフィックプレート、ホログラフィックフィルム又はホログラフィック層は、第1の光線によって、照らされることができる。幾つかの実施形態において、ホログラフィックプレート、ホログラフィックフィルム又はホログラフィック層の変換効率(conversion efficiency)は、ホログラフィックプレート、ホログラフィックフィルム又はホログラフィック層の光入力に対するホログラフィックプレート、ホログラフィックフィルム又はホログラフィック層の光出力の比率として定められ得る。幾つかの実施形態において、体積ホログラムの変換効率は、表面ホログラムの変換効率より高くてもよい。ある実施形態では、より低屈折率を有する平坦化材料が、図3Cに示されている表面ホログラフィック特徴物上に配置されることができる。平坦化された表面ホログラムは、付加的な層が表面ホログラムの上に形成されることを有利にすることができると共に、表面特徴物を保護することができ、その結果、より丈夫な構造がもたらされる。平坦化は、複数の光収集フィルムの積層をより有利にさせることができる。
【0039】
図4Aは、透過型体積ホログラムを備える実施例400の一つの製造方法を示す。この方法は、光導体401の上面に感光性プレート、感光性フィルム又は感光性層405を配置するステップを備える。上記の通り、感光性プレート、感光性フィルム又は感光性層405は、積層されてもよく、例えば、接着材で光導波路401上に付着されてもよい。この接着材は、光導波路401に屈折率整合(index−matched)されていてもよい。他の実施形態において、感光材料が、光導波路401に被覆される。ある実施形態では、感光性プレート、感光性フィルム又は感光性層405は、ホログラム記録材料と呼ばれ得る。感光性プレート、感光性フィルム又は感光性層405は、写真乳剤(photographic emulsions)、重クロム酸ゼラチン(dichromated gelatin)、フォトレジスト(photoresists)、フォト熱可塑性物質(photothermoplastics)、フォトポリマー(photopolymers)、フォトクロミック(photochromies)、光屈折物質(photorefractives)を含むことができる。幾つの実施形態において、ホログラム記録材料は、ハロゲン化銀からなる層又は他の感光性化学薬品を含むことができる。回折特徴物は、干渉パターンのような光のパターンに感光材料を露出させることによって、感光材料に形成できる。
【0040】
特定の実施形態において、上記の方法は、例えば、光導波路401の前方へ第1の光源408及び第2の光源407を配置するステップを備える。結合プリズム(coupling prism)406は、ホログラム記録材料405上に配置される。その結果、第1の光源408(参照ビームとも呼ばれる)からの光線は、急な角度でホログラフィック材料に入射することができ、光導波路401の導波モードと成り得る。第2の光源407からの光線(物体ビームとも呼ばれる)は、結合プリズムを通過して、ホログラフィック記録材料の方向へ導かれる。物体ビームと参照ビームとの間の干渉は、ホログラム記録材料上に記録される。写真用(photographic)プレート、写真用フィルム又は写真用層405が現像された後、図4Bに示すように、実施形態400は、太陽光線を集めて導波させるために用いられ得る。太陽光線に露出される実施形態400は、物体ビームとほぼ同じ入射角を有する太陽光線を転向させ、光導波路401を介してそれらを導波させる。入射された太陽光線は、導波された参照ビームとして、同一方向に沿って光導波路401内で導波される。
【0041】
複数のホログラムは、図4Cに示すように、参照ビーム及び物体ビームの角度を変えることにより記録され得る。図4Cにおいて、光線411oは、第1の入射角で入射する物体ビームを示し、光線412oが第2の入射角で入射する物体ビームを示す。光線411r及び光線412rは、それぞれ物体ビーム411o及び412oに対応する参照ビームを表す。第1の角度で入射する太陽光線は、集められて、光導波路によって、参照ビーム411rの方向に沿って伝搬される一方、第2の角度で入射する太陽光線は、集められて、光導波路によって、参照ビーム412rの方向に沿って伝搬される。このように複数のホログラムを備える転向層は、複数の角度で入射される太陽光線を集め、導波できる。
【0042】
複数のホログラムは、参照ビームの波長及び/又は入射角を変化させることによって、記録され得る。例えば、一実施形態において、参照ビームの3つの異なる波長(例えば紫外線の波長、青色の波長及び緑の波長)に対して3つの異なるホログラムが記録され得る。幾つの実施形態において、参照ビームの波長は、約325μm、約365μm、約418μm及び約532μmであり得る。適当な記録媒体が利用できる場合、赤いレーザー装置が、参照ビームとして用いられることが可能である。参照ビームの異なる波長を用いた記録用の複数のホログラムは、太陽スペクトルの光の波長のより幅広い範囲を集めるのに有利と成り得る。
【0043】
図5Aは、反射ホログラムを備える実施形態500を製造する方法を示す。本実施形態において、方法は、感光性プレート、感光性フィルム又は感光性層505を光導体501の底面に配置するステップを備える。写真用プレート、フィルム又は層は、光導波路501の底面に被覆されることができ、又を、積層できる。図4Aに関して上述したように、接着剤は、感光性プレート、フィルム又は層を光導波路501接続するために用いることができる。参照レーザー源508は、光導波路501の後方に配置され、その結果、参照ビームが光導波路501の底面上に入射される。上述のように、参照プリズム506が、急な角度(例えば角度θ”)で参照ビームを結合させて、光導波路501の導波モードであるビームを生成するのに用いられることが可能である。光源507は、光導波路501の後側に配置され、その結果、物体ビームが光導波路501の上部表面に入射される。光源507から出射される物体ビームと参照ビームとの間における干渉パターンは、ホログラム記録材料上に記録される。図5Bに示すように、図5Aの光源507からの物体ビームとほぼ同じ入射角で光導体501上に入射する太陽の光線は、ガイド参照ビームの方向に沿って光導波路により伝搬される。
【0044】
記録ホログラムの他の方法も、可能である。例えば、一実施形態において、所望の導波モードを生成する原版・ホログラフィック・パターン(master holographic pattern)は、エンボス加工するために用いることができる回転フィルム又は層に所望のホログラフィック・パターンをエンボス加工するのに用いることができ、又は光学的方法を介して所望のホログラフィック・パターンを再生するのに用いることができる。所望の導波モードを生成するホログラフィック・パターンは、光学的方法を用いて、又はコンピュータプログラム(例えば、コンピュータ生成ホログラム)を用いて作られることもできる。
【0045】
上で製造される光転向要素を備える光導波路は、太陽光線を集めて、集光させるために用いることができ、それ故、光コレクタと呼ばれ得る。この光コレクタ上に入射する光は、相当な部分が捕獲されると共に、集光されない光コレクタ上の環境光の一部がそのまま残り、光コレクタの外へと向きを変えられ得る。その結果、光コレクタの収集効率が低下される。低い収集効率を改善するために、複数の光コレクタは、積層状に含まれ得る。幾つかの実施形態において、複数の光コレクタ層(light collector layers)は、光転向要素と共に配置された光導波路を備える。光転向要素は、体積回折特徴物、表面回折特徴物、体積ホログラム、又は表面ホログラムから成り、上面の光導波路を透過した光が、下部の光導波路によって、受け取られることが可能である。
【0046】
図6は、3つの光導波路層601a、601b及び601cを備える実施形態を示す。エアギャップ603が連続する任意の2枚の光導波路層の間に含まれるように、3枚の光導波路層が積層されている。光転向要素602a、602b及び602cは、光導波路層601a、601b及び601cの表面上に配置されている。各光転向層は、異なる角度で光を転向させる体積レリーフ回折特徴物又は表面レリーフ回折特徴物を備える。図6において、例えば、円錐604内の環境光は、光導波路601a上に配置された光転向要素602a上に入射する。光転向要素602aは、入射光線を導波モード(guided modes)に変えることができる。臨界角より大きい角度で光転向要素602aから結合される光の光線、例えば円錐605内である光の光線は光導波路601aの導波モードと結合される。臨界角より少ない角度で光転向要素602aから導かれた光線、例えば円錐606内の光線は、収集されず、光導波路601b上に配置された光転向要素602bに入射する。光転向要素602bは、それに入射する光を転向させることができる。臨界角より大きい角度で光転向要素602bから結合される光の光線、例えば円錐607内に位置する光の光線は、光導波路601bの導波モードに結合される。一方、臨界角より小さい角度で光転向要素602bから導かれた光の光線、例えば、円錐608内に位置する光の光線は、光導波路601bから出力されて結合される。同様に、光転向要素602cは、光転向要素602c上に入射する光を転向させることができる。臨界角より大きい角度で光転向要素602cから結合される光の光線は、例えば円錐609内に位置する光の光線は、光導波路601cの導波モードに結合される。このように、環境光の大部分は、上記の複数の光導波路積層体によって、集められ得る。幾つかの実施形態において、結合されるすべての層の累積的な光収集効率は、所望の角及びスペクトル範囲において、ほぼ100%に近づくことができる。ある実施形態では、光転向要素602a、602b及び602cは、ほぼ同じであるか異なる角度に、入射光を転向させることができる。特定の実施形態において、光転向要素602a、602b及び602cは、異なる表面レリーフ回折特徴物(surface relief diffraction)又は表面ホログラムを備えることができ、3つの光転向要素のそれぞれは、光の異なる波長を収集する。ある実施形態では、異なる光導波路601a、601b及び601cは、異なる波長の光を集めることができる。一実施形態において、積み重ねられた光導波路は、(例えば可視波長のための)光電池によって、電気エネルギー源に変換され得る光の波長だけを収集できる。一方、光電池又は光導波路或いはホログラフィック材料に損害を与えることができる紫外線の紫外線(UV)及び赤外線(IR)の放射光は、光導波路層の外側に透過される。導波されたUV放射光及びIR放射光は、熱生成要素等の他の要素に伝達され得る。このような熱生成要素は、例えば、温水又は熱を提供するために、水を加熱できる。幾つかの実施形態では、水、油等の他の液体は、蒸気を形成できる。この蒸気は、一つ以上のタービンを駆動して、電気を発生させるために用いることができる。太陽輻射から熱を発生させるこれらの方法は、太陽熱生成と呼ばれ得る。様々な実施形態において、水、油又はガス等の流体を加熱して電気及び/又は機械の電力を発生させるために、太陽熱生成器が用いられることが可能である。
【0047】
図7は、光導波路層701a、701b及び701cを備える複合光コレクタを例示する。光導波路層701a、701b及び701cは、その間にエアギャップが介されることなく、一緒に積層され得る。光転向要素702a、702b及び702cは、光導波路層701a、701b及び701cの上面上に配置されている。光導波路及び光転向要素は、一緒に積層され得る。幾つかの実施形態では、すべての光導波路及び光転向要素は、図7に示すように一緒に光学的に結合され、単一の光導波路を形成できる。複合光導波路の上面上に入射する光は、他の光転向フィルム又は光転向層702a(702b及び702c)のいずれかと相互に作用することができ、光導波路の導波モードに変換され得る。光導波路を積層するこの方法の1つの利点は、複合光導波路層の総合の厚さが減少され得るということである。幾つかの実施形態において、複合光導波路のような全体の厚みは、1cm未満でありえるが、この範囲外の値であってもよい。例えば、一実施形態において、複合光導波路がエアギャップを有しながら積層される場合、光導波路の厚みは1cmより大きくなりうる。複数層から成る複合光導波路の各層の厚みは、ほぼ1mmでもよい。幾つかの実施形態では、光導波路の厚みは、0.5mm未満でもよい。若干の他の実施形態において、光導波路の厚みは、1mm未満でもよい。
【0048】
図8は、複数の光導波路801a、801b及び801cを備える複合光コレクタを示す。各光導波路801a、801b及び801cは、低屈折率材料層803によって、離間している。低屈折率材料層803は、幾つかの実施形態において、クラッドと呼ばれることがある。様々な実施形態において、低屈折率材料層803は、各光導波路を光学的に絶縁させる(optically isolate)ことができる。このように、幾つかの実施形態において、低屈折率材料の層803は、光学絶縁層(optical isolation layer)と呼ばれ得る。複合光コレクタは、更に光導波路801a、801b及び801cの表面上に配置された光転向要素(例えば802a、802b及び802c)を備える。図6に関して上述したように、複合光導波路の上面上に入射される光の第1部分は、光導波路801aにより導波される一方、複合光導波路の上面上に入射される光の第2部分が光導波路801aにより透過される。第2部分はその後、光導波路801bに入射する。光導波路の積層体の上面上に入射される光の一部分は、光導波路801bにより導波される一方、光導波路801bに入射される光の他の部分は光導波路801bの外側に透過され、光導波路801cに入射する。このプロセスは、所望の角度及び/又はスペクトル範囲の光の大部分が集光されて、複合光コレクタにより導波されるまで繰り返される。
【0049】
上記の積層された複合光コレクタのあらゆる実施形態に対して、光収集効率は、各光転向要素が異なるスペクトル領域の光のみならず異なる円錐角の光を捕えるか又は集めるように設計することによって、更に増加できる。以下、この概念の詳細について説明する。図9に示される一実施形態900において、複数の光導波路層901、902、903、904、905及び906は、複合光収集構造を形成するために、一緒に積み重ねられる。太陽電池913は、図9に示すように複合光収集構造に対して、横に配置されることができる。光導波路層901〜906は、図9Aに示すように回折特徴物又はホログラム907〜912を備える光転向要素を更に備える。異なる光転向要素907〜912は、異なる角度の、空気等の周囲の媒体からの光コレクタ上に入射される光を捕獲するように構成される。例えば、一実施形態において、光転向要素907は、光の光線を捕獲できるか又は集めることができる。その光の光線は、光転向要素907の法線に対して約0度〜−15度に入射される。光転向要素908は、光転向要素908の法線に対して約−15度〜−30度に入射される光の光線を集めることができる。一方、光転向要素909は、光転向要素909の法線に対し約−30度〜−45度に入射される光の光線を集めることができる。光転向要素910は、光転向要素910の法線に対し約0度〜15度に入射される光の光線を集めることができる。光転向要素911は、光転向要素911の法線に対し約15度〜30度に入射される光の光線を集めることができる。そして、光転向要素912は、光転向要素912の法線に対し約30度〜45度に入射される光の光線を集めることができる。このように、複合光収集構造は、複合光導波路の表面の法線に対して−45度と45度に入射される光の光線を効果的に集めることができる。幾つかの実施形態において、複合光収集構造は、複合光導波路の表面に法線に対してほぼ−80度と80度の間の光を効果的に集めることができる。ある実施形態では、複合光収集構造は、複合光導波路の表面に法線に対してほぼ±70度間の光又は±60度間の光又は±50度間の光を効果的に集めることができる。上で特定される集束角度(collection angles)は、例に過ぎない。集束角度の他の範囲は、様々な他の実施形態において、可能である。
【0050】
各々の異なる光円錐を集めるように構成されるいくつかの集光層を積層することによる1つの可能な効果は、光コレクタの方向を機械的に変えずに、一日中の殆どの時間帯において、効率的に集光できることである。例えば、朝及び夕方においては、太陽の光線は、斜めの角度(grazing angles)で入射し、正午においては、太陽の光線は、法線に近い角度で入射する。図9に記載されている実施形態によれば、朝、午後及び夕方において、ほぼ等しい効率で光を集めることができる。
【0051】
図10は、一緒に積み重なる複数の光導波路層1001、1002及び1003を備える実施形態を示す。各光導波路層は、それぞれ回折特徴物又はホログラムを含む光転向要素1004、1005、及び1006を更に備える。光電子(PV)電池1007、1008及び1009は、光導波路1001、1002及び1003のそれぞれに対して横方向に配置される。光転向要素1004、1005及び1006のそれぞれは、対応する太陽電池のバンドギャップに等しいエネルギーを有する様々なスペクトル領域の光を集めるように構成される。例えば、図10に示すように、入射ビーム1010は、スペクトル範囲Δλi内の光を含み、入射ビーム1011は、スペクトル範囲Δλ2内の光を含む。入射ビーム1012はスペクトル範囲Δλ3の光を含み、入射ビーム1013はスペクトル範囲Δλ4の光を含む。ある実施形態では、スペクトル範囲Δλi、Δλ2及びΔλ3は、青い、緑の及び赤い光に対応できる。光転向要素1006は、スペクトル範囲Δλiの光を効率的に集めることができ、光導波路1001の導波モードに変換させ、収集された光を太陽電池1007に導く。太陽電池1007のバンドギャップは、効率的にスペクトル範囲Δλiの光を吸収する。同様に、光回転部材1005及び1004は、スペクトル範囲Δλ2及びΔλ3の光を効率的に集めることができ、光導波路1002及び1003の導波モードに変換させ、それらをそれぞれ太陽電池1008及び1009に導く。太陽電池1008及び1009のバンドギャップは、それぞれスペクトル範囲Δλ2及びΔλ3の光を効率的に吸収する。また、図10に図示される実施形態においては、例えばIR又はUVの望ましくないスペクトル範囲内にあるスペクトル範囲Δλ4の光を含む光線1013が示されている。光線1013は、光転向要素1004、1005及び1006のいずれによっても転向されず、外側へ透過される。
【0052】
本願明細書において、記載されているように、異なるホログラフィック層又は回折光学要素を有する複数の光導波路又は光導波路層は積み重なることができる。3枚の異なるホログラフィック層又は回折光学要素を有する3つの光導波路又は光導波路層が図6〜8及び10に示されるにもかかわらず、多少異なるホログラフィック層又は回折光学要素を有するより多い又はより少ない光導波路又は光導波路層が用いられることが可能である。同じ構成が、積層体全体にわたって使われる必要はない。例えば、エアギャップは、幾つかの光導波路を分離するために用いることができる一方、低インデックス材料が他の光導波を分離するために用いることができる。加えて、互いに光学的に絶縁されない光導波路層は、光学的に絶縁された一つ以上の光導波路を含むこともできる。複数のスタックの使用は、効率を改善できる。複数のホログラフィック層の効率は、例えば、通常、単一層において、記録される複数のホログラムの効率より高い。したがって、ホログラムによって回折し、例えば光電池に結合する光の量は、増加され得る。
【0053】
様々な実施形態において、光ファイバは、例えば1センチメートル未満に細い。光導波路は、特定の実施形態において、例えば1mm、0.5mm又は0.25mm未満でもよい。したがって、光導波路は、薄膜と呼ばれてもよい。このような薄膜は、ポリマー又はプラスチックを備えることができる。このような薄膜は、軽くてもよく、可撓性でもよく、安価でもよく、容易に製造され得る。
【0054】
回折特徴物を備える光転向要素は、例えば、100μm未満に薄くてもよい。光転向要素は、例えば特定の実施形態において、50μm未満、10μm未満又は1μm未満でもよい。同様に、光転向要素は、薄膜と呼ばれてもよい。このような薄膜は、感光材料(photosensitive material)を備えることができる。例えば、一実施形態において、光転向要素は、デュポン(DuPont)、ウィルミントン(Wilmington)、DEから製造されたホログラフィックポリマーを含むことができる。
【0055】
様々な実施形態において、光転向要素は、光導波路を備えるキャリアの上に形成される。上記の通りに、このキャリアは、厚さ1ミリメートル未満(例えば、0.5mm未満、0.3mm又は0.1mm)の薄膜でもよい。同様に、このキャリアは、ポリマー又はプラスチックを備えることができ、可撓性であることができ、また安価でありえる。
【0056】
ホログラフィック記録材料はキャリア上へ被覆されていることができる。そして、ホログラム又は回折光学要素はコーティングにおいて、記録されることができる。このコーティングは、光転向特徴物を形成するために、幾つかの実施形態において、現像され得る。ある実施形態では、コーティング内の光転向特徴物をキャリアの上に形成するために原版が用いられ得る。光学的方法が、コーティング内の光転向特徴物を形成するために、原版と連動して用いられることが可能である。エンボス加工のような他の方法は、光転向特徴物を原版から形成するために用いることもできる。
【0057】
原版は、例えば、ドラムに上配置されていてもよく、その上にコーティングを有するキャリアが回るドラム(rolling drum)を通過し、コーティング内に回折特徴物を作成できる。幾つかの実施形態では、このような構成が、エンボス化プロセスで使われる。幾つかの実施形態では、例えば、図3Cに示されているような回折特徴物上にある層が配置され、例えば表面を平坦化して及び/又は回折特徴物を保護する。幾つかの実施形態において、その層は、光転向要素より低い屈折率を有する低屈折率材料を備えることができる。
【0058】
大きな原版を作製するために、第1の原版は、コンピュータ生成を介した光学的方法を使用して製造されることができる。幾つかの実施形態において、このような第1の原版は、フォトリソグラフィ及びエッチング法により形成される特徴を有するウェーハを備える。他の方法が、この第1の原版を製造するために用いることができる。この原版が、複数の同等の電鋳(electroforms)の製造に用いられ得る。幾つかの実施形態において、これらの電鋳は、幅及び長さが12インチ未満でありえる。幾つかの実施形態では、電鋳は、幅及び長さがほぼ6インチでありえる。電鋳は、より大きな原版を生産するために、基板上にアレイ状に載置され得る。このような原版は、例えば、10つ〜20つの電鋳を含むことができる。より大きな原版は、その中に特徴物を有する大きなシートを加工するのに用いることができる。ホットエンボシング(hot embossing)、UV―エンボシング(UV−embossing)、その他のエンボシングが、使うことができる。他の方法が、使用されることもできる。幾つかの実施形態において、このようなシートは、幅が1メートルより大きいことができる。この方法は、例えばレンズ、プリズム及び/又は鏡の過度に大きい光学装置を使用することなく大きなシートを製造することを可能にする。
【0059】
他の実施形態では、光導波路を含み得る基礎フィルム又はキャリア上に形成されたホログラフィック特徴物又は回折回転特徴物のシートは、一般の搬送フィルム上に配置されている。この搬送フィルムは、ストリップより広くてもよい。一実施形態において、例えば、ストリップは、幅が5cm〜10cmであり、幅が約1mのキャリア上に配置される。しかしながら、これらの範囲外の寸法も、可能である。接着剤が、ホログラフィック層又は回折層をキャリアフィルム上に付着するために用いてもよい。例えば、ホログラフィック特徴物又は回折回転特徴物がその上に配置されたキャリア層、接着剤層及び基礎フィルム層の一部の層又は全部の層は、光導波路として作動することができて、その内において、光を伝搬できる。
【0060】
上述の通り、光コレクタは、日光を捕獲して、それを電気に変換するために、太陽電池と統合されることができる。図11Aは、光コレクタ1102と統合される太陽電池1101の斜視図を示す。光コレクタ1102は、前面102fと背面1102rとを備える。光コレクタ1102は、更に、前面102fと背面1102rとの間に複数の端1102eを備える。太陽電池1101は、図11Aに示すように一つ以上の複数の端1102eに対して、横方向に配置されることができる。光コレクタは、異なる入射角及び異なる波長の光を捕獲し、集めるように形成されることができ、捕えられた光を一つ以上の太陽電池に導く。
【0061】
図11Bは光コレクタ1102と光コレクタ1102の一縁部に沿って配置された太陽電池1101とを備える一実施形態の平面図を示す。図11Cは、2つの太陽電池1101が、光コレクタ1102の2つの異なる端に沿って配置されている一実施形態の平面図を示す一方、図11Dは4つの太陽電池1101が、光コレクタ1102の4つの異なる端に沿って配置されている一実施形態の平面図を示す。4つ以上の太陽電池が光コレクタの一つ以上の端に沿って配置される他の実施形態も可能である。光コレクタは、入射光線の異なる波長が異なる太陽電池に方向付けられるように設計され得る。幾つかの実施形態において、太陽電池は、光コレクタ1102の一つ以上の角に配置されることができる。
【0062】
入射光線の望ましくない波長は、光コレクタから図12に示すように光コレクタの後方に配置された太陽熱変換器の方へ透過されることができる。図12は、入射光線から熱及び電気を発生させることができるシステムの側面図を示す。図12の図示した実施形態には、光コレクタ1201を備える。光コレクタ1201は、光導波路と回折特徴物又はホログラムを有する光転向層とを備える。図12の図示した実施形態は、光コレクタ1201の端に対して横方向に配置された太陽電池1202を更に備える。入射される太陽輻射の一部は、集められ、光コレクタ1201によって、太陽電池1202へ向かって導波され、太陽電池1202において、電気に変換される。太陽輻射の望ましくないスペクトル周波数(例えばUV及びIRの周波数)は、光コレクタ1201を透過して、熱発生要素1203へ導かれる(例えば太陽熱変換器のために)。
【0063】
光を集めて、集光して、光を光電池に導波する表面回折特徴物又はホログラムを含む光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムを使用する方法は、太陽電池の効率を向上させるのに用いられることが可能である。また、この方法によって、安価で、軽量で、環境的に安全で、丈夫にすることができる。光電池に結合された光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムを備える太陽電池は、太陽電池のパネルを形成するように配列され得る。この方法を使用して形成される太陽電池パネルは、より軽量になることができると共に、環境的に安全となり、且つ丈夫となり得る。また、比較的容易に改良され得る。例えば、より効果的な光電池のより新たなジェネレーションとして利用できる。これらのパネルによって、以前の太陽電池は、より新規な太陽電池と置き換えられることが可能である。光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムは、比較的容易と置き換えられることもできる。
【0064】
太陽電池のこのようなパネルが、様々な用途で用いられることが可能である。例えば、複数の光コレクタを備える太陽電池のパネルは、光学的に、太陽電池に結合される。太陽熱発生器は、居住用居住施設又は商業ビルの屋根上面に載置されることができ、又は、図13で図示したように、ドア及びウインドウ上に配置され、補足的に電力を家又は事業へ供給する。光コレクタは、透明又は半透明のプレート、シート又はフィルム形でありえる。住宅又は建築又は水道管を加熱する屋根上面等の光コレクタにより、例えば、赤外線は光コレクタの下の空間領域を通して通過され得る。光コレクタは、入射光線を集めるか又は捕獲することに加えて美的目的のために、所望の色(例えば赤又は茶色)を反射する反射型ホログラムを有する光転向層を備えることができる。光コレクタは、剛性を有しても、可撓性を有してもよい。幾つかの実施形態では、光コレクタは、十分な可撓性を有し、巻かれることができる。このようなシート1308を備える太陽電池パネルは、図13に示すように窓ガラス上に取り付けられることが可能である。光収集シートは、透明であることができ、ウインドウを透かして見ることができる。しかしながら、光収集シートは、光を太陽電池に向きを変えることによって、光の一部を減衰させることができる。幾つかの実施形態において、光収集シートは、ニュートラル濃度フィルタ(neutral density filter)として作動し、可視スペクトル及び不可視スペクトル(例えば、赤外線スペクトル)全体にわたる透過を実質的に一定の量に減衰させる。したがって、この種のシートは、家及び建物における眩輝(glare)を減少させることができ、その中の温度を低下させることができる。光収集シートは、色付けられていてもよい。幾つかの実施形態では、光コレクタは、波長フィルタ特性を有し、紫外線放射又は他の不可視スペクトルの成分(components)を透過させる。ある実施形態では、光収集シートが、巻き上げ又は巻き下げることができるブラインドとして用いられることができ、又は巻き上げ又は巻き下げることができるブラインド上に取り付けられ得る。
【0065】
他の用途では、光コレクタは、図14及び15に示すように車及びラップトップ上に載置することができ、それぞれ電力を供給する。図14において、光収集プレート、シート又はフィルム1404は、自動車の屋根上に取り付けられる。光電池1408は、光コレクタ1404の外縁に沿って配置されることができる。光電池によって、発生する電力は、例えばガス、電気又はガス及び電気の両方によって、駆動する車両のバッテリを再充電するために、又は電気部品を駆動させるために使うことができる。図15において、光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1504は、ラップトップの本体(例えば外部ケーシング)上に取り付けられることが可能である。これは、電気的接続部(electrical connection)がないラップトップに電力を印加する際に有利であり得る。或いは、光学的に光電池に結合される光ガイド収集装置は、ラップトップ用の電池を再充電するために用いられ得る。
【0066】
幾つかの実施形態において、光学的に光電池に連結された光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムは、衣料品又は靴上に取り付けられることが可能である。例えば、図16は、ジャケット又はベストの下端部(lower periphery)上に配置された光電池1608に光学的に結合された光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1604を備えるジャケット又はベストを示す。幾つかの実施形態では、光電池1608は、ジャケット又はベスト上の他の部分に配置されてもよい。光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1604は、環境光を集め、集光させ、光電池1608に導くことができる。光電池1608によって、発生する電気は、例えばPDA、MP3プレーヤ、携帯電話の携帯用デバイスを駆動するために用いられ得る。代替的に、光電池1608によって、発生する電気は、航空会社の地上整備員、警察、消防又は暗い所の救急労働者により着用されるベスト及びジャケットを明るくして透視距離を増加させるのに用いられ得る。図17に図示される他の実施形態において、光収集プレート、シート又はフィルム1704は、靴上に配置されてもよい。光電池1708は、光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1704の外縁に沿って配置されていてもよい。
【0067】
光電池に結合される表面回折特徴物又は表面ホログラムを有する光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムを含む太陽電池のパネルは、飛行機、トラック、電車、自転車、帆船、衛星及び他の車両或いは構造物上に取り付けられ得る。例えば、図18に示すように、光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1804は、飛行機の翼又は飛行機の窓ガラス上に取り付けられることが可能である。光電池1808は、図18に図示したように、光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムの縁部に沿って、配置されることができる。発生する電気は、電力を航空機の部品へ供給するために用いることができる。図19は、帆船におけるナビゲーション計測器又は装置、例えば冷蔵庫、テレビ及び他の電気設備に電力を提供する光電池に結合された光コレクタの使用を例示する。光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1904は、帆船の帆に取り付けられる。太陽電池1908は、光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1904の外縁で配置されている。別の実施例において、光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム1904は、帆船の本体、例えば、キャビンの船体又はデッキ上に取り付けられることが可能である。光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルム2004は、図20に示すように自転車上に載置できる。図21は、光電池に光学的に結合され、通信衛星、気象衛星及び他の用途の衛星へ電力を供給する光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムの更なる別の使用を例示する。光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムが、また他の応用のために用いられることが可能である。
【0068】
図22は、十分な可撓性を有して巻かれ得る光収集シート2204を例示する。光収集シートは、光電池に光学的に結合される。図22に記載されている実施形態は、巻かれることができ、キャンピング又はバックパック旅行に携帯でき、屋外において、又は電気接続が弱い遠隔位置において、電力を発生させることができる。加えて、光電池に光学的に結合された光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムは、様々な構造又は製品に取り付けられることができ、電力を供給し得る。
【0069】
光電池に光学的に結合された光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムは、モジュール方式の付加的な効果を有することができる。例えば、デザインに応じて、光電池は、光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムに選択的に取り付けることができ、又は光収集プレート、光収集シート又は光収集フィルムから着脱可能となるように構成されることができる。このように、既存の光電池は、全システムを交換することなく、周期的に新規な光電池又はより効率的な光電池で交換され得る。光電池のこの交換性は、維持又は実質的な改良のコストを低減できる。
【0070】
様々な他の用途も、可能である。フィルム、層、部品及び/又は要素は、加えられることができ、取り外されることができ、又は再配置できる。加えて、処理ステップは、加えられることができて、省略されることができ、又は再配置できる。また、本願明細書において用いられる、フィルム及び層という用語は、フィルムの積層体及び多層フィルムを含む。そのようなフィルムの積層体及び多層フィルムは、接着剤で他の構造に付着されてもよく、又は堆積或いは他の方法で他の構造に形成されることができる。
【0071】
上記の実施例は、単に典型的な例に過ぎず、本願明細書において、開示される発明の概念を逸脱しない範囲で、当業者は上記の実施例の様々な修正し又は変形できる。これらの実施形態に対するさまざまな変更態様は、直ちに当業者にとって明らかであってもよく、本願明細書において、定められる一般的な原理は、本願明細書において、記載されている新態様の範囲を逸脱しない範囲で、他の実施形態に適用されることができる。このように、開示の範囲は、本願明細書において、示される実施形態を限定することが意図されておらず、原理及び本願明細書において、開示された新特徴と整合した最も広い範囲である。本願明細書において、「典型的である」という語は、もっぱら「例証、例、又は説明として提供する」ということを意味するために使われる。「典型的である」と本願明細書において、用いられるいかなる実施形態も、必ずしも他の実施形態と比べて好適であるか有利であると解釈されることになっているというわけではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの光コレクタであって、上面および底面を有する光導波路と、前記光導波路の前記上面上に入射される環境光の向きを変えるように構成された複数の回折特徴物とを備える光コレクタと、
少なくとも一つの光電池と、
太陽熱生成器と、
を備える、太陽エネルギー収集装置。
【請求項2】
光を導波するための光導波手段と光回折手段とを備える少なくとも一つの光収集手段であって、前記光導波手段が上面と底面とを備え、前記光回折手段が前記光導波手段の前記上面上に入射される環境光の向きを変えるように構成され回折する光収集手段と、
光を吸収するための少なくとも一つの光吸収手段であって、吸収された光から電気信号を生成するように構成された光吸収手段と、
熱エネルギーを電気エネルギー又は機械エネルギーに変換するための熱エネルギー変換手段と、
を備える、太陽エネルギー収集装置。
【請求項3】
前記光収集手段が、光コレクタを備え、
または、光導波手段が、光導波路を備え、
前記光回折手段が、複数の回折特徴物を備え、
または、前記光吸収手段が、光電池を備え、
または、前記熱エネルギー変換手段が太陽熱生成器を備える、請求項2に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの光コレクタが、前記光コレクタの表面の法線に対して、約−45度と約45度との間の入射角で入射する環境光を集める、請求項1又は3に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの光コレクタが、前記光コレクタの表面の法線に対して、約−30度と約30度との間の入射角で入射する環境光を集める、請求項1又は3に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの光コレクタが、前記光コレクタの表面の法線に対して、約−15度と約15度との間の入射角で入射する環境光を集める、請求項1又は3に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの光電池が前記少なくとも一つの光コレクタに対して横方向に配置される、請求項1又は3に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項8】
前記太陽熱生成器が前記少なくとも一つの光コレクタの後方に配置される、請求項1又は3に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項9】
第1のスペクトル範囲内の環境光が前記第1の光電池へ導かれ、第2のスペクトル範囲内の環境光が、前記太陽熱生成器へ導かれる、請求項1又は3に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの光コレクタが赤外線を前記太陽熱生成器へ透過させるように構成されている、請求項1又は3に記載の太陽エネルギー収集装置。
【請求項11】
少なくとも一つの光コレクタであって、上部および底面を有する光導波路と前記光導波路上に入射される環境光の向きを変えるように構成された複数の回折特徴物とを備える少なくとも一つの光コレクタを形成するステップと、
第1の光電池を形成するステップと、
太陽熱生成器を形成するステップと、
を備える、太陽エネルギー収集装置の製造方法。
【請求項12】
前記複数の回折特徴物が前記光導波路上に配置されている、請求項11に記載の太陽エネルギー収集装置の製造方法。
【請求項13】
前記複数の回折特徴物が前記光導波路上にエンボス加工される、請求項11に記載の太陽エネルギー収集装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図9A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−80967(P2013−80967A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−12050(P2013−12050)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2010−546854(P2010−546854)の分割
【原出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(508095337)クォルコム・メムズ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (133)
【Fターム(参考)】