説明

2次元バーコード読取装置

【課題】視覚障害のある人や携帯電話を操作することが困難な人などでも、比較的簡単な操作で、2次元バーコードを的確に読み取ることができる2次元バーコード読取装置を提供すること。
【解決手段】筒状体の一端開口部には組み込まれているカメラのレンズが他端開口部に対向するように携帯電話を保持する携帯電話ホルダが取り付けられ、他端開口部には印刷された2次元バーコードが前記カメラの焦点範囲に位置するように被写体を保持する被写体ホルダが取り付けられたことを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元バーコード読取装置に関し、詳しくは、携帯電話に組み込まれているカメラ機能を用いて2次元バーコードを読み取る装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2次元バーコードは、同一印刷面積当たりに一般的な文字列に比べてはるかに大量の情報を書き込めることから、いろいろな分野における情報伝達手段としても広く利用されつつあり、一般消費者の日常生活にも身近なものになりつつある。
【0003】
ところで、近年における携帯電話の多機能化はめざましく、携帯電話に組み込まれているカメラで光学的に読み取った文字列や文字列がコード化された各種コードを音声で読み上げることも実用化されている。
【0004】
たとえば、印刷物に印刷されたり、パソコンのモニタ画面に表示されている2次元バーコードを、2次元バーコードに変換されている文字列の内容を読み上げる機能を有する携帯電話に組み込まれているカメラで読み取ることにより、2次元バーコードに変換されている文字列の内容を音声出力で認識把握できる。
【0005】
従来から、たとえば特許文献1に記載されているように、必要な情報を2次元バーコードとして印刷し、携帯電話に組み込まれているカメラで読み取ることが提案されている。
【0006】
【特許文献1】 特開2002−232584
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、一般的な携帯電話は健常者が使用することを前提に設計されているので、視覚障害のある人が2次元バーコードを読み取るとともに音声読上げ機能を活用するのにあたっては、かなりの苦労を強いられることになる。
【0008】
また視覚障害がなくても、高齢者や手の運動機能に障害がある人が、携帯電話に組み込まれているカメラで2次元バーコードを読み取るために、携帯電話を手ぶれなく安定に保持することは困難である。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に着目したものであり、その目的は、視覚障害のある人や携帯電話を操作することが困難な人などでも、比較的簡単な操作で、2次元バーコードを的確に読み取ることができる2次元バーコード読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を達成する請求項1の発明は、
筒状体の一端開口部には組み込まれているカメラのレンズが他端開口部に対向するように携帯電話を保持する携帯電話ホルダが取り付けられ、
他端開口部には印刷された2次元バーコードが前記カメラの焦点範囲に位置するように被写体を保持する被写体ホルダが取り付けられたことを特徴とする2次元バーコード読取装置である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の2次元バーコード読取装置において、前記携帯電話ホルダおよび被写体ホルダの少なくとも一方が、前記筒状体に対して移動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1記載の2次元バーコード読取装置用補助装置において、前記携帯電話は、2次元バーコードを音声で読み上げる機能を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の2次元バーコード読取装置において、前記2次元バーコードは、QRコードであることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の2次元バーコード読取装置において、前記2次元バーコードは、SPコードであることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の2次元バーコード読取装置において、前記2次元コードが印刷された被写体は所定量の薬剤が包装された分包紙であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
これらにより、利用者は、携帯電話ホルダに所定の方向で携帯電話を取り付けて被写体ホルダに所定の方向で被写体を取り付け、携帯電話のコード読み取り開始ボタンを操作するという単純な作業を行うだけで、被写体に印刷された2次元バーコードの文字列の内容を正確に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について、図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図である。図1において、筒状体10は両端11,12がたとえば矩形に開口されていて、たとえばプラスチック板や厚紙などで構成されている。
【0018】
筒状体10の一端11の開口部には、携帯電話ホルダ20が取り付けられている。この携帯電話ホルダ20は、カメラが組み込まれている携帯電話30を組み込まれているカメラのレンズ31が他端12の開口部に対向するように収納保持するものであり、筒状体10の一端11の開口部上下面を挟持するようにコ字形に形成されたベース21と、携帯電話30を組み込まれているカメラのレンズ31が他端12の開口部に対向するように収納保持する保持部22とで構成されている。この携帯電話ホルダ20も、たとえばプラスチック板や厚紙などで構成されている。
【0019】
ベース21の中央部分には、携帯電話30のメーカーや機種によって異なるカメラのレンズ31の位置の違いを解決するために、長手方向に沿って切り抜かれた矩形の窓部21aが設けられている。また、ベース21の上下部折り曲げ辺21b,21cの少なくとも一方たとえば上部折り曲げ辺21bの筒状体10との対向面には、筒状体10の一端11の開口部上面に列状に設けられている携帯電話ホルダ20の水平方向の取り付け位置を決めるための位置決め体13と互いに嵌め合うように、複数の位置決め体21dが設けられている。
【0020】
保持部22の開口上部には、携帯電話30の挿入端部32を迅速確実に保持部22の開口部に案内するように、テーパーガイド辺22a〜22cが設けられている。なお、ベース21に対する保持部22の垂直方向の取り付け位置は、ベース21の窓部21aの両側辺近傍に長手方向に沿って複数の取り付け穴21e,21fを設けるとともに、保持部22のベース21との対向面にはこれら取り付け穴21e,21fに挿抜可能に係り止めされる図示しないL字形の係止ピンを設けておくことにより、任意に調整できる。
【0021】
筒状体10の他端開口部12には、被写体ホルダ40が取り付けられている。この被写体ホルダ40は、被写体50に印刷された2次元バーコード51が携帯電話30のカメラのコード撮影モードでの焦点範囲に位置するように被写体50を保持するものであり、筒状体10の他端12の開口部上面と対向するようにL字形に形成されたベース41と、印刷された2次元バーコード51が携帯電話30のカメラのレンズ31と対向するように収納保持する保持部42とで構成されている。この被写体ホルダ40は、たとえば透明のプラスチック板で構成されている。
【0022】
ベース41の上部折り曲げ辺41aの筒状体10との対向面には、筒状体10の他端12の開口部上面に列状に設けられている被写体ホルダ40の水平方向の取り付け位置を決めるための位置決め体14と互いに嵌め合うように、複数の位置決め体41bが設けられている。
【0023】
保持部42の開口上部には、被写体50の挿入端部52を迅速確実に保持部42の開口部に案内するように、テーパーガイド辺42a〜42cが設けられている。なお、ベース41に対する保持部42の垂直方向の取り付け位置は、ベース41の両側辺近傍に長手方向に沿って複数の取り付け穴41c,41dを設けるとともに、保持部42のベース41との対向面にはこれら取り付け穴41c,41dに挿抜可能に係り止めされるL字形の係止ピン42d,42eを設けておくことにより、任意に調整できる。
【0024】
図2は図1の動作説明図であり、組み込まれているカメラのレンズ31が他端12の開口部に対向するように携帯電話30が携帯電話ホルダ20に収納保持され、印刷された2次元バーコード51が携帯電話30のカメラのレンズ31と対向するように被写体50が被写体ホルダ40に収納保持された状態を示している。
【0025】
ここで、携帯電話30のカメラのレンズ31と被写体50との距離Lは、図2には図示しない筒状体10により、被写体50に印刷された2次元バーコード51が携帯電話30のカメラのコード撮影モードにおける焦点範囲に位置するように調整されているので、使用者は、携帯電話30のカメラをコード撮影モードに設定して携帯電話ホルダ20に所定の方向で収納保持させ、被写体50を被写体ホルダ40に所定の方向で収納保持させて、携帯電話30のコード読み取り開始ボタンを操作するだけの比較的簡単な操作で、被写体に印刷された2次元バーコードの文字列の音声読み上げを聞くことができ、内容を正確に把握できる。
【0026】
特に、被写体50を所定量の薬剤が包装された分包紙とすることにより、1回に複数の分包紙に包装された薬剤を服用する場合や、1日の服用指示が複雑な場合であっても、それらの服用指示の文字列を分包紙に2次元バーコード化しておくことにより、誤服用を大幅に改善できる。
【0027】
なお、被写体50に印刷される2次元バーコード51は、視覚障害者用に特化されたSPコード(登録商標)であってもよいし、各種産業分野で広く用いられているQRコード(登録商標)であってもよいが、現状の携帯電話に組み込まれている2次元バーコードの音声読み上げ機能の大半はQRコード対応であることから、QRコードが現実的な選択といえる。
【0028】
また、図1に示す筒状体10は、使うときにだけ筒状体10に組み立てて使わないときは折り畳み格納するようにしてもよく、携帯や保管に便利である。
【0029】
また、筒状体10も被写体ホルダ40と同様な透明プラスチックで構成することによって、室内光であっても2次元バーコード51の読み取りに必要な明るさを得ることができるが、必要に応じて筒状体10の内部に発光ダイオードなどの補助光源を組み込むようにしてもよい。
【0030】
また、必要に応じて筒状体10の底部に図3に示すようなスペーサ60を設け、携帯電話30が操作しやすいように全体を傾斜させてもよい。
【0031】
また、携帯電話30に組み込まれているカメラに自動焦点調整機能がない場合、図4に示すように筒状体10を重ね合わせて伸縮可能にすることにより、機種ごとの焦点距離の違いに対応できる。
【0032】
また、筒状体10は、図5に示すようにペットボトルの直管部分を切り出し、両端にそれぞれ携帯電話ホルダ20と被写体ホルダ40を取り付けるようにしてもよい。
【0033】
さらに、被写体は、2次元バーコードが印刷されたカードであってもよい。
【0034】
以上説明したように、本発明によれば、視覚障害のある人や携帯電話を操作することが困難な人などでも、比較的簡単な操作で、2次元バーコードを的確に読み取ることができる2次元バーコード読取装置を実現でき、自立支援手段としても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】 本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】 本発明の動作説明図である。
【図3】 本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図4】 本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図5】 本発明の他の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0036】
10 筒状体
20 携帯電話ホルダ
30 携帯電話
40 被写体ホルダ
50 被写体
60 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体の一端開口部には組み込まれているカメラのレンズが他端開口部に対向するように携帯電話を保持する携帯電話ホルダが取り付けられ、
他端開口部には印刷された2次元バーコードが前記カメラの焦点範囲に位置するように被写体を保持する被写体ホルダが取り付けられたことを特徴とする2次元バーコード読取装置。
【請求項2】
前記携帯電話ホルダおよび被写体ホルダの少なくとも一方が、前記筒状体に対して移動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の2次元バーコード読取装置。
【請求項3】
前記携帯電話は、2次元バーコードを音声で読み上げる機能を有することを特徴とする請求項1記載の2次元バーコード読取装置。
【請求項4】
前記2次元バーコードは、QRコードであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の2次元バーコード読取装置。
【請求項5】
前記2次元バーコードは、SRコードであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の2次元バーコード読取装置用補助装置。
【請求項6】
前記2次元コードが印刷された被写体は所定量の薬剤が包装された分包紙であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の2次元バーコード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−87306(P2009−87306A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278154(P2007−278154)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(507319517)エースシステム工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】