説明

2次元光偏向素子

【課題】非対称形状のミラーを用いた場合でも、安定な2軸駆動動作をさせることが可能な2次元光偏向素子を提供する。
【解決手段】ミラー部13と、このミラー部の重心部分をその裏面から支持する支持部18と、支持部の周囲に90度の間隔で、かつ、支持部に対して点対称の位置にそれぞれ装着された4個の永久磁石17a、17b、17c、17dと、これらの永久磁石との間でそれぞれ電磁力が作用するように装着された4個のコイル21a、21b、21c、21dとを備えるとき、第1の軸方向におけるミラー部及び永久磁石の各慣性モーメントの和と、第2の軸方向におけるミラー部及び永久磁石の各慣性モーメントの和とをほぼ等しくするように、各永久磁石の質量に差を有して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光送受信装置の光軸を調整するための2軸偏向素子に関する。
【背景技術】
【0002】
データ信号によって変調された光信号を送信、受信することによりデータ伝送を行う光無線伝送システムにおいて、偏向ミラーによって送信、受信光軸の方向を制御する光無線伝送装置が下記の特許文献1に記載されている。
【0003】
図2は特許文献1に記載された従来の光無線伝送装置の概略構成図である。この光無線伝送装置は、光送受信装置12と、データ供給部7と、偏向角制御信号供給部8と、信号処理部11とで構成されている。このうち、光送受信装置12は、発光素子1、光学素子2、第1光制御素子3A、第2光制御素子3B、反射光学系4、集光光学系5、第1受光素子6、集光光学系9及び第2受光素子10を備えている。
【0004】
次に、この光無線伝送装置の動作について説明する。発光素子1から出射された光は、コリメートレンズなどの光学素子2によって平行光に近いビームに成形され、外部から入射する入射光を反射させる第2光制御素子3Bと、その入射光を透過光と反射光とに分割する第1光制御素子3Aをそれぞれ透過し、偏向角が可変の反射光学系4で反射されて光送受信装置12から送信光として送出される。一方、相手装置から送出されて光送受信装置12に入射した光は、反射光学系4によって反射されてから第1光制御素子3Aによって透過光と反射光とに分割され、このうち、反射光は集光レンズなどの集光光学系5によってフォトダイオード(PD)などの第1受光素子6で集光され、透過光は第2光制御素子3Bによって反射され、集光光学系9によって第2受光素子10に集光される。
【0005】
第1受光素子6は、受光した光を光−電気変換し、受信光の有無又は受光量及び受光方向などの位置情報信号を偏向角制御信号供給部8に供給する。偏向角制御信号供給部8は光送受信装置12から得られた位置情報信号に基づいて、相手装置からの光に自身の受信光軸を合わせるように、反射光学系4を動かす移動方向及び移動量を演算し、反射光学系4の図示しない駆動手段を偏向角制御信号によって駆動する。
【0006】
このとき、偏向角制御信号供給部8は、第1受光素子6に加えられた相手装置からの位置情報信号に基づいて、反射光学系4の偏向方向の駆動手段にフィードバックして閉ループ制御する。これにより、相手装置から発光されて自装置で受光する光軸が高精度で調整される。また、受光の光軸が相手装置から大きく外れ、第1受光素子6に加えられた相手装置からの位置情報信号が得られない場合、まずサーチ動作を行い、相手装置からの入射光が第1受光素子6上に入射される状態とした後、閉ループ制御を行う。
【0007】
反射光学系4を実現する1つの手段として、電磁コイルを用いた2軸光偏向素子22が、例えば下記の特許文献2に記載されている。図3(a)はこの特許文献2に記載された2軸光偏向素子の構成を示す平面図であり、図3(b)はそのA−A矢視断面図である。図3において、2軸光偏向素子22は主にミラー部13と、4つの永久磁石17a、17b、17c、17dと、支持部18とで構成されている。ミラー部13は、ミラーベース14と、その表面に設けられ、入射光を反射させるミラー15と、ミラーベース14の裏面の中心部から突出する状態で取り付けられた軸受部16とで構成されている。4つの永久磁石17a、17b、17c、17dは、ミラーベース14の裏面で、軸受部16を中心にして90度の間隔で点対称の位置に装着されている。一方、支持部18は、ベース部19と、このベース部19の表面に設けられ、ミラー部13の軸受部16を単点で支持するミラー支持部20と、ミラー部13の裏面に装着された4つの永久磁石17a、17b、17c、17dとの間でそれぞれ電磁力が作用するように、90度間隔で点対称の位置に装着された4つのソレノイド形のコイル21a、21b、21c、21dとで構成されている。
【0008】
ここで、ミラー支持部20を中心にして対称の位置に装着されて互いに電磁力が作用する永久磁石17a及びコイル21a、永久磁石17c及びコイル21cを組として、一方が吸引、他方が反発となるようにコイル21a、21cに電流が流される。これと同様に、ミラー支持部20を中心にして対称の位置に装着されて互いに電磁力が作用する永久磁石17b及びコイル21b、永久磁石17d及びコイル21dを組として、一方が吸引、他方が反発となるようにコイル21a、21cに電流が流される。この場合、2組の永久磁石17a及びコイル21a、永久磁石17c及びコイル21cと、永久磁石17b及びコイル21b、永久磁石17d及びコイル21dとが直交配置されているため、ミラー部13を互いに直交する2軸の方向に偏向制御することが可能になる。
【0009】
また、光無線伝送装置において、反射光学系4として2軸光偏向素子22を用いて、相手装置からの入射光が第1光制御素子3A上に入射されていない状態からサーチ動作を行う方法として、サーチ制御信号として互いに周波数の異なる2つの周期信号を発生して2軸光偏向素子22に入力し、これら2つの周期信号により2軸光偏向素子22における各軸方向の偏向動作を、独立的に制御し、相手装置の方向を検索するサーチ動作が下記の特許文献3に開示されている。この場合、周期信号は正弦波であり、しかもその周波数の比が有理数(2個の正数の商で表せる数)であるときにその軌跡がリサージュ図形になる。
【特許文献1】特開2004−312417号公報
【特許文献2】特開2005−347868号公報
【特許文献3】特開2005−64898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した光無線伝送装置において、光軸を水平方向と鉛直方向とに制御するために2軸偏向可能な反射光学系4を用いた場合、偏向方向によって第1光制御素子3Aに照射される受信光の面積が変化する。図4は反射光学系4の偏向により第1光制御素子3Aに照射される受信光の面積が変化する概念を示した図であり、図4(a)は受信光の面積が大きい場合を、図4(b)は受信光の面積が小さい場合をそれぞれ示している。通信の相手装置の方向に関わらず、所望の伝送性能を得るためには、第1光制御素子3Aに照射される受信光の面積が最も小さくなる場合でも、必要とする開口面積を確保する必要がある。そのため、反射光学系4の平面形状を偏向方向によって非対称にすることにより、第1光制御素子3Aに照射される受信光の面積を大きくし、かつ、反射光学系4の大型化を防ぐことができる。
【0011】
図3に示した従来の2軸光偏向素子22では、ミラー15の形状を正方形や円など、偏向方向に対して対称の形状とし、4個の永久磁石17a、17b、17c、17d及び4個のコイル21a、21b、21c、21dを同じ形状で、かつ同じ特性として、2軸を同等に制御することを可能にしている。したがって、反射光学系4となる2軸光偏向素子22を閉ループ制御するために、同一の制御フィルタで閉ループ制御することが可能である。しかしながら、反射光学系4の平面形状を偏向方向によって非対称にした場合には、各軸の制御特性が異なるために特性の異なる制御フィルタが必要となり、回路規模及びソフトウェア規模が大きくなる。また、2軸の特性が異なることから、一方の軸の動きが他方の軸の動きに与える影響が大きくなるため制御フィルタの構成も複雑になる。
【0012】
また、ミラー15が非対称形状の場合、2軸のバランスが不安定となり、上述したサーチ制御におけるリサージュ走査の動作に悪影響を及ぼすことも考えられる。
【0013】
本発明は上記の事情を考慮してなされたもので、ミラー部として長方形や楕円などの非対称形状のミラーを用いた場合でも、制御系を複雑にすることなく、安定な2軸駆動動作をさせることが可能な2次元光偏向素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明は、入射光を反射するミラー部と、前記ミラー部の重心部分をその裏面から単点で支持する支持部と、前記支持部の周囲に90度の間隔で、かつ、前記支持部に対して点対称の位置における前記ミラー部の裏面にそれぞれ装着された4個の永久磁石と、前記4個の永久磁石との間でそれぞれ電磁力が作用するように前記支持部と共通のベース部に装着された4個のコイルとを備え、前記支持部に対して前記点対称の位置に存在する前記永久磁石及び前記コイルの組ごとに、一方の前記永久磁石及び前記コイル間に吸引の電磁力が作用し、他方の前記永久磁石及び前記コイル間に反発の電磁力が作用するように前記各コイルに電流を流すことにより、前記ミラー部を直交する第1及び第2の軸方向に偏向制御することが可能な2次元光偏向素子において、
前記第1の軸方向に偏向制御される前記ミラー部のみの慣性モーメントと前記第2の軸方向における前記ミラー部のみの慣性モーメントとに差がある場合、前記第1の軸方向における前記ミラー部及び前記永久磁石の各慣性モーメントの和と、前記第2の軸方向における前記ミラー部及び前記永久磁石の各慣性モーメントの和とをほぼ等しくするように、前記各永久磁石の質量に差を有して構成したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記永久磁石及び前記コイルの組ごとに、前記コイルの巻数を、同一の電流に対してほぼ等しい電磁力が作用するように決定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、第1の軸方向に偏向制御されるミラー部のみの慣性モーメントと第2の軸方向におけるミラー部のみの慣性モーメントとに差がある場合でも、第1の軸方向におけるミラー部及び永久磁石の各慣性モーメントの和と、第2の軸方向におけるミラー部及び永久磁石の各慣性モーメントの和とがほぼ等しくなるように、永久磁石の質量に差を持たせたので、ミラー部として長方形や楕円などの非対称形状のミラーを用いた場合でも、制御系を複雑にすることなく、安定な2軸駆動動作をさせることが可能な2次元光偏向素子が提供される。
【0017】
また、本発明においては、質量に差を持たせた永久磁石との間でそれぞれ電磁力を作用させるコイルの巻数を、同一の電流に対してほぼ等しい電磁力が作用するように決定したので、各軸のコイルに流す電流を同一にしたままで偏向特性を同等にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係る2次元光偏向素子の第1の実施の形態の構成を示す平面図及び断面図であり、このうち、(a)は平面図、(b)はそのA−A矢視断面図、(c)はそのB−B矢視断面図である。図1において、2軸光偏向素子23は主にミラー部13と、4つの永久磁石17a、17b、17c、17dと、支持部18とで構成されている。ミラー部13は、ミラーベース14と、その表面に設けられ、入射光を反射させるミラー15と、ミラーベース14の裏面の中心部から突出する状態で取り付けられた軸受部16とで構成されている。4つの永久磁石17a、17b、17c、17dは、ミラーベース14の裏面で、軸受部16を中心にして90度の間隔で点対称の位置に装着されている。一方、支持部18は、ベース部19と、このベース部19の表面に設けられ、ミラー部13の軸受部16を単点で支持するミラー支持部20と、ミラー部13の裏面に装着された4つの永久磁石17a、17b、17c、17dとの間でそれぞれ電磁力が作用するように、90度間隔で点対称の位置に装着された4つのソレノイド形のコイル21a、21b、21c、21dとで構成されている。
【0019】
ここで、ミラーベース14は一辺の長さがLbである正方形の平面形状を有している。これに対して、ミラー15はX方向(図の横方向)の長さLxを長辺とし、Y方向(図の縦方向)の長さLyを短辺とする長方形の平面形状を有している。そして、これらの辺々の間にはLb<Ly<Lxの関係があるものとする。また、ミラー15の横方向と縦方向にそれぞれ中心線CL1、CL2を引いて、その交点すなわち中心をOとしたとき、X方向に配置された2個の永久磁石17a、17cの各中心は中心Oに関してそれぞれ距離Rの位置にあり、両者は点対称の位置に装着されている。同様にY方向に配置された2個の永久磁石17b、17dの各中心は中心Oに関してそれぞれ距離Rの位置にある。また、中心Oにおいて軸受部16はミラー支持部20によってピボット状に支持されている。さらに、X方向に配置された永久磁石17a、コイル21a及び永久磁石17c、コイル21cの一方に吸引の電磁力が作用し、他方に反発の電磁力が作用するようにコイル21a、コイル21cに電流を流すことにより、第1の軸方向に偏向制御することが可能で、かつ、Y方向に配置された永久磁石17b、コイル21b及び永久磁石17d、コイル21dの一方に吸引の電磁力が作用し、他方に反発の電磁力が作用するようにコイル21b、コイル21dに電流を流すことにより、第2の軸方向に偏向制御することが可能になっている。
【0020】
ミラー部13の各軸の慣性モーメントを求めるに当たり、X方向に配置された一対の永久磁石17a、17cの質量をmxとし、Y方向に配置された一対の永久磁石17b、17dの質量をmyとする。ここで、ミラー部13の慣性モーメントは、永久磁石17a、17b、17c、17dの慣性モーメントと、ミラーベース14の慣性モーメントと、ミラー15の慣性モーメントの和として求められる。このうち、永久磁石17の慣性モーメントは、中心Oから永久磁石17までの距離Rと質量mx、myとにより求められ、X軸方向の慣性モーメントIgx及びY軸方向の慣性モーメントIgyはそれぞれ次式によって求められる。
Igx=mx×R2 …(1)
Igy=my×R2 …(2)
【0021】
ミラーベース14の単位長さ当たりの質量をmbとすると、X軸方向及びY軸方向の各慣性モーメントはそれぞれ単位長さ当たりの質量mbに中心Oからの距離の2乗を掛けた値の積分値として求められる。本実施の形態では平面形状が正方形であるため、X軸方向及びY軸方向の各慣性モーメントは互いに等しいIbとなる。
【0022】
ミラー15の慣性モーメントは各軸方向の単位長さ当たりの質量mx、myにそれぞれ中心Oからの距離の2乗を掛けた値の積分値として求められる。そこで、積分値として求められたミラー15のX軸方向の慣性モーメントをImx、Y軸方向の慣性モーメントをImyとする。
【0023】
以上により、ミラー部13のX軸方向の慣性モーメントIx及びY軸方向の慣性モーメントIyは次式によって求められる。
Ix=Igx+Ib+Imx
=mx×R2+Ib+Imx …(3)
Iy=Igy+Ib+Imy
=my×R2+Ib+Imy …(4)
ここで、X軸方向の慣性モーメントとY軸方向の慣性モーメントの差をdIとすると、 dI=Ix−Iy=mx−my+Imx−Imy …(5)
となり、
mx=my−(Imx+Imy) …(6)
とした場合、X軸方向の慣性モーメントとY軸方向の慣性モーメントとが等しくなる。
【0024】
このように、2軸の慣性モーメントを等しくして、4つの永久磁石17a、17b、17c、17dの磁力を同じにすれば、2軸の偏向特性は同等となり、非対称形状のミラー15であっても、対称形状のミラーと同様に2軸を同等に制御することが可能になる。
なお、第1の実施の形態では、ミラー15の平面形状が長方形である場合について説明したが、ミラー15の形状は長方形に限らず、楕円であってもよい。
【0025】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態においては、ミラー部13のX軸方向の慣性モーメントとY軸方向の慣性モーメントとが等しくなるようにX軸方向の永久磁石17と、Y軸方向の永久磁石17とに質量差を持たせている。このように質量差を持たせた永久磁石17a、17b、17c、17dを同一の材料で形成した場合、ミラー15の慣性モーメントが大きい軸方向に配置された永久磁石17a、17cに比べて、ミラー15の慣性モーメントが小さい軸方向に配置された永久磁石17b、17dの質量(体積)は大きいので、その発生磁界は強くなる。そこで、同一の電流をX軸方向及びY軸方向のそれぞれのコイル21a、21cと、21b、21dとに流したとすれば、各軸の偏向特性が異なることになる。
【0026】
第2の実施の形態はX軸方向及びY軸方向のそれぞれのコイル21a、21cと、21b、21dとに同一の電流を流したとしても各軸の偏向特性を同等にするものである。そこで、質量が大きいY方向の永久磁石17b、17dとの間で電磁力を作用させるコイル21b、21dの巻数を相対的に少なくし、質量が小さいY方向の永久磁石17a、17cとの間で電磁力を作用させるコイル21a、21cの巻数を相対的に多くする。これによって、電磁力を均衡させるとともに、各軸の偏向特性を同等にすることができる。
【0027】
なお、X軸方向のコイル21の巻数とY軸方向のコイル21の巻数との差は、それぞれの巻数を種々に変えて実験的に求めることも可能であるが、永久磁石17の磁荷状態や形状によって決まる磁界と、コイルの電流(又は電流による磁界)とをシミュレーションすることにより求めることも可能である。
【0028】
また、第2の実施の形態においては、X軸方向のコイル21a、21cとY軸方向のコイル21b、21dとに同一の電流を流すようにコイル21a、21b、21c、21dの巻数を決定したが、X軸方向のコイル21a、21cとY軸方向のコイル21b、21dとに異なる電流を流すことが容易であれば、これらのコイル21a、21b、21c、21dの巻数をすべて等しくして、電流値を変えて値の等しい電磁力を作用させることも可能である。
また、第1及び第2の実施の形態においては、ミラーベース14を正方形として説明したが、その形状を正方形以外のものとした場合でも同様にコイルの電流を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る2次元光偏向素子の第1の実施の形態の構成を示す平面図及び断面図である。
【図2】従来の光無線伝送装置の概略構成図である。
【図3】従来の2軸光偏向素子の構成を示す平面図及び断面図である。
【図4】従来の光無線伝送装置に用いる反射光学系の偏向により受信光の面積が変化する概念を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
13 ミラー部
14 ミラーベース
15 ミラー
16 軸受部
17a、17b、17c、17d 永久磁石
18 支持部
19 ベース部
20 ミラー支持部
21a、21b、21c、21d コイル
23 2軸光偏向素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を反射するミラー部と、前記ミラー部の重心部分をその裏面から単点で支持する支持部と、前記支持部の周囲に90度の間隔で、かつ、前記支持部に対して点対称の位置における前記ミラー部の裏面にそれぞれ装着された4個の永久磁石と、前記4個の永久磁石との間でそれぞれ電磁力が作用するように前記支持部と共通のベース部に装着された4個のコイルとを備え、前記支持部に対して前記点対称の位置に存在する前記永久磁石及び前記コイルの組ごとに、一方の前記永久磁石及び前記コイル間に吸引の電磁力が作用し、他方の前記永久磁石及び前記コイル間に反発の電磁力が作用するように前記各コイルに電流を流すことにより、前記ミラー部を直交する第1及び第2の軸方向に偏向制御することが可能な2次元光偏向素子において、
前記第1の軸方向に偏向制御される前記ミラー部のみの慣性モーメントと前記第2の軸方向における前記ミラー部のみの慣性モーメントとに差がある場合、前記第1の軸方向における前記ミラー部及び前記永久磁石の各慣性モーメントの和と、前記第2の軸方向における前記ミラー部及び前記永久磁石の各慣性モーメントの和とをほぼ等しくするように、前記各永久磁石の質量に差を有して構成したことを特徴とする2次元光偏向素子。
【請求項2】
前記永久磁石及び前記コイルの組ごとに、前記コイルの巻数を、同一の電流に対してほぼ等しい電磁力が作用するように決定したことを特徴とする請求項1に記載の2次元光偏向素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−274622(P2007−274622A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100737(P2006−100737)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】