説明

2連チューブ押出装置

【課題】 2つのチューブ容器を同時かつ均等に押しつぶして、2つのチューブ容器の内容物を等量に混合して同時に吐出するようにした簡易な2連チューブ押出装置を提供すること。
【解決手段】 回転操作部41の周面の歯車が互いにかみ合うように設けられた一対のローラRは、両端の歯車軸42が装置本体Aの平行溝13に嵌入され、ラック部14とかみ合って、装置本体Aに取り付けられた2つのチューブ容器Cを同時かつ均一に押しつぶしながら上昇する。
2つのチューブ容器Cの内容物は、蓋体Bが装置本体Aに装着されることによって形成される連通路7を通って、中立片8の上端で合流し、吐出口20から等量ずつ混合された状態で吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのチューブ容器を同時かつ均等に押しつぶして、2つのチューブ容器の内容物を同じタイミングで吐き出すようにした2連チューブ押出装置に関するものであり、とくに2種類の材料を使用時に混合する2剤混合タイプの内容物を充填した2つのチューブ容器を同時かつ均等に押しつぶし、2剤を等量に混合して吐出するようにした2連チューブ押出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2剤混合タイプの内容物を別々に充填した2つの容器から、使用時に2剤を等しく混合するように吐き出す2連式吐出装置には、エアゾール容器を用いたものやポンプ式容器を用いたものがある。
しかしながら、エアゾール容器やポンプ式容器を用いるとコストが高くなり、より簡易で安価な装置が求められていた。
【0003】
また、従来、スクイズ式チューブから内容物を均一に押し出す装置には種々のものがあり、例えば、2つのローラの間にチューブ容器を挟み、レバー状の駆動片を指で動かすことによって、駆動片とともに回転する駆動ローラ歯車により2つのローラが駆動してチューブ容器の内容物を絞り出すローラ式チューブ絞り器(特許文献1参照)や、一対のローラを回転自在に付設した一対の開口側端部の間にチューブ容器を挟持すると、部材の弾性力により前記開口側端部の間に挟持力が働き、ローラを手指で回転させるとチューブ状容器が巻き込まれて内容物を均一に押し出すチューブ状容器用絞り器(特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭63−151545号(実開平2−73140号)のマイクロフィルム
【特許文献1】実願昭58−56390号(実開昭59−162449号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2記載の絞り器は、単一のチューブ容器に使用するもので、これら絞り器のように、チューブ容器の位置を固定しない装置では、2剤を等しく混合して吐出することは難しい。
また、特許文献1記載の絞り器は、1回の駆動片の動きではチューブ容器を少ししか絞ることができず、特許文献2記載の絞り器は、ローラを直接手指で回転させるので、手指の負担が大きい。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、2つのチューブ容器を同時かつ均等に押しつぶして、2つのチューブ容器の内容物を等量に混合して同時に吐出するようにした簡易な2連チューブ押出装置を提供することを目的とする。
さらに、チューブ容器を押しつぶすための操作力を軽減し、小さな力で操作できる2連チューブ押出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、2連チューブ押出装置として、2つのチューブ容器をジョイントを介して取り付ける装置本体と、装置本体に装着される一対のローラと蓋体とからなる2連チューブ押出装置であって、一対のローラは、チューブ容器を押しつぶす押圧ローラ部より大径の歯車を形成する回転操作部が互いにかみ合うように設けられ、押圧ローラ部の両端から歯車軸が突出して設けられており、装置本体は、下方が開放された函状をなして、上壁と、上壁から垂下する一対の前後壁および側壁から形成され、側壁には、ローラの歯車軸が嵌入する一対の溝が下端から上方に平行に延びて設けられ、それぞれの溝の側面の互いに近接する側には、ローラの歯車軸にかみ合うラック部を形成する歯が設けられており、前後壁には、ローラの回転操作部を操作するための操作開口部が設けられており、上壁には、チューブ容器と連通する2つの開口が設けられ、下面の該開口の周囲には、チューブ容器の口部に連結されたジョイントが気密に嵌合する開口筒が垂下して設けられており、装置本体に蓋体が装着されたとき、蓋体の吐出口と上壁の開口とが連通するようになっていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
本発明の2連チューブ押出装置の別実施態様として、ローラの回転操作部の歯車に、該歯車よりも小さい歯数でかみ合う減速歯車を具え、軸の両端の少なくとも一方に、回転操作するための回転体が取付けられた減速軸と、減速軸を回転可能に支持する減速軸収納部と、装置本体の前後壁に摺接する平板部と、該平板部の両端に連設され、一方のローラの歯車軸を回転可能に装着するとともに、装置本体の側面に沿うガイドの役割を果たす支持部とを具えた固定盤とからなる減速機構をさらに備えたことを特徴とする構成を採用する。
【0009】
本発明の2連チューブ押出装置のさらなる別実施態様として、上壁に立設された嵌合筒には、装置本体に蓋体が装着されたとき、蓋体の吐出筒に挿入され、吐出筒の中心を通る平面で連通路を2分する中立片を設けたことを特徴とする構成、また、装置本体には、上壁の上面に2つの開口を囲む嵌合筒が立設され、蓋体には、上面中央付近に吐出口を具えた吐出筒と、下面に吐出口を囲む通路形成枠とが設けられており、装置本体に蓋体が装着されたとき、嵌合筒が通路形成枠と嵌合して開口と吐出口とを連通する連通路が形成されることを特徴とする構成、前後壁の上部には、ジョイントを介して装着されるチューブ容器の装着状態を視認することができる視認窓を設けたことを特徴とする構成、2つのチューブ容器に連結されるそれぞれのジョイントのねじは、異なるピッチを有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の2連チューブ押出し装置は、一対のローラが回転操作部でかみ合いながら、それぞれの歯車軸が装置本体のラック部とかみ合うように一対の平行な溝に嵌入しているから、2つのチューブ容器を同時かつ均等に押しつぶながら装置本体内を上昇し、2つのチューブ容器の内容物を同時かつ均等に吐出することができる。
また、装置本体に蓋体を装着することにより連通路を形成するようにしたから、蓋体を取り外せば、連通路に残留した内容物を除去し、洗浄して再利用することができる。
さらに、嵌合筒に吐出筒の中心を通る平面で連通路を2分する中立片を設ければ、2つのチューブ容器の内容物を確実に等量ずつ混合して吐出することができるとともに、使用前の内容物の混合を最小限にすることができる。
【0011】
ローラの回転操作部の歯車にかみ合う減速歯車を具えた減速機構を備えた2連チューブ押出装置の実施態様では、チューブ容器を押しつぶすための操作力を軽減し、小さな力で操作することができる。
また、装置本体の前後壁の上部に視認窓を設けることにより、ジョイントを介して装着されるチューブ容器の装着状態を容易に視認することができ、2つのチューブ容器に連結されるそれぞれのジョイントのねじを異なるピッチとすることにより、2つのチューブ容器の内容物の取り違えを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例の半断面正面図であり、右側の断面図は図2(a)中のZ−Zにおける断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の側面断面図であり、図(a)は図1中のX−Xにおける断面図、図(b)は図1中のY−Yにおける断面図である。
【図3】本発明の第1実施例の組立前の装置本体およびローラの状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例の半断面正面図であり、右側の断面図は図5中のZ−Zにおける断面図である。
【図5】本発明の第2実施例の側面断面図であり、図1中のX−Xにおける断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の側面断面図であり、図1中のY−Yにおける断面図である。図(a)はローラがチューブ容器を押しつぶし始めた状態を示し、図(b)はローラがチューブ容器を押しつぶして、内容物の押出しを完了する直前の状態を示している。
【図7】本発明の第2実施例の減速機構を組み付ける前の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の2連チューブ押出装置について、実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1〜3において、Aは装置本体、Bは蓋体、Cはチューブ容器、Jはジョイント、Rはローラである。
【0015】
図1〜3に示すように、装置本体Aは、下方が開放された函状をなして、上壁1と、上壁1から垂下する一対の前後壁2および側壁3から形成されている。
上壁1には、チューブ容器CとジョイントJを介して連通する2つの開口4,4が、2つのチューブ容器Cを併置して装着できる程度に離隔して設けられている。
それぞれの開口4の周囲の下面からは開口筒5が垂下して設けられ、チューブ容器Cの口部に連結されたジョイントJが気密に嵌合可能となっている。
また、上面には2つの開口4,4を囲むように嵌合筒6が立設され、後述する蓋体Bの通路形成枠22と嵌合して、押し出されたチューブ容器Cの内容物を吐出するための連通路7を形成するようになっている。
嵌合筒6には、中央付近に、嵌合筒6内を2つの開口4,4のそれぞれの側に2分するように中立片8が上壁から立設され、嵌合筒6の上端よりさらに上方に突出している。
嵌合筒6の周囲には、凹部9を隔てて嵌合外筒10が上壁から立設されている。
【0016】
前後壁2には、ローラRを操作するための操作開口部11が中央付近の上下方向に延びて設けられており、上部にはジョイントJを介して装着されるチューブ容器Cの装着状態を視認することができる視認窓12が設けられている。
視認窓12は、切り欠かれていてもよいし、透明あるいは半透明な樹脂などで覆われて形成されていても良い。
視認窓12が切り欠かれている場合は、チューブ容器Cの装着時にジョイントJに手指を添えて支持し、容易にチューブ容器Cを装着することができる
【0017】
側壁3には、一対の溝13,13が下端から上方に平行に延びて設けられ、それぞれの溝13の側面の互いに近接する側には、ラック部14を形成する歯が設けられており、後述するローラRの歯車軸42にかみ合うようになっている。
一対の溝13,13のそれぞれの下端部には、前記ローラRの歯車軸を溝13に嵌入する際に位置合わせをするためのガイド部15が設けられており、ガイド部15が設けられた部位の溝13には、ラック部14は形成されていない。
【0018】
蓋体Bは、上面中央付近に吐出口20を具えた吐出筒21が設けられ、下面には吐出口20を囲むように通路形成枠22が設けられている。
通路形成枠22は、装置本体Aに蓋体Bが装着されたとき、装置本体Aの嵌合筒6と嵌合して、蓋体Bの吐出口20と装置本体Aの開口4,4とを連通する連通路7が形成される。
また、装置本体Aに蓋体Bが装着されたとき、吐出筒21には嵌合筒6から突出する中立片8が上部付近まで嵌入し、吐出筒21の中心を通る平面で連通路7を2分するようになっている。
【0019】
通路形成枠22のさらに外周に、蓋体Bの端縁から蓋枠23が垂下しており、装置本体Aの嵌合外筒10と嵌合して蓋体Bを装置本体Aに装着するとともに、連通路7からチューブ容器Cの内容物が漏洩するようなことがあった場合でも、漏洩した内容物は凹部9にとどまるようになっている。
なお、装置本体Aの嵌合筒6と蓋体Bの通路形成枠22がしっかり嵌合して蓋体を装着保持することができるものであれば、嵌合外筒10および蓋枠23は必ずしも必要ない。
また、吐出筒21上端には、不使用時に吐出口20を覆うキャップ24が取り付けられていてよい。
【0020】
ジョイントJは、チューブ容器Cの口部に螺合するねじ部32を具える保持筒部30と、装置本体Aの開口筒5に嵌入する嵌入筒部31とからなる。
2つのチューブ容器Cに螺合されるそれぞれのジョイントCのねじ部32は、異なるピッチで形成されている。
嵌入筒部31の内周には、チューブ容器Cの注出口と装置本体Aの開口4とを連通する連通孔33が設けられ、外周には、開口筒5としまり嵌めで嵌合する嵌合部34と、開口筒5との間を密封するためのOリング35を取着するための環状凹部36が形成されている。
【0021】
ローラRは、チューブ容器Cに両側から接してチューブ容器Cを押しつぶす押圧ローラ部40と、中央付近に押圧ローラ部40よりも大径で周面に歯が形成された回転操作部41と、押圧ローラ部40の両端より突出して周面に歯が形成された歯車軸42とからなる。
2つのローラR,Rの各回転操作部41は、それぞれの歯車軸42が装置本体Aの一対の溝13,13に嵌入されたとき、周面の歯がかみ合い歯車として機能するとともに、装置本体Aの操作開口部11から手指によって操作される摩擦車としても機能する。
歯車軸42の周面の歯は、装置本体Aの一対の溝13,13の側面の互いに近接する側に形成されたラック部14の歯とかみ合うように形成される。
また歯車軸42は、両端面が装置本体Aのガイド15によって案内されることにより、正しい位置にセットされるようになっている。
【0022】
次に、本実施例の2連チューブ押出装置の使用態様と作用効果について、図2,3を参照しながら説明する。
本実施例の使用手順を説明すると、まず、装置本体Aの嵌合外筒11の蓋体Bの蓋枠23を嵌合して、蓋体Bを装置本体Aに装着する。
蓋体Bが装置本体Aに装着されると、装置本体Aの嵌合筒6と蓋体Bの通路形成枠22とが嵌合され、蓋体Bの吐出口20と装置本体Aの開口4とが連通される連通路7が形成される。
このように、蓋体Bを装着することにより連通路7を形成するようにしたから、蓋体Bを取り外せば、連通路7に残留した内容物を除去し、洗浄して再利用することも可能である。
【0023】
次に、チューブ容器Cの口部にジョイントJの保持筒部30を螺合して取り付け、チューブ容器とともにジョイントJの嵌入筒部31を装置本体Aの開口筒5に嵌入させる。
この際、視認窓12からジョイントJの位置を確認したり、開口筒5と嵌入筒部31の位置がずれている場合には、視認窓12から手指を挿入してジョイントJを支持しながら嵌入筒部31を嵌入させれば、チューブ容器Cを装置本体Aに容易に装着することができる。
また、2つのチューブ容器Cの口部のねじのピッチを異ならせ、2つのジョイントJのそれぞれのねじもこれに合わせて異なるピッチとすれば、2つのチューブ容器Cの内容物を取り違えることを防ぐことができ、間違った内容物を混合することが無くなるから、2剤混合型のチューブ容器を使用するに当たって有用である。
【0024】
チューブ容器Cを容器本体Aに取り付けた後、2つのローラRの歯車軸43を装置本体Aのガイド15に案内させながら溝13に嵌入する。このとき、ガイド15付近の溝13にはラック部14が形成されていないから、自由に回転する2つのローラRの回転操作部41をかみ合わせた状態にすることができ、その状態を保ったまま溝13内を上昇させていく。
ガイド15を抜けてさらに上昇させていくと、歯車軸42が溝13のラック部14にかみ合うようになり、その後は図2に示すように、装置本体Aの操作開口部11から手指を挿入して一方のローラRの回転操作部41を回転させると、他方のローラRが同じ角速度で逆方向に回転するとともに、ラック部14が溝13の側面の互いに近接する側に設けられているため、歯車軸42がラック部14にかみ合いながら上昇していく。
やがて、2つのロ−ラRの押圧ローラ部40がチューブ容器Cに接し、チューブ容器Cを挟んで押圧しながら回転上昇し、2つのチューブ容器Cの内容物を同時かつ均等に押し出していく。
【0025】
チューブ容器Cの口部から押し出された内容物は、ジョイントJの連通孔33を通って、それぞれの側の開口4から連通路7に押し出されていく。
押し出された内容物は、連通路7を満たしながら連通路7の中央付近に立設された中立片8に到達し、さらに中立片8を挟んでそれぞれのチューブ容器Cの内容物が吐出筒21内をせり上がっていき、中立片8の上端で合流して一体に混合された状態で吐出口20から吐出される。
本実施例では、吐出筒21の中心を通る平面で連通路を2分する中立片8を設けているから、2つのチューブ容器Cの内容物を確実に等量ずつ吐出することができ、2剤混合タイプのように混合すると反応が進む内容物の使用前の混合を最小限に抑えることができる。
2剤混合タイプでない場合は、2つのローラRによって内容物は均等に押し出されるので、中立片8はなくても格別の問題はない。
【実施例2】
【0026】
次に、ローラの回転操作を容易にする減速機構を付加した第2実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する
【0027】
図4〜7において、Aは装置本体、Bは蓋体、Cはチューブ容器、Jはジョイント、Rはローラであり、装置本体Aの前後壁2の外面に上下方向に平行して突出する一対のスライド台16が付加されている以外は、実施例1の構成と同じであるから、説明を省略する。
本実施例では、さらに減速機構Gが設けられている。
減速機構Gは、ローラRの回転操作部41にかみ合う減速歯車51を具え、軸52の両端の少なくとも一方に、回転操作するための回転体53が取付けられた減速軸50と、該減速軸50を回転可能に支持するとともに、一方のローラRに装着される固定盤54とからなる。
【0028】
減速軸50の減速歯車51は、ローラRの回転操作部41の周面の歯数よりも小さい歯数に設定されており、回転操作部41を回転させるに要する力(モーメント)よりも小さな力でローラRを回転させることができる。
さらに回転体53を大きな径にすれば、回転操作に要する操作力をより小さくすることができ、ローラRの操作を容易にすることができる。
【0029】
固定盤54は、装置本体Aの前後壁2の外面に設けられたスライド台16に摺接する平板部55と、平板部55の両端から垂直に折曲し、装置本体Aの側面3に沿って固定盤54のガイドの役割を果たすとともに、ローラRの歯車軸42に回転可能に嵌合する嵌合孔56を設けた支持部57と、平板部55に連続して、減速軸50が回転可能に支持される凹条58を形成した減速軸収納部59とを具えている。
平板部55と減速軸収納部59の軸方向中央部付近には、減速軸50が凹条58内に収納されたとき、減速歯車51が突出する歯車窓60が設けられている。
【0030】
次に、本実施例の2連チューブ押出装置の使用態様と作用効果について、図5〜7を参照しながら説明する。
本実施例の場合も、2つのローラRの歯車軸42を溝13に嵌入し、歯車軸42が溝13のラック部14にかみ合うように上昇させるところまでの手順は、実施例1と同様である。
本実施例は、歯車軸42がガイド15から抜け出してラック部14にかみ合い始める付近で、減速機構Gを一方のローラRに装着する。
【0031】
減速機構GをローラRに装着するにあたって、まず減速軸50と固定盤54とを組み付ける。
減速軸50の軸52と回転体53とは分解・組立可能となっており、回転体53を分離した軸52を嵌合孔56に嵌入しながら、減速歯車51を歯車窓60から突出させ、軸52を減速軸収納部59の凹条58に嵌め込んで、嵌合孔56から突出する軸52の両端に回転体53を取り付けることにより、減速軸50の固定盤54への組み付けが完了する。
減速軸50を組み込んだ固定盤54の支持部57を、溝13から突出したローラRの歯車軸42の両端に軸と垂直方向から押し込むと、支持部57が撓んで歯車軸42の両端が嵌合孔56に嵌入し、減速機構Gが一方のローラRに装着される。
その際、減速軸収納部59の凹条58に嵌め込まれた軸52と、ローラRの歯車軸42との軸間距離が、減速歯車51と回転操作部41とがかみ合う距離を保つようにスライド台16が設定されているので、歯車軸42の両端が嵌合孔56に嵌入すると同時に減速歯車51と回転操作部41とがかみ合うようになっている。
【0032】
図5,6に示すように、ローラRに装着された減速機構Gは、回転体53を回転操作すると減速歯車51が回転し、減速歯車51とかみ合う回転操作部41により一方のローラRが回転すると、これにかみ合う他方のローラRも同時に回転し、各ローラRの歯車軸42がラック部14とかみ合って、2つのローラRはチューブ容器Cを押しつぶしながら上昇していく。
そのとき、減速機構Gも、平板部55の下面をスライド台16の上面に摺接させながら、ローラRとともに上昇していく。
なお、前後壁2の外面が摺接面として有効であれば、スライド台16は必ずしも必要ではない。
【0033】
2つのローラによってチューブ容器Cから押し出された内容物は、第1実施例と同様に、ジョイントJの連通孔33を通って、それぞれの側の開口4から連通路7に押し出され、連通路7を満たしながら中立片8に到達し、さらに吐出筒21内をせり上がっていき、中立片8の上端で合流して一体に混合された状態で吐出口20から吐出される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、2つのチューブ容器の内容物を等量に混合して同時に吐出するようにした簡易な2連チューブ押出装置として広く利用可能なものであるが、とくに、使用直前に2剤を混合して使用する2剤混合型の毛染剤や2液混合型の接着剤等のチューブ容器に用いて好適である。
【符号の説明】
【0035】
A 装置本体
B 蓋体
C チューブ容器
J ジョイント
G 減速機構
R ローラ
1 上壁
2 前後壁
3 側壁
4 開口
5 開口筒
6 嵌合筒
7 連通路
8 中立片
9 凹部
10 嵌合外筒
11 操作開口部
12 視認窓
13 溝
14 ラック部
15 ガイド
16 スライド台
20 吐出口
21 吐出筒
22 通路形成枠
23 蓋枠
24 キャップ
30 保持筒部
31 嵌入筒部
32 ねじ部
33 連通孔
34 嵌合部
35 Oリング
36 環状凹部
40 押圧ローラ部
41 回転操作部
42 歯車軸
50 減速軸
51 減速歯車
52 軸
53 回転体
54 固定盤
55 平板部
56 嵌合孔
57 支持部
58 凹条
59 減速軸収容部
60 歯車窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのチューブ容器をジョイントを介して取り付ける装置本体と、装置本体に装着される一対のローラと蓋体とからなる2連チューブ押出装置であって、
一対のローラは、チューブ容器を押しつぶす押圧ローラ部より大径の歯車を形成する回転操作部が互いにかみ合うように設けられ、押圧ローラ部の両端から歯車軸が突出して設けられており、
装置本体は、下方が開放された函状をなして、上壁と、上壁から垂下する一対の前後壁および側壁から形成され、
側壁には、ローラの歯車軸が嵌入する一対の溝が下端から上方に平行に延びて設けられ、それぞれの溝の側面の互いに近接する側には、ローラの歯車軸にかみ合うラック部を形成する歯が設けられており、
前後壁には、ローラの回転操作部を操作するための操作開口部が設けられており、
上壁には、チューブ容器と連通する2つの開口が設けられ、下面の該開口の周囲には、チューブ容器の口部に連結されたジョイントが気密に嵌合する開口筒が垂下して設けられており、
装置本体に蓋体が装着されたとき、蓋体の吐出口と上壁の開口とが連通するようになっていることを特徴とする2連チューブ押出装置。
【請求項2】
ローラの回転操作部の歯車に、該歯車よりも小さい歯数でかみ合う減速歯車を具え、軸の両端の少なくとも一方に、回転操作するための回転体が取付けられた減速軸と、
減速軸を回転可能に支持する減速軸収納部と、装置本体の前後壁に摺接する平板部と、該平板部の両端に連設され、一方のローラの歯車軸を回転可能に装着するとともに、装置本体の側面に沿うガイドの役割を果たす支持部とを具えた固定盤とからなる減速機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の2連チューブ押出装置。
【請求項3】
上壁に立設された嵌合筒には、装置本体に蓋体が装着されたとき、蓋体の吐出筒に挿入され、吐出筒の中心を通る平面で連通路を2分する中立片を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の2連チューブ押出装置。
【請求項4】
装置本体には、上壁の上面に2つの開口を囲む嵌合筒が立設され、蓋体には、上面中央付近に吐出口を具えた吐出筒と、下面に吐出口を囲む通路形成枠とが設けられており、装置本体に蓋体が装着されたとき、嵌合筒が通路形成枠と嵌合して開口と吐出口とを連通する連通路が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2連チューブ押出装置。
【請求項5】
前後壁の上部には、ジョイントを介して装着されるチューブ容器の装着状態を視認することができる視認窓を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2連チューブ押出装置。
【請求項6】
2つのチューブ容器に連結されるそれぞれのジョイントのねじは、異なるピッチを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の2連チューブ押出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−96814(P2012−96814A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244158(P2010−244158)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】