2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置
【課題】
空中像がより見え易くなるような2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置を提供する。
【解決手段】
表示装置は、各々が互いに直交する2つの鏡面を含む複数の2面コーナーリフレクタを鏡面が基盤に対して垂直面となるように配置された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と、基盤の一方の主面側にある空間内に配置された被観察物と、を含み、被観察物の実像を基盤の他方の主面側にある空間に結像させる表示装置である。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、基盤とともに透明材料で形成された、各々が基盤の一方の主面内の接合平面から突出した複数の突出部を含み、突出部の各々に2面コーナーリフレクタとして少なくとも2つの直交する側面が形成されている。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、さらに、突出部が被観察物の配置された空間に向くように配置されている。
空中像がより見え易くなるような2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置を提供する。
【解決手段】
表示装置は、各々が互いに直交する2つの鏡面を含む複数の2面コーナーリフレクタを鏡面が基盤に対して垂直面となるように配置された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と、基盤の一方の主面側にある空間内に配置された被観察物と、を含み、被観察物の実像を基盤の他方の主面側にある空間に結像させる表示装置である。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、基盤とともに透明材料で形成された、各々が基盤の一方の主面内の接合平面から突出した複数の突出部を含み、突出部の各々に2面コーナーリフレクタとして少なくとも2つの直交する側面が形成されている。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、さらに、突出部が被観察物の配置された空間に向くように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察物の実像(実鏡映像)を観察者側の空間に結像させる反射型実鏡映像結像光学素子に関し、特に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射型実鏡映像結像光学素子を利用して、空中に被観察物の実像(実鏡映像)を結像させて、それを観察者が見ることができるようにした表示装置が提案されている(特許文献1、参照)。
【0003】
具体的には、かかる表示装置は、被観察物の実像(実鏡映像)を観察者側の空間に結像させる反射型実鏡映像結像光学素子と、当該反射型実鏡映像結像光学素子の該観察者側とは反対側の空間に配置される該実鏡映像を形成するための被観察物と、を備えたものである。
【0004】
特許文献1には、各々が互いに直交する2つの鏡面からなる複数の単位光学素子(各々を2面コーナーリフレクタと称する)を、1つの平面を構成する基盤の素子面にアレイ状にすなわち整列配置した反射型実鏡映像結像光学素子(2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と称する)が開示されている。特許文献1に開示される2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す概略平面図および部分切欠斜視図および部分断面図を図1、図2および図3に示す。
【0005】
2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の具体例として、特許文献1においては、図1に示すように、基盤60の主面を貫通する方向に穿孔された正方形穴の内壁61a、61b(側面の鏡面)を2面コーナーリフレクタ61として利用するものが示されている。図1および図2に示すように、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66では、平板状の基盤60に、その平らな表面に対して垂直に肉厚を貫通する物理的・光学的な正方形穴を多数形成し、その貫通穴の平らな内壁面のうち直交する2つにそれぞれ鏡面61a,61bを2面コーナーリフレクタ61として形成している。図3に示すように、点光源oから発せられた光線は2面コーナーリフレクタ(貫通穴側面の鏡面61a,61b)にて2回反射して、屈曲しつつ基盤60を透過する。
【0006】
特許文献1には更に、図4に示すように、透明材料からなる基盤60の表面(XY平面)からその厚さ方向(Z方向)に垂直に突出した透明材料からなる立方体形状の筒状体51の内壁(鏡面61a、61b)を2面コーナーリフレクタ61として利用し該筒状体を碁盤目状に複数を形成した2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66も示されている。筒状体51は光学的な穴を筒状に突出させ、その内部を透光材料で充填したもので、上記貫通穴と同様の機能を有する。図5に示すように、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の突出した筒状体51では、その側面の平らな透明材料側内壁面のうち直交する2つにそれぞれ鏡面61a,61bとしているので、点光源oから発せられた光線は2面コーナーリフレクタ(筒状体の透明材料側内壁面の鏡面61a,61b)にて2回反射して屈曲しつつ基盤60と2面コーナーリフレクタ61を透過する。
【0007】
これら2面コーナーリフレクタアレイ光学素子においては、複数の整列された2面コーナーリフレクタの各鏡面が素子面にほぼ垂直に直立配置されているので、該素子面の一方側に配置した被投影物からの光は、該素子面を通過する際に2面コーナーリフレクタに2回反射して、被投影物のない該素子面の他方側の空間に実像として結像する。すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、被観察物が2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の素子面6S(対称面とも称する)に対して対称位置に存在するように、その実像pを結像させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2007−116639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術においては、被観察物の実像を空中に結像できる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子をディスプレイ装置として利用することを提案している。しかし、図4に示すような筒状体の2面コーナーリフレクタを有する2面コーナーリフレクタアレイの場合は、空中像が見え難く、またその実像の空中での浮遊感が十分得られないという問題があった。
【0010】
すなわち、発明者は、図2に示すような貫通穴の内壁を鏡面として利用する2面コーナーリフレクタアレイを用いた場合は、裏表どちらに置いても、結像として得られる空中像の見え方は同じであるが、図4に示すような突出する透明材料の筒状体内面を鏡面として2面コーナーリフレクタアレイを用いた場合には、該突出部が存在する側を被観察物側にして置くか、その逆(観察者側)にするかによって、結像として得られる空中像の見え方が大きく異なることを見出した。図2に示す2面コーナーリフレクタアレイの場合は、素子構造(貫通穴)が裏表で対称となるが、図4に示す2面コーナーリフレクタアレイの場合では、素子構造(筒状体と基盤)が表裏で非対称となる。すなわち、突出した筒状体がある側では筒状体として例えば立方体形状の突出部が多数連なった凹凸構造を持つ形状になるのに対して、逆側、つまり基盤側は滑らかな平面となることによる非対称が、空中像が見え難くなる問題となることを見出した。なお、筒状体は、光学的な穴を筒状に突出させてその内部を透光材料で充填したプリズムであるので、以下、一般的に、突出部と称することとする。
【0011】
そこで、かかる問題を解決すべく、本発明は、透明材料の突出部の複数を設けた基盤からなる非対称構造の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の配置による空中像の見え方の違いを考慮して、空中像がより見え易くなるような2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置は、各々が互いに直交する2つの鏡面を含む複数の2面コーナーリフレクタを鏡面が基盤に対して垂直面となるように配置された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と、基盤の一方の主面側にある空間内に配置された被観察物と、を含み、被観察物の実像を基盤の他方の主面側にある空間に結像させる表示装置である。この2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置においては、かかる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、前記基盤とともに透明材料で形成された、各々が前記基盤の一方の主面内の接合平面から突出した複数の突出部を含み、前記突出部の各々に前記2面コーナーリフレクタとして少なくとも2つの直交する側面が形成されていることと、かかる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、さらに、前記突出部が前記被観察物の配置された空間に向くように配置されていることと、を特徴とする。
【0013】
ここで、前記突出部は、その前記基盤側とは反対側の端面の面積の方が小となるように、前記2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面を含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記直交側面に非平行な側面を含むテーパー部と、からなる切頭角錐台形状を有することとすることができる。四角錐の切頭錐台形状の突出部の場合、2面コーナーリフレクタを形成する2面以外の側面(端面と底面除く)は2面存在することになり、その両面に上記傾斜を付けることになるが、それら両面のテーパー角度は等しくても良いし、等しくなくても良い。
【0014】
そして、この2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置は特に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の、前記被観察物が配置された空間と反対側の面、つまり観察者側の面に、光が照射されている環境下で、大きな効果を発揮する。これは、結像される実像は背後には必ず2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が存在していなければならないことが関係する。つまり、観察者は被観察物からの光によって結像する実像からの光と、観察者側の面に照射された光の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子での反射光を重ねて観察することになる。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子からの反射光が実像からの光に対して強ければ強いほど実像が見難くなり、さらに空中にある実像の空中での浮遊感が減ることになる。
【0015】
一般的に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の観察者側の面に照射される光は、使用の態様に応じて、周囲光と呼ばれる様々な方向からの入射する光となることが多い。平滑な面への入射光は正反射方向に反射することになるため、平滑な面での反射光のうち、観察者に対して正反射方向以外からの光は観察者にとっては観察されないが、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の前記突出部が複数配置された側での反射光は、突出部の凸構造体で複雑に反射することにより、正反射方向以外の様々な光が観察者の目に入ることになる。つまり、この2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子(突出部が複数配置された側)からの反射光が実像からの光に対して強くなってしまい、空中像が見え難く、また実像の空中での浮遊感が減ることなる。
【0016】
これに対して、本発明によれば、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の、前記被観察物が配置された空間と反対側の面に、照明光を照射する照明手段を設け、前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の平滑面を観察者側にして配置した場合でも、周囲光は正反射方向に反射することになり、観察者に対して正反射方向以外からの光は観察者にとっては観察されないことになる。つまり、この配置では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子(平滑面側)からの反射光が実像からの光に、対して弱くなり、空中像が見え易くなり、また実像の空中での浮遊感が強くなる。よって、照明光のうち、観察者から見て前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が、その他の光よりも弱く、又は最も弱くなるように、前記照明手段により照明光が照射されていることが好ましい。ただし、観察者側の面に照射された光のうち、観察者から見て2面コーナーリフレクタァレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が強い場合は、本発明の配置とは逆の配置、すなわち、観察者側の空間側に、前記突出部が複数配置された側を向けて2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を配置した方が良いことも判った。これは2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の滑らかな平面での正反射光が散乱を受けることなく、ほぼそのまま観察者に到達したためである。しかし、本発明の表示装置を用いる場合の実際の使用上、観察者は、この配置になることを意識的に避けて空中像を観察しようとするため、この配置関係となることは稀であり、ほとんどの場合は本発明が役立つことになる。
【0017】
つまり、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の観察者側の面に照射される光のうち、観察者から見て2面コーナーリフレクタアレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が、その他の光よりも弱い時に、本発明は効果を、より発揮することになる。
【0018】
さらに、2面コーナーリフレクタとして機能する前記突出部の側面に金属反射膜をさらに付けた時には、突出部の凸構造体で複雑に反射する光が強くなるため、本発明はなお一層の効果を発揮することになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、突出部形状を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置において、実像を空中像として見易い状態で観察可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す概略平面図である。
【図2】2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す部分切欠斜視図である。
【図3】図1のA−A断面を模式的に示す部分断面図である。
【図4】他の2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す部分切欠斜視図である。
【図5】他の2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す部分断面図である。
【図6】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の具体的構成例を模式的に示す概略部分切欠斜視図である。
【図7】図6のA−A断面およびB−B断面における断面図である。
【図8】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の突出部を模式的に示す斜視図である。
【図9】同実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を模式的に示す概略部分切欠平面図である。
【図10】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の結像様式を模式的に示す概略斜視図である。
【図11】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子による結像様式を模式的に示す概略平面図である。
【図12】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子による結像様式を模式的に示す概略側面図である。
【図13】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置の主要構成を模式的に説明するための概略側面図である。
【図14】図13に示した表示装置による空中像を観察者が目線(図中の矢印)より観察した場合の様子を模式的に示す概略斜視図である。
【図15】上方に照明灯がある部屋の中で、図13に示した光学装置を用いて空中像を観察する場合の様子を説明するための概略側面図である。
【図16】比較例の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置の主要構成を模式的に説明するための概略側面図である。
【図17】上方に照明灯がある部屋の中で、図16に示した光学装置を用いて空中像を観察する場合の様子を説明するための概略側面図である。
【図18】図16に示した表示装置による空中像を観察者が目線(図中の矢印)より観察した場合の様子を説明するための概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置について、図面を用いて説明する。
【0022】
図6に、本発明が適用された実施形態の、透明な突出部51を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の拡大部分斜視図を示す。また、図7(a)(b)に図6のA−A断面およびB−B断面における拡大部分断面図を示す。
【0023】
本実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66は、透明材料で一体的に成型された平板状の基盤60とその表面内の接合平面から突出部51の複数とからなる。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の突出部51を有する面と反対側の基盤60の主面は平滑な面である。この光学素子は金型を用いたアクリル等の透明樹脂での射出成型法などに作製可能である。また、突出部51は基盤60とともに透明材料で形成されていればよく、透明材料の突出部51を平板状の基盤60に貼り合わせる転写法などでも作製可能である。突出部51の各々には2面コーナーリフレクタ61として交線CLにて2つの直交する平面の側面(鏡面61a、61b)が形成されている。突出部の各々の2面コーナーリフレクタを除く2鏡面以外の平面の側面62a、62bは基盤60主面の法線から一定の角度(傾斜)を持っている。図7には、突出部51の寸法、高さH、端面一辺L、間隔Dおよび角度θ(端面となす傾斜角度)が記載してあるが、これらの値は、一例としての高さH=170μm、正方形一辺L=150μm、間隔D=10μm、傾斜角度θ=108°であるが、これらは代表値であり、これに限定されるものではない。
【0024】
図8に示すように、突出部51の2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bは、突出部の基盤側の基盤との接合平面52(底面)の面積より突出部の基盤側とは反対側の端面53の面積の方が小となるような切頭角錐台形状の突出部51のテーパー部を画定する。2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bはテーパー面となる。テーパー面のテーパー角度φ(基盤に垂直な面からの角度)は、5度以上、25度以下に設定することが好適である。テーパー角度が5度未満または25度を超えると、離型が難しくなり、または、突出部の密度が下がり結像のための光量が減る。
【0025】
突出部51は、図8に示すように、切頭角錐台であって、2面コーナーリフレクタとした直交側面61a、61bを含む直方体形状部C(例えは立方体)と直方体形状部Cと一体となった2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bを平面として含むテーパー部Tとからなる。
【0026】
本実施形態によれば、図9に示すように、薄い平板状の基盤60に、平面視でほぼ切頭角錐台(例えば正方形底面)であって、その接合平面(底面)乃至天面すなわち端面の間を光線が屈曲して通過する透明な突出部51(一辺が例えば50〜200μm)を多数形成し、各突出部51のうち隣接して直交する2つの内壁面61a,61bを2面コーナーリフレクタ61とする2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を得ることができる。なお、2面コーナーリフレクタ61を構成しないテーパー部分(62a,62b)には、つや消しなど反射不能な面とすることができる。また、各2面コーナーリフレクタ61は、基盤60上において鏡面61a,61bがなす内角が全て同じ向きとなるように、規則的な格子点上に整列させて形成することが好ましい。よって、図6に示すように、各2面コーナーリフレクタでは、2つの直交する鏡面の交線CLが素子面6Sに直交することが好ましい。この鏡面61a,61bの内角の向きを、2面コーナーリフレクタ61の向き(方向)と称する。また、2面コーナーリフレクタとして機能する各突出部51の外側面(内壁面61a,61bの部分)に金属反射膜をさらに付けることで、反射効率が向上する。
【0027】
本実施形態による表示装置の動作は、図10に模式的に示すように、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と基盤の一方の主面側にある被観察物4とを含む表示装置が、被観察物の実像5(実鏡映像)を基盤の他方側の空間に結像させる。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66は、2つの相互に直交する鏡面61a,61bから構成される2面コーナーリフレクタ61の多数の集合であり、全2面コーナーリフレクタ61を構成するそれぞれ2つの鏡面61a,61bに対してほぼ垂直な平面を素子面6Sとし、この素子面6Sを対称面とする面対称位置に被観察物2の実鏡映像5を結像させることができるものである。なお、本実施形態において2面コーナーリフレクタ61は2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の全体の大きさ(cmオーダ)と比べて非常に微小(μmオーダ)であるので、図10では2面コーナーリフレクタ61の集合全体をグレーで表し、その内角の向きをV字形状で表してある。
【0028】
本実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66では、突出部の側面のうち傾斜した面以外が基盤に垂直な面として設けられている(図10の61a,61b)。
【0029】
そして、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66では、各2面コーナーリフレクタ61は、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の裏面側(被観察物4)から、突出部に入った光を一方の鏡面61a(または61b)で反射させ、さらにその反射光を他方の鏡面61b(または61a)で反射させて表面側へと通過させる機能を有し、この光の進入経路と射出経路とが素子面6Sを挟んで面対称をなすこととなる。すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の素子面6S(各鏡面の高さ方向中央部を通り且つ各鏡面と直交する面を仮定)は、被観察物4の実像(実鏡映像)を、面対称位置に空中像(実鏡映像)5として結像させる対称面となる。
【0030】
ここで、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66による結像様式について、被観察物として点光源oから発せられた光の経路とともに簡単に説明する。図11に平面的な模式図で、図12に模式的な側面図でそれぞれ示すように、点光源oから発せられる光(一点鎖線矢印で示す。図11において3次元的には紙面奥側から紙面手前側へ進行する)は、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を通過する際に、2面コーナーリフレクタ61を構成する一方の鏡面61a(または61b)で反射して更に他方の鏡面61b(または61a)で反射した後に素子面6Sを通過し、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の素子面6Sに対して点光源oの面対称位置を広がりながら通過する。図11では入射光と反射光とが平行をなすように表されているが、これは同図では点光源oに対して2面コーナーリフレクタ61を誇張して大きく記載しているためであり、実際には各2面コーナーリフレクタ61は極めて微小なものであるため、同図のように2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を上方から見た場合には、入射光と反射光とは殆ど重なってみえる(図11では2面コーナーリフレクタ61の2つの鏡面(61a,61b)それぞれに最初に当たる光の経路、つまり2本の経路を描いて説明しているが、図12では煩雑さを避けるためにどちらか一方の鏡面に最初に当たる光のみを描いている)。すなわち、結局は点光源oの素子面6Sに対する面対称位置に透過光が集まり、図11、図12においてpの位置に実鏡映像として結像することになる。
【0031】
−−実施例−−
実施例として図13に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置の模式的な構成図を示す。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66と被観察物4が図13に示すように観察者側の反対側に配置されている。被観察物4の実像5(実鏡映像)を上記の原理により、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を挟んで観察者側(観察者の目線を矢印で示す)の空間に結像させ、観察者は空中像5として観察できる。被観察物4としては実物体を用いても良いし、液晶ディスプレイ等に表示された画像を用いても良い。図13に示した表示装置による空中像5を観察者が目線(図中の矢印)より観察した場合の様子を図14に示す。図14は、液晶ディスプレイLCDに犬の画像を被観察物4として被観察物側空間にて表示して、観察者側空間に実像5(実鏡映像)を結像している様子を示す。
【0032】
図14に示すように、実鏡映像5は2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66が背後に存在する状態で結像し空中像として観察される。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の観察者側の面に照射される光が無い時には、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の平面での反射は起こらず、黒い背景に浮かぶ空中像5のみを観察することになるが、実際の使用状態では周囲光と呼ばれる様々な方向からの入射する光が2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の観察者側の基盤60の平面に照射されていることが多い。最も一般的な環境として考えられるのは天井など上方に照明灯iLがある部屋の中で、本実施形態の光学装置を用いて空中像を観察する場合であり、この場合は上方から照明灯iLからの直接光が照射される(図15参照)。もっとも直接光の他にも壁面などで反射された光が様々な方向から基盤60へ照射されることになるが、これらの光は直接光に比べて格段に弱いので、説明を簡略化するためにここでは考えないことにする。本実施例では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の立方体の突出部51を有する面が被観察物側に向くように配置されているので、観察者側には平滑な基盤60の平面が向いている。そして、上方から来る照明灯iLからの直接光はこの平滑な面で入射角と反射角が等しくなるように上方に反射し、そのほとんどが観察者の視界には入らないことになる。ただし、照明光は実際には広がるような配光を持つため、その一部は観察者に対し基盤表面から正反対となってしまう。よって、あらかじめ照明光は観察者の目線と想定される実像の位置に対して正反射する光が最も弱くなるように設定される。従って、観察者は周囲光があるにも拘らず、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66での周囲光の反射光に比べて実鏡映像5からの光を強く観察できるため、空中像が見え易くなり、実像5の空中での浮遊感が強くなる。
【0033】
比較例として、図16に模式的な構成図を示す。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66と被観察物4が図16に示すように配置されている。実施例との違いは2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66が裏表反対に、つまり、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の立方体の突出部51を有する面が観察者側に向くように配置されているだけである。実施例の場合と同様に、最も一般的な使用環境として考えられる天井に照明灯iLがある部屋の中での空中像5を観察する場合で考察する(図17参照)。
【0034】
比較例では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の立方体の突出部51を有する面が観察者を向くように配置されており、上方から来る照明灯iLからの直接光は2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66上の突出部51の凸構造体で複雑に反射することにより、正反射方向以外の様々な光となり、そのうちのいくらかが観察者の目に入ることになる。つまり、この配置では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66(突出部51が複数配置された側)からの反射光が実鏡映像5からの光に対して強くなってしまい、空中像5が見え難くなりまた実鏡映像の空中での浮遊感が減ることとなる(図18参照)。
【0035】
実施例および比較例で用いた2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66はアクリル樹脂の射出成型により作製された物であるため透明である。従って、入射面側での反射とともに、透明樹脂内を伝搬して入射面とは反対側の面でも反射することになる。もし、この両面での反射が同じ大きさで生じるとすれば、実施例と比較例のような差、すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の表裏のどちら側を観察者側に向けるかによる差は生じないように思えるが、今回使用した2面コーナーリフレクタアレイ光学素子では入射面側での反射が支配的であるためにこれらの差が生じているものと思われる。このような関係は表示装置として照明手段と2面コーナーリフレクタアレイを一体として共に備えている場合でも同様である。
【0036】
2面コーナーリフレクタアレイ光学素子をアクリル樹脂とは屈折率が異なる透明樹脂で作製した場合には、本実施形態の効果に差が生じる可能性があるようにも思えるが、本実施例の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の配置(裏表)と空中像の見え方の関係が逆転することはないものと考える。
【0037】
これまで述べてきたように2面コーナーリフレクタは反射鏡として働くため、前記樹脂成型品の突出部の側面のうちの2面コーナーリフレクタとして働く基盤に垂直な面には、例えば金属膜などの反射面を付けることが好ましいが、発明者は樹脂成型品だけ、つまり反射面を追加加工しなくても、樹脂と空気界面の屈折率差によって十分な反射が得られるため実用上問題ない明るさの実鏡映像を空中に結像させることができることを発見した。反射面を設けることなく樹脂成型品のみの2面コーナーリフレクタを用いた実鏡映像結像光学系を利用して、空中に被観察物の実像(実鏡映像)を結像させて見ることができるので低コストで表示装置を作製することができるので好ましい。この場合も本発明が適用可能であり、金属反射膜を付けた時には、突出部の凸構造体で複雑、に反射する光が強くなるため、本実施形態はなお一層の効果を発揮することが判った。
【符号の説明】
【0038】
4 被観察物
5 空中映像(実鏡映像)
6S 素子面(対称面)
51 突出部
52 接合平面
53 端面
60 基盤
61 2面コーナーリフレクタ
61a、61b 鏡面(側面)
62a、62b 2面コーナーリフレクタに非平行な側面(テーパー面)
66 2面コーナーリフレクタアレイ光学素子
CL 鏡面の交線
C 直方体形状部
T テーパー部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察物の実像(実鏡映像)を観察者側の空間に結像させる反射型実鏡映像結像光学素子に関し、特に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射型実鏡映像結像光学素子を利用して、空中に被観察物の実像(実鏡映像)を結像させて、それを観察者が見ることができるようにした表示装置が提案されている(特許文献1、参照)。
【0003】
具体的には、かかる表示装置は、被観察物の実像(実鏡映像)を観察者側の空間に結像させる反射型実鏡映像結像光学素子と、当該反射型実鏡映像結像光学素子の該観察者側とは反対側の空間に配置される該実鏡映像を形成するための被観察物と、を備えたものである。
【0004】
特許文献1には、各々が互いに直交する2つの鏡面からなる複数の単位光学素子(各々を2面コーナーリフレクタと称する)を、1つの平面を構成する基盤の素子面にアレイ状にすなわち整列配置した反射型実鏡映像結像光学素子(2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と称する)が開示されている。特許文献1に開示される2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す概略平面図および部分切欠斜視図および部分断面図を図1、図2および図3に示す。
【0005】
2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の具体例として、特許文献1においては、図1に示すように、基盤60の主面を貫通する方向に穿孔された正方形穴の内壁61a、61b(側面の鏡面)を2面コーナーリフレクタ61として利用するものが示されている。図1および図2に示すように、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66では、平板状の基盤60に、その平らな表面に対して垂直に肉厚を貫通する物理的・光学的な正方形穴を多数形成し、その貫通穴の平らな内壁面のうち直交する2つにそれぞれ鏡面61a,61bを2面コーナーリフレクタ61として形成している。図3に示すように、点光源oから発せられた光線は2面コーナーリフレクタ(貫通穴側面の鏡面61a,61b)にて2回反射して、屈曲しつつ基盤60を透過する。
【0006】
特許文献1には更に、図4に示すように、透明材料からなる基盤60の表面(XY平面)からその厚さ方向(Z方向)に垂直に突出した透明材料からなる立方体形状の筒状体51の内壁(鏡面61a、61b)を2面コーナーリフレクタ61として利用し該筒状体を碁盤目状に複数を形成した2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66も示されている。筒状体51は光学的な穴を筒状に突出させ、その内部を透光材料で充填したもので、上記貫通穴と同様の機能を有する。図5に示すように、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の突出した筒状体51では、その側面の平らな透明材料側内壁面のうち直交する2つにそれぞれ鏡面61a,61bとしているので、点光源oから発せられた光線は2面コーナーリフレクタ(筒状体の透明材料側内壁面の鏡面61a,61b)にて2回反射して屈曲しつつ基盤60と2面コーナーリフレクタ61を透過する。
【0007】
これら2面コーナーリフレクタアレイ光学素子においては、複数の整列された2面コーナーリフレクタの各鏡面が素子面にほぼ垂直に直立配置されているので、該素子面の一方側に配置した被投影物からの光は、該素子面を通過する際に2面コーナーリフレクタに2回反射して、被投影物のない該素子面の他方側の空間に実像として結像する。すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、被観察物が2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の素子面6S(対称面とも称する)に対して対称位置に存在するように、その実像pを結像させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2007−116639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術においては、被観察物の実像を空中に結像できる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子をディスプレイ装置として利用することを提案している。しかし、図4に示すような筒状体の2面コーナーリフレクタを有する2面コーナーリフレクタアレイの場合は、空中像が見え難く、またその実像の空中での浮遊感が十分得られないという問題があった。
【0010】
すなわち、発明者は、図2に示すような貫通穴の内壁を鏡面として利用する2面コーナーリフレクタアレイを用いた場合は、裏表どちらに置いても、結像として得られる空中像の見え方は同じであるが、図4に示すような突出する透明材料の筒状体内面を鏡面として2面コーナーリフレクタアレイを用いた場合には、該突出部が存在する側を被観察物側にして置くか、その逆(観察者側)にするかによって、結像として得られる空中像の見え方が大きく異なることを見出した。図2に示す2面コーナーリフレクタアレイの場合は、素子構造(貫通穴)が裏表で対称となるが、図4に示す2面コーナーリフレクタアレイの場合では、素子構造(筒状体と基盤)が表裏で非対称となる。すなわち、突出した筒状体がある側では筒状体として例えば立方体形状の突出部が多数連なった凹凸構造を持つ形状になるのに対して、逆側、つまり基盤側は滑らかな平面となることによる非対称が、空中像が見え難くなる問題となることを見出した。なお、筒状体は、光学的な穴を筒状に突出させてその内部を透光材料で充填したプリズムであるので、以下、一般的に、突出部と称することとする。
【0011】
そこで、かかる問題を解決すべく、本発明は、透明材料の突出部の複数を設けた基盤からなる非対称構造の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の配置による空中像の見え方の違いを考慮して、空中像がより見え易くなるような2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置は、各々が互いに直交する2つの鏡面を含む複数の2面コーナーリフレクタを鏡面が基盤に対して垂直面となるように配置された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と、基盤の一方の主面側にある空間内に配置された被観察物と、を含み、被観察物の実像を基盤の他方の主面側にある空間に結像させる表示装置である。この2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置においては、かかる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、前記基盤とともに透明材料で形成された、各々が前記基盤の一方の主面内の接合平面から突出した複数の突出部を含み、前記突出部の各々に前記2面コーナーリフレクタとして少なくとも2つの直交する側面が形成されていることと、かかる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、さらに、前記突出部が前記被観察物の配置された空間に向くように配置されていることと、を特徴とする。
【0013】
ここで、前記突出部は、その前記基盤側とは反対側の端面の面積の方が小となるように、前記2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面を含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記直交側面に非平行な側面を含むテーパー部と、からなる切頭角錐台形状を有することとすることができる。四角錐の切頭錐台形状の突出部の場合、2面コーナーリフレクタを形成する2面以外の側面(端面と底面除く)は2面存在することになり、その両面に上記傾斜を付けることになるが、それら両面のテーパー角度は等しくても良いし、等しくなくても良い。
【0014】
そして、この2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置は特に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の、前記被観察物が配置された空間と反対側の面、つまり観察者側の面に、光が照射されている環境下で、大きな効果を発揮する。これは、結像される実像は背後には必ず2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が存在していなければならないことが関係する。つまり、観察者は被観察物からの光によって結像する実像からの光と、観察者側の面に照射された光の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子での反射光を重ねて観察することになる。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子からの反射光が実像からの光に対して強ければ強いほど実像が見難くなり、さらに空中にある実像の空中での浮遊感が減ることになる。
【0015】
一般的に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の観察者側の面に照射される光は、使用の態様に応じて、周囲光と呼ばれる様々な方向からの入射する光となることが多い。平滑な面への入射光は正反射方向に反射することになるため、平滑な面での反射光のうち、観察者に対して正反射方向以外からの光は観察者にとっては観察されないが、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の前記突出部が複数配置された側での反射光は、突出部の凸構造体で複雑に反射することにより、正反射方向以外の様々な光が観察者の目に入ることになる。つまり、この2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子(突出部が複数配置された側)からの反射光が実像からの光に対して強くなってしまい、空中像が見え難く、また実像の空中での浮遊感が減ることなる。
【0016】
これに対して、本発明によれば、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の、前記被観察物が配置された空間と反対側の面に、照明光を照射する照明手段を設け、前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の平滑面を観察者側にして配置した場合でも、周囲光は正反射方向に反射することになり、観察者に対して正反射方向以外からの光は観察者にとっては観察されないことになる。つまり、この配置では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子(平滑面側)からの反射光が実像からの光に、対して弱くなり、空中像が見え易くなり、また実像の空中での浮遊感が強くなる。よって、照明光のうち、観察者から見て前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が、その他の光よりも弱く、又は最も弱くなるように、前記照明手段により照明光が照射されていることが好ましい。ただし、観察者側の面に照射された光のうち、観察者から見て2面コーナーリフレクタァレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が強い場合は、本発明の配置とは逆の配置、すなわち、観察者側の空間側に、前記突出部が複数配置された側を向けて2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を配置した方が良いことも判った。これは2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の滑らかな平面での正反射光が散乱を受けることなく、ほぼそのまま観察者に到達したためである。しかし、本発明の表示装置を用いる場合の実際の使用上、観察者は、この配置になることを意識的に避けて空中像を観察しようとするため、この配置関係となることは稀であり、ほとんどの場合は本発明が役立つことになる。
【0017】
つまり、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の観察者側の面に照射される光のうち、観察者から見て2面コーナーリフレクタアレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が、その他の光よりも弱い時に、本発明は効果を、より発揮することになる。
【0018】
さらに、2面コーナーリフレクタとして機能する前記突出部の側面に金属反射膜をさらに付けた時には、突出部の凸構造体で複雑に反射する光が強くなるため、本発明はなお一層の効果を発揮することになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、突出部形状を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置において、実像を空中像として見易い状態で観察可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す概略平面図である。
【図2】2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す部分切欠斜視図である。
【図3】図1のA−A断面を模式的に示す部分断面図である。
【図4】他の2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す部分切欠斜視図である。
【図5】他の2面コーナーリフレクタレイの具体的構成例を模式的に示す部分断面図である。
【図6】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の具体的構成例を模式的に示す概略部分切欠斜視図である。
【図7】図6のA−A断面およびB−B断面における断面図である。
【図8】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の突出部を模式的に示す斜視図である。
【図9】同実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を模式的に示す概略部分切欠平面図である。
【図10】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の結像様式を模式的に示す概略斜視図である。
【図11】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子による結像様式を模式的に示す概略平面図である。
【図12】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子による結像様式を模式的に示す概略側面図である。
【図13】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置の主要構成を模式的に説明するための概略側面図である。
【図14】図13に示した表示装置による空中像を観察者が目線(図中の矢印)より観察した場合の様子を模式的に示す概略斜視図である。
【図15】上方に照明灯がある部屋の中で、図13に示した光学装置を用いて空中像を観察する場合の様子を説明するための概略側面図である。
【図16】比較例の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置の主要構成を模式的に説明するための概略側面図である。
【図17】上方に照明灯がある部屋の中で、図16に示した光学装置を用いて空中像を観察する場合の様子を説明するための概略側面図である。
【図18】図16に示した表示装置による空中像を観察者が目線(図中の矢印)より観察した場合の様子を説明するための概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置について、図面を用いて説明する。
【0022】
図6に、本発明が適用された実施形態の、透明な突出部51を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の拡大部分斜視図を示す。また、図7(a)(b)に図6のA−A断面およびB−B断面における拡大部分断面図を示す。
【0023】
本実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66は、透明材料で一体的に成型された平板状の基盤60とその表面内の接合平面から突出部51の複数とからなる。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の突出部51を有する面と反対側の基盤60の主面は平滑な面である。この光学素子は金型を用いたアクリル等の透明樹脂での射出成型法などに作製可能である。また、突出部51は基盤60とともに透明材料で形成されていればよく、透明材料の突出部51を平板状の基盤60に貼り合わせる転写法などでも作製可能である。突出部51の各々には2面コーナーリフレクタ61として交線CLにて2つの直交する平面の側面(鏡面61a、61b)が形成されている。突出部の各々の2面コーナーリフレクタを除く2鏡面以外の平面の側面62a、62bは基盤60主面の法線から一定の角度(傾斜)を持っている。図7には、突出部51の寸法、高さH、端面一辺L、間隔Dおよび角度θ(端面となす傾斜角度)が記載してあるが、これらの値は、一例としての高さH=170μm、正方形一辺L=150μm、間隔D=10μm、傾斜角度θ=108°であるが、これらは代表値であり、これに限定されるものではない。
【0024】
図8に示すように、突出部51の2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bは、突出部の基盤側の基盤との接合平面52(底面)の面積より突出部の基盤側とは反対側の端面53の面積の方が小となるような切頭角錐台形状の突出部51のテーパー部を画定する。2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bはテーパー面となる。テーパー面のテーパー角度φ(基盤に垂直な面からの角度)は、5度以上、25度以下に設定することが好適である。テーパー角度が5度未満または25度を超えると、離型が難しくなり、または、突出部の密度が下がり結像のための光量が減る。
【0025】
突出部51は、図8に示すように、切頭角錐台であって、2面コーナーリフレクタとした直交側面61a、61bを含む直方体形状部C(例えは立方体)と直方体形状部Cと一体となった2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bを平面として含むテーパー部Tとからなる。
【0026】
本実施形態によれば、図9に示すように、薄い平板状の基盤60に、平面視でほぼ切頭角錐台(例えば正方形底面)であって、その接合平面(底面)乃至天面すなわち端面の間を光線が屈曲して通過する透明な突出部51(一辺が例えば50〜200μm)を多数形成し、各突出部51のうち隣接して直交する2つの内壁面61a,61bを2面コーナーリフレクタ61とする2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を得ることができる。なお、2面コーナーリフレクタ61を構成しないテーパー部分(62a,62b)には、つや消しなど反射不能な面とすることができる。また、各2面コーナーリフレクタ61は、基盤60上において鏡面61a,61bがなす内角が全て同じ向きとなるように、規則的な格子点上に整列させて形成することが好ましい。よって、図6に示すように、各2面コーナーリフレクタでは、2つの直交する鏡面の交線CLが素子面6Sに直交することが好ましい。この鏡面61a,61bの内角の向きを、2面コーナーリフレクタ61の向き(方向)と称する。また、2面コーナーリフレクタとして機能する各突出部51の外側面(内壁面61a,61bの部分)に金属反射膜をさらに付けることで、反射効率が向上する。
【0027】
本実施形態による表示装置の動作は、図10に模式的に示すように、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と基盤の一方の主面側にある被観察物4とを含む表示装置が、被観察物の実像5(実鏡映像)を基盤の他方側の空間に結像させる。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66は、2つの相互に直交する鏡面61a,61bから構成される2面コーナーリフレクタ61の多数の集合であり、全2面コーナーリフレクタ61を構成するそれぞれ2つの鏡面61a,61bに対してほぼ垂直な平面を素子面6Sとし、この素子面6Sを対称面とする面対称位置に被観察物2の実鏡映像5を結像させることができるものである。なお、本実施形態において2面コーナーリフレクタ61は2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の全体の大きさ(cmオーダ)と比べて非常に微小(μmオーダ)であるので、図10では2面コーナーリフレクタ61の集合全体をグレーで表し、その内角の向きをV字形状で表してある。
【0028】
本実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66では、突出部の側面のうち傾斜した面以外が基盤に垂直な面として設けられている(図10の61a,61b)。
【0029】
そして、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66では、各2面コーナーリフレクタ61は、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の裏面側(被観察物4)から、突出部に入った光を一方の鏡面61a(または61b)で反射させ、さらにその反射光を他方の鏡面61b(または61a)で反射させて表面側へと通過させる機能を有し、この光の進入経路と射出経路とが素子面6Sを挟んで面対称をなすこととなる。すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の素子面6S(各鏡面の高さ方向中央部を通り且つ各鏡面と直交する面を仮定)は、被観察物4の実像(実鏡映像)を、面対称位置に空中像(実鏡映像)5として結像させる対称面となる。
【0030】
ここで、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66による結像様式について、被観察物として点光源oから発せられた光の経路とともに簡単に説明する。図11に平面的な模式図で、図12に模式的な側面図でそれぞれ示すように、点光源oから発せられる光(一点鎖線矢印で示す。図11において3次元的には紙面奥側から紙面手前側へ進行する)は、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を通過する際に、2面コーナーリフレクタ61を構成する一方の鏡面61a(または61b)で反射して更に他方の鏡面61b(または61a)で反射した後に素子面6Sを通過し、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の素子面6Sに対して点光源oの面対称位置を広がりながら通過する。図11では入射光と反射光とが平行をなすように表されているが、これは同図では点光源oに対して2面コーナーリフレクタ61を誇張して大きく記載しているためであり、実際には各2面コーナーリフレクタ61は極めて微小なものであるため、同図のように2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を上方から見た場合には、入射光と反射光とは殆ど重なってみえる(図11では2面コーナーリフレクタ61の2つの鏡面(61a,61b)それぞれに最初に当たる光の経路、つまり2本の経路を描いて説明しているが、図12では煩雑さを避けるためにどちらか一方の鏡面に最初に当たる光のみを描いている)。すなわち、結局は点光源oの素子面6Sに対する面対称位置に透過光が集まり、図11、図12においてpの位置に実鏡映像として結像することになる。
【0031】
−−実施例−−
実施例として図13に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置の模式的な構成図を示す。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66と被観察物4が図13に示すように観察者側の反対側に配置されている。被観察物4の実像5(実鏡映像)を上記の原理により、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を挟んで観察者側(観察者の目線を矢印で示す)の空間に結像させ、観察者は空中像5として観察できる。被観察物4としては実物体を用いても良いし、液晶ディスプレイ等に表示された画像を用いても良い。図13に示した表示装置による空中像5を観察者が目線(図中の矢印)より観察した場合の様子を図14に示す。図14は、液晶ディスプレイLCDに犬の画像を被観察物4として被観察物側空間にて表示して、観察者側空間に実像5(実鏡映像)を結像している様子を示す。
【0032】
図14に示すように、実鏡映像5は2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66が背後に存在する状態で結像し空中像として観察される。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の観察者側の面に照射される光が無い時には、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の平面での反射は起こらず、黒い背景に浮かぶ空中像5のみを観察することになるが、実際の使用状態では周囲光と呼ばれる様々な方向からの入射する光が2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の観察者側の基盤60の平面に照射されていることが多い。最も一般的な環境として考えられるのは天井など上方に照明灯iLがある部屋の中で、本実施形態の光学装置を用いて空中像を観察する場合であり、この場合は上方から照明灯iLからの直接光が照射される(図15参照)。もっとも直接光の他にも壁面などで反射された光が様々な方向から基盤60へ照射されることになるが、これらの光は直接光に比べて格段に弱いので、説明を簡略化するためにここでは考えないことにする。本実施例では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の立方体の突出部51を有する面が被観察物側に向くように配置されているので、観察者側には平滑な基盤60の平面が向いている。そして、上方から来る照明灯iLからの直接光はこの平滑な面で入射角と反射角が等しくなるように上方に反射し、そのほとんどが観察者の視界には入らないことになる。ただし、照明光は実際には広がるような配光を持つため、その一部は観察者に対し基盤表面から正反対となってしまう。よって、あらかじめ照明光は観察者の目線と想定される実像の位置に対して正反射する光が最も弱くなるように設定される。従って、観察者は周囲光があるにも拘らず、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66での周囲光の反射光に比べて実鏡映像5からの光を強く観察できるため、空中像が見え易くなり、実像5の空中での浮遊感が強くなる。
【0033】
比較例として、図16に模式的な構成図を示す。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66と被観察物4が図16に示すように配置されている。実施例との違いは2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66が裏表反対に、つまり、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の立方体の突出部51を有する面が観察者側に向くように配置されているだけである。実施例の場合と同様に、最も一般的な使用環境として考えられる天井に照明灯iLがある部屋の中での空中像5を観察する場合で考察する(図17参照)。
【0034】
比較例では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の立方体の突出部51を有する面が観察者を向くように配置されており、上方から来る照明灯iLからの直接光は2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66上の突出部51の凸構造体で複雑に反射することにより、正反射方向以外の様々な光となり、そのうちのいくらかが観察者の目に入ることになる。つまり、この配置では、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66(突出部51が複数配置された側)からの反射光が実鏡映像5からの光に対して強くなってしまい、空中像5が見え難くなりまた実鏡映像の空中での浮遊感が減ることとなる(図18参照)。
【0035】
実施例および比較例で用いた2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66はアクリル樹脂の射出成型により作製された物であるため透明である。従って、入射面側での反射とともに、透明樹脂内を伝搬して入射面とは反対側の面でも反射することになる。もし、この両面での反射が同じ大きさで生じるとすれば、実施例と比較例のような差、すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の表裏のどちら側を観察者側に向けるかによる差は生じないように思えるが、今回使用した2面コーナーリフレクタアレイ光学素子では入射面側での反射が支配的であるためにこれらの差が生じているものと思われる。このような関係は表示装置として照明手段と2面コーナーリフレクタアレイを一体として共に備えている場合でも同様である。
【0036】
2面コーナーリフレクタアレイ光学素子をアクリル樹脂とは屈折率が異なる透明樹脂で作製した場合には、本実施形態の効果に差が生じる可能性があるようにも思えるが、本実施例の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の配置(裏表)と空中像の見え方の関係が逆転することはないものと考える。
【0037】
これまで述べてきたように2面コーナーリフレクタは反射鏡として働くため、前記樹脂成型品の突出部の側面のうちの2面コーナーリフレクタとして働く基盤に垂直な面には、例えば金属膜などの反射面を付けることが好ましいが、発明者は樹脂成型品だけ、つまり反射面を追加加工しなくても、樹脂と空気界面の屈折率差によって十分な反射が得られるため実用上問題ない明るさの実鏡映像を空中に結像させることができることを発見した。反射面を設けることなく樹脂成型品のみの2面コーナーリフレクタを用いた実鏡映像結像光学系を利用して、空中に被観察物の実像(実鏡映像)を結像させて見ることができるので低コストで表示装置を作製することができるので好ましい。この場合も本発明が適用可能であり、金属反射膜を付けた時には、突出部の凸構造体で複雑、に反射する光が強くなるため、本実施形態はなお一層の効果を発揮することが判った。
【符号の説明】
【0038】
4 被観察物
5 空中映像(実鏡映像)
6S 素子面(対称面)
51 突出部
52 接合平面
53 端面
60 基盤
61 2面コーナーリフレクタ
61a、61b 鏡面(側面)
62a、62b 2面コーナーリフレクタに非平行な側面(テーパー面)
66 2面コーナーリフレクタアレイ光学素子
CL 鏡面の交線
C 直方体形状部
T テーパー部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が互いに直交する2つの鏡面を含む複数の2面コーナーリフレクタを鏡面が基盤に対して垂直面となるように配置された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と、基盤の一方の主面側にある空間内に配置された被観察物と、を含み、被観察物の実像を基盤の他方の主面側にある空間に結像させる表示装置であって、
前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、前記基盤とともに透明材料で形成された、各々が前記基盤の一方の主面内の接合平面から突出した複数の突出部を含み、前記突出部の各々に前記2面コーナーリフレクタとして少なくとも2つの直交する側面が形成されていること、
前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、前記突出部が前記被観察物の配置された空間に向くように配置されていること、を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記突出部は、その前記基盤側とは反対側の端面の面積の方が小となるように、前記2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面を含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記直交側面に非平行な側面を含むテーパー部と、からなる切頭角錐台形状を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の、前記被観察物が配置された空間と反対側の面に、照明光を照射する照明手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記照明手段は、前記実像の位置において、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が最も弱くなるように、前記照明光を照射することことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記突出部の側面に付着した前記2面コーナーリフレクタとして機能する金属反射膜を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の表示装置。
【請求項1】
各々が互いに直交する2つの鏡面を含む複数の2面コーナーリフレクタを鏡面が基盤に対して垂直面となるように配置された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と、基盤の一方の主面側にある空間内に配置された被観察物と、を含み、被観察物の実像を基盤の他方の主面側にある空間に結像させる表示装置であって、
前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、前記基盤とともに透明材料で形成された、各々が前記基盤の一方の主面内の接合平面から突出した複数の突出部を含み、前記突出部の各々に前記2面コーナーリフレクタとして少なくとも2つの直交する側面が形成されていること、
前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、前記突出部が前記被観察物の配置された空間に向くように配置されていること、を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記突出部は、その前記基盤側とは反対側の端面の面積の方が小となるように、前記2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面を含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記直交側面に非平行な側面を含むテーパー部と、からなる切頭角錐台形状を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の、前記被観察物が配置された空間と反対側の面に、照明光を照射する照明手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記照明手段は、前記実像の位置において、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子に対して正反射の位置関係にある光が最も弱くなるように、前記照明光を照射することことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記突出部の側面に付着した前記2面コーナーリフレクタとして機能する金属反射膜を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−118445(P2012−118445A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270257(P2010−270257)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】
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