説明

2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の再生方法

本発明は、シリカゲル等の吸着剤に2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を選択的に吸着させ、反応混合物から前記吸着剤を単離し、前記吸着剤から適した有機溶媒を用いて2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を脱着させ、脱着過程で用いた前記有機溶媒から2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を最終的に回収することによって、前記反応混合物から、
例えば立体選択的付加反応に錯体触媒の部分として用いられる、(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾール及び(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピル−インデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾール等のキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を再生する方法を提供する。回収した化合物の触媒品質は新たに調製する触媒と変わらない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体選択的合成において広範に用いられる錯体触媒のリガンド部分である、キラル{たいしょうせい}2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の再生方法及び複数回利用(multiple usage)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、キラルC−ビス(オキサゾリン類)は様々な触媒工程において優れたリガンドとして働くことが知られている。前記触媒工程には、ディールス・アルダー反応、アルドール反応、アジリジン化反応、アリルアルキル化反応及びシクロプロパン化反応が含まれる。アミンと組み合わせたマグネシウムトリフラートとキラル{たいしょうせい}2,2’−シクロプロピリデン−ビス−オキサゾール類との複合体から成る錯体触媒により優れたエナンチオ選択性でケトエステル類又はマロン酸エステル類がニトロオレフィン類に付加される(例えば、Ji J., et al., J. Am. Chem. Soc, 1999, 121, 10215,及び Barnes D. M., et al., J. Am. Chem. Soc, 2002, 124, 13097参照)。Nichols P.らは国際公開第2004/096764号の特許出願においてリガンドとしてビス(オキサゾリン類)を含む触媒錯体の存在下でキラル中心を有する環化合物を製造する方法を開示している。
【0003】
しかしながら、この方法を不斉有機化合物の大規模生産に適用するには経済的に見ると問題がある。その主な理由として、高価なキラルビス(オキサゾリン類)を使い捨て材料として技術プロセスに用いることが挙げられる。このような反応におけるこのように貴重な触媒を回収する方法は以前から開発が試みられており、このような試みには前記ビス(オキサゾリン)触媒を有機及び無機高分子に固定すること、アニオン性支持体とイオン対を形成させること、及びシリカに共有結合させることが含まれる。不溶性高分子に結合されたビス(オキサゾリン類)の再生の例として、例えば、P.Salvadori et al., Tetrahedron: Asymmetry, 2004, 15, 3233に示されるように、ポリスチレンに結合されたビス(オキサゾリン類)、及びC.Moberg et al., Tetrahedron: Asymmetry, 2001, 12, 1475に示されるように、ArgoGelにグラフト化されたビス(オキサゾリン類)等が記載されている。カチオン性キラルビス(オキサゾリン)錯体によって促進される反応用に回収可能な触媒をえる目的でイオン液体及びアニオン性固体を使用することが多数の情報源に記載されている(例えば、J.A. Mayoral et al., Green Chem., 2004, 6, 93 及び D.L.Davies et al., Tetrahedron: Asymmetry, 2004, 15, 77参照)。加えて、J.A. Mayoralらは重合可能な有機基を用いて中央のメチレン橋を機能化し次いで重合することによりビス(オキサゾリン類)を固定化すること(Org. Lett., 2000, 2, 3905参照)、及び2つのアリル又はビニルベンジル基で機能化されたビス(オキサゾリン類)をメルカプトプロピルシリカにグラフト化すること(J. Org. Chem., 2001, 66 (26), 8893参照)を提示している。
【0004】
一例として、極性溶媒では溶解度が低いので、単純な濾過により反応混合物から回収される4−ナフチル−置換ビス(オキサゾリン)リガンドが知られている(G.Desimoni et al., Tetrahedron, 1998, 51, 15721参照)。
【0005】
最後の文献を除いて、前記従来技術全体を要約すると、キラルビス(オキサゾリン)触媒の固定は実質的に不都合であることが明確に示されている。通常、固定の型により触媒性能、特にエナンチオ選択性が変更される。ほとんどの場合、固定するにはその活性及び選択性の変化を伴うリガンドの化学的修飾が必要とされる。場合によっては、高分子が全体反応を阻害することが報告されている。エナンチオ選択性の問題はイオン液体の場合にも論じられてきた。イオン液体を用いる際に触媒錯体の安定性(前記錯体があまり安定ではなく、金属の自由形態と錯体形態の間の均衡はキラルではない部位の存在に誘導され、結果としてエナンチオ選択性が低下しうる)、前記イオン液体の純度、その乾燥度及び前記イオン液体の調製又は使用する合成方法が重要な役割を果たす。更に、固定化された触媒のいくつかの回収手順は特定の特異的な工程(例えば、C.Moberg et al., Tetrahedron: Asymmetry, 2001, 12, 1475によるように、DMSO中のKCNの飽和溶液の使用)故に、工業規模に移行させる見込みは低い。
【0006】
前記のような、極性溶媒における低溶解度に基づいて濾過により反応混合物から4−ナフチル−置換ビス(オキサゾリン)リガンドを回収することは、このような特定のリガンドにより特徴付けられる単独の例であり、一般的な手順と見なすことはできない。
【0007】
従って、均一な溶液からビス(オキサゾリン類)自体を選択的に単離しかつ触媒を目的としてこれらを複数回利用するばあいの、普遍的な方法、容易に工業への応用に拡大できる普遍的な方法については今日まで記載がない。
【0008】
明らかに、複数回利用するために均一な反応混合物からキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を単離するための簡便で有効な方法の開発は非常に価値があり有意に好ましい経済効果を秘めている。反応混合物からのキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の有効な単離と合成手順におけるその繰り返しの再利用により所望の不斉生成物の大規模製造の経済的特徴と技術的特徴との両方が大幅に改善可能となる。
【0009】
本発明は現在知られている回収方法の欠点を克服し、以下に更に説明するように、触媒品質を損なうことなく、反応混合物からキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を再生する簡単で有効な方法を提供する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は反応混合物からのキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の再生方法と複数回利用に関し、前記オキサゾリン類は例えば、ニトロアルケン類へのエノラート類の立体選択的付加のために、広範に用いられる錯体触媒のリガンド部分である。本発明に従えば、溶媒の極性を変えながら、入手可能な安価な吸着剤、好ましくはシリカゲルに吸着させることによって、キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)をこれらオキサゾリン類を含む反応混合物から直接的又は間接的に効果的に回収できる。
【0011】
本発明によれば、架橋したビス(オキサゾリン)ファミリー由来の好ましいリガンドは(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾール(1)及び(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピリデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾール(2)で表される。
【0012】
【化1】

【0013】
一側面において、本発明は以下の工程を含む、キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を反応混合物から再生するための直接的な方法を提供する:
【0014】
(a)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を含む、反応混合物を準備する工程;
【0015】
(b)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を先の工程の反応混合物からシリカゲルを用いて吸着する工程;
【0016】
(c)吸着したキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を伴う前記シリカゲルを反応混合物から分離する工程;
【0017】
(d)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)をシリカゲルから有機溶媒を用いて脱着させる工程;
【0018】
(e)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を有機溶媒から回収する工程。
【0019】
好ましい実施態様において、前記工程(a)の前記反応混合物の溶媒は、これらに限定されないが、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル及びそれらの混合物から成る群より選択される。
【0020】
反応混合物からの吸着したキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を伴う前記シリカゲルの分離(前記における工程(c))は、当該技術分野において既知のいずれかの適切な方法を用いて、例えば、濾過によって、達成することができる。
【0021】
好ましい実施態様において、シリカゲルからのキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の脱着(前記における工程(d))は、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びそれらの混合物から成る群より選択される溶媒を用いて達成することができる。
【0022】
脱着手順に用いた有機溶媒からのキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)の回収(前記における工程(e))は、当該技術分野において既知のいずれかの適切な方法を用いて、好ましくは結晶化によるか、減圧下での溶媒蒸発によって、達成することができる。
【0023】
別の側面において、本発明は以下の工程を含む、キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を反応混合物から再生するための間接的な方法を提供する:
【0024】
(a)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を含む、反応混合物を準備する工程;
【0025】
(b)減圧下で先の工程の反応混合物から溶媒を蒸発させて、残渣をえる工程;
【0026】
(c)先の工程の前記残渣を有機溶媒に溶解する工程;
【0027】
(d)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を前記のえられた溶液からシリカゲルを用いて吸着する工程;
【0028】
(e)吸着したキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を伴う前記シリカゲルを溶液から分離する工程;
【0029】
(f)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)をシリカゲルから有機溶媒を用いて脱着させる工程;
【0030】
(g)キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を有機溶媒から回収する工程。
【0031】
好ましい実施態様において、前記における工程(c)の溶媒は、これらに限定されないが、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル及びそれらの混合物から成る群より選択される。
【0032】
反応混合物からの吸着したキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を伴う前記シリカゲルの分離(前記における工程(e))は、当該技術分野において既知のいずれかの適切な方法を用いて、例えば、濾過によって、達成することができる。
【0033】
好ましい実施態様において、シリカゲルからのキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の脱着(前記における工程(f))は、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びそれらの混合物から成る群より選択される溶媒を用いて達成することができる。
【0034】
脱着手順に用いた有機溶媒からのキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の回収(前記における工程(g))は、当該技術分野において既知のいずれかの適切な方法を用いて、好ましくは結晶化によるか、減圧下での溶媒蒸発によって、達成することができる。
【0035】
本発明によれば、キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)が回収される反応混合物は、他の反応開始剤及び/又は終了生成物及び/又は中間体、分子篩い及び適当な有機溶媒と同様に、触媒錯体の他の要素も含みうる。
【0036】
本発明によれば、キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を回収する直接法及び間接法の両方ともニトロオレフィン類へのケトエステル類又はマロン酸エステル類の付加に適用できる。
【0037】
本発明によれば、より詳細な実施例に支持されるように、回収されたキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)の触媒品質は新たに調製した触媒の品質と変わらない。
【0038】
従って、本発明はキラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)が錯体触媒の部分として用いられる反応混合物からこれら化合物を直接及び間接的に再生するための使い勝手が良く有効な方法を提供する。
【0039】
本発明の範囲はデータの裏付けのある実施例に限定されるものではなく、前記実施例は実証の意図で示される。当業者であれば、本特許出願の開示に基づいて本発明を実施できる。
【0040】
実施例
【0041】
以下の実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
実施例1
【0043】
工程A。分子篩い4Å (70 g)の存在下で(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾール(8.55 g, 24 mmol)、マグネシウムトリフラート(6.4 g, 20 mmol)及びN−メチルモルホリン(2.6 g, 26.4 mmol)から成る触媒錯体によって触媒されるクロロホルム(2.0 1)中2−ニトロビニルベンゼン(59.6 g, 0.40 mol)へのマロン酸ジエチル(70.42 g, 0.44 mol)のマイケル付加が完了した後、シリカゲル(100 g)を反応混合物に添加した。
【0044】
工程B。えられた懸濁液を2時間20〜25℃で撹拌した。シリカゲルを濾別しエタノール250 mlで2回洗浄した。エタノール溶液を減圧下で部分的に蒸発させ8.03 g (94%)の回収された結晶(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾールをえた。
【0045】
結果としてジエチル2−(2−ニトロ−1R−フェニルエチル)マロン酸(111.4 g 90%; ee 98−99%)が単離されるシリカゲル分離後にえられたクロロホルム濾液の標準処理。
【0046】
実施例2
【0047】
工程A。分子篩い4Å(70 g)の存在下で(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピリデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾール(11.63 g, 24 mmol)、マグネシウムトリフラート(6.4 g, 20 mmol)及びN−メチルモルホリン(2.6 g, 26.4 mmol)から成る触媒錯体によって触媒されるクロロホルム(2.0 1)中2−ニトロビニルベンゼン(59.6 g, 0.40 mol)へのマロン酸ジエチル(70.42 g, 0.44 mol)のマイケル付加が完了した後、シリカゲル(100 g)を反応混合物に添加した。
【0048】
工程B。えられた懸濁液を2時間20〜25℃で撹拌した。シリカゲルを濾別しエタノール250 mlで2回洗浄した。エタノール溶液を減圧下で部分的に蒸発させ10.98 g (94%)の回収された結晶(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピリデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾールをえた。
【0049】
結果としてジエチル2−(2−ニトロ−1R−フェニルエチル)マロン酸(108,5 g 87%; ee 98−99% )が単離されるシリカゲル分離後にえられたクロロホルム濾液の標準処理。
【0050】
実施例3
【0051】
工程A。分子篩い4Å (2.0 g)の存在下(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾール(240 mg, 0.67 mmol)、マグネシウムトリフラート(170 mg, 0.5 mmol)及びN−メチルモルホリン(80 mkl, 0.72 mmol)から成る触媒錯体によって触媒されるクロロホルム(60ml)中2−ニトロビニルベンゼン(1.64 g, 11 mmol)へのアセト酢酸エチル(1.56 g, 12 mmol)のマイケル付加が完了した後、シリカゲル(10 g)を反応混合物に添加した。
【0052】
工程B。えられた懸濁液を2時間20〜25℃で撹拌した。シリカゲルを濾別し、20 gの新たなシリカゲルを充填したクロマトグラフィーカラムの上部に配置しジクロロメタン−メタノール混合液20:1で溶出した。R0.48の画分を集め減圧下で蒸発させ228 mg (95%)の回収された結晶(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾールをえた。
【0053】
結果としてエチル2−アセチル−4−ニトロ−3R−フェニル酪酸(2.86 g 93%; 89% ee)が単離されるシリカゲル分離後にえられたクロロホルム濾液の標準処理。
【0054】
実施例4
【0055】
実施例3における、(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾールを(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピリデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾールに換え、91%収量及び88% eeでエチル2−アセチル−4−ニトロ−3R−フェニル酪酸を調製し、95%の(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピリデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾールの回収に成功した。
【0056】
実施例5
【0057】
実施例1及び2(工程A)におけるクロロホルムを同容量のジクロロメタンで置換した結果、各触媒を87〜90%の回収率で回収した。
【0058】
実施例6
【0059】
実施例1及び2(工程A)におけるクロロホルムを同容量のジクロロエタンで置換した結果、各触媒を84〜87%の回収率で回収した。
【0060】
実施例7
【0061】
実施例1及び2(工程A)におけるクロロホルムを同容量のベンゼンで置換した結果、各触媒を89〜91%の回収率で回収した。
【0062】
実施例8
【0063】
実施例1及び2(工程A)におけるクロロホルムを同容量のトルエンで置換した結果、各触媒を90〜93%の回収率で回収した。
【0064】
実施例9
【0065】
実施例1及び2(工程A)におけるクロロホルムを同容量のメチルt−ブチルエーテルで置換した結果、各触媒を85〜87%の回収率で回収した。
【0066】
実施例10
【0067】
実施例1及び2(工程A)におけるクロロホルムを同容量のヘキサン−酢酸エチル混合物(3:1)で置換した結果、各触媒を87〜91%の回収率で回収した。
【0068】
実施例11
【0069】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールをメタノールで置換した結果、各触媒を90〜93%の回収率で回収した。
【0070】
実施例12
【0071】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールをアセトンで置換した結果、各触媒を88〜93%の回収率で回収した。
【0072】
実施例13
【0073】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールをn−プロパノールで置換した結果、各触媒を88〜93%の回収率で回収した。
【0074】
実施例14
【0075】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールをイソプロパノールで置換した結果、各触媒を88〜93%の回収率で回収した。
【0076】
実施例15
【0077】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールをメチルエチルケトンで置換した結果、各触媒を86〜90%の回収率で回収した。
【0078】
実施例16
【0079】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールをアセトニトリルで置換した結果、各触媒を86〜90%の回収率で回収した。
【0080】
実施例17
【0081】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールをテトラヒドロフランで置換した結果、各触媒を86〜90%の回収率で回収した。
【0082】
実施例18
【0083】
実施例1及び2(工程B)におけるエタノールを1,4−ジオキサンで置換した結果、各触媒を86〜90%の回収率で回収した。
【0084】
実施例19
【0085】
工程A。実施例1に従い酢酸エチル(2.0 1)中で2−ニトロビニルベンゼンへのマロン酸ジエチルのマイケル付加が完了した後の反応混合物を、濾過し減圧下で蒸発させ残渣をクロロホルム(2.0 1)に再溶解した。
【0086】
工程B。クロロホルム溶液にシリカゲル(100 g)を添加しえられた懸濁液を2時間20〜25℃で撹拌した。シリカゲルを濾別しエタノール250 mlで2回洗浄した。えられた溶液を減圧下で部分的に蒸発させ7.87 g (92%)の回収された結晶(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾールをえた。
【0087】
実施例20
【0088】
工程A。実施例2に従い酢酸エチル(2.0 1)中で2−ニトロビニルベンゼンへのマロン酸ジエチルのマイケル付加が完了した後の反応混合物を、濾過し減圧下で蒸発させ残渣をクロロホルム(1.0 1)に再溶解した。
【0089】
工程B。クロロホルム溶液にシリカゲル(100 g)を添加しえられた懸濁液を2時間20〜25℃で撹拌した。シリカゲルを濾別しクロロホルム(2x200 ml)で
洗浄し次いでエタノール250 mlで2回洗浄した。えられた溶液を減圧下で部分的に蒸発させ10.58 g (91%)の回収された結晶(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピリデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾールをえた。
【0090】
実施例21
【0091】
回収された触媒を用いて実施した以外は、前記の実施例1と同様の手順で行った。成分の使用量(load)は以下の通りであった。
【0092】
2−ニトロビニルベンゼン− 0.164 g ( 1.1 mmol)
【0093】
マロン酸ジエチル− 0.195 g (0.18 ml, 1.22 mmol)
【0094】
(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾール− 24 mg (0.067 mmol)
【0095】
Mg(OTf) − 17 mg (0.05 mmol)
【0096】
N−メチルモルホリン− 7 mg (8 mkl, 0.072 mmol)
【0097】
分子篩い− 0.19 g
【0098】
クロロホルム− 6 ml
【0099】
ジエチル2−(2−ニトロ−1R−フェニルエチル)マロン酸の収量:275 mg (80.8%),光学純度: 99.3% ee。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
キラル2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン類)を反応の混合物から再生するための方法であって、
2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を反応混合物の生成物から吸着剤に吸着することにより分離する工程、
吸着した2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を伴う前記吸着剤を反応混合物から単離する工程、
2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を前記吸着剤から脱着する工程、及び
2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を脱着手順で用いた有機溶媒から回収する工程
を含む、再生方法。
【請求項2】
前記2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)は(3aR,3’aR,8aS,8’aS)−2,2’−シクロプロピリデンビス−[3a,8a]−ジヒドロ−8H−インデノ−[l,2−d]−オキサゾールである、請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
前記2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)は(4S,4’S,5R,5’R)−2,2’−シクロプロピリデンビス−4,5−ジフェニルジヒドロ−4,5−オキサゾールである、請求項1に記載の再生方法。
【請求項4】
前記反応はニトロオレフィン類への立体選択的なケトエステル類の付加である、請求項1に記載の再生方法。
【請求項5】
前記反応はニトロオレフィン類への立体選択的なマロン酸エステル類の付加である、請求項1に記載の再生方法。
【請求項6】
2,2’−シクロプロピリデン−ビス(オキサゾリン)を含有する工程(1)の反応混合物の有機溶媒はヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の再生方法。
【請求項7】
前記吸着剤はシリカゲルである、請求項1に記載の再生方法。
【請求項8】
前記脱着のために、有機溶媒が用いられ、前記有機溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の再生方法。

【公表番号】特表2012−510465(P2012−510465A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538096(P2011−538096)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055413
【国際公開番号】WO2010/064189
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(504088027)
【出願人】(511132384)
【氏名又は名称原語表記】LEBEDEVS, Antons
【住所又は居所原語表記】Kaivas iela 50/3−56b, LV−1021 Riga (LV)
【出願人】(511132395)
【氏名又は名称原語表記】CHERNOBROVIJS, Aleksandrs
【住所又は居所原語表記】Upenu iela 17−25d, LV−1084 Riga (LV)
【出願人】(511132409)
【氏名又は名称原語表記】VEINBERG, Grigory
【住所又は居所原語表記】Brivibas gatve 236−33, LV−1039 Riga (LV)
【出願人】(511132410)
【氏名又は名称原語表記】VORONA, Maksims
【住所又は居所原語表記】Dammes iela 19−10, LV−1069 Riga (LV)
【出願人】(511132421)
【氏名又は名称原語表記】IEVINA, Agnija
【住所又は居所原語表記】Terinu 25−4, LV−1004 Riga (LV)
【Fターム(参考)】