説明

3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノールの製造

本発明は3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール一塩酸塩の改良された製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール一塩酸塩の改良された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タペンタドール(tapentadol)は3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール一塩酸塩のINN(国際一般名)であり、この化合物は式:
【0003】
【化1】

【0004】
によって表される。
【0005】
タペンタドールの化学構造はEP−A−0,693,475に化合物(+21)として開示されている。タペンタドールの合成は実施例1および実施例24の工程1〜3に記載されており、その概略を前記EP−A−0,693,475に記載の化合物番号を使って以下に示す。
【0006】
【化2】

【0007】
上記のスキームにおけるタペンタドールの合成前駆体は(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミン(上記のスキームにおける中間体(+23))であり、これは、塩化チオニルで対応するハロゲン化物に変換した後、引き続いて水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素亜鉛および/またはシアノ水素化ホウ素スズによる処理でClを除去するという方法で、(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノールの3級ヒドロキシ基を除去することによって得ることができる。この手法には、ハロゲン化化合物が攻撃的な塩素化剤である過剰量の塩化チオニルを使って製造されるという欠点がある。そのうえ、水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素亜鉛およびシアノ水素化ホウ素スズなどの水素化試薬は、工業的規模で使用した場合には、かなりの火災危険および健康危険を生じる。
【0008】
WO−2004/108658には、以下に概略を示すように、(2S,3S)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノールを(2R,3R)および(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンの混合物に変換することによる、(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンを得るための代替方法が開示されている。
【0009】
【化3】

【0010】
得られた(2R,3R)および(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンの混合物は、所望の(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンを得るために、個々の立体異性体に分離する必要があり、そうすれば、それをEP−A−0,693,475に記載されているように濃臭化水素酸と共に加熱するなどの方法でタペンタドールに変換することができる。
【0011】
WO−2005/000788には、以下に概略を示すように、(2S,3S)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチル−3−ペンタノールを(2R,3R)および(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンの混合物に変換することによる、(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンを得るための代替方法が開示されている。
【0012】
【化4】

【0013】
得られた(2R,3R)および(2R,3S)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンの混合物は、所望の(2R,3R)−3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンを得るために、個々の立体異性体に分離する必要があり、そうすれば、それをEP−A−0,693,475に記載されているように濃臭化水素酸と共に加熱するなどの方法でタペンタドールに変換することができる。
【0014】
WO−2004/108658とWO−2005/00078の代替方法はどちらも、[3−(3−メトキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンが(2R,3R)および(2R,3S)立体異性体の混合物として得られ、所望の(2R,3R)立体異性体を得るにはそれらを分離する必要があるという欠点を持っている。所望でない(2R,3S)立体異性体は所望の(2R,3R)立体異性体に変換することができず、化学廃棄物として処分する必要があり、これはいかなる工業規模生産にとっても経済的に望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、以前から知られている方法よりも便利で、しかも効率の良い、(2R,3R)−3−(3−ヒドロキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンの改良された合成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(2R,3R)−3−(3−ヒドロキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミン、またはその酸付加塩の改良された製造方法を提供することによって、この目的を達成する。
【0017】
本発明は、
a)式(VI)の化合物
【0018】
【化5】

【0019】
[式中、Rは、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C1−6アルキルカルボニル、テトラヒドロピラニル、またはフェニルもしくはナフチルで置換されたC1−3アルキルを表す。ただし、R=CHは除外される]
をアシル化剤でアシル化する工程;
b)得られた式(VII)の化合物
【0020】
【化6】

【0021】
を、反応不活性溶媒中、水素の存在下で、適切な触媒を使って立体選択的に水素化分解することにより、R=H(工程b)で既に脱保護されている)を持つ生成物VIIIを得るか、保護基Rが依然として生成物VIIIの一部であるような生成物VIIIを得る工程[この場合(化合物VIIIにおいてR≠H)は、得られた式VIIIの化合物の基Rを、工程c)において脱保護することができる]
【0022】
【化7】

【0023】
およびd)場合によっては、得られた脱保護生成物を酸付加塩に変換する工程
を特徴とする方法に関する。
【0024】
好ましくは、式(VI)、(VII)および(VIII)の化合物において、Rは、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ベンジル、フェニルエチル、テトラヒドロピラニル、−(C=O)−CH、−(C=O)−CHCH、または−(C=O)−C(CHを表す。より好ましくは、式(VI)、(VII)および(VIII)の化合物において、Rは、エチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニルエチル、テトラヒドロピラニルまたは−(C=O)−CHを表す。さらに好ましくは、式(VI)、(VII)および(VIII)の化合物において、Rは、ベンジルまたはテトラヒドロピラニルを表す。
【0025】
例えば、R=ベンジルであるなら、脱保護工程c)は必要ない。なぜなら化合物VIIは、水素化工程により、R=HのVIIIに直接変換されるからである。ベンジル基は、置換基Rにとって非常に好ましく、場合によっては、例えばハロゲン置換基および/またはニトロ基で置換されていてもよい。
【0026】
工程a)のアシル化剤は、無水酢酸、塩化アセチル、無水トリフルオロ酢酸、無水クロロ酢酸、塩化クロロアセチル、無水ジクロロ酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水安息香酸、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、二塩化フタロイル、二塩化テレフタロイル、無水コハク酸、塩化スクシニル、塩化エチルオキサリル、塩化メチルオキサリル、メルドラム酸、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、塩化アセチルサリチロイルから選択される有機アシルハライドもしくは有機酸無水物、または他の任意の適切なアシル化剤である。
【0027】
工程b)の触媒は、パラジウム触媒、または他の任意の適切な触媒、例えばラネーニッケル、白金、白金担持炭素、ルテニウムまたはロジウム担持炭素などから選択される。
【0028】
パラジウム(Pd)触媒は、例えばPd(OAc)、PdCl、Pd(PPh、Pd(PPhCl、Pd(dba)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム)、パラジウムチオメチルフェニルグルタルアミドメタラサイクルなどの均一Pd触媒であってもよいし、例えばパラジウム担持炭素、パラジウム担持酸化金属、パラジウム担持ゼオライトなどの不均一Pd触媒であってもよい。好ましくは、パラジウム触媒は不均一Pd触媒であり、より好ましくはパラジウム担持炭またはパラジウム担持炭素(Pd/C)である。Pd/Cは回収可能触媒であり、安定かつ比較的安価である。これは反応混合物から容易に分離(濾過)することができ、それによって最終生成物におけるPd痕跡の危険が低減する。Pd/Cを使用することにより、高価で、有毒で、合成された生成物の夾雑物になる配位子(例えばホスフィン配位子など)も必要なくなる。
【0029】
工程b)の反応不活性溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランまたはその混合物より成る群から選ばれる。
【0030】
工程c)における脱保護のための好ましい薬剤は、ヨードトリメチルシラン、ナトリウムエチルスルフィド、ヨウ化リチウム、臭化水素酸であり、より好ましくは臭化水素酸である。
【0031】
本発明の一実施形態では、工程a)およびb)が、「ワンポット合成」手法として遂行される。
【0032】
本発明は、式(VII)の新規化合物
【0033】
【化8】

【0034】
にも関係する。
【0035】
上述のように式(III)の化合物を製造するために使用されるアシル化剤が、無水酢酸、塩化アセチル、無水トリフルオロ酢酸、無水クロロ酢酸、塩化クロロアセチル、無水ジクロロ酢酸、無水トリクロロ酢酸、塩化メチルオキサリル、塩化エチルオキサリル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、無水安息香酸、塩化ベンゾイル、または塩化アセチルサリチロイルから選択される場合、式(VII)の化合物中のアシル基は、CH−CO−、CF−CO−、CHCl−CO−、CHCl−CO−、CCl−CO−、CHO−CO−CO−、CHO−CO−、CHCHO−CO−、CHCHO−CO−CO、フェニル−CO−、またはメタ−CHCOO−フェニル−CO−を表す。式(VII)の化合物中のR基は、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C1−6アルキルカルボニル、テトラヒドロピラニル、またはフェニルもしくはナフチルで置換されたC1−3アルキルを表す(ただし、R=メチルは除外される)。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の段落では、典型例として、本発明の好ましい実施形態(R=ベンジル)を詳しく説明する。
【0037】
(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノン(化合物3)を、THF中、グリニャール反応条件下で臭化エチルマグネシウムと反応させることにより、本発明の方法にとっての出発物質、すなわち(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ−3−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−)−2−メチル−3−ペンタノール(化合物4)を製造した。
【0038】
【化9】

【0039】
グリニャール試薬がケトン化合物(3)と反応することによって、第2の不斉炭素原子が導入される。3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール一塩酸塩の光学純度は99%なので、(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノン(化合物3)とエチルマグネシウムハライドとのグリニャール反応は、高度に立体特異的である。
【0040】
化合物(4)は、
1)化合物(4)を無水トリフルオロ酢酸でアシル化し、
2)次に、溶媒として2−メチルテトラヒドロフランを使用して、パラジウム触媒上で、水素化分解およびベンジルエーテル基の切断を行い、そして
3)沈殿剤として塩化水素を使用することにより、
「ワンポット合成」手法で、化合物(5)に変換することができる。
【0041】
【化10】

【0042】
3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール一塩酸塩の光学純度は99%なので、この反応工程は高度に立体選択的である。化合物(5)の塩形成により、化合物(5)の光学純度はさらに改善される。
【実施例】
【0043】
例1:3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノン(1)の合成
【0044】
【化11】

【0045】
オーバーヘッドスターラーおよび温度計を備えた500ml三口丸底フラスコ中、室温で、1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)プロパン−1−オン(145.0g;0.6mol)をアセトニトリル(375ml)に溶解し、撹拌下で、塩化N−メチル−N−メチレン−メタンアミニウム(57.0g;0.61mol)および塩化アセチル(5ml)を加えた。添加後に温度は10℃上昇した。反応混合物を室温で終夜撹拌し、ジエチルエーテル(375ml)を加え、3時間以内で5〜10℃に冷却することにより、生成物を結晶化させた。得られた固体を吸引濾過し、45℃および100mbarで乾燥した。生成物は無色の固体として50%の収率(94g)で得られた。
【0046】
例2:(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノン(3)の合成および単離
【0047】
【化12】

【0048】
温度計を備えた500ml反応容器中で35〜40℃に温めることにより、ジベンゾイル酒石酸一水和物(78.0g;0.2mol)を無水エタノール(360ml)に溶解した。その混合物を室温まで冷却し、(2RS)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノン(1)の無水エタノール(230ml)溶液に加えた。結晶化を完了させるために、そのバッチを5〜8℃で16時間撹拌した。得られた結晶を濾別し、エタノールで洗浄し、45℃/100mbarで16時間乾燥した。生成物は無色の固体として65%の収率(85.0g)で得られた。
【0049】
温度計を備えた1000ml反応容器中で、(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノン・(L)−(−)−ジベンゾイル酒石酸塩(85.5g;0.13mol)を水に溶解し、3−ペンタノン(200ml)を加えた。12〜13のpHを水酸化ナトリウム水溶液(32%;25ml;0.28mol)で調節した。相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、45〜50℃および5〜10mbarで、溶媒を減圧下で完全に除去した。生成物は、油状物として、87%の収率(33.6g)で得られた。[α]=+17°。
【0050】
例3:(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−(ベンゾイルオキシ)フェニル)−2−メチル−3−ペンタノール(4)の合成
【0051】
【化13】

【0052】
オーバーヘッドスターラー、温度計、不活性ガス供給口および滴下漏斗を持つ500ml三口丸底フラスコに、窒素下、10℃で、臭化エチルマグネシウム(1M THF溶液;0.15mol;150ml)を投入した。この溶液に、THF(150ml)に溶解した(2S)−3−(ジメチルアミノ)−1−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−1−プロパノン(3)(33.0g;0.11mol)を、10〜15℃で滴下した。添加が終了した後、そのバッチを室温で16時間撹拌し、硫酸水素アンモニウム溶液(150ml)でクエンチした。相を分離し、水相を3−ペンタノン(150ml)で再抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターを使って、45〜50℃および<10mbarで、溶媒を完全に除去した。帯黄色油状物が89%の収率(32.0g)で得られた。[α]=−10.5℃
【0053】
例4:3−[(1R,2R)−3−(ジメチルアミノ)−1−エチル−2−メチルプロピル]フェノール一塩酸塩(5)の合成
【0054】
【化14】

【0055】
スターラーおよび温度計を備えた標準的実験容器で、(2S,3R)−1−(ジメチルアミノ)−3−(3−(ベンジルオキシ)フェニル)−2−メチル−3−ペンタノール(4)(21.0g;0.064mol)をメチルテトラヒドロフラン(125ml)に溶解し、無水トリフルオロ酢酸(20g、0.095)を加えた。その混合物を撹拌しながら40〜45℃に4時間加温した。次にその混合物を室温まで冷却し、Pd/C(5%;2.5g;1.9mol−%)を窒素雰囲気下で加えた。その混合物を水素化装置に移し、3bar/800rpmで16時間水素化した。触媒を濾去し、得られた溶液を氷浴で5〜10℃に冷却した。水(1.1g;0.06mol)を加え、トリメチルクロロシラン(6.95g;0.064mol)を滴下した。結晶化のために、その混合物を5〜8℃で16時間撹拌した。結晶を濾別し、アセトンで洗浄し、乾燥器中、40〜45℃および100mbarで、16時間乾燥した。生成物は無色の結晶性固体として89%の収率で得られた(14.7g;融点201℃、エナンチオマー純度:99%、純度:97.7%;(HPLC);アッセイ:95.5%(HPLC))。
【0056】
実施例5の手法に従って製造した化合物(5)は、96.9%の所望の(2R,3R)エナンチオマー、1%の(2S,3S)エナンチオマーおよび2.1%の(2R,3S)エナンチオマーを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式(VI)
【化1】

[式中、Rは、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C1−6アルキルカルボニル、テトラヒドロピラニル、またはフェニルもしくはナフチルで置換されたC1−3アルキルを表す。ただし、R=メチルは除外される]
で表わされる化合物をアシル化剤でアシル化する工程;
b)得られた化合物(VII)
【化2】

を、反応不活性溶媒中、水素の存在下で、適切な触媒を使って水素化分解することにより、R=RまたはHである生成物VIII
【化3】

を得る工程;
c)場合によっては、R≠Hであるならば、式VIIIの基Rを脱保護する工程、および
d)場合によっては、得られた脱保護生成物を酸付加塩に変換する工程
を特徴とする、式(VIII)の化合物またはその酸付加塩を製造するための方法。
【請求項2】
工程a)のアシル化剤が、有機アシルハライドまたは有機酸無水物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
有機アシルハライドまたは有機酸無水物が無水酢酸、塩化アセチル、無水トリフルオロ酢酸、無水クロロ酢酸、塩化クロロアセチル、無水ジクロロ酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水安息香酸、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、二塩化フタロイル、二塩化テレフタロイル、無水コハク酸、塩化スクシニル、塩化エチルオキサリル、塩化メチルオキサリル、メルドラム酸、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、または塩化アセチルサリチロイルから選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
酸無水物が無水トリフルオロ酢酸である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
工程b)の触媒がラネーニッケル、パラジウム、パラジウム担持炭素、白金、白金担持炭素、ルテニウムもしくはロジウム担持炭素、または他の任意の適切な触媒から選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
触媒がパラジウム担持炭素である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
工程b)の反応不活性溶媒がジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランまたはその混合物より成る群から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
Rがエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ベンジル、フェニルエチル、テトラヒドロピラニル、−(C=O)−CH、−(C=O)−CHCH、または−(C=O)−C(CHを表す、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
Rがベンジルを表す、請求項8記載の方法。
【請求項10】
(2R,3R)−3−(3−ヒドロキシフェニル)−N,N,2−トリメチルペンタンアミンが対応するその塩酸付加塩に変換される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
工程a)およびb)がワンポット反応で行われる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
式(VII)
【化4】

[式中、Rは、C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C1−6アルキルカルボニル、テトラヒドロピラニル、またはフェニルもしくはナフチルで置換されたC1−3アルキルを表す。ただし、R=メチルは除外される]
で表わされる化合物。
【請求項13】
アシルがCH−CO−、CF−CO−、CHCl−CO−、CHCl−CO−、CCl−CO−、CHO−CO−、CHCHO−CO−、CHO−CO−CO−、CHCHO−CO−CO−、フェニル−CO−、またはメタ−CHCOO−フェニル−CO−を表す、請求項12記載の式(VII)で表わされる化合物。
【請求項14】
Rがエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ベンジル、フェニルエチル、テトラヒドロピラニル、−(C=O)−CH、−(C=O)−CHCH、または−(C=O)−C(CHを表す、請求項13記載の式(VII)で表わされる化合物。
【請求項15】
アシルがCF−CO−を表し、Rがベンジルを表す、請求項14記載の式(VII)で表わされる化合物。

【公表番号】特表2009−544637(P2009−544637A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521155(P2009−521155)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006514
【国際公開番号】WO2008/012046
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】