説明

3枚の主葉および3枚の副葉を有する六葉の断面フィラメント、かかるフィラメントを有する糸からタフトしたカーペット、ならびにかかるフィラメントを製造するためのキャピラリー紡糸口金オリフィス

合成ポリマーを含み、3枚の主葉と3枚の副葉、および主半径(R1)と副半径(R2)を有する六葉の断面によって特徴づけられるフィラメント。各葉断面は、外向きに伸びて各末端の凸状先端と接するほぼ直線の側面部を有する。主半径(R1)と副半径(R2)との比は、1を超える外面修正比(R1/R2)を画定する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、3枚の主葉および3枚の副葉を有する、六葉の断面形状を有する合成ポリマーフィラメントに関する。フィラメントは、低光沢、艶消しされた控えめな光沢、高い色収率、および優れた防汚性能を示すカーペットを作製するのに特に適している。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は2005年12月6日に出願された米国仮特許出願第60/742,706号の優先権の利益を主張する。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,168,143号明細書
【特許文献2】米国特許第3,525,134号明細書
【特許文献3】米国特許第5,108,838号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、主半径(R1)内の中心軸に対して、前記中心軸に関して対称的に配置された3枚の主葉、および主葉間で前記中心軸に対して副半径(R2)内にそれぞれ対称的に配置された3枚の副葉を有する六葉の断面を有し、主半径(R1)と副半径(R2)との比が1を超える外面修正比(R1/R2)を画定する、合成ポリマーフィラメントである。本発明に係る断面を有する合成ポリマーフィラメントを含んでなるカーペットは、低光沢、艶消しされた控えめな光沢、高い色収率、および優れた防汚性能、すなわち汚れ隠蔽性能を示す。
【0005】
本出願の一部を構成する添付図面に関連して、以下の詳細な説明から本発明をより良く理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下の発明の詳細な説明全体を通じて、全ての図面中で同様の要素を指すのに同様の参照数字が使用される。
【0007】
本発明のフィラメントは、3枚の主葉と3枚の副葉を有するほぼ均一な中実六葉の断面を有する。各主葉部分は、外向きに伸びて一般に凸状先端に終結するほぼ直線の側面部を有する。一実施形態では、直線の側面部の側面は平行である。別の実施形態では、直線の側面部は、凸状先端の方向に中心軸から遠ざかって、幅広から幅狭に内向きに先細りにできる。さらに別の実施形態では、直線の側面部は、凸状先端から中心軸の方向に中心軸に向かって、幅広から幅狭に内向きに先細りにできる。
【0008】
断面の主葉は、フィラメント断面の中心軸に対して、対称的にまたは非対称的に配置されてもよい。中心軸から凸状先端までで測定される各主葉の長さは、対応する各副葉の長さ寸法を超える。葉が対称的な実施形態において、葉は本質的に互いに鏡像である2つの側面を有するように配置される。
【0009】
ここで図1を参照すると、本発明に従って一般に参照数字10によって示されるフィラメントの断面図が示される。中心の、すなわち長手方向の軸12は、フィラメント10を貫いて伸び、その幾何学的中心の働きをする。中心軸12から、軸からのフィラメント10の外輪郭上の最外側の点までの距離が、フィラメントの主半径(R1)を画定する。点は、各主葉上でそれぞれ16A、16B、および16Cとして表される。副半径(R2)は、中心軸12から、各副葉上にそれぞれ17A、17B、および17Cとして表される副葉の最外側の点までの距離と定義される。
【0010】
ジェネレーション(generation)18A、18B、18Cのそれぞれの中心から各主葉16A、16B、16Cの凸状先端までの距離は、主先端半径R3によって示される(図1では説明を分かりやすくするためにその内1つのみを示す)。ジェネレーション(generation)19A、19B、19Cのそれぞれの中心から各副葉17A、17B、17Cの凸状先端までの距離は、副先端半径R4によって示される(図1では説明を分かりやすくするためにその内1つのみを示す)。
【0011】
凸状領域22は、図のように各主葉と各副葉の間に配置される。
【0012】
一実施形態に従って、フィラメント10は1を超える外面修正比(R1/R2)を有する。換言すれば、フィラメント中心軸から主葉先端までで測定される各主葉(R1)の長さは、各副葉(R2)の対応する長さを超える。本発明の別の実施形態に従って、外面修正比(R1/R2)は1.2〜約3.5の範囲内である。さらに別の実施形態では、外面修正比(R1/R2)は、約1.5〜約2.5の範囲内である。
【0013】
さらに主半径(R1)と主先端半径(R3)との比は、約2.0〜約10.0の範囲内である「主先端比」(R1/R3)を画定する。本発明に係る別の実施形態では、主先端比(R1/R3)は約2.5〜約4.0の範囲内である。
【0014】
主半径(R1)と副先端半径(R4)との比は、約2.0〜約40.0の範囲である「副先端比」(R1/R4)を画定する。別の実施形態では、副先端比(R1/R4)は約3.75〜約14.0の範囲である。
【0015】
本発明に従って、フィラメント、すなわちステープルファイバーまたは連続フィラメントは、合成の熱可塑性溶融紡糸可能ポリマーまたはコポリマーを使用して調製される。適切なポリマーおよびコポリマーとしては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリアクリロニトリルが挙げられる。後述の「ポリマー」という用語は、ポリマー、およびランダムおよびブロックコポリマーを意味するように使用される。ポリマー組成物は溶融されて、次に使用される個々のポリマー組成物の物理特性および/または化学組成次第で変動する条件下で、図3および図4に示すような(以下に説明する)その中に適切な大きさのオリフィスを有する紡糸口金キャピラリー開口部54を通して押し出され(すなわち「紡糸される」)、それによって所望のデニール、外面修正比、および主または副先端比を有するフィラメント10が生成される。フィラメントを引き続いて、それらの上を流れる冷却空気によって急冷する。次にフィラメントを1つまたは複数の加熱される延伸コイル(draw coil)上に通過させる。引き続いて当該技術分野で知られている任意の方法によって、フィラメントを捲縮し、短い長さに切断してステープルファイバーを作製してもよく、または嵩高にして嵩高連続フィラメント(BCF)を作製してもよい。
【0016】
フィラメントは、一般にそれらの長さに沿って断面が均一であり、既知の方法に従って、「嵩高」または「捲縮」としても知られているテクスチャー加工をしてもよい。それらはカーペット、テキスタイル、または不織物用途をはじめとする、いくつかの異なる用途のために使用できる。
【0017】
本発明に従って製造された複数の嵩高連続フィラメントは、集成させて嵩高連続糸を形成できる。フィラメントの特有の所望の特性のために、それらから形成された糸は、(必要に応じてその他のタイプの糸を用いてまたは用いずに)特にタフトしてカーペットにするのに有利であると考えられ、それによって特に望ましい特性が得られる。必要に応じて、糸はその他の形状のフィラメントを含むことができる。
【0018】
本発明に係るフィラメントを含む、ボンデッド白色糸カーペットは、ジェット染料プリンターの下を通過させることができる。デザインソフトウェアを使用して、ジェットは染料をカーペット上に発射し、無限の多様性と色のデザインおよびパターンを形成する。次にカーペットを蒸煮して、その後完全にすすぎ、次にそれを脱水する。ループパイルおよびカットパイルカーペットの双方を使用して、プリントカーペットを製造することができる。
【0019】
図3は、本発明に係るフィラメント10’を製造するのに有用な紡糸口金プレートの一例を例示する。紡糸口金プレートは、上面と底面を有する比較的大きい部材である。当業者には良く理解されるように、紡糸口金プレートの上面の一部には穿孔窪み(図示せず)が備わっており、それによってプレートはポリマー供給源とつながっている。押し出すポリマーのレオロジー次第で、穿孔窪みの下縁を傾斜させて、供給から紡糸口金プレートへのポリマーの流れを促進してもよい。
【0020】
複数のキャピラリー開口部が、窪み上面から底面に紡糸口金プレートを貫いて伸びる。各キャピラリー開口部54は、1本のフィラメントを形成する働きをする。図3にはこのようなキャピラリー開口部54の1つだけが図示される。したがって所定の紡糸口金プレート中に提供されるキャピラリー開口部数は、集成されて所定の数の糸を形成するフィラメント数に対応する。言及されたように、追加的フィラメント(使用する場合)を任意な好都合な方法で糸中に組み込んでもよい。
【0021】
図3で最も良く分かるように、本発明では、各キャピラリー開口部54は、3本の主脚62A、62B、62Cと、3本の副脚63A、63B、63Cを有する6本の脚を有する。各主脚62A、62B、62Cは、脚先端からキャピラリー開口部の中心軸68に伸びる、それぞれの長手方向軸64A、64B、64Cを有する。主軸64A、64B、64Cは、120度(120°)の角度で互いに隔たる。各副脚63A、63B、63Cは、脚先端からフィラメントの中心軸に伸びる、それぞれの長手方向軸65A、65B、65Cを有する。副軸65A、65B、65Cは、120度(120°)の角度で互いに隔たる。各主軸は最も近い副軸と約60度(60°)の角度で互いに隔たる。主脚62A、62B、62Cの主軸64A、64B、64Cと、副脚63A、63B、63Cの副軸65A、65B、65Cとは、キャピラリー開口部の中心軸68で交差する。
【0022】
主脚62A、62B、および62Cの幅寸法は、それぞれの参照文字B1、B2、B3によって示される。副脚63A、63B、63Cの幅寸法は、それぞれの参照文字D1、D2、D3によって示される。通常、主脚の幅は副脚の幅を超える。
【0023】
主脚62A、62B、および63Cの長さ寸法は、それぞれの参照文字A1、A2、およびA3によって示される(図3では説明を分かりやすくするためにその内1つのみを示す)。副脚63A、63B、および63Cの長さ寸法は、それぞれの参照文字C1、C2、C3によって示される(図3では説明を分かりやすくするためにその内1つのみを示す)。通常、主脚の長さは副脚の長さを超える。
【0024】
各脚の側面はほぼ平行であり、外向きに伸びて凸状先端に終結する。あるいは、脚は、中心軸68から円形先端の方向に、幅広から幅狭に幅を先細りにできる。さらに別の実施形態では、直線の側面部は、円形先端から断面の中心軸68の方向に、幅広から幅狭に幅を先細りにできる。
【0025】
図4は、本発明に係るフィラメント10を製造するのに有用な紡糸口金プレートの別の例を例示する。図4に示すキャピラリー開口部54は、各脚の凸状先端が図のようにいくらか拡大されていること以外は、図3と同一である。参照数字「D」は、各主脚上に位置する拡大先端の直径を示す。参照数字「d」は、各副脚上に位置する拡大先端の直径を示す。
【0026】
紡糸口金プレートは、米国特許公報(特許文献1)で記載されるようなレーザー技術を使用して、任意の適切な方法で製造してもよい。
【0027】
ここで以下の非限定的例と併せて、本発明についてより詳細に説明する。
【実施例】
【0028】
(試験法)
(相対粘度)
相対粘度(RV)は、5.5グラムのナイロン6,6ポリマーを50立方センチメートル(50cc)のギ酸に溶解して測定した。RVは、ナイロン66/ギ酸溶液の絶対的粘度とギ酸の絶対的粘度との比である。双方の絶対的粘度は摂氏25度(25℃)で測定した。
【0029】
(カーペット光沢)
異なるカットパイルカーペットサンプルの光沢の程度は、どのカーペットがどの糸からできているかという知識なしに、並列比較で視覚的に比較した。カーペットは、それぞれカーペットの構造および表面組織に精通している5人の熟練した検査官のパネルによって検査された。光沢値は検査官によって「1」から「5」の尺度で測定され、「5」が最も光沢が高い。各サンプルの光沢評価を平均し、平均評価を基準にして、サンプルに低い、中程度または高い光沢の評価を与えた。同じ方法でカーペット嵩を評価した。光沢結果を表3に報告する。
【0030】
(実験室防汚試験)
ベターマン(Vetterman)ドラムを使用して、各カーペットサンプルについて防汚試験を行った。ミノルタ・コーポレーション(Minolta Corporation)から「クロマメーター(Chromameter)」モデルCR−210として販売されるハンドヘルド色測定機器を使用して、サンプルの基本色を測定した。
【0031】
カーペットサンプルをベターマン(Vetterman)ドラムに入れた。オンタリオ州ミシサーガのデュポンカナダ(DuPont Canada,Mississauga,Ontario)からの200グラム(200g)の清潔なナイロン101ザイテル(Zytel)ナイロンビーズおよび50グラム(50g)の汚れたビーズをサンプルの上に置いた。汚れたビーズは、ノースカロライナ州ウィンザーのマニュファクチャー・テキスタイル・イノベーターズ・コーポレーション(Manufacturer Textile Innovators Corp.(Windsor,N.C.))からの10グラム(10g)のAATCCTM−122合成カーペット汚物と、1000グラム(1000g)の新しいナイロン101ザイテル(Zytel)ビーズとを混合して調製した。1600から1700グラム(1600〜1700g)のセラミック円柱形状ビーズ[110〜130個の1/2”直径×1/2”長さの小型ビーズと、25〜35個の3/4”直径、3/4”長さ(1.91cm直径、1.91cm長さ)の大型ビーズ]をベターマン(Vetterman)ドラムに入れた。ベターマン(Vetterman)ドラムを500サイクル作動させて、サンプルを取り出した。
【0032】
サンプル色を再度測定し、汚れに起因する、対照値(デルタE)に対する色変化を記録した。サンプルをドラムに戻して50グラム(50g)の汚れたビーズ混合物を廃棄し、50グラム(50g)の新しい汚れたビーズをドラムに入れた。上述の手順をさらに3回の500サイクル作動繰り返した。
【0033】
全部で2000サイクル後、対照値に対する色変化をバキューミングした後に測定して記録した。デルタE数の高いサンプルは、デルタEの低いサンプルより性能が劣る。
【0034】
(徒歩での交通による防汚試験)
本発明のフィラメントから構成されるループカーペット上の徒歩での交通の防汚性能試験を行った。試験は、実際の徒歩での交通試験によって、カーペットをかなりの量の汚物に曝露することを伴った。典型的な徒歩での交通レベルは週あたり約100,000〜200,000の交通量のペースで、150,000〜1,000,000の範囲であった。
【0035】
カーペットサンプルの寸法は変動できる。カーペットサンプルの幅は、廊下の幅を覆うために典型的に約6フィートである。カーペットの長さは、利用できるサンプル数次第で典型的に約12〜18インチの範囲である。この実施例では、業務用レベルループカーペットは12インチ×6フィートと測定された。カーペットを、各測定の前にバキューミングした。
【0036】
ミノルタ・クロマグラフ・メーター(Minolta Chromagraph Meter)CR−210測定装置を使用して、異なるカーペットサンプル上で12時間毎に反射率測定を行った。CR−210は反射対象色を測定するためのコンパクト三刺激値色分析器である。カーペットサンプル上の3つの異なる領域で色を読み取る。クロマグラフ・メーター(Chromagraph Meter)は、各読み取りについて色差ΔEを計算する。
【0037】
ΔE色偏差は全色差を表す。式は、色空間がユークリッド(Euclides)(三次元)であると仮定して、下の式で示されるように、サンプルと標準の間の座標の差を表す3つの成分の二乗の和の平方根としてΔEを計算する。
【0038】
【数1】

【0039】
式中、L*は明度変数であり、a*およびb*は色度座標である。防汚性能比較試験を行う場合、全サンプルを同時に試験して、同一床位置の維持を試みることが重要である。また、ウォーク・オフ・マットを使用して、廊下入り口に最も近いカーペットサンプルが過度の量の汚物を被るのを防止する。これは試験におけるバイアスを防止する。徒歩での交通後にΔEが低い試験サンプルは、ΔEが高いサンプルよりも良い性能を有すると見なされる。
【0040】
(実施例1〜3)
(紡糸工程)
以下の実施例では、様々な断面を有するナイロン6,6フィラメントを製造した。ナイロン6,6フィラメントは、図3、4、および5に示すタイプの異なる紡糸口金から紡糸された。
【0041】
全ての実施例のために使用されるナイロン6,6ポリマーは艶消しポリマーであり、これはポリマースピンドープが0.15重量%のTiO2を含有し、68+/−約3単位の相対粘度(RV)を有したことを意味する。紡糸パック前のポリマー温度は、摂氏約285+/−1度(285+/−1℃)に制御された。紡糸処理能力は、1時間あたり70ポンド(70lb;31.8kg)であった。
【0042】
異なる紡糸口金を通してポリマーを押し出し、80本のフィラメントのセグメント2つに分割した。紡糸口金のためのキャピラリー寸法については下述する。次に噴出口内で溶融繊維を迅速に急冷し、そこでは急冷ゾーンを通って摂氏約9度(約9℃)の冷却空気が、1分あたり300立方フィート(300cfm;8.49立方メートル/分)でフィラメントに吹き付けられる。次に延伸と捲縮のために、1分あたり800ヤード(800yd/分;731.52m/分)で潤滑剤によってフィラメントを被覆した。1対の加熱延伸ロールを使用して、1分あたり2197ヤード(2009m/分および2.75×延伸比)で被覆された糸を延伸した。延伸ロール温度は摂氏190度(190℃)であった。次にフィラメントを米国特許公報(特許文献2)で記載されるのに類似した二重衝突膨化ジェット(210℃の熱風)内に進めて、フィラメントあたり995デニール(1106デシテックス)、および12.5デニール(dpf)(フィラメントあたり13.9デシテックス)の2つの糸を形成した。
【0043】
紡糸、延伸、捲縮された嵩高連続フィラメント(BCF)糸をケーブル撚り糸機上でインチあたり5.0回転(tpi)にケーブル撚りして、設定温度華氏265度(265°F;129.4℃)のスペルバ(Superba)熱処理機上でヒートセットした。
【0044】
次に試験糸を1/10インチゲージ(0.254cm)タフト機上で、0.625インチ(5/8”;1.59cm)パイル高さを有する平方ヤードあたり55オンス(55oz/yd2;1865g/m2)のカットパイルカーペットにタフトした。タフトしたカーペットを連続範囲染色機上で、羊毛ベージュ色カーペットに染色した。専門家パネルによってカーペットの美観を評価した。それらはまた、ベターマン(Vetterman)ドラム内での防汚試験の対象でもあった。
【0045】
(実施例1(比較例))
上述の工程を使用して、図6に示すような波形の三葉断面(米国特許公報(特許文献3))を有するフィラメントを作製した。フィラメントを、図5に示すような紡糸口金キャピラリーを通して紡糸した。
【0046】
(実施例2(本発明))
上述の工程を使用して、図1に示すような本発明に係る六葉の断面を有するフィラメントを作製した。フィラメントを、図4に示すような紡糸口金キャピラリーを通して紡糸した。キャピラリー寸法を表1および2に記載する。
【0047】
表1は、図3〜4に示す主脚の様々な寸法A1、A2、A3、B1、B2、B3、およびDの規模を表す。表2は、図3〜4に示す副脚の様々な寸法C1、C2、C3、D1、D2、D3、およびdの規模を表す。寸法はcm単位である。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
(実施例3(本発明))
上述の工程を使用して、図2に示すような本発明に係る六葉の断面を有するフィラメントを作製した。フィラメントを、図3に示すような紡糸口金キャピラリーを通して紡糸した。キャピラリー寸法を表1および2に記載する。
【0051】
上のフィラメントを使用して製造されたカーペットに、既述したようにベターマン(Vetterman)ドラム内での防汚試験を行った。防汚性能はデルタE測定によって判断した。デルタEが低いカーペットサンプルはより良い防汚性能を有し、すなわちデルタEが高いカーペットよりも良い防汚性能を有すると見なされた。デルタEを1単位以上低下させることは、顕著な改善と見なされた。
【0052】
カーペットサンプルはまた、艶および光沢についても専門家のパネルによって評価した。光沢の全くないカーペットは、高い光沢のカーペットよりも望ましい。全ての天然繊維は不快な光沢を有さなかった。試験結果を下の表3に要約する。
【0053】
【表3】

【0054】
(実施例4〜6)
(紡糸工程)
以下の実施例では、様々な断面を有するナイロン6,6フィラメントを製造した。ナイロン6,6フィラメントは、図3、4、5、および7に示すような異なる紡糸口金から紡糸した。
【0055】
全ての実施例のために使用されるナイロン6,6ポリマーは艶消しポリマーであり、これはポリマーが0.2重量%のTiO2を含有し、68+/−約3単位の相対粘度(RV)を有したことを意味する。紡糸パック前のポリマー温度は、摂氏約286+/−1度(286+/−1℃)に制御された。紡糸処理能力は、1時間あたり75ポンド(75lb;34.1kg)であった。
【0056】
異なる紡糸口金を通してポリマーを押し出し、64本のフィラメントのセグメント2つに分割した。次に噴出口内で溶融繊維を迅速に急冷し、そこでは急冷ゾーンを通って摂氏約9度(約9℃)の冷却空気が、1分あたり300立方フィート(300cfm;8.49立方メートル/分)でフィラメントに吹き付けられる。次に延伸と捲縮のために、1分あたり715ヤード(715yd/分;654m/分)で潤滑剤によってフィラメントを被覆した。1対の加熱延伸ロールを使用して、1分あたり1930ヤード(111m/分および2.75×延伸比)で被覆された糸を延伸した。延伸ロール温度は摂氏190度(190℃)であった。次にフィラメントを、クーン(Coon)に付与された米国特許公報(特許文献2)で記載されるのに類似した二重衝突膨化ジェット(230℃の熱風)内に進めて、フィラメントあたり1245デニール(1385デシテックス)、および19デニール(dpf)(フィラメントあたり21.1デシテックス)の2つの糸を形成した。
【0057】
ケーブル撚り糸機上でインチあたり4.5回転(tpi)にケーブル撚りして、設定温度華氏265度(265°F;129.4℃)のスペルバ(Superba)熱処理機上でヒートセットし、防汚試験のためのカーペットを調製した。
【0058】
次にこれらの試験糸を1/10インチゲージ(0.254cm)のタフト機上で、0.25インチ(8/32”;0.635cm)のパイル高さを有する平方ヤードあたり32オンス(32oz/yd2;1085g/m2)のカットパイルカーペットにタフトした。タフトしたカーペットをベック(beck)染色機内でおよそL*=71のベージュ色カーペットに染色した。
【0059】
ケーブル撚り糸機上でインチあたり4.8回転(tpi)にケーブル撚りして、設定温度華氏265度(265°F;129.4℃)のスペルバ(Superba)熱処理機上でヒートセットし、印刷試験のためのカーペットサンプルを調製した。
【0060】
次にこれらの試験糸を1/10インチゲージ(0.254cm)タフト機上で、0.31インチ(5/16”;0.794cm)パイル高さを有する平方ヤードあたり36オンス(36oz/yd2;1221g/m2)のカットパイルカーペットにタフトした。
【0061】
(実施例4(比較例))
上述の溶融紡糸工程を使用して、図6に示すような三葉断面を有するフィラメントを作製した。フィラメントを、図5に示すような紡糸口金キャピラリーを通して紡糸した。
【0062】
(実施例5(本発明))
上述の溶融紡糸工程を使用して、図2に示すような本発明に係る六葉の断面を有するフィラメントを作製した。フィラメントを、図3に示すような紡糸口金キャピラリーを通して紡糸した。キャピラリー寸法を表1および2に記載する。
【0063】
(実施例6(本発明))
上述の溶融紡糸工程を使用して、図2に示すような本発明に係る六葉の断面を有するフィラメントを作製した。フィラメントを、図4に示すような紡糸口金キャピラリーを通して紡糸した。キャピラリー寸法を表1および2に記載する。
【0064】
(実施例7(比較例))
前述の溶融紡糸工程と類似した工程を使用して、図8に示すような三葉断面を有するフィラメントを作製した。フィラメントを、図7に示すような紡糸口金キャピラリーを通して紡糸した。
【0065】
実施例4〜6を1/10インチゲージ、1/4インチパイル高さ、32オンスループのパイルカーペットに加工して、個別に淡いベージュ(L*約≒71)色に染色した。徒歩での交通を使用して、これらのサンプル上で防汚試験を実施した。汚れデータを表4に列挙する。
【0066】
【表4】

【0067】
実施例5〜7をゲージ1/10インチゲージ、パイル高5/16インチ、平方ヤードあたり36オンスのカットパイルカーペットに加工した。カーペットサンプルを蒸気で処理し、クロモジェット(Chromojet)プリンター上でプリントして、多色模様入りカーペットにした。全てのカーペットサンプルに同量の染料を施した。次にプリントカーペットを蒸気で処理して染料を定着させ、水で完全にすすいで未使用染料を除去した。ミノルタ(Minolta)比色計を使用して、カーペット(ベージュ部分のみ)の色濃度(L*値)を測定した。L*値が低いカーペットは、印刷品質のカーペットよりも濃い色を有する。残りの結果を表5に列挙する。
【0068】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るフィラメントの断面図である。
【図2】本発明の代案の実施形態に対応するフィラメントの断面図である。
【図3】本発明に係るフィラメントを製造するための紡糸口金プレートの平面図である。
【図4】本発明の代案の実施形態を製造するための紡糸口金プレートの平面図である。
【図5】比較例1で使用されるフィラメントを紡糸するための紡糸口金プレートの平面図である。
【図6】比較例1で使用される三葉フィラメントの断面図である。
【図7】比較例4のフィラメントを紡糸するために使用される紡糸口金プレートの平面図である。
【図8】比較例4で使用される三葉フィラメントの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主半径(R1)内の中心軸に対して、前記中心軸に関して対称的に配置された3枚の主葉、および主葉間で前記中心軸に対して副半径(R2)内にそれぞれ対称的に配置された3枚の副葉を有する六葉の断面によって特徴づけられ、主半径(R1)と副半径(R2)との比が1を超える外面修正比(R1/R2)を画定することを特徴とする合成ポリマーフィラメント。
【請求項2】
1/R2比が約1.2〜約3.5の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のフィラメント。
【請求項3】
1/R2比が約1.5〜約2.5の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載のフィラメント。
【請求項4】
各主葉が先端半径(R3)を有する凸状先端で終結し、主半径(R1)と先端半径(R3)との比が2.0〜10.0の範囲内で主先端比(R1/R3)を画定することを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3のいずれか一項に記載のフィラメント。
【請求項5】
主先端比(R1/R3)が2.5〜4.0の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載のフィラメント。
【請求項6】
各副葉が副先端半径(R4)を有し、主半径(R1)と副先端半径(R4)との比が約2.0〜約40.0の範囲内であることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3のいずれかに記載のフィラメント。
【請求項7】
1/R4比が3.75〜約14.0の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載のフィラメント。
【請求項8】
各副葉が先端半径(R4)を有し、主半径R1と先端半径(R4)との比が約2.0〜約40.0の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載のフィラメント。
【請求項9】
先端比R1/R4が3.75〜約14.0の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のフィラメント。
【請求項10】
前記合成ポリマーが、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリアクリロニトリルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のフィラメント。
【請求項11】
裏張りにタフトされた複数の嵩高連続糸を含むカーペットであって、各糸が複数の嵩高連続ポリマーフィラメントを含み、前記嵩高連続フィラメントのそれぞれが、主半径(R1)内の中心軸に対して、前記中心軸に関して対称的に配置された3枚の主葉、および主葉間で前記中心軸に対して副半径(R2)内にそれぞれ対称的に配置された3枚の副葉を有する六葉の断面によって特徴づけられ、主半径(R1)と副半径(R2)との比が1を超える外面修正比(R1/R2)を画定することを特徴とするカーペット。
【請求項12】
前記カーペットがプリントカーペットであることを特徴とする請求項11に記載のカーペット。
【請求項13】
六葉の中心領域の中心点に始まる、等間隔で放射状に外向きに伸びる同一の3本の主脚と、等間隔で放射状に外向きに同一の3本の副脚とを含み、2本の脚が本質的に互いに鏡像であり、各主脚の長さが各副脚の長さを超えることを特徴とするキャピラリー紡糸口金オリフィス。
【請求項14】
各主脚の幅が各副脚の幅を超えることを特徴とする請求項13に記載のキャピラリー紡糸口金オリフィス。
【請求項15】
主脚のそれぞれが延長された円形先端を有することを特徴とする請求項13または14に記載のキャピラリー紡糸口金オリフィス。
【請求項16】
副脚のそれぞれが延長された円形先端を有することを特徴とする請求項13または14に記載のキャピラリー紡糸口金オリフィス。
【請求項17】
主脚の延長された円形先端直径と幅との比が約1.0〜約4.0の範囲であることを特徴とする請求項15に記載のキャピラリー紡糸口金オリフィス。
【請求項18】
副脚の延長された円形先端直径と幅との比が約1.0〜約4.0の範囲であることを特徴とする請求項16に記載のキャピラリー紡糸口金オリフィス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−518556(P2009−518556A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544396(P2008−544396)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/046060
【国際公開番号】WO2007/067437
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】