3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を表示するコンピュータプログラム及びテンソル量表示画像データ生成方法
【課題】 3次元ベクトル場を視認可能にする。
【解決手段】 3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を表示するためにコンピュータを、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域を設定する設定手段、局所的な3次元領域の大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面におけるテンソル量を表示する表示手段、として機能させるコンピュータプログラムである。
【解決手段】 3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を表示するためにコンピュータを、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域を設定する設定手段、局所的な3次元領域の大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面におけるテンソル量を表示する表示手段、として機能させるコンピュータプログラムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するベクトル量等のテンソル量を表示するコンピュータプログラム及びテンソル量表示画像データ生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3次元のベクトル場を可視的に表示することは、ベクトル場の状態を容易に理解するために重要である。ここで、大きさと方向を有するベクトルを表示する場合、当該ベクトルを矢印で表示することが一般的である。
【0003】
したがって、3次元オブジェクトの表面に分布するベクトル量を表示する場合には、当該3次元オブジェクトの表面に矢印を表示すれば良い。しかし、この表示の仕方では、3次元オブジェクト内部のベクトル場が表示できない。
一方、3次元オブジェクト内部のベクトルをすべて2次元的表示で可視的に表示しようとすると3次元オブジェクト内部のベクトルを示す矢印同士が重なってしまい、3次元オブジェクト内部のベクトル場を視覚的に理解するのが困難である。
【0004】
また、3次元オブジェクト内部のベクトル場を表現する場合、3次元オブジェクトの断面表示を行い、その断面上にベクトルを示す矢印を表示することが考えられる。しかし、断面表示では、当該断面だけの2次元的な視認によってでしかベクトル場を理解できず、3次元的(立体的)な視認は困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、3次元ベクトル場を3次元的(立体的)に視認させることは困難であり、この課題は、1階のテンソルであるベクトルに限らず、0階のテンソルであるスカラーや2階以上のテンソルについても同様である。
そこで、本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を3次元的に視認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンピュータプログラムに係る本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を表示するためにコンピュータを、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域を設定する設定手段、局所的な3次元領域の大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面におけるテンソル量を表示する表示手段、として機能させるものである。
【0007】
局所的3次元領域の大きさを変化させながら当該領域表面のテンソル量を表示すると、人間の残像現象(実際に残像が生じなくてもよい)のような効果によって、テンソル量を3次元的に視認することができる。
ここで、局所的3次元領域自体は、表示してもしなくても良いが、後述のように表示すると視認性が向上する。
【0008】
前記設定手段は、3次元オブジェクトにおける注目点を設定する手段と、設定された注目点からの局所的3次元領域の広がりを設定する手段と、を有しているのが好ましい。なお、設定される局所的3次元領域の広がりは、例えば、増減する局所的3次元領域の最も大きくなるときの大きさとすることができるが、例えば、増減途中の大きさであってもよい。
【0009】
前記設定手段は、3次元オブジェクトの断面の表示上で、当該断面を含む領域を局所的三次元領域として設定する手段として構成されているのが好ましい。この場合、表示されている3次元オブジェクト断面を手がかりとして、局所的3次元領域を設定できるため、局所的3次元領域の設定が容易となる。
【0010】
前記局所的な3次元領域が変化するときの当該3次元領域の最大の大きさを設定変更可能であるのが好ましい。この場合、局所的3次元領域の大きさを変えることで、観察対象領域を変えることができる。
【0011】
前記テンソル量は、少なくとも向きを有する1階以上のテンソル量であり、前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きを表示するのが好ましい。
また、前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きと大きさを表示するのが好ましい。
【0012】
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面に現れる前記3次元オブジェクト内部構造とともにテンソル量を表示するのが好ましい。この場合、テンソル量の3次元分布とともに3次元オブジェクトの内部構造を視認することができる。
【0013】
前記表示手段は、局所的3次元領域の表示視点を変化させつつ、局所的3次元領域の大きさが変化を繰り返すように表示可能であるのが好ましい。
局所的3次元領域を回転表示させるなどして、局所的3次元領域の表示視点を変化させつつ、局所的3次元領域の大きさが変化を繰り返せば、視認性がより一層向上する。
【0014】
局所的3次元領域の大きさの変化速度が設定変更可能であるのが好ましく、これにより、視認しやすい速度に調節することができる。
【0015】
前記3次元オブジェクトは、生体骨であるのが好ましく、前記テンソル量は、生体骨に作用する応力であるのが好ましい。
【0016】
テンソル量表示画像データ表示方法にかかる本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を画像表示するための画像データを画像生成コンピュータによって生成するためのテンソル量表示画像データ生成方法であって、画像生成コンピュータが、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域の設定入力を受け付けるステップ、設定された局所的3次元領域がその大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面にテンソル量が表示された画像を前記画像生成コンピュータが生成するステップ、とを含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、テンソル量を3次元的に視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここではまず、3次元ベクトル場の表示処理の基本的概念を図1〜図6に基づいて説明する。なお、ベクトルは、1階テンソルである。
図1は、生体骨(の一部:立方体形状)などの3次元オブジェクト1を示している。この3次元オブジェクト1の内部のベクトル(3次元オブジェクト内部の応力等)を表示するために、まず図2に示すように、ユーザ(観察者)が、ベクトルを観察したい注目点Pを設定する。注目点Pは、3次元オブジェクト1の表面又は内部の点として設定される。
なお、図2では、3次元オブジェクト1の任意の断面2を表示させ、その断面2上の点を指示することで、3次元オブジェクト1中の点を注目点Pとして指定している。
【0019】
注目点Pが設定されると、その注目点Pを中心とする3次元オブジェクト1の局所的な3次元領域Dが、図3,4,5,6に示すように順に連続的に拡大しながら表示され、局所的3次元領域Dが図6の最大の大きさまで拡大すると図5,4,3の順で連続的に縮小しながら表示され、局所的3次元領域Dが図3の最小の大きさまで縮小する。この局所的3次元領域Dの拡大縮小は繰り返し表示される。
【0020】
拡大縮小する局所的3次元領域Dの表面には、3次元オブジェクト1の局所的3次元領域D表面におけるベクトルが矢印によって表示される。矢印は、時間の経過によって大きさが変化(拡大縮小)する局所的3次元領域Dの表面に表示されるため、観察者が、拡大縮小する局所的3次元領域上の矢印を観察し続けると、人の目の残像的効果(実際に残像が生じなくてもよい)により、注目点P周辺のベクトル場の様子を立体的に把握することができる。
【0021】
続いて、以下では、3次元ベクトル場を表示するためのコンピュータの機能についてより具体的に説明する。また、このコンピュータ(プログラム )は、生体骨における応力を表示して骨粗しょう症診断支援用に用いられる。つまり、骨密度が低下すると、応力が大きくなり、骨折の可能性が高くなるが、生体骨の応力を3次元ベクトル場として表示すると、骨粗しょう症診断に役立つ。
【0022】
図7は、3次元オブジェクト内部の3次元ベクトル場(応力場)を表示するためのコンピュータ10の入出力関係を示している。図7に示すように、コンピュータ10には、3次元オブジェクトデータが入力データとして与えられ、3次元ベクトル場の画像表示や、3次元ベクトル場画像(アニメーション画像)のファイル出力などを行う。
【0023】
図8は、コンピュータ10の機能ブロックを示している。これらの各機能の詳細は、後述する。
なお、このコンピュータ10は、CPU等によって構成される演算部、メモリ・ハードディスク等によって構成される記憶部、キーボード・マウス等によって構成される入力部、ディスプレイ等の出力部を有して構成され、ハードディスク等の記憶部に後述のコンピュータプログラムがインストールされており、当該コンピュータプログラムを実行することによって各種機能が実現される。
【0024】
図9は、3次元ベクトル場を表示するためのコンピュータプログラム(応力可視化アプリケーション)によるコンピュータ10の画面表示(ウィンドウ)W1,W2−1,W2−2,W2−3を示している。
ウィンドウとしては、局所的3次元領域(以下、単に「局部」ということもある)の3次元ベクトル場の表示等を行う局部・ベクトル表示部20及び3次元オブジェクトの断面を表示する断面表示部25等としてのメインウィンドウW1と、表示のための設定を行うサブウィンドウW2−1,W2−2,W2−3とが設けられている。
サブウィンドウとしては、断面表示設定部21としての「断面表示」ウィンドウW2−1、局部表示設定部22としての「局部表示」ウィンドウW2−2、応力ベクトル設定部23としての「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3とが設けられている。
【0025】
メインウィンドウW1は、3次元オブジェクトデータの読み込み、3次元オブジェクト1全体の画像表示、3次元オブジェクト1における注目点Pを画面上で指定するための表示、大きさが増減する局部及びベクトルの画像表示、及び大きさが増減する局部及びベクトルの画像のファイル出力などの機能を有している。
本プログラムの3次元オブジェクトデータ(3次元オブジェクトデータファイル)読み込み機能によって、例えば、図10に示すような3次元オブジェクトデータ1が入力データとして読み込まれる。
【0026】
図10に示す3次元オブジェクトデータは、オブジェクトである海綿骨の一部(立体形状)の3次元形状データと、海綿骨の各部分に作用する応力ベクトルのデータとを有するものである。海綿骨は、スポンジ状構造をなしており、内部が複雑な構造となっている。
3次元オブジェクトの内部構造は、ボクセルデータによって表され、3次元オブジェクトデータは、各ボクセルにおける応力(ベクトル;テンソル)を示すデータをも有して、3次元オブジェクトの内部構造及び内部ベクトル場を示すものとなっている。
なお、図10に示す画像は、白黒の濃淡が存在する(実際の画像はカラーである)が、この濃淡(色の違い)が、応力の大きさを示している。
ここで、3次元オブジェクトの構造を表すデータ形式は、ボクセルデータに限られるものではなく、4面体データ等の他のデータ形式であってもよい。
【0027】
読み込まれた3次元オブジェクトデータ1の全体図は、図10に示す画像としてメインウィンドウW1に表示される。
そして、メインウィンドウW1から「断面表示」ウィンドウW2−1を起動すると、メインウィンドウW1には、図9に示すように、3次元オブジェクト1の断面2が表示される。表示される断面2は、「断面表示」ウィンドウW2−1における設定に従ったものであり、3次元オブジェクト1における任意の方向、任意の位置、及び任意の厚さの断面2を表示することができる。
すなわち、「断面表示」ウィンドウW2−1は、断面方向設定部211として「YZ断面」、「ZX断面」、「XY断面」の設定部を有しており、選択された方向の断面がメインウィンドウW1に表示される。図9においては、「YZ断面」が設定されており、メインウィンドウW1において3次元オブジェクトのYZ平面の断面が表示されている。
【0028】
また、「断面表示」ウィンドウW2−1は、表示する断面の位置を設定する表示断面位置設定部212を有しており、断面方向設定部211で設定された方向の断面に直交する方向の3次元オブジェクト1内での位置をスライダーによって設定することができる。例えば、図9では、断面方向として「YZ断面」が設定されているのでこの断面と直交するX方向における当該断面2の位置を自由に設定することができる。
以上の断面方向設定部211及び表示断面位置設定部212によって、3次元オブジェクトの任意の方向の任意の位置の断面2を表示することができる。
【0029】
さらに、「断面表示」ウィンドウW2−1は、表示される断面2の厚さを設定するための断面厚さ設定部213、断面2の透明度を設定する断面透明度設定部214、断面2をボクセル単位のメッシュで表示するように切り替えるメッシュ表示設定部215、断面のカラー表示・グレースケール表示切り替えるカラー表示切替部216を有しており、これらの設定部213,214,215によって断面の表示態様を調節することができる。
なお、断面のカラー表示は、当該断面における応力の「大きさ」ごとに色分けしたカラー表示であり、断面のグレースケール表示も、当該断面における応力の「大きさ」ごとに分けられたグレースケール表示である。
【0030】
また、断面透明度設定部214によって、断面2の透明度を調節して断面2を半透明に表示すれば、局部Dやベクトル矢印に重ねて断面2を表示しても、当該断面2表示が、局部Dやベクトル矢印の表示の邪魔にならず、局部Dや矢印の視認阻害を防止できる。
さらに、断面透明度設定部214によって、断面を完全に透明に設定すれば、画面上に断面が存在しない状態、すなわち断面表示OFF状態にすることができる。
【0031】
注目点Pの指定操作は、断面表示部としてのメインウィンドウW1上で、表示されている断面2の任意の位置へ、マウス等のポインティングデバイスの操作によってマウスポインタを位置させ、クリック等の選択操作を行うことで行われる。
このように、3次元オブジェクトの任意の断面2を表示でき、その断面2表示上で注目点Pを指定できるため、3次元オブジェクトのどの場所でも簡単に指定することができる。
【0032】
また、断面表示によって3次元オブジェクトの内部構造を視ながら注目点Pを指定できるため、3次元オブジェクトにおいて注目すべき位置を断面表示の断面構造によって確認しながら適切に注目点Pを指定することができる。
しかも、断面には応力の大きさが(濃淡・色によって)表示されているため、このような断面を視れば、応力の高い場所や低い場所を簡単に把握でき、注目点Pの指定の助けとなる。
【0033】
なお、注目点の指定は、上記のようなマウスによる方法に限らず、例えば、注目点PのXYZ座標値を入力する方法であってもよく、また断面表示は行わなくてもよい。
【0034】
注目点Pを指定し、「局部表示」ウィンドウW2−2の局部表示実行・停止部221を実行状態にすると、「局部表示」ウィンドウW2−2及び「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3における設定にしたがって、注目点を中心とする局部(局所的3次元領域)Dと、その局部D表面上の応力ベクトルを示す矢印が表示される。
【0035】
図11〜図16は、図の順番にしたがって、局部Dが順次大きくなっている様子とそれぞれの局部D表面のベクトルを示す矢印の表示を示している。このように、局部Dの大きさの拡大・縮小が繰り返され、観察者がこれを観察することで、注目点付近のベクトル場の様子を容易に把握することができる。
【0036】
ここで、局部Dは、本来、注目点Pを中心(重心)とする立方体として拡大・縮小するものとして構成されているが(図1〜図6参照)、海綿骨のように内部形状が複雑なスポンジ状の場合、オブジェクト内部に空洞部が存在するため(図10参照)、所定の大きさの立方体表面に現れる形状は、立方体ではなく、オブジェクト(海綿骨)が存在する部分だけの形状となる(図11〜図16参照)。
【0037】
オブジェクト(海綿骨)が存在しない部分には、当然、応力も存在しないため、このような部分は表示の必要がなく、図11〜図16における局部Dは、このようなオブジェクトの局所的形状を表示したものとなっている。
したがって、局部Dの大きさの増減を視ることによって、3次元オブジェクトの注目点P付近の立体的構造を把握しつつ、注目点P付近の3次元ベクトル場を把握することができ、視認性が非常に良いものとなっている。
【0038】
なお、局部Dは、注目点Pを中心(重心)とする立方体として拡大・縮小するものでなくてもよく、例えば、注目点Pを中心とする球として拡大・縮小するものであってもよく、その他の形状であってもよい。
【0039】
以上説明した、局部Dがその大きさを増減させながらその局部D表面のベクトル矢印を表示する画像は、メインウィンドウW1のファイル出力機能によってアニメーション画像として出力される。このように、本プログラムでは、表示画像を画像ファイルとして生成可能であるため、当該アニメーション画像を、本プログラム以外の一般的な画像再生ソフトウェアによって再生することができ、本プログラムが無くても3次元ベクトル場の観察が可能となる。
【0040】
メインウィンドウW1における局部D(3次元オブジェクト1)の表示及びファイル出力されるアニメーション画像表示は、表示設定部51,52,53によって変更することができる。例えば、表示方向設定部51によって、YX平面視の表示、ZX平面視の表示、斜視表示に切り替えることができ、適切な方向から観察することができる。なお、図9の表示は、斜視表示である。
また、回転表示設定部52によって、局部D(3次元オブジェクト1)をX軸回り、Y軸周り、Z軸周りに回転させることができ、この回転表示設定部52によっても、観察位置を調節することができる。また、局部Dの拡大縮小中に、局部D(3次元オブジェクト1)を回転させることで、3次元ベクトル場を多視点から観察でき、3次元ベクトル場の視認が一層容易になる。
【0041】
さらに、局部Dの表示は、拡大縮小表示設定部53によって、ズームイン表示、ズームアウト表示が可能であり、適切な大きさの表示で局部Dを観察することができる。
なお、メインウィンドウW1には、応力の大きさの色分け表示において、各色に対応する応力の大きさを示す表示部54も設けられている。
【0042】
メインウィンドウW1で表示される局部D及びベクトル矢印は、「局部表示」ウィンドウW2−2と「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3によって調整を行うことができる。例えば、「局部表示」ウィンドウW2−2は、拡大縮小する際の局部Dの最大の大きさを設定するための局部表示サイズ設定部222を有しており、局部Dは、この局部表示サイズ設定部222で設定された局部サイズ最大値と、所定の局部サイズ最小値(例えば、注目点Pが存在するボクセル1個分の大きさ)との間で拡大縮小を繰り返す。なお、局部サイズ最小値も設定可能としてもよい。
【0043】
また、「局部表示」ウィンドウW2−2は、局部Dの透明度を調節設定する透明度設定部223を有している。局部Dの透明度を調節して、局部Dを半透明にすると、ベクトル矢印の向きにかかわらず局部Dが邪魔になってベクトルを視認できないという問題を回避することができる。
あるいは、透明度設定部223によって局部Dを完全に透明にすると、局部Dを非表示にしてベクトル矢印だけを表示させることができる。
【0044】
また、「局部表示」ウィンドウW2−2は、局部Dのカラー表示・グレースケール表示切り替えるカラー表示切替部224を有している。局部Dのカラー表示は、当該局部D表面における応力の「大きさ」ごとに色分けしたカラー表示であり、局部Dのグレースケール表示も、当該局部表面における応力の「大きさ」ごとに分けられたグレースケール表示である。
【0045】
局部Dのカラー表示又はグレースケール表示は、応力の「大きさ」を示しており、応力の大きさは、方向のないスカラー量(0階テンソル量)である。つまり、応力の大きさごとに色分け又はグレースケール表示された局部表示は、局部形状とその局部表面におけるスカラー量を表示している。このように、本実施形態では、矢印なしの局部D表示だけでもテンソル量が表示されているのであり、これに重ねて矢印でベクトルの向きを表示することで、ベクトルの大きさと向きを視覚的に理解し易くなっている。
なお、ベクトル矢印も、局部Dのカラー表示と同様に、ベクトルの大きさ(応力の大きさ)ごとに色分け表示されており、局部Dなしで矢印だけを表示させても、ベクトルの大きさと方向の両方を視認可能となっている。また、ベクトルの大きさ表示は、色分け表示ではなく、大きさに応じて矢印長さを異ならせることでも可能である(後述)。
【0046】
さらに、「局部表示」ウィンドウW2−2は、局部Dの拡大縮小速度(表示速度)を調節設定するための速度設定部(アニメーション表示速度設定部)225を有している。ここでは、画像の残像現象的効果によって、3次元ベクトル場の視認性を得ているため、局部Dの拡大縮小速度は、視認性を確保する上で重要である。
速度設定部によって局部Dの拡大縮小速度を設定することで、観察者の好みに応じた速さで局部の大きさを変化させることができ、良好な視認性を得ることができる。また、局部Dの拡大縮小速度は、局所領域のデータサイズやコンピュータの処理速度に応じて変化するため、データサイズや処理速度よって拡大縮小速度が遅すぎたり、速すぎたりする場合に、速度設定部225によって速度を調節することができ、速度を適切に設定することが可能となる。
【0047】
また、データサイズや処理速度によって、表示速度が影響を受けないようにしてこれらの影響にかかわらず表示速度を一定とし、速度設定部225によってのみ表示速度を調節できるようにするのが好ましい。
さらに、局部Dのデータサイズが非常に小さかったり、処理速度が大きいなどの理由で、人間が連続を認知できる限界を超えて表示速度が速くなると、適切な観察が行えないため、自動的に人間が連続を認知できる限界のアニメーション表示速度(1秒あたり5コマ以内)になるように、速度を自動調整することが望ましい。
【0048】
「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3は、応力ベクトルを局部Dの表面に表示させるか、断面2に表示させるかを選択するベクトル(応力)表示箇所選択部231、表示されるベクトル矢印の長さを設定するベクトル長さ設定部232、表示されるベクトル矢印の幅(太さ)を設定するベクトル幅設定部233、表示されるベクトル矢印の密度(単位面積あたりの矢印の数)を設定するベクトルダウンサイズ表示部234を有している。
ベクトル矢印の密度は、局部Dの大きさ、データの解像度、ベクトルの分布の仕方(変化率あるいは物理量の勾配)に応じて適切に設定するのが好ましい。
【0049】
また、「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3の「ベクトルサイズノーマライズ」のチェックボックスをチェックすると、表示されるベクトル矢印の長さは、ベクトルの大きさにかかわらず一定となり、当該チェックを外すと、表示されるベクトル矢印の長さは、ベクトルの大きさに応じた長さとなる。
さらに、「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3の「ベクトルカラーマップ表示」チェックボックスをチェックすると、表示されるベクトル矢印の色は、ベクトルの大きさによって色分けされたものとなり、当該チェックを外すと、表示されるベクトル矢印の色は、ベクトルの大きさにかかわらず同じ色となる。
【0050】
図17〜図23は、3次元オブジェクトデータ(ボクセルデータ)において局部Dを表示するためのアルゴリズムを示している。ここでは、簡単のため、2次元オブジェクトで説明し、ボクセルデータの代わりにピクセルデータとして説明する。図17において、マス目は、2次元画像のピクセルを表現しており、クロスハッチングがなされている領域がオブジェクトを示しており、他の図でも同様である。
【0051】
まず、図18に示すように、注目点P(2次元画像の中央)となるピクセルが指定されると当該注目点Pには、距離番号「0」が付けられる。
そして、距離番号「0」の点の周囲の4点のピクセルがオブジェクト内か否かを判断する。ここで、判断対象となる周囲のピクセルの数は、4点でなく、8点でもよい。そして、オブジェクトがボクセルデータの場合には、判断対象となる周囲のボクセルの数は、6点又は26点とすることができる。
図19では、判断対象となる周囲4点を「○」印で示している。判断対象がオブジェクトであれば、図20に示すように、そのピクセルには距離番号「1」が付けられる。
【0052】
以下、同様の処理が繰返され、距離番号「1」の周囲のピクセルの判断を行い(図21)、判断対象がオブジェクトであれば距離番号「2」が付けられ(図22)、さらに距離番号「2」の周囲の判断が行われる。
そして、距離番号が、局部の最大の大きさの設定値まで達すると距離番号の付与処理が終了する。
【0053】
このようにして、注目点P(局部の最小の大きさ)から、局部Dの最大の大きさの領域まで距離番号が付与されたデータが作成され、局部Dの拡大縮小の表示の際には、同じ距離番号が付与されたピクセル(ボクセル)からなる面を表面とする局部D表示をアニメーション表示の1コマとし、距離番号の昇順に変化させたコマの連続表示と、距離を降順に変化させたコマの連続表示を繰返すことで、局部Dの大きさを増減させた表示を行うことができる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
3次元オブジェクトデータは、生体骨に限られるものではなく、固体・流体を問わず様々な物のデータであってもよい。ただし、ベクトル以外に局部自体も表示する手法は、3次元オブジェクトの内部構造が一様でなく複雑な構造を有している場合に、内部構造自体を視認しつつベクトル場を視認するために有効であることから、内部構造が一様でない物質、例えば、生体骨(生体海綿骨)と同様な構造を持つ人工材料として多孔質材料、繊維・粒子強化型複合材料が有効である。また、中空構造体などの構造体でも有効である。
【0055】
さらに、表示されるベクトルは、応力に限らず、温度勾配など他のものであってもよい。
さらにまた、表示されるテンソルは、ベクトル(1階テンソル)に限らず、方向のないスカラー(0階テンソル)であってもよいし、2階以上の高階テンソルであってもよい。なお、方向表示を重視する場合には、1階以上の高階テンソルであればよい。
【0056】
表示される局部の表示範囲としては、注目点を重心とする立方体、注目点から全方向に等距離の球として設定する以外に、直方体として設定してもよい。直方体とする場合、注目点からのXYZ各方向の方向別の距離を個々に設定して任意の大きさ形状の直方体を設定できるようにするのが好ましい。なお、局部の表示範囲としては他の多面体その他の形状であってもよい。
また、複数の局部範囲形状を持つ場合には、局部範囲形状を選択可能としておくのが好ましい。
【0057】
さらに、本プログラムを骨粗しょう症診断支援用に用いる場合、安静時、歩行時、激しい運動時では骨の応力は異なるため、応力(ベクトル;テンソル)が生じる環境(安静時、歩行時等)を選択して、それに応じた応力を表示すれば、骨粗しょう症による骨折の危険度などを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】3次元オブジェクトの全体斜視図である。
【図2】3次元オブジェクトの注目点が指示された状態を示す図である。
【図3】局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図4】図3よりも大きくなった局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図5】図4よりも大きくなった局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図6】図5よりも大きくなった局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図7】コンピュータの入出力関係図である。
【図8】コンピュータの機能ブロック図である。
【図9】コンピュータの画面である。
【図10】生体海綿骨のボクセルデータである。
【図11】生体海綿骨の局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図12】図11よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図13】図12よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図14】図13よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図15】図14よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図16】図15よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図17】3次元局所領域の拡大縮小をさせるための距離番号付与アルゴリズムの説明図であり、3次元オブジェクトデータ初期状態を示す図である。
【図18】図17において注目点(距離番号0)が指定された状態を示す図である。
【図19】図18において注目点周囲の判断対象が選択された状態を示す図である。
【図20】図19において距離番号1の3次元オブジェクトが選択された状態を示す図である。
【図21】図20において距離番号1周囲の判断対象が選択された状態を示す図である。
【図22】図21において距離番号2の3次元オブジェクトが選択された状態を示す図である。
【図23】図22において距離番号2周囲の判断対象が選択された状態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するベクトル量等のテンソル量を表示するコンピュータプログラム及びテンソル量表示画像データ生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3次元のベクトル場を可視的に表示することは、ベクトル場の状態を容易に理解するために重要である。ここで、大きさと方向を有するベクトルを表示する場合、当該ベクトルを矢印で表示することが一般的である。
【0003】
したがって、3次元オブジェクトの表面に分布するベクトル量を表示する場合には、当該3次元オブジェクトの表面に矢印を表示すれば良い。しかし、この表示の仕方では、3次元オブジェクト内部のベクトル場が表示できない。
一方、3次元オブジェクト内部のベクトルをすべて2次元的表示で可視的に表示しようとすると3次元オブジェクト内部のベクトルを示す矢印同士が重なってしまい、3次元オブジェクト内部のベクトル場を視覚的に理解するのが困難である。
【0004】
また、3次元オブジェクト内部のベクトル場を表現する場合、3次元オブジェクトの断面表示を行い、その断面上にベクトルを示す矢印を表示することが考えられる。しかし、断面表示では、当該断面だけの2次元的な視認によってでしかベクトル場を理解できず、3次元的(立体的)な視認は困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、3次元ベクトル場を3次元的(立体的)に視認させることは困難であり、この課題は、1階のテンソルであるベクトルに限らず、0階のテンソルであるスカラーや2階以上のテンソルについても同様である。
そこで、本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を3次元的に視認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コンピュータプログラムに係る本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を表示するためにコンピュータを、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域を設定する設定手段、局所的な3次元領域の大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面におけるテンソル量を表示する表示手段、として機能させるものである。
【0007】
局所的3次元領域の大きさを変化させながら当該領域表面のテンソル量を表示すると、人間の残像現象(実際に残像が生じなくてもよい)のような効果によって、テンソル量を3次元的に視認することができる。
ここで、局所的3次元領域自体は、表示してもしなくても良いが、後述のように表示すると視認性が向上する。
【0008】
前記設定手段は、3次元オブジェクトにおける注目点を設定する手段と、設定された注目点からの局所的3次元領域の広がりを設定する手段と、を有しているのが好ましい。なお、設定される局所的3次元領域の広がりは、例えば、増減する局所的3次元領域の最も大きくなるときの大きさとすることができるが、例えば、増減途中の大きさであってもよい。
【0009】
前記設定手段は、3次元オブジェクトの断面の表示上で、当該断面を含む領域を局所的三次元領域として設定する手段として構成されているのが好ましい。この場合、表示されている3次元オブジェクト断面を手がかりとして、局所的3次元領域を設定できるため、局所的3次元領域の設定が容易となる。
【0010】
前記局所的な3次元領域が変化するときの当該3次元領域の最大の大きさを設定変更可能であるのが好ましい。この場合、局所的3次元領域の大きさを変えることで、観察対象領域を変えることができる。
【0011】
前記テンソル量は、少なくとも向きを有する1階以上のテンソル量であり、前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きを表示するのが好ましい。
また、前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きと大きさを表示するのが好ましい。
【0012】
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面に現れる前記3次元オブジェクト内部構造とともにテンソル量を表示するのが好ましい。この場合、テンソル量の3次元分布とともに3次元オブジェクトの内部構造を視認することができる。
【0013】
前記表示手段は、局所的3次元領域の表示視点を変化させつつ、局所的3次元領域の大きさが変化を繰り返すように表示可能であるのが好ましい。
局所的3次元領域を回転表示させるなどして、局所的3次元領域の表示視点を変化させつつ、局所的3次元領域の大きさが変化を繰り返せば、視認性がより一層向上する。
【0014】
局所的3次元領域の大きさの変化速度が設定変更可能であるのが好ましく、これにより、視認しやすい速度に調節することができる。
【0015】
前記3次元オブジェクトは、生体骨であるのが好ましく、前記テンソル量は、生体骨に作用する応力であるのが好ましい。
【0016】
テンソル量表示画像データ表示方法にかかる本発明は、3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を画像表示するための画像データを画像生成コンピュータによって生成するためのテンソル量表示画像データ生成方法であって、画像生成コンピュータが、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域の設定入力を受け付けるステップ、設定された局所的3次元領域がその大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面にテンソル量が表示された画像を前記画像生成コンピュータが生成するステップ、とを含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、テンソル量を3次元的に視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここではまず、3次元ベクトル場の表示処理の基本的概念を図1〜図6に基づいて説明する。なお、ベクトルは、1階テンソルである。
図1は、生体骨(の一部:立方体形状)などの3次元オブジェクト1を示している。この3次元オブジェクト1の内部のベクトル(3次元オブジェクト内部の応力等)を表示するために、まず図2に示すように、ユーザ(観察者)が、ベクトルを観察したい注目点Pを設定する。注目点Pは、3次元オブジェクト1の表面又は内部の点として設定される。
なお、図2では、3次元オブジェクト1の任意の断面2を表示させ、その断面2上の点を指示することで、3次元オブジェクト1中の点を注目点Pとして指定している。
【0019】
注目点Pが設定されると、その注目点Pを中心とする3次元オブジェクト1の局所的な3次元領域Dが、図3,4,5,6に示すように順に連続的に拡大しながら表示され、局所的3次元領域Dが図6の最大の大きさまで拡大すると図5,4,3の順で連続的に縮小しながら表示され、局所的3次元領域Dが図3の最小の大きさまで縮小する。この局所的3次元領域Dの拡大縮小は繰り返し表示される。
【0020】
拡大縮小する局所的3次元領域Dの表面には、3次元オブジェクト1の局所的3次元領域D表面におけるベクトルが矢印によって表示される。矢印は、時間の経過によって大きさが変化(拡大縮小)する局所的3次元領域Dの表面に表示されるため、観察者が、拡大縮小する局所的3次元領域上の矢印を観察し続けると、人の目の残像的効果(実際に残像が生じなくてもよい)により、注目点P周辺のベクトル場の様子を立体的に把握することができる。
【0021】
続いて、以下では、3次元ベクトル場を表示するためのコンピュータの機能についてより具体的に説明する。また、このコンピュータ(プログラム )は、生体骨における応力を表示して骨粗しょう症診断支援用に用いられる。つまり、骨密度が低下すると、応力が大きくなり、骨折の可能性が高くなるが、生体骨の応力を3次元ベクトル場として表示すると、骨粗しょう症診断に役立つ。
【0022】
図7は、3次元オブジェクト内部の3次元ベクトル場(応力場)を表示するためのコンピュータ10の入出力関係を示している。図7に示すように、コンピュータ10には、3次元オブジェクトデータが入力データとして与えられ、3次元ベクトル場の画像表示や、3次元ベクトル場画像(アニメーション画像)のファイル出力などを行う。
【0023】
図8は、コンピュータ10の機能ブロックを示している。これらの各機能の詳細は、後述する。
なお、このコンピュータ10は、CPU等によって構成される演算部、メモリ・ハードディスク等によって構成される記憶部、キーボード・マウス等によって構成される入力部、ディスプレイ等の出力部を有して構成され、ハードディスク等の記憶部に後述のコンピュータプログラムがインストールされており、当該コンピュータプログラムを実行することによって各種機能が実現される。
【0024】
図9は、3次元ベクトル場を表示するためのコンピュータプログラム(応力可視化アプリケーション)によるコンピュータ10の画面表示(ウィンドウ)W1,W2−1,W2−2,W2−3を示している。
ウィンドウとしては、局所的3次元領域(以下、単に「局部」ということもある)の3次元ベクトル場の表示等を行う局部・ベクトル表示部20及び3次元オブジェクトの断面を表示する断面表示部25等としてのメインウィンドウW1と、表示のための設定を行うサブウィンドウW2−1,W2−2,W2−3とが設けられている。
サブウィンドウとしては、断面表示設定部21としての「断面表示」ウィンドウW2−1、局部表示設定部22としての「局部表示」ウィンドウW2−2、応力ベクトル設定部23としての「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3とが設けられている。
【0025】
メインウィンドウW1は、3次元オブジェクトデータの読み込み、3次元オブジェクト1全体の画像表示、3次元オブジェクト1における注目点Pを画面上で指定するための表示、大きさが増減する局部及びベクトルの画像表示、及び大きさが増減する局部及びベクトルの画像のファイル出力などの機能を有している。
本プログラムの3次元オブジェクトデータ(3次元オブジェクトデータファイル)読み込み機能によって、例えば、図10に示すような3次元オブジェクトデータ1が入力データとして読み込まれる。
【0026】
図10に示す3次元オブジェクトデータは、オブジェクトである海綿骨の一部(立体形状)の3次元形状データと、海綿骨の各部分に作用する応力ベクトルのデータとを有するものである。海綿骨は、スポンジ状構造をなしており、内部が複雑な構造となっている。
3次元オブジェクトの内部構造は、ボクセルデータによって表され、3次元オブジェクトデータは、各ボクセルにおける応力(ベクトル;テンソル)を示すデータをも有して、3次元オブジェクトの内部構造及び内部ベクトル場を示すものとなっている。
なお、図10に示す画像は、白黒の濃淡が存在する(実際の画像はカラーである)が、この濃淡(色の違い)が、応力の大きさを示している。
ここで、3次元オブジェクトの構造を表すデータ形式は、ボクセルデータに限られるものではなく、4面体データ等の他のデータ形式であってもよい。
【0027】
読み込まれた3次元オブジェクトデータ1の全体図は、図10に示す画像としてメインウィンドウW1に表示される。
そして、メインウィンドウW1から「断面表示」ウィンドウW2−1を起動すると、メインウィンドウW1には、図9に示すように、3次元オブジェクト1の断面2が表示される。表示される断面2は、「断面表示」ウィンドウW2−1における設定に従ったものであり、3次元オブジェクト1における任意の方向、任意の位置、及び任意の厚さの断面2を表示することができる。
すなわち、「断面表示」ウィンドウW2−1は、断面方向設定部211として「YZ断面」、「ZX断面」、「XY断面」の設定部を有しており、選択された方向の断面がメインウィンドウW1に表示される。図9においては、「YZ断面」が設定されており、メインウィンドウW1において3次元オブジェクトのYZ平面の断面が表示されている。
【0028】
また、「断面表示」ウィンドウW2−1は、表示する断面の位置を設定する表示断面位置設定部212を有しており、断面方向設定部211で設定された方向の断面に直交する方向の3次元オブジェクト1内での位置をスライダーによって設定することができる。例えば、図9では、断面方向として「YZ断面」が設定されているのでこの断面と直交するX方向における当該断面2の位置を自由に設定することができる。
以上の断面方向設定部211及び表示断面位置設定部212によって、3次元オブジェクトの任意の方向の任意の位置の断面2を表示することができる。
【0029】
さらに、「断面表示」ウィンドウW2−1は、表示される断面2の厚さを設定するための断面厚さ設定部213、断面2の透明度を設定する断面透明度設定部214、断面2をボクセル単位のメッシュで表示するように切り替えるメッシュ表示設定部215、断面のカラー表示・グレースケール表示切り替えるカラー表示切替部216を有しており、これらの設定部213,214,215によって断面の表示態様を調節することができる。
なお、断面のカラー表示は、当該断面における応力の「大きさ」ごとに色分けしたカラー表示であり、断面のグレースケール表示も、当該断面における応力の「大きさ」ごとに分けられたグレースケール表示である。
【0030】
また、断面透明度設定部214によって、断面2の透明度を調節して断面2を半透明に表示すれば、局部Dやベクトル矢印に重ねて断面2を表示しても、当該断面2表示が、局部Dやベクトル矢印の表示の邪魔にならず、局部Dや矢印の視認阻害を防止できる。
さらに、断面透明度設定部214によって、断面を完全に透明に設定すれば、画面上に断面が存在しない状態、すなわち断面表示OFF状態にすることができる。
【0031】
注目点Pの指定操作は、断面表示部としてのメインウィンドウW1上で、表示されている断面2の任意の位置へ、マウス等のポインティングデバイスの操作によってマウスポインタを位置させ、クリック等の選択操作を行うことで行われる。
このように、3次元オブジェクトの任意の断面2を表示でき、その断面2表示上で注目点Pを指定できるため、3次元オブジェクトのどの場所でも簡単に指定することができる。
【0032】
また、断面表示によって3次元オブジェクトの内部構造を視ながら注目点Pを指定できるため、3次元オブジェクトにおいて注目すべき位置を断面表示の断面構造によって確認しながら適切に注目点Pを指定することができる。
しかも、断面には応力の大きさが(濃淡・色によって)表示されているため、このような断面を視れば、応力の高い場所や低い場所を簡単に把握でき、注目点Pの指定の助けとなる。
【0033】
なお、注目点の指定は、上記のようなマウスによる方法に限らず、例えば、注目点PのXYZ座標値を入力する方法であってもよく、また断面表示は行わなくてもよい。
【0034】
注目点Pを指定し、「局部表示」ウィンドウW2−2の局部表示実行・停止部221を実行状態にすると、「局部表示」ウィンドウW2−2及び「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3における設定にしたがって、注目点を中心とする局部(局所的3次元領域)Dと、その局部D表面上の応力ベクトルを示す矢印が表示される。
【0035】
図11〜図16は、図の順番にしたがって、局部Dが順次大きくなっている様子とそれぞれの局部D表面のベクトルを示す矢印の表示を示している。このように、局部Dの大きさの拡大・縮小が繰り返され、観察者がこれを観察することで、注目点付近のベクトル場の様子を容易に把握することができる。
【0036】
ここで、局部Dは、本来、注目点Pを中心(重心)とする立方体として拡大・縮小するものとして構成されているが(図1〜図6参照)、海綿骨のように内部形状が複雑なスポンジ状の場合、オブジェクト内部に空洞部が存在するため(図10参照)、所定の大きさの立方体表面に現れる形状は、立方体ではなく、オブジェクト(海綿骨)が存在する部分だけの形状となる(図11〜図16参照)。
【0037】
オブジェクト(海綿骨)が存在しない部分には、当然、応力も存在しないため、このような部分は表示の必要がなく、図11〜図16における局部Dは、このようなオブジェクトの局所的形状を表示したものとなっている。
したがって、局部Dの大きさの増減を視ることによって、3次元オブジェクトの注目点P付近の立体的構造を把握しつつ、注目点P付近の3次元ベクトル場を把握することができ、視認性が非常に良いものとなっている。
【0038】
なお、局部Dは、注目点Pを中心(重心)とする立方体として拡大・縮小するものでなくてもよく、例えば、注目点Pを中心とする球として拡大・縮小するものであってもよく、その他の形状であってもよい。
【0039】
以上説明した、局部Dがその大きさを増減させながらその局部D表面のベクトル矢印を表示する画像は、メインウィンドウW1のファイル出力機能によってアニメーション画像として出力される。このように、本プログラムでは、表示画像を画像ファイルとして生成可能であるため、当該アニメーション画像を、本プログラム以外の一般的な画像再生ソフトウェアによって再生することができ、本プログラムが無くても3次元ベクトル場の観察が可能となる。
【0040】
メインウィンドウW1における局部D(3次元オブジェクト1)の表示及びファイル出力されるアニメーション画像表示は、表示設定部51,52,53によって変更することができる。例えば、表示方向設定部51によって、YX平面視の表示、ZX平面視の表示、斜視表示に切り替えることができ、適切な方向から観察することができる。なお、図9の表示は、斜視表示である。
また、回転表示設定部52によって、局部D(3次元オブジェクト1)をX軸回り、Y軸周り、Z軸周りに回転させることができ、この回転表示設定部52によっても、観察位置を調節することができる。また、局部Dの拡大縮小中に、局部D(3次元オブジェクト1)を回転させることで、3次元ベクトル場を多視点から観察でき、3次元ベクトル場の視認が一層容易になる。
【0041】
さらに、局部Dの表示は、拡大縮小表示設定部53によって、ズームイン表示、ズームアウト表示が可能であり、適切な大きさの表示で局部Dを観察することができる。
なお、メインウィンドウW1には、応力の大きさの色分け表示において、各色に対応する応力の大きさを示す表示部54も設けられている。
【0042】
メインウィンドウW1で表示される局部D及びベクトル矢印は、「局部表示」ウィンドウW2−2と「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3によって調整を行うことができる。例えば、「局部表示」ウィンドウW2−2は、拡大縮小する際の局部Dの最大の大きさを設定するための局部表示サイズ設定部222を有しており、局部Dは、この局部表示サイズ設定部222で設定された局部サイズ最大値と、所定の局部サイズ最小値(例えば、注目点Pが存在するボクセル1個分の大きさ)との間で拡大縮小を繰り返す。なお、局部サイズ最小値も設定可能としてもよい。
【0043】
また、「局部表示」ウィンドウW2−2は、局部Dの透明度を調節設定する透明度設定部223を有している。局部Dの透明度を調節して、局部Dを半透明にすると、ベクトル矢印の向きにかかわらず局部Dが邪魔になってベクトルを視認できないという問題を回避することができる。
あるいは、透明度設定部223によって局部Dを完全に透明にすると、局部Dを非表示にしてベクトル矢印だけを表示させることができる。
【0044】
また、「局部表示」ウィンドウW2−2は、局部Dのカラー表示・グレースケール表示切り替えるカラー表示切替部224を有している。局部Dのカラー表示は、当該局部D表面における応力の「大きさ」ごとに色分けしたカラー表示であり、局部Dのグレースケール表示も、当該局部表面における応力の「大きさ」ごとに分けられたグレースケール表示である。
【0045】
局部Dのカラー表示又はグレースケール表示は、応力の「大きさ」を示しており、応力の大きさは、方向のないスカラー量(0階テンソル量)である。つまり、応力の大きさごとに色分け又はグレースケール表示された局部表示は、局部形状とその局部表面におけるスカラー量を表示している。このように、本実施形態では、矢印なしの局部D表示だけでもテンソル量が表示されているのであり、これに重ねて矢印でベクトルの向きを表示することで、ベクトルの大きさと向きを視覚的に理解し易くなっている。
なお、ベクトル矢印も、局部Dのカラー表示と同様に、ベクトルの大きさ(応力の大きさ)ごとに色分け表示されており、局部Dなしで矢印だけを表示させても、ベクトルの大きさと方向の両方を視認可能となっている。また、ベクトルの大きさ表示は、色分け表示ではなく、大きさに応じて矢印長さを異ならせることでも可能である(後述)。
【0046】
さらに、「局部表示」ウィンドウW2−2は、局部Dの拡大縮小速度(表示速度)を調節設定するための速度設定部(アニメーション表示速度設定部)225を有している。ここでは、画像の残像現象的効果によって、3次元ベクトル場の視認性を得ているため、局部Dの拡大縮小速度は、視認性を確保する上で重要である。
速度設定部によって局部Dの拡大縮小速度を設定することで、観察者の好みに応じた速さで局部の大きさを変化させることができ、良好な視認性を得ることができる。また、局部Dの拡大縮小速度は、局所領域のデータサイズやコンピュータの処理速度に応じて変化するため、データサイズや処理速度よって拡大縮小速度が遅すぎたり、速すぎたりする場合に、速度設定部225によって速度を調節することができ、速度を適切に設定することが可能となる。
【0047】
また、データサイズや処理速度によって、表示速度が影響を受けないようにしてこれらの影響にかかわらず表示速度を一定とし、速度設定部225によってのみ表示速度を調節できるようにするのが好ましい。
さらに、局部Dのデータサイズが非常に小さかったり、処理速度が大きいなどの理由で、人間が連続を認知できる限界を超えて表示速度が速くなると、適切な観察が行えないため、自動的に人間が連続を認知できる限界のアニメーション表示速度(1秒あたり5コマ以内)になるように、速度を自動調整することが望ましい。
【0048】
「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3は、応力ベクトルを局部Dの表面に表示させるか、断面2に表示させるかを選択するベクトル(応力)表示箇所選択部231、表示されるベクトル矢印の長さを設定するベクトル長さ設定部232、表示されるベクトル矢印の幅(太さ)を設定するベクトル幅設定部233、表示されるベクトル矢印の密度(単位面積あたりの矢印の数)を設定するベクトルダウンサイズ表示部234を有している。
ベクトル矢印の密度は、局部Dの大きさ、データの解像度、ベクトルの分布の仕方(変化率あるいは物理量の勾配)に応じて適切に設定するのが好ましい。
【0049】
また、「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3の「ベクトルサイズノーマライズ」のチェックボックスをチェックすると、表示されるベクトル矢印の長さは、ベクトルの大きさにかかわらず一定となり、当該チェックを外すと、表示されるベクトル矢印の長さは、ベクトルの大きさに応じた長さとなる。
さらに、「主応力ベクトル表示」ウィンドウW2−3の「ベクトルカラーマップ表示」チェックボックスをチェックすると、表示されるベクトル矢印の色は、ベクトルの大きさによって色分けされたものとなり、当該チェックを外すと、表示されるベクトル矢印の色は、ベクトルの大きさにかかわらず同じ色となる。
【0050】
図17〜図23は、3次元オブジェクトデータ(ボクセルデータ)において局部Dを表示するためのアルゴリズムを示している。ここでは、簡単のため、2次元オブジェクトで説明し、ボクセルデータの代わりにピクセルデータとして説明する。図17において、マス目は、2次元画像のピクセルを表現しており、クロスハッチングがなされている領域がオブジェクトを示しており、他の図でも同様である。
【0051】
まず、図18に示すように、注目点P(2次元画像の中央)となるピクセルが指定されると当該注目点Pには、距離番号「0」が付けられる。
そして、距離番号「0」の点の周囲の4点のピクセルがオブジェクト内か否かを判断する。ここで、判断対象となる周囲のピクセルの数は、4点でなく、8点でもよい。そして、オブジェクトがボクセルデータの場合には、判断対象となる周囲のボクセルの数は、6点又は26点とすることができる。
図19では、判断対象となる周囲4点を「○」印で示している。判断対象がオブジェクトであれば、図20に示すように、そのピクセルには距離番号「1」が付けられる。
【0052】
以下、同様の処理が繰返され、距離番号「1」の周囲のピクセルの判断を行い(図21)、判断対象がオブジェクトであれば距離番号「2」が付けられ(図22)、さらに距離番号「2」の周囲の判断が行われる。
そして、距離番号が、局部の最大の大きさの設定値まで達すると距離番号の付与処理が終了する。
【0053】
このようにして、注目点P(局部の最小の大きさ)から、局部Dの最大の大きさの領域まで距離番号が付与されたデータが作成され、局部Dの拡大縮小の表示の際には、同じ距離番号が付与されたピクセル(ボクセル)からなる面を表面とする局部D表示をアニメーション表示の1コマとし、距離番号の昇順に変化させたコマの連続表示と、距離を降順に変化させたコマの連続表示を繰返すことで、局部Dの大きさを増減させた表示を行うことができる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
3次元オブジェクトデータは、生体骨に限られるものではなく、固体・流体を問わず様々な物のデータであってもよい。ただし、ベクトル以外に局部自体も表示する手法は、3次元オブジェクトの内部構造が一様でなく複雑な構造を有している場合に、内部構造自体を視認しつつベクトル場を視認するために有効であることから、内部構造が一様でない物質、例えば、生体骨(生体海綿骨)と同様な構造を持つ人工材料として多孔質材料、繊維・粒子強化型複合材料が有効である。また、中空構造体などの構造体でも有効である。
【0055】
さらに、表示されるベクトルは、応力に限らず、温度勾配など他のものであってもよい。
さらにまた、表示されるテンソルは、ベクトル(1階テンソル)に限らず、方向のないスカラー(0階テンソル)であってもよいし、2階以上の高階テンソルであってもよい。なお、方向表示を重視する場合には、1階以上の高階テンソルであればよい。
【0056】
表示される局部の表示範囲としては、注目点を重心とする立方体、注目点から全方向に等距離の球として設定する以外に、直方体として設定してもよい。直方体とする場合、注目点からのXYZ各方向の方向別の距離を個々に設定して任意の大きさ形状の直方体を設定できるようにするのが好ましい。なお、局部の表示範囲としては他の多面体その他の形状であってもよい。
また、複数の局部範囲形状を持つ場合には、局部範囲形状を選択可能としておくのが好ましい。
【0057】
さらに、本プログラムを骨粗しょう症診断支援用に用いる場合、安静時、歩行時、激しい運動時では骨の応力は異なるため、応力(ベクトル;テンソル)が生じる環境(安静時、歩行時等)を選択して、それに応じた応力を表示すれば、骨粗しょう症による骨折の危険度などを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】3次元オブジェクトの全体斜視図である。
【図2】3次元オブジェクトの注目点が指示された状態を示す図である。
【図3】局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図4】図3よりも大きくなった局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図5】図4よりも大きくなった局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図6】図5よりも大きくなった局所的3次元領域とその表面のベクトルを示す斜視図である。
【図7】コンピュータの入出力関係図である。
【図8】コンピュータの機能ブロック図である。
【図9】コンピュータの画面である。
【図10】生体海綿骨のボクセルデータである。
【図11】生体海綿骨の局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図12】図11よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図13】図12よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図14】図13よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図15】図14よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図16】図15よりも大きくなった局所的3次元領域Dとその表面のベクトルを示す画像である。
【図17】3次元局所領域の拡大縮小をさせるための距離番号付与アルゴリズムの説明図であり、3次元オブジェクトデータ初期状態を示す図である。
【図18】図17において注目点(距離番号0)が指定された状態を示す図である。
【図19】図18において注目点周囲の判断対象が選択された状態を示す図である。
【図20】図19において距離番号1の3次元オブジェクトが選択された状態を示す図である。
【図21】図20において距離番号1周囲の判断対象が選択された状態を示す図である。
【図22】図21において距離番号2の3次元オブジェクトが選択された状態を示す図である。
【図23】図22において距離番号2周囲の判断対象が選択された状態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を表示するためにコンピュータを、
3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域を設定する設定手段、
局所的な3次元領域の大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面におけるテンソル量を表示する表示手段、
として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記設定手段は、3次元オブジェクトにおける注目点を設定する手段と、設定された注目点からの局所的3次元領域の広がりを設定する手段と、を有している請求項1記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記設定手段は、3次元オブジェクトの断面の表示上で、当該断面を含む領域を局所的三次元領域として設定する手段として構成されている請求項1又は2記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記局所的な3次元領域が変化するときの当該3次元領域の最大の大きさを設定変更可能である請求項1〜3のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記テンソル量は、少なくとも向きを有する1階以上のテンソル量であり、
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きを表示する請求項1〜4のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きと大きさを表示する請求項5記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面に現れる前記3次元オブジェクト内部構造とともにテンソル量を表示する請求項1〜6のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記表示手段は、局所的3次元領域の表示視点を変化させつつ、局所的3次元領域の大きさが変化を繰り返すように表示可能である請求項1〜7のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
局所的3次元領域の大きさの変化速度が設定変更可能である請求項1〜8のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記3次元オブジェクトは、生体骨である請求項1〜9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記テンソル量は、生体骨に作用する応力である請求項10記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を画像表示するための画像データを画像生成コンピュータによって生成するためのテンソル量表示画像データ生成方法であって、
画像生成コンピュータが、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域の設定入力を受け付けるステップ、
設定された局所的3次元領域がその大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面にテンソル量が表示された画像を前記画像生成コンピュータが生成するステップ、
とを含む画像データ生成方法。
【請求項1】
3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を表示するためにコンピュータを、
3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域を設定する設定手段、
局所的な3次元領域の大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面におけるテンソル量を表示する表示手段、
として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記設定手段は、3次元オブジェクトにおける注目点を設定する手段と、設定された注目点からの局所的3次元領域の広がりを設定する手段と、を有している請求項1記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記設定手段は、3次元オブジェクトの断面の表示上で、当該断面を含む領域を局所的三次元領域として設定する手段として構成されている請求項1又は2記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記局所的な3次元領域が変化するときの当該3次元領域の最大の大きさを設定変更可能である請求項1〜3のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記テンソル量は、少なくとも向きを有する1階以上のテンソル量であり、
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きを表示する請求項1〜4のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面のテンソル量の向きと大きさを表示する請求項5記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記表示手段は、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面に現れる前記3次元オブジェクト内部構造とともにテンソル量を表示する請求項1〜6のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記表示手段は、局所的3次元領域の表示視点を変化させつつ、局所的3次元領域の大きさが変化を繰り返すように表示可能である請求項1〜7のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
局所的3次元領域の大きさの変化速度が設定変更可能である請求項1〜8のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記3次元オブジェクトは、生体骨である請求項1〜9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記テンソル量は、生体骨に作用する応力である請求項10記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
3次元オブジェクト内で3次元的に分布するテンソル量を画像表示するための画像データを画像生成コンピュータによって生成するためのテンソル量表示画像データ生成方法であって、
画像生成コンピュータが、3次元オブジェクトにおいて注目したい局所的な3次元領域の設定入力を受け付けるステップ、
設定された局所的3次元領域がその大きさの変化を繰り返しつつ、大きさの変化を繰り返す局所的3次元領域の表面にテンソル量が表示された画像を前記画像生成コンピュータが生成するステップ、
とを含む画像データ生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−66055(P2007−66055A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252086(P2005−252086)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】
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