説明

3,6−ジアルキル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オンの合成

【課題】オルリスタットの前駆体δ−ラクトンのエナンチオ選択的合成法を提供する。
【解決手段】δ−ラクトンの調製方法であり:アシルハライドを、ケテンアセタールと処理し、(IV)を経由するか、又は(VI)を経由する方法。




[R:C−C20アルキル;R:H,C−C10アルキル;R:ヒドロキシ保護基;(IV)式のR及びR:C−Cアルキル,C−C20アリール,C−C20アリールアルキル,−SiR10(R,R,R10:C−Cアルキル,フェニル);R:H,R;(VI)式のR:C−Cアルキル,C−C20アリール,C−C20アリールアルキル;R:H,R

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,6−ジアルキル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−ピラン−2−オン類を製造する方法に向けられている。特に本発明は、これらを製造するためのエナンチオ選択的方法に向けられている。
【0002】
δ−ラクトン、例えば3,6−ジアルキル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−ピラン−2−オン類は、種々の精密化学及び製薬学的活性化合物の製造における有用な中間体である。例えば、5,6−ジヒドロ−3−ヘキシル−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−ピラン−2−オンは、オキセタン類、例えばテトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)製造の周知の前駆体である。例えば、U.S. Patent Nos. 5,245,056 及び 5,399,720(両方共、 Karpf らに発行);並びにU.S. Patent Nos. 5,274,143 及び 5,420,305(両方共、 Ramig らに発行)を参照されたい。
【0003】
テトラヒドロリプスタチンを製造する他の方法は、β−ヒドロキシエステル、例えばメチル3−ヒドロキシテトラデカノアートを中間体として用いる。例えば、 Pommier et al., Synthesis, 1994, 1294-1300. Case-Green et al., Synlett., 1991, 781-782, Schmid et al., Proceedings of the Chiral Europe '94 Symposium, September 19-20, 1994, Nice, France, 及び上記の米国特許を参照されたい。オキセタンを製造するいくつかの方法、例えばKarpefらに発行されている上記の米国特許に記載されているそれらは、オキセタンの合成に用いられるδ−ラクトン調製の中間体として、β−ヒドロキシエステルを用いる。
【0004】
分子の立体化学は、分子の多くの特性において重要である。例えば、1個以上のキラル中心、すなわち立体化学の中心を有する医薬の生理学的特性は、医薬のキラル中心の立体化学に依存していてもよい。したがって、化学反応の立体化学を制御することができることは好都合である。
【0005】
多くのオキセタン類、例えばテトラヒドロリプスタチンは、1個以上のキラル中心を有している。テトラヒドロリプスタチンの合成に用いられる中間体類δ−ラクトン及びβ−ヒドロキシエステルは、1個のキラル中心を含む。それらの中間体のいくつかの合成、例えばKarpefらに発行されている上記の米国特許に記載されているそれらは、所望の異性体を分離するために後の工程で分割するラセミ混合物の調製に向けられている。他の方法は、相当するβ−ケトエステルをエナンチオ選択的還元によるβ−ヒドロキシエステルの不斉合成に向けられている。
【0006】
更に、所望の化合物の高収率を達成するために、メチル3−オキソ−テトラデカノアートを還元するための現時点での不斉水素化方法のいくつかは、非常に純粋な反応条件、例えば、少なくとも99.99%の水素ガス純度を必要とする。したがって、相当するβ―ヒドロキシエステルの製造のコストが更に増大する。
【0007】
したがって、δ−ラクトン類の製造方法が必要である。そして、極端に純粋な反応条件及び高い水素ガス圧を必要としない条件でβ−ケトエステルをエナンチオ選択的に還元する必要がある。
【0008】
更に詳細には、本発明は、式(I):
【0009】
【化34】

【0010】
のδ−ラクトンを調製する方法であって、
式(II):
【0011】
【化35】

【0012】
のアシルハライドを、
a)式(III):
【0013】
【化36】

【0014】
のケテンアセタールと処理し、式(IV):
【0015】
【化37】

【0016】
のδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを製造し、続いて保護基R3及びR6の少なくとも一つを除去し、そして
生成物を酸と接触させて該δ−ラクトンを製造するか、又は
b)式(V):
【0017】
【化38】

【0018】
のマロナート−ハーフ酸と処理し、式(VI):
【0019】
【化39】

【0020】
(上記式中、
1は、C1−C20アルキルであり;
2は、H又はC1−C10アルキルであり;
3は、ヒドロキシ保護基であり;
式(III)及び(IV)のR4及びR5は、独立して、C1−C6アルキル、C5−C20アリール、C6−C20アリールアルキル又は−SiR8910(ここで、R8、R9及びR10は、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)であり;
式(V)及び(VI)のR5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール、又はC6−C20アリールアルキルであり;
5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルであり;
6は、H又はR4であり;
7は、H又はR3であり;そして
Xは、ハライドである)のδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを製造し、続いて該δ−ヒドロキシ−保護−β−ケノールエーテルエステルを酸と処理して、該δ−ラクトンを製造する方法に向けられている。
【0021】
ここで用いられているように、用語「処理する」、「接触させる」又は「反応させる」は、適切な条件下で、1種以上の試剤を、加えるか又は混合し、指示及び/又は所望の生成物を得ることを意味する。指示及び/又は所望の生成物を製造する反応が、最初に加えられた2種の試薬の組合せから、必ずしも直接的に得られないかも知れない、すなわち最後に指示及び/又は所望の生成物に導く混合物で製造される中間体の1種以上が存在するかも知れないことが考慮されるべきである。
【0022】
用語「アルキル」は、直鎖又は分岐基であることができる脂肪族炭化水素を意味する。アルキル基は、場合により、1個以上の置換基、例えばハロゲン、アルケニル、アルキニル、アリール、ヒドロキシ、アミノ、チオ、アルコキシ、カルボキシ、オキソ又はシクロアルキルで置換されていることができる。場合により、アルキル基に1個以上の酸素、硫黄又は置換若しくは非置換窒素原子が挿入されていることができる。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、トリクロロメチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル及びウンデシルである。
【0023】
用語「アリール」は、単環若しくは二環の炭素又は複素環芳香族部分を意味する。アルール基は、1個以上の置換基、例えばハロゲン、アルケニル、アルキル、アルキニル、ヒドロキシ、アミノ、チオ、アルコキシ又はシクロアルキルで置換されていることができる。例示的なアリール基は、フェニル、トリル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキザゾリル、及びイソキサゾリルである。
【0024】
本発明は、δ−ラクトン類、例えば3,6−ジアルキル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン類を製造する方法を提供する。特に、本発明は、式(I):
【0025】
【化40】

【0026】
(式中、
1は、C1−C20アルキルであり、そしてR2は、H又はC1−C10アルキルである)のδ−ラクトンの製造方法を提供する。特に、本発明は、δ−ラクトンのエナンチオ選択的製造方法を提供する。本発明の特定の実施態様において、エナンチオ選択的方法は、以下の立体中心を有する(R)−δ−ラクトンVIIを提供する。
【0027】
【化41】

【0028】
式(VII)のδ−ラクトン及び相当するエナンチオリッチのδ−ラクトンVIIは、それぞれ、その互変異性形態で存在してもよいか、又は互変異性形態と平衡である:
【0029】
【化42】

【0030】
したがって、式(I)又は(VII)のδ−ラクトンへの言及は、実質的に式(IC)又は(ID)のその互変異性形態を、それぞれ含む。
【0031】
本発明の好適な実施態様において、R1は、ウンデシルであり、R2は、ヘキシルであり、R3は、式−SiR111213(ここで、R11、R12及びR13は、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)の残基であり、Xは、クロロであり、R5は、C1−C6アルキルであり、R4及びR6のそれぞれは、式−SiR8910の残基であり、そしてR7は、Hである。
【0032】
本発明の一つの実施態様は、式(I):
【0033】
【化43】

【0034】
のδ−ラクトンの調製方法であって、式(II):
【0035】
【化44】

【0036】
のアシルハライドを、式(III):
【0037】
【化45】

【0038】
のケテンアセタールと処理し、式(IV):
【0039】
【化46】

【0040】
(上記式中、R1は、C1−C20アルキルであり;R2は、H又はC1−C10アルキルであり;R3は、ヒドロキシ保護基であり;R4及びR5のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル、C5−C20アリール、C6−C20アリールアルキル又は−SiR8910であり;R6は、H又はR4であり;R8、R9及びR10のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルであり;そしてXは、ハライドである)のδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを製造し、続いて保護基R3及びR6の少なくとも一つを除去し、生成物を酸と処理して、該δ−ラクトンを製造する方法を提供する。
【0041】
本発明の別の実施態様は、上記式(I)のδ−ラクトンの調製方法であって、
式(II):
【0042】
【化47】

【0043】
のアシルハライドを、式(V):
【0044】
【化48】

【0045】
のマロナートハーフ酸と処理し、式(VI):
【0046】
【化49】

【0047】
(式中、
1、R2、R3、R5及びXは、上記と同義であり、そして
7は、H又はR3である)のδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを製造し、続いてδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエステルを酸で処理して、δ−ラクトンを製造する方法を提供する。
【0048】
好適には、本発明の方法は、δ−ラクトンのエナンチオ選択的合成を提供する。
【0049】
工程a)の方法は、該δ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを、R6保護基を除去するために処理し、下記式:
【0050】
【化50】

【0051】
(式中、
1、R2、R3及びR5は、上記と同義である)のδ−ヒドロキシ−保護−β−ケトエステルを得ることを含む。
【0052】
本発明の別の実施態様は、該アシルハライド生成工程が、
(i)下記式:
【0053】
【化51】

【0054】
のβ−ヒドロキシ酸を、ヒドロキシ保護基で処理し、下記式:
【0055】
【化52】

【0056】
のβ−ヒドロキシ−保護エステルを製造する工程、及び
(ii)該β−ヒドロキシ−保護エステルを、アシルハロゲン化剤と処理して、該アシルハライド(ここで、R14は、H、R3又はカルボキシラート対イオンである)を製造する工程を含む、該アシルハライドを製造する工程に関する。方法において、R3及びR14のそれぞれは、式−SiR151617(ここで、R15、R16及びR17は、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)の部分であってよい。この方法は、該β−ヒドロキシ酸製造工程が、(A)下記式:
【0057】
【化53】

【0058】
のβ−ケトエステルをエナンチオ選択的に還元し、下記式:
【0059】
【化54】

【0060】
(式中、
18は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである)のβ−ヒドロキシエステルを、エナンチオ選択的に製造する工程、及び
(B)該β−ヒドロキシエステルをケン化して、該β−ヒドロキシ酸を製造する工程を含む、該β−ヒドロキシ酸をエナンチオ選択的に製造する工程を更に含んでもよい。
【0061】
得られたδ−ラクトンは、好適には以下の立体化学配置を有し、ここで、該方法は、少なくとも90%過剰のエナンチオ選択的還元でδ−ラクトンを製造する。
【0062】
【化55】

【0063】
ここで、該方法は、少なくとも約90%エナンチオ過剰率で該δ−ラクトンを製造する。
【0064】
本発明の好適な実施態様において、該β−ケトエステルのエナンチオ選択的還元の該工程は、水素化触媒の存在下に、該β−ケトエステルの水素化を含む。適切水素化触媒は、以下に記載されているか、又は表2に示されている触媒から選択されてもよい。好適には、該水素化触媒は、式RuCl2(R)−MeOBIPHEP)の化合物である。水素化触媒は、式Ru(OAc)2(R)−MeOBIPHEP)のルテニウムジアセタート化合物をハライド源と接触させて製造された生成物であってよい。該ハライド源と該ルテニウムジアセタートのモル比が、少なくとも約20:1である。好適には、下記式:
【0065】
【化56】

【0066】
のβ−ヒドロキシエステルのエナンチオ選択的調製の方法は、定義したように、約40(×105Pa)又はそれ未満の圧力の水素ガス、並びにハライド、及びキラル置換ビフェニルリンリガンドを含むルテニウム水素化触媒の存在下に、下記式:
【0067】
【化57】

【0068】
(上記式中、
1は、C1−C20アルキルであり、そして
18は、HあるいはC1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである)のβ−ケトエステルを水素化することを含む。工業等級水素ガスが、この方法に適切である。上記の方法において、R1は、好適には、ウンデシルであり、R18は、C1−C6アルキルである。該水素化触媒は、上記に定義した触媒から選択される。
【0069】
本発明の更に好適な実施態様は、式(VII):
【0070】
【化58】

【0071】
のδ−ラクトンのエナンチオ選択的調製方法であって、該方法が、
(a)下記式:
【0072】
【化59】

【0073】
のアシルハライドを、下記式:
【0074】
【化60】

【0075】
のシリルケテンアセタールと処理し、下記式:
【0076】
【化61】

【0077】
(上記式中、
1は、C1123であり;R2は、C613であり;R5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルであり;そして
8、R9、R10、R11、R12及びR13のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)のδ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを製造し、
(b)該δ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを、塩基と処理して、少なくとも1個のシリル基を除去し;次いで
(c)該工程(b)の生成物を酸と接触させて該δ−ラクトンを製造する方法に関する。該方法は、少なくとも約90%のエナンチオ過剰率で該δ−ラクトンを製造する。好適には、R5は、C1−C6アルキルである。好適な実施態様において、該工程(b)は、該δ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを、水酸化物類及び炭酸塩類からなる塩基からなる群から選択される塩基と処理し、
両方のシリル基を脱シリル化することを含む。更に好適には、該工程(b)は、該δ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを、炭酸水素塩で処理し、下記式:
【0078】
【化62】

【0079】
のδ−シロキシ−β−ケトエステルを製造することを含む。
【0080】
相当するアシルハライドは、
(i)(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸をシリル化剤で処理して下記式:
【0081】
【化63】

【0082】
のβ−シロキシテトラデカノアートシリルエステルを製造し、そして
(ii)該β−シロキシテトラデカノアートシリルエステルをアシルハロゲン化剤と接触させ、該アシルハライドを製造することにより製造されてよい。
【0083】
好適には、R11、R12及びR13は、メチルであり、該シリル化剤は、トリメチルシリルクロリド及びヘキサメチルジシラザンからなる群から選択される。
【0084】
上記の方法は、該(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸製造工程が、
(A)下記式:
【0085】
【化64】

【0086】
のβ−ケトエステルをエナンチオ選択的に還元し、下記式:
【0087】
【化65】

【0088】
(式中、
18は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである)のβ−ヒドロキシエステルを製造し、そして
(B)該β−ヒドロキシエステルをケン化して、該(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸を製造することを含む該(R)−3−ヒドロキシテトラデカンを製造する工程を更に含んでもよい。
【0089】
該β−ケトエステルをエナンチオ選択的に還元する該工程は、上記のように、水素化触媒の存在下に、該β−ケトエステル水素化を含む。
【0090】
本発明の別の好適な実施態様は、式(VII):
【0091】
【化66】

【0092】
のδ−ラクトンの調製方法であって、該方法が、
(a)下記式:
【0093】
【化67】

【0094】
のアシルハライドを、下記式:
【0095】
【化68】

【0096】
のマロナートハーフ酸と処理し、下記式:
【0097】
【化69】

【0098】
(式中、
1は、C1123であり;R2は、C613であり;R5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルであり;そして
11、R12及びR13のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)のδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを製造し、そして
(b)該δ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを、酸と接触させ、該ラクトンを製造する方法に関する。
【0099】
この方法は、少なくとも約90%のエナンチオ過剰率で、該δ−ラクトンを製造する。好適には、R5は、C1−C6アルキルであり、そして該酸は、塩酸である。該アシルハライドは、上記のように、製造してもよい。
【0100】
本発明の別の実施態様において、記載された方法は、リパーゼインヒビター、例えばテトラヒドロリプスタチン(オルリスタット、式(XI))の調製に用いてもよい。そのような方法は、
a)式(VII):
【0101】
【化70】

【0102】
の化合物を水素化し、式(VIII):
【0103】
【化71】

【0104】
の化合物を得、続いて
b)塩基性条件での開環及びエナンチオ化分離により式(IX):
【0105】
【化72】

【0106】
(上記式中、
は、カチオンを表し、そしてPGは、OH保護基を表す)の化合物を得、
c)式(IX)の遊離酸の調製に続いて、環形成及び基PGの開裂により式(X):
【0107】
【化73】

【0108】
の化合物を得、
d)脱保護に続いて、ミツノブ条件下でN−ホルミル−S−ロイシンとの反応により式(XI):
【0109】
【化74】

【0110】
(式中、
1及びR2は、上記と同義である)の化合物を得る工程に含む。テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)の調製のために、R1は、C1123であり、そしてR2は、C613である(例えば、米国特許NO.5,399,720に記載されている)。
【0111】
本発明の更なる実施態様は、a)下記式:
【0112】
【化75】

【0113】
のβ−シロキシアシルハライド、
b)下記式:
【0114】
【化76】

【0115】
のδ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステル、及び
c)下記式:
【0116】
【化77】

【0117】
(上記式中、
1は、C1−C20アルキルであり;R2は、H又はC1−C10アルキルであり;R5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルであり;R8、R9、R10、R11、R12及びR13のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルであり、そしてXは、ハライドである)のδ−シロキシ−β−ケトエステルからなる群から選択される化合物に関する。
【0118】
好適な化合物は、(R)−3−トリメチルシロキシテトラデカノイルクロリド、メチル(R)−3,5−ビス(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−ヘキサデカノアート、エチル(R)−3,5−ビス(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−ヘキサデカノアート、メチル(5R)−5−(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−オキソ−ヘキサデカノアート、及びエチル(5R)−5−(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−オキソ−ヘキサデカノアートである。
【0119】
本発明の別の実施態様は、テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)を製造するのために、記載の方法を使用することである。本発明は、また記載された方法のいずれかにより調製された化合物に関する。
【0120】
本発明の一つの実施態様は、下記式:
【0121】
【化78】

【0122】
のδ−ラクトンを製造する方法であって、
(a)下記式:
【0123】
【化79】

【0124】
のアシルハライドを下記式:
【0125】
【化80】

【0126】
のケテンアセタールと処理し、下記式:
【0127】
【化81】

【0128】
(上記式中、R1は、C1−C20アルキルであり;R2は、H又はC1−C10アルキルであり;R3は、ヒドロキシ保護基であり;R4及びR5のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル、C5−C20アリール、C6−C20アリールアルキル又は−SiR8910であり;R6は、H又はR4であり;R8、R9及びR10のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルであり;そしてXは、ハライドである)のδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを製造し、
(b)保護基R3及びR6の少なくとも一つを除去し、そして
(c)工程(b)の生成物を酸と接触させて、δ−ラクトンを製造する方法を提供する。
【0129】
本発明は、今、エナンチオリッチδ−ラクトンVIIの合成に関して記載している。δ−ラクトンVIIのラセミ形態又は式IAのそれのように逆の立体配置を有するδ−ラクトン(ここでは明確に議論しないが)が、本発明の方法を用いて、ラセミ混合物又はそれぞれ逆の立体化学的配置の出発材料を用い、本発明の方法を用いて容易に調製できることが理解されるべきである。
【0130】
本発明の一つの実施態様において、方法は、式(IIa):
【0131】
【化82】

【0132】
のアシルハライドを、式(III):
【0133】
【化83】

【0134】
のケテンアセタール、下記式:
【0135】
【化84】

【0136】
(式中、
(上記式中、R1及びR2は、上記と同義であり;R3は、ヒドロキシ保護基であり;R4及びR5は、独立して、C1−C6アルキル、C5−C20アリール(好適には、C6−C20アリール)、C6−C20アリールアルキル(好適には、C7−C20アリールアルキル)又は−SiR8910の残基であり;R6は、H又はR4であり;Xは、ハライドであり;R8、R9及びR10のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)のδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを製造するに十分な条件下に、処理することを含む。
【0137】
ヒドロキシ及びカルボン酸官能基のための保護基を含む保護基の多くは、当業者に既知であり、用いられることができる。多くの可能な保護基の例は、Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, John Wiley & Sons, New York, 1999に見出すことでき、それは、全体を参照として、ここに組み込まれている。
【0138】
上記化合物について(式I、VII、IC、ID、IIa、III、IVa):好ましくは、R1はウンデシルである。好ましくは、R2はC1−C10アルキル、より好ましくはヘキシルである。好ましくは、R3は式−SiR111213の残基であり、ここにおいてR11、R12及びR13のそれぞれは独立してC1−C6アルキル又はフェニルであり、より好ましくは、R11、R12及びR13のそれぞれは、独立してメチル、イソプロピル、tert−ブチル又はフェニルである。より好ましくは、R3は式−Si(CH33の残基である。好ましくは、R4は式−SiR8910の残基である。好ましくは、R8、R9及びR10のそれぞれは、独立してメチル、イソプロピル、tert−ブチル又はフェニルである。より好ましくは、R4は式−Si(CH33の残基である。好ましくはR5はC1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである。より好ましくは、R5はC1−C6アルキルである。さらにより好ましくは、R5はメチル又はエチルである。好ましくは、化合物IVaのR6は、特にR4が式−SiR8910の残基である場合に、化合物IVのR4である。
【0139】
本発明の方法は、δ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルIVaを、少なくとも一つの保護基(即ち、R3及び/又はR6,好ましくは少なくともR6)を除去するために十分な条件下で処理し、生じた脱保護化合物を酸と接触させてδ−ラクトンVIIを生成させることを含む。
【0140】
特に有用なケテンアセタールIIIは、R4が式−SiR8910、及びR5がC1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルであるシリルケテンアセタールである。シリルケテン類は、一般に知られた方法のいずれによっても容易に調製し得る。シリルケテン類の調製方法の幾つかは、ここにそれらの全体を参考として取り入れる、Miura et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 1991,64, 1542-1553; Umemoto and Gotoh, Bull. Chem. Soc. Jpn., 1987, 60, 3823-3825; Sugimoto et al., Chem. Lett., 1991, 1319-1322; Miura et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 1992, 65, 1513-1521;及びShono et al., J. Org. Chem., 1984, 49, 1056-1059に開示されている。
【0141】
シリルケテンアセタールIIIは、対応するエステル(即ち、式R2−CH2−C(=O)OR5の化合物)から、該エステルをリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)、例えばリチウムジイソプロピルアミド及びリチウムテトラメチルピペリジン(LiTMP)等のジアルキルアミド等の強塩基により、テトラヒドロフラン(THF)、ヘキサン、ジメトキシエタン(DME)、エーテル又はそれらの混合物等の慣用の非プロトン性溶媒中で処理し、エノレートを生成させ、該エノレートを、シリルトリフレート及びシリルクロライド等のシリルハライド、例えばトリメチルシリルクロライドを含むシリル化剤により処理することにより調製し得る。ジアルキルアミドは、ジアルキルアミンを、アルキルリチウム(例えば、ブチルリチウム)等の強塩基により、上記慣用の非プロトン性溶媒中で処理することにより調製し得る。シリルケテンアセタールIIIの調製は、一般に、好ましくは窒素、アルゴンヘリウム等の不活性雰囲気下で、好ましくは約0℃、より好ましくは約−30℃以下、最も好ましくは約−78℃の温度にて行われる。該シリルケテンアセタールIIIは、例えば減圧下の蒸留により精製し得る。R2がC1−C10アルキルであり、R4及びR5が異なる残基である場合に生じるシリルケテンアセタールIIIは、2種類の異なる幾何学異性体、即ちE−又はZ−二重結合配置を有し得る。R2基を含むδ−ラクトンVIIの炭素原子は、キラル中心ではない(あるいは、それが容易に異性化することからキラル性は重要ではない)ため、シリルケテンアセタールの幾何学異性体は、本発明方法のエナンチオ選択的方法について重要ではないことは認識されなければならない。
【0142】
本発明の一つの特定の実施態様に於いて、R6がR4である場合のδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルVは、上述のシリルケテンアセタールIIIを、R3が式−SiR111213の残基であるアシルハライドIIIと反応させることにより調製し得る。典型的には該反応は、THF、トルエン、ヘプタン、ヘキサン又はそれらの混合物等の慣用の非プロトン性有機溶媒中において、トリエチルアミン又はトリブチルアミン等のトリアルキルアミンを含む第3アミンの存在下で、好ましくは上記の不活性雰囲気にて実施される。好ましくは、反応温度は約0℃〜約25℃の範囲である。
【0143】
粗製のδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルIVaは、例えば減圧下での蒸留により、又はクロマトグラフィーにより精製され得、あるいはそれは精製することなく次の工程にて直接に使用し得る。ここにおいて使用される“粗製”化合物なる用語は、反応の慣用の仕上げ以外に別途の精製工程に付されていない化合物を指す。
【0144】
特に、R3及びR6が、それぞれ式−SiR111213及び式−SiR8910の残基である場合において、生じるδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルVは、酸性又は塩基性条件下、好ましくは塩基性条件下で選択的に一脱シリル化し得て、式:
【0145】
【化85】

【0146】
のδ−シロキシ−β−ケトエステルを生成する。塩基性の一脱シリル化条件のためには、典型的には、トリエチルアミン若しくは好ましくはトリブチルアミン等のトリアルキルアミンを含む第3アミン;又は重炭酸カリウム、重炭酸リチウム若しくは好ましくは重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩が使用される。一脱シリル化反応は、アルキルアルコール(例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノール)等のプロトン性溶媒、又は非プロトン性有機溶媒及びプロトン性溶媒(例えば、アルキルアルコール又は水)の混合物中で行い得る。一脱シリル化反応に有用な非プロトン性有機溶媒の例は、メチレンクロライド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、THF及びエーテルを含む。好ましくは、一脱シリル化反応は、アルキルアルコール溶媒、更に好ましくはメタノール中にて行われる。一脱シリル化反応の温度範囲は、好ましくは約0℃〜約25℃である。
【0147】
δ−シロキシ−β−ケトエステルVIaは、酸性又は塩基性条件下、好ましくは酸性条件下にてさらに脱シリル化され、閉環されてδ−ラクトンVIIを生じ得る。ヒドロキシル基の脱シリル化は、当業者には周知であり、上記のProtective Group in Organic Synthesisに開示されている。酸性脱シリル化条件のためには、典型的には塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、又はトリフルオロ酢酸が使用される。酸性条件下でのδ−シロキシ−β−ケトエステルVIaの脱シリル化は、δ−ラクトンVIIを生成する急速な閉環を生じ、而して別途の閉環工程の必要性を取り除く。
【0148】
別法として、該δ−ラクトンVIIは、δ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルIVaから両方の保護基(R3及びR6)を、単一工程で除去し、脱保護生成物を、δ−ラクトンVIIが生成するために十分な条件下で酸と接触させることにより調製し得る。ここにおいて使用されるように、“単一工程”なる用語は、R3及びR6の両保護基を同じ反応条件下で除去することを指す。δ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルIVaのR3及びR6は、それぞれ式−SiR111213及び−SiR8910の残基である場合の、本発明の特定の実施態様において、シリル基の両方が塩基性条件下、典型的には水酸化物、又は好ましくは炭酸塩を使用して単一工程にて除去される。本発明において使用し得る水酸化物の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムを含む。本発明において有用な炭酸塩の例は、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸セシウムを含む。好ましい炭酸塩は、炭酸カリウムである。両方のシリル基の単一除去工程は、一脱シリル化について上述した溶媒と同じ溶媒中で行い得る。単一工程脱シリル化及び引き続くδ−ラクトンVIIの反応温度範囲は、好ましくは約0℃〜約25℃である。
【0149】
典型的には、δ−ラクトンVIIは、反応混合物のpHを、約pH3〜約pH5に調整することにより生成される。反応混合物の上述したpH範囲を与えることができる任意の酸を使用することができ、このような酸は、限定されるものではないが、塩酸、硫酸及びリン酸を含む。本発明の特定の実施態様において、塩酸がδ−ラクトンの生成のために使用される。こうして形成されたδ−ラクトンVIIは、例えばメタノールが溶媒として使用される場合に、典型的には反応混合物から沈殿させる。δ−ラクトンVIIは、より高純度及び/又はよりエナンチオ的に過剰のδ−ラクトンを得るために、例えば再結晶により更に精製し得る。
【0150】
本発明の別の実施態様において、アシルハライドIIaは、式(V):
【0151】
【化86】

【0152】
(上記式中、
1、R2及びR5が上述したとおりであり、R7がH又はR3である)
マロネートハーフ酸により、式(VIa):
【0153】
【化87】

【0154】
のδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを生成するために十分な条件で処理される。好ましくは、R7はHである。
【0155】
本発明の方法は、δ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIaを、塩基、又は好ましくは酸と、上述したようにδ−ラクトンVIIを生成させるために十分な条件下で接触させることも含む。
【0156】
アシルハライドIIa及びマロネートハーフ酸Vの間の反応は、典型的には金属配位試薬及び第3アミン塩基の存在下で行われる。例えば、ここにそれらの全体を参考として取り入れるRathke and Cowan, J. Org. Chem., 1985, 50, 2622-2624及びClay et al., Synthesis, 1993, 290-292参照。該反応は、n−ブチルエーテル、THF、アセトニトリル、メチレンクロライド、ジメトキシエタン(DME)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、トルエン、2−メチルテトラヒドロフラン(2−Me−THF)等の非プロトン性有機溶媒下に行われ得、THFが好ましい溶媒である。何れの理論にも束縛されることなく、金属配位試薬はマロネートハーフ酸VIIの金属エノレートを生じ、これはアシルハライドIIIと反応するためには十分に反応性を有し、しかしながら、酸性プロトンを含む最初に形成された生成物を脱プロトン化するほどには塩基性でないと考えられる。
【0157】
一般的に、アシルハライドIIa及びマロネートハーフ酸Vの間の反応は、アシルハライドIIIを、好ましくは溶液において、マロネートハーフ酸VII、金属配位試薬及び第3アミン塩基を含む溶液混合物に添加することにより行われる。δ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIaのより高い収率は、マロネートハーフ酸VIIの量に対して、少なくとも約2当量の第3アミン等の相対的に非親核性の塩基、及び少なくとも1当量の金属配位試薬を使用することにより得ることができる。
【0158】
例としての金属配位試薬は、MgCl2、MgBr2及びMgI2等のハロゲン化マグネシウムを含むマグネシウム塩;ハロゲン化マンガン及び酢酸マンガン等のマンガン塩;ハロゲン化リチウム等のリチウム塩;ハロゲン化サマリウム等のサマリウム塩;並びにハロゲン化ナトリウム及びハロゲン化リチウムの混合物等のナトリウム及びリチウム塩混合物を含む。好ましくは、金属配位試薬は、マグネシウム塩、より好ましくは塩化マグネシウムである。
【0159】
本発明に有用な第3アミン塩基の例は、トリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン;並びに他の第3アミンを含む。好ましくは第3アミン塩基は、トリアルキルアミン、より好ましくはトリエチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、又はトリブチルアミンである。
【0160】
典型的には、アシルハライドIIa及びマロネートハーフ酸Vの間の反応は、約0℃〜約35℃の範囲に亘る温度にて、好ましくは上述したような不活性雰囲気下で行われる。好ましくは該反応は、約25℃にて行われる。
【0161】
生じたδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIaは、単離し得るか、あるいは好ましくは、単離することなく直接に、δ−ラクトンVIIを生成させるために十分な条件下で酸により処理される。例えば、アシルハライドIIaをマロネートハーフ酸VIIと反応させた後に、上述の酸が生じた反応混合物に添加され、これはδ−ラクトンVIIの形成を起こす。
【0162】
メチルδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIaは、δ−ラクトンVIIを同様な反応条件及び時間において他の酸マロネートハーフ酸Vよりも高い収率にて生成することから、好ましくは、アルキルマロネートハーフ酸Vは、R5がメチルであるメチルマロネートハーフ酸VIIである。メチルマロネートハーフ酸Vによるによるこの高い収率の優位性は、非−メチルマロネートハーフ酸Vをメチルマロネートハーフ酸VIIに変換し、次いでメチルマロネートハーフ酸VをアシルハライドIIaと反応させ、δ−ラクトンVIIを生成させることにより得ることができる。例えば、R5がエチルであるエチルマロネートハーフ酸VIIは、エチルマロネートハーフ酸VIIからメチルマロネートハーフ酸Vを生成させるために十分な条件下において、メタノール中でナトリウムメトキシド等の金属メトキシドと反応させ、次いで得られたメチルマロネートハーフ酸VをアシルハライドIIaと反応させ、δ−ラクトンVIIを生成させ得る。別法として、非−メチルマロネートハーフ酸V及びアシルハライドIIaの間の反応の生成物は、酸と接触させるに先立って、あるいは好ましくはδ−ラクトンVIIを生成する閉環工程の間にその場にて、対応するメチルδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIaに変換し得る。
【0163】
2がHでないマロネートハーフ酸VIIは、種々の方法により調製し得る。例えば、マロネートハーフ酸Vは、例えばR5OC(=O)CH2C(=O)OR5のマロネートジエステルをナトリウムエトキシド等の塩基により処理し、対応するエノレートを生成させ、及び該エノレートを、脱離基、例えばメシレート、トシレート並びにブロマイド及びアイオダイド等のハライドを含むアルキル基に接触させ、アルキルマロネートジエステル、即ちR5OC(=O)CH(R2)C(=O)OR5を生成させることにより調製し得る。該アルキルマロネートジエステルは、次いでマロネートハーフ酸VIIを生成させるための対応するR5アルコール溶媒中において、典型的には約1当量未満、好ましくは約0.9当量のヒドロキシドを使用して、モノケン化され、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウム等のヒドロキシドにより、メタノール(R5がメチルの場合)又はエタノール(R5がエチルの場合)中において処理し得る。
【0164】
本発明による方法は、式(IXa):
【0165】
【化88】

【0166】
のβ−ヒドロキシ酸又はカリウム若しくはナトリウム塩等のその塩から、ヒドロキシル基を保護して式(Xa):
【0167】
【化89】

【0168】
のβ−ヒドロキシ−保護エステルを生成させ、該β−ヒドロキシ−保護エステルXaをアシルハロゲン化試薬と、アシルハライドIIIを生成させるために十分な条件下で接触させることによる、アシルハライドIIaの生成工程を含むことができ、ここにおいてR1及びR3は上述したとおりであり、R14はH、R3又はカルボキシレートの対陽イオンである。ここにおいて使用されるように“カルボキシレートの対陽イオン”なる用語は、式Xaのカルボン酸塩の対イオンを指す。例としてのカルボキシレート対陽イオンは、ナトリウム、リチウム及びカリウム等の金属イオン;アンモニウム;ジ−、トリ−及びテトラ−アルキルアンモニウム;ピリジニウム;並びに当業者に既知のカルボン酸陰イオンに対する他の適当な陽イオンを含む。
【0169】
本発明の特定の一実施態様において、アシルハライドIIaは、β−ヒドロキシ酸IXaをシリル化剤と接触させ、式(XIa):
【0170】
【化90】

【0171】
のβ−シリルオキシシリルエステルを生成させ、該β−シリルオキシシリルエステルXIaをアシルハロゲン化試薬と接触させることにより調製され、ここにおいてR11、R12及びR13は上述したものである。この技術において既知の、任意のヒドロキシシリル化試薬が、β−SiリルオキシシリルエステルXIを生成させるために使用し得る。例としてのシリル化試薬は、R11、R12及びR13が上述したとおりであり、X1がハライド又はトリフレートである式X1−SiR111213の化合物;並びにヘキサメチルジシラザン(ここで、R11、R12及びR13はメチルである)を含む。
【0172】
例えば、R11、R12及びR13がメチルである式XIの化合物のβ−トリメチルシロキシトリメチルシリルエステルは、β−ヒドロキシ酸をクロロトリメチルシラン(TMSCl)により、ピリジンの存在下、上述の不活性雰囲気下にて処理することにより調製し得る。該反応は、メチレンクロライド、MTBE、トルエン及びTHF等の非プロトン性有機溶媒中にて好適に行われ、THFが特に好ましい溶媒である。反応の温度範囲は、一般的に約0℃〜約25℃であり、好ましくは、反応温度は約25℃である。該反応は、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)又は当業者に既知の他のシリル化触媒も含むことができる。DMAP等のシリル化触媒を存在させる場合には、典型的には約1モル%にて使用される。シリル化触媒を存在させない場合においてさえも、シリル化は典型的には数時間以内に完了し、一般的には室温において約2時間以内である。
【0173】
別法として、β−トリメチルシロキシトリメチルシリルエステルXIaは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を使用することにより調製し得る。例えば、β−ヒドロキシ酸IXa及びHMDSの混合物の、トルエン又は好ましくはTHF等の非プロトン性有機溶媒中における加熱は、β−トリメチルシロキシトリメチルシリルエステルXIを生成する。HMDSが使用される場合には、反応の副生成物の一つはアンモニアであり、これは典型的には大気圧における反応溶媒を部分蒸留することにより容易に除去し得る。生じるβ−トリメチルシロキシトリメチルシリルエステルXIa部分濃縮溶液は、更に精製することなく、アシルハライドIIa生成工程において直接に使用し得る。
【0174】
種々のアシルハロゲン化試薬が、当業者に知られている。例示的アシルハロゲン化試薬及びそれを使用する一般的方法は、例えば、ここにそれらの全体を参考として取り入れる“Comprehensive Organic Synthesis,”vol. 6, Trost, Fleming and Winterfeldt編, Pergamon Press, 1991, pp 301-319,及び“The Chemistry of Acyl Halides”Patai編, Interscience Publishers, 1972, pp 35-64に開示されている。本発明者らにより、β−ヒドロキシ−保護エステルX、特にはβ−トリメチルシロキシトリメチルシリルエステルXIが、オキサリルクロライド又はチオニルクロライドを、トルエン又は好ましくはTHF等の非プロトン性有機溶媒中において使用して、容易にアシルハライドIIaに変換し得ることが見出された。
【0175】
アシルハロゲン化試薬としてオキサリルクロライドを使用する場合には、ピリジン及び触媒量のDMF等のシリル化触媒が典型的には使用される。しかしながら、アシルハロゲン化試薬として、オキサリルクロライドに代えてチオニルクロライドを使用する場合には、DMF等のシリル化触媒を使用する必要がなくなる。何れの場合においても、アシルハロゲン化反応におけるピリジニウム塩の形成は、ケテンアセタールIII及びアシルハライドIIIの間の反応を複雑にする。ケテンアセタールII及びアシルハライドIIIの間の反応における起こり得る複雑化を避けるために、典型的にはピリジニウム塩が反応混合物から、例えば濾過により除去される。次いで、生じた反応混合物は、例えば蒸留により更に濃縮され、これはいくらかの残留するTMSCl、チオニルクロライド及びTHFの少なくとも一部をも除去する。蒸留は、一般的には約0℃において減圧下で行われる。
【0176】
本発明者らにより、THF中のβ−ヒドロキシ酸IXaに対するシリル化試薬として、HMDSが使用される場合に、THF中のチオニルクロライドによる引き続くアシルハロゲン化反応が、0℃においては緩慢であって、より高い反応温度では乏しい収率を与えることが見出された。しかしながら、ピリジニウムハイドロクロライド、ピリジン又はDMAP等のピリジニウム塩の存在は、反応速度を増大させ、より大量の所望のアシルハライドIIIを生じる。従って、HMDSがシリル化試薬として使用される場合には、ピリジンが、典型的には引き続くアシルハロゲン化反応に添加される。添加されるピリジンの量は、一般的には約1モル%〜約10モル%、好ましくは約2モル%である。ハロゲン化反応は、典型的には約0℃の反応温度にて行われる。
【0177】
本発明の方法は、式:
【0178】
【化91】

【0179】
のβ−ケトエステルから、該β−ケトエステルXIIのケトンカルボニルをエナンチオ選択的に還元し、該エステル基を鹸化し、β−ヒドロキシ酸IXaを生成させることによるβ−ヒドロキシ酸IXaのエナンチオ選択的調製も含むことができ、ここにおいてR1は上述したとおりであり、R18は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである。好ましくは、R18は、C1−C6アルキル、更に好ましくはメチル又はエチルである。
【0180】
本発明の一つの特定の実施態様において、β−ヒドロキシ酸IXaのエナンチオ選択的調製は、キラル性水素添加触媒の存在下におけるβ−ケトエステルXIIに水素添加を含む。非−キラル性水素添加触媒が、β−ヒドロキシエステルIXaのラセミ混合物を生じ、また下記のものとは反対の配置を持ったキラル性水素添加触媒は、図IXaに示されるものとは反対の配置を有するβ−ヒドロキシエステルを生じるであろう。特に、本発明は、エナンチオ的に富有化された水素添加触媒、即ち約97%を越えるエナンチオ過剰(%ee)を持った水素添加触媒を用いる、β−ケトエステルXIIのエナンチオ選択的還元方法を提供する。
【0181】
本発明の一つの特定の実施態様において、キラル性水素添加触媒は、式:
【0182】
【化92】

【0183】
の触媒を含む、実施例において示されるようなキラル性リガンドを含むルテニウム触媒を包含し、ここにおいて、X2は、アイオダイド、ブロマイド、好ましくはクロライド等のハライドであり、R19及びR20は、独立してH、C1−C6アルキル又はC1−C6アルコキシであり、ただし、R19及びR20の少なくとも一方はHではない。更に、それぞれフェニル基は、1個以上のR19又はR20基を含んでもよい。更には、ビスフェニル残基のフェニル基の一方又は両方が、ナフチル、ピリジル又は他の置換アリール基等の他の芳香族基により置き換えられてもよい。
【0184】
本発明の有用な水素添加触媒の一つは、式、Ru(OAc)2((R)−MeOBIPHEP)のルテニウムジアセテートを、アルカリ金属ハライド(例えば,XがハライドであるLiX、NaX、KX及びCsX)又はハロゲン化水素(例えば、XがハライドであるHX)、好ましくは塩酸等のハライド供給源に接触させることにより生成される生成物であり、ここにおいてRu(OAc)2((R)−MeOBIPHEP)は、下記式:
【0185】
【化93】

【0186】
の化合物である。
【0187】
何れの理論にも制限されることなく、Ru(OAc)2((R)−MeOBIPHEP)の塩酸による処理は、両方のOAc基のクロライドによる置換を生じ;而して得られた生成物はRu(Cl)2((R)−MeOBIPHEP)であると考えられている。しかしながら、興味深いことにRu(Cl)2((R)−MeOBIPHEP)が約2当量未満のHClにて処理された場合には、生じた水素添加触媒は(R)−3−ヒドロキシエステルを高いエナンチオ過剰率で生成しない。驚くべきことに、また予期し得ないことに、ある場合にはそのような水素添加触媒は(S)−3−ヒドロキシエステルを優位に生成させる。しかしながら、少なくとも約5当量、好ましくは少なくとも約10当量、より好ましくは少なくとも約20当量のHClがRu(Cl)2((R)−MeOBIPHEP)に添加された場合には、生じる水素添加触媒は、β−ケトエステルXIIを対応する(3R)−3−ヒドロキシエステルにエナンチオ選択的に還元する。
【0188】
本発明のキラル性水素添加触媒の前駆体、即ちルテニウムジカルボキシレートジホスフィン化合物又は〔Ru(OC(=O)R′)2(ジホスフィン)〕は、以下の反応スキームに従って調製し得る。
【0189】
【化94】

【0190】
このようにして、実施例16に列挙されるものも含めて種々のキラル性ルテニウムジカルボキシレートジホスフィンを調製し得る。ルテニウムジカルボキシレートジホスフィン化合物の調製方法は、一般に、商業的に入手可能であるか、好ましくはAlbers et al., Inorg. Synth., 1989, 26, 68の方法に従って調製される〔RuCl2(COD)〕nを、カルボキシレート塩及び対応するカルボン酸、即ち酢酸ナトリウム/酢酸及びピバール酸ナトリウム/ピバール酸混合物等のMOC(=O)R′及びHOC(=O)R′混合物と、非プロトン性有機溶媒、好ましくはトルエン中にて接触させることを含む。該混合物は、約80℃〜約120℃、好ましくは約100℃の温度にて加熱される。典型的な反応時間は約15時間〜約72時間、好ましくは約20時間〜約48時間である。使用されるカルボキシレート塩の量は、約2当量〜約50当量、好ましくは2当量〜約50当量、より好ましくは約2.1当量〜約10当量、最も好ましくは約2.5当量である。好ましくは、ジホスフィン化合物の完全な変換を確実にするために、ジホスフィン化合物に対して僅かに過剰量の〔RuCl2(COD)〕nが使用される。
【0191】
商業的に入手可能な〔RuCl2(COD)〕n複合体が使用され得る一方で、ルテニウムトリクロライドから新たに調製された〔RuCl2(COD)〕n複合体は、一般により短い反応時間、より徹底し、及び/又はより高い収率のルテニウムジカルボキシレートジホスフィン化合物を与える。このようにして、ルテニウムジカルボキシレートジホスフィン化合物のワン−ポット合成は、安価で、かつ容易に入手可能なルテニウムトリクロライドにより達成され得る。
【0192】
β−ヒドロキシ化合物(例えば、(3R)−3−ヒドロキシ化合物)IXaは、初期生成物の再結晶により、更に精製、即ちエナンチオ的に富有化され得、少なくとも約99%eeを有する生成物を与える。従って、特定のキラル性水素添加触媒のコストに依存して、再結晶により更にエナンチオ的に富有化され得る約95%ee未満のβ−ヒドロキシ化合物IXaを与えるキラル性水素添加触媒を使用することが、より経済的であり得ることが認識されなければならない。
【0193】
メチル3−オキソテトラデカノエートの不斉還元のためのルテニウムに基づく水素添加触媒とは異なって、本発明の水素添加触媒は、メチル3−ヒドロキシテトラデカノエートを高収率及び高エナンチオ過剰で生成するために、高純度条件、例えば少なくとも約99.99%の純度を有する水素ガスを必要としない。実際に、本発明の水素添加触媒を使用する、工業等級条件、例えば約99.5%の純度を有する水素ガス及び約99.5%の純度を有する窒素ガスの下でのメチル3−オキソテトラデカノエートの不斉還元は、高純度反応条件に要求されるものと実質的に同様な速度で進行する。更に、本発明による水素添加触媒は、より低い水素ガス圧力の使用を許容し、これによって初期の資本投資の費用を低減し、また高い水素ガス反応条件に伴う危険性を低減する。加えて、上述した不斉水素添加方法を使用することにより、本発明は、何れのラセミ中間体の分割の必要性を伴わずに、δ−ラクトンVIIの不斉合成を可能とする。
【0194】
典型的には、β−ケトエステルXII、例えばメチル3−オキソテトラデカノエートの水素添加は、エタノール、又は好ましくはメタノール等のアルキルアルコールを含む慣用の水素添加溶媒中において、約80℃の反応温度にて行われる。水素添加反応における基質(即ち、β−ケトエステルXII)の濃度は、一般的に約40重量%であり、水素添加触媒中のRu(OAc)2((R)−MeOBIPHEP)に対するHClの比は、約20:1である。水素添加触媒に対するメチル3−オキソテトラデカノエートの典型的な比は、約50,000:1である。この反応混合物に対して、典型的には約40(×105Pa)の工業等級水素ガスが添加され、反応が約4時間(h)進行する。次いで得られたメチル(R)−3−ヒドロキシテトラデカノエートは、粗製の水素添加溶液をメタノール及び28%水酸化ナトリウム水溶液により、室温にて希釈することにより鹸化される。次いで、鹸化生成物は硫酸等の酸により酸性化され、メチル(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸を単離する。このようにして、メチル(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸等のβ−ヒドロキシ酸IIIが、対応するβ−ケトエステルXIIから少なくとも約90%の単離収率で、好ましくは少なくとも約93%の単離収率、最も好ましくは少なくとも約95%の単離収率で生成し得る。生成物のエナンチオ的過剰率は、少なくとも約90%ee、好ましくは少なくとも約95%ee、より好ましくは少なくとも約99%eeである。エナンチオ的過剰率は、一回の再結晶により少なくとも約95%ee、好ましくは少なくとも約99%ee、より好ましくは少なくとも約99.5%eeで増大し得る。
【0195】
β−ケトエステルXIIは、種々の既知方法により容易に調製し得る。例えば、ここにそれらの全体を参考として取り入れる、Case-Green, Synlett, 1991, 781-782及びSotoguchi等の米国特許5,945,559合参照。
【0196】
δ−ラクトンVIIも、式(XIII):
【0197】
【化95】

【0198】
の2−アルキル−アセトアセテートエステルを、アシルハライドIIaにより処理し、生じた生成物を、上述したような塩基又は好ましくは酸と、R2及びR5が上述した基であるδ−ラクトンVIIを生成するために十分な条件下で接触させることにより調製し得る。
【0199】
何れの理論にも束縛されることなく、2−アルキル−アセトアセテートエステルXIII及びアシルハライドIIaの間の反応は、初期生成物として、R1、R3及びR5が上述したとおりであり、R2がC1−C10アルキルである式(XIV):
【0200】
【化96】

【0201】
のα−アセチル−β−ケトエステルを生じるものと考えられる。α−アセチル−β−ケトエステルXIVの、塩基性又は好ましくは酸性条件下での、例えば加メタノール分解(即ち、メタノールとの接触)等の加溶媒分解は、アシル基を除去して、R7がR3であるδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIIIを生じ、これは、次いで上述のようにδ−ラクトンVIIを生成するために使用し得る。メチルアセトアセテートからのβ−ケトエステルの調製は、ここにその全体を参考として取り入れるSotokuchi等の日本国特許10−53561に開示されている。
【0202】
2−アルキル−アセトアセテートエステルXIIIは、アセトアセテートエステルを酸化カルシウム又は水酸化カルシウム等の塩基と、典型的には還流するトルエン中において接触させることにより、アセトアセテートエステルのエノレートを形成し、次いで該エノレートをアシルハライドIIIと反応させることにより調製し得る。
【0203】
別法として、δ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIa(ここにおいて、R2はC1−C10アルキル、好ましくはヘキシルである)、従って最終的にはδ−ラクトンVIIは、上述のようにアセトアセテートエステル(R2がHである化合物XIII)をアシルクロライドIIaと反応させて、最初にδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIa(R2はHである)を生成させることにより製造し得る。R2がHであるδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIIIは、塩基を用いて脱プロトン化されて、第二のエノレートを生じ、これは、例えばヘキシルブロマイド等の上述したような脱離基を含むアルキル基との反応に付されて、δ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIa(ここにおいて、R2はC1−C10アルキル、好ましくはヘキシルである)を生じる。第二のエノレートの生成において、逆添加、即ちδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルのVIa(R2はHである)の塩基を含む溶液への添加が、例えば、慣用の添加工程、即ち塩基のδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルVIII溶液への添加にて生じ得る消去生成物の低減のために使用され得る。
【0204】
本発明の更なる目的、優位点及び特徴は、限定を意図するものではない以下の実施例を検討することにより、当業者に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0205】
実施例1
この実施例は、1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−1−オクテンの調製方法を例示する。
【0206】
1000mL3首フラスコに、隔壁/熱電対を有するクライセンアダプタ及び窒素アダプタ、櫂状攪拌機、及び250mLの圧平衡添加漏斗を装着した。該フラスコを封止し、雰囲気を乾燥窒素(10回の窒素−真空サイクル)に代えた。乾燥THF(100mL)及び69.9mL(50.5g、499mmol、1.05当量)のジイソプロピルアミンをシリンジを介して添加した。該溶液を−10℃に冷却し、ヘキサン190mL中の2.5Mブチルリチウム(475mmol)を、シリンジを介して0〜−5℃にて28分間で滴下添加した。添加漏斗を、10mLの乾燥ヘキサンによりすすいだ。得られた溶液を、0〜−5℃にて30分間攪拌し、次いで−78℃に冷却した。メチルオクタノエート(85.7mL、75.16g、475mmol)をシリンジにより添加漏斗に加え、次いで反応混合物に−75℃〜−78℃にて70分間で滴下添加した。得られた混合物を−78℃にて30分間攪拌した。添加漏斗を10mLの乾燥ヘキサンにてすすいだ。クロロトリメチルシラン(TMSCl)(72mL、61.9g、570mmol、1.2当量)をシリンジにより添加漏斗に加え、次いで反応混合物に、−75℃〜−78℃にて50分間で滴下添加した。添加漏斗を10mLの乾燥ヘキサンにてすすいだ。該懸濁物を−75℃〜−78℃にて30分間攪拌し、次いで60分間で25℃まで昇温させ、30分間攪拌した。
【0207】
該反応混合物を、ロータリーエバポレータにて25〜30℃、及び40〜100mmHgにて濃縮した。残渣を200mLの乾燥ヘプタンにより希釈し、窒素下にて吸引濾過した(テフロン(登録商標)カヌーレ及び60mLの中程度のフリットを有する漏斗を使用)。フラスコ、漏斗及び固体を100mLの乾燥ヘプタンによりすすいだ。合わせた母液をロータリーエバポレータにて25〜30℃、及び10〜90mmHgにて濃縮し、119.2gの淡黄色油状物を与えた。該油状物を、1.0〜1.2mmHg(沸点82〜84℃)において短経路の装置にて蒸留し、99.86gの透明な無色液体を得た。
【0208】
実施例2
この実施例は、(R)−3−テトラデカン酸の調製方法を例示する。
600mLの水中の33.67g(600mmol)の水酸化カリウム溶液を、1200mLのエタノール中の60.00g(232.8mmol)のメチル(R)−3−ヒドロキシテトラデカノエートの溶液に、0〜5℃にて80分間で滴下添加した。得られた懸濁物を0℃にて3時間攪拌した。次いで、塩酸(1N、600mL、600mmol)を0〜5℃にて50分間で滴下添加した。得られた懸濁物を0℃にて15分間攪拌した。沈殿を吸引濾過し、スラリーを600mLのH2Oにて洗浄し、次いで25℃にて64時間空気乾燥して52.76gの無色固体を得た。該固体を400mLのエチルエーテルから再結晶(加熱濾過し、−28℃に冷却)し、49.87g(87.9%)の無色固体を、2時間の空気乾燥及び25℃での2時間の減圧乾燥後に得た。
【0209】
実施例3
この実施例は、トリメチル−シリル(R)−3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノエートの調製方法を例示する。
1000mL3首フラスコに、隔壁/熱伝対を有するクライセンアダプタ及び窒素アダプタ、櫂状攪拌機、並びに隔壁を有する50mLの圧平衡添加漏斗を装着した。該フラスコに、45.00g(184.1mmol)の(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸及びDMAP(113mg、0.921mmol、0.5mol%)を充填した。該反応器を封止し、窒素を流し始め、次いで200mLの乾燥THF、30.8mL(30.12g、380.8mmol)の乾燥ピリジンをシリンジを介して添加した。攪拌(200rpm)を開始し、該フラスコを、冷却水浴に浸した。添加漏斗に、49.0mL(41.91g、385.8mmol)のTMSClを充填した。次いで、該TMSClを20〜25℃にて30分間で滴下添加した。添加漏斗を、5mLの乾燥THFにてすすいだ。該懸濁物を20〜25℃にて20時間攪拌し、次いで次の工程に直接に使用した。
【0210】
300MHz1H NMR(CDCl3) δ0.11(s, 9H), 0.27(s, 9H), 0.87(t, 3H), 1.22-1.37(m, 18H), 1.42-1.49(m, 2H), 2.41-2.44(d, 2H), 4.08 (m, 1H).
【0211】
他の操作についてのNMR分析は、2時間で完全な変換を示し、20時間後にも変化はなかった。
【0212】
実施例4
この実施例は、(R)−3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノイルクロライドの調製方法を例示する。
トリメチルシリル(R)−3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノエートの懸濁物を、0℃に冷却し、0.14mL(135mg、1.84mmol、1.0mol%)の乾燥DMFをシリンジを介して添加した。添加漏斗にチオニルクロライド(17.5mL、28.5g、240mmol、1.3当量)を充填し、これを0〜5℃にて11分間で滴下添加した。得られた懸濁物を−2〜−3℃にて7時間攪拌した。
【0213】
反応混合物の0℃、30mmHgにおけるロータリーエバポレータ(ドライアイス−メタノール凝縮器)での濃縮は、THF/TMSCl混合物(163mL、無色液体)の回収を与えた。残渣を、150mLの乾燥ヘキサンにより、0℃にて希釈した。懸濁物を乾燥窒素の下で濾過した(テフロン(登録商標)カヌーレ及び200mLの気密漏斗)。フラスコ及び固体を、100mLの乾燥ヘキサンにより0℃にてすすいだ。合わせた母液を、0℃、30mmHgにおけるロータリーエバポレータ(ドライアイス−メタノール凝縮器)で濃縮した(いくらかの固体を含む254mLの無色液体)。残渣油状物を次の工程に直接に使用した。
【0214】
300MHz1H NMR(CDCl3) δ0.12(s, 9H), 0.88(t, 3H), 1.22-1.37(m 18H), 1.42-1.52(m, 2H), 2.95(d, 2H), 4.18(m, 1H).
【0215】
実施例5
この実施例は、(R)−3,5−ビス−(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−ヘキサデカノエートの調製方法を例示する。
1000mLのフラスコに、隔壁/熱電対を有するクライセンアダプタ及び窒素アダプタ、櫂状攪拌機、並びに50mLの圧平衡添加漏斗を装着した。該フラスコを封止し、窒素流及び攪拌(200rpm)を開始した。実施例4の粗製の(R)−3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノイルクロライドを、150mLの乾燥THFにより0〜−5℃にてゆっくり希釈した。実施例1からの蒸留1−メトキシ−1−トリメチルシロキシ−1−オクテン(50.2mL、42.42g、約184mmol)をシリンジを介して添加した。添加漏斗に、25.7mL(18.63g、184.1mmol)のトリエチルアミンを充填した。次いで、該アミンを−10〜0℃にて20分間で滴下添加した。添加漏斗を、5mLの乾燥THFによりすすいだ。得られた懸濁物を、−5℃にて16時間攪拌した。
【0216】
該懸濁物を、25〜30℃、30〜80mmHgにおけるロータリーエバポレータで濃縮した(いくらかの固体を含む150mLの無色液体)。残渣を、200mLの乾燥ヘキサンにより、0℃にて希釈し、懸濁物を25℃にて手短に攪拌した。懸濁物を乾燥窒素の下で、10gの珪藻土を通して吸引濾過した(テフロン(登録商標)カヌーレ及び200mLの気密漏斗)。フラスコ及びケーキを、100mLの乾燥ヘキサンによりすすいだ。合わせた母液を、25〜30℃、30〜80mmHgにおけるロータリーエバポレータで濃縮し、若干曇りがあるオレンジ色油状物を得、これを次の工程に直接に使用した。
【0217】
メチル(R)−3,5−ビス−(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−ヘキサデカノエート
【0218】
300MHz1H NMR(CDCl3) δ0.08(d, 9H), 0.19(d, 9H), 0.87(m, 6H), 1.28-1.58 (m, 30H), 2.86-2.91(m, 1H), 3.75(d, 3H), 4.33-4.42(m, 1H), 4.65(t, 1H).
【0219】
メチル(3R)−2−ヘキシル−5−オキソ−3−(トリメチルシロキシ)ヘキサデカノエート
【0220】
300MHz1H NMR(CDCl3) δ0.06(d, 9H), 0.81-0.89(m, 6H), 1.16-1.46(m, 28H), 1.74-1.86 (m, 2H), 2.46-2.76(m, 2H), 3.38-3.46(m, 1H), 3.69(m, 3H), 4.09-4.19(broad m, 1H).
【0221】
他の操作についてのNMR分析は、2時間で完全な変換を示し、16時間後にも変化はなかった。
【0222】
実施例6
この実施例は、(R)−3−ヘキシル−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの調製方法を例示する。
1000mLのフラスコに、隔壁/熱電対、櫂状攪拌機、及び窒素アダプタを装着した。該フラスコを封止し、窒素流及び攪拌(200rpm)を開始した。実施例5の粗製の(R)−3,5−ビス−(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−ヘキサデカノエートを、0℃まで冷却し、無水炭酸カリウム粉末(38.16g、276mmol)及び350mLの冷メタノールを、0〜−5℃にて添加した。該混合物を0℃にて17時間攪拌した。
【0223】
塩酸(12N)46mLを0〜5℃にて43分間で滴下添加した。該懸濁物を150mLのメタノールにて希釈し、次いで0℃にて4時間攪拌した。沈殿を吸引濾過し(母液は、移動を完全にするために再循環させた)、100mLの0℃のメタノールにて洗浄し、100mLのH2Oにて3回洗浄し、次いで25℃にて空気乾燥し、76.90gの無色固体を得た。該固体(72.09g)を、700mLのH2Oに、25℃にて再度スラリー化した。約2時間攪拌後、固体を吸引濾過し、200mLのH2Oにて洗浄し、25℃にて70時間空気乾燥させて41.30gの無色固体を得た。
【0224】
メタノール液を合わせ、ロータリーエバポレータにて、35〜40℃、及び60〜90mmHgで濃縮した。得られた残渣を減圧下、25℃及び1mmHg未満にて17時間乾燥し、20.56gの油性黄色固体を得た。
他の操作についてのNMR分析は、5〜6時間、0℃で完全な変換を示した。
(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸に基づく理論収率は64.50g。
【0225】
実施例7
この実施例は、HMDSを使用するトリメチル−シリル(R)−3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノエートの調製方法を例示する。
1000mLの3首フラスコに、凝縮器/窒素アダプタ、櫂状攪拌機、及び250mLの圧力平衡添加漏斗/隔壁を装着した。該反応容器に、実施例2の45.00g(184.1mmol)の(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸を充填した。該フラスコを封止し、窒素流を開始し、290mLの乾燥THFをカヌーレを介して添加し、攪拌(200rpm)を始めた。添加漏斗に38.9mL(29.72g、184.1mmol)のヘキサメチルジシラザン(HMDS)を充填した。次いで、該HMDSを20〜25℃にて15分間で滴下添加した。HMDS添加完了後、添加漏斗を10mLの乾燥THFにてすすいだ。懸濁物を、還流(75℃の油浴)に4分間で加熱し、次いで2時間還流した。懸濁物を25℃に冷却し、次いで乾燥窒素下で濾過した(テフロン(登録商標)カヌーレ及び60mLの中程度のフリットを有する漏斗を使用)。フラスコ及び痕跡量の固体を、50mLの乾燥THFにて洗浄した。合わせた母液を、大気圧(85℃の油浴)にて蒸留することにより濃縮した(約200mLのTHFを回収)。該容器内溶液(188.1gの清澄淡緑色液体)は、次の工程に直接に使用し得る。
【0226】
実施例8
この実施例は、ジエチル2−ヘキシルマロネートの調製方法を例示する。
2−Lの櫂状攪拌機を備えた5−Lの3首モートンフラスコに、ナトリウムエトキシド(EtOH中の21重量%、1000mL、2.801mol)及び500mLの無水エタノールを充填した。50mLのエタノール中のジエチルマロネート(425mL、2.80mol)を、500mLの圧力平衡滴下漏斗を介して、攪拌(150rpm)しつつ室温にて45分間で滴下添加した。追加のエタノール(250mL)を添加し、添加の間に沈殿した塩を再溶解した。漏斗を、150mLのエタノールにて洗浄した。該反応混合物を還流まで加熱し、1−ブロモヘキサン(432mL、3.08mol、1.1当量)を、40分間で滴下添加した。漏斗を50mLのエタノール(添加された合計のエタノールは約1L)にて洗浄し、該反応物を還流下に2時間維持し、その後に反応混合物は、湿潤リトマスに対して中性であった。熱源を除き、反応物を一夜で室温までゆっくり冷却させた。次いで、該反応物を還流まで再度加熱し、1200mLのエタノールを反応混合物から留去した。水(1L)及びヘプタン(500mL)を添加し、該混合物を4L分離漏斗に移し、層を分離させた。有機相を500mLの飽和食塩水にて洗浄し、MgSO4により乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物分析(GC):1−ブロモヘキサン(TR=3.4分、4.3%);ジエチルマロネート(TR=4.7分、2.9%);ジエチル2−ヘキシルマロネート(TR=10.7分、83.1%);ジエチル2,2−ジヘキシルマロネート(TR=14.9分、9.2%)。
【0227】
該粗生成物を、1Lの丸底フラスコに移し、短経路蒸留ヘッドを連結した。該粗製混合物を、0.7〜1.0mmHgの圧力下で徐々に加熱し、最初にほとんど1−ブロモヘキサンを含む分画を留去し(38〜50℃)、続いて約2%の1−ブロモヘキサン、10%のジエチルマロネート、87%のジエチル2−ヘキシルマロネート及び0.8%のジエチル2,2−ジヘキシルマロネート(GCにより測定)を含む第2の分画(101g、0.95mmHgにおいて沸点55−100℃)を留去した。主要な回収分(459g、0.95トリチェリにおいて沸点102〜106℃)は、1−ブロモヘキサンを含まず、0.4%のジエチルマロネート、96.7%のジエチル2−ヘキシルマロネート、及び2.7%のジエチル2,2−ジヘキシルマロネートを含有した。容器底部に52gの物質を含み、これは22%のジエチル2−ヘキシルマロネート及び77%のジエチル2,2−ジヘキシルマロネート(GCによる)を含んでいた。主分画中のジエチル2−ヘキシルマロネートの収量:443.6g(1.816mol、65%)。
【0228】
実施例9
この実施例は、ジメチル2−ヘキシルマロネートの調製方法を例示する。
1Lの櫂状攪拌機を備えた2Lの3首モートンフラスコに、ナトリウムメトキシド(メタノール中の25重量%、460mL、2.01mol)及び400mLのHPLC級メタノールを充填した。90mLのメタノール中のジメチルマロネート(216mL、250g、1.89mol)を、500mLの圧力平衡滴下漏斗を介して、攪拌(175rpm)しつつ室温にて45分間で滴下添加した。反応混合物は、沈殿のために添加の間に濃厚になった;追加の110mLのメタノールを、効率的攪拌のために添加した(攪拌速度を350rpmに上げた)。次いで、該反応混合物を還流まで加熱し、1−ブロモヘキサン(296mL、348g、2.11mol)を、40分間で滴下添加した。漏斗を50mLのメタノールにて洗浄し、該反応物を一夜、還流させた。
【0229】
短経路蒸留ヘッドを取り付け、800mLのメタノールを反応混合物から留去した。次いで該反応物を300mLのH2O及び700mLのヘプタンにて希釈し、15分間攪拌した。該混合物を4L分離漏斗に移し、層を分離させた。有機相を300mLの飽和食塩水にて洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮して399.5g(98%)の粗生成物を得た。粗生成物分析(GC):ジメチルマロネート(TR=4.5分、0.78%);1−ブロモヘキサン(TR=4.7分、1.0%);ジメチル2−ヘキシルマロネート(TR=10.0分、84.5%);ジメチル2,2−ジヘキシルマロネート(TR=13.2分、10.0%)。
【0230】
該粗生成物を、8”分画カラム及び短経路蒸留ヘッドを連結した1Lの丸底フラスコに移した。該粗製混合物を、0.6mmHgの圧力下で100℃まで徐々に加熱し、溶媒、1−ブロモヘキサン、及びジメチルマロネートを含む低沸点初留分画を留去した。浴を105℃まで加熱し、約25mLの分画(沸点85〜86℃、0.62mmHg)、及び引き続き主要回収分(沸点86〜89℃、0.66mmHg)を集めた。最初の分画は、1−ブロモヘキサン及びジメチルマロネートを含まず、99.6%のジメチル2−ヘキシルマロネート及び0.4%のジメチル2,2−ジヘキシルマロネートを含んでいた。主要な回収分(277.1g)は、1−ブロモヘキサン及びジメチルマロネート、98.8%のジメチル2−ヘキシルマロネート、並びに1.2%のジメチル2,2−ジヘキシルマロネートを含有した。容器底部(59g)は43%のジメチル2−ヘキシルマロネート及び56%のジメチル2,2−ジヘキシルマロネート(GCによる)を含んでいた。最初の2分画中のジメチル2−ヘキシルマロネートの収量:295.1g(1.365mol、72%)。
【0231】
実施例10
この実施例は、2−(エトキシカルボニル)オクタン酸、即ちエチルヘキシルマロネートハーフ酸の調製方法を例示する。
2Lの3首モートンフラスコ中において、25mLの無水エタノール中の実施例8のジエチル2−ヘキシルマロネート(244.36g、1.000mol)の溶液に、450mLの無水エタノール中の水酸化カリウム(59.9g、0.907mol)溶液(重量は、市販水酸化カリウムの85%検定値について補正)を、500mLの圧平衡滴下漏斗により、75分間で滴下添加した。漏斗を25mLの無水エタノールにより洗浄した。反応混合物を2時間攪拌し、次いで300mLのエタノールを減圧下で除去した。水(500mL)を添加し、未反応のジエチル2−ヘキシルマロネートを除去するために、該混合物を500mLのヘプタンにより抽出した。水溶液を12M HClによりpH2に酸性化し、次いで500mLのヘプタンにより抽出した。ヘプタン溶液を乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下で除去して、2−(エトキシカルボニル)オクタン酸を無色油状物として得た。痕跡量のエタノールを、粗生成物に20mLのトルエンを添加し、次いで溶媒を1mmHgの圧力にて攪拌しつつ剥ぎ取ることにより除去した。収量は190.9gであった(0.8827mol、ジエチル2−ヘキシルマロネートに基づいて88.3%、水酸化カリウムに基づいて97%)。
【0232】
実施例11
この実施例は、2−(メトキシカルボニル)オクタン酸、即ちメチルヘキシルマロネートハーフ酸の調製方法を例示する。
500mLのメタノール中の実施例9のジメチル2−ヘキシルマロネート(220.35g、1.019mol)の溶液を、2リットルの丸底フラスコ中に磁気攪拌しつつ調製した。500mLのメタノール中の水酸化カリウム(60.8g、0.921mol)を、20〜25℃(H2O浴)にて攪拌しつつ60分間で滴下添加した。該反応物を2時間攪拌し、次いで950mLのメタノールをロータリーエバポレータにて減圧下で除去した。1:1のH2O及びヘプタンの1Lの混合物を添加し、2Lの分離漏斗中で層を分離させた。水性相を、12M HClにてpH1に酸性化した。次いで懸濁物を、500mLのヘプタンにて抽出し、該ヘプタン溶液を乾燥させ(MgSO4)、濃縮して曇った油状物(塩が懸濁)を得た。トルエン(200mL)を添加し、該混合物を21時間静置した。該懸濁物を濾過し、溶媒を減圧下で除去して182.5gの2−(メトキシカルボニル)オクタン酸を清澄油状物として得た(0.902mol、ジメチル2−ヘキシルマロネートに基づいて88.5%、水酸化カリウムに基づいて98%)。
【0233】
実施例12
この実施例は、3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノイルクロライドの調製方法を例示する。
500mLの3首モートンフラスコ中に、90mLの乾燥THF中の実施例2の(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸(20.06g、82.09mol)を、N2下で攪拌しつつ充填した。ヘキサメチルジシラザン(HMDS、17.3mL、1.00当量)をシリンジを介して添加し、該混合物を還流まで2時間加熱し、次いで20〜25℃まで冷却した。反応物を1H NMRにより検査し、これはトリメチルシリル(R)−3−(トリメチルシリル)テトラデカノエートへのきれいな変換を示した。該反応物を、内部温度を監視しつつ0℃まで冷却し、次いでピリジン(0.34mL、4.2mmol、5mol%)をシリンジを介して添加し、次いで6分間でチオニルクロライド(6.6mL、4.2mmol、1.1当量)を添加した。反応物を0℃にて140分間攪拌し、1H NMRにより検査し、これは約3%のトリメチルシリル(R)−3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノエート及び少量の分解生成物を示した。
【0234】
乾燥ヘプタン(90mL)を添加し、反応物を30分間攪拌し、乾燥窒素下で乾燥させた1Lの3首丸底フラスコ中に濾過した(テフロン(登録商標)カヌーレ及び200mLの粗フリット気密漏斗)。該フラスコ及び漏斗を50mLのヘプタンにて洗浄した。溶媒を、徐々に増大する真空下(Vacuubrand(商標)真空ポンプを用いて、50〜8mmHg)で、0℃にて2時間蒸発させ、3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノイルクロライドを黄色油状物として得、これを次の工程に直接に使用した。
【0235】
実施例13
この実施例は、エチル5−ヒドロキシ−2−ヘキシル−3−オキソヘキサデカノエートの調製方法を例示する。
機械式攪拌機(500mL−櫂状)を備えた1Lの3首モートンフラスコに、実施例10の2−(エトキシカルボニル)オクタン酸(21.34g、98.67mmol)及び150mLのTHFを充填した。トリエチルアミン(28.0mL、201mmol、2.04当量)、引き続いて塩化マグネシウム(Aldrich:水分含量<1.5%;9.67mg102mmol、1.03当量>を室温にて添加した。反応物を室温にて105分間(150rpm)攪拌し、次いで0℃に冷却した。約30mLのヘプタン中の、3−(トリメチルシロキシ)テトラデカノイルクロライドのラセミ混合物(82.1mmol、0.83当量)を、50mLの圧力平衡添加漏斗を介して、15分間で滴下添加した。該漏斗を20mLのTHF(全THF=170mL)にて洗浄し、該反応物を室温に加温しつつ、15時間(150rpm)攪拌した。次いで、該反応物を0℃に冷却し、80mLの3M HCl(3当量)を9分間で滴下添加し、次いで直ちに150mLのヘプタンを添加した。該混合物を15分間攪拌し、層を分離させた。有機相を100mLの水にて1回、及び50mLの飽和NaHCO3にて2回洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下で除去し、32.05gを得た、
【0236】
1H NMR試験は、主生成物として5−ヒドロキシ−2−ヘキシル−3−オキソヘキサデカノエートを示した。
【0237】
300MHz1H NMR(CDCl3) δ0.88(m, 6H), 1.26(m, 29H), 1.43(m, 2H), 1.84(m, 2H), 2.57, 2.71(m, 2H), 2.88(m, 1H), 3.42(m, 1H), 4.04(m, 1H), 4.19(q, 2H).
【0238】
実施例14
この実施例は、エチル(5R)−2−ヘキシル−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサデカノエートからの3−ヘキシル−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−5,6,−ジヒドロピラン−2−オンの収率に対する反応条件の影響を例示する。
エチル(5R)−2−ヘキシル−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキサデカノエートを、3−ヘキシル−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−5,6,−ジヒドロピラン−2−オンを調製するための種々の反応条件に付した。結果を表1に示す。
【0239】
【表2】

【0240】
実施例15
この実施例は、3−ヘキシル−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンの調製方法を例示する。
実施例13の、粗製のラセミ体エチル5−ヒドロキシ−2−ヘキシル−3−オキソヘキサデカノエート(31.35g、78.64mmol)の溶液を、1Lの3首モートンフラスコ中の125mLメタノール中に、攪拌しつつ調製した。塩酸(12M、6.6mL、81mmol、1.0当量)を攪拌(150rpm)しつつ添加した。1.5時間後、3−ヘキシル−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンが反応混合物から沈殿し始めた。26.5時間後、懸濁物を0℃に冷却し、150mLの粗フリット漏斗に10mLの冷メタノールを用いて移した。沈殿を濾過し、15mLの冷メタノールにより2回洗浄し、3−ヘキシル−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−5,6−ジヒドロピラン−2−オンを白色結晶性固体(17.39g、49.3mmol、3−ヒドロキシテトラデカン酸から収率63%)として得た。
【0241】
実施例16
この実施例もまた、β−ケトエステルの不斉水素添加の収率及び%eeに対するルテニウム水素添加触媒上の異なったホスフィンリガンドの効果を例示する。
実施例21のβ−ケトエステル1の水素添加反応を、60℃において20当量のHCl、メタノール中のH2(70×105Pa)下、30重量%のβ−ケトエステルの濃度にて、Ru(OAc)2(ジホスフィン)(S/C50′000)を使用して行った。ジホスフィンリガンドの特定、単離収率の%及び(%ee)を以下に示す:
【0242】
【表3−1】

【0243】
【表3−2】

【0244】
【表3−3】

【0245】
【表3−4】

【0246】
実施例17
この実施例は、β−ケトエステルの不斉水素添加の収率及び%eeに対する添加物の効果を例示する。
【0247】
【化97】

【0248】
【表4】

【0249】
実施例18
この実施例は、β−ケトエステルの不斉水素添加の収率及び%eeに対するルテニウム水素添加触媒上の異なったホスフィンリガンドの効果を例示する。
【0250】
【化98】

【0251】
【表5】

【0252】
【化99】

【0253】
実施例19
この実施例は、tert−ブチルマグネシウムクロライドを使用する(6R)−3−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−ピラン−2−オンの調製方法を例示する。
2導入口を持ったクライセンヘッド、ウエスト凝縮器、熱電対−J−KEN調節器及び添加漏斗を装着した500mLの3首丸底フラスコ内に、tert−ブチルマグネシウムクロライド(1.0M溶液の341mL、341mmol、3当量)の溶液を、約60℃にて添加した。メチル−(R)−3−(2′−ブロモ−1′−オキソオクチルオキシ)テトラデカノエート(52.60g、113.5mmol、1当量)及び25mLの乾燥THFを添加漏斗に入れた。該出発物質ブロモジエステル混合物を、t−BuMgCl/THF混合物に、還流下で約1時間でゆっくり添加した。反応混合物を、60℃にて1及び2時間において試料採取した(面積標準化ガスクロマトグラフィー(AN GC)分析でそれぞれ90及び91%を得た)。2時間後に、得られた反応混合物を冷却し、ロータリーエバポレータにて元の体積の約1/3〜約1/2に濃縮した。得られたシロップ状混合物を、約250mLのトルエン中に取り、1Lのジャケット装着フラスコ中の250mLのトルエン及び75mLの10%HClを含む混合物に、冷却された溶液を30℃未満に保ちつつ添加した。水性相を除去した。有機層を、50mLの1.0N HCl溶液により1回洗浄した。水性層を除去し、有機層を50mLの水にて1回洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過及び濃縮した。これは、ゲル様固体残渣を生じた。残渣を250mLの酢酸エチルに40℃にて溶解した。酢酸エチルを、ロータリーエバポレータにて除去した。得られた粗製の灰白色固体(42.4g)を、約100mLのヘキサン中にスラリー化し、0℃に冷却し、濾過し、50mLの冷ヘキサン、及び引き続き更に25mLの冷ヘキサンにてすすいだ。単離された白色固体を、約1〜2時間減圧下で空気乾燥し、31.4gの(6R)−3−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−ピラン−2−オンを得た(収率78.4%)。
【0254】
実施例20
この実施例は、tert−アミルマグネシウムクロライドを使用する(6R)−3−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−ピラン−2−オンの調製方法を例示する。
2導入口を持ったクライセンヘッド、ウエスト凝縮器、熱電対−J−KEN調節器及び添加漏斗を装着した500mLの3首丸底フラスコ内に、tert−アミルマグネシウムクロライド(Et2O中の1.0M溶液の341mL、341mmol、3当量)の溶液を添加した。Et2OをTHFに置き換え、60℃に加熱した。メチル−(R)−3−(2′−ブロモ−1′−オキソオクチルオキシ)テトラデカノエート(52.60g、113.5mmol、1当量)及び25mLの乾燥THFを添加漏斗に入れた。該出発物質ブロモジエステル混合物を、t−アミルMgCl/THF混合物に、還流下で約1時間でゆっくり添加した。
【0255】
反応混合物を、60℃にて1及び2時間において試料採取した(AN GC分析でそれぞれ81及び80%を得た)。2時間後に、得られた反応混合物を冷却し、元の体積の約1/3〜約1/2に濃縮した。得られたシロップ状混合物を、約250mLのトルエンにより希釈し、1Lのジャケット装着フラスコ中の約250mLのトルエン及び約75mLの10%HClを含む攪拌混合物に、冷却された溶液を30℃未満に保ちつつ添加した。水性相を除去した。有機層を、50mLの1.0N HCl溶液、及び50mLの水にて順次洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過及び濃縮し、固体残渣を得た。
【0256】
残渣を約400mLの酢酸エチルに40℃にて溶解した。酢酸エチルを、ロータリーエバポレータにて除去した。得られた粗製の灰白色固体(42.3g)を、約100mLのヘキサン中にスラリー化し、0℃に冷却し、濾過し、50mLの冷ヘキサン、及び引き続き更に35mLの冷ヘキサンにてすすいだ。単離された白色固体を、約1〜2時間減圧下で空気乾燥し、27.6gの(6R)−3−ヘキシル−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−6−ウンデシル−ピラン−2−オンを得た(収率69.1%)。
【0257】
実施例21
この実施例は、実施例17のβ−ケトエステル1の生成方法を例示する。
機械式攪拌機及び乾留凝縮器を装着した250mLの3首丸底フラスコ中に、1.54gのマグネシウム粉(99.5%の純度、50メッシュ)及びメタノール(約50mL)を窒素下で添加した。得られた混合物を還流下で一夜加熱した。乾留凝縮器を蒸留ヘッドに取り替えた。トルエン(約150mL)を添加し、メタノールをヘッド温度が104℃に達するまでの共沸蒸留により除去した。約82mLの留分が集められた。
【0258】
得られた反応混合物に、29gのメチルアセトアセテートを45℃にて添加した。反応により生じたメタノールを、ヘッド温度が104℃に達するまでの蒸留により除去した。約62mLの留分が集められた。反応混合物を室温まで冷却した。次いで得られた反応混合物を、約60℃に加熱し、20mLのトルエン中のラウロイルクロライド(20.71g)を、反応混合物を約60℃に維持しつつ2時間で添加した。得られた混合物を更に60分間攪拌した。GC分析は、1%未満のラウロイルクロライドが残留することを示した。
【0259】
メタノール(14.4mL)を添加し、得られた混合物を約70℃に加熱し、4時間攪拌した。更に9.0mLのメタノールを添加し、得られた混合物を更に20時間、75℃に加熱した。得られた混合物を室温まで冷却し、混合物の温度を35℃未満に維持しつつ、反応を濃HCl(19.43g)の添加により停止させた。低部の水性層を除去し、トルエン層を、水(2x45mL)、重炭酸カリウム(36mLの水中の0.75g)、及び次いで水(36mL)により洗浄した。トルエンを、ロータリーエバポレータにて除去し(約25〜30mmHg、にて75℃)、実施例17のβ−ケトエステル1を86.6%の収率にて得た(21.03g、GCによる92%のAN)。
【0260】
実施例22
この実施例は、Ru(OAc)2((R)−MeOBIPHEP)(ジ(η2−アセタト)〔(R)−6,6′−ジメトキシビフェニル−2,2′−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)〕−ルテニウム(II)の生成方法を例示する。
温度計、クライセンヘッド、アルゴン導入口が頂部にある還流凝縮器、及びテフロン(登録商標)被覆磁気攪拌棒を備えた2リットルの2首丸底フラスコを、真空及びアルゴンガスにより3回掃気し、ルテニウム(III)クロライド水和物(43.48%のRu含有量、Johnson Matthey & Brandenberger AG、42.0g、0.179mmol)を充填した。次いで該フラスコをアルゴンを用いて3回真空掃気した。エタノール(420mL)及びシス,シス−1,5−シクロオクタジエン(44mL、358mmol)を添加し、暗色懸濁物を100℃の温度の外部加熱欲にて還流下で24時間攪拌した。この時間の後、得られた褐色懸濁物を室温まで冷却し、30分間静置し、若干黄色の上清を、マイクロフィルターキャンドル(P4−多孔度)を用いて吸引により除去した。
【0261】
褐色残渣を、エタノール(500mL)にて10分間攪拌し、30分間静置した。若干黄色の上清を、上記の吸引により除去した。残留するエタノール及びシクロオクタジエンのほとんどを除去するために、〔RuCl2(COD)〕nからなる固体残渣を、トルエン(500mL)に取り、ロータリーエバポレータでの蒸発乾燥(50ミリバールにて55℃)を行った。次いで装置にアルゴン下で(R)−(6,6′−ジメトキシビフェニル−2,2′−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)((R)−MeOBIPHEP)(99.4g、171mmol)及び酢酸ナトリウム(70g、853mmol)を充填し、上記のようにアルゴンにて掃気した。トルエン/酢酸(1:1v/v、1.0L)の添加後、褐色反応混合物を100℃にて22時間攪拌した。ロータリーエバポレータ(30ミリバールにて58℃)による揮発性成分の除去後、残渣を真空下(1ミリバール)、50℃にて1時間、及び室温にて一夜乾燥させた。
【0262】
得られた褐色残渣をトルエン(500mL)中に取り、該懸濁物を室温にて15分間攪拌し、アルゴン保護下で、圧縮成型フィルター補助具の2cmパッドにて覆われた高多孔質ガラス焼結フィルターにて濾過した。フィルターケーキを100mLのトルエンにて5回(合わせて500mL)すすぎ、濾液を集め、ロータリーエバポレータにより蒸発乾固した(30ミリバールにて60℃)。真空下(1ミリバール)、室温にて一夜乾燥した後、褐色残渣をメタノール(500mL)を用いる攪拌により処理した。濃厚懸濁物を、50℃にて1時間、室温にて1時間、及び最終的に氷/メタノール浴中で1時間攪拌した。溶媒をマイクロフィルターキャンドル(P4−多孔度)を用いて除去後、残渣を氷/メタノール浴中でメタノール(3x120mL)にて攪拌し、上述のように溶媒を除去した。黄色残渣を真空下(1ミリバール)、室温にて一夜乾燥し、次いで50℃にて攪拌しつつトルエン(150mL)に溶解した。
【0263】
得られた褐色溶液に、ペンタン(600mL)を攪拌しつつ40〜50℃の温度にて2時間で滴下添加して、黄褐色懸濁物を形成し、これを室温にて45分間、及び氷浴(約2℃)中で1.5時間攪拌した。上澄みのマイクロフィルターキャンドル(P4−多孔度)を用いた吸引による除去後、残渣をペンタン(500mL)中にて室温で30分間攪拌した。上記と同様の上澄みの除去及び真空下(1ミリバール)、室温での一夜の乾燥は、117.0gの所望の生成物を、0.7トルエン内含物として、黄色粉末(収率86%、93%純度)として与えた。
【0264】
実施例23
この実施例は、〔Ru(OAc)2((S)−BINAP)〕生成のための合成方法を例示する。
アルゴン雰囲気下で、還流凝縮器を装着した25mLの2首丸底フラスコに、(S)−BINAP(0.5g、0.80mmol)、0.25g(0.84mmol)の〔RuCl2(COD)〕n、酢酸ナトリウム(0.33g、4.0mmol)及びトルエン/酢酸1:1(5mL)を充填した。褐色反応混合物を、100℃の油浴中で25時間攪拌した。その後、揮発成分をロータリーエバポレータにより除去し、残渣をジクロロメタン(5mL)により希釈し、得られた黄褐色懸濁物を珪藻土を通して濾過した。フィルターケーキをジクロロメタン(9mL)により3部に分けて洗浄し、合わせた濾液を濃縮し、高真空下で室温(r.t.)にて乾燥させた。褐色油状物をエーテル/ヘキサン1:1(4mL)にて希釈し、r.t.にて30分間攪拌して固体沈殿を得た。上澄みを、マイクロフィルターキャンドルを用いて吸引により除去し、残渣をr.t.においてヘキサン(5mL)により洗浄し、一夜乾燥した。粗生成物をメタノール(5mL)にて希釈し、50℃にて1時間、r.t.にて1時間(沈殿形成)、及び最終的に0℃にて1時間攪拌した。上澄みを上述のように除去し、残渣をメタノール(2mL)により0℃にて洗浄し、高真空下、r.t.にて一夜乾燥して、〔Ru(OAc)2((S)−BINAP)〕(0.48g、(S)−BINAPに対して72%)を褐色結晶性粉末として得た。
【0265】
実施例24
この実施例は、〔Ru(OAc)2((R)−BIPHEMP)〕生成のための合成方法を例示する。
アルゴン雰囲気下で、還流凝縮器を装着した50mLの2首丸底フラスコに、(R)−BIPHEMP(2.01g、3.65mmol)、〔RuCl2(COD)〕n(1.13g、3.83mmol)、酢酸ナトリウム(1.5g、18.2mmol)及びトルエン/酢酸1:1(20mL)を充填した。褐色反応混合物を、100℃の油浴中で31時間攪拌した。揮発成分をロータリーエバポレータにより除去し、残渣をジクロロメタン(20mL)により希釈し、得られた黄褐色懸濁物を珪藻土を通して濾過した。フィルターケーキをジクロロメタン(12mL)により3部に分けて洗浄し、合わせた濾液を濃縮し、メタノール(10mL)にて希釈し、50℃にて1時間、r.t.にて1時間(沈殿形成)、及び最終的に0℃にて1時間攪拌した。上澄みをマイクロフィルターキャンドルを用いて吸引により除去し、残渣をメタノール(6mL)により0℃にて洗浄し、高真空下、r.t.にて一夜乾燥して、〔Ru(OAc)2((S)−BIPHEMP)〕(2.48g、(R)−BIPHEMPに対して88%)を褐色結晶性粉末として得た。
【0266】
実施例25
この実施例は、〔Ru(OAc)2((R)−3,5,−t−Bu−MeOBIPHEP)〕生成のための合成方法を例示する。
アルゴン雰囲気下で、還流凝縮器を装着した25mLの2首丸底フラスコに、(R)−3,5,−t−Bu−MeOBIPHEP(0.50g、0.49mmol)、〔RuCl2(COD)〕n(0.14g、0.51mmol)、酢酸ナトリウム(0.20g、2.44mmol)及びトルエン/酢酸1:1(5mL)を充填した。褐色反応混合物を、100℃の油浴中で26時間攪拌し、揮発成分を高真空下で除去した。残渣をヘキサン(10mL)により希釈し、得られた黄褐色懸濁物を珪藻土を通して濾過した。フィルターケーキをヘキサン(9mL)により3部に分けて洗浄し、合わせた濾液を濃縮し、高真空下、r.t.にて一夜乾燥して、〔Ru(OAc)2((S)−3,5,−t−Bu−MeOBIPHEP)〕(0.62g、(R)−3,5,−t−Bu−MeOBIPHEPに対して99%)を褐色結晶性粉末として得た。
【0267】
実施例26
この実施例は、〔Ru((CH33CCO22((R)−MeOBIPHEP)〕生成のための合成方法を例示する。
アルゴン雰囲気下で、還流凝縮器を装着した25mLの2首丸底フラスコに、(R)−MeOBIPHEP(1.06g、1.82mmol)、〔RuCl2(COD)〕n(0.56g、2.00mmol)、及びトルエン(2mL)を充填した。この混合物に、ナトリウムヒドリド(0.22g、9.1mmol)をトルエン(3mL)及びピバル酸(6.0g、59mmol)の混合物に溶解して得られた溶液を添加し、得られた褐色反応混合物を、100℃の油浴中で72時間攪拌し、冷却し、ペンタン(15mL)により希釈し、珪藻土を通して濾過した。フィルターケーキをペンタン(15mL)により3部に分けて洗浄し、ジクロロメタン(25mL)により4部に分けて洗浄し、合わせたCH2Cl2濾液を濃縮し、得られた残渣を、高真空下、r.t.にて一夜乾燥した。粗生成物をメタノール(10mL)を用い、50℃にて1時間、r.t.にて1時間、及び最終的に0℃にて1時間攪拌することにより処理した。上澄みをマイクロフィルターキャンドルを用いて吸引により除去し、残渣をメタノール(5mL)により0℃にて洗浄し、高真空下、r.t.にて一夜乾燥させて、〔Ru((CH33CCO22((R)−MeOBIPHEP)〕(0.66g、(R)−MeOBIPHEPに対して41%)を褐色結晶性粉末として得た。
【0268】
前述の本発明の検討は、例示及び記述の目的で提供されている。前述のものは、本発明をここに開示された形態に限定することを意図するものではない。本発明の記述は、一つ以上の実施態様の記述を含むものではあるが、ある種の変更、修正、他の変更及び修正は、本発明の範囲内であり、例えば、本発明の開示を理解した後においては当業者の技量及び知識の範囲内にあるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


のδ−ラクトンを調製する方法であって、
式(II):
【化2】


のアシルハライドを、
a)式(III):
【化3】


のケテンアセタールと処理し、式(IV):
【化4】


(上記式中、
1は、C1−C20アルキルであり;
2は、H又はC1−C10アルキルであり;
3は、ヒドロキシ保護基であり;
式(III)及び(IV)のR4及びR5は、独立して、C1−C6アルキル、C5−C20アリール、C6−C20アリールアルキル又は−SiR8910(ここで、R8、R9及びR10は、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)であり;
6は、H又はR4であり;
Xは、ハライドである)
のδ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを製造し、続いて保護基R3及びR6の少なくとも一つを除去し、そして
生成物を酸と接触させて該δ−ラクトンを製造する方法。
【請求項2】
式(I):
【化5】


のδ−ラクトンを調製する方法であって、
式(II):
【化6】


のアシルハライドを、
b)式(V):
【化7】


のマロナート−ハーフ酸と処理し、式(VI):
【化8】


(上記式中、
1は、C1−C20アルキルであり;
2は、H又はC1−C10アルキルであり;
3は、ヒドロキシ保護基であり;
式(V)及び(VI)のR5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール、又はC6−C20アリールアルキルであり;
6は、H又はR4であり;
7は、H又はR3であり;そして
Xは、ハライドである)のδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを製造し、続いて該δ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを酸と処理して、該δ−ラクトンを製造することを特徴とする方法。
【請求項3】
1が、ウンデシルである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
2が、ヘキシルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
3が、式−SiR111213(ここで、R11、R12及びR13のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)の残基である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
Xが、クロロである、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
5が、C1−C6アルキルである、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
4及びR5のそれぞれが、式−SiR8910の残基である、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
7が、Hである、請求項2記載の方法。
【請求項10】
工程a)が、該δ−ヒドロキシ−保護−β−エノールエーテルエステルを、R6保護基を除去するために処理し、下記式:
【化9】


(式中、
1、R2、R3及びR5は、請求項1〜9と同義である)のδ−ヒドロキシ−保護−β−ケトエステルを得ることを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
アシルハライド生成工程が、
(i)下記式:
【化10】


のβ−ヒドロキシ酸を、ヒドロキシ保護基で処理し、下記式:
【化11】


のβ−ヒドロキシ−保護エステルを製造する工程、及び
(ii)該β−ヒドロキシ−保護エステルを、アシルハロゲン化剤と処理して、該アシルハライド(ここで、R14は、H、R3又はカルボキシラート対イオンである)を製造する工程を含む、該アシルハライドを製造する工程を更に含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
3及びR14のそれぞれが、式−SiR151617(ここで、R15、R16及びR17のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)の残基である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
該β−ヒドロキシ酸の製造工程が、
(A)下記式:
【化12】


のβ−ケトエステルをエナンチオ選択的に還元し、下記式:
【化13】


(式中、
18は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである)のβ−ヒドロキシエステルを、エナンチオ選択的に製造する工程、及び
(B)該β−ヒドロキシエステルをケン化して、該β−ヒドロキシ酸を製造する工程を含む、該β−ヒドロキシ酸をエナンチオ選択的に製造する工程を更に含む、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
該方法が、下記式:
【化14】


の立体配置を有するδ−ラクトンを製造する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
該方法が、少なくとも90%のエナンチオ過剰率で、δ−ラクトンを製造する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
該β−ケトエステルのエナンチオ選択的還元の該工程が、水素化触媒の存在下に、該β−エステルの水素化を含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
該水素化触媒が、下記表
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】


に示される触媒から選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
該水素化触媒が、式RuCl2((R)−MeOBIPHEP)の化合物である、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
該水素化触媒が、式Ru(OAc)2((R)−MeOBIPHEP)のルテニウムジアセタート化合物をハライド源と接触させることにより製造される製造物である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
該ハライド源と該ルテニウムジアセタートのモル比が、少なくとも20:1である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項で定義したような、下記式:
【化15】


のβ−ヒドロキシエステルのエナンチオ選択的調製の方法であって、40(×105Pa)又はそれ未満の圧力の水素ガス、並びにハライド、及びキラル置換ビフェニル亜リンリガンドを含むルテニウム水素化触媒の存在下に、下記式:
【化16】


(上記式中、
1は、C1−C20アルキルであり、そして
18は、HあるいはC1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである)のβ−ケトエステルを水素化することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項22】
該水素ガスが、工業等級水素ガスである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
1が、ウンデシルである、請求項21又は22記載の方法。
【請求項24】
18が、C1−C6アルキルである、請求項21〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
該水素化触媒が、請求項17〜20のいずれか1項記載の触媒から選択される、請求項21〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
式(VII):
【化17】


のδ−ラクトンのエナンチオ選択的調製方法であって、該方法が、
(a)下記式:
【化18】


のアシルハライドを、下記式:
【化19】


のシリルケテンアセタールと処理し、下記式:
【化20】


(上記式中、
1は、C1123であり;R2は、C613であり;R5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルであり;そして
8、R9、R10、R11、R12及びR13のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)のδ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを製造し、
(b)該δ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを、塩基と処理して、少なくとも1個のシリル基を除去し;次いで
(c)該工程(b)の生成物を酸と接触させて該δ−ラクトンを製造すること特徴とする方法。
【請求項27】
該方法が、少なくとも約90%のエナンチオ選択率で該δ−ラクトンを製造する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
5が、C1−C6アルキルである、請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
該工程(b)が、該δ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを、水酸化物類又は炭酸塩類からなる群から選択される塩基で処理し、両方のシリル基を脱シリル化することを含む、請求項26〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
該工程(b)が、該δ−シロキシ−β−シリルエノールエーテルエステルを炭酸水素塩で処理し、下記式:
【化21】


のδ−シロキシ−β−ケトエステルを製造することを含む、請求項26〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
該酸が塩酸である、請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
該アシルハライド製造工程が、
(i)(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸をシリル化剤で処理して下記式:
【化22】


のβ−シロキシテトラデカノアートシリルエステルを得る工程、及び
(ii)該β−シロキシテトラデカノアートシリルエステルをアシルハロゲン化剤と接触させ、該アシルハライドを製造する工程を含む、該アシルハライドを製造する工程を更に含む、請求項26〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
11、R12及びR13が、メチルである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
該シリル化剤が、トリメチルシリルクロリド及びヘキサメチルジシラザンからなる群から選択される、請求項32又は33記載の方法。
【請求項35】
該アシルハロゲン化剤が、チオニルクロリドである、請求項32〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
該(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸の製造工程が、
(A)下記式:
【化23】


のβ−ケトエステルをエナンチオ選択的に還元し、下記式:
【化24】


(式中、
18は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルである)のβ−ヒドロキシエステルを製造する工程、及び
(B)該β−ヒドロキシエステルをケン化して、該(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸を製造する工程を含む、該(R)−3−ヒドロキシテトラデカン酸を製造する工程を更に含む、請求項32〜35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
該β−ケトエステルのエナンチオ選択的還元の該工程が、水素化触媒の存在下に、該β−ケトエステルの水素化を含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
該水素化触媒が、請求項16〜20のいずれか1項に定義された基から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
式(VII):
【化25】


のδ−ラクトンの調製方法であって、該方法が、
(a)下記式:
【化26】


アシルハライドを、下記式:
【化27】


のマロナートハーフ酸と処理し、下記式:
【化28】


(上記式中、
1は、C1123であり;R2は、C613であり;R5は、C1−C6アルキル、C5−C20アリール又はC6−C20アリールアルキルであり;そして
11、R12及びR13のそれぞれは、独立して、C1−C6アルキル又はフェニルである)のδ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを製造し、そして
(b)該δ−ヒドロキシ−β−ケトエステルを、酸と接触させ、該ラクトンを製造することを特徴とする方法。
【請求項40】
該方法が、少なくとも90%のエナンチオ過剰率で、該δ−ラクトンを製造する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
5が、C1−C6アルキルである、請求項39又は40記載の方法。
【請求項42】
該酸が、塩酸である、請求項39〜41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
請求項32〜38記載のように、該アシルハライドを製造する工程を更に含む、39〜42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
c)式(VII):
【化29】


の化合物の水素化により、式(VIII):
【化30】


の化合物を得て、続いて
工程d)塩基性条件での開環及びエナンチオ化分離により式(IX):
【化31】


(上記式中、
は、カチオンを表し、そしてPGは、OH保護基を表す)の化合物を得、
e)式(IX)の遊離酸の調製に続いて、環形成及び基PGの開裂により式(X):
【化32】


の化合物を得、
f)脱保護に続いて、アゾジカルボン酸エステルおよび第三級ホスフィンの存在下でN−ホルミル−S−ロイシンとの反応ににより式(XI):
【化33】


の化合物を得る工程を更に含む、請求項1〜43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
1が、C1123であり、そしてR2が、C613である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
(R)−3−トリメチルシロキシテトラデカノイルクロリド。
【請求項47】
メチル(R)−3,5−ビス(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−ヘキサデカノアート、及びエチル(R)−3,5−ビス(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−ヘキサデカノアートからなる群から選択される、化合物。
【請求項48】
メチル(5R)−5−(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−オキソ−ヘキサデカノアート、及びエチル(5R)−5−(トリメチルシロキシ)−2−ヘキシル−3−オキソ−ヘキサデカノアートからなる群から選択される、化合物。
【請求項49】
オルリスタットを製造するのための、請求項1〜45のいずれか1項記載の方法の使用。

【公開番号】特開2009−173635(P2009−173635A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315718(P2008−315718)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【分割の表示】特願2004−183222(P2004−183222)の分割
【原出願日】平成13年2月5日(2001.2.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】