説明

3Dレンズ付き表示ユニット

【課題】電子機器の入力操作部を簡単に立体的に視認でき、薄型化に優れる3Dレンズ付き表示ユニットを提供すること。
【解決手段】透明樹脂フィルム10と、透明樹脂フィルム10の裏面に配置される微細な凹凸を有する透明なフレネルレンズ20と、フレネルレンズ20の裏方向に配置されるキーシート50と、フレネルレンズ20とキーシート50との間にあってそれらの間に空間を設ける保持手段30とを備える3Dレンズ付き表示ユニットとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などの入力操作部に好適に用いられる3Dレンズ付き表示ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯情報端末装置(PDA)等の電子機器においては、薄型化が要求されている。このため、電子機器の入力操作部に用いられる部材、例えば、キーシートにおいても同様に、薄型化が求められている。また、キーシートには電子機器の差別化または高級感を表現するために意匠性を高める様々なデザインが施されており、そのデザインの一つとして、立体的に視認できるようなものがある。
【0003】
電子機器の入力操作部に用いられるキーシートは、樹脂製キートップとゴム状弾性体から成るキーパッドとを備えているものが一般的である。例えば、透明な樹脂からなるキートップとゴム状弾性体からなるキーパッドが接着されたキーシートにおいて、キートップの裏面に、0.3mm以上の深さを有する表示部を凹設し、さらに該表示部の凹部の周壁面が底面に向かって内方に傾斜し、該表示部の凹部内を着色したキーシートが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、携帯電話などのキーシートを立体的に視認させるため、次のような技術も知られている。キーシートを構成する樹脂キートップを形成するために、まず、透明樹脂にて樹脂キートップを成形する際、樹脂キートップの裏面側に表示体が入る凹部を形成する。次に、樹脂キートップの裏面に形成した凹部の奥側に、所望の形状を有する表示体を設置する。その後、樹脂キートップの裏面側を、表示体を埋設するように未硬化の透明樹脂を注入し、平坦にした後硬化する。最後に、樹脂キートップの裏面側に反射層を、印刷、塗装、転写、蒸着等の方法で形成する(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−311546号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献2】特開2002−216572号公報(段落番号[0019]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のキーシートには、次のような問題がある。特許文献1および特許文献2に開示されるキーシートの場合には、ある程度、キーシートを立体的に視認できるという有利な効果が認められる。しかしながら、特許文献1に開示されるキーシートの場合には、インクを塗布する方法などにて表示部の凹部の周壁面を着色するので、凹部が小さく細かなものであると凹部の外へインクがはみ出し易く、凹部の周囲にインクが付着してしまう。このため、細かな模様を有する表示部を形成することが難しく、キーシートのデザインが低下するという問題がある。また、特許文献2に開示される樹脂キートップを備えるキーシートの場合には、樹脂キートップの凹部に表示体を埋設するので、当該凹部には、ある程度の深さが必要となる。このため、樹脂キートップの自体が厚肉となりやすく、キーシートの薄型化の要請に応えにくいという不都合もある。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、電子機器の入力操作部を簡単に立体的に視認でき、薄型化に優れる3Dレンズ付き表示ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、透明樹脂フィルムと、透明樹脂フィルムの裏面に配置される微細な凹凸を有する透明なフレネルレンズと、フレネルレンズの裏方向に配置されるキーシートと、フレネルレンズとキーシートとの間にあってそれらの間に空間を設ける保持手段とを備える3Dレンズ付き表示ユニットとしている。
【0009】
上述のような3Dレンズ付き表示ユニットとすることで、電子機器の薄型化を確保すると同時に、その入力操作部を簡単に立体的に視認することができる。すなわち、フレネルレンズとキーシートとを組み合わせ、保持手段でフレネルレンズとキーシートとの間に空間を設けることによって、下方からキーシートの表面を照射する光線はフレネルレンズを透過する際に屈折が生じる。このため、キーシートは、その表面を拡大させると共に、透明樹脂フィルムの上方に浮かんだように見え、立体的に視認することが可能となる。また、特許文献1に開示されるようにキーシートを構成する樹脂性キートップの内部に凹部を形成する必要がないので、キーシートを構成する各部材の厚みを従来の厚みの限度より薄くすることができる。この結果、電子機器のさらなる薄型化を図ることができる。
【0010】
また、別の発明は、上述の発明に加え、保持手段は、透明樹脂フィルムの裏面において、フレネルレンズの周囲に設けられる凹凸の高さより突出するスリーブである3Dレンズ付き表示ユニットとしている。
【0011】
このような3Dレンズ付き表示ユニットとすることで、透明樹脂フィルムの裏面において、フレネルレンズの周囲に設けられる凹凸の高さより突出するスリーブによって、フレネルレンズとキーシートとの間に簡単に空間を設けることができる。
【0012】
また、別の発明は、上述の発明に加え、フレネルレンズを設ける領域と対応する透明樹脂フィルムの表側の面に印刷表示部が形成されている3Dレンズ付き表示ユニットとしている。
【0013】
このような3Dレンズ付き表示ユニットとすることで、フレネルレンズを設ける領域と対応する透明樹脂フィルムの表側の面に印刷表示部を形成することによって、部材の視認性および装飾性を向上することができる。その結果、多種多様なデザインの要望に応えることができる。
【0014】
また、別の発明は、上述の発明に加え、透明樹脂フィルムの裏面において、フレネルレンズの以外の領域に加飾層が設けられている3Dレンズ付き表示ユニットとしている。
【0015】
このような3Dレンズ付き表示ユニットとすることで、透明樹脂フィルムの裏面において、フレネルレンズの以外の領域に加飾層を設けることによって、先の発明と同様、部材の視認性および装飾性をより向上することができる。その結果、多種多様なデザインの要望に応えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器の入力操作部を簡単に立体的に視認でき、薄型化に優れる3Dレンズ付き表示ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニットの平面図である。
【図2】図1に示す3Dレンズ付き表示ユニットのA−A線断面図である。
【図3】図1に示す3Dレンズ付き表示ユニットを構成するフレネルレンズの機能を説明する簡略図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニットの平面図である。
【図5】図4に示す3Dレンズ付き表示ユニットのB−B線断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る視認性改良シートを図1のA−A線と同様の線で切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る3Dレンズ付き表示ユニットの好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に説明する好適な各実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニット100の平面図である。図2は、図1に示す3Dレンズ付き表示ユニット100のA−A線断面図である。
【0020】
図1および図2に示すように、3Dレンズ付き表示ユニット100は、透明樹脂フィルム10と、その片面(裏面)に配置される微細な凹凸からなるフレネルレンズ20と、透明樹脂フィルム10の裏面においてフレネルレンズ20の周囲に設けられる凹凸の高さより突出するスリーブ30と、当該フレネルレンズ20の裏方向に配置されるキーシート50と、を主に備えている。キーシート50の表面に対してスリーブ30にてフレネルレンズ20が持ち上げられる。これによって、フレネルレンズ20とキーシート50との間に空間が設けられている。ここで、キーシート50は、少なくともキートップとベースシートとを備えている部材であり、具体的な形態については、図示せず、説明を省略する。
【0021】
透明樹脂フィルム10は、所要寸法の形状に成形される表面が平滑な板状部材である。透明樹脂フィルム10に用いられる材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などを好適に用いることができる。これらの樹脂材料の内、透明性、易成形性、入手容易性、表面状態が良好であることから、特に、ポリカーボネート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂を好適に用いることができる。ただし、上述の樹脂材料は一例に過ぎず、他の樹脂材料を採用しても良い。なお、樹脂材料は、上記のような一種類の樹脂材料でも、二種類以上の樹脂材料の混合物でも良い。また、透明樹脂フィルム10には、本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、光安定剤などの添加剤を添加することもできる。
【0022】
また、透明樹脂フィルム10の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の技術を用いることができる。例えば、透明性樹脂のような原料を使用したキャスト成形あるいは押出成形、射出成形、プレス成形などによって、透明樹脂フィルム10を製造することができる。
【0023】
フレネルレンズ20は、キーシート50の表面から光線が透過する際の屈折によって、キーシート50の表面の形態を拡大させると共に、光線の進行方向を変更させる部材である。フレネルレンズ20は、レンズ面を連続面ではなく、微細な階段状の凹凸を有するレンズである。また、同一平面に対して同心円状のプリズムを並べて構成しても良い。通常の凹凸構造を有する球状レンズ、非球面レンズまたは半円筒レンズに比べて、フレネルレンズ20自体の厚みを薄くできると共に、短い焦点距離を実現させることができる。このため、3Dレンズ付き表示ユニット100の薄型化を図ることができる。
【0024】
フレネルレンズ20に用いられる材料は、透明性が高いものが好ましく、特に制限はない。例えば、樹脂、ゴム、エラストマーまたはプラストマーからなるものなどを好適に用いることができる。樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。また、ゴムとしては、天然ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムおよびウレタンゴムなどが挙げられる。また、エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系あるいはポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、プラストマーとしては、ポリオレフィン系プラストマーが例示される。なお、これらの透明の材料は、単体で用いても良く、また2種類以上を混合して用いても良い。これらの材料のうち、透明性、入手容易性または粘着力の易調整性が良好であることから、特に、ポリカーボネート樹脂またはシリコーンゴムを好適に用いることができる。また、上記の透明の材料は、透明度を阻害しない範囲で各種の機能化剤または安定化剤などを含有することができる。
【0025】
フレネルレンズ20を形成する方法としては、例えば、透明樹脂フィルム10の裏側の所望の部分に、透明の樹脂を押出法、塗工法、注型法、プレス法、射出成形法、紫外線硬化法、あるいは熱硬化法などによって形成することができる。このフレネルレンズ20は、透明樹脂フィルム10の片側の全面に形成しても良く、また部分的に形成しても良い。この部分的に形成する手段としては、スクリーン印刷法を例示できる。
【0026】
スリーブ30は、フレネルレンズ20とキーシート50との間に空間を設けるために、透明樹脂フィルム10の裏面においてフレネルレンズ20の周囲に形成される部材である。透明樹脂フィルム10より低硬度であり、柔軟性および繰り返し着脱可能な粘着性を有する透明の材料を用いることによってスリーブ30を形成するのが好ましい。このため、キーシート50の表面に、直接、スリーブ30をその自己粘着力で貼り付けることによって、3Dレンズ付き表示ユニット100を簡単に得られる。この場合は、所望の大きさを有する透明樹脂フィルム10とフレネルレンズ20との一体物をキーシート50の表面の目的領域に当て、手で押さえることにより、両者を容易に貼り付けることができる。また、必要に応じて、透明樹脂フィルム10とフレネルレンズ20との一体物を剥離し、3Dレンズ付き表示ユニット100を分解することが可能である。
【0027】
スリーブ30に用いられる材料は、3Dレンズ付き表示ユニット100を構成するフレネルレンズ20と同じ材料、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、シリコーンゴム、ウレタンゴム、あるいはポリエステル系、ポリアミド系もしくはポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーなどを好適に用いることができる。特に、シリコーンゴムまたはウレタンゴムをより好適に用いることができる。
【0028】
スリーブ30を形成する方法としては、例えば、透明樹脂フィルム10の裏側のフレネルレンズ20の周囲に、柔軟性および繰り返し着脱可能な粘着性を有する透明のポリマーを押出法または塗工法などによって形成することができる。また、必要に応じて、別途、成型加工によって所要形状および寸法に形成したスリーブ30を、所望位置に接着剤により接着しても良い。スリーブ30は、フレネルレンズ20の全周囲に設けるのが好ましいが、周囲に沿うように、部分的に形成しても良い。
【0029】
図3は、図1に示す3Dレンズ付き表示ユニット100を構成するフレネルレンズの機能を説明する簡略図である。
【0030】
このような形態の3Dレンズ付き表示ユニット100とすることで、電子機器の薄型化を確保すると同時に、その入力操作部(キーシート50)を簡単に立体的に視認させることができる。すなわち、図3に示すように、フレネルレンズ20とキーシート50とを組み合わせ、スリーブ30を設けることによって、フレネルレンズ20とキーシート50の表面aとの間に空間bが形成されている。表面aの下方からの光線は、表面aから出射して空間bを通過し、フレネルレンズ20に到達する。そして、フレネルレンズ20の屈折で光線の進行方向を変更させる。このため、キーシート50は、その表面aを拡大させると共に、透明樹脂フィルム10の上方に浮かんだ平面a´にあるかのように見え、立体的に視認可能となる。また、従来例のような立体形状の表示要素を埋設しているものに比べて薄型化できる。その結果、電子機器の薄型化の要請にも対応できる。さらに、簡単な技術で透明樹脂フィルム10とフレネルレンズ20との一体物を形成できるため、歩留まりの良い高品質の3Dレンズ付き表示ユニット100を得ることが可能となる。
【0031】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニット200について説明する。
【0032】
第2の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニット200は、先に説明した第1の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニット100と共通の部分を有している。なお、以後、第2の実施の形態以降の実施の形態の説明において、各共通の部分については、第1の実施の形態と同じ符号にて示し、また、同じ構造の部分については、重複する説明を省略する。
【0033】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る視3Dレンズ付き表示ユニット200の平面図である。図5は、図4に示す3Dレンズ付き表示ユニット200をB−B線と同様の線で切断して示す断面図である。
【0034】
第2の実施の形態では、図4および図5に示すように、第1の実施の形態と異なり、3Dレンズ付き表示ユニット200において、さらに、フレネルレンズ20を設ける領域と対応する透明樹脂フィルム10の表面であって、文字、数字あるいは図柄等装飾を有する印刷表示部12が塗装あるいは印刷等によって形成されている。
【0035】
印刷表示部12を形成するインクまたは塗料の材料としては、特に限定されず、公知のインクや塗料を用いることができる。また、印刷表示部12の形成方法は、特に限定されず、形成面となる透光性樹脂フィルム層10の表面の所望領域に、インクまたは塗料等を用いた公知の方法によって形成することができる。
【0036】
このような形態の3Dレンズ付き表示ユニット200とすることで、高い意匠性を確保すると同時に、その入力操作部(キーシート50)を簡単に立体的に視認することができる。すなわち、第1の実施の形態に記述したように、図3において、表面aの下方からを放射される光線は、表面aと空間bを通過し、フレネルレンズ20に到達し、フレネルレンズ20の屈折で光線の進行方向を変えられる。そして、キーシート50は、その表面aを拡大させると共に、透明樹脂フィルム10の上方に浮かんだ平面a´にあるかのように見え、立体的に視認することが可能となる。このため、透明樹脂フィルム10の表面に設けられた印刷表示部12を平面a´と透明樹脂フィルム10の表面との間に立体的に浮いて見える。この結果、使用者の意匠性の要請により対応できる。また、印刷表示部12は、透明樹脂フィルム10の表面に形成されているので、外部の光量が十分でないときでもはっきりと視認できる。
【0037】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニット300について説明する。
【0038】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る3Dレンズ付き表示ユニット300を図1のA−A線と同様の線で切断して示す断面図である。
【0039】
第3の実施の形態では、図6に示すように、第2の実施の形態と異なり、3Dレンズ付き表示ユニット300において、さらに、透明樹脂フィルム10の裏面であって、フレネルレンズ20の以外の領域の全部もしくは一部には文字、数字あるいは図柄等の模様を有する加飾層16が設けられている。
【0040】
加飾層16の形成方法は、特に限定されず、インクまたは塗料等を用いた印刷法または蒸着法などの公知の方法によって形成することができる。なお、インクまたは塗料等の定着性、密着性あるいは発色性等を改善するために、透明樹脂フィルム10の裏面のフレネルレンズ20の以外の領域に、予め各種公知の表面処理等を施して改質するのが好ましい。
【0041】
このような形態の3Dレンズ付き表示ユニット300とすることで、加飾層16と、キーシート50の表面の模様と、印刷表示部12とが組み合わされたように視認することができる。すなわち、第1の実施の形態に記述したように、図3において、表面aの下方からを放射される光線は、表面aと空間bを通過し、フレネルレンズ20に到達し、フレネルレンズ20の屈折で光線の進行方向を変えられる。そして、キーシート50は、その表面aの模様を拡大させると共に、透明樹脂フィルム10の上方に浮かんだ平面a´にあるかのように見え、立体的に視認することが可能となる。また、透明樹脂フィルム10の表面に設けられた印刷表示部12を平面a´と透明樹脂フィルム10の表面との間に立体的に浮いて見える。また、透明樹脂フィルム10の裏面の可飾層16は、実際にキーシート50の表面の模様の上方にあるが、上述の平面a´の下方にあるかのように見える。これによって、3Dレンズ付き表示ユニット300の美的効果を向上させ、使用者の意匠性の要請により対応できる。
【0042】
以上、本発明に係る3Dレンズ付き表示ユニットの好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上述の各実施の形態に何ら限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0043】
例えば、各実施の形態では、3Dレンズ付き表示ユニット100,200,300を構成する透明樹脂フィルム10とフレネルレンズ20との一体物の形状または大きさは、キーシート50の寸法に応じて適切に変更することが可能である。
【0044】
また、必ずしも上述のスリーブ30を透明樹脂フィルム10の裏面に設けなくても良い。例えば、キーシート50の表面にスリーブ30と同様の突出部を備えている場合、その突出部を介して透明樹脂フィルム10とフレネルレンズ20との一体物を載置することにより、キーシート50とフレネルレンズ20との間に空間を形成することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…透明樹脂フィルム
12…印刷表示部
16…可飾層
20…フレネルレンズ
30…スリーブ(保持手段)
50…キーシート
100,200,300…3Dレンズ付き表示ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂フィルムと、
上記透明樹脂フィルムの裏面に配置される微細な凹凸を有する透明なフレネルレンズと、
上記フレネルレンズの裏方向に配置されるキーシートと、
上記フレネルレンズと上記キーシートとの間にあってそれらの間に空間を設ける保持手段とを備えることを特徴とする3Dレンズ付き表示ユニット。
【請求項2】
前記保持手段は、前記透明樹脂フィルムの裏面において、前記フレネルレンズの周囲に設けられる前記凹凸の高さより突出するスリーブであることを特徴とする請求項1に記載の3Dレンズ付き表示ユニット。
【請求項3】
前記フレネルレンズを設ける領域と対応する前記透明樹脂フィルムの表側の面に印刷表示部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の3Dレンズ付き表示ユニット。
【請求項4】
前記透明樹脂フィルムの裏面において、前記フレネルレンズの以外の領域に加飾層が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の3Dレンズ付き表示ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−251084(P2010−251084A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98636(P2009−98636)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】