説明

4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造方法

【課題】6ヶ月の貯蔵期間でAPHA値<20を有する着色安定性の4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造を可能にする、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを製造するための中圧での方法を提供する。
【解決手段】ニッケル触媒またはコバルト触媒および水の存在下で2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンとアンモニアおよび水素を反応させることによる4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造方法において、主反応を最大50barの圧力および最大120℃の温度で、少なくとも80%の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンの変換率まで実施し、引き続き、後反応を主反応の圧力および温度と比較してより高い温度で、かつより高い圧力で行うことを特徴とする製造法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TAD)を、触媒の存在下で2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン(トリアセトンアミン、TAA)、アンモニアおよび水素から製造するための方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンは、2,2,6,6−置換基に基づき立体障害性とされ、かつ多岐にわたり、殊に中間生成物としてポリマー用のUV安定剤の製造に際して使用されうる。この場合に重要なのは、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが、高い化学的純度を有する他に固有の呈色を有さないか、もしくは可能な限り僅かにしか有さないことである。数ヶ月のより長い貯蔵時間を経ても、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの変色が生じないことが望ましい。これは、なかでも4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが安定剤の製造のために用いられるか、または添加剤として直接に用いられる場合に決定的に重要である。それというのも、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製品品質は、安定化されたポリマーの品質に決定的な影響を持つからである。
【0003】
一般に、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンの還元アミノ化によって一段階または二段階で触媒の存在下で行われる。
【0004】
そのようにEP0776887A1は、285〜300barの圧力にて、コバルト、ニッケル、ルテニウム、パラジウムおよび白金から選択された金属触媒の存在下、および溶媒の非存在下での連続的な方法を記載する。同様に200barより高い圧力にて、かつ溶媒なしで、不連続的な方法としても実施されうるDE3003843A1に記載の方法が実施される。
【0005】
しかしながら不連続的な方法は、一般により低い圧力にて、かつコバルトまたはニッケルを有する触媒の存在下で実施される。そのようにEP0714890A2は、95barでの、同様に溶媒なしでの方法を記載する。この場合、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンは95〜97%の純度で得られる。
【0006】
しかしながら頻繁に、溶媒、例えば水またはアルコールの存在下で実施される方法が記載される。そのようにGB2176473およびCN1358713Aは、10〜30barの圧力にて、溶媒としての水の使用下および共触媒としてのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の存在下での方法を記載する。目標にされた収率は、GB2176473の場合90〜95%であり、かつCN1358713Aの場合96.6%である。
【0007】
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造法に影響を与えるいくつかの方法パラメータは、Li Yang et al. in Chemical Industry and Engineering Vol.23 No.4, 323-327に記載される。そのように、Li Yang他は、ニッケル触媒の代わりにコバルト触媒が使用されることによって選択性が高められうることを記載する。適した温度は90〜100℃であり、かつ水素圧は15〜25barであるのが望ましい。4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの着色安定性を改善する可能性は、先に記載された従来技術においてと同様、記載されない。
【0008】
これに対してWO99/16749は、2,2,6,6−テトラ置換4−アミノピペリジンの精製法を記載し、その結果、これらの化合物の着色安定性が改善される。2,2,6,6−テトラ置換4−アミノピペリジンの蒸留後、これは水素化触媒または脱水素化触媒の存在下で水素と反応させられ、かつ反応混合物から分離除去される。この精製工程によって、APHA色数は10より低く下げられうる。
【0009】
WO97/46529も、このピペリジンの精製法を記載する。この場合まず、水および高沸点化合物が反応混合物から蒸留により取り出され、還元剤が添加され、引き続き、ピペリジンが蒸留によって単離される。還元剤、殊にNaBHの添加によって、APHA色数は15より低く下げられうる。
【0010】
それぞれこの2つのPCT刊行物は、所望された着色安定性を獲得するために、付加的な精製工程を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP0776887A1
【特許文献2】DE3003843A1
【特許文献3】EP0714890A2
【特許文献4】GB2176473
【特許文献5】CN1358713A
【特許文献6】GB2176473
【特許文献7】CN1358713A
【特許文献8】WO99/16749
【特許文献9】WO97/46529
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Li Yang et al. in Chemical Industry and Engineering Vol.23 No.4, 323-327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえ本発明の課題は、6ヶ月の貯蔵期間でAPHA値<20を有する着色安定性の4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造を可能にする、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを製造するための中圧での方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
意想外にも、主反応の後に後反応が、主反応の圧力および温度と比較してより高い温度で、かつより高い圧力で行われることを特徴とする、高い着色安定性を有する4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造法が見つかった。このように意想外にも、6ヶ月の貯蔵期間後にも室温で保持され続ける、高い着色安定性を有する4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが製造されうる。従来技術に対してこの方法は、後接続された後反応が、同じ反応器中で、その間に接続された方法工程なしに行われうるという利点を有する。そのうえこの後反応に際して、付加的な添加剤、例えばNaBHのような還元剤が添加される必要はない。このように主反応は意想外にも穏やかな条件で実施されえ、かつ4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの形成が抑制されうる。後反応は、添加剤のさらなる添加および/または前接続された方法工程なしに実施されうるので、この方法は、高い着色安定性を有する4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを製造するための、経済的に関心を引く中圧での方法変法を表す。
従って本発明の対象は、主反応が最大50barの圧力および最大120℃の温度で、少なくとも80%の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンの変換率まで実施され、引き続き、後反応が主反応の圧力および温度と比較してより高い温度で、かつより高い圧力で行われることを特徴とする、ニッケル触媒またはコバルト触媒および水の存在下で2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンとアンモニアおよび水素を反応させることによる4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造法である。
【0015】
本発明による方法に従って製造された4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの着色安定性の測定は、EN ISO 6271に従うAPHA色数の調査によって実施される。APHA色数は、20質量%のエタノール性溶液を手掛かりにして測定される。APHA色数の測定は、一方では反応混合物の後処理の直後、殊に蒸留後、および30日もしくは6ヶ月の4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの貯蔵期間後に実施される。試料の貯蔵は、室温、大気圧および大気雰囲気にて標準の光比(Lichtverhaeltnisse)の下で行われる。
【0016】
出発材料として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン(TAA)、アンモニアおよび水素が本発明による方法で使用される。アンモニアは、本発明による方法に液体でまたは水溶液として供給してよい。アンモニアのこの水溶液は、好ましくは20〜50質量%のアンモニアの含有率を有する。しかしながら有利には、アンモニアの添加は液体の形で行われる。
【0017】
触媒として、本発明による方法では、活性触媒金属のコバルトおよび/またはニッケルを有する担体触媒または骨格触媒が使用されうる。担体触媒のための担体材料として、例えば、100〜350m/gの比表面積を有する酸化アルミニウム、400〜800m/gの比表面積を有するシリケート、200〜600m/gの比表面積を有するアルミニウムシリケート、2〜35m/gの比表面積を有する珪藻土、800〜1200m/gの比表面積を有する活性炭、400〜900m/gの比表面積を有する酸化ニッケルまたは酸化コバルトまたは400〜900m/gの比表面積を有するゼオライトが使用されうる。有利には、本発明による方法では、活性触媒金属のコバルトおよび/またはニッケルを10〜60質量%有する担体触媒が使用される。これらの担体触媒は、本発明による方法で使用される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンに対して、好ましくは1〜15質量%、有利には2〜12質量%およびとりわけ有利には2.5〜10質量%使用される。
【0018】
有利には、骨格触媒として、活性金属のコバルトおよび/またはニッケルを有する骨格金属触媒が本発明による方法で使用される。そのような骨格金属触媒は、例えばUS1,628,190またはUS1,915,473に開示されているM.Raneyによって発明された方法といった、当業者に公知の方法によって製造されうる。殊に、その製造のために金属合金が使用された、30〜60質量%の含有率のニッケルおよび/またはコバルトおよび70〜40質量%の含有率のアルミニウムを有する骨格金属触媒が使用される。そこからアルミニウムを溶解することによって活性触媒が作製されえ、その際、残分のアルミニウム含有率は、好ましくは2〜20質量%の範囲内および有利には5〜10質量%の範囲内にある。このように製造された骨格金属触媒は、本発明による方法で使用される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンに対して、好ましくは0.5〜15質量%、有利には1〜12質量%およびとりわけ有利には1.5〜10質量%使用される。
【0019】
本発明による方法における還元アミノ化は、二つの部分処理工程で実施され、まず比較的穏やかな条件で主反応が実施される。少なくとも80%の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンの変換率、有利には少なくとも90%の変換率の場合、圧力および温度が高められ、かつ還元アミノ化の後反応が実施される。
【0020】
主反応の反応温度は、本発明による方法で、これが後反応の反応温度より低いように選択される。好ましくは、本発明による方法の主反応は、最大120℃、有利には40〜110℃およびとりわけ有利には45〜100℃で実施される。
【0021】
本発明による方法の主反応での圧力は、この圧力が後反応での圧力より低いように選択される。この場合、有利なのは5〜50barの圧力である。活性金属のニッケルを有する触媒が使用される場合、有利には圧力は10〜30barに、とりわけ有利には15〜25barに調整される。しかしながら、活性金属のコバルトを有する触媒が本発明による方法で使用される場合、主反応は、有利には15〜50barおよびとりわけ有利には20〜45barの圧力で実施される。本発明による方法のために必要とされる圧力は、好ましくは、もっぱら水素圧によって本発明による方法で作製される。
【0022】
溶媒として、本発明による方法では水が使用される。水は、一方ではアンモニアの溶媒として反応混合物中に加えてよく、他方では反応混合物の純粋物質としても供給してよい。純粋物質としての水の添加によって、水、アンモニアおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンの量比を目的に合わせて調整することが可能である。
【0023】
水対2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンのモル比は、本発明による方法において、好ましくは2:1〜10:1、有利には2.5:1〜9:1およびとりわけ有利には3:1〜7:1である。他方で、アンモニア対2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンのモル比は、本発明による方法で、好ましくは1:1〜5:1、有利には1.5:1〜4:1およびとりわけ有利には2:1〜3:1である。
【0024】
本発明による方法の後反応は、好ましくは少なくとも125℃の温度で、有利には130℃〜200℃の温度およびとりわけ有利には140℃〜180℃の温度で実施される。
【0025】
本発明による方法における後反応での圧力は、好ましくは少なくとも30bar、有利には35〜150barおよびとりわけ有利には40〜100barである。
【0026】
後反応は、本発明による方法において、好ましくは主反応と同じ反応器中で実施される。主反応後の反応混合物の後処理は、後反応前に必要とされない。
【0027】
後反応のあと、本発明による方法において、好ましくは反応器は放圧され、まず触媒が反応混合物から分離除去される。触媒の分離除去は、従来技術による公知の方法に従って、例えばろ過によって行ってよい。しかしながら有利には、本発明による方法の場合、反応混合物もしくは反応器搬出物に、凝集助剤、例えばトルエンが添加される。凝集助剤を反応混合物に添加することによって、触媒の微細成分が凝集し、ずっと速く沈殿することで、触媒の沈殿挙動が明らかに改善される。従って、触媒は液相から容易に、好ましくは傾瀉することによって分離除去されうる。すでにきわめて少量の凝集助剤を添加する一利点は、反応混合物からの触媒の沈殿挙動の改善であり、そのことによって煩雑なろ過工程が削減される。この場合、この改善された沈降が、表面張力、界面張力、密度、粘度の減少またはその他のパラメータに基づき行われるかどうかは重要ではない。この簡素化された触媒の分離除去は、安全工学的な利点も提供する。それというのも、ろ過分離された乾燥したコバルト触媒またはニッケル触媒は自然発火性だからである。本発明による方法の場合、好ましくは、粗製生成物を含有する液相が傾瀉分離される。
【0028】
反応混合物から取り出された触媒は、本発明による方法の場合、さらなる還元アミノ化において本発明による方法に従って使用されうる。この場合、触媒が懸濁液として、有利には自然発火性でない懸濁液として、とりわけ有利には自然発火性でない水性懸濁液として、さらなる還元アミノ化に供給される。
【0029】
殊に活性金属のコバルトを有する触媒が使用される場合、触媒の再利用に際しても4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの所望された着色安定性が得られる。着色安定性をさらに改善するために、触媒は、使用後およびその次の使用前に後処理されえ、例えば適した溶媒を用いた精製、例えば水またはエタノールのような低級アルコールを用いた精製、および引き続く水素処理によって後処理されうる。触媒1〜30質量%を新鮮な触媒で交換することも考えられる。
【0030】
粗製生成物を含有する液相の後処理は−触媒の分離除去後−本発明による方法において、好ましくは、例えばアルカリ金属水酸化物のような助剤の添加によって行われる。従って、二相の形成が改善されうる。有機相は、相分離後に蒸留により後処理されうる。
【0031】
本発明による方法の有利な一実施態様の場合、液相(その際、触媒はすでに分離除去されている)に、水と共沸混合物を形成する共沸添加剤が添加され、引き続き共沸蒸留が実施される。この場合、有利な共沸添加剤は、水とのその共沸混合物が、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの沸騰温度より下で沸騰し、かつ/または水の沸騰温度より下で沸騰する共沸添加剤である。これらは有利には、水と二成分共沸混合物を形成する化合物であり、かつとりわけ有利なのは、二成分の不均一共沸混合物を形成する化合物であり、従って、水が留出物の簡単な相分離によって取り出されうる。共沸蒸留における共沸添加剤として、炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはアルコール、例えばn−ブタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノールが使用されうる。当然、当業者に公知の他の全ての共沸添加剤も使用されうる。
【0032】
共沸添加剤の使用によって、反応に際して溶媒として使用され、かつ反応に際しても生じる水が、穏やかな条件下で分離除去されうる。これによって、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの熱負荷はより小さいものとなり、この結果、純粋生成物のより良好な着色安定性およびより僅かな呈色が生じる。共沸蒸留のあと、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの蒸留が、好ましくは減少された圧力下で引き続き行われうる。
【0033】
後続の実施例は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの本発明による製造法を詳細に説明するものであるが、本発明はこの実施態様に制限されるべきではない。
【実施例】
【0034】
実施例1〜12:
プロペラ攪拌機、電熱装置、空気冷却器および水素−質量流量調節装置を有する1lの攪拌式オートクレーブ中に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン300g、脱イオン水および触媒11gをアルゴン下で装入する。触媒として、一方ではEvonik Degussa GmbHのB113W(活性金属 ニッケル)を、かつ他方ではB2112Z(活性金属 コバルト)を使用した。引き続き、オートクレーブを三回、窒素で洗浄した。攪拌機を、300rpmの回転数に調整する。それから液体アンモニア83gを計量供給する。引き続き、水素によって圧力を主反応の所望された圧力に調整し、さらに温度を調整する。後反応を、150℃の温度および50barの圧力で約3時間行う。それとは相違する後反応のための条件は、以下の第1表の中に記載されている。第1表は、試験パラメータのみならず実施された例の結果も示す。
【0035】
実施例13〜16:
ブレード式攪拌機および加熱された二重ケーシングを有する2lの攪拌式オートクレーブ中に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン450g、脱イオン水250gおよびコバルト触媒(型:Evonik Degussa GmbH B2112Z、水湿)33gをアルゴン下で装入する。引き続き、オートクレーブを密閉し、かつ三回、窒素で洗浄する。攪拌機を、500rpmの回転数に調整する。それから液体アンモニア125gを計量供給し、かつ内部温度90℃に加熱する。引き続き、水素によって40barの圧力に調整する。後反応を、150℃およびH50barで約1時間行う。その後に冷却し、かつオートクレーブを内部温度約50℃で放圧し、二回、窒素で洗浄し、かつ反応生成物をアルゴン下で放出する。
【0036】
後処理のために、粗製生成物を50℃で攪拌し、かつトルエン10gを添加する。三相の粗製生成物が得られる(下相(固体)はコバルト触媒(固体)を含有する、中間相(液体、明るい黄色、微かに濁った)は所望された生成物を含有する;上相(液体):明るい黄色−透明なトルエン相)。この二つの液体相を、吸い上げ管で分離除去する。残留する触媒を、脱イオン水100gと混ぜ、かつ次のバッチで再び使用する。後続のバッチでは、その時、脱イオン水250gの代わりに、わずか150gの脱イオン水を添加する。
【0037】
この二つの液相(805g、黄色がかった)を、さらにトルエン140gを用いて、10cmのガラス塔を有する蒸留装置、水分離器、還流冷却器および油浴中で後処理し、その際、最大130℃の塔底温度および最大110℃の塔頂温度で共沸蒸留を実施する(留出物(水):312gおよび塔底物:580g)。引き続き、改善された真空状態で、残分のトルエンを、最大70℃の塔底温度および150〜30mbarの圧力で留去する。黄色に着色した4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−粗製生成物450gを塔底で保持する。留出物として、トルエン130gが発生する。4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−粗製生成物をもう一度、塔頂部を介して蒸留した後(50cmの塔;塔底温度80〜100℃、塔頂温度78℃、圧力;15mbar)、無色の、貯蔵安定性の純粋な4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジが得られる(第2表も参照のこと)。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを、ニッケル触媒またはコバルト触媒および水の存在下で2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンとアンモニアおよび水素との反応によって製造する方法において、主反応を最大50barの圧力および最大120℃の温度で、少なくとも80%の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンの変換率まで実施し、引き続き、後反応を主反応の圧力および温度と比較してより高い温度で、かつより高い圧力で行うことを特徴とする、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの製造方法。
【請求項2】
水および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンを、2.5:1〜9:1のモル比で使用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンを、3:1〜7:1のモル比で使用することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
活性金属のコバルトおよび/またはニッケルを有する骨格金属触媒を使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
使用される2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンに対して骨格金属触媒0.5〜15質量%を使用することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
主反応を40℃〜110℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
主反応を5〜50barの圧力で実施することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
後反応を130〜200℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
後反応を35〜150barの圧力で実施することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
後反応を主反応と同じ反応器中で実施することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
反応混合物の後処理を、主反応の後および後反応の前に行わないことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
アンモニアおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オンを、1.5:1〜4:1のモル比で使用することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
触媒を液相から傾瀉することによって分離除去し、その際、あらかじめ反応混合物に凝集助剤を添加することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
触媒を懸濁液として、さらなる還元アミノ化に供給することを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
液相に共沸添加剤を添加し、引き続き共沸蒸留を実施することを特徴とする、請求項13または14記載の方法。

【公開番号】特開2009−191067(P2009−191067A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15170(P2009−15170)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】